厳しい勾配を全身汗まみれになって登る。ザックの重さがこたえる。 喫煙のせいで心臓は早鳴り、呼吸が追いつかない。

「あとどれ位登れば」と考えながら、体力が限界を超え思考が止まりそうな頃に、あたりが急に明るくなってきた。

足元だけを見ていた視線を上げると、目に飛び込んでくる光景が、今までの心にのしかかっていた重さをすべて消し去ってゆく。

この瞬間そのものが至福の時。この感動を人に伝えたい。