2001年夏の岩田さん訪問記
2001年の夏に寺町さんと同じ埼玉県の岩田さんの温室を尋ねました。
太平丸を集めておられると聞いたものですから、是非一度は尋ねなければと思っていたんですが、行ってみると我が家から1時間程で行ける、時間的には意外に近い場所でした。
仙太郎は昔からエキノカクタスの太平丸が大好きで、少ないお小遣いを叩いては黒田芳明園まで出かけて行って太平丸の輸入球を買って来ていたものです。当時は太平丸は「ラバが踏んづけて怪我する邪魔者」扱いされるほど大量に自生していたサボテンで(今でも同じでしょう)、そのせいか、子供のお小遣いで買える程度の値段だったのも大きいかも知れません。でも今やご多分に漏れず、太平丸も輸入球は大変貴重になっています。
ここもビニール温室なんですが、入ってまず驚いたのはサボテンがとにかく綺麗だと言う事。汚れ一つ無いというか、とにかく綺麗なんです。近くに交通量の多い道がありますし、頭から水をかけていると言うのにどうしてなんでしょう。ここのメインは兜と太平丸と牡丹類に集約されていました。趣味家にはこのように種類を限定して極めるタイプの収集をする方が多いんですね。ここの太平丸が刺落ち一つ無く綺麗に育っているのには驚きます。太平丸は春の5月終わりから初夏までしか育たないと言われてきたんですが、どうもここの太平丸を見ると、そんなペースなんかで育ってはいないように見えます。もう少し生長期間が取れているのではないかと思いました。兜も白くて非常に美しいですが、サボテン界でも岩田さんの兜は有名なんだそうです。丁度台風が直撃している温室の中で雨音の轟音を聞きながらの昔話が本当に楽しかったです。のちに宝塚市の村主さんを紹介していただける事になるのですが、とにかく岩田さんにはその後、色々お世話かけてしまいました。
写真 1
兜群像
寺町さんの温室でも度肝を抜かれましたが、ここは更にすごいの一言です。刺座の白点の大きさもとにかく、それ以外の全面の白点が濃くて大きいのです。このためにとにかく白い。この30年ばかりの間に兜はずいぶん変化したものだなあと思いました。
写真2
不思議な兜
もうこの時は寺町さんの温室で、スーパー兜もミラクル兜も知った後でしたが、またまた不思議な兜が出現しました。刺座の白点以外の場所の何とも不思議な大きな白点。それに「青い」とも言えそうな何とも深い色合いの肌の色。ロイヤルスーパー碧瑠璃ミラクル兜・・・・とは言わなかったけれど、何とも不思議な兜でした。
写真3
テキサス兜
刺座の白点の大きさを除けば、かつて見慣れた兜がいました。
当時の輸入球の兜の中に白点が大きいテキサス兜というのがあって、こんな感じのするものだったんですが、これは何と、仙太郎師匠の伊丹勝吉さんが大切にしておられた兜なんだそうです。伊丹さんは有星類はさほど凝ってはおられなかったんですが、当時何本かの兜は所有しておられました。まさかここで再び出会えるとは思ってもいませんでしたから、頬ずりしたくなるほど懐かしかったです。(;^_^Aキモチワルイナンテイワナイデ
写真4
ミラクル兜
いまだに兜の中には高価な一群があるようなんですが、ミラクル兜と言われるものがその最右翼のようです。これは遺伝的に劣性因子なので繁殖が難しいかららしいのですが、こんなに白いタイプもあるというのはここで初めて知りました。ここまで白いとよほど強光線を当ててあげないと、光同化作用が充分に出来ないんじゃないかと余計な心配をしてしまうほどです。スーパー兜も面白いけど、ミラクル兜にもすごいものがあるんだなあと思いました。
写真5
太平丸変種ニコリ
この日の本命、太平丸はとにかく沢山いました。いえ、過去の趣味家や業者訪問でもこれ程までに太平丸が美しく育てられ、かつ色々揃っているのは見たことがありませんでした。嬉しくて太平丸の写真はとにかく沢山撮りまくりました。そして、太平丸には色々な種類があることも知りました。当時の太平丸は太平丸と小平丸の2種類の区別しかなかったんですが、その後各地の産地が見つかって、色々なタイプが登場するようになったようです。花王丸は当時からメキシコの太平丸としてあったんですが、翠平丸とか尖紅丸、このニコリなどです。特にこのニコリは岩田さんも手こずるほど成長が遅いんだそうです。刺と肌の色合いが実に風格があります。
写真6
牡丹類温室の風景
秋の追加分の写真です。秋ですから牡丹類の花が咲いています。
それぞれに非常に個性を持った、特徴の良く出た優良株だけが揃えられていて、とにかく見ていて飽きさせません。
写真7
太平丸温室の風景
ここの太平丸の出来映えは素晴らしいです。古くから作り込まれている輸入球でも殆ど刺落ちはしていない上に、原産地の肌色をそのまま継続しているのが素晴らしい。
行くたびに長い時間たたずんでしまう温室です。
写真8
太平丸予備軍
次の世代を担う太平丸類の予備軍もしっかり控えています。何年にも渡って、毎年次実生が行われていて、世代毎の苗がずらっと揃えられています。
写真9
ミラクル兜の群像
実生6〜7年生くらいでしょうかね。世間ではまだまだ高嶺の花の系統の優れたミラクル兜がこれ又ふんだんに並んでいます。これだけ並べられてしまうともう感覚が麻痺して高級品には見えなくなってしまいます(;^_^A