((銀河英雄伝説Y))


グラフィック★★★★☆
サウンド★★★☆
シナリオ
システム★★★★☆
総合73点


BOTHTECより、小説を元にゲーム、OVAなど広くマルチメディア化を果たした人気シリーズ銀河英雄伝説、略して銀英伝。そのゲームPC版第6作目がこれ。

人類は宇宙にその生存域を広げて幾世紀、宇宙暦8世紀には3つの勢力が存在していた。絶対不可侵たる皇帝が支配する銀河帝国、帝国による弾圧を逃れた人達により建国された自由惑星同盟、両者の間で中立を保つ経済立国フェザーン自治領の3者である。帝国と同盟の争いは150年近く続いており、この状態がこれからも変わらずに続くと誰もが疑いを持たなかった。そしていま、宇宙暦796年、帝国暦487年の初頭、二人の英雄の登場を迎えた。帝国に常勝の天才、ラインハルト・フォン・ミューゼル(ローエングラム)。同盟に不敗の魔術師、ヤン・ウェンリーである。彼らの登場によって、銀河の歴史が加速してゆく。

本格的な宇宙戦SLGです。小説、銀英伝で登場する名だたる勇将、智将を操り、数万、数十万とという艦隊を率いて帝国または同盟の陣営を勝利に導くのが目的。 本作では小説内の実話に基づいてアムリッツア会戦、アスターテ会戦など多数のシナリオが用意されており、その布陣(登場する提督、艦隊の位置)もあらかじめ決定されています。布陣内容は小説の史実に忠実なヒストリカル、架空の設定がされたバリアントが用意され、もしこの戦場でこの提督がいたら、など小説では描かれなかった状況で戦闘を楽しむことが出来ます。
個人的に残念なのは、銀英伝Yでは、完全に戦闘に特化したSLGになっていること。 サターン版やV、Wなどのように戦略面は一切ありません。そのためプレーヤーの出来ることがあまり多くないのも事実。あらかじめ用意された戦場と布陣でしか戦闘ができないのもマイナス。
肝心の戦闘内容やルールでも少々納得のいかない理不尽な点も見られます。たとえばいわゆるハメ技が存在することにより、COMを圧倒することが出来るのはいかがなものかと。提督の能力を左右する積極性なども性格によって有利不利が明らかになるほか、性格によっては凡百な提督でも有能な提督に勝てるというのも微妙。戦術の良し悪しで決まるならいいのですが、性格だけで正面から戦闘していれば勝ててしまうのはやはりバランスに問題ありかと。このため、小説やそれまでのシリーズでは明らかに同レベルにある提督間にもあきらかな差が生まれてしまっているのも残念なところ。

本作では、ネット経由での対戦も可能で、そのための機能もふんだんに盛り込んでいます。
戦闘は汗握る秀麗なムービーで流され、戦場を彩ります。もちろん設定でカットできます。
BGMは銀英伝シリーズではおなじみの本格クラシック群。ボレロ、アイーダ、ワルキューレなど厳かな銀英伝らしい盛り上げに一役かうことでしょう。
欠点もあるものの、トータル的にはよくできた作品で、シュバルツシルトシリーズと並んで期待される宇宙戦艦SLG。次回作におおいに期待!