武神の熱き魂を前に、またしても夢破れた修羅の旅。
愛とはかくも茨の道のごとく厳しく、海よりも深い覚悟をもって挑まねばならないのですね。
ですが天上におわす無双の神よ。
次々と与えられる試練の数々に翻弄され続け、ワタクシそろそろ挫けそうであります。

あれからしつこくも再びリセット祭りを敢行しておりますが、全くもって進展のきざしがみえません。
リセットする度登場する武将の数が目減りしているようにも思われてきました。

【多数の武将が同行者を求めている】という甘い誘惑に乗って訪れるも、売り出されているのは
袁紹・張角・董卓面白すぎるトリオ・ザ・総大将だったりして「ゆっくり見てってくんな!」という元気な店員の言葉もなんだか空々しく感じられたものです。ほんの一瞬でもラブロマンスを期待した自分を激しく叱咤。どうかすぐさま店の前でUターンしてしまったこの私をお許しください。

しかしそんなことばかりに気をとられてばかりもいられません。思い出したように再び呂蒙さんが顔を出します。相変わらず同行者絶賛募集中です。
油断しているとすぐに呂蒙さんの包囲網にかかってしまうこの緊張感、なんと表現すればよいのでしょうか。またしても電源からオフにしなければならないのでしょうか。
これほど想ってくれているのですから、もういっそ呂蒙さんと旅に出たらいいんじゃないかという感じではありますが、ここまで来たら引くに引けません。意地です。
絶対に例のリスト以外の武将とは修羅の旅には出かけないと心にそう決めたのです。

ですがこのまま続けていても、とてもじゃないですが目的達成できる気が致しません。あまりに武将遭遇率が低すぎます。
多少ロリコン的匂いを漂わせてはおりますが、月も恥らうとまで評された絶世の美貌ですよ。こんなお嬢さんと2人旅なら、普通押すな押すなの大行列ですよ。
一体この麗しい大喬の何が不満なのかと、一人一人の胸倉掴んで問いただしてやりたい気持ちで一杯です。
こうないがしろにされては、旦那の孫策も黙っちゃいま…せ……


…はっ!もしや、大喬さんが人妻だからですか。


なんですか、みなさん一応遠慮してたりするのですか。
陸遜がやけに素っ気無かったのは主の妻という身分に恐れをなしたからですか。いりませんよそんな奥ゆかしさ。
システム的に無礼講を許されたとはいえ、染み付いた上下関係はそう簡単には拭い去れないものなのでしょうか。やりたい放題の仮想世界とはいえ、礼や義を重んじる武将らにとって人の女に手を出すのはやはり気が引けるものなのかもしれません(ガンガンにアプローチしていた呂蒙さんは一体)

しかし、これは困りました。
大喬が無理ならば別のキャラを…と考えたところで、他の女性キャラも大喬同様すべて誰かかれかの嫁さんではありませんか。
貂蝉という手もあるにはありますが、私は彼女の操作が恐ろしく下手でどうやっても確実に苦戦すること請け合いなので、通常の無双よりも更に過酷な修羅モードなんぞとてもじゃありませんが不憫で連れて行く気になりません(山賊ごときに貂蝉を討たれてたまるか)
かといって、このまま修羅モードの幕を閉じるのはあまりに寂しいエンディングです。

さんざんない頭を捻っていたその時、忘れかけていた存在を思い出しました。
猛将伝のメモリーカードの奥の奥に収納され埃を被っていたエディット武将「朱雀」です。
ええ、はい、無双チャンネルシリーズの主人公として我家に住み込んでいる朱雀様のエディット武将バージョンです。

一度作ったっきり、そのまま放置していたので(酷い)まるで育っておりません。パラメーターまんま初期値です。
小太刀と似たような武器も技もないのでヤケになって設定したのか、モーションは何故か馬超でした。通常攻撃の速さと派手な無双乱舞に全てを賭けたのだと思われます。

風も操れない上に慣れない武器まで持たされた戦ビギナーという心許ないにもほどがある朱雀様ですが、他に出陣できる女の子はもうおりません。可哀想ですが、勇気と諦めを持って旅に出ていただきましょう。どこに行っても苦労させられる朱雀様ごめんなさい。貴方はそういう星の下に生まれてしまったのです。

とりあえず様子見ということでいつも通り始めた、朱雀様の修羅モード。
まあ一発目ですから、期待はしておりませんでした。
どうせまた毒玉が眠っているとか呂蒙が同行者を求めているとかに違いありませんので、すぐにリセットするつもりで身構えておりましたが、



【張遼が同行者を求めて旅をしているらしい】



いきなり真打登場です。


会いたい武将ランキング1位の座に堂々とおさまっている泣く子も黙る張遼文遠。
しかし散々焦らされまくったこちらとしては、黙るどころか今まで一体どこに引きこもっていたのですかと声を荒げたくなるというもの。
もしやうちの猛将伝修羅モードだけ張遼様のデータ抜けてんじゃないだろうな?!と有り得ない言いがかりをつけたくなる位、これまで出会う機会に恵まれませんでした。
それが朱雀様が旅を始めた途端に(しかもミッション1で)出現するなんて張遼様、あからさますぎです。そんなに朱雀様に会いたかったんですか。

今まで苦労が多かっただけに、ついつい肋骨が折れる勢いの突っ込みを心の中で入れてみたりしてしまいましたが、愛すべき張遼様との遭遇は願ってもないことです。つーか、すっごい待ってました。心よりお待ち申しておりましたよ張遼様!ほんと焦らしすぎ!髭引っ張っちゃうよミスター!(やめてあげて)
急かされるようにダッシュでその地へと乗り込み、張遼様が販売されている店へ突撃しましたが急ぎすぎて呼吸が乱れております。とりあえず落ち着かなければ、と深呼吸。大きく息を吸ってー吐いてー。冷静に冷静に…

このチャンス逃したら立ち直れない

修羅の旅と一緒にこれまでの痛々しい失敗の数々を先代の大喬先輩から引き継いでしまった朱雀様。ミッション1から相当テンパってます。
しかしそれも致し方のないこと。勝負はこの店の前から始まっているのです。
たかが買い物くらいで…とあなどってはいけません。
実際過去に存在するのです。
瀕死の状態で店に赴き5000円の肉まん(所持金5500円)を買って体力を回復するつもりが、手が滑って700円の張角を購入してしまったという忌まわしい事例が。いくらなんでも手が滑りすぎです。悔やんでも悔やみきれません。身を削って教祖買い取りとは、心の奥底に根付く黄巾党の信者の仕業でしょうか。黄天いま立つべしとか言ってる場合じゃないですよ張角様。
とにかくもう二度とそんな失態は許されません。夢にまでみた張遼様との修羅モードが目の前に控えているのですから。
初めてコントローラーを持ったあの時(いつだ)のように、十字キーをそー…っと操作。ここで間違って点心なんぞ買ってしまった日には死んでも死に切れません。
稀に見る緊張感に包まれながらカーソルを張遼様に合わせます。もしこの時、後ろから威勢良く肩なんか叩かれていたら私はそいつを本気で殴っていたことでしょう。
手に汗まで握った甲斐あり、無事張遼様購入です。いえ、購入なんてお言葉は張遼様に失礼ですね。わずか700円という金と引き換えに身を投げ出していただきました(余計失礼)

「ほう乱世を旅するとは、剛毅だな」

朱雀軍、士気上昇 超上昇 急上昇。

まだなにひとつ交流していないというのに、台詞一つで自分死にそうであります隊長。
久し振りにお聞きしたそのお声は相変わらず可愛らしくかつジェントルで、ああ、わが生涯に一遍の悔いなし…!

と、ついついそのまま天に召されるところでした。やはり張遼様は危ない。危険な男です。
高鳴る胸の鼓動を必死で抑えつつ、いざ戦場へ!

しかし、無駄に高いテンション+手に汗かきすぎてコントローラーベタベタという、あまりに浮かれきったこの心身状態ではまともに戦いぬいてゆける気がしません。
ただでさえ弱っちい朱雀様の能力です。地に足つけてゲームを進めてゆかなければ、建国戦の前に命が尽きてしまうかも知れません。
普段ではありえないうっかりミスを懸念した朱雀様は、頭を冷やす意味も込め、しばし座禅を組むことにしました(超本気)
とりあえずじっとり湿った手を乾かし、心にまみれた欲をそぎ落としてから取り掛かりましょう。
張遼様との旅は、自分との戦いです。
果たして私は己の煩悩を上手くコントロールすることが出来るでしょうか。
いざ出陣。





この時とんでもねぇテンションでした(これでも頑張って冷静に書いた方)