転生八犬士封魔録 レビュー
発売日 :2006年6月8日 価格 :6090円 対応機種 :PlayStation2 メーカー :サクセス、ブリッジ メモカ使用容量 :240KB CERO :区分A 「南総里見八犬伝」がモチーフの女性向けADV。
現代に転生した伏姫の生まれ変わりとなって、八犬士を見つけ出し、八房を封印するのが目的のストーリー。
ときどき戦闘パートが挿入されますが、基本的には選択肢を選ぶだけのノベルゲーム。
全10章構成で、1章につきプレイ時間は平均40分。選択肢の数は15〜23個。(ただし6章まで。7章以降は10個もない)
スチルは差分抜きで70枚、差分を入れると90枚。
選択肢は多めに感じましたし、その内容も、大抵ひとつは変なものがあったりして選びがいはありました。
でも、その選択肢はキャラクターの反応と親密度の変動にしか影響を与えず、ストーリーが変化するようなことは皆無に近いです。
勿論、キャラ個別ルートなども用意されていません。
その中の唯一の例外は、3章から5章にだけ2ルート設けている点なんですが
これも事件内容が変わるだけで、敵が誰かや犬士が仲間になるくだりは一緒です。
「乙女ゲーム」として恋愛はどうかと言うと、お世辞にもちゃんと描かれてるとは言えません。
1章から6章まで態度に変化がないのもあって、7章から始まる恋愛イベントは唐突感は否定できないし
数が少ないのに、ひとつひとつが短い。特にデートイベントはもっと長く出来たと思います。
ジャンル名に「恋愛」を入れていないのと、恋愛目当てで買ったわけじゃないのもあって
腹が立つほどでもなかったけど、恋愛面で満足できたと言われると、出来なかったのが本音です。
それに、後半のメインストーリーの主軸となっているのが親友の香澄で、主人公のピンチを最も心配してるのが彼女だったりするから
男キャラが刺身のつまのような感じに思えることもありました。
カット不可な戦闘パートのエフェクトも、戦闘を長引かせる要因となっていて、ちょっとイラつきました。
(長い演出じゃないから、大きなストレスにはならなかったのが救いだけど。)
と、散々批判してはいますが、悪い所ばかりではありません。
まず、何周もプレイすることが前提のマルチEDゲームで重要な要素である、プレイ環境がどうかという点では、水準に達しています。
・常時可能なセーブ&ロード
・自動の既読スキップ&手動の強制スキップ
・ボイス再生も可能なバックログ
・オート再生(スピードも4段階から選択可能)
・キャラボイス個別ON/OFF機能
・ソフトリセット機能
・スタッフロールカット機能
・既に選んだことのある選択肢の色が変わる機能
・選択肢を選んだ直後の親密度の変動表示
・いつでも、親密度の上位3名が確認できる機能
・スチル鑑賞(キャラ別には分けられていない)、デートイベント&ED再生のおまけ
・攻略対象ごとに10個ずつ用意されたセーブデータが全部で80個。
特に最後はキャラ別にイベントデータを管理しやすかったので、便利でした。
しかし、データの表示が「主人公名+現在の章+プレイ時間+親密度トップ」のキャラのみなので
それがどういうデータなのか判別しづらいし、攻略対象ごとに分けるだけでなく
それ以外のデータも残しやすいよう、その他用の項目も欲しかったですけどね。
また、既読スキップが効果音で解除されたり、いつでも親密度上位3名が確認できる反面
各キャラの具体的な親密度の高さを知ることができない所も気になりました。
と言っても、効果音でスキップ解除以外の2点は
出来れば〜という要望レベルであり、強い不満や欠点になるほどのものではありませんが。
次にストーリー。
テキスト中心のゲームでありがちな冗長気味ということがなくて
テンポ良くストーリーが運ぶために、飽きることなくサクサク次の章に進めます。
謎やサプライズ、伏線など、シナリオの基礎は抑えてあったので、
恋愛要素が薄くとも、八犬伝をモチーフにしたひとつの物語として楽しむことは出来ました。
少なくとも、恋愛要素を除外すると何も残らないシナリオというわけではないから、
ひとつの女主人公ゲームとして成立しているレベルだと思います。
そして、6章後半からの展開。
展開自体は予想通りでも、今までの乙女ゲームでは取り入れてなかったもので十分新鮮だったし
初回プレイのときは先の展開が気になって引き込まれました。
その展開をもっと上手く扱うことも出来ただろうという残念な気持ちは大いにありますが、
乙女ゲームでこの展開を採用した点は評価しています。
キャラクターに関しても、登場時期や出番(イベント)の数に差はあれど
キャラ被りということもなくひとりひとりちゃんとポジションを確立していたと感じられました。
(だからこそ、もっと彼らと交流を図れるイベントがあったらなとも思う。)
そしてこれはかなり個人的な趣味が入りますが、攻略対象の大半がOBではない直接的な先輩だった点も良かったです。
ここまで先輩が多い乙女ゲームって初めてじゃないかな。
サブキャラにもちゃんとサブイベントが用意されていたり、ノーマルEDがああいった内容だったのも好印象でした。
小さい萎え(9章冒頭の、主人公救出時の犬士たちの態度)から
大きな不満(誰を攻略しても同じ展開、十分活かされてないどんでん返し設定)まで
欠点と思った点は少なくないけれど、好きな点もある。
キャラ続投の続編が出たら買ってみたいと思った久々の新作です。
とは言っても、それすら欠点のひとつで、素直に続編やりたい!と言えないのが悲しいけど…。
続編を出すつもりで、わざとイベントを少なくした印象を受けたんですよね。
最終的に簡単な感想を言ってしまうと
購入動機だった「知らない人間たちが仲間としてまとまってく」過程が味わえなかったのを
後半の斬新な展開で補った感じでしょうか。
最後に。
イベントスチルの8割近くが、既にネットと雑誌で見たものばかりだった挙句に
スタッルロールでもバンバン流されたのは、ダメージが大きかったです。
ゲーム中で初めて見たのって、一部のストーリー絡みとEDスチルぐらいだ…。2006年7月12日