SIMPLE 2000シリーズ Vol.43 THE 裁判 〜新米司法官 桃田司の10の裁判ファイル〜 レビュー
発売日 :2004年3月18日 価格(税別) :2000円 対応機種 :PlayStation2 メーカー :D3パブリッシャー、TOMCAT SYSTEM □あらすじ
5年後か10年後の未来…司法制度の改定により日本にも審判員制度が導入された。
猿山法律事務所にアルバイトとして採用された主人公の桃田司は
今は肉体を持たず擬人となった所長に代わり、法廷に立つことになる。
□ゲーム内容プロローグ
↓
決められた時間制限内に情報や物証を集める「調査パート」
↓
調査パートで得た情報や証人を活用して勝訴を勝ち取る「裁判パート」
↓
エピローグ
↓
次の話へ
の繰り返しでゲームは進みます。
調査パートは、あちこちに移動して、その場所にいたキャラと会話を繰り返すタイプ。
事務所に戻って証拠を見直す、Webサイトを見る、所長やサポートキャラから助言をもらうことも出来ます。
ただ、何らかの行動を取るたびに時間は経過するため、無駄な行動ばかりしていればタイムリミットが来てしまいます。
裁判パートは11人の審判員をいかにこちら側に引き込むかが勝負。
相手側の答弁中、異議を申し出るチャンスが出た際に△ボタンを押すと異議を唱えることが出来て
「持ってるアイテムを見せ付ける・それは関係ないと突っ込む・もっと詳しく聞く」
という3つの行動の中から、答弁内容に合ったものを選択し、少しでも多くの審判員を味方につけていきます。
異議を唱えるべき所で何もしなかったり間違った行動を取ってしまうと、審判員は相手側につきます。
たとえ有利に進んでも、相手の反撃で審判員が一気に相手側についてしまうこともあって油断は出来ません。
反対に、こちらが不利なときも一発逆転で勝訴する展開もあります。
最後に6人以上の審判員がこちら側についていれば勝訴、エピローグの後に次の話に移ります。
敗訴すると最初からやり直しです。
□ゲームシステム時間制限のある中であちこちを移動するといっても、最初はAという場所にしか行けず、Aに行ったら今度はBという場所が出現し
Bにも行ったら次はCへ行けるように…ということが大抵なので
どこへ行けばいいのか分からなくて困るということはありません。このあたりの難易度は低いです。
その反面、各コマンドがどういった内容か分かりにくく、説明書でも説明されてないなど不親切。
例えば、外出する際のコマンド名が「事務所から出る」or「MAP画面へ」ではなくて、「ベンジー」(主人公のパートナー擬人名)だったり。
また、必要性が感じられないコマンドが多いところも気になりました。
所長に相談したり、アイテムを見る行動が何かしらのヒントになるならともかく
そういうわけでもないのに、これらの行動にすら時間を消費するのは正直納得がいきませんでした。
残り時間は結構あるので、無駄な行動をある程度しても特に問題はないんですが
ゲームシステムを完全に把握しきれていない序章ではあせってしまいました。
裁判では答弁中に突っ込んだ後の3つの行動のうち、どれが正しい選択肢なのかが分かりづらい上
10秒という制限時間もあるから、緊張感はなかなか感じられましたし
私の場合は間違えた方が多かっただけに、正しい行動を選んで審判員がこちら側についたときは、ちょっとした快感を覚えました。
でも、主人公がどんなに間違え続けても、味方側の隠していた事実や証拠品で必ず勝ってしまう裁判があるのには興ざめです。
これでは主人公(弁護人)一体何のためにいるのかと思わざるを得ない。
とにかく突っ込めば何とかなる回(突っ込んだ後、3択出現しないときもある)、
主人公の行動関係なくどうあっても勝つ回は、途中セーブができないこのゲームにおいて
敗訴→頭からやり直しにならずに済んで余計なストレスは溜まらなかったけど
7話の裁判のように一度のミスが命取りになる回の方が、ゲーム的には面白かったです。
もうひとつ大いに残念な部分があります。
それは調査パートと裁判パートの二部構成にも関わらず、調査パートの行動が裁判パートに影響を与えていないこと。
当初Aと主張していた被告が、調査パートでの主人公の説得により裁判ではBと主張するようになる回があったんですが
調査パートで説得どころか被告と何の接触もないまま、裁判に突入した際もBと主張していたのを見たときは
作りこみの甘さにガッカリしました。
裁判パートでときおり流れが不自然な箇所があったり、調査パートで同じやり取りを何度も見せられるなど
作り込みの甘さに気づきはしていたけれど、これが決定的になってしまいました。□システム
セーブ数 3 スキップ なし 読み返し あり ※テキストのみ オート再生 なし ボイス あり ※パッケージ裏にはフルボイスとあるが、実際は違う おまけ 各話の後日談(ミニシナリオ) オプションではサウンド出力をモノラルとステレオのどちらにするかと
BGM・効果音・ボイスのON/OFFの切り替えができますが、ボリューム調整は出来ません。
セーブは各話終了後のみ可能なため、裁判で敗訴するとプロローグからやり直し。
メッセージスキップもないから、ゲームオーバーした際はかなり面倒くさいです。
話が終わってもすぐに次の話に移るのではなくて、いったん各話リスト画面に戻るのは○
□サウンドどういう曲がかかっていたか、全然覚えていないんですよね…なので評価しようにも出来ません。
(つまり良くも悪くも演出面で影響を与えてなかった。)
鑑識官のときも思いましたが、「フルボイス」じゃないのに「フルボイス」と謳うのはいかがなものでしょう。
司やライバルなど、メインキャラクターの配役や演技に別段不満はありませんが(所長の声はもっと渋い方がよかったけど)
依頼人をはじめとするサブキャラの声を、いつも同じ声優が担当していたのは気になって仕方がなかったです。
演じ分けが上手でない人に何役もやらせていたので、使い回しがかなり目立っていました。□グラフィック
グラフィック面の演出は、このシリーズで珍しく一枚絵を使っていたり、結構凝っていたのが新鮮でした。
鑑識官の続編が出るなら、立ち絵進行だけではなく一枚絵なども使って欲しいと思いました。
好みの絵柄でサブキャラもちゃんと表情変化するから、これといった不満はないけれど
30,40歳くらいの女性が20歳前後にしか見えないのと、
司が鑑識官の主人公(識子)と同じポーズしているのがいくらかあったのが気になりました。
発売時期を考えれば、識子が司と同じポーズしていたと言うのが正しいんですけどね。
□シナリオ1話完結型ですが、ストーリー全体に絡む謎(所長の死)もあります。
面白いとか興味深いとか思ったのは4話と7話、8話くらい。
全体的にどの話も淡々としてる上にその後どうなったかも分からないため、釈然としないものを感じます。
おまけの後日談シナリオが全然後日談じゃない場合が多かったのも不満です。
(C回の後日談が、Cの後日談じゃなくBの後日談の続きだったりする。)
それから、感情的になると関西弁、謎の予知能力など、主人公に無駄な設定が多いと思いました。
題材がバラエティ豊かなのは悪いことじゃないけど、それが活かせてなければ意味がないと思います。
退屈な回がたくさんあるよりも、話数が今の半分でも、一話一話を練った内容の方が望ましかった。
でも2話のTHE推理からのゲスト出演者の登場の仕方は予想外で笑ったし
司法官らしく一般的には浸透してない法律を利用して応戦したり、ライバルと協力する展開があるのは良かったです。
□キャラクター ※ネタバレあり
■桃田司
主人公。明るいがドジという典型的なキャラクター。
幼い頃に両親が離婚し、法律で禁止されている擬人ペットを与えられ、ほったらかしで育ち、
少女時代はヤンキー(口ゲンカ担当)だったという過去を持つ。
バーガー店でアルバイトしながら、司法官の資格を取るため勉強していた。
感情的になると関西弁という設定ですが、関西人じゃない私から見てもエセ関西弁だとわかるくらいどうにもわざとらしい。
あと予知能力的なものがあるのに、誰もそのことを気にする様子はないし、説明もされてないので詳しいことは不明のまま…。
明るい、よくいるタイプの主人公以上の印象は持たなかったですね。
■猿山太郎
猿山法律事務所の所長で司の上司。
少し前に他界し、現在は擬人(実体を持たない仮想人格みたいなもの)として事務所を経営。
このゲームでは司視点固定ではなく、猿山の視点になることもあるので主人公その2でもある。
やり手だったはずなのに、ゲーム中これといって助けてくれるわけでもなく
かといって司を成長させるために役立たないフリをしていたわけでもなく、なんとも微妙な存在。
実は生きていたというオチには拍子抜けしたけれど、擬人所長との別れるシーンはしんみりしました。
そのときの司の台詞が印象的です。
私の師匠は「彼」だけだと思っている。
「彼」を当然のように吸収する猿山(人間)先生が傲慢に見える。…まあよい。
「彼」のもの悲しさも、猿山先生は記憶として引き継ぐのだから…
■ケンジロウ&ベンジー
双方ともに擬人で、前者は所長、後者は司のパートナー。
当初ケンジロウが司に冷たい感じがしたので、裏に何かあるかと予想していたんですが
いつのまにやら司と一緒に所長の死について調べるなど協力的になったので、その唐突な変化には困惑しました。
私の気のせいか、ただ人見知りしていただけだったのか…。
とりあえず、このゲームで一番役に立っていた仲間キャラなのは間違いないですね>ケンジロウ
ベンジーは司の昔からのパートナーで突っ込み担当なんだけれど
突っ込みというより冷めた指摘なので、可愛げがないと感じる。
■浦島貞子
司のライバルの司法官。10回中、7回くらいこの人が原告側の弁護を担当する。
奇抜な格好をしているのとは裏腹に、冷静沈着で仕事の出来る女という、ステレオタイプなキャラクター。
そのため、あの衣装がキャラクターに合っておらず浮いている。普通のスーツじゃダメだったんでしょうか。
司をライバル視する理由が弱いと思いました。
2話の裁判が人生で初めての敗北、とかなんですかね…そんな話、聞かなかったけど。□総合評価
主人公が司法官というゲームはあんまりないですし、審判員制度という設定もよかったんですが
シナリオにしろシステムにしろ練りこみ不足で、何よりも作りこみが非常に甘かった。
もっとじっくり丁寧に制作していれば、大化けしたかもしれないゲーム。
・事務所内にセーブ&ロードコマンドがある。メッセージも飛ばせる
・毎回ライバルが変わり、原告側と被告側どちらを担当するかの割合は半分
・所長に相談するコマンドがヒントになるなど、無意味なコマンドじゃない(意味がないならないで時間を消費しない)
・調査パートでの行動が裁判パートの会話とリンクしてる
・裁判は適当にやってても勝てるような難易度ではない
・敗訴してもゲームは進み、裁判での行動によって裁判後のエピソードの内容が変化する
これぐらい改善されたリメイクか続編がプレイしたいです。2005年12月24日
加筆訂正 2008年09月25日