(( 21  Two-One ))

グラフィック★★★☆
サウンド★★★
シナリオ★★★★
システム★★★
総合72点


はじめに
新進ブランド、bazilの二作目にあたるタイトル。

ストーリー
少年は母親を病気で失った。静かに息を引き取る母親に少年は無力だった。少なくとも彼自身はそう信じていただろう。そして彼は医者になることを決めた。どんな病気にも打ち勝つことのできる無力ではない医者に。
少年が青年になる頃、かつての少年はかつての願いを叶え優秀な医者になることができた。だが彼を待っていたのは回避することの出来ない「死」という現実。かつての理想と残酷な現実の狭間で、医学と自分への自身を失っていく。ある日、院内で殺人事件が起こる。おりしも第一発見者であること、また事件を担当する刑事が旧知であったこともあり彼は刑事の協力者という形で殺人事件の探求に乗り出すことになる。

死ぬということ、生きるということ、限りがあるということ、永遠ということ。
そして、人間であるということ。
まだそれらの意味すらも彼は知らない・・・


各種システム
AVGです。サスペンス系ACGといってもいいでしょう。選択肢を選びつつ事件の真相を突き止めることが主人公の目的になります。普通のAVGと異なる点は人物信頼図や相関図なるものがあり、誰を信用し、だれを疑うかによってストーリのフラグが違ってきます。またそうしてゲームを進めると登場人物達同士の背後関係が明らかになっていきます。ゲームの趣旨とシステムがこの点、よくマッチしていると言えます。シナリオのフローチャートも存在し、現在自分がどういうルートを通ってるか確認もできます。探偵モノとしての基本は押さえてあるようで、謎や布石、人物の相互関係はうまく練られているようです。だたこの話の根底にあるテーマが生と死、さらに不死伝説でも有名な人魚にまつわる話も出てきているのでこれを受容できるかがこの作品の評価を二分する要因の一つであると考えます。
探偵モノとしての手順は踏まえているものの、恋愛モノとして見た場合、ある程度の限定があります。もともと医者としての主人公の目的が殺人事件の探求(の協力)と彼の心理の根底にある生と死について、また医者の存在理由と価値、その可能性を知ることが主体となるので、色恋ざたは二の次・・というかお話の副産物的なものとして成立しています。ここも評価が分かれる所。

音声はありません。それほど長い作品では無いですが、プレイ速度は快適と言えるでしょう。BGMは良好ですが、一部場面を間違ってるようなBGMの使われ方をしているのでそこはマイナス。サスペンス的にはよい曲だと思います。OPとEDに歌が入ります。ムービーにもなかなか見応えがあり歌もよく合っているように感じるのでこの辺はプラス。
システム的に不安定です。プレイ中しばしばフリーズすることがあり、若干煩わしく感じます。一方、各種設定は概ね良好です。フォント関連の設定が特に充実しているようです。

テーマが生と死について語られる作品は古今数多く存在しましたが、主人公が医者の立場と言う事で本作には現実味と説得力があります。医者という死にも近い立場でありながら自己の医者としての存在意義について葛藤する様はなかなか堂に入っているようで。探偵モノとしてドラマや小説などと異なる点はやはりだたお話を見るだけでなく、自分の視点に立って繰り返し、また異なる角度から謎の追求に従事できる点でしょうか。これこそゲームのアドバンテージだと感じます。
主人公の幼馴染み兼看護婦、芹


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