トライアングル・アゲイン2 レビュー

発売日 :2003年6月26日
価格 :7140円
対応機種  :PlayStation2
メーカー :キキ
メモカ使用容量 :70KB

あらすじ
ゲーム内容
システム
グラフィック
サウンド
シナリオ
キャラクター
総合評価

あらすじ

友人のオーディションに付き合ったことがきっかけで、歌手としてスカウトされた16歳の少女、蓼科灯。
かつて天才と呼ばれたシンガソングライター桐生勝プロデュースのもと華々しくデビューした彼女は
音楽界の頂点に立つ実力派シンガー御堂香澄をおさえ、見事デビューシングルで1位を獲得する。

順風満帆に見えた灯の芸能生活。
しかし、灯を逆恨みしているアイドル歌手・榊原類は、灯を失脚させるために裏で動き始めていた。

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ゲーム内容

前作では3つの曲とデビューシングルの結果の組み合わせによるEDが9つありましたが
今作は最上EDの1-1EDを迎えた設定で話が始まります。

ゲーム開始直後に前作のあらすじが文字で表示されますが
説明書のストーリー欄に掲載される程度のものですし、これ以外に前作未プレイ者へのフォローはありません。
最初から前作をプレイした層だけを視野に入れた作りとなっています。

ゲーム内容は前作から何ひとつ変わっていません。
出現する選択肢の何を選んだかによってEDが変わる基本システムはもちろんのこと
画面レイアウト、アイキャッチで使用される画像、機能面、難易度の高さ、
そしてこのシリーズの特徴であった「音の選択肢」が2つしか出現しない点まで一緒。
異なる曲でも演出は同じ、それなのにEDが別扱いという欠点も相変わらずです。

違いと言えるのは選択肢の色が茶色から青色になったこと、挿入歌が英語から日本語になったこと、
スタッフロールが流れない中途EDが新たに追加された3点。
特に大きい違いと言えるのは3つ目ですね。

前作でのプレイヤーが介入出来る余地といったら
2種類のデビュー方法と、3段階あるデビュー曲の売上がどれになるかぐらいなもので
どういう選択肢を選ぼうが結末は固定されていましたが
今作ではプレイヤーの選択によって灯の将来が変わるようになりました。
曲が違うだけで別ED扱いされるもの、内容が被っているものを除けば、その数は9つ。
(以下ネタバレにつき、背景と同じ色で書いています)

灯の将来が変わるといっても、結局のところ
勝にプロデュースされるまま歌手を続けるか、芸能界に疲れ果てて逃げ出す(引退する)か
二者択一に過ぎなかったことは大いに物足りなかったです。
灯自身がシンガーソングライターになるとか演奏家に転向するとか
芸能(音楽)活動を続ける上での方向性を、プレイヤーが決められるとばかり思っていただけに、落胆しました。

冒頭のマネージャーとの会話で「創る方はもっと好き」という選択肢を見たときは
作曲家転向のフラグに違いないと睨んでいたんですがね…。
一応『クラシックに転向』という名のEDもありますが
海外に旅立つ前に、クラシックで出直すとマネージャーに告げるところで終わる、いかにもおまけ的な味気ないものですし。

それでも勝に捨てられたり、灯がデビューするきっかけをもたらした友人と再会する意外なEDも存在したので

固定EDだった前作に比べれば、ゲームとしての体裁はギリギリ保てる作りになったとは言えます。

本筋の話がやや長くなったこと、中途EDの存在によりボリュームは前作の1.5倍となっていますが
前作のボリュームがボリュームですから、その1.5倍程度ではたかが知れています。
中途EDの内容はワンパターン、選択肢の数も最初こそ増えたように感じるものの、本当に最初だけなものだから
プレイすればするほどがっかりしていきました。

前作はボリューム不足でありがなら未完という、単体としては非常に呆れる出来ではありながらも
その分、続編では分岐やボリュームがどれぐらい増量してるかという期待は持てたんですが…
実際には前作での物足りなさを補ってくれるわけでもなかったから、2本で1つのゲームと考えても物足りなかった。

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システム

セーブ  アイキャッチが入ったときのみ可能。数は10個。
スキップ  既読の手動スキップのみ
読み返し  なし
オート再生  △ボタンを押すことでONになる
ボイス  主人公含めフルボイス
おまけ  ・EDリストも兼ねている、クリアデータを鑑賞出来る「Replay」
 ・ゲームで使用された歌をフルで聴ける「Songs」(「Replay」コンプ後、カラオケも再生可能)
 ・キー設定を自由に変えて挿入歌を聴ける「Multi Track」(「Replay」コンプ後に出現)
その他  特定ボタン同時押しでソフトリセットが可能、既に見たEDのスタッフロールをカット可能

前作参照
で終わらせたいぐらい違いはありません。
セーブポイントであるアイキャッチの間隔が多少長めになったかな?というぐらいで、それ以外は長所も短所も前作と同じ。
システムデータがないことや、リプレイで一時停止が行えない欠点に関しては
ボリュームが増加したことによって一層ストレスを感じるようになりました。
クリアデータをロードして最初から始めた際、強制的にテキストが手動送りに切り替わるのも気になりましたね。

というわけで、本編に関しては一切の変更点・改善点が見られなかったんですが
「Songs」でカラオケも聴けるようになり、「Multi Track」モードが新たに追加されるなど
おまけ要素はちょっぴり進化しています。

でもこの「Multi Track」、前作の曲も収録される一方で「Songs」のようにフルでは聴けないし
私のような音楽に疎い人間にとって、キー設定をいじれることは特に魅力的な要素でもないから
前作の曲を聴くとき以外で使用することはなかったですけどね。カラオケにしても同様。

私としては、「Songs」で歌詞も表示されるようになったことが一番大きな改良点でしたね。
この「Songs」の8トラック以降がカラオケではなくて、前作の(日本語)曲だったら更に嬉しかった。

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グラフィック(演出)

止め絵に口パクをつけただけの演出が基本だった前作に対して、今作では動くシーンが大幅に増えています。
さすがに今回の内容を非アニメの2Dイラストでそっくり表現するのは厳しいでしょうし
ようやく、「アニメーション」ゲームらしい仕上がりになりました。

でも、出来るのなら最初からそうしてくれよ…と思いもしますね。
今作でも止め絵の使用はたびたび見られますし、動きまくると表現するほど動画を使っているほどでもないにせよ
1作目から今作程度に動画シーンを取り入れていたのなら
止め絵のみで成り立っているなんて評することもなかったんですが…。

ただし、挿入歌が流れるシーンでは相も変らぬ静止画です。
類が歌番組で歌うときなんて、アイドルらしい振り付けの動きがあってもよさそうなものなのに
片手だけを上げた状態で微動だにせず、口パクすらしません。
一番の見せ場とも言えるシーンにこそ力を入れるべきなのに、そこだけは依然として手を抜いてるなんて、本末転倒ですよ。

前作で見られた時代錯誤な過剰演出は控えめになっています。たまにキャラの目が光る程度。
それだけに、
レコーディング中の灯の姿が女神に見えてしまうほど、感銘を受けたマネージャーの奈保子が
「女神光臨…」と呟くシーン
は唐突に流れをぶつ切りされたような違和感が生じて、かなり滑っていましたけどね。
こういうオーバーな演出を入れたいのなら、普段からたびたび入れてくれるなりして、プレイヤーに慣れさせてくれないと。
このシーン、作り手側としては見せ場のつもりなんでしょうが、脈絡がなさすぎるあまり、悪い意味で唖然とさせられました。

メインルートとサブルートの2種類のシナリオではそれぞれ展開が異なるのに
使用されているアニメがほとんど被っているのも大きな減点。
メインルートのアニメをサブルートで流用しまくったのが真相なんでしょうが
私が最初に通過したのはサブルートだったので、サブルートクリア後にメインルートをプレイしたときは
既に見たことのあるアニメばかり流れ続けて、かなりの興ざめでした。

留守番電話を聞いた灯が涙ぐんだり、自身をマリオネットに見立てるシーンでは
台詞やモノローグなどに頼らずに、短い演出だけで灯の心理状態を表現していて引き込まれたんですよ。
だから使い回しなどに気づきようもない初回プレイは
(類の歌うシーンを除き)演出面に対してはなかなかの好印象だったんですが…
使い回しに気づいたときは、その好印象さえも掻き消されてしまいました。

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サウンド

前作の挿入歌は英語版で統一されていたことに不満たらたらでしたが
同じように感じた人から批判が殺到したのか、2作目の英語版を用意する予算を惜しんだのか
今作ではすべての曲が日本語になっています。

理由はどうあれ、この変更は素直に嬉しかったです。
「音の選択肢」も、日本語になったことで歌い方の違いがはっきりと聞き取れるようになりました。
(前作だと3つのうちのどれがベストで、どれをわざと下手に歌っているのか、その違いが分かり難かった)

今回の灯の曲はどれもしっとり系のバラード。
インパクト&キャッチーさは前作に劣るけど、心に訴えてくる魅力は今作の方が高いと思いました。
特に2曲目『Can't You See?』は口ずさめるようになるまで何度も聴いてしまったほどのお気に入り。
3曲目『Be With』のパワフルなサビ部分も好きです。
灯の歌を担当してる山崎麻衣美さんは曲によってちゃんと歌い方を変えているので、どの曲にもそれぞれ独自の魅力がありますけどね。
何を歌っても同じに聞こえる歌手って案外多いですから、曲ごとに歌い方が異なっていたのは感心しました。
どんな曲も歌いこなせるという灯の設定とも一致しますし。

ただ、引っ掻き回し役のアイドル歌手・榊原類の歌声が
普段の甘ったるい声とかけ離れたものだったことは、かなり気になりました。
曲はいかにもアイドルが歌いそうな、ポップで軽い歌詞&曲調だっただけに、尚更普段の声とのギャップには困惑しましたよ。
喋り声と歌声に隔たりがある人はいますけど、それにしたって、もうちょっとバランスを考えて起用してもらいたかったです。

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シナリオ ※ネタバレあり

デビュー曲がミリオンヒット&勝と共同の作曲活動もはじめるなど、芸能活動が軌道に乗っている中で
灯を逆恨みするキャラの罠にかかるメインルートと
自分はこのままでいいのかと灯が思い悩むサブルートの2シナリオが存在し、序盤でどちらに入るか決定します。
メインルートはスタッフロール込みで65分から70分、サブルートは20分から30分ぐらい。
私が最初に見たのサブルートの方でした。

前作では灯が何を考えているかさっぱり分からず、ただ周囲に流されているだけにしか見えなかったのですが
今作の展開を合わせると、主人公の意思が見えなかったのはただの描写不足ではなくて、意味のある構成になっていると思えました。

周りから担ぎ上げられて歌手デビューはしたものの
自分の知らないところで物事が勝手に進行していくことに不安を抱くようになり
自分は曲を歌うためだけの道具、ただの操り人形なんだと感じるようになっていく灯。
そんな中、偶然聞いてしまった勝と奈保子の会話から、身近な人物への信頼さえも揺らぎ始める。
精神状態が不安定になったことで前のように歌うことが出来なくなり、思い通りに歌えない苦しみにもがく…。

前作をプレイしたとき、突然芸能人になってしまったヒロインの心情がろくに触れられていないことも
欠点のひとつとして捉えていましたが、それは続編で前述した心情を中心に話が展開するからだったんです。

グラフィック項目でも書いた留守番電話やマリオネットと自分を重ねる演出は
灯の不安定な精神状態がよく表現されていましたし
ソラリスのメンバーから、スランプのときは素直に俺たちを頼れと励まされるシーンはベタながらも和みます。
このあとでソラリスが解散する展開になったのはショックでしたが
サブルートの方はまずまず満足出来る内容だったんです。
その一方で、メインルートの方は突っ込みたい部分がいくつかあり、食い足りない出来でした。

類から父親の場所を教えられた灯は、数年ぶりに父親と再会を果たすが、父は既に新しい家庭を築いていた。
再び家族三人で暮らすことを夢見ていた灯にとっては、まさに青天の霹靂。
父の再婚を隠され続けたことで母からも裏切られたと感じる灯は、精神的なショックから歌えなくなる。

…以上のような内容なんですが、まず、父の再婚に大打撃を受けるという大前提が弱い。
灯が最もショックだったのは、父の再婚によって、再び三人で暮らしたいという夢が壊れたことだと思うんですが
その願い続けていた夢がプレイヤーにちゃんと伝えられていなかったせいで
作り手側が思っているほど、父再婚に大ショックという流れが効果的に働いていないんですよね。

それが分かる描写といったら
前作で芸能界入りを反対する母親に、自分が歌うことで父親が帰ってきてくれるかもしれないと反論するところと
今作のゲーム序盤で勝に家族三人で暮らしたいという願いを告白するシーンぐらい。

ところがこの2シーンですら、選択肢次第で聞けないこともあります。(強制的に聞かされる会話ではない)
そのため、伝えるべき心情描写をおろそかにしていたメインルートよりも
私は周囲のお人形だと沈み込むサブルートの方が、自然な流れになっているんですよ。

その上、父失踪の真相を知ってからの展開で使われたアニメのほとんどが
サブルートの序盤で使用されたものばかりだったので、なおさらメインルートに魅力を感じることが出来なかった。
タイミングは違うにせよ、どちらも「精神的に落ち込んで歌えなくなってしまう」という点では同じですから
使用されるアニメが同じだったことの不自然さは感じなかったんですが
分岐が多いわけでもないゲームでこういう手間を惜しむ様をまざまざと見つけれられると、やっぱり呆れてしまいます。

それから、メインルートなのにも関わらず、明かされていない伏線が多い。

灯の父親失踪の真相が判明して、勝とは正式に結ばれたけれど、逆に言えばそれ以外はあやふやなまま。
完結編を名乗るのが不自然なぐらい、決着をつけていない問題がいくつもある。

灯を陥れた類は何の心境の変化もなければダメージも受けていない状態で放置されっぱなし
和士が女性を苦手とする設定、勝と兄の確執、桐生芸能が限界に来ているなどの描写も、
何のために出してきたんだ?というぐらい、話に反映されていない。
義樹が灯のことが頭から離れなくなる描写や、香澄が勝に迫るシーンだって、大筋には何ら関わりがありません。
義樹の灯への想いが本気になるとか、香澄が勝が婚約者設定が“ないもの”だったとしても
父のことで歌えなくなるという今作の話に影響を与えることはないんです。

結末自体も、まだまだ続く物語の一区切りという形に過ぎなくて
話を膨らまそうとすれば、いくらでも出来る終わり方をしてるんです。
灯に新たな障害が降りかかる『トライアングル・アゲイン3』に続く…そんな予告編が流れても違和感がない。

きっと、2で完結したのではなくて、完結せざるを得なかったのが真相でしょうね。
1作目で灯の心情描写がおろそかだったことが2作目のサブルートに繋がったように、
義樹が灯を好きになることも、香澄と勝が婚約者だということも
香澄と勝が婚約者だと灯が知ったことで二人の関係に亀裂が生じて、そこに義樹が入り込むとか
3作目でそういった展開にさせるための伏線だったんだと思うんです。

前作が序章程度の内容にしかなっていないことも
今作が芸能界もの、成長もの、ラブストーリー、どれを取っても中途半端なのも
もっと長いシリーズとして続けるためだったから…なのかもしれません。

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キャラクター ※ネタバレあり

■蓼科灯 (CV:今井由香)
『トライアングル・アゲイン』シリーズの主人公。
一言で言えば、競争社会の芸能界にはまるで向いていない子です。

人と争うことも、悪意をぶつけられることにも慣れておらず、悪い意味で純真無垢。
周りの大人が気遣いから自分に伏せていたある事実を知ったときに
裏切られたとしか受け取れないあたりは、いかにも思春期の少女らしいですけど
そういった未熟な少女特有の弱さ、不安定さばかりを見せ付けられるので、内面的な魅力がプレイヤーにちっとも伝わらない。
ここまで人間的に惹かれる部分のないヒロインというのも、なかなかいないんじゃないんでしょうか。
それぐらい、外見と声以外の良さが見当たらないキャラでした。

ルックスはかなりよし、精神面で成熟しきれていないだけで性格に難があるわけでもないから
モテることはモテるけれど、いざ交際するとなると相手からすぐに飽きられてしまいそう。
要は強い感情を抱かせるほどの深さがない。

人にもよることですけど、大抵のユーザーが二次元のキャラに対して求めるものって
可愛いとか才能があるって周りから誉めそやされることではなくて
性格に大きな欠点があったり悪人だったりしても、どこか魅力を感じるキャラ造形ではないでしょうか。
このゲームのシナリオで一番感じたのは、その点でしたね。
好きだとか嫌いだとか、そういう段階にすらいかないって一番ダメなんじゃないかなぁ…。

■桐生勝 (CV:鳥海浩輔)
灯の曲を全面的にプロデュースするシンガーソングライターであり、正式な相手役。
日本の音楽業界に疑念を持つようになった頃に右肩を故障したことから
しばらく音楽活動から離れていたが、灯との出会いをきっかけに復帰した。
灯の父親、蓼科光一とも面識がある。

荒っぽいキャラから「すかした野郎だ」とか何とか言われちゃいそうな、感情をほとんど表に出さない、無表情でクールな人。
私には物事に動じない大人ではなくて、周りの物事に対する関心が薄い人に映りました。
周囲を顧みることがない、基本的に利己的な人に思えるんですよ。
灯に直接向かい合おうともせずに、置手紙ひとつで灯のもとから去るEDを見たら、その印象が決定的になりました。

ひとりのキャラとしての魅力が感じられなければ
運命的な出会いが演出されている灯とのカップリングにも食指が動かなかったから、灯とのラブシーンは退屈になるばかりでした。

グッドEDのひとつでは、灯が恋愛に夢中になるあまり
「勝さんがいれば、全てを投げ出したっていい」とまで考えるようになっているし…
こういう台詞を聞くと、これから先大丈夫なのかと逆に不安になっちゃいますよ。
香澄が勝の婚約者だと知ってショックを受ける灯の姿が容易に想像出来ますしね。

灯は勝を自分の父と重ね、勝は勝で灯を自分の分身のように見ている…
音楽性の一致から互いに惹かれあっている二人の関係ですが
言い換えれば、音楽で結びついてる関係は、その音楽を取り除くと終わってしまう。

灯が歌うことから逃げ出したときに迎える勝との結末は3種類あり、そのうちの1つだけが勝に捨てられないものなんですが
それすらも捨てられるEDに続くような形で終わってるんです。
最初に見たときは、結ばれるEDなのに、どうして灯が勝に声をかけた時点で終わっているんだろう?
勝EDなのに彼が登場しないなんて妙だと訝しんでいましたが、このあと勝が家にいないことに灯が気づいて…という
捨てられるEDにそのまま繋がせるためだったと考れば納得がいくんです。

こういった二人の関係の脆さにもう少し踏み込んでいたのなら
ラブストーリーとして、興味深いものになっていたかもしれません。

■御堂香澄 (CV:かかずゆみ)
“紫の女王”の異名を持ち、現在の音楽界で頂点に立つR&B系歌手。
御堂財閥の一人娘であり、同じ財閥系の桐生家子息の勝とは、幼馴染であり婚約者の間柄。
灯を唯一のライバルとして認めると同時に
幼い頃から慕い続けた勝と親密になっていく灯に対して嫉妬心も抱いている。

周囲からは生まれながらの才能に恵まれた天才だと思われていますが、実際は努力型の凡人。
デビュー当時は財閥の娘が金の力で歌手になった…など、やっかみや嘲笑めいたことも言われたようです。
今の地位に上り詰めるまでには相当な努力を積み重ねたんでしょうね。

前作のメインルートで初めて灯を見たとき「私と同じぐらいかしら」なんて言うものだから
この容姿で16歳?とかなりびっくりしたんですけど、今作の説明書によると21歳でした。
もしも16歳だったら、幼い頃に一緒に遊んでいた勝と香澄の回想イラストに対する矛盾が生じるから(勝は25歳)
21歳設定は自然なことなのだけど、そうなると香澄の私と同じぐらい〜発言は何だったの?と今度はこちらが引っかかってくる。
メイクをしてドレスアップした灯が大人っぽく見えただけといえばそれまでなんですけどね
どうも、最初は香澄も16か17歳ぐらいの同年齢設定だったんじゃないかと穿ってしまう。

ちなみに、勝と香澄が一緒に遊んでいるイラストを見て
続編でこの二人が結ばれるEDが用意されていればいいな〜なんて思ったりしてました。
続編で幼馴染なだけではなく、婚約者でもあると知って急激に萎えてしまったけれど
(特別な関係性がいくつも重なると、ひとつひとつの効果が薄れて白ける)
このシリーズで唯一萌え的なものを感じたといったら、勝と香澄の子供時代イラストを見たときだけでしたね。

芸能界で有利に働く環境に生まれた天才と思いきや、その実、水の下ではもがいている努力の人だとか
テンプレ通りすぎるキャラで彼女独自の魅力というのもはありませんが
才能に恵まれ自らの意思で歌手になったにも関わらず、すぐに逃げ出そうとする弱気な灯よりも
天才に存在を脅かされる凡人の苦悩や七光りのハンデを持つ彼女の方が感情移入しやすかったです。

ただ、ストレスの捌け口かのように、何かと香澄から当り散らされるマネージャーには同情しました。
見当違いな発言をしたマネージャーに対して「何もわかってないのね」と香澄が反論するやり取りが目に付くんですよ。
何もマネージャーが登場するたびに必ず上記のやり取りを行わせることもなかったのになぁ…。
このマネージャー、内心かなりストレス溜まってるんじゃないとか、そんなどうでもいいことまで考えてしまいました。
どれも香澄の心情を説明するためのシーンでしょうけど、もうちょっと自然に表現して欲しかったです。

あと、衣装が一昔前のアクションやRPGの女性キャラを彷彿させる装身具付のキャミソールだったことが気になりました。
アニメや漫画って、キャラの着ている服に独自性を出そうとすると大抵は逆効果にしかならないですよね…。

■佐久間奈保子 (CV:三石琴乃)
歌手・蓼科灯を発掘した芸能事務所のチーフマネージャー。
灯のプロジェクトが始まってからは、灯の専属マネージャーとして芸能界のことをまるで知らない灯をサポートする。
仕事の出来る、やり手で有能な大人の女性。

出番は多いし、主要登場人物のひとりには間違いないけど、語る部分がないですね。
元売れないアイドル歌手という経歴を持つけれど
アイドルよりも同性に支持が得られるような売り出し方をした方が成功したんじゃないかと思わせる人。
まあ、表舞台に立つよりも舞台裏でサポートする側が向いていたということですな。

■間島和士 (CV:山口勝平)
元インディーズバンド“ソラリス”のリードギター。
灯のバックバンドとして、ドラム、ベースを担当するメンバーと共に奈保子からスカウトされた。
穏やかで優しい性格をしており、灯にとっては気の許せる兄のような存在。
恋愛要素のある単独EDが用意されている、サブの相手役でもあります。
もっとも本当におまけという内容だから、この人のEDもあったらいいのになぁ…と淡い期待を抱いてる状態ならともかく
最初からEDの存在を知っている状態でそのあたりを期待してプレイすると、あっさり具合に肩透かしを食らっちゃいますけどね。

恋愛要素にしても、前作では妹的存在だったのが
続編になった途端にデフォルトで恋愛感情を持っていることになっていますし。
前作では灯と二人っきりの状況になっても、ひとりでさっさと帰ってしまうことがあったりして
あくまで妹止まりだという感じだったから、続編ではどういう風に感情が変化していくのかと楽しみにしていたんですよ。
ところがいざプレイしてみたら、上記の通り、最初から灯に恋している状態。
楽しみにしていた変移部分がすっぱりカットされているなんて思いもしませんでした。
こういう、プレイヤーの知らされていないところで距離を縮めていましたってやり方は、ただの手抜きにしか見えません。

それに、説明書の紹介にも書いてある「女性を苦手としている」設定に意味が与えられていなかったのも腑に落ちませんでした。
前作で他のバンドメンバーの口を使って、和士がいかに女性を苦手としているかと
例外として妹と灯だけは特別だと説明させたのは続編の伏線にしか見えなかったんですが…
今作では完全になかったことにされています。

女性が苦手なはずなのに、なぜか灯だけは平気というのは
最初から特別な存在なのだとプレイヤーに印象付けさせるためだけの設定に過ぎず、
はなから恋愛過程など描く気は毛頭なかったんでしょうか?
でも、EDにだけちらっと登場する車椅子の妹のことを考えると
今のような間に合わせ的内容で済ませるつもりだったとは思えないんです。
当初の構想では、専用ストーリーと呼べるぐらいのエピソードを用意するつもりだったのではないかな。


キャラ的には、灯に平手打ちをしたことでかなり印象が悪化しました。
メインルートの方なら、そのような行為に至るほど腹を立てた心情も理解出来るんです。
自分が歌手をやめた後は、ソラリスを再結成すればいいと軽く考えている灯に対して
「俺たちは君の道具じゃない!」と怒鳴るのも当然です。
灯のバックバンドになる引き換えとして、ボーカルを犠牲にした経緯もありますし…
そのへんの事情を前作で見ていただけに、灯の浅はかな考えに和士が憤るのはもっともなことだと思えたんですね。

けれど、メインルートのような無責任発言をするわけじゃないサブルートの方でも、引っぱたかれるのは納得がいきませんでした。
こちらのルートでは音楽から逃げ出そうとする灯を叱り飛ばす意味合いが強いと思うのですが
和士のキャラ的には、声を荒らげるだけの方が自然なはずです。

これもアニメを使いまわしの弊害なんでしょかね…
何度も書きましたが、私が最初にプレイしたのはサブルートだったので
キャラにそぐわない唐突な平手打ちにはかなりびっくりさせられてしまい、そのショックが尾を引いたものだから
温厚そうに見えながらカッとなると女も殴る人というマイナスイメージがこびりついてしまいました。
そのせいで、義樹絡みのバッドEDで見せる嫉妬による怒りに対しても、怖いと思ってしまった。

■霧島義樹 (CV:森久保祥太郎)
灯に目を付けている人気ロックバンドのボーカル。
感情的かつ暴力的。おまけに女性関係が派手なため、業界内での評判は良くない。
類とは以前からの知り合いのようで、灯を失脚させようとする類の計画に加担する。

平たく言えば勝の引き立て役。
今後の展開次第では、当て馬キャラとしての役割を演ずることになったのかもしれませんが
今作だけだと、クールな勝が激怒する見せ場を作るための引き立て役にしかなっていません。

攻略したかったという意見をよく見ていた上にビジュアルデザインも好みだったことから
出番が大幅に増えている次回作で彼の活躍ぶりに期待していたんですけど
サブルートでは一切登場しない、メインルートではストーリー的に不要、行動に引く
と、いろんな意味で期待外れでした。よかったのは顔と声だけかもしれん…。

父の件で茫然自失の状態とはいえ、一緒にラブホテルに入った灯も灯だけれど
それにしたって、抵抗する女を力で押さえつけて事に及ぼうとする様は嫌悪感しか沸いてこなかった。
静止画の一枚絵だったらまだ印象もやわらいだんでしょうが
このゲームはアニメだから、灯の抵抗ぶりとそれを封じ込めようとする義樹の動きが生々しく表現されてるんですよね。
まさかこんなところでアニメであることが発揮されるとは思いませんでしたよ。
PS2でよくここまで表現出来たものだなぁ…。

でも、精神的なショックで放心状態だった背景があるにせよ
黙ってホテルまでついてきた女から土壇場になって悲鳴を上げられて
他の男(勝)に必死で助けを求められるなんて、男としては相当な屈辱のはず。
その点はさすがに同情しました。

歌うシーンのあとで、取って付けたように灯に対する想いが本気に移り変わったような描写があったのも余計でした。
普段は大人しいのに、歌い出した途端に堂々とした姿に変貌する…そのギャップから気になりだすとか
そういうちょっとシーンを事前に入れるだけで随分と印象も変わるのに
ラブホテルの次に登場したシーンで既に灯のことが頭から離れない状態になってるという唐突ぶり。

落ち込んでる灯を前にして困惑する&自分の行いを謝罪するシーンを見たら、彼の印象も上向きに変化しつつあったんですけど
そのシーンですら、灯と義樹のツーショットを撮ったカメラマンをいきなり殴る始末だったので
せっかくのいい方向に傾き始めた彼への印象も、再びラブホテルのシーンを見たときの状態に戻ってしまいました。

何より、ラブホテルシーンにしろ義樹が灯への想いが本気になった描写にしろ、ばっさり削除されても支障はないものだから
ストーリー的にいなくてはならない存在というわけじゃないんですよね。
義樹を使わずとも、勝と香澄が抱き合っているシーンを灯に目撃させて
灯に追い討ちをかける…という展開にした方が、すっきりまとまったと思う。

■榊原類 (CV:田村ゆかり)
灯と同じ事務所に所属する売出し中のアイドル。
自分の新曲として用意されていたはずの曲が、灯のデビュー曲として発表されてしまい、灯を逆恨みするようになる。
ポジションとしては単なる悪役なんですが
なぜか1作目のパッケージ裏スクリーンショットで香澄を差し置いて灯と共に掲載されていたり
妙に気合の入ったキャラデザインといい(この子が一番可愛く見える)
スタッフに気に入られてるキャラなんじゃないかと睨んでいます。

灯に行ったことは、あくまで父親の居場所を告げただけというのが狡猾。
まさか蓼科さんがショックを受けるとは思わなかった、自分はむしろ親切心で教えた…そんな言い逃れが容易に出来る。
もっとも当の類はそこまで考えておらず、事務所から解雇通告を受けても何の言い逃れもしないであっさりと去っていきますけどね。
(ちなみに、類はこのあとすぐに別の事務所に移籍しており、本当の意味での報いは受けていない)

灯がショックを受けた様を義樹から聞いたあとに「いい気味だわ」と笑い飛ばすところは不快になったし
反省をしていなければ、実際には制裁はないも同然という点はすっきりしませんけど
良くも悪くも感情を押し殺せない、何でも表に出してしまう性格なせいか
一方的な逆恨みをしたあげく、卑劣な手段で憂さ晴らしをしたわりには、どこか憎めないキャラです。
1作目の堀森学園の教室シーンでは、ちょっとギャグっぽい趣きもあるし。

そうそう、香澄のマネージャーよりも台詞が少なかった彼女のマネージャーに
なぜだかフルネームが与えられていたのが謎でした。
もっと話に関わる予定だったんでしょうか?

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総合評価

元々1本だったものを無理やり分けたようなゲーム。
ボリューム的にも、1と2を合わせて定価3800円が適正価格だと思います。
1+2を合わせて販売したからといって人気が出たかどうかは別ですけど
このゲームの敗因は1本でもボリュームのないものを分割させたことが大きいと思いますね。

女主人公のアニメーションゲームはこれとスキャンダルのみだから希少性はありますが
それを差し引いても買う価値があるとは思えませんでした。

主人公の恋愛相手なり、将来なりをいろいろと変えられるわけでもなく、小さな分岐で補うわけでもなく
ゲームならではのストーリー構成というわけでもない…それでは見るだけのアニメと何ら変わりがありません。
アニメとして評価するにしても、シナリオ、演出、双方とも魅力不足。
これなら、もっと質のいい芸能界が舞台のアニメを見た方がいいだろうと思ってしまいました。

キャッチコピーの「複雑な人間模様が交錯する」や三角関係を連想させる『トライアングル・アゲイン』というタイトルから
込み入った人間関係が展開するかと思いきや、蓋を開けたらまるでそんなことはなく…
(メインルートでタイトルの意味が判明しますが、トライアングルは人間関係のことではありません)
出たかもしれない3作目で、三角関係、四角関係を展開させるつもりのような中途半端さでした。

ヒロインにしろ正式な相手役にしろ、主要登場人物に魅力を感じられませんでしたし
サブの相手役と当て馬キャラは一部の言動に引いてしまって好きになれませんでした。

せめてソラリスのボーカルとしてバンド活動を続けていく展開があったなら、個人的満足は覚えられたんですが…。

結局のところ、メインヒーローの勝が好きになれるかどうかが重要なので
ベタな展開は大好き、運命という単語に弱くて常にメインヒーローを好きになる、
ヒロインが当て馬や脇の方と結ばれることを望むことは滅多にない…そういった人にはツボにはまるかもしれません。
私は耳に残る挿入歌を聴けたという点以外で、プレイした価値は特になかったな…というのが正直な感想です。

ちなみにこれからプレイする人は、私のようにサブルートや中途EDから回収していくようなことはせずに
最初からメインルートをプレイした方がいいですよ。
そうしないと、サブルートのアニメをメインルートで流用しているような印象を受けて、素直に楽しめなくなります。

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2009年2月23日


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