戸隠山 1,904m 蟻の塔渡り 尾根縦走 2007年8月22日 難易度 高
ルート解説 : 天の岩戸伝説で有名な戸隠山は、古くから修験者や忍者の修行の場でした。戸隠の奥社の杉並木の参道を40分ほど歩くと奥社に着きます。この森はバードウォッチ

ングでも有名な所。神社の裏に入山口があり、いきなりヤセの尾根急登板が始まります。このルートは史跡が多く古くから人が登ったことが伺えます。1時間程登ると百間長屋という祠

が祭られた岩場があります。この先が核心部の岩場。垂直に近い岸壁に鎖がかけられた所を10箇所近く登ると最大の難所、蟻の塔渡りと剣の刃渡り。バランスを崩せば一気に谷底

に転落する正に命がけのルート。最後に鎖場をもう一つ登ると平らな展望台のような八方睨みです。ここまで2時間半。戸隠山頂はもう少し先。八方睨みからはもう一つの難ルート

戸隠西岳へのルートもあります。屏風のような戸隠のヤセ尾根を木の根をまたぎ、急なアップダウンを繰り返し九頭竜山を越えて2時間で一不動非難小屋です。ここの分岐を下ると

2時間で戸隠牧場に下ります。分岐を登ると戸隠連峰最高峰、高妻山までは3時間のきつい登りです。下の写真は2007年6月21日撮影

戸隠奥社入口−参道を40分−奥社裏入山口−きついヤセ尾根の登り1時間−五十間長屋 百間長屋−10箇所以上の絶壁のクサリ場1時間−蟻の塔渡り−ナイフリッジを渡り10分

−八方睨み−5分−戸隠山山頂−ヤセ尾根を1時間−九頭竜山−きついアップダウン1時間−一不動非難小屋−岩だらけの急坂とクサリの岩場を30分−滑滝−沢沿いの道1時間

−戸隠牧場 バスで奥社まで5分 全行程 6時間半

23日はウィーク

デー。

朝6時に戸隠奥

社に着くと広い

駐車場はほとん

ど車はありませ

んでした。

この日は親友の

福原くんと2人。

私の友人は危険やスリルが大好きで難易度の高い山しか興味を示しません。みなさん、友達は選びましょう。

それはともかく、長い参道を延々3キロ歩き随身門を越えたあたりから樹齢数十年以上の立派な並木が続きます。

途中で昨日高妻山をやり今朝八方睨みまで行き、一不動を下りてここまで参拝に来たという九州の女性が話しかけて来ました。

結局平日のこの日会ったのはこの女性と山の上に居た猿の群れだけでした。

参道を30分歩くと、戸隠の岩峰に張り付いたように奥社が建っています。ここの手水場で水を補給して本日の安全を祈願。

入山口は社務所の手前の左側です。入山届けを書くカウンターと地図があります。

入山届けを書きさあ出発!6時35分です。いきなり急登が始まります。傾斜は全くゆるむことなく30分以上見通しの効かないつらい登りです。

視界が開けて戸隠の稜線が見えてくる頃最初の休憩ポイントの大岩に到着。吹き出す汗をぬぐい長袖シャツを脱ぐともうずぶ濡れ。ぶよが集まってくるのでペパーミントのオイルをたらし、

たばこを吸って追い払います。充分すぎる休憩を取って歩き出したのは7時15分。

右側に戸隠の稜線を見ながら相変わらずきつい道を登っていくと10分ほどで五十間長屋に着きます。垂直に切り立った岩壁の下部が削り取られて休むのに最適なスペースがあります。

かってはここから谷に下りたのでしょうか? 赤いペンキでX印。登山道は←のとおり左の端の岩をまたいで行きます。

最初の休憩ポイ

ントの大岩。

切り立った岩峰

が迫力です。

五十間長屋

見渡しが良く、

雨も凌げるので

ここで休憩する

のも良い

熊笹の根が足に絡む歩きにくい細い道を5分ほどで百間長屋に到着。

えぐられた岩壁の真ん中にお地蔵さんが祭ってあります。

目の前には西岳へ続く尾根と飯綱高原が広がっています。

大勢が休めるスペースがある。

ここから先は鎖のかかった絶壁

登りが始まるのでちょっと休憩。

きっと昔の人が削ったんだろうけど

大変だったろうな等と空想する

福原くん。

歩きにくい笹薮と木の根のアップダウンを数分歩くと、最初に現れるのは

高さ5メートル位の大岩。鎖が架かっていて登れと言っているようですが、

ルートとは関係がないので景色を見たい人か勇気のあふれている

人はどうぞ。この手前には秘密の祠がありますが見つけた人は幸運。

ここで気持ちが萎えたら登れなくなるので何も考えずに行きましょう。

次はV字状になった垂直に近い岸壁。最初左の鎖に取り付いて登り、

横ばいして右の岸壁の鎖に飛び移るように登ります。(下左)

やっと平らな尾根を歩くとすぐに5メートルの鎖(下中)

その先は連続して同じような鎖場がいくつか続きます。

正確には数えてませんが鎖場は10箇所以上あります。

しかも上に行けば行くほど長くなり高度感も増します。

やはりこれは登山というよりロッククライミングです。

この山はよく知らないで仲間に連れられてくる初心者に会います。

やはりこれは修験者の修行場だ!ここまで2時間。

写真では分か

りにくいですが

傾斜はどれも

70度から90度

管理人は高所

恐怖症。

かたや相棒は

なんか楽しそう。

最後の鎖場なんて長いし絶景だし、下を見れば身動きできなくなるほど。

やっと休める岩場にたどり着いたと思ったら大岩の向こうに本日最大の難所蟻の塔渡り。

全長20メートル、幅30センチ位しかない両サイドが切れ落ちた正にナイフリッジ。

そういえば看板にも落ちたら帰って来れないと書いてあった。

途中で木の生えた切り欠きがあり、その先は剣の刃渡り(!)といってさらに幅が狭くなっています。

ここで食べ収めになるかもしれない(?)おにぎりを食べて休憩。

それでは挑戦だ!ということで相棒が渡り始める。

私は手前右の岩影にある鎖を降りて巻き道へ。この巻き道だって結構怖い!

上右が剣の刃

渡り。

写真のナイフリッ

ジの下に巻き道

が見えます

中央は巻き道に

かかる鎖。

右が剣の刃渡り

に出る登り。

どちらも限りなく

垂直に近い

岸壁です。

ナイフリッジの股

擦りが嫌な人は

こちらへ

蟻の塔渡りが終わるときつい登りの後に最後の垂直の鎖場があります。やっと登り切ると急に視界が開けてそこが八方睨み。

案内板や石塔があります。この日は半曇りで時々雨が吹き付けて来ましたが西岳(上右)や高妻山(上左)も見えました。

八方睨みの端に戸隠西岳へのルートがあります。

覗いてみると垂直に近い下りの先の稜線上に道が見えます。見ている限りは行けそうな感じですが、実際は非常に難度の高い

危険なルート。1峰、2峰、3峰と連なる岩塊はクライマーの世界。

さて、戸隠の山頂は八方睨みではありません。さらに5分ほど稜線を行くと看板が建っている小さなスペースが山頂。

振り返ると台形の八方睨みが見えます。(2段上右)稜線は写真のようなヤセ尾根のピークを越えて約1時間で九頭竜山の

ピーク。さらに岩と木の根のアップダウンを1時間歩いて一不動の非難小屋です。途中物音がして見ると猿の群れが居ました。

一不動には非難小屋がありますがトイレがないので小屋周辺で用を足す人が多くかなり臭います。

深刻な環境汚染になっていますので、ぜひ携帯トイレを持参して非難小屋へは緊急時以外は泊まらない事。

ここは高妻山と戸隠牧場に下る分岐点。高妻山は似たようなヤセ尾根を4時間弱登ります。

一不動から10分ほど下ると氷清水という名水が湧き出ています。岩から染み出しているので汚染の心配もない。

さらに下ると40度くらいの岩場の斜面の鎖場をトラバース(横切る)。その先に滑滝というゆるい岩場の滝を鎖で下ります。

後は沢沿いの比較的整備された道を1時間半で戸隠牧場に着きます。なんとか無事に戻ってきました。

ぜひみなさんもこの緊張を味わいましょう!

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