((君が望む永遠 ))

グラフィック★★★★☆
サウンド★★★★
シナリオ★★★★☆
システム★★★★★
総合80点


はじめに
比較的新しいブランド、age(アージュ)。その4作目にあたる。ageを一躍有名にし、2001年度を代表するタイトルの一つであり、業界を騒がせた問題作。

ストーリー

高校も3年の夏、主人公鳴海孝之は涼宮遥から告白を受ける。 以前から密かに孝之を想い続けていたという遥。孝之は二人の共通の友人でもある速瀬水月の紹介の もと、遥には数度会ってはいるものの、彼女とそれほど親しい仲ではなかった。それでも傷つけたくないという思いから 告白を受ける孝之。しかし完全に納得した訳でもなく、親友の平慎二や水月のお節介に嫌気を感じていた孝之は次第に遥を疎ましく感じるようになる。そのことで彼女を傷つけてしまった孝之は、後悔と共に、遥の内面に触れるようになり、彼女と真剣に付き合うようになった。
お互いを知るにつれ、絆を深め合う二人。彼らにとって幸福な時間を過ごすようになっていく。 同じ大学を目指し、二人受験勉強に打ちこむようになったある日、遥と駅前で待ち合わせをしていた。 待ち合わせに向う途中、水月と会い、誕生日プレゼントをねだられる。やむなしにプレゼントを渡して遅れながらも約束の場所に辿り着く孝之。しかし彼女はそこにはいなかった。
代わりに目の前に広がるのは無残な交通事故の残骸。
そして走り去る救急車と残されたおびただしい血の痕。
事故調査をする警官が事務的に報告する、現場状況。
彼が口にした被害者氏名。
孝之が最後に耳にしたその人の名は・・



各種システム

ストーリーは2部編成で、第二部は第一部の3年後という設定です。攻略可能なヒロインはやや多く8人。孝之に想いを寄せる、引っ込み思案でおとなしく絵本作家になることを夢見る少女、涼宮遥。 主人公達の親友であり、水泳に関しては全国区、主人公と遥を応援しながらも自らの孝之への想いを胸に秘めた速瀬水月。遥の妹であり、明朗活発、水泳を嗜み水月を尊敬する涼宮茜。 孝之のバイト先の同僚でちびっこ外見ながら超絶毒舌の少女、大空寺あゆ。おなじくその同僚のドジでときに話し方が怪しい玉野まゆ。 孝之の後輩で後に看護婦を勤める穂村愛美。同じ病院に勤める元気な看護婦、天川蛍。同じくその同僚の享楽主義の星乃文緒の8人。ただしお話上、メインで語られるのは遥と水月で、それに続いて茜といった優先順位でシナリオが語られます。ほかのキャラはむしろ外伝的な扱いとなるといった感じ(それでも相当長いですが)

ネタバレになるので多くは語れませんが、世間で騒がれるいわゆる萌えゲーと呼ばれるゲームが氾濫する中、厳しい現実に直面し、困難な選択を迫られるゲームです。数々の取捨選択の結果、もたらされるものが決して幸福なものでなくとも、そのことに意味を持たせる内容でもあります。
どうにも説明が難しく、自分の文章力では表現しきれないのですが、今までにない、たとえあったにしてもここまでの完成度は稀と言える、そんな愛憎の表裏を描くタイトル。
数々の君望プレイヤーに言われている、本編の主人公である孝之の評価、ヘタレ。 優柔不断を絵に描くのが例えピカソやゴッホでもここまで巧く表現できねぇと言わんばかりの主人公。二人のうち片方に別れを告げなければならない状況で、本人が一端決意しても、いざ本人を前にまた何も言えず、再び悩み、苦しむ。再び心に決めてもちょっとしたことで想いが揺れる。 こんなジレンマを幾度となくくり返す主人公にユーザー達はかなり腹を立てているようです。 確かにゲームの主人公として見た場合、これほどストレスの溜まる主人公もめずらしい。だた実際問題、「例えこの後後悔することになっても、誰も傷つけたくないし、自らも傷つくのはいやだ」という感情は誰にでも働くものはないでしょうか。決断を後延ばしにして後悔するなどということは現実社会にはありふれた話ですし、その意味で彼はまっとうな人間である、と言わざるを得ない気がします。 主人公だけでなく、周りの人達の様々な思惑は決して美しいだけのものではなく、人ならだれでも持ちうる暗い側面がある。そのことを考えさせるシナリオです。
総プレイ時間は初回クリア18時間、2回以降10時間といった感じ。恐ろしく長いです。 が、相応のシナリオは期待してもいいと思いますが。
システムも良好で、特にエフェクト関連が細かく、技巧をこらしているのが感じられます。 読み返し機能も自分がいままで見たなかでは最も充実していると明言できます。 声優も非常に高レベルで、微妙な演技が要求される本作にあって遜色ない仕事ぶり。 サウンドもゲームを盛り上げるのに充分な役割を果たしています。OP曲もよかったのですが、驚いたのはむしろその導入部とOPのアニメ。ここまで衝撃を受けるOPも初体験モノ。

「恋愛は決して奇麗事ではない」
それだけ聞けば陳腐なセリフですが、このゲームはそんな言葉を思い出させます。ゲーム故に避けてきた厳しい現実(ここでいう現実とは辛い意味での現実で、実際に起こりうる意味の現実性ではありませんが)、ゲームだからこそ出来た細かい描写。敢えて正面からそのテーマに望み、そして結果を出したAgeはまさに尊敬に値するところ。作品全体を通しても粗はなく、非常に丁寧に仕上がっており、このことは他のメーカーも見習って欲しいものです。

一部と二部ではハッキリ別ゲー
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