
作品第14話から第26話まで
第14話 「時の娘(後編) −ワロガ ガルバス登場−」
2001年10月6日放送(放映第14話)
脚本 太田愛 監督・特技監督 原田昌樹
邪悪宇宙生命体ワロガ
身長 66m 体重 5万t
シノブリーダーの推測によると、人間が怪獣と言う存在そのものを地球から排除しようと考えるように仕向け、最終的に人間の自滅を促そうとしていたらしい。
ジェルミナV建設中に事故死したレニを蘇らせ、ムサシと繋がりを持たせる事でコスモスへの変身を躊躇させようとした。
夜中にのみ姿を現す。電流を発する。
姿を消して攻撃を仕掛けるがレニによって見破られ、コロナモードのシャイニングフィストを頭部に受けて弱まり、最後はブレージングウェーブを受けて爆発した。
古代怪獣ガルバス
身長 58m 体重 6万5千t
ワロガによって頭部に変調機が仕込まれていた。
ベンガルズの攻撃を受けて地底に逃げ込むが、エネルギープラントのタービンが発する高周波が誘引になっていて再び地上に現れた。
レニによってタービンが停止されると大人しくなった。ベンガルズとワロガには挟まれたところをコスモスによって救われる。
物語
ガルバスの保護に失敗したEYESは出動停止処分を受け、世論は怪獣は殲滅すべきと言う方向に流れる。
自分が今まで語ってきたのは単なる夢物語に過ぎなかったのかと思い悩むムサシにレニは……。
「再び出会ったレニの言葉がムサシを動かした」
感想
夢が実現するまでの永い道程
夢が実現するまでには多くの困難、犠牲が存在している。
それを既に死亡していたジェルミナV建設クルー・レニに語らせたのが上手い。
今回は怪獣保護についてまわる困難や犠牲についても語られているがほんの触り程度。
怪獣保護をテーマにした『コスモス』だったが怪獣事件犠牲者の視点が弱かったのが悔やまれる。
誰かがレギュラーで怪獣保護の問題点を告発する話を書いていって、肯定と否定とで意見をぶつけていけばかなり面白くなったと思うが。
ベンガルズ登場
防衛軍戦車部隊ベンガルズ登場。原田監督作品で戦車なので当然自転車が倒れる。ミニチュアがチャチで巨大感に乏しかったのが残念。
街を守る為に一斉に怪獣に攻撃を開始すると言う怪獣作品の王道展開が『コスモス』と言う作品にとってはかつて無い危機となる。
それにしても……何故街中なのにあの迷彩? 逆に目立つでしょう。
ガルバス事件のその後
ガルバスによる街の破壊で首都圏の電気、ガス、水道のライフラインが一時ストップ。
事態を受けて今後のガルバス対策は防衛軍に引き継がれる事になった。
この時、アヤノ隊員はコスモスでも駄目だったから仕方が無いよとウルトラマンへの依存心を見せている。
一方のドイガキ隊員はガルバスがカオスヘッダー反応無しに暴れた理由に興味を持ち、怪獣保護活動停止はそれほど気にしていない雰囲気。
これらの描写は後の「夢見る勇気」に繋がっていく。
人間と怪獣
ガルバスとワロガの攻撃に倒されたコスモス。
意識を取り戻したムサシはEYESが出動停止処分を受けた事に憤りを隠せず、電気や水道が少し止まっただけで怪獣保護を諦めるなんて馬鹿げていると言ってのける。
ただ、さすがにこれは何も知らない馬鹿げている発言で、ライフラインが止まれば被害を受けるのは病人や乳幼児、老人等の弱者であるとシノブリーダーに指摘されてしまう。
怪獣保護を掲げるムサシだが、どうも今、目の前にある事態にのみ着目して、
ここで起きた事態が後に周りにどのような事態を招くかまでは考えていない節がある。
ヒウラキャップやシノブリーダー、フブキ隊員がもっと広い視点で物事を考えているのに対し、ムサシはまだまだ経験不足の感は否めない。
「怪獣の捕獲、保護は一歩間違えれば大惨事を招く恐れがあるの。私達EYESの活動は失敗が許されないのよ」。
シノブとフブキの立ち位置
「カオスヘッダーの影」や今回の話を見ると、シノブリーダーは夢を追い求めるムサシに向かって現実問題を突きつける存在となっている。
しかし、フブキ隊員が成長し、現実問題を踏まえたうえで夢を追い求める存在になっていくと、
シノブリーダーの役割がフブキ隊員に移ってしまい、シノブリーダーの物語に占める重要度が弱まってしまった。
(だから後半にカワヤ医師との恋愛話が設けられたのだと思われる)
シノブリーダーの後輩であるフブキ隊員が成長して役割を継ぐのは成長を描く上では効果的だったが。
防衛軍特務部隊登場
ワロガの操り人形であるレニを捕える為に防衛軍特務部隊が登場。
チーフを『ガイア』でリザードの瀬沼を演じた石井浩氏が担当。
名前が「石井」とあまりにもそのまんま。前回の右田氏演じる医者も「右田」とあまりにもそのまんま。
実は原田監督は二人とも今回限りのゲストだと思って名前を考えなかったらしい。
事情は分かるが、やはり1話限りのゲストでも名前はある程度考えてほしい。
又、石井チーフの外見が瀬沼そのまんまなのも疑問。
そういう役者やスタッフを知っている人なら笑える身内ネタだが、やりすぎると問題。
話変わって、こういう秘密部隊が黒服にサングラスの集団で目立つのは問題あると言う意見がある。
実はあの格好をする事によって個々の顔が分かりにくくなるのだ。
とは言え、こんな格好で真昼間の大学を走り回ったら目立つ事この上ない。
それに石井チーフ、あの長髪はかなり特徴的。とりあえずチーフの外見は一発で覚えてしまった。
レニ、かつて自分が生きていた場所へ
かつて自分が通っていた大学に行き、蘇った記憶を反芻させるレニ。
命をかけての夢であったジェルミナVが自分が死んでいる間に完成していたのは一体どういう気持ちだろうか?
「何もかも思い出したのに……、何の為に……まだ……私を生かしておくの?」。
レニは自分の存在意義、これからどうするかを考える。
レニとムサシ
ムサシはEYESの隊服を置いてトレジャーベースから去り、レニに会いに行く。
そして大学に向かったムサシはレニと再会。レニの手をしっかりと握って駆け出す。
ムサシと再会した時、レニが口パクで「コスモス」と言っているのが細かくて上手い。
廃墟に逃げ込んだムサシはレニの認識票を投げ捨てる。
EYESにはもう戻らないのかと言うレニの質問にムサシは自分の考えは夢物語だったのかもしれないと答える。
それを聞いたレニは百年前には宇宙ステーション建設も誰もが夢物語だと思っていたと告げ、
ジェルミナVの建設クルーになった事を自分は後悔はしていないと記念写真を見て笑顔で語る。
夢
ここからレニの語る、ウルトラシリーズでもトップクラスの長ゼリフ。
「五百年前までは地球が丸いなんて誰も考えた事もなかったんだよ。だから、初めて船乗り達が海の向こうに大陸を探そうとした時も、誰もが不可能だ、夢物語だと言った……。
百年前、初めて人が小さな飛行機で空を飛ぼうとした時も……、初めて人が宇宙を目指そうとした時も……、やっぱり、誰もが夢物語だと言った……。
実現するまではいつも……夢物語だったんだよ……。それでも……多くの名も無い者達が、夢物語に憧れ、命を落とし、夢を継いできた……。
私達建設クルーがジェルミナVの事を「時の娘」と呼んだのは……、自分達が夢を継ぐ者の一人だって言う、誇りがあったからだよ。
ムサシ……、あんたもそうじゃなかったの? 人間が……地球で生まれた怪獣と、可能な限り一緒に生きていこうとする……。
そんな話、今は夢物語かもしれない……。けどあんたは、それがいつか実現すると信じてきたんじゃなかったの?」。
怪獣が現れる世界
ムサシとレニを追って街に出たシノブリーダーはトレジャーベースの中では気付かなかった、街の人々の生の声を聞く。
「怪獣と共存して何が人間にメリットがあるの?」、
「やっぱり迷惑な事に変わりは無いでしょう? 電車とかすぐ止まっちゃうし」、
「地球ってのは人間が暮す為にある」。
人間本位で怪獣を排除しようと考える者、何が起きても怪獣事件そのものに関心を持たない者。
日常的に怪獣が現れる世界での一般人の考えが語られるのは意外と珍しい。
怪獣保護を掲げている『コスモス』ならもっとこういう声を取り上げても良かったと思う。
この時の意見は怪獣保護より怪獣殲滅が優勢で人々の支持はEYESより防衛軍に流れているように思える。
今までTVシリーズの防衛軍はEYESが怪獣保護に失敗してから出撃してたが、この話以降は怪獣事件に対してかなりの発言権を持つようになる。
ワロガと言う根源的悪意の存在
街の人々の考えを聞いたシノブリーダーはワロガの本当の狙いは人間に怪獣と言う存在そのものを排除させようと考えさせる事。
快適な暮らしだけを求めて他の地球生物全てを排除しようとすれば人間はきっと自滅すると解釈する。
なんて回りくどくて気の長い計画なんだか……。
他の生物を排除しようとすれば結果的に人間そのものの破滅へと繋がると言う考えは前作『ガイア』を思わせる。
根源的破滅招来体もワロガも自らは何も語らず、人間が自分なりに解釈していく構図も同じ。
ワロガ自身のキャラクター描写があまりに希薄なので、ワロガもレニと同じ操り人形で裏で何者かが糸を引いていた可能性はある。
単純に宇宙人とせずに宇宙生命体としたのもその辺りに絡んでいそうだが……。
シノブリーダー
ガルバスの頭に仕込まれている変調機がエネルギープラントのタービンが発する高周波に引き寄せられている事に気付き、
ムサシとレニはエネルギープラントに向かうが、そこにシノブリーダーとフブキ隊員がやって来て二人に銃を向ける。
シノブ「あなたが悪くないのは分かっている……。でも、行かせるわけには行かない!」
レニ「私があなたでも、きっと同じ事をする。だから、あなたが私でも、きっと同じ事をするはずです」。
さらに、そこに防衛軍特務機関が到着。
その時、シノブリーダーの銃が火を吹き、閉ざされていたドアのロックを破壊した。
シノブ「行きなさい! 早く!」。
ドアを越えるムサシとレニ。
石井「何のつもりだ?」。
懐から銃を取り出す石井。しかし、シノブリーダーは振り向き様に銃を構えて笑顔で答えた。
シノブ「気が変わったのよ」。
ここでかかるワンダバが最高! シノブリーダー、カッコ良過ぎだ!!
原田監督はシノブリーダーがお気に入りなのか担当回ではかなりの活躍を見せている。
人類VSガルバス
エネルギープラントのタービンがジェルミナVと同じだった為、レニはマザーコンピューターにログインせずにタービンを停止させる。
一方、街ではガルバスとベンガルズが交戦中。
郊外と言う設定とは言え、街破壊シーンに迫力が無いのが寂しい。
怪獣が街中に現れた事の脅威を描くのが今回の話の一つの目的だったのに。
タービンが停止してガルバスが大人しくなったのを見てチャンスとばかりに攻撃を強めるベンガルズ。
冒頭でもそうだったが、怪獣との戦いで人類が形勢逆転すると言う、いつもならカタルシスのある展開が『コスモス』ではプレッシャーになっているのが皮肉で面白い。
レニの遺言
大人しくなって逃げようとするガルバスだったが、ワロガの紫の球が逃げ道を塞ぎ、人間にガルバスを倒させようとする。
それを見たレニはムサシにガルバスを救う為にワロガを倒すよう頼むが、
ワロガを倒したらレニの命も消えてしまう事を知っているムサシは躊躇う。
レニ「あいつを倒して私を眠らせて……、ウルトラマン……コスモス……。あんたは優しいから、私が生きていれば、きっとあいつを倒すのを躊躇う……。
初めて会った時から、あんたを知っているような気がしていた……。でもそれは……あいつが私に植えつけておいた……偽の記憶だったんだ……。
あいつが仕掛けた……罠だったんだ……。それでも私は……あんたに会えて嬉しかった……。
あんたの手で……私を人間に戻して……。あのそらに……時の娘を作ろうとしていた……レニに戻して……」。
レニの言葉を聞いたムサシは無言でコスモスに変身。
『ファーストコンタクト』や「落ちてきたロボット」を思わせる変身ポーズだった今回は『コスモス』において最も印象深い変身となった。
しかし、ワロガの悪意は全ウルトラシリーズ中でもトップクラスだ。
ムサシの戦い レニの戦い
アンビシャス・ロケッツで紫の球を攻撃するコスモス。姿を現すワロガ。
対峙するコスモスとワロガ。闇夜に両者の電飾が美しく生える。
いつものBGMをつけないコロナモードへの変身。その後のピアノ曲をバックにした静かなる戦い。
抑えた雰囲気が逆に戦いを静かに盛り上げていく。
ワロガは姿を消してコスモスを攻撃。苦戦するコスモスだったが、レニがワロガの位置を把握して「許さない……」と呟くとワロガの姿が暴かれた。
レニとワロガは同質のパルスを持っているのでそれが関係していると思われる。
ワロガに止めを刺す直前、レニの方を見るコスモス。黙って頷くレニ。
放たれたブレージングウェーブによって爆発するワロガ。
高ぶった様々な感情を抑えるようにポーズをとるコスモス。
全てが終わったレニはそらを見上げる。
そのそらの向こうには「時の娘」であるジェルミナVが浮かんでいた。
戦い終わって
全てが終わった後、ムサシは記念写真を手にレニの言葉に想いを巡らす。
「レニ……。僕は夢を継いでいく。人間と怪獣と……この星を守る夢だ」。
今回の話でムサシは怪獣保護の夢を実現させようと決意を新たにした。
ただワロガの件があったからか、これ以降のムサシは宇宙人に対して厳しい態度をとるようになったのも事実だったりする。
「実現するまではいつも……夢物語だったんだよ……」(レニ・クロサキ)
第15話 「深海の死闘 −ジェルガ登場−」
2001年10月13日放送(放映第15話)
脚本 大西信介 監督 市野龍一 特技監督 佐川和夫
「俺は何も心配してないさ。あいつらは仲が悪くてぶつかり合っているわけじゃない」(ヒウラキャップ)
深海貝獣ジェルガ
身長 42m 体重 6万6千t
SRCが保護する唯一の海の怪獣。おとなしくてプランクトンを食料としている。
海底シールドの中に隔離されているが、メンテナンスで解除された隙を狙ったカオスヘッダーに寄生される。
体内で暴れるカオスヘッダーに苦しむが、コスモスによって救われる。
カオスジェルガ
身長 42m 体重 6万6千t
カオスヘッダーに寄生されたジェルガ。
目付きが凶暴になる他に全身に目立った変化は現れなかったが、体内を変質されていて背中の貝の中から火球を発し、触手を伸ばすようになる。
コロナモードのコロナエキストラクトによって体内のカオスヘッダーを切り離された。
物語
相変わらず対立を続けるムサシとフブキ隊員の「春風コンビ」。
シーダイバーで海底シールドのメンテナンスに向かうが、そこにカオスヘッダーが……。
「テックダイバーSOS!」
感想
ムサシ対フブキ
空手の組み手を行うムサシとフブキ隊員の二人。
トレーニングなのに防具を脱ぎ捨て素手でやり合うと闘志満々。
怪獣保護チームなのに何故かバトルマンガな雰囲気。
フブキ隊員が強いのは予想通りだったが、ムサシが結構粘ったのは意外。
そう言えば平成ウルトラシリーズの主人公が格闘術を披露するのは珍しい。
「嫌いじゃないわ。この空気」(byシノブリーダー)
フブキ隊員の華麗なる経歴
フブキ隊員がかつて防衛軍に所属していて空手選手権3連覇を成し遂げた猛者である事が明らかに。
特に3連覇を決めた試合では試合中盤で気を失ったまま戦って勝利を収めると言う、どこぞのバトルマンガかと聞きたくなるような伝説を残している。
理解していく二人 理解しない二人
ムサシとフブキ隊員が対立を繰り返してもヒウラキャップは春風コンビに拘り続ける。
「あいつらは仲が悪くてぶつかり合っているわけじゃない。2人とも、自分の考えをちゃんと持っているからな。ま、意見のぶつかり合いってところだ」。
最初は対立を繰り広げるも、やがて互いの意見に耳を傾けるようになっていく。
春風コンビの関係は『コスモス』のテーマの一つであるコミュニケーションを表していると言える。
因みに互いの意見に耳を傾けないまま対立を続けていった関係がヒウラキャップと西条武官の二人。
部下の扱いは長けていたヒウラキャップだったが自分の事になるとそうはいかなかった。
シーダイバー登場
万能探査メカ・テックダイバーの水中モードであるシーダイバー登場。
前部にマニュピレーター装備のパーツ、後部にジェット推進装置搭載のパーツを組み合わせる換装シーンは見ていてワクワクするが、やはりCGの映像が浮いていて気になる。
攻撃を受けて酸素タンクが破壊、さらにジェルガの貝に挟まれて脱出できなくなるが、
最後はジェルガを攻撃してコスモスを援護すると、この手のメカのお約束なピンチと活躍を見せてくれる。
後半、ムサシ達の危機にシノブリーダー達の2号機が援護に向かう。
海底メカの2号機が出るのは珍しくて貴重だが実はジェルガとの戦いに間に合わなかったりする。それでは意味が無いぞ……。
久々のカオスヘッダー
海底シールドの発生システムにトラブルが起き、シールドを一旦解除してメンテナンスをする事になるが、その隙を狙ってカオスヘッダーが出現。
海底にまで現れた事でカオスヘッダーが地球のあらゆる場所で活動できる事が判明。
尚、台詞ではよく出ていたが実際にカオスヘッダーが事件を起こすのは「蛍の復讐」以来となる。
(「動け! 怪獣」はカオスヘッダーではなくムードンの意思だった)
ジェルガ
カオスヘッダーに寄生されたジェルガは目付きが凶暴になり、今まで無かった武器を身に付けるが、かつてのリドリアスやゴルメデのような明確な変化は無かった。
体内で暴れるカオスヘッダーに苦しんでいたので拒絶反応はあったようだが他の怪獣に比べてまだ適応性があったようだ。
変身しないムサシ
攻撃を受けたシーダイバーは酸素タンクを破壊され、カオスジェルガの貝に挟まれて絶体絶命のピンチに陥る。
ムサシはコスモスに変身すればシーダイバーもジェルガも救えるかもしれないとしながらも何故か変身せず。
この危機的状況で何故変身を躊躇ったのかよく分からない。
後に人々の目の前で変身しても特に代償は無かったので、コスモスとの一体化を明かしたくないムサシの事情か、
自分の事を必要以上に地球人に明かしたくないコスモスの事情かのどちらかだが、そういう個人的な事情を云々している状況ではなかったと思う。
保護か隔離か?
カオスヘッダーが海底にまで現れた事に驚くムサシに対し、フブキ隊員はその可能性を考慮しなかった事を甘いと断じる。
「SRCがな、海底にシールドを作るって言った時にな、実は俺も反対した。何もそこまで怪獣を隔離する事は無いと思ってな。
でもな、カオスヘッダーの存在が分かった時点で俺は考えを変えた……。もしかしたら、このシールドがカオスヘッダーから怪獣達を守る盾になってくれる事があるかもしれないって……」。
実際、第1話でカオスヘッダーは鏑矢諸島のシールドが解除された隙を狙ってリドリアスに寄生していた。
怪獣保護が行われているとは言え、人間が保護できるのは比較的おとなしい怪獣のみ。
暴れる怪獣を人的被害無しで保護できるレベルにはまだ達していない。
カオスヘッダーは人間が保護できるレベルの怪獣を保護できないレベルへと引き上げてしまう脅威の存在。
劇中でムサシやフブキ隊員が述べているようにシールドの存在は怪獣の隔離に他ならないが、それはまだ怪獣保護の道半ばである人間が取らざるを得ない苦肉の策であった。
しかし、このおとなしい怪獣をシールドの中に集めてカオスヘッダーから守ると言う状態が「邪悪な巨人」でかつてない危機を引き起こす事になる。
ムサシとフブキ
人間に被害を与える可能性はゼロに近いジェルガをシールドに閉じ込めるSRCの考え方に納得できず、
ムサシは色々と苦言を呈するが、カオスヘッダー襲来でシールドの意義に気付き、自分が何も分かっていなかった事、逆にフブキ隊員が色々考えている事を知る。
ムサシは理想を掲げるも目の前の問題にどう対処するかと言う視点が抜けていて、そこをフブキ隊員がフォローする事になり、
逆に現実を認識している故に仕方が無いと現状を受け入れてしまいがちなフブキ隊員にとって愚直なまでに理想を語るムサシの存在が夢実現への発奮材料となっている。
この辺り、ヒウラキャップの春風コンビへの狙いは見事成功したと言える。
変身! コスモス
フブキ隊員が酸素不足で意識を失い、ムサシはコスモスに変身。
コロナモードにモードチェンジしてシーダイバーを救出するが、カオスジェルガの触手に囚われてピンチに。
その時、シーダイバーから援護があり、危機を脱したコスモスはコロナエキストラでカオスヘッダーを切り離してブレージングウェーブで勝利を収める。
今回、コスモスはムサシの声で喋っている。
コスモスに変身できない時の葛藤、後の正体がバレたかもしれないと思った時の心情等、今回はコスモスとムサシが同一人格のような描写が目立つ。
前回もそうだったが、このところ、ムサシの人格が前面に出てくる事が多い。
最近のコスモスはムサシにウルトラマンの力を貸して見守っているような感じがする。
空白の数分間
カオスジェルガとの戦いでシーダイバーの援護を受けたムサシはフブキ隊員が途中で意識を取り戻したのだと考え、自分がコスモスである事がバレたと覚悟する。
前半にフブキ隊員が空手の試合で気絶したまま戦ったエピソードが語られていたので、実はフブキ隊員は気絶したままコスモスを援護していたと言うオチは読めていたが、
後の展開を考えると、本当は意識を取り戻してムサシとコスモスの関係も知ったが、ムサシの気持ちを察して気絶したままだったと誤魔化したようにも見える。
第16話 「飛ぶクジラ −カオスジラーク登場−」
2001年10月20日放送(放映第16話)
脚本 長谷川圭一 監督 市野龍一 特技監督 佐川和夫
「私はジラークと遊んでいるだけ。それがいけないの?」(立花茜)
精神寄生獣カオスジラーク
身長 64m 体重 5万6千t
浩太の無神経な言葉に傷付いた茜のもとに降り注いだカオスヘッダーはクジラと一緒に泳ぎたいと言う茜の夢を現実化させてフライホエールジラークを生み出す。
心に取り憑いたカオスヘッダーは茜に特殊な力を発現させ、フライホエールジラークに取り込ませてカオスジラークへと変化させる。
口からエネルギー光球や光の矢を放ち、左手から光の鞭を伸ばして電撃を流す。
フルムーンレクトも通じない強敵だったが、浩太の訴えで我を取り戻した茜をルナモードのルナレインボーで救出され、そのまま昇天した。
物語
突如、空に巨大なクジラが出現。浩太は自分が茜に浴びせた無神経な言葉が原因だと悩む。
「その異様な光景は少女の夢か幻か……」
感想
空飛ぶクジラ
空を泳ぐ巨大クジラと言う絵がファンタジックで素晴らしい。
海の中で泳ぐクジラを下から見上げると青空を飛んでいるように見えると言う発想が見事。
CGによる質感が実体の無い幻と言う設定とマッチしていた。
因みに名前はフライホエールジラークと言うらしい。
全てを叶える天使の光?
茜の心に取り憑くいて願いを叶えたカオスヘッダー。
フライホエールジラークは茜の心が生み出したもので、
茜とフライホエールジラークが合わさって誕生したカオスジラークは茜の醜い心の表れとして自分を傷付け、悲しませた者に復讐しようとする。
今回のカオスヘッダーは『80』のマイナスエネルギーに近い性質を示していた。
全てを利用する悪魔の光?
カオスジラークは中に茜を取り入れる事で攻撃を受けないようにしたらしく、もしそれが本当なら、初期に比べてかなり知恵が身に付いてきたと言える。
途中、茜とフライホエールジラークが会話をしている場面があるが、
これは嫌な事を言う現実の友達とは違う、決して自分を裏切らない夢の友達を願った茜の意思か、
それともフライホエールジラークを通じて茜を我が意に従わせようとするカオスヘッダーの意思だろうか?
カオスヘッダーの転機?
「蛍の復讐」で無機物に取り憑いたカオスヘッダーが人間の心と言う実体の無いものにも取り憑く事が判明。
ただカオスバグには蛍の怨念と言う残留思念が含まれていたし、
「動け! 怪獣」のムードンも滅びた生物の子供に会いたい気持ちとカオスヘッダーとが結びついたものだったのでこの展開は十分考えられた。
カオスジラークはフルムーンレクトが効かなかったりと結構手強い。
ひょっとしたら、茜の心が作用していたのかも知れず、この後、カオスヘッダーは無限の可能性を秘める人間の心に興味を抱いていく。
ムサシと浩太
フライホエールジラークの調査に残ったムサシの所に浩太がやって来て事情を明かす。
ちゃんとかがんで目線を浩太に合わせて話を聞くムサシ。
EYESの中では子供に見えるムサシも子供と一緒にいると大人に見える。
茜がカオスヘッダーに関わっている事が判明し、ムサシは浩太に男と男の約束として必ず茜を助けると誓う。
カオスヘッダーに利用されている茜の姿にワロガに利用されたレニの姿が重なったと見るのは穿ち過ぎかな。
危機一髪! コスモス登場!!
カオスジラークの攻撃に浩太危うし! そこに間一髪コスモスが登場!!
挿入歌『Touch the Fire』が流れて盛り上がる。ベタな展開ではあるがこういう基本はやはり大事。
その後のカオスジラークとの戦いでコスモスは高速移動を披露するが、演出が悪くて高速移動と言うよりコスモスが拡大縮小コピーされたように見えるのが残念。
夢と現実
皆で将来の夢を話し合っている時、茜はクジラと一緒に泳ぐ夢を語るが、
浩太は茜は泳げないし、体が弱いから絶対無理だ、叶わない夢なら見ない方がマシだと告げた。
翌日から茜は学校を休み、空を巨大なクジラが泳ぐようになり、クジラと合体した茜は化け物となってコスモスを倒そうと暴れる。
そんな茜を見て浩太が叫ぶ。
「止めろー! 茜ー! 茜ー! お前どうしてそんな恐い姿になっちゃったんだよ? 僕が……夢なんて無理って言ったからなのか?
ごめんな、茜。本当はあの時、悔しかったんだ。僕には……夢なんか無かったから……。嬉しそうに夢の話をする茜が……羨ましかったんだ。
茜ー! クジラと泳げる場所があるんだ! ドミニカ共和国! 凄く遠いけれど、お金もたくさんいるけれど、今から頑張ればきっと行ける!
僕も頑張る! 一生懸命勉強して! 店の手伝いして、おいしいパンいっぱい作って! そして、茜と一緒にクジラと泳ぐ! それが今の僕の夢だ!!」。
最後は浩太が茜に謝ると言う展開は読めていたが、浩太がクジラと泳げる場所を探していたのは予想外。
「飛べ! ムサシ」でもそうだったが、『コスモス』における長谷川作品は言葉だけでなく実際の行動も伴ってこそ夢は現実となるとしている。
夢と現実をテーマとしている『コスモス』に合致していたのでTVシリーズにおける長谷川作品が2本のみだったのは残念。
少女の心・夢と現の狭間
体の弱い少女が友達の無神経な一言で心を閉ざし、心の中の世界と現実世界との狭間を漂う展開は長谷川氏の得意とするところ。
心、部屋、カオスジラークの中と閉ざされた世界にいた茜が母親やムサシ、浩太の言葉で外へと出る。
浩太の最後の訴えは告白とも取れるが、「嫌い」を連呼して現実を拒絶していた茜を「好き」で現実に呼び戻したとも考えられる。
今回の話、茜が窓から外を見る図が何度かあるが、冒頭はカオスヘッダーによる実体を持たないフライホエールジラークが飛んで、
最後は見舞いに来た友達がクジラパンを持って来ると言う対比が見事だった。
第17話 「異次元の罠 −ギギ登場−」
2001年10月27日放送(放映第17話)
脚本 武上純希 監督・特技監督 村石宏實
「皆は笑うかもしれないが、この中にはSRC創立の頃のスピリッツ、つまり熱気や勇気、心が詰まっているんだ」(ヒウラキャップ)
三面異次元人ギギ
身長 52m 体重 4万7千t
飛躍的に進んだ量子学を応用した次元移動システムでやって来た。自らを論理的で完璧と称する。
自分達の次元が崩壊の危機に瀕している為、2000億の住民を移住させようと計画。
縮小光線銃で人間を100分の1に縮小してモデルタウンへ移住させるべく、
その実験の為にサワグチ女史の研究施設をシールドで封鎖して研究員に成りすまそうとした。
青(A)、黄(B)、赤(C)の3人がいて青がリーダー格。3人が合体する事で3つの頭部を持つ巨人に変身する。
壁をすり抜け、高速移動で相手を翻弄して追い詰める。目から青、黄、赤の怪光線を撃つ。
言語変換装置で地球人とコミュニケーションを取るも要求は一方的。
サワグチ女史の開発した精密で完璧な装置では見抜けないが、ヒウラキャップの持つ大雑把で不完全なラウンダーグリップだと見抜く事が出来る。
コスモスを苦しめるも、ガラ空きだった頭上をEYESに攻撃され、さらにヒウラキャップが移送装置を破壊した事で存在が不安定になり、最後はコロナモードのネイバスター光線を受けて爆発した。
物語
EYESアタッシュ開発を巡って対立するヒウラキャップとサワグチ女史。
そんな中、サワグチ女史の研究施設に異次元から侵入者が……。
「進んだ科学力と策略を武器に謎の異次元移動装置でやって来た彼らの目的とは何か?」
感想
喧嘩するほど仲が良い二人
完璧すぎるサワグチと不完全なヒウラの対立が軸だが、実はお互いの気持ちが既に分かっていて、エンゲージリングを渡すかどうかと言うほどの仲。
それを知ってから見直すと二人の対立が全てノロケにも見えてしまうのが面白い。
今回のオマージュ
ギギはもちろん『初代マン』のダダ。
『初代マン』の時は実現できなかった三面のアイディアを実現させているが、既に『ダイナ』のガラオンがいるのでインパクトは弱い。
他は人間を100分の1に縮小してモデルタウンに移住させる実験が『Q』の「1/8計画」、2000億人のギギが移住する計画が『初代マン』の「侵略者を撃て」と言ったところか。
ヒウラVSサワグチ
自信作であるEYESアタッシュを披露し、文句なんかあるはず無いでしょうと言い切るサワグチ女史に対し、ヒウラキャップはあえて言えば完璧すぎるとし、
科学があって人間があるのではなく、人間がいて科学があると訴える。が、これはいささか的外れな批判だった。
後にサワグチ女史の開発したものは超完璧で使う人間にも完璧さを要求されると理由を述べているが、
劇中、見る限り、サワグチ女史の開発がそんなに使う人間の事を無視しているとは思えない。
『ダイナ』のプロメテウス辺りならさすがに納得できるのだが。
ヒウラとサワグチの物語
SRC創立時にヘッドハンティングされた超天才・サワグチ女史。次々と作り上げるメカも超完璧との事。
「動け! 怪獣」に登場した猫じゃらしマシンとかは彼女の開発ではないな、絶対。
古いタイプの大雑把で不完全、攻撃装置さえ付いていない旧式のラウンダーショット、ラウンダーグリップを手に、そこに込められたスピリッツについて熱く語るヒウラ。
ヒウラキャップが開発者だったとはちょっと意外。
ギギに捕らわれ、外部との通信も絶たれた時、ヒウラはラウンダーグリップを取り出して「あの頃の不完全なメカの方が役に立つ事もある」とテックサンダーと通信をし、
それを見てサワグチは「当たり前でしょう。2人のスピリッツが詰まっているのよ」と答える。
あの頃の合言葉はスピリッツだったのだろうか?
尚、このラウンダーグリップは『ファーストコンタクト』にも登場している。
それって完璧? 新開発のEYESアタッシュ
サワグチ女史が新たに開発した個人レベルで怪獣を捕捉出来る画期的なシステム。
地球外生命体を見分ける事の出来るデジタルサーチシステムが組み込まれたのはカオスヘッダーやワロガの襲来がきっかけなのだろうか?
精密で完璧なメカほど、ちょっとした電磁波でも破壊されてしまうとして、ギギの妨害で全て使用不能になるが、
そういう電磁波に対する備え等を全て済ませてこそ完璧と言うのではないだろうか?
それにしても新アイテム紹介でありながら全く活躍しないのは問題あると思う……。
今日のEYES
は妙に攻撃的。確かにギギはサワグチ女史の研究施設を占拠して研究員を捕らえた。
他の特別チームなら攻撃してもなんら違和感は無いのだが、いつもは怪獣保護チームとして攻撃に慎重なEYESが悩む事無く攻撃すると疑問が湧いてくる。
ワロガ並みの悪意とコミュニケーションの無さがあればともかく、今回のギギはまだ武力以外の解決の可能性があったと思えてならない。
それともワロガの件で宇宙人は倒すべき悪と言う認識が広まってしまったのだろうか?
今日もフブキ
サワグチ女史の研究施設の通信システムがダウンし、先に向かったヒウラキャップ達からの連絡も無く、
続いてシノブリーダー達も研究施設に向かうが到着しても何の異常も感じられなかった。
しかし、フブキ隊員は「気に入らねぇ……。静かすぎるぜ」といきなり研究施設に向かって攻撃。
これによって研究施設がギギのシールドで封鎖されている事が判明する。
しかし、いくら建物は狙っていないと言っても、普通、いきなり撃つか? フブキ隊員らしいが……。
サワグチ女史語る
ギギの移住計画を聞いたムサシは勝手だと非難するが、サワグチ女史は人類を飛躍的に進歩させるチャンスかもしれないと交渉役を買って出る。
しかし、ギギのあまりにも上からの物言いにキレ、「我々の解決方法は論理的で完璧」と言うギギの言葉に
「大嘘吐き! 完璧なんて世の中にあるわけないでしょう!」と周りから突っ込み入りまくりな反論を行う。
逆転への展開
ギギによってモデルタウンに捕らわれたムサシ達だったが、ヒウラキャップがラウンダーグリップで外部と通信し、ムサシが人間大コスモスに変身して脱出する。
この間、ギギ達が事態の推移をただ黙って見ていただけなのが不自然。
わざわざシールドを展開して外部との通信を絶ったのだから、ヒウラキャップが通信に成功した時点で何らかの妨害を起こすべき。
ウルトラマンとの初コミュニケーション
コスモスによって元の大きさに戻されたヒウラキャップ達。
ムサシがいない事を疑問に思うが、コスモスは「ムサシ隊員は先に救出した」とフォロー。
そう言えば、ムサシ以外の人間がコスモスと会話するのはこれが初めてだったりする。
それって大雑把って問題?
ギギを倒す為に移送装置を破壊しようとするヒウラキャップ。
サワグチは人類の科学を進歩させる大事な資料として反対するが、ヒウラは「大丈夫。君の才能があればいつか作れるさ」と答える。
ここの展開は良い。でもこの後の完璧に分解してから破壊しないと危険と言うサワグチの警告を無視してヒウラが鉄パイプで移送装置を破壊してしまったのは疑問。
もし大爆発でも起こしたらどうする? それは大雑把や不完全と言うのではなく後先考えない無責任な行動と言う。
事件終わって……
相変わらず不完全だ、完璧だとお互いに言い合う二人。文句を言っているように見えて実は二人とも笑顔。
そして一つの指輪を取り出し、
ヒウラ「まだしていてくれたんだ、俺のリング」、
サワグチ「あなたからの唯一のプレゼントだもんね」、
ヒウラ「でも、俺は一生変われそうにない。そいつの代わりにエンゲージリングを送る日は来そうもないな」、
サワグチ「仕方が無いわ、それがあなただから」。
そう言ってサワグチは左手薬指に指輪を入れてヒウラに見せる。
て、二人とも皆の前でイチャイチャしすぎ。後ろで隊員達がどうすればいいのか困っている。
そこに「おーい!」とのん気な声と共にムサシが二人の間に入ってきてしまう。
空気読めよと言いたくなるが、ムサシのおかげで話にオチが付いた。
指輪
ヒウラとサワグチを語る上で外せない指輪。
苛立ったり助けを求めたり、まだ愛が変わっていない事をアピールしたりとサワグチの心情を上手く表現していた。
今回の話
脚本ではEYESが妙に攻撃的だったり、ヒウラキャップの言っている事がどこか的外れだったりしていて、
演出にしてもギギの設定は映像的に色々遊べたと思うが全体的に単調で変化に乏しかった。
残念ながらイマイチの出来と言う印象。
第18話 「二人山伝説 −戀鬼登場−」
2001年11月3日放送(放映第18話)
脚本 川上英幸 監督・特技監督 村石宏實
「もう止めて! 自分が苦しいだけでしょう!」(シノブリーダー)
怨霊鬼戀鬼
身長 49m 体重 4万8千t
岩手県は香野村の二人山にある刀石に封印されていた怪物。
戦国時代、敵対する二つの国故、愛し合いながらも最後は心中した若殿と姫の魂は結ばれぬまま死んでいった無念で成仏できず、怨霊鬼・戀鬼となって二つの国を滅ぼす。
やがて錦田景竜と言う武士に倒されて二人山の地底に封印され、その怒りを封じる刀石を供えられたが、
時が経ち、ダム建設推進派が刀石を破壊した事で復活し、目の前のものを次々に滅ぼしていく。
科学的兵器が通用せず、ルナモードのフルムーンレクトも効果が無かったが、自然現象を利用したコロナモードのサンダースマッシュで大打撃を受ける。
最後はシノブリーダーの訴えを聞き、自らの過ちを認めて成仏した。
「どうして我らを引き裂こうとする……」。
物語
休暇を利用して香野村にやって来たシノブリーダー。
そこには防衛軍時代に想いを寄せていた、かつての上官である竹越がいた。
「テックダイバー地上モード・ランドダイバー出動せよ!」
感想
シノブの哀しい恋物語
2時間ドラマか昼ドラかと突っ込まれた今回の話。
大人の雰囲気漂わせるシノブリーダーだから出来た話とも言える。
シノブリーダーの過去
フブキ隊員と同じくかつて防衛軍に所属していた事が語られる。
回想シーンで竹越チーフは「命知らずなフライトは勇気とは呼べんぞ! しかし、それがお前の取り柄でもあるな」と評している。
今のシノブリーダーにそのような印象は見られないが、昔はムサシやフブキ隊員のように若さと勢いで突っ走るタイプだったのだろうか?
シノブと竹越親子の物語
来年、高校生になるみどりは現在15歳。
シノブと最後に会ったのは小学生の時、竹越が防衛軍を辞めて妻の故郷に引っ越した4年前だと思われる。
竹越の妻が亡くなったのは7年前で竹越33歳、シノブ21歳、みどり8歳。
シノブが竹越の事を男として意識し始めたのは妻が亡くなった翌年、
そしてシノブが防衛軍を辞めてSRCに参加したのは3年前で竹越が防衛軍を辞めた次の年となっている。
流れる時
あっという間に過ぎ去った二人の時間について語るシノブと竹越。
「7年とか4年とか、いっぱい数字が飛び出すなぁと思って。……私は6年目です。
厳しくて、口煩いだけだと思っていた上官が、それだけの存在じゃなくなってから……6年目です」。
お子ちゃま・アヤノには出せない、大人・シノブだからこそ出せる雰囲気。
この言葉を受けて竹越は妻の死後、シノブには色んな意味で助けられたと述べるが、色んな意味とはどういう意味かとつい邪推してしまう。
ウルトラシリーズでも実にきわどい二人の関係。
一応、シノブが竹越に惹かれ始めたのは妻の死後となっているが、シノブ役の坂上香織氏は不倫だっただろうと考えているらしい。
惹かれ始めて6年目と言う言葉は竹越に気を使ってであろうか?
妻を亡くして落ち込む竹越チーフに向かってシノブがいつまでも悲しみを引きずらないように訴え、カッとなった竹越がシノブを叩く場面はどこぞのドラマかとツッコミたくなる。
夏休み争奪戦の結果
くじ引きで決められた休暇を取る順番。これは「動け! 怪獣」を受けての話。
一番最後になってしまったアヤノ隊員の休暇はまだまだ先。まさか本当に夏休みが秋休みになってしまうとは……。
アヤノ隊員はシノブリーダーの恋物語を妄想し、独り勝手にイラついたりと飽きる事無く騒がしい。
それを見た男性陣はもう一度インキュラスに取り憑かれて眠り続けてもらおうかと冗談を言う。
『ティガ』以降、前の話を受けての会話や設定がところどころ登場するようになっているが、今回に限って言えば、インキュラスの話を持ち出す必要はあまり無かったと思う。
開発の象徴と未開の象徴
二人山には古くから戀鬼と呼ばれる怪物が地底に封印されていると言う伝説があるが、
それを迷信としてダム建設を進めようとする自治体と
世界各地で怪獣が出現している今、迷信として片付けるわけにはいかないとする地元住民とが対立。
昔からよく描かれる構図だが『ファーストコンタクト』で伝説で語られていた呑龍が復活した話を踏まえて怪獣出現と怪物の伝説を繋げていたのが細かくて良かった。
又、地元住民はあくまで刀石のある場所に建設するのに反対しているのであって、ダム建設自体には反対していないと言うのも意外と今までに無かった展開だった。
ただダム建設の話自体はこの手の怪奇もののお約束として語られた後は特に展開される事無く終わってしまう。
真夜中に刀石を破壊してしまうダム建設推進派や戀鬼復活に怯える住民の姿もあまりにステレオタイプで、取ってつけた感じがして残念。
ランドダイバー登場
二人山の地下に何か巨大な生物がいるとしてランドダイバーが遂に登場。
訓練以外では初めて動かすと言うフブキ隊員の発言を聞き、ドイガキ隊員は若葉マークを付けた方が良いんじゃないかとアドバイス。
因みに後にアヤノ隊員が初めてテックサンダーを操縦する時にはちゃんと若葉マークが付けられていた。律儀。
ところでドイガキ隊員はフブキ隊員がランドダイバーを実戦で操縦した事が無い事に驚いていた。
ドイガキ隊員はフブキ隊員より前にEYESに入隊しているのでフブキ隊員がランドダイバーを操縦した事があるかどうか分かっていると思うのだが……。
又、ランドダイバーの配備された時期が最近ではないとしたら、スピットルやモグルドンの時に何故使わなかったのかと言う疑問も出てきてしまう。
予告で堂々と登場が謳われていたランドダイバーだったが大した活躍も無く終わってしまい、ぶっちゃけ、無くても話になんら支障が無い。
むしろ、シノブと竹越親子の話に関わる時間を減らしてしまっているので逆に登場しない方が良かったと思う。ドリル好きなんだけどなぁ……。
よみがえる鬼再び
戀鬼復活は辺りに立ち込める霧、おどろおどろしい音楽、不気味な唸り声、甲冑の音と雰囲気満点。迫ってくる場面などかなり恐い。
尚、戀鬼を封印した武士としてかつて『ティガ』で宿那鬼を封印した錦田景竜の名前が語られている。
脚本は同じ川上氏だが、錦田景竜再登場を促したのは丸山プロデューサーの方らしい。
ただ個人的には世界観の違う『コスモス』では『ティガ』の再利用はせず、オリジナルの設定を作ってほしかった。
時を超える訴え
恨みの声を上げて破壊を続ける戀鬼を見てシノブが秘めた想いを吐露する。
「もう止めて! 自分が苦しいだけでしょう!
あなた達は逃げたんじゃないの! 自ら命を絶って! そんな人達がどうして人を憎めるの?
いつの時代だって恋をするって大変な事なの。皆が……悩んで、苦しんで、そして傷付いたりしているの!
自分の恋が成就しないからって……、他の人を傷付けるなんて酷いよ……。誰よりも……自分に哀しいよ……」。
さすがに説得力あるなぁ……。
シノブの言葉に気付かされた戀鬼は苦悩の末に消え去り、若殿と姫の魂は天へと成仏していった。
決着の時期
若殿と姫の魂が恨みから解き放たれたのを見届け、シノブも竹越との別れを決意する。
竹越に向かって姿勢を正し、敬礼を送るシノブリーダー。
シノブ「思い出を……ありがとうございました」、
竹越「君の……幸せは?」、
シノブリーダー「TEAM EYESの一員である事」。
今回の話、父には幸せになってほしいが母を忘れる事が出来ず、父の事も愛していたみどり。
シノブの気持ちに答えようとするも亡くなった妻の願いに答えようと妻の故郷で生きる事を誓った竹越。
竹越に想いを寄せていながら、みどりの気持ちも竹越の妻への想いも感じていたシノブ。
最後、シノブが竹越に別れを告げるのは必然だったと言える。
そして一つの物語に決着が付いた。
冒頭、列車で香野村にやって来たシノブをみどりが出迎える。
表面上は明るく話していても二人の間には見えない壁が感じられて何とも気まずかった。
そして事件が終わり、列車で帰るシノブをみどりが見送りに来る。
お互いの想いをスッキリさせたからか、二人の間に壁は無く、そこには心からの笑顔だけがあった。
因みにムサシは帰るのならシェパードで送ると言うが、シノブリーダーに今は気の無い男とドライブする気分じゃないと一蹴される。
何があったのかさっぱり分からず、一人寂しくシェパードで帰る事になるムサシ。
前回もそうだったが、ムサシって空気が読めない……。
色々な疑問点
まず今回は2日間の話なのだが、ダム建設推進派が夜中に紛れて刀石を破壊する為だけに夜中の場面を入れたとしか思えず、
せっかく夜の場面があるのにシノブと竹越親子の話が全く無かったのは残念。
又、夜中の場面を一度挟んでいるので刀石を破壊してから戀鬼が復活するまで半日近く経っていて、
それだけの時間、ダム建設反対派が刀石の破壊に全く反応しないと言う不自然な状況になっている。
他にもクライマックスであるシノブの戀鬼への説得場面にも疑問点が少しある。
辛い恋をしているので説得力あるのだが、それまでシノブと戀鬼の物語の接点が全く無い。
(戀鬼に関する説明はシノブのいない司令室で、ヒウラキャップによって行われている)
全国的に知られている話らしいので、シノブが前から戀鬼の話を知っていたと考えられるが、やはりここは何らかの接点を作っておいてほしかった。
さらに言うなら、それ以外にも細かいが結構致命的な部分があった。
戀鬼が父の研究所に迫っている事を知り、たった一人の肉親である父を助けに行こうとするみどりを、シノブリーダーが避難所に連れて行くようムサシに命令して竹越の救助に向かう場面。
その次の場面、ムサシの近くにみどりはおらず、ムサシはコスモスに変身。
さらにその後、戀鬼に襲われるシノブリーダーと竹越の所にみどりがやって来る。
おいおい、ムサシはみどりを避難所に連れて行けと命令されていなかったか?
これではシノブリーダーの行動が全く意味が成さない。
(シノブリーダーがシェパードで移動しているのにみどりが追いついているのも不自然だが)
今回の話はどうも全体的にバラバラでまとまりが無く、色々な疑問点が目に付いてしまった。
戀鬼の雰囲気とシノブリーダーの渾身の訴えが良かっただけに残念。
第19話 「星の恋人 −アングリラ登場−」
2001年11月10日放送(放映第19話)
脚本 梶研吾 監督・特技監督 八木毅
「復讐と破壊は何も生み出さない!」(春野ムサシ)
ミゲロン星人
軍事衛星アンジェリカに宇宙船を破壊され、恋人のレカを失ったレダは地球人への復讐を誓い、
アヤノ隊員を操り、エイジャーMAXを使ってアンジェリカをジェルミナVと衝突させようとする。
ブレスレットから電撃を発して相手を気絶させ、さらにコントロールする事が可能。
アンジェリカの攻撃を受けた時に自身も深い傷を負っていて、怒りと憎しみの情念をアングリラに変えて地球人を襲わせた。
しかし、ムサシの訴えやコスモスの行動に迷いが生まれ、最後はレカの魂の訴えを聞き入れ、残された力を使ってアンジェリカとジェルミナVの衝突を回避させた。
全てが終わった後、レダとレカの魂は光となって宇宙へと帰っていった。
「地球人の命を……花の代わりに……彼女に捧げる……」。
情念化身獣アングリラ
身長 70m 体重 8万2千t
レダが自分の怒りと憎しみの情念を1匹の怪獣に変えたもの。
辺りを闇に包み、目から放つ破壊光線で地球人を襲う。
レダの感情に乱れが生じたところをルナモードのフルムーンレクトを受けて昇天した。
名前の由来はアングリー(怒り)+シャングリラ(楽園)から。
物語
旧軍事衛星アンジェリカの誤作動が問題になる中、トレジャーベース施設見学日に謎の人物が現れる。
彼の目的、その正体は……。
「宇宙に廃棄処分されたコントロール不能の軍事衛星アンジェリカが宇宙の地雷となった時」
感想
ゴールの見えないマラソンを走り出す時
ムサシがレダに訴えた「復讐と破壊は何も生み出さない」と言う言葉が直前に発生した9・11事件とその後の対テロ戦争と重なり、話題を呼んだ話。
製作時期を考えると9・11事件以前なので、スタッフは意識していたわけではないのだが、
この時期、世界を覆っていた「報復」と言う考えは『コスモス』における対カオスヘッダー戦に少なからず影響を及ぼしていく。
アヤノ姉さんと弟ムサシ? ムサシ兄さんと妹アヤノ?
買い物をするムサシとアヤノ隊員。
と言ってもデートと言うより単なる荷物持ちと言った雰囲気でかつてのフジ隊員とイデ隊員の関係を思い出す。
やたらとお姉さんぶるアヤノ隊員だが言動がまるっきり子供なので、おマセな妹に見えてしまう。
でも好みの服があるからと言って道路に飛び出してしまうのは危ない。レダが助けていなければ轢かれていたぞ。
不要軍事衛星の行方
2004年に地球平和宣言が採択された時に軍事衛星は宇宙に廃棄処分されたのだが、それは宇宙に地雷をばら撒く行為に他ならなかった。
ムサシは人類も宇宙のマナーを守るべきと撤去を求めるが莫大な予算が壁となって遅々として進まず、今回、遂に恐れていた事態が起きてしまう。
地球平和宣言が採択されたのは地球における人類同士の争いが減少したからだと思われるが、やがて怪獣や侵略者の増加を理由に2013年に軍事衛星の再配備が行われてしまう。
『ファーストコンタクト』で渡辺先生が掲げたファミリー・オブ・マンを広げたファミリー・オブ・スペースが実現するのはまだまだ先…。
トレージャーベース施設見学日
一般の人にEYESの仕事を理解してもらう為に定期的に催されている。
このオープンさがEYESらしいが侵略者に対して警戒が弱いのも事実。
アンジェリカは軍事衛星なので素直に考えれば防衛軍管轄なのだろうが、レダがEYESを狙ったのは防衛軍に比べて警備が手薄だったからだと考えられる。
ところで案内係はEYES隊員が順番で担当しているようだが、フブキ隊員の案内がどういうものか見てみたい。
忘れられていなかった
ムサシとアンジェリカの誤作動について話を終えた後、ドイガキ隊員は植物班に寄っている。
忘却の遥か彼方に追いやられていたかと思いきやスタッフはちゃんと覚えていた。嬉しい。
「やっぱり、これって……運命かも……」
車に轢かれそうになったところを謎の男性に助けられたアヤノ隊員。
施設見学日に男性と再会し、さらに向こうから声をかけられて有頂天。
しかし、地球人への復讐を胸に秘めた男性、レダに操られてしまう。「乙女の眠り」に続いて男運が無い……。
案内係の職権を乱用してレダに近付く女性を追い払ったり、
「アヤノ、お前は美人だ。スタイルだって……イイ。どんな男の人だって一撃KOだ! よし! 戦闘準備完了!」と鏡に向かって自分を奮い立たせたりと
たとえ男運が無くても恋する女性は逞しい。
レダの苦しみ ムサシの記憶
恋人を失ったと言うレダの告白を聞いてショックを受けるムサシ。
考えすぎかもしれないが、レカを失ったレダにかつてレニを失った自分を重ねたのかもしれない。(ジェルミナVが出てくるし)
ワロガの件で侵略者に厳しく対処するようになったムサシだったが、今回の件が理由からか、今後は相手の宇宙人の事情も考えるようになる。
レダの疑問 ムサシの苦悩 レカの訴え
ムサシが変身したコスモスはレダが生み出したアングリラと戦うが何故か反撃しない。
そんなコスモスの姿にレダはムサシが訴えた「復讐と破壊は何も生み出さない」と言う言葉を思い出す。
その時、レカの魂がアヤノ隊員の体に宿ってレダを説得する。
レカ「レダ……、私、あなたにこんな事してほしくない」、
レダ「僕は……君の為に地球の奴らに復讐してやろうと……」、
レカ「そんな事をしても何もならない! ミゲロン星と地球の間にまた新しい悲劇が生まれるだけ。私達みたいに……。レダ、お願い……!」。
アンジェリカ衝突0秒前!?
アングリラが昇天した後、コスモスはコロナモードになって宇宙へ。
今回は戦いのメインの相手が怪獣ではなく軍事衛星。
他のシリーズだと異色になるが『コスモス』ではそれほど違和感が無い。
レカの訴えを聞いたレダは残された力をブレスレットから放出してアンジェリカとジェルミナVの衝突を回避。
そこにコスモスがやって来てブレージングウェーブでアンジェリカを消し去る。
て、コスモス、衝突予定時間に間に合っていない! レダがアンジェリカの軌道を変えていなければ爆発していたぞ。
ムサシとアヤノの物語
宇宙へと帰っていったレダとレカの魂。
意識を取り戻したアヤノは自分の中にレカの心があった事を感じる。
様々な想いを抱えたまま振り返った時、そこにはムサシがいた。
ムサシの胸に飛び込むアヤノと黙ってそれを受け止めるムサシ。
「星空の彼方で二人はきっと……幸せになるわよね?」。
アヤノの問いかけにムサシは静かに頷く。
「レダ……私達……いつまでも一緒ね」、「あぁ……、いつまでも……一緒だ……」。
星空に一つの光が輝いた。
ヒウラキャップ語る
事件解決後、皆で星空を見上げる中、ヒウラキャップは語る。
「宇宙は我々人類だけのものじゃない。命あるもの全ての故郷なんだ。その事を決して忘れてはいけない」。
ところで今回のエンディング、ヒウラキャップの場面はNGシーンのように見えるが……?
ウルトラシリーズデビュー作
今回の話は脚本の梶研吾氏のウルトラシリーズデビュー作。
後の作品では脚本だけでなく監督も担当している。
ウルトラシリーズ以外では漫画原作や小説、プロデューサー等、様々な仕事を手がけている。
第20話 「ムサシの空 −ボルギルス登場−」
2001年11月17日放送(放映第20話)
脚本 林壮太郎 監督・特技監督 八木毅
「TEAM EYESの仲間達と全力を尽くします!」(春野ムサシ)
電撃怪獣ボルギルス
身長 53m 体重 5万9千t
テクノプラズマを食料としていて、2ヶ月前に動力部が作られたパリを、
1ヶ月前にテクノプラズマキネティックシステムの最終テストが行われた上海を襲い、
日本でもテックブースターの最終調整が行われた宇宙開発センターを襲った。
背中にある角でレーザーネットやテクノプラズマを吸収し、長い尻尾で攻撃してくる。口から火球を放つ。
コスモスにテクノプラズマ700年分の高エネルギーを与えられておとなしくなり、鏑矢諸島に送られた。
行動は『Q』のパゴスをモデルにしているが、デザインはプードルがモデルっぽい。
物語
オーバーワークで倒れながらも怪獣保護の為に無理を続けるムサシ。
そんな折、木本博士からテックブースターの最終調整の為に宇宙開発センターに戻ってきてほしいとの話が。
ムサシは、EYESはどうする?
「宇宙への夢か、EYESとしての怪獣保護か。ムサシ決断の時」
感想
ムサシの過去・現在・未来
『ファーストコンタクト』の木本博士を再登場させて過去のムサシの夢だった宇宙飛行士の話を出しながら、
EYESと共に行う怪獣保護と言う現在のムサシの気持ちを再確認させたTVシリーズでも大事な話。
尚、『ファイナルバトル』で描かれる未来のムサシは宇宙飛行士と怪獣保護、両方の夢を頑張っている。
倒れるムサシ
オーバーワークで倒れてしまったムサシ。
後に復帰した時、ドイガキ隊員の人工呼吸で一命を取り留めた事を聞かされて本気で嫌な顔をする。
気持ちは十分に分かる。画面越しでも十分きつかったし。
因みに倒れたムサシを抱えて運んだのは実はフブキ隊員。でも素直じゃないので決して明かさない。
ムサシは新見医師の忠告を無視して無理して任務に復帰するが再び倒れてしまう。
自分の身を顧みずに怪獣保護を頑張るその気持ちは尊敬できるが、体を壊してしまったら皆に迷惑をかけてしまう上、
動けなくなった分、保護出来なくなる怪獣も出てしまい、結果的に最も悪い結果に陥ってしまう恐れがある。
今日のフブキ隊員
倒れたムサシを抱えて運んだり、ヒウラキャップに呼び出されたムサシの事が心配でわざとらしい演技をしてシノブリーダーに突っ込まれてあたふた弁明したり、
今日のフブキ隊員はなんか妙に可愛い。
新見医師怒る
休み無く出現する怪獣の為に自分が休むわけにはいかないと無理を続けて再び倒れてしまったムサシ。
診察した新見医師の口調が優しいながらもかなり恐い。こういう人は怒らせてはいけない。
ムサシとヒウラ
宇宙開発センターがムサシを必要としている事を告げるヒウラキャップに対し、ショックを受けたムサシは皆と一緒に怪獣保護を続けていきたいと必死に訴える。
しかし、後に木本博士はヒウラキャップは本当はムサシにEYESに残ってもらいたかったが、
このまま怪獣保護を続ければムサシがまたオーバーワークで倒れてしまう事を心配して苦渋の決断で宇宙開発センターに送り出した事を明かす。
ヒウラキャップに直接語らせるのではなく、木本博士を介して語らせた事で逆にヒウラキャップの様々な考えを感じ取れるようにしたのは上手い。
ムサシとフブキ
「自己管理も出来ん奴が保護とか偉そうに怪獣の心配なんかしてんなぁっ!!!
ま、TEAM EYESを辞める奴に言っても仕方が無いな。戻るんだろう、宇宙開発センターに。
自己管理も出来ない上に足引っ張る奴はここには必要ねーからな」。
再び倒れてしまったムサシに向かって厳しい言葉を投げかけるフブキ隊員だが本音はムサシを心配しての事。
本当はムサシと離れたくないのに不器用な男だ。
この時の厳しい口調ながらも底に優しさを秘めた叫びやムサシとの別れを思っての涙目やムサシ復帰に思わず出た微笑み等、
この時期になるとフブキ隊員のキャラクターと市瀬秀和氏の演技がガッチリ合わさって名場面がどんどん生まれていく。
ムサシとドイガキ
宇宙開発センターに戻る事になったムサシに対し、気まずくなったドイガキ隊員はボルギルスが出現する理由を尋ねる。
一方、ムサシは怪獣を出来るだけ無傷で保護できる方法を考えてまとめたノートをドイガキ隊員に託す。
怪獣の生態について話すドイガキ隊員と怪獣保護を夢見るムサシの違いがさりげなく描かれていて面白い。
ムサシとアヤノ
いよいよトレジャーベースを去るムサシを廊下で待っていたアヤノ隊員。
ムサシ「僕を待ってたの?」、
アヤノ「本当に行くの?」、
ムサシ「開発センターで僕は必要とされているから……」、
アヤノ「強がっちゃって……。皆と別れて平気なの?」、
ムサシ「……じゃあね」、
アヤノ「怪獣達にも、ムサシ隊員が必要なんじゃないのかな?」。
その言葉にムサシは一瞬立ち止まるが、振り返る事無く、そのまま去って行ってしまう。
そんなムサシの後姿を見てアヤノ隊員が呟く。
「私だって……」。
「乙女の眠り」や「星の恋人」でもムサシとアヤノ隊員の話が描かれていたが、この辺りから二人の間に特別な感情が入ってくるようになる。
ムサシとシノブ
だけが何故か何の話も無い。ムサシがEYESに入隊して最初の話がシノブリーダーとの話だったので残念。
今回の話が尾を引いたかどうかは分からないが、この後、シノブリーダーとムサシの話は殆ど無くなり、
結果、シノブリーダーはムサシとコスモスの関係に気付く事無く、脇役に回ってしまう事になる。
「カオスヘッダーの影」を見る限り、一番最初に気付いてもおかしくない位置だったのだが……。
木本博士再登場
『ファーストコンタクト』に登場したトロイトータルが懐かしくて感激。
ムサシを呼び戻した宇宙開発センターの研究顧問はなんと木本博士。
驚くムサシに「オモチャ作りに引退は無いからね」とさらりとかっこいい言葉をかける。
テックブースターを「今度のオモチャは宇宙へも行けるんだ」と説明するのがらしくて面白い。藤村俊二さんのキャスティングが最高!
しかし、『ファーストコンタクト』に比べてTVシリーズのメカは遊び心が少なくなっているので、木本博士の意見がSRC内でも通らなくなってきているようにも思える。
この後に登場するメカもオモチャ的な部分が外されて攻撃的な部分が強化されていくが、木本博士はどう思っているのだろう……?
尚、『ファーストコンタクト』に登場したオリジナルセブンのうち再登場したのは今回の木本博士と『ブループラネット』のキド隊員だけ。
キョウコ隊員も再登場してほしかった……。
保護か排除か
ボルギルス接近により職員を避難させる事になった宇宙開発センター。
この時、木本博士は機械は破壊されてもまた作ればいいと述べるが、職員はテックブースターを破壊されるわけにはいかないと防衛軍に怪獣の排除を要請しようとする。
ワロガ事件で人間の怪獣に対する対処は厳しくなってきていて、今回も近くに元EYESの隊員がいながら、SRC職員はEYESへの怪獣保護ではなく防衛軍への怪獣排除を選択している。
EYESの決意と変化
EYESはテックサンダーのプラズマウェーブでボルギルスを引き寄せようとするが、すぐ近くの宇宙開発センターにテクノプラズマがあるせいか囮に喰い付かない。
そこでヒウラキャップは地上に降りて誘導弾でボルギルスを引きつけようとする。
「これ以上開発センターに近付かせない。俺達の大切なものを守るんだ。それを守りながら怪獣も保護する。TEAM EYES、オペレーション!」。
ヒウラキャップの言葉にEYESの皆はムサシの事を思い出し、難しい注文としながらも成功させようと奮起。
「カオスヘッダーの影」と比べるとEYESの士気がかなり変わった事が分かる。ムサシの入隊は無駄ではなかった。ヒウラキャップ慧眼!
ムサシの選択と決意
「怪獣を保護してテックブースターも守ります。両方守らなきゃ意味が無いんです! TEAM EYESを信じて任せてください!」。
ムサシはEYESの隊服に袖を通し、意図せずヒウラキャップと同じ言葉を発していた。
ムサシの今、心のある場所を認めた木本博士が語りかける。
「やっぱり戻るのかい? ……。君が正しいと思うのならそうしなさい……。後悔しないように……君の道を進みなさい。怪獣を保護して、テックブースターも守ってください」。
元気に答えるムサシだったが、それを見送る木本博士は少し寂しそうだった。
宇宙飛行士は怪獣保護より昔から見ていたムサシ最初の夢。さらに子供時代の恩師である木本博士からの誘い。
その上で宇宙飛行士より怪獣保護を選んだ事でムサシの決意が固まった。
EYES全員集合!
フブキ「絶対に止めてやる!」、
アヤノ「これ以上は行かせない!」、
ドイガキ「負けるわけにはいかない!」
シノブ「私達なら出来る!」。
決して諦めない皆。そしてヒウラキャップがボルギルスに襲われて危機一髪のところにムサシ到着!
「TEAM EYES隊員、春野ムサシ、配備に付きます!」。
ムサシの決意の宣言を聞いたヒウラキャップは自分のヘルメットをムサシに托す。
人知を尽くした時、天命来る。
EYESの危機にムサシはコスモスに変身。
コスモスはボルギルスにテクノプラズマ700年分の高エネルギーを与えておとなしくさせる。
700年分と言う量が凄いが、コスモスは普段から宇宙を飛び回っているので、それを考えたら当然のエネルギー量かもしれない。
しかし、今回のようにコスモスが人間離れした奇跡を見せて事態を解決すればするほど、人々はコスモスに依存していってしまう。
ムサシ、再びEYESへ
EYESに戻ったムサシだったが、どういう顔をすればいいのか戸惑う。しかし、
ヒウラ「ムサシ、胸張って入って来い!」、
アヤノ「お帰り、ムサシ隊員」、
シノブ「お帰り」、
ドイガキ「またよろしくな」、
フブキ「よ」。
と温かく迎え入れてくれた仲間達にムサシも笑顔で応える。
「これからもよろしくお願いします!」。
そしてムサシ2度目の入隊を記念して皆で写真を撮る事に。
呆れながらもちゃっかり髪を直しているフブキ隊員がさりげなくGood!
今回撮った皆の写真は次回の「テックブースター出動せよ」で一人地球に残ったアヤノ隊員が宇宙に出動した皆を想う場面で使われた。
ウルトラシリーズデビュー作
前回の梶氏に次いで今回は脚本の林壮太郎氏がウルトラシリーズデビューを飾っている。
第21話 「テックブースター出動せよ(前編) −カオスパラスタン登場−」
2001年11月24日放送(放映第21話)
脚本 梶研吾・林壮太郎 監督 根本実樹 特技監督 佐川和夫
「一致団結すれば絶対にやり遂げられるはずだ!」(ヒウラキャップ)
カオスパラスタン
身長 67m 体重 7万7千t
遊星ジュランに降り立ったEYESの前に現れた。
無数の光の粒子で作られていてカオスヘッダーに取り憑かれている。
口から火球を吐き、角から電撃を放射する。
両手から放つ光の塊でテックブースターの飛行バランスを崩し、コスモスの眼を眩ませる。
物語
遊星ジュランの調査を行っていたミツヤが通信不能になり、ジュランが地球目掛けて迫って来た。
防衛軍が超高性能ミサイルによるジュラン爆破を進める中、EYESはテックブースターでミツヤ救出に向かう。
「TEAM EYESはテックブースターで宇宙へと飛び立つ!」
感想
『コスモス』2度目の前後編
放映時は大事な話かと思いきやあまりそうではなかったと思ったが、全てが終わった後に振り返るとやはり色々と大事な話だった。
オープニング変更
新メカ・テックブースター登場でオープニング映像も一部変更。
又、オープニング前にその回のハイライトを流すようになった。
最初に見た時はいきなりコスモスとカオスパラスタンの戦いが始まっていて、ビデオ録画を間違えたのかとかなり焦った。
遊星ジュラン
1000年に一度、太陽系にある軌道上を通過する遊星ジュラン。
生命反応が捉えられてSRC宇宙開発センター探査部が宇宙レベルの生態系を調べる為に調査を行う。
ジュランの大気組成は地球に極めてよく似ていて知的生命体とのコンタクトにも期待がかかった。
結局、パラスタン以外の生命体はいなかったが『ファイナルバトル』でネオユートピア計画としてジュランの生態系が回復され、地球怪獣の移住先となる。
今回のジュランは太陽系内に侵入する遊星、入り込んだ探索者を怪獣が襲う等、どこか『ダイナ』の「幻の遊星」を思わせる。
ムサシの親友&ライバル
宇宙開発センターの同期でムサシのライバルとも親友とも言える存在、ミツヤ登場。
どちらが先に宇宙に行けるか勝負していたらしい。回想シーンでは見ていて恥ずかしくなる青春時代を披露。
二人の演技力にかなり難があり、台詞に力を感じられなかったのが辛い。
話の中心にいるのだがミツヤの影は哀しいほど薄く、いなくても話が成立できた気も……。
色々使える位置だと思うのだが、残念ながら上手く活用できていなかった。
防衛軍の対応
地球に向けて軌道を変えたジュランを超高性能ミサイルで爆破する事を決定した防衛軍。
地球に迫る天体をミサイルで爆破する話はウルトラシリーズではもはやお約束レベルになっているが、
今回はそれにミツヤ救出の為にEYESがテックブースターでその天体に向かう展開が加えられている。
横暴なイメージのある防衛軍だが佐原司令官と宍倉副司令官には強硬的な態度は見られなかった。
二人はジュランに向かうEYESを心配したりと決して冷徹ではない温かみのある部分を見せていたが、
怪獣への対処でSRCと対立している以上、こういう甘い対応では難しかったか、後に強硬派の西条参謀が前面に出てくるようになる。
EYES宇宙へ
無事に地球に帰還できる保証が無くともミツヤ救出の為に命がけのオペレーションを実行するEYES。
超高速の宇宙飛行を可能とするSRCが誇る最新鋭の大型宇宙メカ・テックブースターで宇宙に出て、テクノプラズマ・キネティックシステムを発動させて一気にジュランへと辿り着く。
しかし、『ティガ』のアートデッセイ号や『ダイナ』のネオマキシマに比べると迫力不足の感は否めない。
宇宙に出たムサシの「これが……夢にまで見た宇宙か……」や宇宙は勝手が違うとメインコントロールをムサシに託すフブキ隊員等、
ムサシが宇宙飛行士を目指していた設定をちゃんと描いているのが嬉しい。
「任せたぞ」や「さすがに宇宙の操縦は上手いもんだな」等、今回はさすがのフブキ隊員もムサシの腕を認めている。
第22話 「テックブースター出動せよ(後編) −カオスパラスタン パラスタン登場−」
2001年12月1日放送(放映第22話)
脚本 梶研吾・林壮太郎 監督 根本実樹 特技監督 佐川和夫
「地球内だけじゃ飽き足らず、奴らは宇宙からも地球を攻撃し始めたって事かよ」(ミツヤ)
カオスパラスタン
身長 67m〜68m 体重 7万7千t〜7万8千t
カオスヘッダーがパラスタンに取り憑いた魔獣。口から光弾を吐く。角を破壊されても再生できる。
ルナモードのルナエキストラクトによってパラスタンと切り離されるが、サブスタンスと言うさらに強力になったコピー体が作られる。
コロナモードのソーラーブレイブキックで角を破壊され、ネイバスター光線で止めを刺された。
尚、ナレーションでは「遊星怪獣」と言う肩書きが紹介されている。
遊星守護獣パラスタン
身長 65m 体重 5万5千t
ジュランを掌る守護獣。
カオスヘッダーに取り憑かれるがルナモードのルナエキストラクトによって解放される。
コスモスのエネルギーを与えられて復活し、コスモスと共に神秘の光でジュランの軌道を修正する。
コスモスにお礼を述べて聖光となった。
物語
ミツヤ救出に成功したEYESはジュランが過去にもカオスヘッダーに襲われていた事を知る。
防衛軍による超高性能ミサイル発射が近付く中、カオスパラスタンがEYESの行く手を阻む。
「テックブースター、グラップアーム起動! ミラーズシールド放射!!」
感想
テックブースター活躍
カオスパラスタンに苦戦するコスモスを見て、テックブースターはグラップアームで殴りつけ、
ミラーズシールドで電撃を弾き、カオスパラスタンの角を破壊して一時退却に追い込む。意外と強いぞ!
『コスモス』では宇宙が舞台になる話が少なく出番があまり無かったのが残念。もっと活躍してほしかった。
テックブースターはトロイに比べるとギミックのインパクトが弱くなっていてちょっと物足りない。
グラップアームを見て、いつかスーパー戦隊シリーズみたいな巨大ロボットが出てくるのかなと思ったが、さすがにウルトラシリーズでは出てこなかった。
カオスヘッダーに滅ぼされた星
ミツヤが見付け、アヤノ隊員が解読した遺跡の石碑に書かれている内容は次の通り。
「我ら異星から来てこの星に文明を起こす。
だが、空から来た悪の光、星を掌る守護獣を魔獣に変え、地上に天変地異を招き、星の軌道を変えた。
文明を破壊され、力の無い我らの前に光の巨人が現れ、悪の光を打ち倒した時、魔獣、守護獣に戻る。星の軌道も元に戻った。
我ら、この星を去るに至って後の探索者達に奇跡を伝える為にこれを記す。災いの際に役立つ事を祈って」。
カオスヘッダーに襲われ、光の巨人に助けられたジュランは地球の未来の可能性。
今回はあまり強調されていないが、光の巨人をもってしてもジュランの滅亡は防げなかった。
この要素は後にコスモスの戦う理由として「地球の悲鳴」で再び取り上げられる事になる。
今回のカオスヘッダー
パラスタンに取り憑く事でジュランと言う星そのものにも影響を及ぼせるようになったカオスヘッダー。
地球内だけでは飽き足らず、宇宙にあるものも使って攻撃してきた今回はカオスヘッダー関連で一番スケールの大きい話だった。
今回のカオスヘッダーは光の粒子状態で赤い光弾を撃ってきたり、一度作ったカオス怪獣をさらに強力なサブスタンスにしたりと段々と強力になってきている事が分かる。
VSカオスパラスタン
最後の戦闘は一進一退の攻防がテンポ良く繰り広げられていた。
タイムアタックものなのでこれくらいのスピードは欲しい。
カオスパラスタンの蹴り上げた岩塊がヒウラキャップ達を襲う場面は本編と特撮が上手く繋がっていた隠れた名場面。
こういう場面はもっと増やしていってほしい。
今回の話
EYESの新メカ登場やカオスヘッダー関連の設定の整理等、メインに関わる話なのだが全体的にイマイチ。
脚本的にはあまり山場が感じられないし、爆破まで残り何分と言うタイムアタックものでありながら本編の演出が間延びしていて緊張感が感じられない。
特撮部分も全体的に軽く、迫力不足だった。
第23話 「ルナ対ルナ −ゲルワーム登場−」
2001年12月8日放送(放映第23話)
脚本 荒木憲一 監督 北浦嗣巳 特技監督 佐川和夫
「ドッペルゲンガー!?」(ムサシ・フブキ・カスミ)
変幻生命体ゲルワーム
身長 65m 体重 6万7千t
法勢大学を騒がせていたドッペルゲンガー事件の真相。
生物のDNAをコピーして噛んだ人間の姿を借りられるが長時間維持する事は出来ない。
法勢大学の鉱物研究室に保管されているカトラ隕石の中に2匹いた。怪電波でお互いに意思を伝え合う。
青いゲルワームは途中で隕石から落ちてしまい、人間の姿を使ってピンクのゲルワームのもとを目指す。
バイオ工学研究室の人工細胞を増殖させる液化ガスを浴びて巨大化する。
コスモスとの戦闘の後、ピンクのゲルワームと再会し、隕石に乗って宇宙に帰っていった。
にせウルトラマンコスモス
身長 47m 体重 4万2千t
ゲルワームがコスモスの姿を借りたもの。姿形は全く同じだが光線技は使えなかった。
ルナモードのフルムーンレクトでゲルワームの姿に戻された。
2万5千tの体重が何処に行ったかは突っ込んではいけない。
物語
微弱な怪電波を探る為に大学に潜入したムサシとフブキ先輩はちょっと変わったオカルトっ子・カスミに振り回される。
「そこには自分と同じ顔の幽霊、ドッペルゲンガーが現れると言う噂があった」
感想
今日の『コスモス』世界は平和だなぁ。
冒頭、前後編として壮大なスケールを持った前回の話をあくびに収めてしまう演出が面白い。
テックブースターを無理矢理出した感は否めないが……。
ここのところ重めの話が続いていたので息抜きエピソードとして肩の力を抜いて見られる話。全体に漂うB級っぽさがイイ!
カスミ以外にもさり気に微妙におかしい人達がいる法勢大学は描きこめば結構面白くなった気がする。
(宇宙生物を巨大化させる人工細胞増殖液化ガスがある大学と言うのが凄い)
春風コンビの私服潜入捜査
「フブキ先輩」と呼ぶムサシとフブキ先輩のコンビが妙に似合っている。
隊服を脱いだからか、今日のフブキ先輩はいつもと違ったコミカルな役回り。
実はオカルト話が苦手だと言う設定はベタながらもやはり面白い。
フブキ先輩の前世がミジンコだと知って大爆笑のムサシ。新たなからかいのネタが手に入った感じ。
ただ春風コンビ以外の出番が少ないのが不満。皆も一緒に私服潜入捜査に関わって欲しかった。
(多分、アヤノ隊員は実年齢以上に幼く、シノブリーダーは実年齢以上に大人に見られる)
ドッペルゲンガー(もう一人の自分)
「くだらん。俺達は科学の最先端にいる人間だぞ。非科学的だ」。
ムサシのドッペルゲンガー話を切り捨てるフブキ先輩だが既にイッパイイッパイな感じ。
オカルト話を「くだらない」「非科学的」と返す人物は100%恐がっている。(他は「そんなの信じない」とか)
因みにドッペルゲンガーに驚く警備員は『ダイナ』や『ガイア』でフォーガスやディーンツに遭遇した二家本氏。
今回も怪事件に遭遇しながら無事生還している。
三条寺カスミ登場
白昼堂々現れたドッペルゲンガーを追ってオカルト研究会に足を踏み入れるムサシとフブキ先輩。
ここでオカルト研究会会長、13日の金曜日生まれ、筋金入りのオカルトっ子・カスミが登場する。
ワラ人形で呪おうとしたり、前世が見える水晶占いでフブキ先輩の前世をミジンコと判断したり、怨霊退散のお札と呪文でドッペルゲンガーを退散させようとしたりとなかなかぶっ飛んだ人物。
オカルトっぽい雰囲気のものなら手当たり次第何でもOKな感じ。
他に会員がいないので全部独学でやっていったらとんでもない方向に行ってしまったんだろうなぁ。
実は自分には能力が無い事に気付いているのか、一瞬、寂しい表情も見せている。
この部分は後に再登場する「緑の逃亡者」で取り上げられている。
立ち塞がる障害
ゲルワームに落とされたテックサンダーをなるべく衝撃を与えないように受け止めるのがコスモスらしい。
フブキ先輩がゲルワームは隕石の中にいる仲間を求めている事に気付くが、何故かコスモスは気付かず、仲間に会いたいゲルワームを邪魔する悪役になってしまっている。
「生命の輝き」ではイフェメラの事情を分かっていたのに。ムサシの意思が強くなってきたからであろうか?
VSにせウルトラマンコスモス
ヒーロー物のお約束である偽者話。二人が組み合った時はどちらが本物か全く区別が付かなかった。
ここまで本物と区別が付かない偽者はかなり珍しい。
戦闘はスピーディーで良かったが、CGを使った場面は浮いていてイマイチ。
ハッピーエンド ゲルワーム、宇宙に帰る。
事情を察したフブキ先輩に隕石を返され、仲間と再会できたゲルワームは皆にお礼を述べて宇宙へ帰る。
こういうホノボノしたオチは『コスモス』らしくてホッとする。
でもあの2匹のゲルワームは恋人だったのか、あるいは親子だったのかもと言う会話は「空からのプレゼント」と全く同じだったので考えてほしかった。
デザイナー・杉浦千里
今回登場のゲルワームのデザインは過去にゼアス等のデザインを担当した杉浦氏。
この後、実体カオスヘッダーやエクリプスモード等を担当し、『コスモス』後半を支える存在になると思われたが、残念ながら2001年11月に急逝されている。
ウルトラシリーズデビュー作
本作は様々な特撮、アニメを手がけている脚本家の荒木憲一氏のウルトラシリーズデビュー作。
第24話 「ぬくもりの記憶 −グラガス登場−」
2001年12月15日放送(放映第24話)
脚本 右田昌万 監督・特技監督 原田昌樹
「あいつって……、私にしか……見えないの?」(アヤノ隊員)
電磁魔獣グラガス
身長 60m 体重 5万6千t
神流市に潜んで街中の電磁波を吸収していた。やたらと舌をなめずり回す。
人間大で姿も普通の人間には見えなかったが、EYESの発したアモルファス波を受けて巨大化、視覚化した。
両肩から触手を伸ばし、相手を捕らえて電磁波を流す。両手からエネルギー弾を撃つ。
額に埋め込まれていた石を取り外して活動を開始するが、それを拾った純からアヤノ隊員が受け取り、テックサンダーから口の中へ撃ち込まれて苦しむ。
謝ったふりをして不意打ちをするが、怒ったコロナモードのブレージングウェーブを受けて爆発した。
どこか異星から地球へやって来て、悪さをして何者かに石を埋め込まれて動きを封じられたと言う話や地球エリアの異次元出身と言う話もあるが劇中で明確な説明は無い。
物語
生まれ育った街、神流市に帰ったアヤノ隊員は不思議な少年と出会う。
街中の電磁波が何者かに吸収されると言う事件が起きる中、少年は何度かアヤノ隊員の前に姿を現す。
果たして少年の正体は…?
「ずっと忘れない。幼き日の思い出……」
感想
アヤノ主演話
今回の見所はなんと言ってもアヤノ隊員。書道が特技の鈴木繭果氏がサブタイトルの題字も書いている。
鈴木繭果プロモーションビデオと開き直っている感すらあり、
初心者マーク付きのテックサンダーで出撃したはいいが、マニュアルを読んでいる間に飛行バランスを崩して墜落しかけると言う
他の作品ではありえないアヤノ隊員だからこそ出来る名(迷?)場面を生み出した。
ただ今回の話、アヤノ隊員以外の描写がかなりおざなりになっているのが残念。
藤堂ちかって誰?
アヤノ隊員の友達で高校の時から絶対に待ち合わせに遅刻する彼女。
ほんのチョイ役だが何故かフルネームが設定されている。ミツヤは苗字が無いのになぁ……。
ちかはアヤノ隊員の仕事を恐竜保護と言っていた。
怪獣が出続けて何年か経っているが、それでも怪獣と恐竜の区別はあまり付けられていないようだ。
高杉純の不思議な数日間
交通事故に遭った少年が倒れている自分の体を見ると言うさり気に凄い導入場面から始まる今回の話。
幽霊となって街を彷徨う純の話はウルトラシリーズでは珍しく、ファンタジックで面白い。こういう話は好き。
純が成仏できなかったのは街中の電磁波を吸収するグラガスの影響だったらしい。
そのおかげで純はもう一度生きてみようと言う答えを出す時間を得る事になる。
EYESの作戦失敗
2週間も携帯電話が繋がらなくなってしまった神流市。これは困った人が多かっただろうなぁ。
街中の電磁波がある一点に集束している事を知ったEYESはテックサンダーのアモルファス波で拡散させようとするが、逃げ場を失った電磁波が逆流して神流市の電気製品を破壊してしまう。
この件で作戦を実行したムサシとアヤノ隊員が責められるが、二人は作戦を立てたわけでも、中止命令を無視して作戦を続けたわけでもないので、
責められるとしたら指示を下したヒウラキャップと作戦を立てたであろうドイガキ隊員だと思うのだが。
アヤノと純 繋がらない記憶と手
アモルファス波で電磁波を拡散しようとするEYESだったが、純はアヤノ隊員にグラガスを刺激するから止めるよう訴える。
テックサンダーの操縦席に現れ、他の隊員には見えないと言うありえなさが気になり、アヤノ隊員は調査を開始して純が交通事故で意識不明の重体に陥っている事を知る。
アヤノ隊員と再会した純は子供の時に迷子になった自分をかつてのアヤノが助けてくれた事を思い出して手を差し出すが、
アヤノ隊員がその事を覚えていない事を知り、思わず手を引っ込めてしまう。
純のイきたい道
「いっそ天国に逝けるんだろうって思っていたのに空にあんな奴がいるなんて」とグラガスの事を話す純に対し、
アヤノ隊員は母も心配しているし、そういう事を言うものじゃないと訴える。
それを聞いた純は明日渡したいものがあると告げ、
翌日、アヤノ隊員と純の母親は病院のベッドに眠る純の手に謎の石が握られているのを見付ける。
そして純は呟く。「やっぱ……、もうちょっと生きてみようかな……」。
何か事情を思わせる言い振りだが劇中での説明は無い。
昔、母親に会いに行く途中、涙で地図が見れなくなって道に迷ったところをアヤノに連れて行ってもらったと言う話だったので、
今回も何か涙したくなる事情があって人生を見失った純がこのまま死んでしまっても良いと思うが、
アヤノ隊員によってもう一度生きる道に連れて行ってもらったと言う話にしても良かったと思う。
今回、雰囲気は出ていたのだが明確な説明が無かったので全体的にあやふやな印象になってしまった。
VSグラガス
正直、何をしたかったのか分からなかった。
コロナモードになってからの逆転場面で何故か軽快な音楽が流れて盛り上がらないわ、
グラガスが謝ったふりをして不意打ちしたのにコスモスが怒ってブレージングウェーブで爆破してしまうわ、
コスモスが空に飛び立つ場面で鳥がのんきに画面を横切るわ……。
特に怒って反撃はコスモスのキャラクターを考えるとかなりの違和感。
一応、魔獣の肩書きがある怪獣は悪い存在で倒しても良いと言う扱いになっているらしいが、
『ダイナ』や『マックス』ならともかく、『コスモス』ではもう少し見せ方に気を使ってほしかった。
今回は街中が戦いの舞台になってミニチュアが細かく作られていて良かった。
原田監督によると『コスモス』は野原で戦っているイメージが強いと言う懸念があって戦いの舞台を街中に移そうとしたらしい。
アヤノと純 繋がった記憶と手
グラガスが倒されたのを見届けた純は「じゃあ、俺、帰るから」と言う言葉を残して姿を消す。
翌日、病院に向かったアヤノ隊員は意識を取り戻した純と再会するが、純は一連の出来事を一切覚えていなかった。
しかし、アヤノ隊員に手を握られた純は昔の事を思い返し、アヤノの名前を呼ぶのだった。
「じゃあ、手繋ごう。手繋いだら疲れないよ。手繋いだら、いっぱい歩けるんだよ」
「また迷子になっても、アヤノが見付けてあげる。きっと見付けてあげる」。
感じる事が出来ない今日のムサシ
「生命の輝き」ではフブキ隊員の妹と思われる少女の姿を見る事が出来たが、何故か今回は純の姿を見る事が出来なかった。
純がムサシに話しかけず、ずっとアヤノ隊員の方に意識を向けていたからであろうか?
ラスト、アヤノ隊員が思い出の公園で純との事を思い返しているところに能天気にやって来てしまうムサシは相も変わらず空気を読めない。
今回の話
同じ右田・原田コンビによる『ダイナ』の「君を想う力」を思わせる内容だが、
アヤノ隊員を描きすぎた為に純やグラガスの描写が不足して全体のバランスが崩れてしまっている。
雰囲気が良かっただけに残念。
第25話 「異星の少女 −グインジェ登場−」
2001年12月22日放送(放映第25話)
脚本 増田貴彦 監督・特技監督 原田昌樹
「コマンド入力。破壊指令00承認。我、起動セリ」(グインジェ)
スレイユ星人
防衛軍の秘密基地に接近した1機のUFOは防衛軍戦闘機の攻撃を受けて脱出カプセルを射出。
中にはラミアと言う一人の少女が人工冬眠装置で眠らされていた。
体組織は地球人と全く同じで地球と同じ進化を辿ってきたと思われる。
右手のブレスレットから各種の特殊光線を放つ。
スレイユ星は軍事力を持たない平和な星だったが他の星から攻撃を受けて文明が崩壊。
そこで将来災いを及ぼすであろう好戦的な星を調査し、危険と判断すれば即抹消する事を決議していた。
ラミアは地球人を好戦的と判断するが、他人を庇うカワヤ医師やコスモスの行動を見て考えを改め、地球人が必ずしも好戦的な種族だけではない事を訴える為にスレイユ星に帰還した。
惑星破壊ロボットグインジェ
身長 55m 体重 6万5千t
スレイユ星人のUFO。飛行形態と戦闘形態を持ち、さらに分離・合体機能も持つ。
ラミアが持っていたコントロールボックスを奪った不良グループが起動スイッチを入れた事で起動した。
地球人の抵抗力を奪った後に地球のコアに向かって惑星消滅ミサイルを発射する予定だったが、考えを改めたラミアがプログラムを解除した為、元のUFOに戻った。
最初に防衛軍戦闘機の攻撃を受けた後、高層ビルの壁面にへばりついて一週間隠れていたが、あんなバレバレな状態で何故誰も見付けられなかったのだろう?(特にビルの中で働いていた人達)
物語
UFOから射出された脱出カプセルの中にいた異星人ラミアを巡って対立するEYESと防衛軍。
地球の現状を見たラミアはグインジェ起動を決断する。
「この星は汚染されている」
感想
カワヤ医師登場
トレジャーベース全女性職員に振られまくったSRC伝説の名物男カワヤ・ノボル登場。
演じるは平成ウルトラシリーズの顔とも言える影丸氏。
『ティガ』『ダイナ』のシンジョウ隊員や『平成セブン』のカジ参謀とは全く違うキャラクターが面白い。
まさかここまで異なる面を見せてくれるとは思わなかった。
結構酷い、慈愛の戦士
女性に突き返された指輪を密かに回収すると言うこの上も無く格好悪い場面で出会ったムサシとカワヤ医師。
初対面でありながら、カワヤ医師が振られた事を楽しそうに指摘するムサシは鬼だ。
その後、カワヤ医師がシノブリーダーやアヤノ隊員にまでちょっかいを出していた事を聞かされたムサシは笑いを堪えきれない顔で一言、「誰でもいいんだ」。
おいおい、殺されるぞ。
カワヤ医師の口説きテクニック
女性にかなり嫌われまくっているカワヤ医師だが、
バッテラ寿司に誘われた時のシノブリーダーはまんざらでもなさそうだったし、カエルの縫いぐるみをちらつかせられたアヤノ隊員も一度は誘いに乗ったっぽい。
どうやら女性の趣味を探る能力は高いようだ。
防衛軍迎撃!
防衛軍秘密基地に接近したUFOに対し防衛軍戦闘機が出撃。
EYESの攻撃中止命令も無視してUFOを攻撃。
その後も脱出カプセルを強引に回収しようとするなどとにかく強行的。
ここ最近、SRCがワロガ、ギギ、ミゲロン星人等に侵入を許して多大な被害を出しているので仕方が無いかもしれないが。
防衛軍の敵は?
行方をくらませたUFOを見付ける為に今日も自転車倒して街中を蹂躙するベンガルズ戦車部隊と上空を飛び交う防衛軍戦闘機。
あんなに目立ちまくっては駄目だろうと思うが、途中、岡隊長がムサシを見付けて睨んでいるので、
ひょっとしたら、UFO相手ではなくEYESに対してプレッシャーをかけているのかもしれない。
宇宙からの侵略者と言う地球全体の脅威が迫っていながら、同じ地球人であるEYESと防衛軍の縄張り争いは終わらない。
再登場した人と再登場しなかった人
ムサシはラミアが運び込まれたSRC特殊医療基地に向かうが、応対に出た右田医師に「お前はあの時の!?」とレニの時の一件に触れられてしまう。
この時の強行突破が印象に残っているらしく、右田医師のムサシに対する不信感は根強い。
今回、めでたく再登場できた右田医師はこの後も準レギュラーとして活躍する事になるが、同じ医者としてカワヤ医師と立ち位置が被ってしまった新見医師はこの後登場しなくなってしまう。
カワヤ医師も好きだが新見医師も好きなキャラクターだったので残念。
カワヤ・ノボル、男を魅せる!
ラミアをSRC特殊医療基地から防衛軍本部に移送しようとする石井達に向かってビビリながらも啖呵を切るカワヤ医師はカッコイイ。
でもその後、眠り続けるラミアを眠れる森の美女、氷の美女として目覚めのキスを試そうとするのはかなりカッコ悪い。て言うか犯罪だ。
因みに童話繋がりで考えると、ラミアの口付けでカワヤ医師から弾丸が取り除かれて目覚める場面は男女逆だが『白雪姫』がモデルかな?
ラミアが見た地球
街に出たラミアが見たものは上空を飛び交う戦闘機と街中を蹂躙する戦車。
さらにそこにやって来た不良グループはラミアからグインジェのコントロールボックスを取り上げ、助けに来たカワヤ医師にも暴力を振るい、
ラミアは同じ地球人でありながら殴る者と殴られる者とに分かれる地球の現状を知る事になる。
平和?
街を破壊するグインジェを迎撃しようとして返り討ちに遭う防衛軍をバックにラミアはスレイユ星の事情を語る。
自分達の星を守る為に好戦的な星に先制攻撃をかけようとする(好戦的な)宇宙人は過去にも何度か登場。
製作時期的にまだ早いかもしれないが、実際に攻撃を受けた事がある以上、自国を守る為の先制攻撃は当然の権利と言う主張は9・11事件後の対テロ戦争に突き進んだアメリカを思わせる。
又、そこまで考えていたかは不明だが、かつてスレイユ星が軍事力を持っていなかった為に他の星の攻撃を受けたと言う話は(一応)軍事力を持っていない現在の日本を思わせる。
第二次世界大戦後、大規模で直接的な攻撃を受けていない日本だが、もし9・11事件みたいな攻撃を受けた時、どのような反応を示すのだろうか?
VSグインジェ
ルナモードのアンビシャス・ロケッツを分離機能で回避するグインジェは『平成セブン』のキングジョーUを思わせてGood!
ただ細かい部分だけど、石井を狙ったグインジェの攻撃が明らかに石井に向いていないのが気になる。
今回の特撮場面は実景との合成が多用されてグインジェの巨大感が良く出ていた。
前回に続き、原田監督は『コスモス』の戦闘場面を野原から街中に移そうと色々と工夫している。
希望?
グインジェが街を破壊する中、カワヤ医師は先程自分を痛めつけた不良グループが怪我をしたのを見て手当てを行い、
手当てを受けた不良グループはカワヤ医師にお礼を述べ、ラミアに謝罪の言葉と共にコントロールボックスを返す。
ウルトラシリーズで地球人の罪を取り上げる場合、最初に一部の悪い人間を見て滅ぶべしと決断するが、
後に一部の素晴らしい人間を見て希望が残っているかもと考えを改める展開が圧倒的に多い。
又、これらで挙げられる一部の悪い人間は改心する事無く終わる事が多いが、今回の不良グループにはまだお礼と謝罪の気持ちが残っていた。
グインジェの起動スイッチをラミアではなく地球人自身が入れたのも含めて、今回の話は過去によくあった話でありながら今までとは違った展開を見せている。
ラミアの答え
不良グループから返されたコントロールボックスを持ってきたカワヤ医師の「侵略者なのか?」と言う問いにラミアは「自分達は争いを好まない」と答えるが、
そこに石井が「侵略者!」と叫んでラミアを撃とうとし、それを庇ったカワヤ医師が撃たれてしまう。
怒ったラミアはグインジェに石井を襲わせようとするが、そこをコスモスが庇う。
他人を庇うカワヤ医師とコスモスの行動をラミアは理解できなかったがやがて、「私は……私達は間違っていたのかもしれない……」とグインジェのプログラムを解除する。
あなたに会えて……
ラミアが地球に来た目的は何なのかムサシが考えた時、カワヤ医師は自分に会いに来たのかもと答える。
もちろん、そんな訳ないが、カワヤ医師と出会い、「信じる」と言う言葉をかけられ、ラミアはもう一度相手を信じてみようと思うようになる。
また会う日まで?
宇宙に帰ったラミアを思い、また会えると願うカワヤ医師だがそこにトレジャーベースの女性職員がやって来て「私達は会いたくなかったわ」となにやら険悪な雰囲気に。
カワヤ医師曰く、お姫様達に王子様のキスをとシノブリーダーにイヤラしく迫る。
すぐさまシノブリーダーがパンチを放つがカワヤ医師はそれを鮮やかにかわして…。
シノブリーダーのパンチをかわせるとはさり気に凄いぞ、カワヤ医師。
でもこう言う時にだけしか発揮されなさそうな運動能力ではある。
この一連のシーン、バックに浮かび上がる地球の映像が結構良い。
フレンドシップ計画
今回の話、地球とスレイユ星の関係を逆転させると『平成セブン』のフレンドシップ計画とほぼ同じ構図になる。
『平成セブン』でフレンドシップ計画を推し進めたカジ参謀がラミアを信じようとするカワヤ医師になっているのは狙いか偶然か?
第26話 「カオスを倒す力 −カオスヘッダー・イブリース登場−」
2001年12月29日放送(放映第26話)
脚本 大西信介 監督 北浦嗣巳 特技監督 佐川和夫
「パパ……。僕が助けてあげる。きっときっと助けてあげるね」(狩野正太)
カオスヘッダー・イブリース
身長 66m 体重 6万1千t
人間に興味を持ったカオスヘッダーは感情を知る為に人間を次々にさらう。
カオスヘッダーに取り憑かれた正太パパは異様な表情を浮かべ、眼から光線を、右手から衝撃波を撃つ。
正太の声に苦しみ、正太パパから抜け出した後、変異体でもコピー体でもない実体カオスヘッダーとなる。
眼から光弾を放つ。カラータイマーからコスモスの情報を得て分析する。
超強力波動クローキームーブを放ち、空間を歪ませて相手の攻撃を吸収するクローキーバリアーを展開する。
コスモスを追い詰めるも無事を喜び合う正太親子の姿を見た直後に自己崩壊を起こし、コロナモードのネイバスター光線を受けて爆発した。
シノブリーダーによると人間の持つ優しさと言う感情を制御できなかったとの事。
名前の由来はイスラム教の悪魔「イブリース」から。
物語
東京各地で人々が怪しい光に消される事件が続発する。
人間に興味を持ったカオスヘッダーは人々を次々にさらい、ある親子に狙いを付けるが……。
「人の絆は悪意を滅ぼす!」
感想
変わるカオスヘッダー
怪しい光、カオスヘッダーに消された人々は10日前後で発見されるがその間の記憶が無く、ただ誰かに体の中を覗き込まれ、分析された気分だけが残っていた。
乗っ取られながらも肉体が変異していなかった事から、EYESはカオスヘッダーが人間に興味を持ち、人間の事を知る為に一時的にだけ体を乗っ取っているのではと推理する。
因みにカオスヘッダーは喧嘩する二人から「怒」、振られて泣いている女性から「哀」、正太とパパから「喜」「楽」の感情を得ていったと思われる。
これら人間の情報を基にカオスヘッダーは実体を作り出すが、それは悪魔を思わせる姿で人間の隠し持つ一面を思わせて面白い。
今回は2001年最後の放映で第2クールのまとめとなる話だったが、今まで漠然としたイメージだったカオスヘッダーの実体を出す事で対象が明確になり、第3クール以降の話が分かりやすくなった。
ゲスト・狩野親子の物語
今回ゲストの狩野親子。群馬県にあると言う設定だがウルトラシリーズで群馬県が登場するのは珍しい。
(まぁ、群馬県に限らず、大型地方ロケ以外で都道府県がはっきりと登場する事が殆ど無いんだけど)
正太はEYESグッズに身を固め、パパとEYESごっごをする等、スタッフが求める代表的なウルトラシリーズファンとなっている。
仕事で家を空ける事が多いパパは正太といつでも会話が出来るようパソコンを教え、正太の今度の誕生日プレゼントには携帯電話を買う予定だった。
これらコミュニケーションツールが正太とパパの絆となっており、カオスヘッダーも正太パパの感情を知る為、パソコンの置いてある部屋に閉じ込めて正太と連絡を取れるようにしていた。
主人公・ムサシの物語
東京に出張したパパがカオスヘッダーにさらわれた事を知った正太も行方不明になり、ムサシはパパを探しに東京に向かったんだと訴え、
かつて自分も父親が災害に巻き込まれて連絡が付かなくなった時に家を飛び出して会いに行った事を語る。
ここで語られる父親とは『ファーストコンタクト』にも登場していた勇次郎。
実はムサシは最初の父親である五十畑浩康が事故死した時にも、その死を信じられずに遠くまで歩いて保護された事があるらしい。
かつて父親の死を経験したから勇次郎が被災した時に再び父親がいなくなる事を恐れたのだろうし、
今回のパパが消息不明になった正太の気持ちも理解できたのだろう。
「子供は、自分の父親に……大事な父親に会えるのなら何処へだって行けます!」。
もう何処に行っても父親と会えなくなったムサシの言葉は重くて哀しい。
カオスヘッダー語る
正太に届いたメールを頼りにムサシは正太パパを見付けるが、それはカオスヘッダーに取り憑かれて異様な表情を浮かべていた。
ムサシ「お前はカオスヘッダー?」、
カオス「カオス……ヘッダー? それは……我々の事か?」、
ムサシ「何故……人に取り憑く?」、
カオス「人の感情は…面白い」。
コミュニケーションが一つのテーマである『コスモス』。
今までカオスヘッダーは意思疎通が不可能な(そもそも意思を持っているかどうかも不明な)光のウィルスであったが、今回、取り憑かれた人間を介して初めての意思疎通が図られた。
そしてこれが最終回への大きな道へと続いていく。
実体カオスヘッダー出現!
カオスヘッダーに取り憑かれた正太パパがムサシを襲うが、そこに正太がやって来る。
愛する子供の言葉にカオスヘッダーは苦しみ、正太パパから抜け出すと巨大な人型となって実体化。
ムサシは正太を、シノブリーダーは正太パパを連れて脱出し、ムサシはコスモスに変身。
て、この流れだとシノブリーダーにムサシの正体を怪しまれそうなものだが……。
シノブリーダーがムサシとコスモスの関係に気付いていないのだとしたら、ムサシは敵前逃亡になってしまうし。
VSカオスヘッダー・イブリース
今まで戦ってきた変異体やコピー体を超える実体カオスヘッダー。
戦闘でもカオスパラスタンに大ダメージを与えたソーラーブレイブキックを防ぐ等、強さが表現されていた。
苦戦するコスモスに入る「ウルトラマンがこの星で活動する為のタイムリミットはおよそ3分! 頑張れ!」と言うナレーション。
放映開始から半年経ったこの時期に活動時間を示すナレーションが入るのは珍しい。パッと思い浮かぶのは『初代マン』の「怪獣殿下」くらいか?
イブリースはEYESの援護も退け、コスモスを後一歩まで追い詰めるが、無事を喜び合う正太とパパの姿を見つめた後、突如、体が不安定になって苦しみ出す。
その隙を突いてコロナモードはネイバスター光線を放ってイブリースを撃破。
EYESも皆、勝利に喜ぶが、、ヒウラキャップだけはイブリースの突然の変調に疑問を抱いていた。
強敵撃破と言うカタルシスある場面なのだが、狩野親子の姿を見つめるイブリースの姿に和解への道筋が垣間見えただけに
その隙を狙って倒したコスモスとそれを喜ぶEYESの姿勢に少し疑問を抱いてしまう。
しかし、コスモスにとってもEYESにとっても今の時点ではカオスヘッダーは単なる脅威に他ならず、倒してよいのかどうかと言う検証は終盤になってようやく行われるようになる。
人の心
後日、元気になって笑顔の狩野親子を見送るムサシとシノブリーダー。
ムサシ「いい親子ですね」、
シノブ「本当に……。二人の絆にカオスヘッダーは負けたのかもしれない。」、
ムサシ「え?」、
シノブ「カオスヘッダーが取り込んだ人間の感情の中で制御できないものがあった。それが排除できずに……」、
ムサシ「それで自己崩壊した……」、
シノブ「そう思いたいの。人の優しさが、カオスヘッダーを倒したって……」、
ムサシ「そうかもしれない。いや! きっとそうです! 人の心にあるのは怒りや憎しみばかりじゃないんだから……」。
確かに人の心には優しさがある。だが怒りや憎しみがある事も事実。
後の「強さと力」でムサシはそれを自分自身でもって痛感する事になる。
人間から「混沌」と言う名前を与えられたカオスヘッダーだったが、それ以上に混沌としていたのが人間の心だったと言うのが面白い。
因みにシノブリーダーは人の優しさがカオスヘッダーを倒したと語っている。
上でも述べたように、この時点ではEYESはカオスヘッダーを倒すべき敵として認識しているが、様々な話を経た最終回ではその優しさがカオスヘッダーを救う事になる。
北浦監督・最後の『コスモス』TVシリーズ
北浦監督は翌年に公開される『ブループラネット』の準備でTVシリーズから離れる事となる。
出来れば最終回を担当したかったようだがスケジュール等の問題で叶わなかった。
担当した回も第1話と第2話、そして今回とメインに関わる話が多くて北浦監督ならではの色を出し切れなかった感じがして残念。
ファンタジー色溢れる「動け! 怪獣」と「生命の輝き」で今までに無いカラーを見せ始めていたので、それがどう発展させていくか見たかった。