CARRIER 
  
     
         

        
〜ジャレコの挑戦〜
 

1月某日「アレより恐い」
 「アレより恐い」
 雑誌上に確かにその文字は存在していた。自社ゲームのホラーアドベンチャー「CARRIER」についてのコメントである。
 DCでバイオハザード最新作、ベロニカの発売日が近いため、雑誌がベロニカ一色の時に大胆な発言。
 身の程知らずっぷりがいろいろな意味で恐い発言である。
 しかも、発売日はベロニカと同月。
 正気?
 なお、メーカーはジャレコ。少しマイナー、かつ野心的。久々に冒険の価値を感じ、購入を決定する。
「キャリアー? お兄ちゃんのクソゲー癖がまた…」
 弟はいつも通り五月蠅いが無視する。



2月3日「感じる恐怖」
 ベロニカ発売日。躊躇うことなく6800円を眠らせ、その他のソフトについても購入衝動を抑えていた私だが、その頃になってようやく「アレより恐い」の真実を知ることになる。
 そう、「同じ6800円を出してもはずれを引く確率が格段に高い」のである。
 恐い。
 同じホラーアドベンチャー、同じ操作系統。ベロニカの評判を聞く度にCARRIER購入を見合わせたくなる。この恐怖は買うまで終わらない。



2月24日「誘惑」

 発売日まで耐えきることに成功。我ながらかなりの自制心。
 しかしそこに、新たな誘惑が

「今から秋葉で会わない?魔剣X(DCソフト)貸すからさ」

 まずい。この精神状態でのゲーム屋は精神崩壊の恐れがッ!
 下手するとベロニカを選んでしまいそうだ。
 だが、借りられるものは借りておいた方が得ではある(せこい)。とりあえず行くことは決定する。



同日「購入」

 秋葉原到着。友人と合流する。

「貸してくれるって言ってた魔剣X持ってきたか?」
「あっ、ごめん忘れた。」
「デスクリムゾン2貸すから持ってきてくれよ。」
「いらない。CARRIER終わったら貸してくれよ。」
「デスクリ2…‥」
「CARRIER終わったら貸してくれよ。すまんね、ソフト忘れて。」
 泣く泣くCARRIER購入。購入直後に鞄から魔剣Xを取り出す友人。
「ごめんごめん、持ってきてたの忘れてたよ」
 …この、確信犯がッ!



2月25日「開始」
 バイオ系ゲームはシチュエーションに浸るところから楽しむのが基本。よって、珍しく説明書を読むところから始める。

 孤島の演習場にて種子状の太古生物アークが仮死状態で発見された。学者達が乗り込み、調査を開始したが調査員による大量殺人事件によって孤島での調査はうち切られていた。
 遺体とアークサンプルの輸送が帰港途中のヘイムダルに指示されるが、数日後、輸送中の空母ヘイムダルから通信が途絶える。
 軍部はこれを処理するために調査隊を送った…‥。

 以上がストーリー概略。新しくないが悪くもない。早速、始めるとしよう。

「ただいま」

 最悪のタイミングで弟帰還。マーフィーの法則を思い出す…。



同日「先読み警報」
 ゲームは後発調査隊のヘリがヘイムダルに近づくところから始まる。
「結構画面は綺麗だね。」
 うむ。とても中堅企業のジャレコとは思えない。
「ヘリ、帰れなくなるように破壊されそうだね、艦についた後で。」
 弟の予想通り、対空システム異常によってヘリは撃墜、主人公は脱出するものの仲間とはぐれてしまう。主人公は負傷した操縦士を見て動き出すが…‥。
「顔が見えないうつむき加減、あれはゾンビになってるね。」
 貴様、バイオ系ゲームは先読みするとつまらないことを知らないのか?

「だって、僕はやらないから。」

 相変わらず嫌なヤツだ。だが嬉しいことに操縦士は生きており、主人公は先発隊のメンバーと連絡を取って応急用具を探しに行くことになる。レオナルド(操縦士)、しばらく待っていろ。
「あーあ、こういうのは残していくと間違いなく殺されるね。」
 …‥弟の予想通りレオナルドは突然襲ってきた人型の怪物に襲われ死亡。安易と言えば安易なのだが、それ以上に弟に腹が立つ。



同日「医務室にて」
 結局、先発隊のラング大尉と合流し、医務室へ。
 半ば狂った医者により、この船が擬態できる怪物に乗っ取られたこと、それがアークの仕業らしいと言うことを教わる。
 しかし、直後に医者が怪物に襲われ…。

「あはは!なにこれ、さすがお兄ちゃんが買ってきたゲームだね!」

 …なんと、噛みつかれている肩と、怪物の顔に大きめの隙間が

 このゲーム、閉塞感・恐怖感を煽るのは上手いのだが、イベントの演出がどーしようもなくへぼい。
「ていうか、モーション全体がね。」
 言ってはならぬことを。
「いや、6800円も出して買った物の現実を見せたくて。」
 コロス。



同日「スコープ万歳」
 医務室で手に入れたスコープ。これがすごい。
 暗視・赤外線サイト・擬態している怪物の判別機能をそなえているのだが、これを利用するときは視点が変わり、好きな方向を見ることができる。
 つまり、バイオハザード系に多かったカメラ視点の不備による怪物の奇襲がなくなるのだ!
 曲がり角で、部屋に入って、いろいろな場所でスコープ。役に立つアイテムの発見、敵の警戒ととにかく大活躍。
 同時に、ほぼ総ての敵を警戒出来るがため、見落としていたときの驚きも尋常ではない。
 俺の心の中でバイオを越えた瞬間。
「またクソゲーを心でごまかす…現実をちゃんと見てよ。」
 黙っておれ、今心の中でバイオは死んだのだ。



3月1日「進行」
「それにしても、恐くないゲームだなぁ。」
 弟のことは無視するとして、かなり間が空いての日記にはわけがある。

 これ、面白い。
 階層ごとに際だった特徴を持つ地形、障害物を爆弾で破壊して進んでいく様は子供のころにあこがれた冒険を思い出させてくれる。
 …つまり、夢中で更新しなかったと言うことなのだが。
 恐くなくとも、冒険ゲームなら問題なし。腐海っぽい階やら、水没した階やらバリエーションは少ないがはっきりした差別化で楽しめる。それでいて軍艦である統一感。舞台設定・敵設定の勝利か。
「クソゲーって、やってるとメインじゃない場所で面白さを感じるときがあるよね。」
 …‥なにが言いたい。



3月2日「水没エリアにて」
 水没エリアもそろそろクリアのころ、先発隊の仲間と遭遇。二人でなにかやっていた模様。

「どうかしましたか?」(主人公)
「いや、なんでもないんだ。そうだな、マニング少尉」
「え、ええ。ほんとよ、
なんでもないの。」

 …なにかあったことは間違いない。

「そうですか、よかった。」(主人公)

 少しぐらい怪しめ。それにしても、演出は大抵空回りだ。
 まあ、最終階層がどうなってるかに今から期待して気を紛らわせよう。



3月4日「クリア」
 空回りし続けた、ストーリ部が「人間は自然を破壊するから全滅するべき〜〜」というありがちなボスによって究極の退屈度を演出。
 もちろん、ストーリー部分を除けば楽しいので問題ないが。
 かなり手こずり、ボスを撃破してクリア(このゲーム、各階層ごとに個性的なボスが存在している)。

 …‥おや?
 マニング少尉サイドの視点で再びゲームが始まる。なるほど、マルチサイトゲームだったのか。ストーリが悪いのをおいて考えると、ジャレコ、分不相応にがんばっている。

 ちょっとわかりにくいので解説するが、「フルポリゴン」「オリジナル作品」の開発にはかなりの費用がかかる。しかも、ジャレコはポリゴン多用のゲームを開発してきていない(つまり、研究費がかかる)。

 ジャレコに金が流れる当ては想像出来ないので、中堅企業のジャレコとしては会社の命運をかけてつくっているのではないだろうか?
 思いっきり売れそうにないので、不安になりつつも(続編が欲しい)ゲームを進める…。



3月7日「最後に」
 マニング少尉偏もクリアし、ゲームを終える。

シナリオ担当が違えばなぁ。

 ゲームは面白い。面白いが、シナリオ部がテンションを下げる。ただ、それでも損した気分にはならない程度に良作ではあった。
 マニア向けではあるが。無人島に流れ着いて、一人で冒険するような不安が存在している。
 普通のバイオハザード系に飽きた人なんかはいいのではないだろうか。
「モーションがおかしいけどね」
 お前は黙っていろ。せっかく、人がしっかり締めくくったというのに…。



「最終報告」
 ジャレコは潰れ、韓国の会社が併合。
 PS2で発売予定の続編はみごとなくなってしまった。
 このゲームを出さなければ潰れなかったかもしれないが、出していなかったら好きになることもなかったところが微妙。
 なんにせよ、この場でジャレコ・CARRIERスタッフに礼を言っておきたい。
 私には面白かった
(柄にもなく少し真面目だが、ゲームマニアにとって好きな会社が潰れることは本当に大きいものである)




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