はじめに
古参のメーカー、Ｄ．Ｏのタイトル。様々なタイトルを発表した「加奈〜いもうと〜」などで有名な大手のブランド。シナリオは山田一、原画は福永ユミ、ＢＧＭやテーマ曲はI'veが担当。ＢＧＭまでI'veが関わるのは珍しいですな。

ストーリー
沢村司は孤高であった。家族の温もりを知らない彼にとって信用できるのは自分だけ。他人と適度な距離を置くことを常としていた。ある日、彼はバイト先の裏路地で一人の行き倒れの少女を拾った。王春花。言葉も通じぬ中国の少女は彼にとって「最も関わってはならない」人間であった。しかし結局その少女と同棲するハメになった司であったが、そんな彼の周りに一人、また一人と集まる人々。彼らには共通点があった。それは「家族」の欠落。かくして彼らは各自の思惑を込めて共同生活をすることに。そんな中、元敏腕企業戦士、広田寛は一つの妙案を提示する―――

各種システム
ＡＶＧです。あえて区分するならホームドラマ系ＡＶＧ。システム的にはさして問題ありません。設定項目は少なめですが、AirやKanonなどに代表される古くからあるタイプで簡素です。とくに不具合も報告されてないようです。あえて問題があるならシナリオの誤字、脱字が若干目立つ点で、修正ファイルを提示して欲しいですが、今のところ無いようです。セーブは２７箇所。

家族を構成するのは７人。主人公であり長男役、本人はかなりの不本意ながら関東系のツッコミ術の才能（主に対寛専門）を有する高屋敷（沢村）司。父親役、飄々として実態を掴ませない元敏腕企業戦士で多彩なスキルを持ち、普段は司からキ○ガイよばわりのボケ担当、高屋敷（広田）寛。母親役、一人では生きられず他人に依存するタイプながら、集団の中では自分の役割をこなすスキルをもつボケ系お姉さん、高屋敷（板倉）真純。長女役で、実質の家主、高屋敷家の影の支配者（？）、主人公と同じ排他的だが、非常に攻撃的、毒舌系ツッコミ担当、高屋敷青葉。次女役、主人公と過去の関係があり、金を集めることだけを生業としている「便利屋」で、情報通だが人見知りする寡黙な客観系、高屋敷（大河原）準。三女役、中国の地方から母に会いに危ないルートで海を渡ってきた、天真満欄、常に笑顔の楽天的ボケ系(←ヒドイ）少女、高屋敷（王）春花。末女役、家族に強い憧れをもち、誰にでも好意を抱き、家族計画を維持するために献身的に頑張る、抜け目だらけのドジ娘、高屋敷（河原）末莉。それぞれが家族についてなんらかの因縁があり、故に家族を欲するもの、嫌うものと様々な思惑を秘めています。またこれらのほかにも物語りの基幹にかかわるキャラが多数（というほどではないか？）登場し、またそろって個性的ｗ

音声はありません。しかし時間のかかるゲームなので必要無いかも。ＢＧＭは２０曲前後でやや少なめながらもいい曲ぞろいで、使われ方も巧いです。ＯＰ曲、ＥＤ曲も非常に感慨部深いもので、家族計画というテーマに非常にマッチします。効果音も上々、ことサウンド面に不満はありません。

絵柄はさほどクセはありませんが、やや顎が尖っているのと色が若干淡い印象があります。万人向け。シナリオは序盤が家族計画が提案されるまでの主人公やその周りの人達の流浪生活が描かれています。主人公の周りに次々に人が集まる様はブレーメンの音楽隊を連想させます、本人嫌がってますが（笑
中盤は家族計画が発動してからの家族としての日常が描かれ、終盤で家族計画の崩壊と各ヒロインごとにお話が進みます。テーマがはっきりしているので非常に飲み込みやすく、またそれぞれのキャラクターの家族観とその原因が語られており、シナリオとしての枠組みはしっかりしているようです。序盤〜中盤はギャグが中心で、終盤からはシリアスへ変遷しますがいずれにもテーマ性といったものがはっきりと見え、整合性がついているので違和感は感じません。プレイ時間は１０時間ほどですが、終盤に入るまではほぼどのルートも一緒なので再プレイからは３時間くらいでしょう。シナリオ、ＢＧＭ共に極めて優れたゲームだと言えます。２００１年度屈指のゲームと言っても過言ではないと思われますよ。やはりエンディングはハッピーエンドの方がよい、と改めて感じる一作です。


家族計画


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