2002年12月の横川さん訪問記


12月も押し迫った頃、埼玉県の寄居にあるサボネットオフ会でおなじみの横川さんの温室を訪問しました。
前日は雪が降って訪問が危ないかと心配したのですが、当日は雪も上がって曇り空となり、デジタルカメラによる写真撮影には絶好の日和となりました。
そうなんです、デジタルカメラは高価なものを買ってもCCDセンサーの露光ラチチュードには限界があるらしく、普通の銀板フィルムのような高いラチチュードがないので晴れてしまうと明るい部分が飛んでしまうか、暗い部分がつぶれてしまって、綺麗な写真を撮るのが難しくなるのです。
横川さんはハンドルネーム刺好人さんとおっしゃる通り刺ものが大好きな方で、温室の中はその名の通り、殆どが刺ものでした。
ただし温室の一番後ろ側には刺もの以外の種類も少量ですが鎮座しておりましたですよ。


写真1.
温室内の刺ものの景観−1。
仙太郎はまだ信州でもこれほど刺ものをどっさり、かつ美しく育てている光景を殆ど見たことがありません。
勿論、埼玉県下では初めて見る光景でした。
見事という他はありませんが、これらの光景を眺めながら、昔、信州におられた唐木さんという刺もの名人のことを考えていました。
唐木さんは結局訪問することは出来ませんでしたが、おそらくこんな光景が広がっていたのではないでしょうか。


写真2.
温室内の刺ものの景観−2。
ほぼ中央付近の光景です。
中央は今では少なくなった旧来型の偉壮玉だそうです。
とにかくここでは原産地球顔負けの刺の姿が楽しめます。


写真3.
温室内の刺ものの景観−3。
仙太郎が大好きな金冠竜を中心とする光景。
昭和40年頃に金冠竜の原産地球がどっと入ったことがあったのですが、まさにこんな光景でした。
今では選別が進んで刺の赤いタイプも多数見られるようになりましたが、当時原産地球が入ったと言う情報を聞いて仙太郎が見に行った時はその殆どが黄刺だったのです。
この温室には原産地球に殆ど遜色ない標本球がずらりと整列していました。


写真4.
神仙玉かな?
神仙玉は普通はもっと刺が伸びて先が巻くのですが、このように刺が短くてすらりと伸びるタイプがあるようなのです。
横川さんはこのタイプの方がお好きなのだそうですが、素晴らしい刺色が出ていますね。


写真5.
黄刺タイプの金冠竜
通常の金冠竜は黄刺と言うよりは金刺ですから、このように淡い色合いの黄刺はなかなか珍しいのではないかと思います。
温室があったらこんなのを真っ先に置きたいなあ。


写真6.
鯱頭の標本球。
まさに原産地球顔負け。とにかく刺色の再現が素晴らしいです。
こんな色した原産地球がゴロゴロしていた頃を思い出しましたが、鯱頭はいつ見ても本当に良いものです。


写真7.
多花玉の標本球 
ギムノだってしっかりありました。
いわゆるB型と呼ばれる古典的なタイプの多花玉ですが、直径が15センチほどある大きな球です。
このタイプはなかなか鑑賞価値が高いので、このような形質の良いものが選別されて今でも比較的よく残されているようですが素晴らしいことです。
昭和40年代に入って来た原産地球にもこれに似たタイプが含まれていたことがありました。


写真8.
天平丸の標本球。
形が整った素晴らしい姿の天平丸がいて、しばらく見とれてしまいました。
こんなの一体どこで見つけて来たんでしょう。
刺が巻いているので一見B型に見えますが、刺の浮き方や伸び方からするとやはりどちらかと言えばA型でしょう。
ぜひ後世に伝えて行って欲しい銘球と断言してしまいます。


写真9.
有星類もあります。
横川さん曰く、これらは癒し系なんだそうです。
それはそうかも知れないですね。ど派手な刺ものばかり見ていると目がチラチラして疲れて来そうですもん。
時々こちらを眺めて目を休めてからまた刺ものをじっくり見る・・・なんて事をやっておられるんでしょうかね。


写真10.
刺もの有星類の標本球。
左手前から、典型的な現代の大鳳玉、その奧が群鳳玉、真ん中が瑞鳳玉と言っておられましたが、白点の出方から見ておそらく昔の典型的な有星大鳳玉、右が典型的な昔の大鳳玉です(・・・と、断言してしまうf(^-^;)
特に昔と今の典型的な大鳳玉が一緒に並べられている光景は大変に珍しく、参考になります。
そうです、仙太郎は今の大鳳玉は雄鳳玉と捕らえており、右端の大鳳玉がイメージの中に生きている大鳳玉で、特に懐かしさを覚える株なのです。


写真11.
光琳玉の大球
温室の入り口に大きな光琳玉がでんと構えていました。
光琳玉もこれくらいの大きさになると相当な風格が備わって来ますね。


写真12.
ギムノカリキウムの勇将丸の大球
刺数が多くて長い球が選別されていました。
勇将丸は比較的新しい品種で、昭和30年代には殆ど見たことがない品種なのですが、ご覧のようになかなかの風格を備えているので栽培する人が多かったんでしょう。
ギムノの中では少数ながらもご覧のような銘球が残されているようです。


写真13.
ギムノカリキウムのモンビレイ
昭和30年代に入って来た原産地球を彷彿とさせる素晴らしい刺を備えたモンビレイがいました。
モンビー玉として取り違えられたり、多花玉、金碧などの和名品種との位置関係が今ひとつ整理されていないややこしい立場にありますが、鑑賞価値が高い銘球であることに変わりはありません。