ファントム PHANTOM OF INFERNO レビュー

発売日 :2003年5月22日
価格 :7140円
対応機種  :PlayStation2
メーカー :プリンセスソフト
メモカ使用容量 :797KB

まずはじめに
あらすじ
ゲーム内容
システム
グラフィック
サウンド
シナリオ
キャラクター
総合評価

まずはじめに

小説や映画など、ジャンル問わず裏社会を舞台にした作品には興味がない・ほとんど見たことがないユーザーによる感想です。

                                                                      上へ


あらすじ

卒業旅行でアメリカを訪れた少年は、犯罪組織インフェルノ最強の暗殺者“ファントム”に遭遇してしまう。
不運な目撃者として始末されるはずの少年だったが、組織の一員は彼に暗殺者としての素質があることを見抜いた。

命と引き換えに記憶を奪われ、暗殺者として生きることになった少年。
一見普通の少女にしか見えないファントムこと“アイン”の元で訓練を受けるうちに、彼は暗殺者としての頭角を現していく。

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ゲーム内容

テキストを読み進めながら、ときおり出現する選択肢を選ぶことでシナリオが分岐するアドベンチャー。
通常の文字選択肢とは別に、画面上に銃器がいくつか並べられ、その中から任務に使用する銃を選ぶ銃器セレクト要素もあります。

この銃器選択だけを「グラフィックによる視覚で選ばせる」という
通常選択肢との差別化を図っていたことは、主人公が暗殺者という雰囲気がグッと高まってよかったのですが
この銃器セレクト、シナリオ展開に影響を与えることがない、本当に雰囲気だけの要素に留まっています。

選んだ銃によって殺し方が変わるのは一番最初ぐらいなもので
それ以外は主人公が銃を構えているムービーや一枚絵の銃器部分だけが変化する程度。
任務に適さない銃器を選ぶと暗殺に失敗するとか、重要な分岐ポイントにすることも可能だっただけに
雰囲気作りで終わっているのは惜しいと思いました。


シナリオ面においては三部構成となっており、二部に繋がるイベントを発生させてないと一部の時点で終了し
三部に欠かせないキャラを二部で登場させておかないと三部がはじまらない、
一連のシナリオを成り立たせるためのフラグ立てが極めて重要な作りとなっています。

選択肢も本当に必要最低限のものしか用意されておらず
どちらを選んでもその後の展開に影響を与えないもの(相手の反応が変わる程度の類)は序盤を除き、ほぼ存在しません。
出現する選択肢のすべてがシナリオ分岐、そしてEDに影響を与えるわけだから、必然的にプレイヤーの自由度は皆無に等しくなります。
しかし、その後の展開に必要なイベントを発生させないと中途EDを迎えてしまう潔い作りなだけに
見ていないはずのイベントを見ていることになっている…そういった矛盾やフラグ管理の甘さはほとんど見られません。
(もっとも、ひとつ大きなミスがあったので、“ほとんど”と表現しなければいけないのが残念ですが)

それに中途EDの入り方も自然なため、そこに行き着くまでの過程に強引さや唐突感を感じさせません。
最初に迎えた結末が、佳境に入る前で終わってしまう中途EDだったとしても
突然、殺し屋に仕立てられた少年の悲劇として、短いながらもひとつの話として成り立っています。
つまり、分岐に関わる重要な選択肢以外を一切省き自由度は限りなく低くなった反面、
話の流れが妨げられることもなく、純粋にシナリオに入り込める環境となっていると言えるんです。

物語の展開を大きく変えたい、選択肢によるキャラの反応で楽しみたい、
そういうものを求めてるときにはまるで適さないゲームですが
反対に、練られたシナリオをじっくりと楽しみたい・テキストに集中したいときにはピッタリの内容です。

ただ、テキストを読み続けるだけの時間が多かっただけに、一般的な画面下部に3行程度だけメッセージを表示させるウィンドウ形式よりも
サウンドノベルのような、画面全体をメッセージで埋めてしまう形式の方がゲーム内容に合っていたように思いました。
このゲームの場合、メッセージ表示の位置がウィンドウ形式に準じているだけで
メッセージ「ウィンドウ」と呼べるような枠自体は設けていないものだから
なおさらウィンドウ形式に拘らなくてもよかったのではと感じてしまうんですよね。
せめて、モノローグシーンになるとノベル形式に切り替わるとか、そういった柔軟さを見せて欲しかったところ。

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システム

セーブ : 常時可能で数は50個。クイックセーブもあり
スキップ : 既読の自動スキップ、未読の手動スキップが可能。オプションでどちらを使うか設定する必要あり
読み返し : テキストのみ。通常のテキストと同じ枠内に表示される
オート再生 : オプション項目で設定するか、□ボタンを押すことでONになる
ボイス : 主人公、地の文(ナレーション)含めフルボイス。キャラ別ON/OFF切り替えあり
おまけ : ・ギャラリー(収録数は238枚。ムービー時しか使用されていない一枚絵は未収録)
: ・ムービー鑑賞(15種類)
: ・サウンド鑑賞(BGM24・挿入歌4曲)
: ・ゲーム中で使用された武器(銃25・ナイフ1挺)の解説
その他 : ・BGM、SE、ボイスの個別ボリューム調整可能
: ・オプションからタイトル画面に戻ることが可能
: ・スタッフロールはボーカル曲のときだけカット可能。インストのときはカット不可能。

システム機能、おまけモードともに一通り揃っています。
既読メッセージの色が変わる、バックログジャンプ(巻き戻し機能)のような近年で取り入られはじめた機能はありませんが
今のADVゲームでは必須とされる常時セーブ&ロード、既読&強制メッセージスキップ、バックログの三点
そしてキャラ個別のボイス切り替え機能は搭載されているため
発売から6年経過した今プレイしても、機能面での物足りなさは特に感じることはなかったですね。
メッセージの表示形式が左寄せではなくて中央寄せな点も最初こそ物珍しく感じますが、すぐに慣れます。

通常セーブはメモリーカードの確認とやらでほんの少し待たされますが、イラつくほど遅いわけでもありません。
おまけモードにシーン回想がない点も、セーブデータが50個あることを考れば特に欠点として挙げることでもないでしょう。

おまけといえば、本編で使われた武器の解説を聞けるこのゲームならではの要素もあります。
これは画面上に表示される解説文を、ゲームに登場するキャラたちが読み上げてくれるのですが
解説文をそのまま音読するのではなくて、ときおりキャラならではの言い回しになるなど
解説文との些細な違いを見せてくれるところがちょっと面白かったです。
(でも、読み上げてくれるキャラの中にクロウディアがいなかったのが不思議かつ残念)

とまあ、こんな感じでシステム機能は一通り揃っていたものだから
初回プレイの時点ではシステム面での心配はなさそうだと安心していたんですが…
2周目に差し掛かる頃になると欠点が目に付いてきました。

第一にメッセージスキップ。
オプションのスキップ項目で既読と強制のどちらを使うか設定する必要があるため
普段使わない方を急に使いたくなったときに、いちいちオプション画面に入らされるのはおっくうでした。

既読判定に対しても不満を覚えました。
普通は見たことのない台詞に差し掛かると既読スキップが急に止まるものですが
このゲームではシーンごとに既読判定が行われているようで
1シーン内に見ていない台詞があった場合、他の台詞までもが未読状態になってしまうんです。
つまり、たったひとつの台詞のためだけに大半の既読台詞を飛ばすことが不可能になる。
こういうときに役立つのが手動の強制スキップなのに、既読と強制の片方しか使えない仕様のせいで
既読から強制に、強制から既読に切り替えたいときはオプション画面で設定し直す手間がかかる。

既読と強制の両方を使う機会が多いにも関わらず、一度に使えるのは片方のみという仕様は、無駄にイラつきを生み出すだけでした。
せめて既読と強制スキップを併用することが可能だったら、既読判定に対する不満も少しは緩和されたように思うんですけどね…。

オルゴール曲と一部EDでメッセージが強制自動送りになり、スキップそのものが使用不可能になる点もストレスが溜まりました。
前者は曲とメッセージの長さを合わせるためでしょうが、それならそれでムービー扱いにして
他のムービーのように丸ごとカットを行えるようにして欲しかったです。
オルゴール曲は周回プレイ時に何度も見るシーンなので、かなり気になりました。

次はセーブデータです。
最新セーブデータにカーソルを合わせてくれないため
使用済みセーブ数が増えるたび、目当てのデータまでいちいちスクロールしなければならない。
L(R)ボタン押しっぱなしで高速移動出来るとはいえ、セーブ(ロード)画面に入るたびにデータ1から移動させられるのはやはり面倒です。

セーブデータ画面も、現在の章とサムネイル、セーブデータを作成した時間しか表示されません。
先ほど回想代わりになると言いましたが、サムネイルがイベント絵でない場合、どのようなデータか判別することは困難。
きちんとメモを取っておく必要があるでしょう。

それからこのゲーム、どうもボイスありのオート再生プレイを推奨しているようなので
ボイスOFFプレイ&手動メッセージ送りでプレイする場合、不便さやストレスを感じやすくなっています。

なぜかというと、レスポンスがあまりよくないため、軽くボタンを触った程度では反応しないのです。
(特に十字キーはしっかり押す必要がある)
選択肢が少ないことからセーブ&ロードを使用する機会はそうそうないし
オート再生でプレイした私にとってはレスポンスの悪さはそれほど欠点にもなりませんでしたが
手動でメッセージ送りする場合にはわりと気になる点じゃないかと思います。

あとムービー時はオプションの設定を反映せず、強制的にボイスON状態になってしまうため
普段ボイスを切っているキャラがひとりでもいると戸惑いを覚えると思いますね。

ただ、フォントがくっきり&大きい表示だから、メッセージそのものは非常に見やすかったです。
ウィンドウがないのもまるでネックになっていませんでしたし、この見やすさは他のADVでも見習って欲しいぐらいです。

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グラフィック

男性向け恋愛ゲーム市場で支持されやすいデザインに比べて目が小さく描かれており、クセが強くない地味な絵柄です。
よく言えば可愛らしい、悪く言えば媚びてる萌え系の絵柄を好む人には物足りなさを覚えると思いますが
非現実的な髪色、奇抜な髪型や服装、髪型が異なるだけでみんな同じ顔(俗に言う判子絵)
そういった萌え系絵柄にありがちな難点は見られませんから、
ギャルゲーでポピュラーな絵柄を苦手とするユーザーにも、比較的馴染みやすいと思います。

同じモブキャラでも、外国人と日本のヤクザに歴然とした画力の違いが見られたこと
(日本のヤクザだけが妙に上手くて浮いていたから、手本の写真か絵を写したような印象を受けた)
一枚絵で別人になっているキャラがいるなど、安定感に欠けていたのは引っかかりましたが
立ち絵と一枚絵の演出だけに留まらず、一枚絵では表現しきれない動きは素直に動画に頼るなど
シーンを盛り上がらせるための演出が行き届いており、グラフィック面に対する総合的な評価は高いです。

最初に感心したのが2種類の対照的なOP、そして主人公が初めて殺人を犯す衝撃的な幕開けでした。
タイトル画面に辿り着く前に、戦闘シーンのムービー&一枚絵で構成されたデモでプレイヤーを興奮させて
いざゲーム本編を始めると、何の前置きもなく唐突に殺人シーンを見せられる。
予期せぬ不意打ちを食らった刹那、今度は先ほどのデモとは打って変わった哀愁漂う雰囲気のOPが流れ出す。
この一連の流れによって、プレイヤーはファントムの世界に引き込まれてしまう。

本編においても、通常のゲームでは一つのイベント絵で済ましがちなところで何枚も用意したり
使用する銃器の変更、キャラの負傷などの通常とは異なる状況になったときには
それ用の差分スチル・立ち絵に切り替わる細かさが随所に見られます。
そのおかげで不意に白けさせられることは滅多になく、素直に世界観に浸ることが出来ました。

ただ、全体的に細かく作られているだけに
エレン最期の一枚絵がキャルとクロウディアルートで同じ、服が違うだけの差分になっていた点はことのほか落胆しました。
同じ差分でもサイスの車内電話シーンなどとは重要性がまるで違うんだから、流用しないで新たに描き下ろして欲しかったです。

それから力が入れてあるキャラ絵に比べて、背景は教会内を除いてひまひとつ。
写真を加工せずに描き下ろしているものはCGでささっと簡単に仕上げたような出来で
明らかに他の部分よりも手を抜いたことが見て取れます。
声高に言い立てるほど酷いわけでもないけれど、他の部分との落差から、ことのほか目に付きました。

あと基本的には立ち絵・一枚絵ともに静止画進行なのに、なぜかヒロイン4人の「一部」立ち絵だけが目パチ口パクするのが謎でした。
メインキャラだけが目パチ口パクあり・それ以外のキャラがしないのなら、まだ分かるんですけど…
ヒロインたち、しかも複数ある立ち絵のうちの一つか二つだけにちょっとした動きがあっても…。
今後発売するゲームで本格的に採用するか決めるための実験的な試みだったんでしょうか。
欠点というほどのことじゃないんですけど、妙な仕様だと思ったのでちょっと触れてみました。

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サウンド

自己主張しすぎない控えめな曲調は硬派な世界観から浮き立っていませんし
シーンごとの選曲もきちんと考えた上でなされているものの
デモや戦闘シーンで使用される『Search and Destroy』、哀愁を帯びた曲調の『elen』以外は耳に残りませんでした。
ボイス面に関しては、演技力に定評がある中堅層で占められており安心して聞いていられますが
モブキャラの声をサブキャラの声優に兼用させて、起用する声優の人数を抑えていたのはちょっと気になりました。
ひとりの声優が上司(サブキャラ)と部下(モブキャラ)の会話を両方担当しているのを聞いていると
妙におかしさがこみ上げてくるというか…やはり2、3人でもいいから、モブ用の声優を別に起用して欲しいです。

それからこのゲームには、台詞やモノローグを除いたテキスト(地の文)を、専用の声優がすべて読み上げてくれる珍しい要素があります。
すべてのテキストにボイスがつくことになるから多少テレビ画面から目を離しても支障がないですし
主人公=プレイヤーという従来のスタイルではなくて、映画や小説のように傍観者として読み進めてもらいたかったからでしょうけど
この「会話とモノローグ以外をすべて読み上げる」ナレーションに利点を見出すことが出来ませんでした。
ナレーションというのはピンポイントだからこそ意味があり、何でもかんでも喋らせるのは使い方を誤っています。
もしも個別OFFが無理だったら煩わしいだけでした。

そんなわけで、BGMとボイスはモブの声とナレーションを除くと、堅実ではあるけど特筆すべき点もなかったです。
だからサウンド面がその二つだけで評価する項目だとしたら、取立て褒めることもなく終わっていたのですが…
ファントムには、銃声の効果音によって生じる臨場感という美点が存在します。

このゲームの真の主役は銃器とも言えるほどその役割は重要であるため
いくらテキストやグラフィックで盛り上げようとしたところで、肝心の銃声に迫力が感じられなかったら台無しです。
そのため、普通のADVゲームではBGMやボイスに比べて重んじられない効果音も
ファントムにおいては演出を左右する大きなファクターとなっているんですね。
だから、臨場感のある銃声によって銃器の存在感をまざまざと実感出来た=演出面で大きな役割を果たす部分が優れていたのは
サウンド面全体の評価を上げることに繋がりました。

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シナリオ

普通の少年が自分と年の変わらない少女から暗殺術の訓練を受け、瞬く間に犯罪組織最強の暗殺者になる…
荒唐無稽な設定に対するプレイ前の不安は
主人公が現状を把握するまでに約20分、初めての実践までに1時間強かけた丁寧な描写によってかき消されました。

個性付けのためだけに設定された口癖や特徴を持つキャラ、掛け合い漫才やギャグなど
恋愛系ゲームの悪い面も混ざっていないから、シリアスな世界観をぶち壊される心配がありませんし
PS2移植において生じた不自然なテキスト差し替えも見当たらないから、裏社会を舞台にした話をすんなりと読み進められる。
また、ヒロインやサブキャラ視点のモノローグが挿入されることで、彼らが何を思い、なぜそういう行動に出たのかが掴みやすくなり
より一層、シナリオに入り込むことが出来ました。

また、なんといっても秀でていたのは、至るところに張りられた伏線でしょう。
第一部、第二部でキャラが漏らした発言、主人公と過ごした時間がすべて第三部に繋がる鍵になっている。
分かりやすいものとしては、エレンの夢やクロウディアの過去の殺人などがありますが、個人的に唸らされたのはキャルの洋服でした。
主人公との絆を深める出来事というだけでも十分な役割を果たしているのに、その場限りのイベントにしないで後々のシーンに繋がせる。
これは考え抜かれたシナリオだからこそ出来ることです。

ただ、いくら完成度が高いといっても、指摘する欠点がまるでないわけではありませんから
ここからはそのあたりについて書いて行きます。(ネタバレを含む部分は背景と同じ色で書いています)

ファントムはリズィ、サイス、志賀などのサブキャラの存在感によってシナリオに厚みが増していますが
一方でインフェルノを作り上げた幹部、マグワイヤとワイズメルの二人に関する書き込みは浅いです。
特にマグワイヤは、いつも部下たちに言いくるめられて
いるお飾りの上司に見えるほどでした。
マグワイヤの手腕や凄さが分からないことによって、インフェルノの脅威も伝わりきらなかった。

二つ目は日本の高校が舞台となる第三部における登場人物の少なさです。
第二部までは、組織の人間としか接しない生活も、主人公の境遇を考えれば自然なことだと思えたのですが
さすがに現代の学園生活でもシナリオに絡まないキャラが一切登場しないというのは少し無理があります。
クラスメイトの早苗以外にこれといってキャラが出てこないから、学園生活感はかなり不足しており
主人公の平穏な日常生活を尊ぶ気持ちも、関係のない人間を巻き込みたくない思いも、どこかピンと来ない。
教師や早苗以外の生徒の存在を感じられるような描写を少しぐらいは入れてもよかったんじゃないでしょうか。

三つ目はサイス親衛隊との戦闘シーンにおいて、トイレと科学室のトラップがどのルートでも共通だったことです。
上記二つが「こうだったら更に良くなったはず」と惜しむ気持ちが強いのに対して
この部分だけはグラフィック項目で批判した一枚絵流用と同じく、手を抜いたようにしか思えなくて本当に興ざめしました。
前後のシーンではちゃんとルートごとに違う内容となっていただけに解せません。

最後はテキスト面において、“初めて”と表記するのが自然なところで“始めて”が三度も使用されていたことです。
どうも誤字というより意図的に使われているようですが、初めて見たときは誤字にしか思えなくて白けましたし
なるべくは一般的に浸透している漢字を優先してもらいたかったです。
それに“わかる”についても、「分かる・判る・解る」と三種類の漢字が混在しており
1シーン内で同時に併用されていたのも引っかかりました。
使い分けだったとしても、さすがに“判る”を使用した直後、次の台詞では“解る”表示に変わっていると困惑します。

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キャラクター ※ネタバレあり

■ツヴァイ(CV:岡野浩介)
殺人現場に遭遇したことから、暗殺者として生きていくことになる主人公。

数奇な人生を歩まされることになった少年ですが、クロウディアルート以外は強い個性もないですし
性格設定はステレオタイプなギャルゲー主人公から逸脱していません。
際立った個性がないありふれた主人公像と、凄腕の暗殺者。
この噛み合わない対比によって、彼の置かれた過酷な境遇が、よりクッキリと映し出されています。

黒い髪・凡庸な髪型・顔は中の上あたり…外見もこれといって特徴はなし。
公式サイトに掲載されているグラフィックは精悍な顔つきですが
これは例外的なものであって、普段はまだ青年と呼べないような少年らしい幼さが残る顔立ちをしています。
それだけに、丘の上からEDで見られる5年後の姿は迫力がありますけどね。

声に関しては、合っているとは最後まで思えませんでしたが
演技力は抜群なので、そのあたりの心配は不要です。
第一部と第二部での自然な移り変わり、梧桐組への電話など、これらは芸達者な人じゃないと出来ないですから。
ファンタ2』で高い演技力を持っている声優だと認識するようになった人ですけど、改めて感心しました。

話は飛びますが、三部で本名を名乗っているのが気になりました。
失踪してからまだ3年しか経過していないし、ゲーム的な都合以外で本名を名乗る理由が分からない。

■アイン(CV:南央美)
自分を暗殺者に育てあげた男、サイス・マスターの命令を機械的にこなす少女。
何の感情も表さずに、ただ与えられた任務を黙って遂行する姿は人形と比喩されるほど。
自分と同じ境遇であるサイス2人目の被験者“ツヴァイ”との出会いは
人を殺すためだけに生かされたアインの人生に大きな転機をもたらすことになる。

数ヶ国語に精通し、銃器・ナイフの扱いのみならず毒薬の知識もあり
必要ならば、どこにでもいる平凡な少女を完璧に演じきれる…そのスペックは、暗殺者というよりもスパイに近い。
魔法やサイボーグなどの非現実的な要素を除外し、純粋に肉体だけの強さを比べた場合、彼女の右に出る女キャラはいないはず。

そんな最強ヒロインのアインですが、シナリオとキャラが完全に融合しているせいか、語ることは特になかったりします。
他のヒロインたちの場合、主人公との関係性・体験する出来事が同じなら
性格設定が変わったとしても根本の話にさほど影響を与えないと思うけど
エピソードのひとつひとつがキャラ設定に直結しているアインだけは、それが当てはまらない。
シナリオとキャラ設定が直結したあまり、アインのキャラ自体が好きだとか苦手だとか、そういう類の話に及ばないんです。

各シーンにおいても見せ場がありすぎて逆に改めて触れたい部分もないんですよね。
サイス親衛隊との戦いをアインが得意とするナイフで行い、
銃器よりもナイフの扱いが上手いという設定を最終局面で見事に消化させてくれたことは嬉しかったんですが
情けないことに、アインで最初に思い出すのが、このアインの強さを見せ付ける戦闘シーンではなくて
一枚絵の構図や声優の演技からセックスシーンを連想させられる銃弾除去シーンだったりしますし。

緊迫シーンでこんなこと考えている自分に嫌気が差したり、そんな風に受け取ってしまう演出にした作り手が悪いと恨んでみたり
邪念に悩まされたことから唯一シナリオに集中できなかったシーンなため、結果的に一番印象に残ってしまいました。
(でもレビューを見て回っても、このへんのことに触れてる人全然いないし。自分の想像力過多さに改めてとほほ…)

ただひとつ残念なのが、活発な少女を演じているときの声が明るすぎること。
このときのアインの役柄は満面の笑みを浮かべるよう活発な子ですし、高い声を選んだのは分からなくもないのですが
普段とのギャップがありすぎて、ここだけは最後まで違和感が拭えませんでした。
この不自然さまでが声優さんの演技なんだろうけど、ここまでいくと
アインの演技ではなくて、声優さんが別のキャラを演じているだけに聞こえる。

■クロウディア(CV:井上喜久子)
ツヴァイの立場に同情を示すインフェルノの女性幹部。
組織の中では、ツヴァイを暗殺者としてではなく、一人の人間として見てくれる唯一の人物。
胸が大きすぎるキャラは苦手なんですけど、彼女の場合はゲーム内で揶揄されているので平気でした。
(大きさの度合いにもよるけど、やっぱり「無意味」に大きいのが駄目なんだろうなぁ…)

バスローブ姿の立ち絵は魅惑的で綺麗なのに、一枚絵に恵まれていません。
出てくるたびに顔が変わるのも問題だけど、美人設定に疑問を投じたくなる微妙なものも多い。
特にツヴァイを撃ち殺した後のアップは、いくら泣き顔といっても歪みすぎですよ…。

最終章である三部の前で話が終わってしまうため
正史から外れた外伝的シナリオに当たるクロウディアルートですが、個人的には一番好きなルートです。
二部の時点で退場することから本編とは大きく異なる展開になるのは明らかですし
梧桐との関係を知ったときの主人公の反応も気になるところで、プレイ前から興味津々なルートではあったけど
まさか正史ルートより高い評価になるとは思っていませんでした。

その個人的評価の高さを決定付けたのが
・クロウディアと梧桐のベッドシーンに乗り込む
・アインとの死闘
この二つのシーン。
特に前者、ツヴァイがクロウディアに乙女ゲーム顔負けの台詞をぶつけるところは、このゲームで一番好きな場面です。
ちょっと抜粋してみます。

「初めて会った瞬間から、あんたは眩しかった。憧れだった。
 あんたの声を聞いて、匂いを嗅いで…それだけで俺は、どんなことにも耐えられたんだ。…耐えられたんだ。
 だから、あんたは、眩しいままでいてほしい。せめて、俺の前でだけは。」

「…あなた とことん残酷な男ね。どんなに厳しい注文しているか、判ってる?」

「…判ってるさ」

「どうか、解ってほしいんだ 俺に愛されてるんだって」

「…それってね この世で一番、苦しいことなのよ」

「それだけじゃないだろ?」

「そうね…それだけじゃ……ないわね……」

改めて見ると、耐えられたんだを連呼しているところが切ないですね…
ちなみにこれ以外にも
「あんたに、どう思われていようと関係ない。どうであれ、あんたは俺にとってかけがえのない女なんだ」
「あんたは、この世の誰より尊い女だ。だから俺は、あんたを汚すやつを許さない。たとえそれが、あんた自身でも」
など、女なら一度はこんなこと言われてみたいと思ってしまう台詞もあります。

要は萌えたから気に入ってるんだと思う方もいるかもしれませんが、萌えとはまた違うんですよ。
ツヴァイのクロウディアに対する、怖くなるほどひたむきな愛に胸が打たれると表現した方がしっくりくる。

クロウディアというキャラはその設定、バックボーンから不人気のキャラです。
人間の本能として、他人の命(それも自分を愛してくれた家族や親友まで)犠牲にする人物に好意を持てという方が難しい話ですし
好き嫌いは置いとくにしても、そこまで高みに上り詰めたい彼女の心理が理解出来ない人が大多数でしょう。
しかし、従来のシナリオならネックになるはずのクロウディアのキャラ造形が、このシナリオではマイナス点に結びつかない。
このシナリオの真髄は、前述したシーンに代表されるツヴァイのクロウディアへの想いにあり
ヒロイン自体の魅力(萌えるかどうかってことでもいいですが)はさしたる問題にならないんです。
なぜそこまでクロウディアにのめり込んだのかは、やはり例のシーンでツヴァイ自身の口から語られますしね。


後者のアインとの死闘は文字通りの意味です。
アインとツヴァイが互いに手加減せずに本気で戦う
正史では絶対にお目にかかれない「if」が見られたことで、このルートの存在価値が跳ね上がりました。
最初にクロウディアを攻略しなくて正解でしたよ。
ヘリとの銃撃戦など、手に汗握るアクションシーンは他にもあるけれど
このアインとの死闘ばかりは、正史ルートを先に辿っていたからこそ、より興奮することが出来ましたからね。

そんなわけで、ラブロマンス要素とサスペンス要素を兼ね備え
さらに興奮する「if」も存在したクロウディアルートが、このゲームで最も気に入っているシナリオになりました。
でも個人的な好みを抜きにしても、正史から外れるこのルートこそが、実はファントムの真骨頂のように思うんです。
クロウディアという、常人には理解しがたい行動を取るヒロインがいることで、他の恋愛系ゲームとは一線を画したものになっている。

■ドライ(CV:こおろぎさとみ)
大胆不敵なインフェルノの暗殺者。
正式にファントムの称号を得るため、そして憎悪から、アインとツヴァイの命を狙ってくる。
アインが「女主人公」としての側面が強いヒロインなのに対して、ドライはあくまで「主人公あってのヒロイン」
主人公との偶発的な出会いから運命を狂わされるところを含めて
「主人公の相手役」と呼ぶのに相応しいポジションにいるのは彼女かな。

共通ルートにおける小物(懐中時計)の使い方、キャルとしての本音(脆さ)の見せ方は巧みなのに
専用ルートの内容にはげんなりさせられました。

体を張って庇ったことで憎悪が氷解する至って陳腐な解決方法から始まり、
憎しみが消えた途端に重傷を負った相手の体を求める女&受け入れる男、
傷が元で身動きが取れない男の代わりにひとりで戦う女(さっきのセックスの件があるから余計に情けない気持ちになる)
極めつけは、役に立たないどころか人質にされて足手まといと化した主人公(二代目ファントムの名が泣くよ)
…この一連の展開には始終萎えっぱなし&フラストレーションが溜まりまくり。

しかもまずいことに、私の場合キャルに興味が持てなくて積極的には関わろうとしなかった上に
ドライルートに突入したのも選択肢選びに失敗した結果に過ぎなかったものだから
ドライ攻略上に非常に重要なイベントを通過しない状態でEDを迎えてしまったんです。
(ゲーム内容項目で触れた大きなミスはこのこと)

ツヴァイがキャルとの同居生活を振り返ったとき、身に覚えのないモノローグ、一枚絵が出てきて不思議ではあったけど
回想限定の一枚絵とか、コンシューマ移植における規制で生じた不自然さなのかなと解釈してたんです。
だからこそ、単なるフラグ管理ミスだと知ったときはね…。丁寧に作られた印象が強かっただけに呆れましたよ。

この最初のプレイで見逃したイベントの内容は、キャルと想いを確認しあって…
というものだから、幼女との性行為が受け付けない私にとっては眉をひそめるシーンだったのですが
(移植時にキス・性行為を抱擁・添い寝に変更してくれたら、グッときたかもしれないけど)
それでもこのシーンによって、ドライがツヴァイを憎悪する説得力が格段と増すし
和解後に体を求めてきたことに対する唐突感も半減していたことは容易に想像がつきます。

萎えっぱなしからお気に入りになる
ほどの好転はないとしても
このイベントをきちんと発生させた上でドライルートを見ていたなら、今ほど厳しい評価にならなかったように思う。
(ドライの苛立ちを表現している深夜の繁華街シーンも、このイベントが未発生だとカットされてしまうし)
だからこそ、このフラグ管理ミスを大きな失敗と呼ぶわけなんです。

あとひとつ気になったのが、ドライがジュディのことをまったく持ち出してこないこと。
ジュディを死なせたのはツヴァイのパートナーであるアインなのだし、そのあたりの設定を少しは絡めて欲しかったです。


散々文句ばかり言ってますが、最凶の亡霊EDの演出…
最後の呟きとスタッフロールが始まるタイミングの絶妙さにはゾクッとさせられました。
砂塵の道をEDよりも後に見たけど、こちらを先に見ておくべきだった。

■藤枝美緒(CV:麻見順子)
ツヴァイに想いを寄せる女子学生。
ツヴァイとアインにとって因縁浅からぬ日本の暴力団梧桐組の組長・梧桐海典の娘だが
そのことは梧桐組の中でも限られた人間だけが知る秘密であり、美緒自身もまったく気づいていない。
実の兄である梧桐大輔とは面識があるが、大輔のついた「貿易商をしている叔父」という嘘を信じきっている。

キャラを一口で言うと、清楚で大人しいけど芯が強いタイプ。
礼儀正しくて純情ながら、男を包み込む母性も持ち合わせていて
シリアスシーンでぽけっと抜けた表情をし緊迫感を和らげるという(これは立ち絵パターンが少ないせいだけど)
乙女ゲの主人公素質が高い子だと思いました。
もし本当にそうだったら乙女ゲームユーザー受けしそうです。

第三部にならないと登場しないため、イベント=交流度の絶対数が少ない、
強烈な個性がないためキャラとしては薄いし、一般人なのでアクションシーンでも出番がない…
と二大ヒロインのアインとドライに比べてハンデの多いヒロインです。
積極的に関わらなくても本筋の話には影響しないという点で、クロウディア同様サブヒロインに位置します。

アインとドライが二人とも生存するのは彼女のEDのみだし
美緒がツヴァイと共に戦えるような能力を持っていない一般人だからこそ、ツヴァイ自身が二代目ファントム面目躍如たる活躍をしてくれます。
ドライルートのフラストレーションが解消したのも、主人公がファントムの名に恥じない戦いぶりを見せてくれる美緒ルートがあったからこそ。
それに戦闘シーンにおいても、他のヒロインたちでは成しえない行動を取る見せ場もきちんと用意されています。
(このシーンの台詞を説明書のキャラ紹介で載せるネタバレはやめて欲しかったですけどね)

だからサブヒロインといっても、決しておまけ的な扱いとかではないのですが
彼女の立ち位置はあくまでも「暗殺者に仕立てられた三人の少年少女」の物語に関わることになった部外者に過ぎませんし
クロウディアルートのようにオリジナルストーリーが展開されるわけでもない。
だから、いくら彼女ルート独自の要素や見せ場があっても、影が薄くなってしまうのは無理からぬことかもしれません。

このゲームは誰がプレイしてもシナリオ先行型だと思わされる内容ですが
(万が一にもキャラメイク先行型だとしたら、心の底からシナリオライターには脱帽します)
そのことによって最も割を食ったのは美緒でしょう。

アイン項目で「アイン以外のヒロインは、性格設定が変わったとしても根本の話にさほど影響を与えない」と書きましたが
美緒の場合は性格どころか、そのポジションを別のキャラが担っても話が成立するように思えるんです。
第三部では主人公と美緒の橋渡しをする両者の友人・早苗が登場しますが
この早苗を美緒の立場に置き換えたとしても、問題なさそうに見えてしまう。
アインとツヴァイの切り札となる梧桐組の弱点、それが美緒である必然性が少ないわけです。

美緒というキャラは決して嫌いではありません。
好きな相手のことで頭がいっぱいになりながらも、現実から目を背けない強さと賢さは好感が持てました。
けれど、三部において重要なファクターとなる「ありふれた日常」を感じさせてくれたのは
ヒロインの美緒ではなくて、そのやかましさが世界観にそぐわないと、苦手意識すら覚えた脇役の早苗だったんです。

ルート内容にしろキャラ造形にしろ、他キャラに比べてインパクトに欠けるだけで不出来なものではないのですが
梧桐組の娘が美緒でなければいけない必然性が弱いだけに
早苗がその立場だったとしても、それはそれで面白かったんじゃないかと惜しいような気持ちにさせられるんです。

■サイス=マスター(CV:成田剣)
アインを最強の暗殺者“ファントム”に育て上げ、ツヴァイの素質を見抜いたインフェルノの一員。
アインを物扱いする態度、二部の常に先手に回る策士ぶりなど
主人公たちに肩入れして読み進めていれば、必然的に憎々しい存在となるキャラ。

私の場合は、途中までは腹正しさと同時に、マッドサイエンティストに抱くような畏怖に近い感情すら覚えていましたが
結局のところ「変態」の二文字で説明が付く人だから、次第にそのあたりの感情は薄れていきました。
若い女の子だらけの親衛隊とか出されると、結局は俗っぽい動機じゃんと冷めてくる。

声はこのゲームで最もはまっていると思いました。
嫌悪感を覚えずにはいられない、“ツヴァイ”という言い方の馴れ馴れしさ、ねちっこさが絶妙。
ドライが自分の名前を馴れ馴れしく呼ぶサイスに対して内心で不快感を示す描写があるんですけど
それがどれだけ嫌なのかがすんなりと理解出来ましたよ。
しまいには、平坦に呼ばれると物足りなく感じるほどになっていました。

でも、冒頭の下手な英語は、もうちょっとなんとかならなかったのか…。

■リズィ・ガーランド(CV:折笠愛)
インフェルノの一員。クロウディアとは幼なじみで親友の間柄。
外見や言動は荒々しいが、裏表のない実直な女性。

役者で言うと、主役クラスの若手女優(ヒロイン)たち以上に強烈な印象を与える実力派女優という感じですね。
味のある脇役、優秀なバイプレイヤーの鑑のようなキャラです。
そして、このゲームで誰が一番好きかと聞かれたら、真っ先に名前を挙げるのも彼女です。
シナリオ前提で作られた感が否めないヒロインたちよりも
ヒロインではないとすぐ分かるビジュアルをしているリズィの方が、キャラとしての魅力は勝っていると思いました。

正史ルート、クロウディアルート、そのどちらに進んでも必ず撃たれてしまう不運な人ではありますが
クロウディアルートでは生存を確認出来ますし、正史ルートでもはっきりと死亡したと断定される表現はありません。
その点、自らが暗殺者に育てたファントムたちから必ず殺されるサイスとは対照的です。

好人物が無駄死にせず、悪人は断罪を受ける。
このような勧善懲悪と言えなくもない部分も、このゲームが広く受け入られた一因かもしれません。

■梧桐大輔(CV:大塚明夫)&志賀透(CV:うえだゆうじ)
日本最大の暴力団・梧桐組の若頭とその舎弟。
この二人が出てくると、日本語と英語のどちらかで話しているのか、そこばっかり気になってしまう。
梧桐も志賀も英語ペラペラと考えれば解決する問題ですけど、梧桐が英語を熟知している人物に見えないんだよなぁ…。
(単なる偏見だとは分かってはいるけれど)

志賀から男の中の男と持ち上げている梧桐ですが、その魅力や偉大さはほとんど伝わってきません。
唯一その片鱗が見えるのは、クロウディアルートでクロウディアと寝ていたところを踏み込まれたときぐらい。
このときのどっしりとした振る舞いには少し株が上がった。
そして殺される直前に悠々とタバコをふかしている一枚絵もカッコイイ。

でも、この二つだけじゃやっぱり足りないです。
いくら途中で退場するキャラとはいえ、引き続き登場する志賀が一目置いてる人物なんだから
もっと漢ぶりが分かる描写を入れるべきだった。

ところで、組長・海典の出番が少なすぎやしませんか?
説明書からすると、もっと話に絡むものだと思って期待していただけに、予想外の出番の少なさには拍子抜けしましたよ。

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総合評価

評判通り話は面白いし、シナリオ面での高評価に異を唱える気はないけれど
ここまで自由度がないのなら、“ゲーム”として出した意味はあるんだろうか
ゲームと同じライターが執筆したノベライズがあるし、活字慣れしてる人はそちらを読んだ方がいいのでは…

これが、あるルートをプレイするまでの正直な感想でした。

私がゲームに求めているのは、ゲームというメディアでしか味わえない何らかの要素なため
どれだけ話に引き込まれたところで、ゲームでしか表現できない・体感できない要素が見当たらなければ
「ゲーム」としての価値は見出せない。
だから評価もそこで行き詰ってしまう。

ところが最後にプレイしたヒロインルートにおいて
それまでプレイしてきたルートでは決して見られない、そのルートだからこそ成立する展開になったんです。
この展開を見たことによって、ようやくこのファントムという作品のゲーム面を認められるようになり
話は面白いけど…から、秀作のアドベンチャーゲームという認識に変わりました。


裏社会が舞台で主人公が暗殺者、元は18禁のアダルトゲームということでグロ画像、過激描写を心配する人もいると思いますが
死体は一貫して血塗られた手だけで表現されるなど、ショッキングな画像は特にありませんし
ギャルゲーの悪癖とも言える二次元特有の特徴を持つキャラもいないため
グロ画像に免疫がない人も、ギャルゲーに抵抗感がある人(一度もしたことがない人)でもプレイしやすい内容になっています。

ただし、シナリオ構造が第三者の人生を見るという、小説や映画に近いものなので
主人公=自分というタイプの人には向いていないでしょうし
キャラごとにガラリと異なる話が展開する、完全個別シナリオ以外を好まない人には合わないかもしれません。
ヒロインにそれぞれ専用の話が用意されているのではなくて、ひとつの話の中で分岐するスタイルですからね。

また、話の核となるのはあくまで暗殺者に仕立てられてしまった主人公の苦悩であり、ウェットな面も多分に持ち合わせています。
冷徹な殺し屋による渇ききったハードボイルものを求めていると、やりたかったものとは違う…と落胆する可能性もあります。

しかしコンシューマADVゲームにおいて貴重な舞台設定であることに変わりないですし、質の面でも申し分ありません。
テキストADV好きが押さえるべきタイトルのひとつなのは確かだと思います。

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2009年06月18日
加筆 2009年07月12日


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