遙かなる時空の中で3 レビュー

発売日 :2004年12月22日
価格 :7140円
対応機種  :PlayStation2
メーカー :コーエー
メモカ使用容量 :670KB

ゲーム内容

1と2がSLG要素の強いADVだとしたら、3はRPG要素もあるADVといった感じでしょうか。

1や2では3ヶ月間を毎日過ごすスタイルでしたが
今作では重要な出来事のみピックアップされ、後は「私たちは〜〜へ着いた」等
主人公の語りだけで説明される形になっています。
そのせいか、主人公が異世界で過ごす時間は1年以上と今までよりずっと長いのですが
プレイヤーが体感するのはごく一部の出来事のために、ゲーム内での時間経過が把握しづらかったです。

逆に明確な日付が表示されない分、行動回数に制限がなくなったので
RPGのように目的地に行かない限りは先の展開に進まず、
好きなだけ各地を移動したり戦闘を繰り返すことが可能になっています。

1、2と同じく3でも章仕立てながらも、キャラによっては前の章に戻ったり、同じ章を何度かプレイする必要があり、
相手のルートに入る時期が異なるなど、流れや攻略法はキャラ毎に違っています。

戦闘では応援言葉の選択がなくなりました。応援をすれば、必ず集中力が上がる仕様。
R1ボタンでエフェクト・セリフ共にカット出来るので、戦闘を数秒で終わらすことも容易です。
サクサク進められるから、戦闘に関してストレスが溜まることはなかったです。

また、今戦っているキャラと後ろに控えてるキャラをチェンジすることも簡単に出来ます。
全滅するようなことはまずありません。

敵に勝つと得られる五行の気で特技を習得する育成要素もあるけど
ないよりはあってよかった程度で、キャラを育てる楽しみと言う程のものではないのが少し残念なところ。
敵が弱くてゴリ押しで十分勝てるから、特技を習得しても活用する機会はあまりないんですよね。

システム

・セーブ数20
・いつでもセーブロード可能
・ソフトリセットあり
・オート再生機能あり
・既読スキップあり(全てを飛ばすことも可。ただしどちらも手動のみ)
・音声再生付のバックログあり
・BGM、効果音、ボイスのON/OFF切り替えは可能だが、細かい調整は出来ない。
・おまけはスチル鑑賞とアニメ鑑賞のみ(ちなみに全キャラクリア後に特別シナリオが出現)

いつでもセーブロード出来るようになったのがシステム回りで一番嬉しかった点ですけど
戦闘中に□ボタン押すと五行関係図が表示される、
選択肢出現時は一度ボタンを押す必要があるため、選択肢を間違えて選んでしまうことがない、
ロード時では最新データにカーソルを合わせてくれる、瘴気状態になってもいちいちダメージセリフを言わない、
口パクがボイスと合うようになっている、スタッフロール飛ばせる…などなど
小さい点が改善されているのも好感が持てました。

その上、ヘルプも充実しており、キャラ攻略のヒントも情報画面で見られるので攻略に詰まることもありません。

ただ、スキップが手動な点と、相変わらず立ち絵が変わる際にいったん止まるものだから、
メッセージスキップがそれほど高速ではないことにストレスを感じました。

3では同じイベント会話などを何度も聞くことになるので、尚更、自動スキップが欲しかったです。
(手動だとコントローラーから手を離せないので。)

あと、既読判定に関しても不満あり。
同じセリフでも別の章だと未読扱いになるのがちょっと腑に落ちません。
別の章といっても内容は同じなのだから、ちゃんと既読として飛ばして欲しい。

自動スキップと同じくらい残念な点がもうひとつ。
1でも2でもED回想と音楽鑑賞があったのに今作ではなし。3でも当然あると思い込んでいただけに驚きました。
システム回りは確実に進化&改善されているだけに、この点は謎です。

グラフィック

立ち絵は各キャラ10パターンずつくらい。
戦闘ではアップ絵が使用され、アップ専用の表情はなくなりました。
3では多少リアルタッチで濃い感じなので、苦手なものもあったけど、
(朔の怒り顔だけはもうちょっと丁寧に描いて欲しかった)塗りはハードの性能を活かしていて、美麗です。

スチルは差分抜くと全員7枚ずつ。
立ち絵と絵柄が違い、スチルによって絵柄がバラバラなのがネック。

アニメは作画、動画が共にかなり粗いです。
その中に作画がわりといい方だと思えたものもあったんですけど、そうすると今度は演出がどこか変だったりして、とにかく萎えました。
立ち絵は乙女ゲーでは高レベルなものだと思うだけに、余計にスチルやアニメの粗さが気になるんですよね…。

サウンド

ED曲はかなり良いです。
歌詞にしろ、せつなさ暖かさ両方感じられるメロディーにしろ、ゲーム内容にかなりマッチしていました。
スタッフロールをもっと長くして、じっくり曲を聴きたいなんて思ってしまったぐらいです。

ボイスは前作に比べるとかなり多くなっているものの、フルボイスではありません。

シナリオ

今までは不仲な八葉が敵の策略や明王からの課題を達成していくうちに
誤解が解けひとつにまとまっていく…前向きに頑張る主人公を見て神子として認めるようになる…
といったメインストーリーの傍ら、それぞれの恋愛イベントが個別に発生するという形でしたが
3では途中でキャラ専用の章が始まり、EDまでそのキャラ中心のストーリーが展開する個別ルート形式になっています。

内容としては突然の別れや裏切り、一緒に逃亡するバッドEDもあるなど、展開がなかなかドラマチック。

その分、ゲームをプレイしている感覚というよりも、ドラマや映画的を鑑賞している感覚の方が近くて
終盤では選択肢なんていらないからどんどん先に進んで! なんて思ってしまうことも多々。
実際、専用ルートに入った後の終盤では、どの選択肢を選んでも展開が変わらないことが珍しくなかったので
1、2に比べると、選択肢の必然性や選択する楽しみはあまり感じませんでしたね。
(遙かの良さのひとつは、選択肢の多さだと思っていたはずなのに)

恋愛を中心とした描写不足、一部シナリオの結末など、引っかかる部分もありますが、のめり込んだシナリオもあったのは確かです。

どの選択肢を選び、どういったプレイをしようと、メインストーリー展開や結末は一緒、敵が生ぬるいなど
前々から気になっていた部分が改善されていたことは評価しています。

恋愛描写に関して

大抵のキャラは専用ルートに入った途端、相思相愛状態だったりします。
しかし、専用ルートに突入する前、主人公と相手が親しくなっていく過程を描いていたわけでもないから
主人公がなぜ相手を好きになったか、相手は主人公のどこに惹かれたか伝わらないんですよ。
どの段階で恋心を抱いたかサッパリ分からない。

よって毎回、あれ? なんで主人公突然このキャラのこと意識してるの?
みたいに納得いかないことが続きました。
専用ルートに入った途端、恋愛モード全開になっていてついていけない。

例えて言うなら、上巻で主人公と相手役が恋に落ちるまでを描き、
下巻で相思相愛となった二人の恋愛の行方を描いた小説の、下巻だけを読んだ気分に近い。
こっちとしては、上巻を読んでなくて二人の馴れ初めを知らないから
二人がどれだけ盛り上がっても、いまいちのめりこむ事が出来ない。
しまいには勝手に盛り上がってれば? みたいに思うシナリオも…。

専用ルートに入る前に、恋愛色のあるイベントを発生させるとかミニイベントでフォローするとか、もっとやりようがあったと思います。
恋愛ゲームなんだから、恋愛過程に力を入れ過ぎて困ることもないですしね。

キャラクター ※ネタバレあり

■春日望美(名前変更可能)
剣を振るって戦うということで、強気なイメージが強かったんですが
性格や口調は1、2主人公とあまり変わらず。

感情移入あまりしなかったせいか本名プレイがキツかったです…。
最初からデフォルト名にしときゃよかったと後悔した。

3ではシナリオ性が強くなったので、もっとハッキリした性格設定があってもいいんじゃないかと思いました。
(ルートによって受ける印象違うので、キャラがよく分からない)

■有川将臣
1、2ユーザーとしては、今までの天青龍との違いが何より面白い。

豪快で頼もしいあんちゃんタイプな彼はキャラとしては好きなんですが、シナリオは退屈。
恋愛面においては全キャラで最も?だし
(いっそのこと、元の世界にいたときからお互い意識してたとか、付き合っている設定の方がすんなり入り込めた)
あの段階まで、望美=源氏の神子と気づかないのが無理ありすぎる。
剣を交わした瞬間に、お互いの正体に気づく!
というシーンをやりたかっただけにしか思えません…。

幼なじみで、夢の中でたびたび会い(2、3回くらいだけど)
敵の大将…と設定だけはとてもいんですけどね…
初回プレイで彼が
還内府だと知って、彼のシナリオでそのあたりの真相を早く知りたい! と思っていたときが一番楽しかったかも。

バッドEDは怖かった。ああいうのは苦手です。

■源九郎義経
発売前は今までの地青龍との違いはあまりないな〜と思っていただけに
女慣れしてなくてすぐ赤くなったりとか、今までの地青龍との違いにちょこちょこ驚かされました。

デートに持参したのが柿というのと、怒ったらお腹すいたと食べる主人公には笑った。
(お似合いな二人で微笑ましいが)

シナリオはベタな少女漫画という感じだけど
重いシナリオが続いた後のせいか、素直に楽しめたし、結構気に入っています。特に婚約宣言は好き。
せっかくの美味しいネタだし、もうちょっと婚約者なところを強調してもよかったな。

■ヒノエ
一言で言うと欠点がない人。
主人公のことが最初から好きで、常に余裕があり頼もしくて、頭も良い。
逆にそれがネックで魅力を感じず、特に盛り上がり所がないシナリオはつまらなかった。
主人公だけ弱みを見せたり感情をぶつけるシーンとかあったら、ギャップで惹かれたかも…
でも告白、EDの甘さはいいね。

間章でのイベントで突然プロポーズしてきたとき、「ヒノエくんさえいればいい」がベスト選択なのにはかなり驚かされました。
絶対、興ざめ…みたいに言われると思っていたけど、冗談じゃなかったのね。
今回、本当に最初からモテモテ>主人公

■武蔵坊弁慶
攻略前、途中で裏切ることを耳にして、そこのところ期待したんだけれど
理由が戦を終わらせたいという全然黒くない理由だったんで肩透かし。
裏切った理由を聞いた途端、シナリオが退屈に思えちゃいました。
それに景時とシナリオが被っているような…。

地朱雀役の声優さんは、毎回ちゃんと演じ分けしているので感心します。

■有川譲
もしかしたら乙女ゲーで初めてシナリオ萌えをしたかもしれません。
キャラ的には好きでも嫌いでもないけど、シナリオ展開はかなりよかった。
運命を上書きした後、譲に抱きつくあたりが特にジーンとしました。

彼だけ恋愛面では不満がないですね。

■梶原景時
3でただひとり迷うことなく、萌えた、好きといえるキャラです。
キャラ萌え効果もあるのか縋り付かれるシーンはかなりグッときた。

暗殺相手は九郎だと思っていたので、主人公だと知ったときは嬉しい驚きでした。
(ああいう、攻略キャラに殺されかける展開燃えるんですよね)

魔弾習得必須というヒントでオチ読めちゃったからか、その後の展開は別段面白くなかったけど
縋り付かれるシーンは自分の中で非常に盛り上がったので満足しています。
バッドEDも駆け落ちなあたりが、恋愛ゲームらしくて良い。

ただ京に残留EDだったのは腑に落ちず、あんまり嬉しくなかった。
残りたくないよ…。

作中それらしいシーン皆無だからか、好きなカップリングのわりに、景時と望美がいい雰囲気というのが思い浮かばない…。
今回はホントにラブシーンないな。

■平敦盛
3で唯一、“八葉”として神子を守ろうという自覚があるキャラ。
終盤は泣いてしまった…。
鈴のエピソードはあの頃には戻れないんだというのが伝わってきてせつない。

グッドEDでも怨霊のままなのには驚きました。
封印されて嬉しそうなバッドEDの方が、どこか救いがある気がしないでもない。

あと、溺れかけとき「逆鱗を使う」という選択肢があるけど、それを選ぶと絆の関が突破出来なくなるのは
ピンチになったとき真っ先に逆鱗に頼るプレイヤー(主人公)に対する皮肉でしょうか。

理由はともかく、運命上書きシステムをちゃんと活用してるので、ゲームとしてはやりがいのあるルート。
(面倒だから、何度もプレイしたいとは思わないけど)

■リズヴァーン
最初にEDを見たキャラだったりします。

当初は、最後あたりにクリアしとけばよかった…なんて考えていましたが
飽きがきたり作業感を覚える前にクリアすることが出来てよかったと今では思っています。

4章のイベント後そのまま専用ルートに入るので、突然望美が先生先生言い出して、ついていけなかったんですが
気づいたらシナリオにのめり込んでいました。
あの「完」の演出には騙された…。

でもこの人をはじめ、今回別に八葉である必要性ないキャラ多いですね…
先生は八葉だろうと何だろうと望美を守っていただろうし。
そういう意味で、3は物足りなかったな。

■梶原朔
男性陣に比べてシナリオが短くてびっくり。

主人公にに対して名前呼びなのと、他キャラルートで見せてくれる同世代の女性ならではの気遣いは良いのだけれど
いつのまにか親友というのが最後まで引っかかった…。
プレイヤーが知らない間に友情育んでたんだろうけど、ね…。
最初から主人公にあそこまで好意的なのもよく分からない。

■白龍
3は八葉とか龍神の神子という設定である必要ないな…と
他キャラルートで不満を募らせてた私にとっては嬉しいルートでした。

白龍(神)に恋愛感情抱いて葛藤する主人公、主人公のことを名前で呼ぶ白龍、
花を渡すあたりとかは、淡い恋という感じでほんわかしました。

でもグッドED、あれいいの…?
自分の気持ちを押し殺して自分の世界に帰る! と言う流れの方が自然でいいと思うんだけれど…。
というか、大きい方はともかく、小さい方の現代EDって…。

小さい方(外見年齢10歳)は乙女ゲーじゃ最年少の恋愛EDなのかな。

総合評価

白龍の神子、八葉という設定がなくても成立する3は私にとっては、どこか物足りないものでした。

ひとつのゲームとして、乙女ゲーとしては恋愛過程に多少不満が残るとはいえ、高評価出来ます。
しかし、遙かシリーズとして、満足いくかと言われると…。

それに4章で着飾ったとき、着飾った姿を意中の八葉に見せるイベントとか欲しかった。
今までだったらそういうの用意してそうなんですけどね…。
3はネオロマとして詰が甘い。

2005年01月04日


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