新天冠 Gym.saglione f. cristatum hort.

新天地の綴化である。新天地冠とも言われる。古くから珍重されているが、繁殖に限度があるので、いつの時代でも品薄の様である。巾が広く、堂々としていて、形がくずれないので綴化物の中では最右翼に位している。生長点が比較的深い割に扁平なので、非常に接ぎ難く、ベテランでも失敗することが多いらしい。綴化の写真は月刊シャボテン誌、22(昭和11年)に出ているが、伊藤芳夫氏のペン画はこれをデッサンされたものであろう1)。この写真の説明によると2年位前(昭和9年頃)に実生苗の中から出現したとある。従って新天冠は日本で作出されたものが先ず紹介されたことになる。原産地ではおそらく自然に発生しているものと思う。

(註)1, 伊藤芳夫;サボテン図説,p186 (1957)