伊藤京子さんの講演と朗読、コンサートとそして写真展

團伊玖磨さん(1924〜2001)が中国で客死されてから3年経ちました。團さんは生前に「僕の周年行事は没後○年より生誕○年にしてくださいよ」と 冗談交じりにおっしゃっていました。 (「團さんの夢」・中野政則著)
2004年4月7日は生誕80年でした。
わが国オペラ史上、650回という最多上演回数を誇る国民的オペラ『夕鶴』のつう役を30年にわたり歌い続けた伊藤京子さんは、團さんとの出会いを、「東京音楽学校・奏楽堂でティンパニーを叩く学生服姿の團伊玖磨さんを見たのが最初でした」と語ります。昭和18年のことです。
團さんは「伊藤京子さんとの永いお付き合いで、僕はいつも彼女の誠実さと自己鍛錬の厳しい人格を尊敬してきた。ことにオペラ『夕鶴』の主役 としての彼女、僕の歌曲を歌うときの彼女に、常に感動を繰り返してきた」と語っています。
伊藤京子さんが團さんの誕生日に、ゆかりの深い久留米で、團さんと『夕鶴』ついて講演してくださり、エッセイストとしても高名な團さんの『パイプの けむり』を朗読してくださいました。また、伊藤さんに師事し、新国立劇場で、『夕鶴』『トスカ』『蝶々夫人』の舞台に立ち、第1線で活躍中の佐藤ひさらさん (ピアノ・甲山紀子さん)が『夕鶴』のアリアなどを歌い、伊藤京子さんが会場の皆さんと一緒に、團さんの童謡や「花の街」等をいっしょに歌いました。
また会場のえーるピア久留米の市民ギャラリーでは「團さんと九州の仲間達」の写真展も開かれました。
九州をテーマに作曲された数多い團さんの曲の中の『筑後川』、『西海讃歌』や『長崎街道』、『筑後風土記』、『交響詩・伊万里』、『だご汁の唄』などを作曲するために現地を訪れたり、初演のステージでの写真や、演奏後の団員との和やかな風景などの写真や、貴重な團先生の直筆の原譜などが披露され、訪れた人たちは團さんの素顔に触れて感激していました。