<反省のはの字もない反省会の様子> ノイド 「あー終わった終わった!」 ウェリル 「緊張したわ」 ノイド 「ドレス姿、きれいだったぜ」 アリアラム 「戻って早々、のろけか」 ノイド 「だってよ、あんまし余所様ン家でいちゃつく訳にはいかねーだろ」 アリアラム 「普段人前で恥ずかしい台詞を惜し気もなくのたまう輩の言葉とは思えないな」 ウェリル 「そうよ。あなた舞台裏でずっと、向こうの音声の人と睨み合ってたでしょう」 アリアラム 「ああ、そういえばガンつけあってたな、あっちの冒険者と」 ノイド 「や、何か合わねー感じがしてな」 アリアラム 「初対面で因縁付け合いなんて、チンピラみたいなことを」 ウェリル 「いえ、初対面て訳でも」 ノイド 「すっげー前に会ってるぜ。あん中の一部には」 アリアラム 「そうなのか?」 ノイド 「お前いなかったけどな」 アリアラム 「それは惜しいことをしたな。向こうの魔法使いとはもっとよく話をしたかったんだが」 ウェリル 「大勢いらっしゃいましたものね、あちら」 アリアラム 「ああ。人数が多ければ議論のし甲斐もあるだろう。特に眼鏡の彼とは意見交換したかった」 ノイド 「なんかうっさいのもいたけどな」 アリアラム 「五月蝿さと頭の回転は反比例しないぞ。私は苦手だが」 ウェリル 「そうよね。比例するならこの人もっと馬鹿だもの」 ノイド 「男はみんな心は少年なのさ」 ウェリル 「頭も子供のままじゃ困るのよ」 アリアラム 「そうだな」 ノイド 「さりげなく連携組みやがって!」 アリアラム 「本当のことだろ」 ウェリル 「そういえば、私たちの演目はシンデレラでしたけど」 ノイド 「あー、俺それ聞いたとき、ぜってー女装だと思った」 ウェリル 「私も」 アリアラム 「冗談じゃない!」 ノイド 「云うと思った」 アリアラム 「君だって嫌だろ、長女役!」 ノイド 「いやあ、一生に一度くらいはスカート履くって経験あっても良いじゃん?」 アリアラム 「……」 ノイド 「人を変態見るよーな目で見んなよ。大体お前、いつもスカートみたいなもんじゃん」 アリアラム 「これはローブだ」 ノイド 「ズボン脱いだらスカートじゃん」 アリアラム 「公演前も云われたが、何であっちもこっちも寄ってたかって下を脱がせたがるんだ!」 ウェリル 「あら」 ノイド 「別に俺は野郎の女装は見たかねーぞ」 ウェリル 「でもスカートは履きたいと」 ノイド 「だって普通にしてたら一生履く機会ねーじゃん。面白そうじゃね?」 アリアラム「いや全く」 ノイド 「つっまんねーなぁ。なあマグイお前どうよ?」 マグイ 「ああ、いや、拙者は出番が無かったゆえ」 アリアラム 「ほとんど裏で、あちらの人間と親睦を深めるばかりだったものな」 マグイ 「うむ。出番があっても、拙者演技が達者ではござらぬゆえ、順当な配役であったと思う」 ノイド 「確かに流暢に台詞ぺらぺらやってるのは想像できねーな」 マグイ 「うむ」 アリアラム 「いやにこやかに頷くところなのか?」 マグイ 「相手方との交流もできたし、セルエルとも話せたゆえ」 ノイド 「あー」 アリアラム 「成程ね」 ウェリル 「私もあまり出番なかったから、あちらの方々とたくさんお話できたわ」 ノイド 「おいおい、変な男に云い寄られたりしなかったろうな?」 ウェリル 「さあ? 楽しい方ばかりでしたけど」 ノイド 「! 愛してるぜウェリル」 ウェリル 「はいはい」 アリアラム 「あれは放っておくとして、トータルではどうだった?」 マグイ 「拙者は楽しくやれたし、皆のも見ていて楽しかった。クランツの方々も皆よい人たちであったし、またこのような場が持てるのなら歓迎したい」 アリアラム 「まあ、そこそこ面白かったし、良い経験にはなったな」 マグイ 「変身の魔法がかけられたときなど、どんな姿になるかわくわくしたぞ」 アリアラム 「……あれはどうだった?」 マグイ 「なかなか凛々しかったぞ。今の方が慣れ親しんでおるが」 アリアラム 「ふうん……」 マグイ 「ちなみにヴェネルは、ああいうのも悪くないわね、と云っていたぞ」 アリアラム 「!」 マグイ 「でもこのままのアリアの方が好き、とも云っていた」 アリアラム 「そ……そうか」 マグイ 「お主、顔が赤いぞ」 アリアラム 「見なかったことにしてくれ」 マグイ 「うむ、あいわかった」 アリアラム 「……」 マグイ 「ヴィレイスとあの、聖騎士のも、良かったな」 アリアラム 「あれは完全に子供だったな」 マグイ 「うむ。あのような時期があったのだと思うと感慨深い」 アリアラム 「多分なかったと思うが。……君は息子を連れて行きたいと思ったんだろ、どうせ」 マグイ 「なぜわかる」 アリアラム 「誰でも分かる」 マグイ 「ふむ……」 アリアラム 「さて、これでまとまったか?」 バルグラム 「ちょっと待ったあ!」 マグイ 「どうしたのだ? バルグラム」 バルグラム 「どうしたもこうしたも俺だけ仲間外れひでーっすよ!」 マグイ 「おぉ」 アリアラム 「そういえば」 ノイド 「終わっちまったんだから諦めろって」 バルグラム 「先輩は二役もあったじゃないっすか! 片っ方くらい分けてくれたって!」 ノイド 「配役したの俺じゃねーもん。あっちに云えよあっちに」 バルグラム 「云える訳ないじゃないっすか!」 マグイ 「あ、バルグラム、お主、『反省会』の方で名前が挙がっていたと」 バルグラム 「反省会は本編じゃありません! てか名前だけじゃないっすか!」 アリアラム 「そうだな」 ノイド 「名前も挙がらないってのよかマシだろ」 バルグラム 「マシもヘチマもねーっすよ! こんな滅多にない機会なのに」 マグイ 「それはそうだが」 ノイド 「そんなに云うなら、お前女装でもして乗り込んでみちゃどうだ?」 バルグラム 「はァ?」 ノイド 「お前の女装は見たくない話で名前出てたからよ、女装で突っ込みゃ次回は出してくれっかもだぜ。二度と見たくなくてさ」 バルグラム 「なんか話が飛んでないっすか!?」 ノイド 「まー正直いうと、お前の女装であの猫目野郎にひとあわ吹かせたい」 アリアラム 「あの少ない時間でよくそこまで悪い関係を結べたな」 ウェリル 「あんまり余所に迷惑かけないでよ、みっともない」 バルグラム 「そうっすよ! おとなげないっすよ!」 ノイド 「いーじゃんいーじゃん。軽いいたずらだって」 バルグラム 「ちょっ、先輩っ! 誰か止めて下さいよ!」 アリアラム 「止めたら今度はこっちに火の粉が飛びそうだからな」 ウェリル 「そうよね」 マグイ 「あの、拙者は……無理強いは良くないと」 バルグラム 「団長制止が弱すぎっすよぉぉぉぉ!」 (声とか遠ざかる) アリアラム 「さて、連中のことは放って、こちらはしめようか」 ウェリル 「そうね」 マグイ 「バルグラム、大丈夫だろうか」 アリアラム 「心配するくらいなら次はちゃんと止めろよ」 マグイ 「……」 アリアラム 「……とりあえず今回は仕舞いだ」 ウェリル 「成功に終わって良かったわね」 マグイ 「う、うむ……」 ノイド 「うはははは! やべこれウケる! このまま乗り込もうこのまま! あっち腰抜かすぞぜってー!」 バルグラム 「笑いすぎっす! ……あーもー普通の役がやりてえよ!」 戻る |