ウルトラマンT

制作第27話から第39話まで

制作第27話 出た! メフィラス星人だ! −メフィラス星人 怪草・マンダリン草登場−
1973年10月5日放送(放映第27話)
脚本 大原清 監督 深沢清澄 特殊技術 小林正夫

「卑怯もラッキョウもあるものか!」
・・・・あの強豪宇宙人メフィラス星人が何故こんな威厳のかけらも無い奴になってしまったのだろうか?
   実は『T』の10月放映分は「ご存知怪獣・宇宙人登場シリーズ」として過去の作品の人気怪獣・宇宙人を再登場させる予定だったらしく、
   今回は『初代マン』からメフィラス星人が再登場したと言うわけなのだ。
   しかし、この企画はかなり急だったらしく、今回の脚本、元々は「怪獣売ります」と言う題名で、メフィラス星人ではなくキノコ怪獣マシュラが登場する予定だったらしい。
   (以上、『タロウ タロウ タロウ ウルトラマンT』(辰巳出版)より)

悪質宇宙人メフィラス星人(2代目)
身長 60m 体重 2万t
劇中では語られていないが『初代マン』に登場したメフィラス星人の弟で怪獣軍団の将軍。
マンダリン草を使って地球上の子供を全て虚弱児童にしようとした。
傷を受けてもマンダリン草で回復できる。目から光線を撃つ。
アトミックパンチでどてっぱらに穴を開けられ、ストリウム光線を受けて消滅した。実は『T』初の宇宙人。

怪草マンダリン草
地質時代に生息していた伝説的な植物。
マンモスに喰い尽くされて絶滅したと言われていたが、メフィラス星人が地球に持ち込んだ。
枝に下半身を不随にさせる毒(マンダリン病)があり、人間を食べてしまう。
実から出される放射能にはマンダリン病やあらゆる傷を癒す効果がある。
最初は自動販売機の中に潜んでいたが、ZATガンの影響で巨大化した。

物語
健一君が所属する野球チームのエース史男が突然倒れた。
医者が言うには世界でも珍しいマンダリン病と言う奇病らしい。
マンダリン病続発の影にはメフィラス星人の策略が潜んでいた。

感想
「ご存知怪獣・宇宙人登場シリーズ」としてメフィラス星人の再登場が高らかに謳われている。
元々の脚本がメフィラス星人用ではないので登場に無理があるが、そこを無視すれば、なかなか面白い話ではある。

一応考えれば、『初代マン』に登場したメフィラス星人は組織に属さない独自の美学を求める存在だった。
だから勝ち負けには拘らず、負けは負けと素直に認める事が出来た。
しかし、今回登場したメフィラス星人は怪獣軍団の将軍と言う地位にいる。
将軍たるもの負けは許されない。卑怯もラッキョウも無い。勝たねばならないのだ。

「怪獣」とあだ名される史男。「甲子園の怪物」と言われた江川選手を真似たものだろう。
史男と野球の関係をボールで示したのが上手い。病室に入れない健一君達が野球のブロックサインで思いを伝える場面も上手い。
又、もう二度と野球が出来ないと知り、ショックを受ける場面は凝っていて印象的だった。

マンダリン草捜索の場面で登場したドラゴン。
調査や偵察と言った任務には適した機体だと思うが意外と出番が無い。
マンダリン草捜索が世界各支部で行われ、実際に外人の役者も登場して、ZATの世界観を広げるのに役立った。

野球用のユニフォームがあるZAT。しかし、小学生にノーヒットノーランに抑えられてしまう。
光太郎は打つ時の構えが変。ひょっとして、野球をした事が無いのでは?

当時の自動販売機はあんな感じだったのか。
   *nanashiさんによるとスタッフが独自に製作したデザインとの事。

本作は小林監督の『T』最終作。


制作第28話 怪獣エレキング満月に吼える! −月光怪獣エレキング登場−
1973年10月12日放送(放映第28話)
脚本 石堂淑朗 監督 高橋勝 特殊技術 山際永三

「怪獣の角で作った入れ歯か!」
・・・・怪獣の角から入れ歯を作ろうと言う発想はどこから来るのだろうか。かなり無理があるぞ。
   今回の脚本、元々は「マンモスの牙が満月に吼えた!」と言う題名で巨大牙怪獣ゴキバが登場する予定だった。
   怪獣の牙で入れ歯を作るのなら、まだシャレとして考えれるのだが……。

月光怪獣エレキング(再生)
身長 53m 体重 1万5千t
セブンに倒された後、長い間、月の光を浴びて吸収し、月光怪獣として蘇った。
月の光をエネルギーとしている為、朝になると姿を消し、満月の夜になると姿を現す。今度は電気ではなく炎を武器としている。
ピット星人の指令を受ける事は無くなり、踊ったり側転をしたりするようになった。元々はお茶目な性格だったのだろうか?
タロウに弱点の角を取られて消滅した。ゾンビみたいなものだったと思われる。

物語
月の光を浴びて蘇ったエレキング。
ZATは次の満月の夜までにエレキングを見付け出そうとするが見付からない。
一方、孫悟空、ターザン、猿飛佐助のイタズラ3兄弟は不思議な石を見付ける。

感想
前回に続いて、エレキングの登場にやはり無理がある。
しかし、エレキングのアンテナを三日月状の角とした事で月光怪獣として蘇る不自然さがある程度は解消されていた。

今回はイタズラ3兄弟とご隠居のキャラクターを素直に楽しもう。
どんな状況でも決して諦めず、おじいさん思いのイタズラ3兄弟。
エレキングと戦う時もそれぞれの能力を駆使した作戦をキチンと立てて、ある程度効果があったのは見事。
ご隠居が槍を持って颯爽とエレキングに立ち向かうがエレキングの足踏み一つでやられてしまったのは笑ってしまった。

「佐助、悟空! 生きて再び会おうぜ!」

本作は高橋勝監督の『T』初登板作。今回は本編担当だったが、これ以降は特殊技術担当となる。


制作第29話 ベムスター復活! タロウ絶体絶命! −異次元人ヤプール 宇宙怪獣ベムスター登場−
1973年10月19日放送(放映第29話)
脚本 田口成光 監督 山本正孝 特殊技術 高野宏一

「ZAT(人間)だって、そのうち、必ずウルトラマンタロウ以上の力を持つようになるだろう。しかし、努力もしないで勝てるようにはならん」
・・・・ウルトラシリーズの中では人間はかなり弱い部類に入る。だからウルトラ戦士が助けてくれるのだろう。
   以前、宇宙人が地球の平和を守ると言うウルトラシリーズの問題点を指摘したが、
   スタッフはその問題点を人間がいつかウルトラ戦士の保護の下から自立しなければいけないと言うテーマに変えた。
   そして『T』、『レオ』、『80』の最終回、最後の敵を倒したのはウルトラ戦士ではなく人間だった。
   (『レオ』ではブラックエンドを倒したのはレオだったが、ブラック指令を倒したのは人間だった)

異次元人ヤプール(改造)
身長 50m 体重 8万2千t
エースに倒された残党が自らを強化改造して復活。
同じくベムスターを強化改造して復活させ、地球の残り少ないエネルギーを吸い尽くそうとした。
今回は異次元からではなく司令船から手に持った杖で怪獣や超獣に指令を送っていた。
劇中では語られていないが、後編の題名に「怪獣軍団」と書かれているところを見ると、今回は怪獣軍団に所属していた可能性が高い。
司令船の大きさから考えると今回は身長50mも無いような気がする。
「頭の弱い人間どもよ。同じ事を二度繰り返すほどワシの頭は悪くはないぞ!」。

宇宙怪獣ベムスター(改造)
身長 80m 体重 6万1千t
ヤプールによって強化改造されて復活した最強の宇宙怪獣。ZATステーションNo.1を飲み込む。
目から光線やミサイルを撃ち、腹の口からあらゆるエネルギーを吸収する。
ZATが開発したウルトラブレスレットと同じ威力を持つノコギリも受け付けない。
さり気に身長が80mとかなり大きくなっている。初代マンの倍もあるのか……。
デザインが超獣っぽくなったが肩書きは怪獣のまま……、と言うより、なぜ宇宙大怪獣から宇宙怪獣に格下げになっているのだろうか?

物語
復活したヤプールはベムスターを使って地球に再度挑戦!
ベムスターの前にZATステーションNo.1は全滅し、ZATも苦戦、そしてタロウも……!!

感想
「ご存知怪獣・宇宙人登場シリーズ」の中では唯一、脚本上の問題点が無い作品。
メフィラス星人とエレキングもそうしてほしかった。今更言っても仕方が無いが……。

月の裏側から交信を絶ったZATステーションNo.1を探索しに宇宙に行くZAT。
しかし宇宙ロケットアンドロメダとマゼランは登場せず。何故だ?
結局この2機は劇中では殆ど出番が無かった。

対ベムスター対策として過去の映像を分析するZAT。
ウルトラブレスレットと同じ威力のノコギリを作ってしまうのが凄い!
今回、新マンの事をZATは「ウルトラマン」、ナレーションは「帰ってきたウルトラマン」と言っている。
ところでセブンが新マンにウルトラブレスレットを授ける映像は一体どこから撮ったのだろうか?

「ZATは駄目だよなぁ、いつも怪獣に負けてばっかりいらぁ。あんなもの、あったって無くったって同じだよな」と悪態をつくヒロシとアキラ。
しかし、ZATの援護が無ければタロウが負けていた話は結構あったような気がする。
やはり、単独で勝たなければ評価されないものなのだろうか?
野球だって犠打や中継ぎ、サッカーやバスケットだってアシストが無ければ試合には勝てないのに……。

ゲストの海野役を演じたのは大和田獏氏。現在と全然変わっていない。
ところで海野がベムスターに特攻する時の爆弾は一体どこから入手したのだ?

当時、『ジャンボーグA』を担当していた高野監督が『T』を担当したのは今回の前後編のみ。
戦闘シーンがとにかく面白い!

ベムスターの猛威の前に絶体絶命のタロウ! はたして!?


制作第30話 逆襲! 怪獣軍団 −異次元人ヤプール 宇宙怪獣ベムスター登場−
1973年10月26日放送(放映第30話)
脚本 田口成光 監督 山本正孝 特殊技術 高野宏一

「皆と一緒に勉強しているようなもんです」
・・・・実は前編のセリフなのだが、今回のゲスト海野を知る上でとても重要なセリフだと思う。
   寺子屋と言う塾で海野が教えている事は遊びや漫画を読む事。
   海野が言う勉強とは学校が教えるような知識ではなかった。
   海野が命をかけてまで子供達に教えようとした事は、たとえ何があろうと決して諦めない強い心であった。

異次元人ヤプール(改造)
身長 50m 体重 8万2千t
人間をじわじわといたぶろうとする。
海野の存在を疎ましく思い、サボテンダー、さらにはベロクロンも送り込むが敗北。
逃げようとするが、ストリウム光線で司令船を破壊された。

宇宙怪獣ベムスター(改造)
身長 80m 体重 6万1千t
新たに腹の口から光線も撃つ。一度はタロウを倒すが、二度目の戦いでは海野に目を潰されてしまう。
頭の口からは物を食べず、全てのエネルギーは腹の口から吸収している。
その部分をZATに狙われ、腹の口から吸収した濃縮エネルギー爆弾AとBの化学反応の爆発によって倒された。

さぼてん超獣サボテンダー(改造)
身長 60m 体重 5万t
海野を殺す為にヤプールが送り込んだ。
ベムスターを救援する立場でありながら、ベムスターを押しのけたところを見ると、やはり超獣は怪獣を快くは思っていない?
ストリウム光線で倒された。

ミサイル超獣ベロクロン(改造)
身長 55m 体重 4万4440t
劣勢に陥ったヤプールが最後の手段として送り込んだが、ZATの猛攻撃を受けて敗北。

物語
ベムスターの猛威の前にタロウは敗北。しかし、海野は、ZATは、光太郎はまだ諦めていなかった。
子供達に決して諦めない強い心を教える為に彼らは戦う!

感想
テロップにサボテンダーとベロクロンが無い。

決定稿の時点でもサボテンダーとベロクロンの登場が決まっていなかった為だが、ちょっと寂しい。

光太郎の事を心配する健一君に向かって、あの男なら大丈夫だと断言する海野。
「タロウの奴、俺の代わりに……」と言うセリフからも、ひょっとしたら海野はタロウが光太郎である事に気付いたのかもしれない。
(前編では「タロウのバカヤロー!」と言っていたが)

今回はタロウが敗北してから消えるまで時間がかかっていて、対ムルロア戦に比べて敗北と言う感じが出ていた。

ヤプール絡みで考えると、『A』でヤプールは子供達の心から優しさを奪おうとした。
そして今回のヤプール登場は、子供達に困った時は誰かが助けに来てくれると言う依存心を生み出し、決して諦めない強い心を失わせた。
海野が命をかけてまで怪獣と戦おうとしたのは、そんな子供達の心を救う為であった。
ヤプールが海野を疎ましく思ったのは、そんな海野に、かつての北斗星司の姿を見たからではないだろうか?

『タロウ タロウ タロウ ウルトラマンT』(辰巳出版)には今回の話は海野がいなくても物語自体は成り立つと書いているが、それは違う。
光太郎が人間が努力すればタロウ以上の力を持つと言っても、最後はその光太郎自身がタロウの力で怪獣を倒す事になる。
しかし、海野はウルトラ戦士ではない。ウルトラの力を一切持っていない海野だからこそ今回の話は成り立った。
そして最終回、光太郎は人間の知恵と勇気があればタロウと同じ力を持てると言う事を健一君に示す為にあえてタロウの力を捨てるのであった。

今回は『T』の前後編では唯一ウルトラ戦士の救援が無かったが内容を考えると当然であろう。
ウルトラ戦士が人間を助ければ助けるほど、人間にウルトラ戦士への依存心が生まれてしまうとは皮肉だ。

以上のテーマは『初代マン』の「小さな英雄」で金城氏が提示し、『帰マン』の「タッコング大逆襲」や最終回で上原氏が再び述べたものである。
田口氏の作品の特徴として、子供が登場する、娯楽志向と言ったものがあるがもう一つ、どんな状況でも決して諦めてはいけないと言うものがある。
田口作品では、どんな苦境に立たされても決して負けない人間が多く登場している。
逆に諦めて誰かに頼ろうとする人間はかなり否定的に描かれている。

ベムスターに再び戦いを挑もうとする光太郎とさおりさんの会話、
「これが俺の選んだ仕事なんだ! 一生をかけてやっている仕事なんだよ! ……分かってくれよ」、「……気を付けて」
は「帰マン」の「怪獣は宇宙の流れ星」を思い出すシーンだが、かなり盛り上がる。
「宝石は怪獣の餌だ!」と並んで光太郎とさおりさんの関係を描いた名場面であった。

今、一番面白いものとして紹介された『T』の本。どんな内容か気になる。
荒垣副隊長に本を見せられた時の光太郎の苦笑いが面白い。
それにしても、この時のトオルの母親の服装は凄すぎる。


制作第31話 あぶない! 嘘つき毒きのこ −きのこ怪獣マシュラ登場−
1973年11月2日放送(放映第31話)
脚本 大原清秀 監督 筧正典 特殊技術 深沢清澄

「テストの前の日に何しとった?」、「ウルトラマンTを見ていました」、
「ウルトラマンTか、あれはなかなか面白い」

・・・・教室での先生と生徒の会話。『T』は本だけでなくテレビ放映もされていた。どんな内容か気になる。
   又、大介の両親の会話で、お隣の田口さんや石堂さんは、よく一流レストランで食事をしているともある。
   「人喰い沼の人魂」の熊谷さんのように、『T』はスタッフや役者を使った遊びが見られる。
   この感覚は昭和のウルトラシリーズでは珍しく、どちらかと言うと、平成ウルトラシリーズに近い。

きのこ怪獣マシュラ
身長 46m 体重 1万4千t
東京のど真ん中に現れたお化けきのこ。ZATの薬品をさらに強力な毒液に変えて街中に撒き散らす。
タロウファイヤーによって倒されたが、小さいきのこが1本だけ生き残っていた。
植物トランシーバーにより助けた大介の体内に入ってきのこ人間に変え、団地の給水塔に毒素をばら撒いて団地の人間も全てきのこ人間に変えてしまった。
目からの光線できのこ人間を操る事が出来る。キングブレスレットのドライヤー光線で再び倒される。
倒された後にはマツタケが生えていたが今度は人畜無害だった。嘘吐きで恩を仇で返す酷い奴。
名前の由来はマッシュルーム(きのこ)から。ただし、マッシュルームは食用の無害なきのこを指すので、毒きのこを指すtoadstoolの方が良かったかも。

物語
鍵っ子の大介はZATから植物トランシーバーを貸してもらう。
大介はそれで干からびかけたきのこを助ける。
そのきのこは先日、タロウが倒したお化けきのこの生き残りだった。

感想
今では死語になってしまった「鍵っ子」と言う言葉。
大介の母親は周りと同じ生活を手に入れたい為に、日夜、パートに精を出す。
そうしないと大介が可哀相だと言っているが、ただ単に自分の願望を叶えたいだけなのは明らか。
大介の父親が言うように、ただの見栄なのだ。

大介が失踪した事を自分のせいだと責める母親。
大介は中学生に虐められていたが、それは両親が家にいない為。守るべき親がいない子供は大変だ。
最後、母親はパートを辞め、これからは家にいると言うが、大介はタロウがいるから大丈夫だと答える。
この時期は変身ブームと言われて数多くのヒーローがテレビに登場していた。
それは子供達が家にいない親に代わって自分達を守ってくれる存在としてヒーローを求めていたからではないだろうか?

(ヒーロー作品に登場する子供はたいてい親がいない)

大介は最後に「母さんはウチでじっとしているタチじゃないし」と母親がパートを続けても構わないと言う。
親がなくとも子は育つ。子は親がいなくても、テレビやゲームやパソコン等、親の代わりを見付ける。
「鍵っ子」と言う言葉が無くなっても世の中は何も変わってはいない。

ZATが開発した植物トランシーバー。植物と話が出来るとは凄いぞ!

今回は街中が舞台なので妖怪譚より都市伝説に近い雰囲気があった。
きのこ人間になった大介が団地の中に消えていくシーンは雰囲気が出ていてゾクッとする。

中学生3人組。大介にきのこを食べろと言ったのは冗談にしても、その後、よく平気な顔をしていたな。
大介がいなくなって、周りは家出か誘拐かと大騒ぎ。下手すれば警察に事情聴取されるところだったのでは?

きのこ人間の集団はかなりシュール。

普段は本編担当の深沢監督が今回と次回だけ特殊技術担当になっている。
タロウとマシュラとの戦いは何度倒されても起き上がってくるマシュラが印象的。

最後、平気な顔をしてマツタケを食べる光太郎と森山隊員。よく食べられるなぁ。またきのこ人間になりそう。
今回と次回は上野隊員が登場していない。

今回の脚本は大原清秀氏。
木戸愛楽や大原清等、今までペンネームでクレジットされていた大原氏が初めてペンネーム以外でクレジットされた。


制作第32話 木枯し怪獣! 風の又三郎 −木枯し怪獣グロン登場−
1973年11月9日放送(放映第32話)
脚本 阿井文瓶 監督 筧正典 特殊技術 深沢清澄

「見えない。しかし、我々に見えないからと言って、あそこに何も無いとは言えんぞ。大人になってしまうと、段々、見えなくなっちまうものもあるんだよ」
・・・・荒垣副隊長の締めの言葉。もし『T』で名ゼリフ特集をしたら、荒垣副隊長のセリフはかなり入ると思う。

木枯し怪獣グロン
身長 60m 体重 2万9千t
東北地方から嵐と共にやって来た。ドンちゃんが呼んだかどうかは不明。命名は意外にも健一君の同級生ヒロちゃん。
口から空気を吸い込んで突風を吐く。『木枯し紋次郎』のごとく電信柱を口から吹き出す。影となって移動する事も可能。
思い切り空気を吸い込んだところをキングブレスレットで口を封じられ、空気を入れすぎた風船のように爆発した。

人間のように細い足が不気味で怪獣と言うより妖怪と言った存在。

物語
「空想屋」と揶揄される謎の転校生ドンちゃん。
そのドンちゃん出現と呼応するかのように現れた怪獣グロン。はたして、ドンちゃんとは何者なのか?

感想
宮沢賢治の『風の又三郎』がベースらしいが自分は読んだ事が無い。

読めば、ドンちゃんの正体が少しは分かるだろうか?

ドンちゃんの正体は結局明かされずに終わった。その部分は各々自由に解釈してくださいと言う事だろう。
ドンちゃんが劇中では殆ど喋らず、健一君が色々と解釈していったように。
残念なのはドンちゃんが塀から飛び降りた時に「ドンちゃんは風の子なんだ」と言うナレーションが入った事。
はっきり言って要らないのだが、子供が真似したら困るので仕方無く入れたのだろう。
又、最後のドンちゃんのセリフ、「僕も怪獣よりウルトラマンの方が好きになったよ」も要らなかった。
ドンちゃんは何を考えているか分からないからこそのキャラクターなので最後の場面は単に「健ちゃーん!」だけで良かったと思う。

ドンちゃんは何者だったのか?
こうもり傘で風を操る等、どう考えても普通の人間ではなく、妖怪の類と考えた方が良いだろう。
ウルトラマンより怪獣の方が好きだと言ったり、グロンを呼んだり、庇ったりしたような行動をとったのは、
ウルトラマンより怪獣の方が自分(妖怪)に近かったからではないだろうか?
最後は健一君との友情をとってグロンを倒す手助けをし、怪獣よりウルトラマンの方が好きになったと言うが…。
最後の空を漂うこうもり傘が印象に残る。

ところで、ドンちゃんはタロウではなくウルトラマンと言っている。
ここでのウルトラマンとは単に初代マンや新マンだけを指すのではなくウルトラ戦士全体を指すと思われる。
ウルトラシリーズでウルトラ戦士全体を指してウルトラマンと言うのは今回が初。


制作第33話 ウルトラの国大爆発5秒前! −宿敵! テンペラー星人 ウルトラ5兄弟登場−
1973年11月16日放送(放映第33話)
脚本 佐々木守 監督 真船禎 特殊技術 山本正孝

「俺はこの地球ではハヤタと呼ばれていたんだ」、
「そう、俺もウルトラセブンではなく、モロボシ・ダンだ」、
「俺は郷秀樹だ」、「俺もエースではない。北斗星司だ」、「僕も東光太郎ですからね」

・・・・ウルトラシリーズでは唯一、ウルトラ6兄弟の地球人での姿が勢揃いする話。
   それぞれかつての隊員服ではなく、新たに作られたお揃いの服を着ている。
   胸にはそれぞれのウルトラサインが入っているのが嬉しい。
   又、光太郎とお揃いのマフラーもしている。やはりマフラーは正義の印?
   因みにシャンパンで乾杯をするシーンがあるが、この時のシャンパンは本物だったらしい。

ウルトラ兄弟
タロウの招待で地球に遊びに行く。それぞれ地球で過ごした時の姿に変身する。
テンペラー星人が自分達を追って地球に来た事を知り、
地球上でウルトラの国とテンペラー星の全面戦争が起こるのを回避する為に、タロウにテンペラー星人を人気の無い所に誘い出すよう指示するが失敗。
タロウが自分達を頼ってしまっている事を知り、自分一人の力でテンペラー星人を倒すよう指示する。
一方で理由無く攻撃を受けている地球人を救う為にZATの隊員に乗り移って救援活動を行う。
人間に乗り移ると額にそれぞれのウルトラサインが現れる。
タロウがテンペラー星人に倒されたのを見て遂に戦おうとするが……。

尚、ゾフィと新マンの後頭部が銀色になっている。*情報提供、トータス砲さんと獅子座の子さんとドッキドキさん。
又、新マンのウルトラブレスレットが未装着になっている。*情報提供、すいぎんさん。

極悪宇宙人テンペラー星人
身長 2mから52m 体重 120kgから3万5千t
怪獣軍団を陰で操っていた黒幕。全宇宙征服の為に以前からウルトラの国を狙っていた。
ウルトラ兄弟が地球にいる事を知って攻撃目標を地球に変更。ウルトラ兄弟を誘い出す為に地球を攻撃する。
普段は等身大だが、爆発、又は火炎と共にド派手に巨大化する。
タロウを末っ子の甘えん坊としてウルトラ兄弟扱いせず、エース以上のウルトラ兄弟を呼び続けた。
実際、両手からの火炎や光のムチ等多彩な能力を持ち、ストリウム光線も通用せず、タロウを全く寄せ付けなかった。
最後はタロウの捨て身の戦法に倒されるが……。何故かサルの人形と会話する。

「地球人達よ。悪いのはウルトラ兄弟だ。恨むならウルトラ兄弟を恨め!」。

物語
全宇宙征服に燃えるテンペラー星人はウルトラ兄弟が地球にいる事を知って地球を攻撃する。
ウルトラ兄弟はタロウを出撃させるが、タロウにはウルトラ兄弟への依存心が生まれてしまっていた。

感想
ウルトラ兄弟がいないうちにウルトラの国を攻撃した方が良かったのではと思えるテンペラー星人。言動から考えるに、よほど自信があったと見える。
もっともウルトラ兄弟がウルトラの国でもトップクラスの実力を持っているのなら、ウルトラの国攻撃よりウルトラ兄弟全滅を優先させたのは理解できる。
ウルトラの国を支配できても、その後でウルトラ兄弟に負けてしまっては意味が無い。

今まで侵略者の魔の手から地球の平和を守ってきたウルトラ兄弟。
しかし、今回はウルトラ兄弟がいるから地球の平和が脅かされてしまうと言う皮肉な展開。
ウルトラ兄弟を在日米軍と考えると、在日米軍のおかげで日本は今まで平和だったが、逆に在日米軍のおかげで日本が標的にされる恐れがあると言う現状と重なる。

ウルトラ兄弟がパーティーを開いているシーンでは南国風の花々が映し出される。
ウルトラ兄弟が地球の自然を愛している事を表しているのだが、金城氏の故郷である沖縄も連想できる。穿った見方だろうか?

大谷博士曰く、予測されていたが実際に存在するか疑われていたと言うテンペラー星人。
とにかく恐ろしい敵だと言う事だけ判明しているのは怪獣軍団の黒幕らしくて良い。
ところで大谷博士、職場に子供を連れてくるものではないですよ。
因みに、この大谷博士はゾフィが初めて姿を借りた地球人だった。

テンペラー星人がやたらとウルトラ兄弟のせいで地球が攻撃を受けていると言っているが、地球人の耳に聞こえているようには見えない。
テンペラー星人は地球人には分からない宇宙語を話しているのだろうか?

ここで地球人にも分かるように言っていたら、地球人がウルトラ兄弟に地球から出ていけと言う展開も可能だったが、それは『レオ』の「恐怖の円盤生物シリーズ」まで持ち越される。
(過去には『A』の対ヒッポリト星人戦があった)

ひょっとしたら、今回のゾフィは地球人には姿が見えていないのではないだろうか?
もしゾフィが見えていたら、ZATを助けるシーンがあるので森山隊員達が葬式をあげる事は無いと思う。
おそらく『帰マン』の第1話で、まだ郷と合体していない新マンの姿が地球人には単なる光にしか見えなかったのと同じ状態だったのだろう。
地球人と合体していない状態で地球上でのエネルギー消費を防ぐ為の方法なのかもしれない。

やたらとタロウは末っ子で甘えん坊と言われているが、今までタロウがウルトラ兄弟を当てにした事はあまり無かった。
今回は「兄さん、助けてくれ!」を連発していたが、それはウルトラ兄弟がすぐ近くにいた為、つい甘えが出てしまったのだと思われる。

「タロウ1人でテンペラー星人を倒す事が出来たら、名実共にタロウはウルトラ兄弟の1人として、ウルトラの国でも認められるだろう」と言うウルトラ兄弟のセリフがあるが、
どうやら、ウルトラの国ではタロウの実力を疑問視している人達がいるらしい。
確かに殆ど無敗だった初代マンやセブンに比べて、タロウは敗北が多く、何度かウルトラの国に帰還している。
新マンやエースも敗北があったが、ウルトラの国に帰還するほどの敗北はあまり無かった。

ウルトラ兄弟が「今までタロウを庇いすぎていた」と言ったのは単に地球での戦いに敗れたタロウを助けた事を指すのではなく、
ウルトラの国でのタロウに対する評価の面でも庇っていたと言う事ではないだろうか?

このようなタロウの心の底にある甘えの気持ちや実力不足と言った問題を解消する事がウルトラ兄弟が言っていた「タロウを鍛える」と言う事なのだと思われる。

困った時はウルトラ兄弟が助けに来てくれると言う今回のタロウの気持ちは、そのままウルトラ戦士と地球人の関係に当てはまる。
この後、ウルトラ兄弟の救援が減っていくのはタロウが成長した事もあるが、依存心を無くす為でもあったのだろう。
それと同じで地球人が成長してウルトラ戦士への依存心が無くなった時、ウルトラ戦士は地球にやって来なくなる。
ただし、それはまだまだ後の『80』最終回での話。

今回は全編戦闘シーンでとにかく盛り上がる。なんとタロウは4回も変身している。
ところで今回の話で重要なウルトラマンボールは一体何なのだろう?
劇中では一切説明されていないが、当時の雑誌の付録かなんかだったのだろうか?

今回の前後編の脚本を担当したのは佐々木守氏。
佐々木氏が第2期ウルトラシリーズに関わったのは本作のみ。
『初代マン』でウルトラマンや科特隊の矛盾を暴き出した佐々木氏らしく、今回もウルトラ兄弟が地球と関わり続ける事の矛盾を暴き出した。
今回の前後編で暴かれた幾つかの矛盾点はその後の『レオ』や『80』に大きく関わっていく。

「勝ったと思っているのか? ざまあ見ろ! とうとう6人とも姿を現したな! あれはお前達を誘き出す貴重な犠牲者だ! ウルトラ兄弟、必ずこの地球上で息の根を止めてやる!


制作第34話 ウルトラ6兄弟最後の日! −宿敵! テンペラー星人 ウルトラ5兄弟登場−
1973年11月23日放送(放映第34話)
脚本 佐々木守 監督 真船禎 特殊技術 山本正孝

「ウルトラマンだ!」、「ウルトラセブンだ!」、「ゾフィだ!」、「エースだ!」、「新マンも!」、「タロウもいるぞ!」
・・・・ウルトラ6兄弟が全員揃って戦うのは非常に珍しい。
   やはり、この6人が全員で戦うのは反則に近いか…。

ウルトラ兄弟
自分一人の力でテンペラー星人を倒したタロウを褒め称えるが、
タロウが増長している事に危機感を感じ、再びZATの隊員に乗り移ってタロウの動向を探る。
タロウがテンペラー星人に捕らえられたのをウルトラビームで救出するがテンペラー星人に発見されて集中攻撃を受けてしまう。
続いてバレーボール選手に乗り移るが特殊スペクトル光線で再び発見される。
最終的にウルトラマンボールに入って接近にに成功。力を合わせてテンペラー星人を撃破。
さらにテンペラー星人の宇宙船もそれぞれの必殺光線で撃破した。
タロウにチームワークの大切さを語ってウルトラの国に帰っていった。

極悪宇宙人テンペラー星人
身長 2mから52m 体重 120kgから3万5千t
前回、タロウに倒されたのはウルトラ兄弟が本当に地球にいるかどうかを確かめる為の囮。
さおりさんの体を乗っ取ってタロウを拉致、人質にして他のウルトラ兄弟を誘い出そうとした。
地球人に乗り移ったウルトラ兄弟を発見する特殊スペクトル光線、対ウルトラ兄弟戦最大の切り札であるウルトラ兄弟必殺光線等を持つ。
しかし、ウルトラ兄弟の連続攻撃を受けて敗北、宇宙船も破壊されてしまった。
善戦したものの、やはり無謀だったか……。

物語
テンペラー星人を倒した事でタロウは増長。ウルトラ兄弟の忠告を聞き入れず勝手な行動を始める。
そんなタロウに危機感を覚えるウルトラ兄弟。一方、テンペラー星人の挑戦はまだこれからだった。

感想
今回は歴代の主人公が勢揃いする話。
冷静に状況を判断できるハヤタ隊員、「口で言っても駄目だ。体で分からなければ」と『レオ』でのおおとりゲンに対する指導体制を匂わすダン、
「自分の力を過信していると今に大きな怪我をするぞ」と自身の経験を語る郷、熱血漢な星司とそれぞれのキャラクターがキチンと描かれている。

自分一人の力でテンペラー星人を倒したと言うタロウに自信が付いた事とそれを自慢する事は違うとし、チームワークの大切さを説くウルトラ兄弟。
『帰マン』の「ウルトラ5つの誓い」に「他人の力を頼りにしない事」とあるが、これは必要以上に他人に依存するなと言う意味。
人間は一人で生きているわけではない。自分一人で生きているようでも、必ずどこかで誰かの助けがあるのだ。

増長したタロウが勝手な行動をとり始めた事でZATの規律が乱れる恐れが出る。このテーマは後に『レオ』に繋がっていく。
どんなに優れた能力を持っていても、他人との関係を考えられない者は組織にとってマイナスでしかないのだ。

これ以上、タロウが勝手な行動をとり続ければ、タロウはもはやウルトラ兄弟ではないと言うウルトラ兄弟。
ウルトラ兄弟に必要なのは単なる強さだけではない。

今更言う事ではないが、ウルトラファミリーは実際の血の繋がりは無い。
血が繋がっているのは、タロウとウルトラの父と母の親子関係のみ。
あとはウルトラの母とセブンの母が姉妹らしいので、タロウとセブンが従兄弟同士と言うぐらいである。
(後にレオとアストラと言う本当の兄弟が登場するが)
余談だが、エースは孤児で、ウルトラの父に拾われ、タロウとは実の兄弟のように育ったらしい。
今回のエースは他のウルトラ兄弟と違って兄として諭すのではなく、タロウと同レベルで話しているように見える。

ではウルトラ兄弟とは一体何なのか?
公式設定では宇宙警備隊のエリートで実の兄弟のように仲が良いからとなっている。
『ウルトラ6兄弟』と言う『T』の挿入歌には「ウルトラの父の教え子がー♪」と言う歌詞がある。
おそらくウルトラの父は戦士養成教室を開いていて、若かりし頃のウルトラ兄弟はその中でも抜きん出た成績を修めていたのだろう。
やがて別々の道を歩むようになり、ゾフィ、初代マン、新マンは宇宙警備隊に、セブンは宇宙情報局に、エースとタロウはまだ訓練中の身となった。
その後、セブンが宇宙情報局から宇宙警備隊に配属となり、バット星人がウルトラの国を攻撃した時に久々にウルトラ兄弟が集結。
続いてエースの訓練が終了してヤプールとの戦いが始まり、この頃、ウルトラの父は隊長から退いて大隊長となり、ゾフィが2代目隊長となった。
そしてタロウの訓練が終了して現在に至ると言ったところだろう。

さおりさんを乗っ取るテンペラー星人。
タロウを捕らえる直前まで不審な素振りを見せなかったのはなかなか。
さおりさんの声で「でも、嫌いになれて良かった……」は結構インパクトがある。

テンペラー星人はタロウを捕らえると何故か踊りだしたりと、どことなく愉快犯的なところがある。強者ゆえの余裕か?
怪獣軍団関係者は、勝つ為に手段を選ばないメフィラス星人、復讐の鬼ヤプール、愉快犯的で戦いを楽しむテンペラー星人となかなかキャラクターが揃っている。
仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズのように敵幹部のドラマをやっても面白かったかもしれない。
(後の『メビウス』において少し実現しているが幹部同士の絡みは意外と少なかった)

タロウ救出の際にウルトラ兄弟が放ったウルトラビーム。
テンペラー星人はこれでウルトラ兄弟がZATの隊員に乗り移っている事に気付く。
ZATの武器にウルトラ兄弟のエネルギーをプラスしたのだろうか?

対テンペラー星人戦はわざわざ6人がかりで戦う必要があっただろうか。一応、ウルトラ兄弟必殺光線と言う脅威があったがやや弱い。
やはり『ウルトラマン物語』のグランドキング並みの強敵がほしかった。
又、テンペラー星人の宇宙船もわざわざウルトラ兄弟がそれぞれの必殺光線を撃つほどのものだったのか疑問。せめて宇宙船がもっと大きければ…。

テンペラー星人の攻撃を受けたバレーボールの選手。最後にはもう練習を再開している。タフだな。

「兄さん達、さようならー!」


制作第35話 必殺! タロウ怒りの一撃! −めつぶし星人カタン登場−
1973年11月30日放送(放映第35話)
脚本 田口成光 監督 深沢清澄 特殊技術 高橋勝

「おい、東。お前、何故かこういうのに人気があるなぁ」
・・・・メチャクチャ久々登場の朝日奈隊長。しかし、鋭い勘でカタン星人の陰謀を暴いていく。
   個人的には朝日奈隊長役の名古屋章氏は刑事ドラマの印象が強い為、今回の話もZATを警察、宇宙人を犯人に置き換えると殆ど刑事ドラマに見える。
   (特に病室でカタン星人がまちこを人質に取る場面)

めつぶし星人カタン星人
身長 220cmから51m 体重 98kgから3万1千t
車で轢こうとしたり、上から鉄材を落としたりする等、タロウである光太郎を執拗に狙う。
光太郎そっくりの兄がいたと言う少女まちこに乗り移って光太郎に近付いた。
目潰し光線で光太郎の視力を奪う事に成功した後、巨大化して火炎で街を破壊し、視力が戻った光太郎が変身したタロウも目潰し光線で視力を奪った。
地球人の科学力を軽視していたが、ZATのベル作戦でタロウに位置を知られてしまい、タロウ最大の切り札ウルトラダイナマイトで倒された。
劇中では語られていないが、光太郎の視力を奪った時に「今まで倒してきた怪獣達の苦しみを知れ!」と言っているので怪獣軍団の関係者かもしれない。

物語
光太郎は犬を助けようとして車道に飛び出した少女まちこと知り合う。
まちこは光太郎を死んだ自分の兄そっくりだと言う。その直後、光太郎を狙う謎の宇宙人が現れる。

感想
今回は約半年振りに朝日奈隊長が出演。逆に荒垣副隊長は今回はお休み。
又、上野隊員は今回をもって降板しているが、西田隊員のように宇宙ステーションに移動した等の理由は劇中では語られていない。

因みに降板理由は上野隊員役の西島明彦氏のスケジュールの関係。

光太郎を死んだ自分の兄そっくりだと言うまちこ。
妹として兄に甘える純真な少女の顔と、光太郎の命を狙う凶悪な顔を持つ二面性が面白い。
(特に工事現場で倒れた光太郎に向かって包丁を握り締める場面は印象に残る)
結局はカタン星人が乗り移っていたと言う設定だが、兄を独占したい妹の願望(欲望)を表していたとも考えられる。

「私、タロウの人形より光太郎お兄ちゃんの方が好き」。

物語に関わるウルトラマン人形。最初に光太郎とまちこが出会った時、まちこはゾフィの人形を持っていた。
その後、まちこは光太郎にセブンの人形が欲しいとねだるが、セブンの人形はバラバラにされてしまった。
次にエースの人形をねだる時に「お兄ちゃんと私が一緒になったみたいな」と言っている。
男女合体変身の事を忘れずにいてくれた事は嬉しいが、まちこが知っていたのは不自然では?(カタン星人の知識かも)
そして最後はお約束通りタロウの人形。初代マンと新マンの人形が出てこなかった事が残念。

光太郎とカタン星人とのカーチェイス。ウルトラシリーズでカーチェイスは非常に珍しい。
尚、カーチェイスの時のカタン星人は運転に邪魔なので角が無い。

カタン星人が乗り移った為、激しい疲労に襲われるまちこ。
よく考えたら、体内に別人が入り込んでしまったら体に負担がかかるのは当然。
過去の主人公達はウルトラマンと一体化しても平気だったが、やはり、それなりの素質があったのだろうか? それとも単にまちこが子供だったからだろうか?

病室での光太郎と森山隊員。
「私だってZATの隊員よ。最後の最後まで諦めないわ!」と一緒に病室に残ろうとする森山隊員に対して
「君も僕もZATの隊員だ。だからこそ、今、ZATの隊員として、一番しなければならない事をやるんだ!」とまちこと一緒に逃げるよう告げる光太郎。
この時の森山隊員には光太郎に対してZATの同僚以上の気持ちがあったように思える。

タロウ最大の切り札ウルトラダイナマイト炸裂!
敵と共に自分も爆発するが、自分はその後復活すると言う物凄い技。
言ってみれば『ドラゴンクエスト』で「死なないメガンテ」をやるようなもの。殆ど反則に近い。
劇中で1回しか使われなかったのもその為であろう。

数多くのスタッフが語っているように、この辺りから予算が厳しくなり、前半に等身大の宇宙人を出してサスペンスを盛り上げた後、
最後に巨大化した宇宙人を1回だけ出す事でロケの場面を増やし、ミニチュアの費用を抑えようとしたらしい。
今回はその目論見どおり、カット割りやBGM等で雰囲気を上手く盛り上げている。
しかし、カーチェイスの場面で角の無いカタン星人の着ぐるみを用意したり、巨大化した後も派手な爆発を使ったりと予算削減がどこまで出来たかはやや疑問。


制作第36話 ひきょうもの! 花嫁は泣いた −ねこ舌星人グロスト登場−
1973年12月7日放送(放映第36話)
脚本 阿井文瓶 監督 深沢清澄 特殊技術 高橋勝

「姉さんを取られてしまうような気がするんだなぁ」
・・・・表面上は姉の結婚を祝う清彦だが、心の奥底では姉を婚約者に取られてしまうと言う思いがあった。
   それを宇宙人の話と結び付けた視点はなかなか面白いのだが、それなら清彦が姉の婚約者と顔見知りと言う設定は止めて、
   事件の夜に初めて会い、事件を通して清彦と姉の婚約者が理解し合う展開の方が良かった気がする。
   (それとも単純に姉の結婚を成功させようと弟が孤軍奮闘する話と考えた方が良いのかも)

ねこ舌星人グロスト
身長 59m 体重 4万5千t
タロウがカタン星人と戦った夜に密かに工事中のマンションに潜入した。
マンションの地下に顔だけの状態で潜伏。両目からの閃光でマンションの作業員達を操る。
体が冷凍していて、グロスト自身はもとよりグロストに操られた人間も熱いものを異常に嫌う。
清彦に顔をZATガンで撃たれて巨大化。冷凍ガスでタロウを苦しめるが、ZATのレーザー光線に苦しむ。
最後はキングブレスレットで太陽光線を増幅したタロウのハンドビームで倒された。
予告では「冷凍怪獣グロスト」となぜか怪獣扱いされている。

物語
タロウがカタン星人を倒した夜、姉と一緒に焼き芋を売っていた清彦は工事中のマンションに宇宙人が潜入するのを目撃する。
そのマンションの作業員の一人、岩坪は姉の婚約者だったのだが……。

感想
前回の続きと言う珍しい展開。とは言え、前回の話と今回の話を繋げる必要はあまり無かった。
前回、タロウのピンチを救ったベルと、今回、清彦のピンチを救ったベルをかけたのだろうか?
それともウルトラダイナマイトの映像をもう一回見せたかったとか?

前回と今回の話を担当した深沢監督は特にBGMに凝っている。
前回の光太郎に迫る危機を表したBGMと今回のマンションで清彦が追われる場面でのBGMは悪夢的な感じがよく出ていた。

その他、戦う決意をした清彦が焼き芋の屋台を引っ張って出撃する場面のBGMも印象に残る。

マンションで清彦が追われる場面はBGMだけでなくスローな映像がさらに悪夢的な感じを出していて見事なシーンに仕上がっている。
その後も地下室での光太郎達と作業員達との乱闘シーン、タロウとグロストの戦闘シーンを青一色にして独特の怖さ寒さを生み出していた。

特撮部分ではグロストの冷凍の部分がなかなか上手く出来ていたと思う。

最後、ウェディングケーキが焼き芋だったのは簡単に想像できました。

『空想科学読本』シリーズで、本作の題名を見て結婚詐欺の話かと思ったと書かれていたのはもっともだと思う。


制作第37話 怪獣よ故郷へ帰れ! −逃亡怪獣ヘルツ 醜悪星人メドウーサ登場−
1973年12月14日放送(放映第37話)
脚本 石堂淑朗 監督 筧正典 特殊技術 大木淳

「現実に悪い事をしているか、あるいは今は何もしなくても、本当に悪い怪獣であると言う確信が持てぬかぎり、ZATは攻撃しません。
 怪獣もやはり人間と同じ生き物ですから」

・・・・「びっくり! 怪獣が降ってきた」の「たとえ相手が怪獣でも悪い事をしなければZATはイジメはしません」を受けたセリフ。因みに脚本はどちらも石堂氏。
   テレビ局に怪獣を倒すシーンが残酷だと言う投書が来て仕方無しに書いたと語っているが、石堂氏はその後も怪獣=悪ではないと言う話を作り、
   「歌え! 怪獣ビッグマッチ」では人間と怪獣が共存している地、ボッチ谷を生み出している。

逃亡怪獣ヘルツ
身長 53m 体重 4万4千t
メドウーサ星座に住んでいたが、メドウーサ星人に追われて地球に逃亡した。
ZATに攻撃されても反撃しなかったところを見ると攻撃能力は全く無いようだ。
(Doona Brankさんの指摘によると、予告編では炎を吐いている場面がある)
土踏まずがあり、足の裏は柔らかい。光太郎が資料の為に足の裏を一部切り取ったが、痛みは特に無く、くすぐったいだけだった。
メドウーサ星人が乗り移った森山隊員の攻撃でダメージを負ってしまう。
タロウがメドウーサ星人に苦戦している時、果敢にメドウーサ星人に立ち向かうが返り討ちに遭ってしまう。
最後はZATによって地球の引力圏外にまで連れて行ってもらった。
メドウーサ星座はいまだメドウーサ星人の支配下にあると思うのだが、どこに行ったのだろうか?
名前の由来はヘルプ(助けて!)からだと思う。
『ジャンボーグA』のアントロンの着ぐるみを改造している。

醜悪星人メドウーサ星人
身長 50m 体重 8万t
ヘルツを追い出してメドウーサ星座を完全に支配下に置く。その後、口封じの為にヘルツを追って地球にやって来た。
別荘に住む老人をメドウーサ磁気で仮死状態にし、老人の孫めぐみに変身して、ヘルツは祖父を殺した悪い怪獣だと言ってZATに始末させようとした。
それが無理だと判断すると、森山隊員に乗り移ってZATの武器でヘルツを始末しようとする。
口封じの為にタロウも倒そうとしたのが運の尽きでストリウム光線で倒されてしまった。
名前の由来はギリシア神話の「メドゥーサ」から。劇中では「メドーサ星人」と呼ばれている。
女性に次々と乗り移るが正体はおっさんだった。「私は蝶のように舞い、蜂のように刺すのだ!」。

物語
宇宙から怪獣ヘルツが地球に落下!
荒垣副隊長はヘルツの様子から悪い怪獣ではないのではと考える。
そこにめぐみと名乗る女性が現れ、ヘルツは悪い怪獣だから早く始末してほしいと告げる。

感想
今回のZATはむやみにヘルツを攻撃せず、生態や目的をはっきりと見極めようとしていた。
この精神は『コスモス』のTEAM EYESにも受け継がれている。
今回の南原隊員は「怪獣はあくまでも怪獣」とかなり攻撃的でやや違和感がある。
出来れば、スミス長官か鮫島参謀を再登場させてほしかった。
(途中、南原隊員は世間の声も気にしていたが、これもらしくない)

久々登場、光太郎自慢のナイフ。しかし、ヘルツの爪の硬さに欠けてしまう。
土踏まずがあるからと、そこに潜り込む光太郎は勇敢と言おうか無茶と言おうか……。

北島隊員がヘルツの生態を調べている間、つい寝てしまう光太郎達。
その間に森山隊員がメドウーサ星人の乗り移られてしまうのだが、「天国と地獄 島が動いた!」でも似たミスをしていたような気がする。頼むから、起きていて!

森山隊員に乗り移ってヘルツを攻撃するメドウーサ星人。
ZATの戦闘機同士が戦う珍しい展開になった。
森山隊員を気にしていたとは言え北島隊員に勝利。又、背面飛行等、難度の高い操縦もこなしている。
これはメドウーサ星人の能力ではなく森山隊員自身の能力と考えた方が良いだろう。
なぜなら森山隊員は単独で出撃した時の敗退、脱出回数が0と言う脅威の記録の持ち主だったのだ。
(ただし荒垣副隊長と一緒だと殆ど必ず「脱出!」してしまう)

タロウがメドウーサ星人に苦戦している時、ヘルツがタロウを助けようとした。
すぐ倒されてしまったのだが、怪獣がウルトラ戦士を助けようとしたのは大変珍しく、これ以前では『セブン』のカプセル怪獣以外例が無い。
(『初代マン』のピグモンは人間を助ける場面はあっても初代マンを助ける場面は無かった)

最後、北島隊員は何かの機械でめぐみが本物かどうか確かめていた。宇宙人探知機の類だろうか?

メドウーサ星人はヘルツを追い出してメドウーサ星座を我が物にしてしまった。
そこには、かつて『セブン』でノンマルトを滅ぼして地球を我が物にしてしまった人間の姿が重なる。
メドウーサ星人はヘルツをZATに始末させる事に執着していたが、それは自分達がヘルツを滅ぼそうとした事を隠す為ではなかったのだろうか?
かつて人間がノンマルトを滅ぼした事を隠そうとしたように。
最後、メドウーサ星人は事実を知った(と言うかメドウーサ星人が自分から喋ったんだけど……)タロウを口封じの為に殺そうとする。
そして人間も『平成セブン』で、人間がノンマルトを滅ぼしたと言う事実を知っているセブンを口封じの為に殺そうとする。
北島隊員が最後に呟いた「この地球でも争いが絶えないけれど宇宙でも同じなんだなぁ」と言うセリフが心に残る。

今回はZATが自分の戦闘機に攻撃を受けたり、世間の声を気にしたりする他、次々に女性に乗り移る宇宙人が登場したりと、
『帰マン』の石堂作品を思い出させるシチュエーションが幾つか見られる。

本作は『帰マン』以来、久々に大木監督が登板している。
大木監督は当時『ファイヤーマン』の本編を多く担当していた。


制作第38話 ウルトラのクリスマスツリー −ミラクル星人 テロリスト星人登場−
1973年12月21日放送(放映第38話)
脚本 田口成光 監督 筧正典 特殊技術 大木淳

「そうか…、キングトータスとの戦いの時か……」
・・・・昭和のウルトラシリーズでは大変珍しい後日談。それもただの後日談ではない。
   ヒーロー作品も戦いがある以上、バトル作品に含めてよかろう。
   バトル作品では戦いの迫力を出す為に周りの建築物等をよく破壊している。
   冷静に考えれば、破壊された家に住んでいた人、仕事場で働いていた人の生活は一変してしまう。
   それに建築物が破壊されれば、その巻き添えを受けて死んでしまった人も当然いるはず。
   しかし、多くのバトル作品ではその事には殆ど触れずじまいで終わってしまっている。
   ウルトラシリーズでも例外ではなく、物語の本筋に絡む人以外の被害描写は極力避けている。
   今回はその今まで避けていた部分をあえて取り上げた話。
   (今回ゲストのひとみはトータス編では物語の本筋には絡んでいなかった)

ウルトラの母
身長 40m 体重 3万2千t
光太郎がライターの炎の中に見た。光太郎にとって一番大事な人。

今回、『ウルトラの母のバラード』が聴ける。

エフェクト宇宙人ミラクル星人
身長 199cmから43m 体重 70kgから2万t
地球によく似た環境ながら文化がやや遅れているミラクル星から地球に勉強にやって来た。
普段は人間に変身していて、タロウとトータス親子との戦いの時に両親を失った少女ひとみとその愛犬ペロを助ける。
その後、独りぼっちで寂しかったひとみを慰め続け、自分の星に帰る際は不思議なビー玉を与えた。
しかし、地球の資料を狙ったテロリスト星人に殺されてしまった。
地球にテロリスト星人が襲来した時、ひとみに与えたビー玉が爆発してテロリスト星人を凍結させ、タロウに勝利をもたらした。
その後、東京には雪が降り注いだ。名前の意味はミラクル(奇跡)。

緑色宇宙人テロリスト星人
身長 52m 体重 3万1千t
好物のガスが豊富にある地球を以前から狙っていた。ミラクル星人を殺して地球の資料を入手した。
剣や腕に仕込んだ銃でタロウを苦しめるが、ミラクル星人がひとみに与えたビー玉の爆発を受けて凍結、
タロウに空中に放り投げられ、ハンドビームで倒された。
名前の由来はそのまま「テロリスト」から。
デザインや、ミラクル星人を殺した砂漠の場面を見ていると、アラブ系テロリストをイメージしているのだろう。(目的も石油だったし)

物語
クリスマスに沸く街。しかし、ひとみと言う少女は寂しさを隠せない。
なぜなら、自分にはクリスマスにプレゼントをくれる人がいないから。そして、その原因は……。

感想
タロウと怪獣との戦いでは毎回のように街が壊されている。当然、そこにいた人は多大な被害を受けている。今回はその部分を取り上げたお話。
『ガメラ3 邪神覚醒』より25年も前に、この部分を取り上げた『T』は決して侮れない作品だと思う。
しかも、ひとみの両親が死んだ戦いが対トータス親子戦と言うのがまた辛い。
トータス編では人間の犠牲となったトータス親子に感情移入してしまうので、タロウに早くトータス親子を倒せとは言えない。
しかし、タロウがトータス親子を倒すのを躊躇ってしまった為に被害が大きくなってしまった。
このジレンマを解消する事は今の自分には出来ない。

今回は『マッチ売りの少女』をベースにしている。(ミラクル星人のビー玉もマッチの炎の代わり)
前半のレギュラー陣が見る夢が面白い。
荒垣、北島、南原隊員は一緒にサイクリングをする夢を見るが何故にサイクリング?
健一君はタロウになる!のではなくタロウと戦う事を夢見る。
タロウと戦ってみたいと言うのはちょっと意外だが気持ちはなんとなく分かる。この時に等身大のタロウが見られる。
さおりさんはやけに気合を入れて夢を見ようとするのが面白い。
当然、夢は光太郎との結婚なのだが、光太郎の脇には森山隊員もいた。(森山隊員も光太郎との結婚を夢見ていたから)
身に覚えの無い夢の話で怒られる光太郎は哀れだが、こういうラヴコメ的な部分はもう少し見たかった。

私はマッチ売りの少女と言ったら、少女と言うにはちと年をとりすぎているなぁと言われてしまう森山隊員。
因みに森山隊員の年齢は18歳。おいおい、21歳のフジ隊員や20歳の丘隊員や美川隊員の立場は?
光太郎に向かって「あなただけだわ、私の気持ちを分かってくれるの」と言った森山隊員。
今までに見た事無いような幸せな顔をして見た夢は光太郎との結婚だった。やっぱり気がある?

ひとみはミラクル星人は自分の星に帰って行ったと言っているが、ミラクル星人はひとみに自分の国に帰ると言っている。
細かい部分なのだが、ミラクル星人とテロリスト星人は同じ星の違う国の住人だったのかもしれない。(ミラクル星は地球によく似た環境だと言っている)
星の呼び名だが、それぞれの国が勝手に自分の星の名前まで決めてしまっているのだろう。
前回、北島隊員が呟いていたが「この地球でも争いが絶えないけれど、宇宙でも同じなんだなぁ」

両親が死に、ミラクル星人も殺されて自暴自棄になったひとみ。光太郎は死んでもどうにもならない、テロリスト星人は自分が倒すと説得する。
ひとみは「タロウよりずっと良い宇宙人だっているのよ」と言っているが、それは自分の心を救ってくれたミラクル星人の事。
ただ敵を倒すだけでは駄目だ。その戦いの犠牲になった人の心も救わなければいけない。
今回のタロウはテロリスト星人を倒しても帰らず、東京タワーをクリスマスツリーにしてから帰った。
それが今のタロウに出来る精一杯の贖罪だったのだろう。
それは単にひとみに対してだけでなく、劇中には登場しなかったが、過去のタロウと怪獣との戦いで被害を受けた人全員に向けてのものだった。

ひとみは両親の死後、おばさんの家に引き取られていたが、あまり快く思われていなかったらしい。
(独りぼっちで寂しかったと言っているし、クリスマスプレゼントも貰えなかったらしい)
最後、信州の祖父母の家に引き取られる事になったらしいが今度は幸せになってもらいたいものだ。

自分は『T』で最も感動したシーンを挙げろと言われれば、今回の東京タワーをクリスマスツリーに変えた場面を挙げたい。
あのクリスマスツリーは誰の物でもない、皆の物だ。
幸せな人にもそうでない人にも、家族に恵まれている人にもそうでない人にも、自分が好きな人にも嫌いな人にも、何の分け隔ても無く、あのクリスマスツリーは輝いている。


制作第39話 ウルトラ父子餅つき大作戦! −ウルトラの父 うす怪獣モチロン登場−
1973年12月28日放送(放映第39話)
脚本 石堂淑朗 監督 山際永三 特殊技術 山本正孝

「これ、モチロン! 新潟にまで行って餅を食うなんぞとんでもない話だ!」、
「だ、だけんど……」、
「黙れ黙れ! 帰るのだ! それと帰る前に、お前が盗んだ分の餅を返すのだ!」、
「そんな無理言っても、食べちまったモンはしょうがないでしょう。どうすんの?」、
「だからお前が臼になり、餅をつくのだ!」、
「うへ!? やれやれ……、地球に来てまで餅をつかなきゃならないなんて、全く……」

・・・・おそらく『T』で最も有名な話。民話を得意とする石堂氏の持ち味が大爆発した話。
   正直言って、今回の話の面白さを言葉で表すのは不可能。とにかく実際に見る事をお勧めする。

ウルトラの父
身長 45m 体重 5万t
駄々をこねるモチロンを一喝!
今回はタロウの危機と言うより南夕子が困っているので地球に来たと言う感じ。
題名は「ウルトラ父子餅つき大作戦!」だが、タロウと南夕子の餅つきを満足そうに見ていただけで実際には餅つきに参加していなかったりする。

月星人南夕子
月から来たモチロンが地球人に迷惑をかけている事を知って地球にやって来た。タロウの活躍をいつも月から見ていたらしい。
ピアノを弾きながら月から降り立つ。一般の人には見えないらしい。空を飛ぶ、瞬間移動、巨大化ともはや何でもあり。
モチロンには「姐さん」と呼ばれている。

うす怪獣モチロン
身長 58m 体重 4万t
月出身だが地球人の「月では兎が餅をついている」と言う想いが具現化したもので、南夕子曰く半分は月、もう半分は地球の怪獣。
レーダーに宇宙怪獣として感知されなかったのは地球と月の元素が同じと言う以上にこの部分が大きく関わっているような気がする。
本物の地球の餅を食べたくなって飛行船にぶら下がって地球にやって来た。
そして地球の、いや日本の餅はやはり柔らかくて美味いと言う事を知り、特に美味しい新潟の米で作られた餅を食べるべく、新潟に向かおうとする。
口から炎を吐き、両手両足を臼の中に引っ込めて転がる。年中餅ばかり食べているので力持ちらしく、タロウと力比べをしようとする。
しかし、タロウに敗れると「さあ、殺せ! しかしオイラが死ぬと月の黒い部分が消えて、お月見も出来なくなってしまうぞ!」とかなり往生際が悪かった。
最後はウルトラの父の一喝を受け、自分が臼になって食べた分の餅をつく羽目になった。その後、ウルトラの父と南夕子によって月に帰される。
名前の由来はもちろん「餅」から。

物語
もうすぐお正月、もちろん今回の話はお正月のお餅の話。
餅つきをしていると、子供が「怪獣がお餅を食べに来るかも」と冗談を言う。もちろん怪獣がお餅を食べに来た!

感想
ビバ! モチロン! 自分はモチロンが大好きだ! ウルトラ怪獣に革命を起こした存在と思えるほどだ。
ウルトラファンの中にはモチロンの存在は絶対に許せないと言う人もいるだろう。
正直、自分も最初に雑誌で見た時は「なんじゃこりゃ!?」であった。
しかし『Q』からウルトラシリーズを順番に見ていくに従って怪獣に飽きが来てしまった。
『A』の超獣や『T』の妖怪系怪獣もなかなか面白かったが、今回のモチロンを越えるインパクトは無かった。
今まで自分が持っていた怪獣の概念をすっ飛ばした存在、それがモチロンなのだ。
モチロン以後、『T』の怪獣はモチロンをベースにしたトンデモ怪獣が増えていく。
それを許せないファンの気持ちは分かるが、自分は「今回の怪獣は何をしでかしてくれるのだろうか」?と言う奇妙な期待感を抱いて見るようになった。
今までの怪獣は既に雑誌で生態や物語展開があらかた分かっているものばかりだった(それでも面白かった話はたくさんあった)が、
これ以降の『T』怪獣は雑誌で書かれている以上の事をしでかしてくれる。それが、やや飽きが来ていた自分にはたまらない刺激になったのだろう。

冒頭、「もうすぐ正月だが、クリスマスも祝ってもらえなかった子供達はどうするのかな?」と神妙な面持ちで呟く光太郎。
やはり、前回の話は光太郎の心に大きくのしかかったようだ。

はこべ園での餅つき。たった一発で腰を痛めてしまった園長が笑える。
餅つきを見ている子供達は本当にお餅を食べたそうな顔をしている。
その後、モチロンがやって来るが、それでもお餅を食べようとする子供が妙に可愛い。

ゴルフボールを餅と間違えて食べるモチロン。あれだけ餅に執着していながら間違えるとは…。
途中、トラックの運転手が転がるモチロンの下敷きになったようなシーンがあるが、モチロンと地面との間に隙間があるので助かったと思いたい。
モチロンを見失うZAT。あんな巨体をどうやったら見失うのだろう?

南夕子は「タロウさん、私、前のエースと一緒に働いていた夕子です」と自己紹介している。
やはり、南夕子とエースは別人格だったようだ。
ところで南原隊員のお袋さん以外にもウルトラ戦士をさん付けした人がここにもいた。
まぁ、南夕子なら自然かな? 呼び捨てもなんか変だし。
せっかく南夕子が再登場するのなら、ウルトラの父ではなく、エース=北斗星司に登場してほしかった。

今回は軽快なBGMが雰囲気にマッチしていた。
途中、怪獣出現の場面で戦争の写真が、事件解決の場面で新生児の笑顔の写真が挿入されていた。
言わんとする事はなんとなく分かるのだが、無くても良かったような気がする。
タロウと南夕子がモチロンで餅つきをする場面はぶっ飛んでいて良い!

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