津田宗直氏の豪刺紅蛇丸のカキ仔を接ぎ木しました


ギムノ愛好会お仲間のおっちさんがかつて山名さんから譲っていただいたと言う、仙太郎が小さい頃からのあこがれだった津田宗直氏の豪刺紅蛇丸からこぼれ落ちたカキ仔を接ぎ木しました。

それは2002年の春のことでした。
おっちさんが生前の山名さんから譲っていただいた豪刺紅蛇丸が元気なく、このままでは行く末が危険だと言うことで、宝塚の村主さんの元に送って養生させることになりました。
村主さんの住所を知っている仙太郎がその球を預かって来て、村主さんのもとに送ることになりました。
仙太郎が持ち帰って送るための荷造りをする前に、小さい頃からのあこがれだった豪刺紅蛇丸の本物を目にしている嬉しさで、しばらく眺め回している時に、紅蛇丸が包んであるティッシュの中に茶色の5ミリ程の固まりが落ちていることに気づきました。
親木の方をよく観察してみると、土の中に隠れている刺座の一カ所に何かが取れたような小さな1ミリ程の窪みが残っているのがわかりました。
ドキッとしました。この小さい固まりはもしかするとカキ仔だぞ。
土の中に隠れていた仔ですから皮膚は茶膜で覆われてコチコチになって刺も何もなく、上下さえもよく分かりません。
親木の方はまだ10センチに満たない小球で、通常はまだとても仔を吹くような大きさではありませんから、これは奇蹟とか言いようのない出来事でした。
早速おっちさんに連絡を入れてみると、カキ仔ならば仙太郎の方で何とか救って育ててあげて下さいとのことです。
ふとその時、高校生時代に山名さんを訪問した際に、豪刺紅蛇丸の仔が出来たらあげるねと言って下さったのを思い出していました。
その数週間後にギムノ愛好会の方からもう既に山名さんが黄泉の国に居られることを教えてもらうことになるのですが、ですから仙太郎は今でもこの球は黄泉の国の山名さんが、仙太郎との約束を守って下さったものだと信じているのです。


津田豪刺紅蛇丸の由来

戦前から残されている銘球の一つに津田豪刺紅蛇丸と呼ばれるものがあります。
これは故津田宗直氏が自身の紅蛇丸コレクションの中から選別し、豪刺紅蛇丸と名付けて昭和12年(1937年)のシャボテン誌に発表したもので(優型ギムノを守る会の分類集の方に写真があります)、従ってこの個体のみにつけられた固有の名称です。
ですから本来、その個体とカキ仔だけが豪刺紅蛇丸と名乗れる筈のものですが、今ではこの球を片親とすると思われる実生品にも同じ名前が付けられて販売されており、そのために豪刺紅蛇丸と言っても様々な顔つきが存在することになりました。
基本的に刺の断面が角張り、乱れて出やすい紅蛇丸にあって、オリジナルの豪刺紅蛇丸は断面の丸い刺が優雅に伸びて非常に整った姿をしており、鑑賞価値が大変高いものです。
大球になると仔を吹くことがあり、このために現代に至るまで、一部の熱心な愛好家達によって脈々と受け継がれて来ました。
優系ギムノを守る会による分類集No,17の「紅蛇丸A」も参考にして下さい。


          
2002年4月5日、接ぎ木直後           4月19日、2週間後    
穂が小さいので袖ヶ浦の成長点に接ぎました     球体がふくらんで遂に刺が出て来ました。
                                  このときは逆さまでなくてほっとしたというのが
                   正直な感想でした。


     
4月27日、3週間後             5月10日、35日後
刺がどんどん出始めました。       刺が鮮やかな赤に染まってきました。



         
   5月25日、50日後、            6月15日、70日後、
肌色が紅蛇丸っぽい梨地になって来ました。   刺が黒っぽくなり始め、更には先がある
                             境界からくっきり分かれて白くなり、
                               豪刺紅蛇丸特有の刺色になってきました。


          
8月30日、140日後、             2003年3月29日、ほぼ1年後、
こんな大きさなのにもう、豪刺紅蛇丸に      冬の間も少しづつ成長し、もう5センチに近い
特有のすらりとした刺の容姿を           大きさになって来ました。            
  見せ始めました。さすが血統です。         とにかく成長の早さには驚かされます。     
                                      


        
2004年4月、2年後                       2004年9月、2年半後  
接ぎ木してあるせいか、2年後に早くも3個の            この年月でとうとう10センチを越えました。
花を付けました。                            姿形ももうすっかり豪刺紅蛇丸になりました。
                                           

この後の豪刺紅蛇丸の成長過程は、我が家の
サボテンの方で紹介して行こうと思います。