(( パティシエなにゃんこ ))
はじめに そこに構える一つのケーキ屋、ひよこ館。 主人公――矢口翔一はそのひよこ館の長男で、若くからケーキ職人――パティシエを目指し、 ひよこ館の店長である父親と共に、お店を盛り上げていました。 ですが、とある理由により2年前から親元を離れ、一人学園生活を過ごしていた翔一。 ある日、父親から「腰をやっちまった。ひよこ館を頼む」という一本の電話が。 そして親父の代わりにケーキ職人――パティシエとして働き始めます。 そこで翔一を迎えたのは―― 久しぶりに出会う幼馴染み。 父親の代わりに働いていた先輩パティシエール――女性ケーキ職人。 新しく出来たライバル店、ショコラ・ル・オールの娘。 そして謎の猫魔法使い。 ケーキ屋が一番忙しくなるクリスマスを目前に、翔一の新しく懐かしい生活が始まります。 各種システム パティシエであるところの主人公はとある事件がもとで、夜になると猫になってしまうハメに。猫に変身してしまうことは皆には内緒のまま、昼はケーキ屋の店長代理としてお店のやりくりに奮闘する、というのが物語の初め。 基本はAVGで、シナリオ上、夜には猫に変身してしまうほかはごく普通のシステム。登場人物たちのケーキに対する「好き」という気持ちがよく伝わります。ケーキを通じてお客と通じること、学ぶこと、仲間と頑張ったこと、失敗したこと、一緒に笑ったこと、そういった日常の在り様はテーマがゲームに見事に調和している好例だと思います。 ストーリーが特別感動というわけではありませんが、テキストがとても上手で、キャラクター達のドタバタやギャグがどても躍動的で、素直に楽しめます。 ヒロイン達の一人一人が独自のケーキに対する主張や特技、趣向というものがあり、それぞれがキャラの個性に一役かっています。洗練されたシナリオを「読む」ではなく、その場の日常の一コマそれぞれを満喫する萌えゲーとして、非常に好感の持てる作品でした。 音楽も、ギャグ的なものからシリアス的なものまでバラエティに富み、声優の巧みさとあいまって雰囲気の良いゲームに溶け込んでるように思えました。何か個性があるわけでもないですが、丁寧につくられたことがよくわかります。OP、EDは特別歌がうまいわけではないのですが、動画演出など、丁寧に作られていると思えるので、これもトータルとしては◎。 ゲーム時間も5時間前後と、程よい長さ。あえて欠点を言えば「パティシエにゃんこ」というほどには猫という設定を活かしきれていなかった点と、システムがやや重たく感じた点。まあこれは推奨スペックが高度のせいか・・?いずれにしても高レベルでまとまった久しぶりに満足のいくゲームではありました。
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