
制作第40話から第49話まで
制作第40話 「勇気ある戦い」 1968年6月23日放送(放映第38話)
脚本 佐々木守 監督 飯島敏宏 特殊技術 高野宏一
バンダ星人
自分の星の物資を使い果たしたので資源を求めて地球にやって来た。宇宙ステージョンのみの登場。
ひょっとしたら宇宙ステーションもクレージーゴンも自動操縦でバンダ星人自身は地球に来ていなかったのかもしれない。
宇宙ステーションはスペリウム爆弾によって爆破された。
名前の由来は「パンダ」から。(関係無いじゃん)
ロボット怪獣クレージーゴン
身長 42m 体重 3万t
交通ニュースで渋滞している地点を調べ、霧を発生させて車を襲っていた。
宇宙ステーションが破壊された後も活動し続ける。額部分から光線を撃つ。
エメリウム光線もアイスラッガーも効かない強敵だったが、ミクロ化したウルトラセブンの体当たり攻撃を受けて倒された。
名前の由来はクレイジー(狂った)から。劇中では単に「ロボット」と呼ばれ続けた。
物語
心臓病の手術を控えたオサムに会いに向かうダン。一方、霧の中で車が消失する事件が起こる。
感想
特撮部分が充実しているのに比べて本編部分が弱いのが気にかかる話。
因みにアンヌ隊員の知り合いが事件に巻き込まれる第4弾。
心臓病の手術を控えたオサム。ダンが来なければ手術は受けないと駄々をこねる。
しかし、ダンは宇宙人のロボットと戦っているので来られないのは当たり前。ダンがいなければ犠牲者が増えてしまう。
オサムの恐怖は分かるが、ただのワガママにしか見えなかったのは残念。
同じ題材なら『ウルトラマン80』の「少年が作ってしまった怪獣」の方が少年の心理描写は上手かった。
ダンが来られなくてふてくされるオサム。何故そこまでダンに拘るかも説明不足。
似た展開だった『ウルトラマンレオ』の「泣くな! おまえは男の子」では、おおとりゲンは梅田トオルの父親代わりになると言っていたし、
二人の関係はおおとりゲンとMACより長かったので、おおとりゲンがMACの任務を優先させた事に梅田トオルがふてくされるのは分かるのだが……。
オサムに人間の科学を信じようと説得するダン。
しかし、劇中ではオサムにとっての科学(手術)は終始怖いものとして表されていた。
ダンは約束通り来るが、オサムがその事に気付いたのは手術の後。
出来れば手術の前にオサムはダンが来た事を知り、ダンが必死に宇宙人のロボットと戦っている事、科学(手術の先生)を信じる事に気付いてほしかった。
ウルトラセブンはウルトラ警備隊の武器(科学)と力を合わせて敵を倒したから良かったものの、オサムの描き方が不十分なのが気にかかる。(オサムは勇気を出していないように見える)
そこは子供を主役に据えた第2期ウルトラシリーズの方が上手い。
バンダ星人の事をうっかり口にしてしまうダン。
細かいところだが、ダンはハヤタ隊員と違ってウルトラセブンの記憶を持っている。
クレージーゴンを攻撃するアンヌ隊員。何故かウルトラガンではない。どうして?
怪我の手当ての為に病院に来たとオサムに思われたくないと言うダン。
しかし、ラストでは車椅子に乗るほどの怪我だった。素直に治療するべきだと思う。
第一、オサムを傷付けたくないから自分の怪我を放っておくと言うのは優しさを勘違いしている。
今回、戦闘シーンは見応えあり。
又、ウルトラセブンが1話に2回登場するのは「ウルトラ警備隊西へ 後編」以来。
本編部分はかなり不満が残るが、最後のクレージーゴンの残骸は格好良かった。
本作は佐々木氏と飯島監督の『ウルトラセブン』最終作。飯島監督作品はやはり戦闘シーンが面白い。
飯島監督は『帰ってきたウルトラマン』で脚本を書いているが、監督作品は2001年の『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』まで無かったりする。
制作第41話 「ノンマルトの使者」 1968年7月21日放送(放映第42話)
脚本 金城哲夫 監督 満田かずほ 特殊技術 高野宏一
地球原人ノンマルト
身長 170cm 体重 70kg
真市によると、遥か以前から地球に住んでいた先住民族で今の地球人に海に追いやられてしまったらしい。
今の地球人が海にまで活動範囲を広げ始めたので警告と報復を兼ねてガイロスと原潜グローリア号を差し向ける。
真市を救出する際に光線銃も使用している。ハイドランチャーの攻撃で海底都市ごと全滅した。
本当に地球の先住民族だったかは謎だがM78星雲では地球の事を「ノンマルト」と呼ぶらしい。
名前の由来はローマ神話の戦いの神「マルス」に否定の意味の「ノン」を付けて。
タコ怪獣ガイロス
身長 30m 体重 1万t
ノンマルトが差し向けた怪獣。最初、ウルトラ警備隊はガイロスがノンマルトだと思っていた。アイスラッガーで倒される。
一般公募されたアイデアで当初は全身目玉のガイロス星人と言う宇宙人だった。(全然、違ってしまっている)
物語
これ以上、海に入り込んだらノンマルトが怒るよと警告する謎の少年・真市。
ダンとアンヌ隊員は真市を探すが……。
感想
各作品を語る際、必ず避けては通れない話がある。
『ウルトラQ』の「あけてくれ!」、『ウルトラマン』の「故郷は地球」、『帰ってきたウルトラマン』の「怪獣使いと少年」。
『ウルトラセブン』の場合は当然本作となる。
ウルトラセブンは何の為に戦っているのか?
おそらく「侵略者の魔の手から地球の平和を守る」であろう。
しかし、今の地球人が実は侵略者だったら? ウルトラセブンは戦う理由を失ってしまう。
ここで重要なのはアンヌ隊員のセリフ。「私は地球人だから地球人の味方よ」である。
宇宙人ウルトラセブンの立場からすれば、今回はノンマルトに味方するか、関わらないか、あるいは両者を調停するかしなければならない。
しかし地球人ダンとすれば、理由はどうあれ同じ地球人を見捨てる事は出来ない。
だから戦ったのだ。
今回、侵略者の加担をしてしまったダン。
しかし同じ罪を犯した事で、ダンは地球人に仲間入り出来たとも考えられる。
(かなり後ろ向きな考え方だけど……)
金城作品によく見られるメッセンジャーの真市。
海が舞台なら少年より少女の方が合っている気がするが、真市を金城氏のもう1人の自分と考えれば納得が行く。
宇宙人の侵略基地かもしれないと海底都市を爆破するキリヤマ隊長。
一方のノンマルトも真市を使って警告を発するだけだった。
両者とも相手の事を信用せず、恐れ、ただ自衛の為の攻撃をするだけだった。
今回の悲劇の原因は両者が相手とのコミュニケーションをとろうとしなかった事だ。
アンヌ隊員と2人きりで海に行くダン。デート以外のなにものでもない。
キリヤマ隊長も知っている事から2人の仲はもはや公認なのだろうか。
学校に聞き込みに行った時、ポインターに子供達が群がる。なんか好きなシーン。
ガイロスとウルトラ警備隊の戦闘シーンは『ウルトラマン』の「ウルトラ作戦第一号」を思い出す。
ノンマルト(本当はガイロス)を倒した事を報道班を通じて、TV、新聞、ラジオに知らせようとするウルトラ警備隊。
ちゃんと情報公開していたのか。
ノンマルトが本当に地球の先住民族だったのか、今の地球人は本当は侵略者だったのか、全ては謎のまま終わってしまった。
真実とは多分に恐ろしさを含んでいるもの。
恐ろしさのあまり、人間は真実から目を背け、真実を目の前から消し去り、代わりに自分に都合の良い真実を作り出してしまう。
今回のキリヤマ隊長のように……。
今更言うまでもなく、本作は金城氏にとっての沖縄問題が込められている。
こういうテーマを込める事を出来るのがウルトラシリーズの良い部分だと思う。
(テーマがあまり無い娯楽作品ももちろん好きだけど)
制作第42話 「水中からの挑戦」 1968年7月14日放送(放映第41話)
脚本 若槻文三 監督 満田かずほ 特殊技術 高野宏一
水棲怪人テペト星人
身長 180cm 体重 55kg
宇宙船で伊集湖にやって来た。河童と間違えられてしまう。目的は地球の生物の採集と思われる。テペトを操るが、ウルトラ警備隊に倒されてしまう。
テペト共々劇中では未呼称だった。
河童怪獣テペト
身長 38m 体重 8千t
巨大な球体を破って出現。河童に似ている。頭の皿から光線を出す。アイスラッガーで真っ二つにされた。
こちらも一般公募されたデザインで当初は回転サイボーグのデイクロス・レイザと言う怪獣だった。(こっちの方が格好良い……)
物語
伊集湖に河童が出現したと言う噂を聞いて河童倶楽部の面々がやって来た。しかし、河童の正体は…。
感想
なんだか第2期ウルトラシリーズの怪奇シリーズみたいな話。
妖怪関係の話は好きなので、この話も結構好きだ。
ただし『ウルトラセブン』の中では異色作である事は確か。『ウルトラマンT』なら違和感は無かっただろう。
おそらく北島隊員がキュウリを餌に河童を釣ろうとするのだろうなぁ。
今回もウルトラ警備隊はウルトラガンを使わない。最近使わない事が多いがどうしてだろう?
謝る振りをするテペト。そしてまたまた引っ掛かってしまうウルトラセブン。
バド星人やプラチク星人の時の反省が全然生かされていない。
事件が終わり、再び河童について話す河童倶楽部の面々。
誰か、死んだタケムラさんの事を気にしてよ……。
本作は若槻氏の『ウルトラセブン』最終作。
若槻氏の「ダーク・ゾーン」と「超兵器R1号」が『ウルトラセブン』にもたらした功績は大きい。
制作第43話 「第四惑星の悪夢」 1968年7月28日放送(放映第43話)
脚本 川崎高・上原正三 監督 実相寺昭雄 特殊技術 高野宏一
第四惑星人
今から2000年前に作り出したロボットに取って代わられてしまった。現在はロボットが支配階級で人間は支配されている。
500年後に人間が絶滅してしまう為、ロボットは地球を植民地にしようとする。
ダンとソガ隊員が乗ったスコーピオン号を捕らえるが、ウルトラセブンに宇宙攻撃機を破壊される。
他のウルトラ警備隊はダンとソガ隊員が見た夢の産物だと思うが……。
物語
ダンとソガ隊員を乗せたスコーピオン号は全てがコンピューター制御されていた。
しかし軌道を外れて第四惑星に着陸してしまう。そこはロボットが人間を支配している星だった。
感想
予算の都合による着ぐるみが出ない話第3弾。
しかし、着ぐるみがあまり出ない方が実相寺監督作品らしい。
当時ヒットした『猿の惑星』のような地球の未来を暗示させる話。
無人の街やポツンと置いてある電話、ロボット長官の部屋や4つの月等、異世界を作り出すのに必要なのはイマジネーションだと気付かせてくれる話。
13日の金曜日に続き、今度は占星術を気にするソガ隊員。
なぜ「明日を捜せ」では水晶占いを信じなかったのだろう? 星関係しか興味が無いのだろうか。
コンピューターはいつも冷静だと言っておきながら、入れられたコーヒーを「ぬるい! 砂糖も多い!」と怒るロボット長官。矛盾しているぞ。
ロボット警察署長。口の中のアメ玉の音が凄い気になる。
今回は敵の怪獣が出ないかわりにウルトラセブンが街を壊す壊す。
今回のロボットは完璧な存在と言うより心を失った人間と言った方が近い。
どんなに科学が発展しても人間の心が無ければ幸せにはなれないと言う事だろう。
全てはダンとソガ隊員が見た夢だったのか、それとも……。
制作第44話 「円盤が来た」 1968年8月11日放送(放映第45話)
脚本 川崎高・上原正三 監督 実相寺昭雄 特殊技術 高野宏一
サイケ宇宙人ペロリンガ星人
身長 180cm 体重 80kg
強力な磁気と不透視バリアーで円盤を星にカモフラージュした。
少年に変身して、フクシンを星の世界に連れて行ってあげると言う。
フクシン以外にも過去に星の世界に連れて行った人間がいるらしい。地球の童話を知っている。
出身地がペガッサ星雲になっているが、ペガッサ星人と何か関係があるのだろうか?
物語
いつも星を見てばかりいる青年フクシンはいつか星の世界に行きたいと願っていた。
そんなある日、不思議な少年と出会った事から彼は……。
感想
基本的に『ウルトラセブン』はウルトラ警備隊を中心に話が進むので一般人が話の中心になる事は少ない。
今回は一般人を主役にした異色作。
深夜の通報を面倒そうに受け付けるソガ隊員。
電話の相手が一般市民に代わった途端に態度が変わるのが笑える。
「我々が無駄な働きをすればするほど地球は平和と言う事」と言うキリヤマ隊長。立派だ。
反対にフルハシ隊員は通報を真面目に受け取らない事が多い気がする。
フクシンのおじさんは悪い人ではないのだろうが迷惑な人だ。
フクシンみたいな人はこの手の人が一番苦手だと思う。
ペロリンガ星人は鮮やかなデザインが本作の内容と一見ミスマッチながら逆にマッチしている。あの声も良い!
少年に変身している時のキャラクターも良く、『ウルトラセブン』の中でも特に好きな宇宙人だ。
専門家は常にアマチュアより正しいと思っているとして、専門家には見えなくてもアマチュアには見える方法を使ったペロリンガ星人。
これも一般市民が主役だから出来る展開だろう。
最後、手の平を返したようにフクシンを絶賛する人々。
こういう世界だから星の世界に行きたくなるんだろうなぁ……。
又、本作は全てフクシンが見た夢だったと言う解釈も出来る。
本作はSFと言うよりファンタジーに近い。
ウルトラセブンとペロリンガ星人の戦いは完全にイメージの世界になっていた。
前回と今回の脚本を担当した川崎高は実相寺監督のペンネーム。
実相寺監督は川崎に住んでいて、今回のフクシンの住まいは川崎がイメージされている。
実相寺監督はこの後『帰ってきたウルトラマン』でも脚本を担当しているが、TVシリーズの監督作品は29年後の『ウルトラマンティガ』まで待たねばならない。
制作第45話 「恐怖の超猿人」 1968年8月4日放送(放映第44話)
脚本 上原正三・市川森一 監督 鈴木俊継 特殊技術 大木淳
宇宙猿人ゴーロン星人
身長 35m 体重 8千t
脳波催眠でモンキーランドを占拠し、脳波交換装置で人間と猿の脳波を入れ替えた猿人間を作り出して地球を征服しようとした。
普段はモンキーランドのゴールデンライオンタマリンに変身している。
姿を消し、目から怪光線を撃つ。ハンドショットの連発とエメリウム光線で爆発した。
ウルトラセブンも名前を知っていた。
猿人ゴリー
身長 2m 体重 70kg
人間が猿と脳波を入れ替えられた猿人間。怪力と強靭な肉体を持ち、意外と身軽。
普段は人間そっくりだが興奮するとゴリラのような姿になる。名前の由来は「ゴリラ」かな?
怪我の介抱をしてくれたアンヌ隊員に好意を持つが最後は射殺される。哀れだ……。
物語
警察が人間とも猿とも区別が付かない謎の怪物に襲われた。
ダンとアンヌ隊員はモンキーランドに調査に向かうが……。
感想
猿が人間を支配する『猿の惑星』をイメージする作品。
時々、それはウルトラ警備隊の仕事ではないだろうと思う事があるが、今回は犯人が普通の人間ではないと言う事で上手く理由付けしていた。
怪物相手に勇敢に立ち向かった警官は立派だ。(殺されたけど……)
モンキーランドの博士はアンヌ隊員の知り合い。
と言うわけで今回はアンヌ隊員の知り合いが事件に巻き込まれる第5弾。
いきなりムチを使う助手。ウルトラシリーズの女性キャラでは珍しい女王様タイプだった。
最後、生きていたとは驚き。絶対、ゴリーに殺されたと思った。
ゴーロン星人は脳波催眠が使えるのに、わざわざ人間を猿人間に改造して地球を征服しようとした。
猿人間は普通の人間より強靭なので労働力確保が目的だったのかもしれない。
今回の戦闘シーンはスピーディーでかなり面白い。
何とも哀れなゴリー。ただの被害者なのに…。最後、何かフォローが欲しかった。
何故ダンはポインターの配線が切られた事を故障としたのか?
何故アンヌ隊員はビデオシーバーで助けを呼ばず、日本ラインを使ったのか?
何故ウルトラガンを使わなかったのか?
今回、タイアップ先を無理矢理使った展開だった。
今回は『ウルトラセブン』と言うより『怪奇大作戦』に近い雰囲気だった。
『怪奇大作戦』だったらタイアップも上手く使えたと思う。(SRIにはビデオシーバー等は無いから)
この場合、敵は宇宙人ではなく科学者で、目的も地球征服ではなく生命の神秘を探ると言う展開になっていただろう。
科学者「人間だけが特別な存在だと思われているがそんな事は無い。私は人間と猿の脳波を入れ替えた猿人間を作り出す事でそれを証明したのだ!」、
牧「人間と猿を……。そんな事が許されると……!」、
科学者「牧君、君になら分かってもらえると思う。神が倫理と言う名のベールで覆い隠してしまった生命の神秘。私はそのベールを取り除きたかったのだ!」、
牧「自らの好奇心を満たす為だけに科学を……。それは間違っている!」、
科学者「牧君、君も倫理と言う名の牢獄から出たまえ。さぁ! 自由になろうではないか!」、
牧「自由だと! そんな自分の欲望を満たしたいが為だけに……!」。
てな感じで。
制作第46話 「ダン対セブンの決闘」 1968年8月8月18日放送(放映第46話)
脚本 上原正三・市川森一 監督 鈴木俊継 特殊技術 大木淳
侵略星人サロメ星人
身長 190cm 体重 120kg
ニセウルトラセブンを作って地球を侵略しようとした。ダンを罠にかけてウルトラビームの秘密を聞き出す。水中翼船は空も飛ぶ。
名前の由来は聖者ヨハネの首を取ろうとした舞姫の名前かららしい。
ロボット超人ニセウルトラセブン
身長 40m 体重 3万5千t
サロメ星人が作り出した侵略兵器。エメリウム光線、アイスラッガー、ラインビームを使う。アギラを倒すも本物のウルトラセブンに敗北。
劇中、サロメ星人は「我らがセブン」と言い続けていた。
カプセル怪獣アギラ
身長 ミクロから45m 体重 ほぼ0から1万2千t
今度は赤いカプセルから登場。ニセウルトラセブンの前に成す術もなく倒されてしまった。
物語
謎の女性を尾行するダンは逆に捕まってしまう。
ダンを捕まえたサロメ星人はニセウルトラセブンを使って地球を侵略しようとする。
感想
『ウルトラマン』の「遊星から来た兄弟」に続く偽者編。
姿形が似ていただけのニセウルトラマンに対し、今回は本物と同等の実力を持つとされた。
その為、実力伯仲の戦闘シーンが面白い。
一般に評価が低い本作であるが、かつてない強敵出現と言う雰囲気はよく出ていたと思う。
今回、久し振りに凝った場面切り替えが見られる。
調査の為に変装したフルハシ隊員。すっげーハマっている。絶対にバレないぞ!
『ウルトラマン』の特殊潜航艇を上回る登場回数を誇るハイドランチャー。なんと今回破壊されてしまう。
サロメ星人に捕まったダン。ニセウルトラセブンを見せられた時に拘束を外されていたが、何故その時に逃げなかったのだろう?
アギラをそこで使えば良かったのに……。
その後、再び拘束されたがライターで焼き切って脱出。
何故か手が抜けた「地底GO! GO! GO!」よりは良かった展開。
落としたライターを拾った装置はダンが作ったのだろうか?
(これも「地底GO! GO! GO!」を思い出す展開)
ニセウルトラセブンのプロテクターに気付かないウルトラ警備隊。あんなに会っているのに……。
ウルトラセブンとニセウルトラセブンのラインビームの戦いは『スポーツマンNo.1決定戦』を思い出す。こんな昔からあったのか。
最後、ニセウルトラセブンが勝ったと思うウルトラ警備隊とサロメ星人。
なぜ本物と分からなかったのかとよく突っ込まれるが、
この時、ウルトラセブンはニセウルトラセブンと同じ水面ギリギリ移動をしていて、プロテクター部分が水中に隠れていて分からなかったのだと思う。
本作は市川氏と鈴木、大木両監督の『ウルトラセブン』最終作。
鈴木監督は市川氏と組んで、キリヤマ、クラタ両隊長の話や「盗まれたウルトラ・アイ」等を作り、『ウルトラセブン』の作品世界をより深いものにした。
制作第47話 「あなたはだぁれ?」 1968年8月25日放送(放映第47話)
脚本 上原正三 監督 安藤達己 特殊技術 的場徹
集団宇宙人フック星人
身長 180cmから40m 体重 65kgから1万t
ホログラフィと集団催眠を使って団地を住民ごと入れ替え、密かに地球侵略の準備を進めていた。
夜行性なので光に弱く、ウルトラセブンは全身を発光させた後、ワイドショットで倒した。
手から硬直ガスを吐く他、幻覚等も使う。メチャクチャ身軽。
名前の由来は「フクロウ」?
物語
サラリーマンの佐藤がある夜遅く帰ると、妻も子供も近所の住民も皆、佐藤の事を知らないと言う。
何がなんだかサッパリ分からない佐藤。その背後に…。
感想
予算の都合上、余計な装飾が無いのが逆に作品の雰囲気を高めた話。
『ウルトラセブン』には無機質な夜がよく似合う。
「本当に自分の奥さんと言い切れる?」と警官に言われて断言できなかった佐藤。
普段、何の疑問も持たなかった事を突っ込まれると何も答えられなくなる。結構、怖い場面。
またもや通報を真に受けないフルハシ隊員。キリヤマ隊長に何回言われたら意識が変わるのだ?
結局、ダンと張り込む事になる。それにしてもウルトラ警備隊は変装&張り込み好き。
又、最近のウルトラ警備隊は実に色々な小道具を使っている。スパイ組織も真っ青だ。
自分は最初にこの話を見た時、昼と夜とで宇宙人が入れ替わっているとは分からず、ダン達が昼間聞き込んだ時は皆シラを切っていると思った。
襲われたとは言え、またもや人を撃つダン。結局、今回も宇宙人だったけれど……。
今回もウルトラガンを使わなかったが、これも予算の都合だろうか?(光線の合成はお金がかかる)
今回、ダンは超能力を使いまくり。フルハシ隊員は変に思わなかったのだろうか?
ただ勘が鋭いとしか思わなかったとか……?
ガッツ星人は2人だったのか分身だったのか定かではなかったが今回のフック星人は完全に複数。
つまり今回はウルトラシリーズで初のハンディキャップ戦となる。
『帰ってきたウルトラマン』以前にもあったとは意外。
ところで最後、ウルトラホークはなぜ踊る?
本作は助監督だった安藤達己氏のデビュー作。(そして唯一のウルトラ作品)
又、上原氏の『ウルトラセブン』最終作でもある。
上原氏は『ウルトラセブン』では監督やプロデューサーの要望に応えて脚本を書いていた感じがするので、
その特性が十二分に発揮されるのは、やはり次作『帰ってきたウルトラマン』になるだろう。
最後に本作が『ウルトラQ』から参加していた的場監督のウルトラシリーズ最終作。
制作第48話 「史上最大の侵略 前編」 1968年9月1日放送(放映第48話)
脚本 金城哲夫 監督 満田かずほ 特殊技術 高野宏一
幽霊怪人ゴース星人
身長 2m 体重 70kg
かつてない大規模な侵略準備を進めるインベーダー。妙に声が可愛い。
パンドンを地球に送り込む一方、捕獲カプセルでアマギ隊員を拉致した。
地上では幽霊のように体がぼやけて見える。名前の由来はゴースト(幽霊)から。劇中、未呼称。
双頭怪獣パンドン
身長 40m 体重 1万5千t
箱型の輸送船で送られて来たモンスター。2つある口から炎を吐く。
既にボロボロなウルトラセブンを苦しめるものの、アイスラッガーで左手と右足を切断されて敗北。
名前の由来は「パンドラの箱」から。劇中、未呼称。放映当時は「バンドン」とも呼称されていた。
セブン上司
M78星雲のウルトラセブンの上司。デザインはウルトラセブンと同一。
ウルトラセブンにこれ以上戦う事は危険だとM78星雲に帰還するよう忠告した。
劇中、未呼称。
物語
体の不調を感じるダンだが、無理を押してウルトラ警備隊の任務を遂行する。
しかし、そんなダンのミスからウルトラ警備隊は窮地に陥ってしまう。
感想
過去の侵略者達との激しい戦いによって多くのダメージを受けたウルトラセブン。ここで過去の戦闘シーンが挿入される。
基本的に各エピソードは独立しているが、この場面で過去のエピソードがこの最終回に続く一本の流れを形成していたように感じる。
『ウルトラマン』でも最終回を放映第1話と対にする事で同じ効果を上げていた。
金城氏のシリーズ構成力が高い事を裏付ける場面だと思う。
遂に過労で倒れたダン。やはり6人前後で地球の平和を守るのは無理がある。
地球防衛軍はあんなに一般隊員がいるのだから通信ぐらい何とかならなかったの?
『ウルトラセブン』で危機に陥る時は本作や「零下140度の対決」のようにウルトラセブンが弱くなってしまう展開が多い。
因みに他のシリーズでは強い敵が現れて危機に陥る事が多い。(『ウルトラマン』のゼットンや『帰ってきたウルトラマン』のベムスター等)
セブン上司登場。戦いに参加しなかったところを見ると、ホログラムかテレパシーで本人はM78星雲にいたのだと思う。
ウルトラセブンと同じデザインだが、この時点ではまだ『ウルトラセブン』と『ウルトラマン』は作品世界が異なっていると考えれば、M78星雲の宇宙人は皆同じ姿をしているとも考えられる。
仮に『ウルトラセブン』と『ウルトラマン』の作品世界が繋がっていると考えれば親戚とかで姿が似ていたと考えるしかなさそう。
ゾフィが登場しなかった理由だが、ウルトラセブンは観測員なので所属が宇宙警備隊ではなく宇宙情報局だったのかもしれない。それなら違う上司が登場して当然。
カプセル怪獣も警備隊所属ではなく情報局所属なので護衛用として持たされたのかもしれない。
(地球での活躍が認められて『帰ってきたウルトラマン』以降は宇宙警備隊に配属されたのだろう)
ウルトラセブンの本当の名は340号。なんと番号だった。
『ウルトラマン』でハヤタ隊員はウルトラマンには元々名前なんか無いと言っていたが、ウルトラマンの本当の名も番号だったのかもしれない。
番号は人間の感覚では名前とは思えないので。
地球での呼び名に従ってウルトラセブンと呼ぶセブン上司。
たとえM78星雲の宇宙人でも、セブンはウルトラ警備隊7番目の隊員。つまり地球人の一員なのだ。
しかし、ダンの体は普通の人間とは違う。
どんなに心が地球人でも体が宇宙人である事に変わりはなかった。
ダンは今まで健康診断をどうしていたのだろうか? 診断担当がアンヌ隊員だったら、
ダン「僕、注射やレントゲンは嫌いなんだよ、だから……」、
アンヌ「もう仕方無いわね」。
と誤魔化していたとか。いくらなんでもそれは無いか。
過労でエメリウム光線も敵まで届かないウルトラセブン。かなりショッキングなシーン。
たとえ無駄でもカプセル怪獣を使ってみたらと思ってしまう。
ところで、これだけエネルギーが少なくなっているのにビームランプが点滅しないのは変だ。
V3からの連絡がもっと早ければと訴えるキリヤマ隊長。
しかし、侵略者が地球に侵入しても、V3からの連絡が無かった事は今までもたくさんあった気がする。
(劇中に描写が無かっただけでいつも連絡があったのだろうか?)
ウルトラセブンにも最期の時が近付いていた。死んではいかん! 生きるんだ! モロボシ・ダン……ウルトラセブン。つづく。
制作第49話 「史上最大の侵略 後編」 1968年9月8日放送(放映第49話)
脚本 金城哲夫 監督 満田かずほ 特殊技術 高野宏一
幽霊怪人ゴース星人
身長 2m 体重 70kg
熊ヶ岳の地底に侵略基地を作っていた。地底ミサイルで世界主要都市を攻撃。
降伏しなければ30億全人類皆殺しと言う史上最大の侵略を展開した。
マグマライザーの自爆攻撃で全滅した。
双頭怪獣パンドン(改造)
身長 40m 体重 1万7千t
前回切断された左手と右足を機械化した。
アイスラッガーを受け止め逆に投げ返すが、ウルトラ念力で再び反転され、首を切られて敗れる。
セブン上司
今度こそ本当に死んでしまうとダンに変身しないよう説得するが無駄だった。
物語
検査で正体がバレる事を恐れたダンは地球防衛軍から逃げ出してしまう。
一方、ゴース星人は史上最大の侵略を展開。地球最大の危機にダンは……!?
感想
まさに総決算と言った感じの第1期ウルトラシリーズ最終回。
ゴース星人の攻撃を受ける地球防衛軍基地。やはり最終回は基地が危機に陥らねば盛り上がらない。
*BBSでの蒼月閑さんの指摘で気付いたが、ゴース星人の人質をとっての降伏勧告、
地球人側の降伏拒否に対しての各都市徹底攻撃と言う展開は放映第1話「姿なき挑戦者」でクール星人が行ったのと同じ。
ただしクール星人の攻撃範囲が日本に限られていたのに対し、ゴース星人は全世界を攻撃する、まさしく「史上最大の侵略」であった。
降伏するなら死んだ方がマシと特攻をしかねないフルハシ隊員達をなだめ、
偽の対策会議を開いて時間を稼ぐと要所要所を締めるヤマオカ長官とマナベ、タケナカ両参謀。
『ウルトラセブン』は他のシリーズと違って、上層部の人間を上手く使っている。
アキオ少年の作戦本部。なんとテレビまである。凄いぞ。
『ウルトラセブン』の漫画があるが、どんな内容か気になる。(ダンが変身する内容ではないと思うので)
クラタ隊長にダンの事を弁明し、普段は自分の事を怒鳴ってばかりいるアマギ隊員を助けようとしたソガ隊員。
ダンは悩む部分が多いので、意外とソガ隊員の方が正統派ヒーローの位置にいたような気がする。
あまりにも有名なダンの告白シーン。『ウルトラマン』でハヤタ隊員の正体がバレる事は無かった。
(イデ隊員が気付いていた可能性はあるが劇中では明言されていない)
もっとも、最初から地球人であるハヤタ隊員では正体を明かしても今回のような展開にはならなかっただろうが。
「地球人であろうと、宇宙人であろうと、ダンはダンに変わりないじゃない。たとえウルトラセブンでも……」がダンの告白に対するアンヌ隊員の答え。
前回、ダンは心は地球人でも体は宇宙人と書いた。
今回、それをたとえ体は宇宙人でも心は既に地球人だと逆転させた。
最終決戦、ウルトラ警備隊は宇宙人ウルトラセブンではなく地球人ダンと呼び続けた。
「西の空に明けの明星が輝く頃、一つの光が宇宙へ飛んで行く……」。
明けの明星は東の空に出ると言う突っ込みがあるが、西を東京から見た沖縄と考えれば理解できる。
因みに脚本では「一番星の出る頃、西の空を見てくれ、大きな光が宇宙に帰って行く。それが、私だ……」となっていた。
アンヌ隊員からウルトラセブンの正体がダンだったと聞かされ、ダンと共に戦うウルトラ警備隊。
『ウルトラマン』最終回、ウルトラマンは1人で戦ってゼットンに敗れた。(科特隊はウルトラマンが戦っているのを見ていただけ)
今回は『ウルトラマン』最終回で出来なかった事を実現したと言える。
パンドンとの最終決戦は文句無く『ウルトラセブン』中最高のバトル。
シューマンのピアノ協奏曲が盛り上がる盛り上がる。
「もしダンが死んだのなら、ダンを殺したのは俺達地球人だ……」とはソガ隊員の言葉。
地球人が知らず知らずのうちにダン=ウルトラセブンに頼ってしまい、ダンを過労で死なせてしまった。
この言葉は当時の金城氏の状態を表しているみたいだ。
ところで後に『平成セブン』や『ULTRASEVEN X』が作られた他、ウルトラセブンの息子ウルトラマンゼロも登場したが、
一方でダン役の森次氏が「もうダンと別れたい」と述べていた時期もある。
今も地球人はダン=ウルトラセブンに頼ってしまっている。
本作以降、満田監督はウルトラシリーズの監督を殆ど担当していない。
唯一単独クレジットされた『ウルトラマン80』の最終回は過労で倒れかけたウルトラマン80に代わって地球人が戦うと言う本作と対になる展開だった。
ウルトラセブン 総括
とにもかくにも『ウルトラセブン』は『ウルトラマン』の影に苦しめられた作品だった。
それはヒーローも怪獣も登場しない『ウルトラ警備隊』が『ウルトラマン』の影響でヒーローと怪獣が登場する『ウルトラセブン』に変更になった時から定められていた。
その影響が最も現れたのはウルトラセブンや宇宙人が無意味に巨大化する事であった。
しかし等身大の宇宙人も多く登場させたし、操演宇宙人と言う『ウルトラマン』には無い新しい宇宙人像も生み出した。
又、怪獣を敵ではなく味方として登場させたカプセル怪獣は素晴らしいアイデアだったと思う。
ただ残念だったのは、操演宇宙人やカプセル怪獣の登場が思ったほど多くなかった事であろう。
後半は予算が切迫したが、逆に着ぐるみが登場しない話や着ぐるみとは違ったコスチューム形式の宇宙人を登場させ、『ウルトラマン』とは違った雰囲気を作り出す事に成功した。
ウルトラマンと別人格だったハヤタ隊員と違って、ウルトラセブンそのものであるダンの苦悩や葛藤は以降のシリーズに大きな影響を与えた。
又、等身大でも活動できる事によって、本編のドラマにもヒーローを登場させた事は大きな意義があった。
最初からメカ特撮は充実させる予定だったらしく、地球防衛軍のメカ描写は『ウルトラマン』を超えている。
又、地球防衛軍の設定をキチンと押さえたのはかなり評価が出来る。
以降のウルトラシリーズで組織全体を押さえたのは『ウルトラマンティガ』くらいであろう。
シリーズ最高傑作と言われる『ウルトラセブン』。
個人的な評価では最高傑作ではないのだが、こうして見ると、人気のある理由が分かる気がする。
しかし、いくら人気があっても、最近のシリーズでの安易な模倣は止めてほしい。
ビデオで過去の作品を簡単に見られる現在、過去の作品と同じ場面を新作でそのまま見たいとは思わない。
『ウルトラセブン』は『ウルトラマン』の安易な模倣にならないよう努力していた事を忘れてはいけない。
たとえ傷付き、ボロボロになってしまっても、精一杯頑張った後には何かが残っているものだ。