2002年春の村主さん訪問記
3月の下旬に待望の宝塚市中山寺の村主さんを訪問して来ました。
村主さんは仙太郎と同じく、故 伊丹
勝吉さんの弟子を自認される(但し仙太郎は駄目弟子の方なんですがねf(^-^;)、強光線蒸し作りの考え方を取り入れた栽培を実践して居られるサボテン名人です。
海外にもサボテンの調査に出かけられ、「アンデスのサボテン」等の著書でも知られています。
当日はギムノ狂のサボテン大工さんと加古川の中学生との3人組で訪問しました。
たくさんの銘品や懐かしい銘品、懐かしい文献にも出会った、大変幸せな一日となりました。
写真1.
中山寺にはじめて裏から入りましたが、ここは真言宗総本山の一つとして、伽藍が建ち並ぶ大きなお寺なんです。
ちなみに前方に小さく見える白服のお二人が村主さんと團上(ギムノ命)さん。
写真2.
ご自宅の屋根の上を利用した村主さんの温室とフレーム群。
工夫を凝らした温室5本とフレームが2本あります。
温室やフレームは團上さんの作品が多く、木材に白ペンキ塗りというサボテン温室やフレームとしては理想的な構造を持っています。(保温力が高く、光反射が大きい)
温室も通常の構造ではなく、植物をガラス面(実際にはグラスファイバー)に近づける工夫をした、フレームの構造に近い考えを取り入れた独特のものです。
伊丹さんがやっておられた強光線蒸し作りの考え方を一部に取り入れるためのようです。
写真3.
地植の金鯱がある風景
サボテン人なら誰でもあこがれる、地植の金鯱がずらりと並んで花を咲かせている光景がここにはありました。
温室内にベンチなど置いて、寒い冬のひとときを日溜まりでのんびりお茶でも味わいながら金鯱群を眺める。
これを実現出来ている人は日本に10人といないでしょうね。
写真4.
強刺類のある風景
ここの強刺類は実に太くて美しい刺を出しています。
涼しい信州や日本海側の気候なら驚くほどの光景ではないかも知れませんが、ここは夏に目一杯蒸し暑い瀬戸内関西地方の気候の元にあるのです。
伊丹さんの強光線蒸し作りを一歩進め、1日のどこかで湿気を一度抜いてしまう工夫がなされてこのような結果を生むようになったようです。
晩年の伊丹さんがなるほどなあと感心されたそうですが、さもありなんの結果がここにはあります。
これを見れば誰でも強刺類が好きになるでしょうね。
写真5.
フェロカクタス文鳥丸の大球
仙太郎も伊丹さんから頂いたことがありますが、小苗の時にもらったと言う文鳥丸の現在の姿です。
小苗からは想像出来ない立派な姿です。
(左奧の刺の白い球が文鳥丸だそうです。ギムノ命さんのご指摘で分かりましたf(^-^;)
写真6.
綾波の巨大球
径30センチくらいありそうですが、これも伊丹さんの遺品。
ごく普通の綾波がこれだけ大切にされているのを見るのは何だかほっとするものがあります。
写真7.
大竜冠の群生原産地球。
大竜冠の群生株には何10年ぶりかに出会いました。
それもやせ細って発根はもう無理だろうという悲観的な状況にない大竜冠にです。
いやあ、懐かしかった。
大竜冠は大量輸入されていた昔でも高いサボテンで、学生のお小遣いでは買うことが出来なかった高級品なのです。
写真8.
牡丹類の温室。
牡丹類が実は強光線を好まず、半日陰で蒸し上げる方がよいことを見つけたのが村主さんのようですが、そのお手本の如く、見事に美しく育っています。
真夏ではさらにこの上によしずを掛けておくのだそうです。
仙太郎が思っている以上に日陰の植物のようです。
写真9.
太平丸の温室
岩田さんの温室でも見ましたが、意外なほど強光線にはさらしていません。
比較的軟光線でなるべく1日の内で長く日の当たる穏やかな環境に置いてあげる。
これが太平丸類を長く美しく保つ秘訣なのかなあと思いました。
写真10.
兜の温室
白点の濃い白い兜も多数集められています。
岩田さんの温室でも見慣れた光景ですが、特上のタイプが集中しているという点では素晴らしいもので、各地の兜名人の作品が一度に鑑賞出来ます。
写真11.
白い兜の一例
これほどまでに白いものになるとまだまだ高いようですが、こんなのいつかは仙太郎のフレームにも置いてみたいものです。
実によいアクセントになること間違いなしです。
こんなのどんどん増やして下さいよお岩田さ〜ん(安くね)v(^_*)\ペち
写真12.
ギムノ温室の光琳玉たち
ここの温室にも懐かしい顔がいっぱいありました。
時の経つのも忘れて見入ってしまいました。
写真13.
伊丹さんの光琳玉です。
中刺が上に放射しながら少しうねり(うねり過ぎない)、側刺も横に肌を巻くようにうねるという、伊丹さんの光琳玉の特質を良く再現しています。
今、世間に出回っている通称「村主光琳玉」はこの木を父木とし、もう1本の刺の良い巨大球を母木としていることを知りました。
ですから村主光琳玉の中から将来はすばらしい形質のものが出現することは間違いないでしょうね。
村主さんのご厚意で安く提供されているようですが、中身が非常に濃い光琳玉ですから大切にしてあげてほしいものです。
写真14.
育成温室の村主光琳玉
小さな光琳玉達がいっぱい将来の出番を待っていました。
5センチを越える球では既に伊丹光琳玉の形質を凌ぎそうなものが出ています。
あらゆる形質が高い次元でバランスが取れており、極端に過ぎないのが村主光琳玉の良いところではないかと思いました。
写真15.
慶松玉の開花
実は仙太郎が好きな刺ものの一つがこの慶松玉なのです。
小型でフレームでも場所をとらない、こじんまりとして良くまとまった姿をしているからです。
ところが根がこじれやすく、刺座が煤で真っ黒くなり易いので仙太郎の元ではなかなか栽培が難しいのです。
それにしても、雑草の方がちと目立つかな(^-')b
写真16.
天晃の開花
刺に赤みがしっかり残った、形質の良い天晃もいっぱい居ました。
最近は緋冠竜や紅鷹の陰に隠れてあまり目立たなくなりましたが、天晃もまん丸く、なかなかかわいくて良いものでしょう。
このような一般品種も大切にされているのを見るのは実に良いものです。
見れば見るほどなかなか味わい深いもので、少し分けて頂いて来れば良かったなんて今頃f(^-^;)
写真17.
紅蛇丸の巨大球
径16センチ前後ありますが、津田宗直氏遺品の豪刺紅蛇丸のカキ仔そのものか、或いはそれを片親に持つと思われる紅蛇丸の巨大球です。
豪刺紅蛇丸は大きくなった時の姿を誰も確認していないため、刺が乱れてはいますがこれがその大きくなった時の姿なのかも知れません。
下の方の古い刺を見ると、豪刺紅蛇丸のあの優雅に横に伸びる先端の黒い白刺が見られますので、豪刺紅蛇丸そのものである可能性もあるのですが、オリジナルのカキ仔と交配して見るしか確かめる方法はないようです。
写真18.
ハーゲ商会天平丸
伊丹さんが持って居られたハーゲ商会天平丸の一次戻し交配の株です。
と言うことは、先日亡くなった仙太郎のホームページの我が家のサボテンNo,2の天平丸とは義理兄弟と言う事になります。
刺が長く、肌に添いながら離れて下に向かって放射するのが特徴です。
天平丸は子を吹きませんから、実生の戻し交配でこの形質を残すしかありません。
すばらしい形質なので、将来に是非残して行きたい優品です。