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フィリピンの経済

PhE 13-1 フィリピンの対中貿易は輸出が減って輸入が増える(13-9-6)

PhE10-2 フィリピンの2010年2Qの成長率は7.9%(2010-8-31).

PhE10-1.フィリピンの2010/1Qの成長率は7.3%(2010-5-31)

phE09-4,フィリピンの09/4Qの経済成長率は+1.8%(10-1-29)

PhE09-3.フィリピンの09年3Qの成長率は0.8%のプラス(09年11月30日

PhE09-2.フィリピンの09年2Qの成長率は1.5%、世界不況の影響を受けずプラス成長?(09年8月27日)


PhE09-1.フィリピンの09年1Qの成長率は0.4%にとどまる(09年5月28日)

5-10-5.フィリピンは08年の経済成長率が4.5%、工業品輸出は大幅減(09年1月29日)


5-10-4.フィリピン株式ストップ安、銀行株に不信(08年10月28日)

5-10-3.フィリピンの08/2Qの成長率は4.6%とさらに減速(08年10月2日)

5-10-2.フィリピンの08年1Qの成長率は5.2%にダウン(08年6月1日)

5-10-1.海外出稼ぎ労働者の送金が増加(08年4月22日)

5-9-6.フィリピン07/4Q輸出マイナスでも7.4%の高成長(08年2月1日)

5-9-5.フィリピンの07年3Qの成長率は6.6%、輸出は名目で-12.3%(07年12月10日)

5-9-4.フィリピンの07年2Qの成長率は7.5%、実際は不況(07年9月1日)

5-9-3.フィリピンの07年1Qの実質GDPは6.9%の伸び(07年6月1日)

5-9-2..フィリピンが成長を維持するにはもっと投資が必要であるー世銀(07年4月8日)

5-9-1.フィリピン政府、今後3ヵ年は7-8-9%の成長目指す(07年2月22日)

5-8-7. フィリピンの06年4Qの成長率は4.8%と低下、通年で5.4%(07年1月31日)

5-8-6.フィリピン出稼ぎ労働者からの送金が急増(06年12月16日)

5-8-5.フィリピン、06年3Qの成長は4.8%に鈍化、輸出不振(06年11月30日)

5-8-4.海外出稼ぎ労働者の送金でマニラで建設ブーム(06年11月14日)

5-8-3. 06年1~10月の外国投資認可額は33%増(06年11月13日)

5-8-2. フィリピンの06年2Qは5.5%の成長(06年9月1日)

5-8-1. フィリピンの06年1Qの成長率は5.5%と順調?(06年5月31日)

5-7-8. 05年の輸出の伸びは3.9%増にとどまる(06年2月11日)

5-7-7. フィリピンの05年の成長率は5.1%に(06年1月30日)

5-7-6. フィリピンの05年3Qの経済成長率は4.1%に減速(05年12月1日)

5-7-5. 付加価値税2%アップと最低賃金 再見直しでインフレ加速は必至(05年11月6日)

5-7-4. 05年2Qの成長率は4.8%(05年8月30日)

5-7-3. 05年1Qの成長率は4.6%に減速(05年6月2日)

5-7-2. 5年ぶりの金利引き上げ(05年4月9日)

5-7-1.フィリピンの輸出早くも変調(05年4月14日)

5-6. 2004年の実質GDP成長率は6.1%と15年ぶりの高成長?(05年2月2日)

5-4. 04年3Qの実質成長率は6.33%、好調持続?(04年12月1日)

 

 

5-1 危ういフィリピンの経済(02年8月24日)

フィリピンは現在何とか年率で3%程度の成長率を維持している。しかし、最近フィリピン政府の財政事情がかなり悪化しているという報道が出始めた。それは現象面では相次ぐ国債発行に現れている。

フィリピンという国は経済的にみると不思議な国である。いろいろ理解に苦しむ現象が現れる。戦後、独立と同時(1946年7月)に米国と「ベル通商協定」を結び、米国との特殊な関係が続いた。アメリカ人はほとんどフィリピン人と同等にフィリピン国内で事業をおこなえた(内国民待遇)。

そのため、米国企業は大いにフィリピンに進出し、戦後まもなくフィリピンは日本に次ぐ工業国であるといわれるようになった。しかし、工業化の内容はいわゆる「輸入代替型工業化」であり、中間材料や機械はほとんど輸入に頼っていた。

そのため、国内の経済が発展してくると、すぐに貿易収支が赤字になり、外貨不足から経済にブレーキをかけざるをえなくなった。米国は自分でも援助をしたが、お目付け役としてIMFを送り込んだ。そこからフィリピン経済の長期的な足踏みが続き、それが現在でも尾を引いているといえる。

その辺の歴史については拙著「東南アジアの経済と歴史(日本経済評論社)」をご参照いただければ幸甚である。

フィリピン経済の不思議の1つは国内総生産に占める「製造業部門」のシェアが長年ほとんど増加していないということである。たとえば1970年の製造業の実質GDPに占めるシェアは23.1%であった。75年にはそれが24.1%と少し増えたが、2000年には24.8%とあまり変わっていない。

他の国の2000年における製造業のシェアはマレーシアは33.4%(75年は16.4%)、タイは36.4%(75年は18.1%)、インドネシアは26.4%(75年は11.1%)といった具合でフィリピンはこの30年間ほど製造工業の発展が緩慢だったということになりそうである。

農林水産部門のシェアは2000年ではマレーシア8.45%、タイ10.0%、インドネシア16.7%に比べフィリピンは20.0%と最も高い。

ということは経済成長率を見るとき、フィリピンの場合は農業部門の動きを無視できないということになる。

もう1つの不思議はフィリピンの経済統計は4半期ごとに発表されていて、それを足すとそのまま年間統計になり、それが後になって訂正されるということは極めてまれであるということである。まるで、中国やベトナムの統計を 彷彿とさせる。

フィリピンは1997年の通貨危機の影響は受けたが、実体経済面ではタイやインドネシアに比べるとさほど大きな落ち込みはなかった。

表1 実質国内総支出(=GDP)1985年価格(%)

  1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 02/1Q 02/2Q 02/3Q 02/4Q
実質GDP 5.8 5.2 -0.6 3.4 4.4 3.2 4.6 3.7 4.8 3.7 5.8
民間消費 4.6 5.0 3.4 2.6 3.5 3.6 3.9 3.5 3.7 4.0 4.4
固定資本 12.0 11.5 -11.2 -2.3 3.1 -2.2 2.1 -1.1 3.6 0.9 5.2
輸出 15.4 17.2 -21.0 3.6 17.7 -5.2 3.3 -4.1 7.6 6.1 3.5
輸入 16.7 13.5 -14.7 -2.8 4.0 -0.8 4.9 -8.0 4.4 7.3 15.3

資料出所:「月刊、海外経済データ、2003年3月号」内閣府より作成

この表からみるとフィリピン経済は輸出の変動によって民間消費やGDPの成長率があまり大きく左右されないように見受けられる。その謎を解く鍵は国内総支出に占める民間消費の大きさ(80%近い)に隠されている。

タイでは2000年における民間消費支出のシェアは56.4%に過ぎない。マレーシアにいたっては45.4%である。インドネシアは70.9%とよりフィリピンに近い。

そうだとすればASEAN4カ国のなかではフィリピンとインドネシアの両国は、経済動向を見る場合は民間消費の動向にまず着目する必要があるということになる。

表2 実質国内総支出構成比(GDE=100)

  1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 02/1Q 02/2Q 02/3Q 02/4Q
実質GDE 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100
民間消費 76.8 76.6 79.7 79.1 78.5 78.7 78.3 76.8 78.8 79.5 77.9
固定資本 24.4 25.8 23.1 21.8 21.5 20.4 19.9 22.0 20.5 20.1 18.1
輸出 46.8 52.1 41.4 41.5 46.8 43.0 42.4 41.9 42.3 50.4 36.0
輸入 58.9 636.6 54.5 51.3 51.1 49.1 49.2 43.4 52.2 55.0 46.7

資料出所;「月刊、海外経済データ」内閣府編、2003年3月号(表1,2とも)

 

(8月30日)先行きあまりパットしないはずのフィリピン経済が’02年2Q(4‐6月期)のGDPの成長率が年率換算で4.8%にも達した。それまで5四半期(Q)減り続けていた半導体の輸出が2Qは実に20%増えたそうである。 これは意外にも中国向けの増加が大きかった。

農業分野はさほどでもなかったが、工業生産はプラスになり、サービス部門も力強い成長を示したということである。上期通算では4.1%の成長を達成したことになる。

ところが投資家達(主に金融関係のエコノミスト)は1~7月の政府の財政赤字は1,330億ペソ(1ペソ=2.3円)にも達しており、政府が年間目標にしていた1,300億ペソを早くも突破してしまったことに懸念を表明している。

それではフィリピンの景気が実際に良いかどうかとなると、率直に言って失業率の増加などをみても良いとはいえない。この数字自体内容を詳しく分析する必要があるが、「不自然さ」は隠せない。

アロヨ政権はかなり無理な景気刺激策をとっているのではないかという疑念である。

9月13日に1億ドルの借款を決めた世界銀行もフィリピン経済の脆弱さを指摘している。

(9月19日)本日付のPhilippine Star( http://www.philstar.com/)によれば前社会経済計画相のフェリペ・メダラ氏は政府発表のGDPは1%ていどサバを読んでいると述べている。メダラ氏は2Qは3.6%(政府発表は4.8%)程度であろうと語った。

 

5-2. フィリピンの03年の経済成長は4%台を維持(03年7月26日)

フィリピンは5月の輸出が前年同月比+2.6%を維持した。これはエレクトロニクス関連のマイナスを繊維、木製品、コンピュータ部品などでカバーできたためであるとして当局は自信を深めている。

フィリピンの経済力はもともとさほど強くなく、マレーシアやタイに比べ大きく見劣りがする。どちらかというとインドネシアのよきライバル(?)といった幹事である。

ただし、フィリピンにとって幸運だったのは1997・98年のアジアの通貨危機・経済危機の影響が軽微にとどまったことである。

その最大の原因は、フィリピンの場合90年代のアキノ政権の後半に、軍事クーデター騒ぎがあり、海外からの投資が減り、国内の不動産業の投資も沈静化して、その後のバブルの膨らみが少なくなったことにある。

たとえば98年のGDPはマイナス0.6%であったが、タイは-10.5%、インドネシアは-13.8%、マレーシアは-7.4%であった。

その代わり、外資の進出が遅れた分だけ、工業化のレベルが低く、いわゆる高度成長は経験したことがない。輸出への依存もさほど高くないという特徴が見られる。

表5-2 -1 フィリピンの貿易バランス(億ドル)

   1997  1998  1999  2000  2001  2002 02/1Q 02/2Q 02/3Q 02/4Q 03/1Q
輸出 252 295 350 381 322 352 81 86 94 91 85
輸入 359 297 307 345 331 354 75 94 98 87 92
貿易収支 -107 -2 43 36 -9 -2 6 -8 -4 3 -7
経常収支 -44 15 74 85 45 42 17 4 5 16  
金・外貨準備 108 102 138 151 146 165 164 161 160  

 

 

(03年8月29日)03年2Qの成長率は3.2%にダウン

国民統計調整委員会の発表によると、03年2Qの実質GDPは前年同期比3.2%(1Qは4.5%)の比較的低い伸びにとどまった。 海外出稼ぎ労働者からの送金が寄与し、実質GNPは4.5%となったが、いずれも1Q比減少している。(表1参照)

不振の原因はSARS,イラク戦争およびエル・ニーニョ現象による農業の不振が上げられているが、フィリピンはタイやマレーシアに比べ工業製品の輸出が弱い点が最大の不振の原因であろう。

部門別には農林水産業の伸びが1.6%、工業部門が1.7%、サービス部門が5.0%、GDPが3.2%の伸びであるとフィリピン中央銀行は説明している。

GDPの伸びが低かったことに嫌気がさし、8月29日の株式市場は1192.83ポイントと前日比-25.59ポイントの下げとなった。

 

(03年10月4日) 7,8月と2ヶ月連続で輸出が前年比マイナス

8月の輸出は29億66百万ドルと、前年同月に比べ2.2%のマイナスとなった。7月は29億67百万ドルと同じく7.9%のマイナスであった。これから数ヶ月の輸出についても回復の見込みは薄いという。

8月の輸出で目立ったのは輸出全体の64.3%を占めるエレクトロニクス製品が19.07億ドルと前年同月の20.54億ドルに比べ7.2%もの落ち込みをみせたことである。衣類も2.068億ドルと-5%となった。

輸出先としては21%を占める米国向けが6.18億ドルと20%マイナスとなったが、日本向けは4.604億ドルと10%増になった。

全体的に中国によって輸出市場を奪われていると、当局では考えている。

このような状況のなかで、ASEANと中国とのFTA締結の話しが今後進むとは考えにくい。

⇒2003年の実質GDPは4.5%の成長、GNPは5.5%(04年2月2日)

ロムロ.L.ネリ経済計画相は2003年の実質GDP(国内総生産)は4.5%の成長を遂げたと発表した。また、実質GNP(国民総生産=海外の出稼ぎ労働者の収入を含む)は5.5%の成長であった。

GDPの伸びは2002年が4.4%であり、全体としてはほとんど代わり映えのしない数字であったといえよう。

第1表でGDEの数次を見ると、輸出は3.3%とあまりさえなかった。固定資本形成の伸びが4.8%とやや伸びたのが目立つ程度である。個人消費は5.1%、海外からの送金6.9%増などが経済の支えになっている。

部門別の主な動きは、第1次産業(農林水産)の伸び率が3.9%、第2次産業が3.0%と振るわなかった。サービス部門の成長率は5.9%、通信と在庫の積み上がり(Storage)は8.9%、商業は5.8%であった。

輸出は実質で3.3%伸びたことになっているが、実額では357.5億ドルと02年比わずか1.5%の伸びにとどまっている。輸出総額の3分の2を占めるエレクトロニクス製品(半導体を含む)が2.62%のマイナスとなったことが響いた。

これはエレクトロニクス関連の投資が中国に行ってしまい、フィリピンへの投資は少なかったためであると説明されている。ASEANと中国の自由貿易協定などといってもさっぱり熱が上がらないのはフィリピンとインドネシアである。

半導体に関しては2004年は10%以上の回復が見込めると業界団体では見ている。ただし、半導体は最終工程の組み立てと検査の下請が多くあまり付加価値が付かないのがフィリピンの悩みである。

2004年のGDP成長見通しについて政府は5.8%と称しているが、これはアロヨ大統領の選挙用スローガンにしか過ぎないと見てよいであろう。決定打を欠くフィリピン経済である。通貨ペソもこのところ1ドル=56ペソを割り込む安さになっている。

表5-2-2 フィリピンの実質GDP(GDE)およびGNP伸び率(%)

   1997  1998  1999  2000  2001  2002 2003
実質GDP 5.2 -0.6 3.4 6.0 3.0 4.4 4.5
民間消費 5.0 3.4 2.6 3.5 3.6 4.1 5.1
政府消費 4.6 -1.9 6.7 6.1 -5.3 2.4 -2.8
固定資本投資 11.5 -11.2 -2.3 7.9 7.1 2.4 4.8
輸出 17.2 -21.0 3.6 17.0 -3.4 3.6 3.3
輸入 13.5 -14.7 -2.8 4.3 3.5 4.7 10.3
実質GNP 5.3 0.4 3.7 6.9 3.5 4.5 5.5

資料:月刊海外経済データより作成(表2も同じ)

2003年の数値は: http://www.nscb.gov.ph/  (04年1月29日発表による)

 

5-3 04年1Qの実質成長率は6.4%(04年5月28日)

04年1Qのフィリピン経済成長率は前年同期比6.4%という意外に高い数字を示している。

とりわけ好調だったのは農林水産部門で7.7%の伸びを記録し、サービス部門も6.4%の伸びであった。フィリピン経済においてはサ-ビス部門がGDPの46%を占めるため、サービス部門の動向が大きく数字を左右する。

製造業の伸びは4.3%。その中でも食品部門が21.0%と大きく飛躍した。異常な伸び率であるが当局((NSCB-国民統計調整委員会)は理由を説明していない。

国内総支出を見ると、民間消費は5.9%と比較的高い伸びを示した。これは大統領選挙(5月10日)のはでな選挙戦がかなり影響しているものと見られる。固定資本形成は16.2%の高い伸びを示した。理由は説明されていない。

輸出の伸びは10%を記録し、これが結果的に1Qの成長を押し上げた。品目別には砂糖が83.7%、焼結鋼(鉄鉱石を高炉挿入前の状態に加工したもの=日本のJFE向け)が60.6%、バナナ等7.0%、パイナップル缶詰14.6%、絶縁電線12.9%などである。

コンピューター部品(HDD,FDDなど)はかなり輸出されたはずであるが今のところ数字が判明しないので後日のこととしたい。

 

5-4. 04年1-6月の投資は590%の急増(04年8月10日)

投資委員会(BOI)とPEZA(フィリピン経済地域庁=自由投資地域、Philippine Economic Zone Authority)の両方の04年1-6月期の投資金額は1,409.7億ペソ(1ペソ=約2円)に達した。これは前年同期の204.2億ペソの6.9倍に達した。

BOI単独では1,137.2億ペソで昨年同期の91.5億ペソの12.4倍となった。一方PEZAの方は272.4億ペソで昨年同期の112.8億ペソの2.4倍であった。

BOIの方は国内資本と外国資本両方が含まれるが、外資は輸出加工区外に工場を持っている場合が多い。設備増強投資が性格上多いものと思われる。国内資本による投資は176.3億ペソ(BOIの投資の15.5%)であった。

一方、PEZAの方は輸出加工区的な性格のもので100%出資の外資企業が多いという特徴を持っている。

最近、フィリピンはイラクの人質解放に絡み、駐留軍(53名)を撤収したため、国際的に袋叩き にあっている。特にWSJなどは口汚くフィリピンをののしっているが、アロヨ大統領はいささかもたじろぐ様子はない。

国民の生命財産を守るのが政治家の使命だと割り切っている。それによってアロヨは初めて真のフィリピンの大統領として国民の信頼を勝ちえたといっても過言ではないであろう。

米国もうかつにフィリピンに対する軍事、財政上の援助をカットできない。カットをしてしまえばフィリピンに対する米国の影響力はいっそう低下してしまう。米国の東南アジアにおける軍事ネット・ワークの真ん中に大きな穴があいてしまう。

また、最近は経済も不振の様子で、なんとインドネシアの財務相ブディオノからも憐憫の情を持ってみている。ブディオノ曰く「インドネシアはフィリピンの経済危機の影響を受けず」(テンポ紙、8月10日版)だというのである。

ブディオノが言いたかったのはフィリピンは公的債務がGDPの77%にも達していて、政府の財政赤字がGDPの4.2%にも達していてさぞ大変であろうということのようである。

しかし、そんなことはインドネシアとは関係のない話である。ブディオノにとっては同じ劣等生仲間(??)と思われているフィリピンの動向が気になっているというところであろう。

東南アジアは米国輸出がさほど伸びない割には中国向け輸出の伸びが大きい。しかし、フィリピンとインドネシアは中国向け輸出もタイやマレーシアに比べればたいしたことはないということで多少のコンプレックスを持っていることであろう。

一方、タイやマレーシアの中国向け輸出は電子部品、機械部品が多く、いずれ中国の部品の自給体制が整ってくれば、先細りになる運命にある。所詮は東南アジアは中国にたよって生きていくことは不可能である。

もちろん、日本も頼りにはならない。ASEAN域内市場ももちろん大事だが単にアジアだけでなしにEU,米国を含めたグローバル市場を相手にしていかなければならない。

そこに早く気が付いたほうが勝ちで、フィリピン政府は賢いから気がついて賢明に対策を模索している。インドネシアのほうがむしろのんびり構えているような印象を受ける。

 

5-5. 04年3Qの実質成長率は6.33%、好調持続?(04年12月1日)

農業部門とサービス部門が比較的高い伸び率を維持しており、フィリピン経済は一見順調に推移しているかのごとく見える。ただし、肝心の工業部門の伸び率は4.46%と低調である。

農業部門が増えたのは、比較的天候に恵まれたことと、穀物の新品種(高収量トウモロコシなど)の導入に負うところが大きい。輸出は電子部品、コンピューター部品の伸びが好調を維持している。 また、銅などの非鉄金属類も好調であった。

支出サイド(下欄)でみると固定資本形成(設備投資)と輸出の伸びが2桁ときわめて好調である。民間消費も5.59%と比較的好調である。ただし、政府消費は-5.91%と不振である。それは政府の歳入が不足しているためであると考えられる。

フィリピン政府は何とか徴税率を上げようとしているが役所に力不足は脱税慣行、ワイロの横行などで徴税実績はなかなか向上しない。アロヨ大統領も財政赤字の解消のためには税収を増やすしかないと、徴税強化を行おうとしている。

既に公的負債のGDPに対する比率は1.36倍と日本並みの高さである。

なお、フィリピンにおける04年1-10月の半導体およびエレクトロニクス産業の投資はPEZA(Philippine Economic Zone Authority=自由貿易地域庁)とBOI(投資委員会が承認した合計金額で5億200万ドルに達した。

これは2003年の実績を既に118%も上回った数字である。そのうち3億6,800万ドルは外国資本による新規投資である。これによって新しく雇用される人数は194,806人と推定されている。

IT産業への投資も活発で04年1-10月の承認額は1億3,300万ドルで、新規雇用は25,126名と推定されている。

フィリピンはインドネシア同様、電子産業分野(半導体は早かったが)では全般に立ち遅れ気味であり、また中国との労務コストの差も急速に縮まりつつあり、英語もかなり通じるので、この分野の投資は増えてくる可能性がある。

フィリピン人の技術者、労働者は仕事の飲み込みが早いという評価もされている。今、フィリピンは米国企業などのコール・センター(パソコンなどの電話サービス)としても脚光を浴びつつあり、IT産業関連の投資が期待できるであろう。

⇒04年10月の輸出は12.3%の伸び(04年12月4日)

フィリピンは輸出の伸びが好調に推移しており、04年10月は37.51億ドルと前年同月比12.3%の伸びとなった。04年1-10月累計では326.43億ドルと前年同期比8.9%である。これはASEAN4カ国のうちでは最低の伸び率である。

しかし、電子部品、コンピューター部品などの伸びが最近は目立つ。これは外国資本の投資が最近着実に増えてきていることの反映でもある。

向け先としては10月は日本がトップで8億8,811万ドル、2位が米国で5億6,496万ドル、3位オランダ3億9,670万ドル、4位中国2億4,957万ドルである。日本向けの伸びが著しく、米国向けが相対的に落ちている。

 

5-6. 2004年の実質GDP成長率は6.1%と15年ぶりの高成長?(05年2月2日)

フィリピン政府は2004年の実質国内総生産(GDP)が対前年比6.1%の成長を遂げたと発表した。この数字は15年ぶりの高い数字であるという。フィリピン経済の実感からして、04年が喧伝するほどの好況であったとは到底思えないが、数字上はこうなるということである。

ただし、04年4Qの伸び率は5.4%と前Qの6%台に比べて低下している(表5-6-3)。

部門別には製造業は5.3%とたいした伸びではないが、サービス部門が7.3%と高い成長を遂げた。製造業の伸びが低いということは、フィリピンの工業化が立ち遅れていることを示している。過去において外資による家電産業などが大量に入ってくるヒマがなかった。

ただし、コンピューター部品関係はHDDなど可なり伸びた。しかし、カラーTVといったAV機器などはもともとたいしたことはない。

また、自動車の国内販売がマイナスになるなど、耐久消費財が伸び悩んでいるものと思われる。

サービス部門といっても携帯電話や金融部門の伸びが大きかった。これらはどこまで持続性があるかは疑問であるが、政府は2005年は輸出で稼ぐと強気である。

たしかに、04年は外資の投資がそこそこ伸びた。しかし、肝心の輸出相手先の中国や米国や日本がどれくらい輸入を増やせるかは楽観できない。

支出ベース(表5-6-2)で見ると、輸出が好調であった。民間消費が5.4%と底堅い伸びを示したことも無視できない。海外からの送金(出稼ぎ労働者からの)が民間消費の支えになっていることは間違いない。

 

表5-6-1 実質部門別GDP伸び率(%)

   2003

   2004

農林水産

3.8

4.9

鉱業

16.8

4.3

製造業

3.8

5.3

電気・ガス

3.2

3.9

建設

-2.6

8.9

サービス部門計

58

7.3

商業

5.7

6.8

通信・運輸

8.6

12.2

金融

7.1

8.4

政府

2.9

1.6

民間サービス

5.1

6.8

GDP

4.7

6.1

 

表5-6-2、実質国内総支出対前年伸び率(%)

   1997  1998  1999  2000  2001  2002 2003 2004
実質GDP 5.2 -0.6 3.4 6.0 3.0 4.4 4.7 6.1
民間消費 5.0 3.4 2.6 3.5 3.6 4.1 5.3 5.4
政府消費 4.6 -1.9 6.7 6.1 -5.3 2.4 0.5 -0.8
固定資本投資 11.5 -11.2 -2.3 7.8 7.1 -8.4 2.9 5.1
輸出 17.2 -21.0 3.6 17.0 -3.4 3.6 4.4 14.0
輸入 13.5 -14.7 -2.8 4.3 3.5 4.7 10.2 6.3
実質GNP 5.3 0.4 3.7 6.9 3.5 4.5 5.6 6.1

 

表5-6-3 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格、単位100万ペソ、%、資料NSCB)

(資料出所)http://www.nscb.gov.ph/

(注)右の4欄(緑色)は対前年同期比伸び率を示す。

 

5-7. 2005年のフィリピン経済(05年4月14日)

5-7-1.フィリピンの輸出早くも変調(05年4月14日)

フィリピンの輸出は05年1月は前年同月比15.4%増と好調な滑り出しを見せたが、2月には29.8億ドルと全円同期比マイナス0.55%となった。品目別にはエレクトロニクス、衣類、農産品と主力分野がいずれも不振に陥ったとのことである。

特に、輸出全体の3分の2を占めるエレクトロニクス製品は-0.9%となった。半導体は10%伸びたが、事務用機器(HDDなどのコンピュータ部品を含む)、家電製品、通信機器などが落ちこみ全体としてマイナスになったといわれている。

衣類の輸出は全体の5.6%だが、2月は前年比9.2%ものマイナスになっている。これは米国向けのクオータ(数量制限)がなくなった中国に押された結果ではないかと思われる。フィリピンの衣類は日本にはさほど入ってこないが米国には可なり輸出されている。

農業製品(ココナツ油を含む)の輸出シェアは4.7%であるが、ここでも前年比-6.8%と落ち込んでいる。

地域別には中国、日本、韓国といった東アジア向けは増えたが、米国向けやEU向けやASEAN向けはマイナスになったとのことである。フィリピンの輸出向け先では長年米国向けがトップであったが、05年2月には日本向けが21%でトップとなった。米国向けは17%で日米の順位が逆転した。

日本がフィリピンあkら輸入している最大のアイテムはHDD(ハード・ディスク・ドライブ)などのコンピューター部品であろう。

いずれにせよ、フィリピンは1986年に崩壊したマルコス独裁体制の「負の遺産」を未だに引きずっているのである。20年の独裁体制は徹底的なクローニー(取り巻きに対する身びいき)経済となってしまい、ナショアンリズムの「美名(?)」に隠れた外資排除を続けた結果である(これはスハルト体制下のインドネシアも同じ)。

政府筋では05年のフィリピン経済は5~6%の成長が可能だなどといていたが、4~5%前後に落ち込むと見るほうがより現実的であろう。フィリピンは「切り札のない経済」なのである。

思い切った外資への門戸開放を推し進める以外に浮上のきっかけはつかめないであろう。。ただし、アロヨ政権はその方向への努力は行っているように見える。

 

5-7-2. 5年ぶりの金利引き上げ(05年4月9日)

フィリピン中央銀行(BSP=Banko Sentral ng Pilipinas)はインフレ傾向に歯止めをかける目的で2000年10月以外初めて金利を0.25%引き上げることに決定した。しに結果BPSのオーバーナイト借り入れ金利は7%となり、貸付金利は9.25%となる。

05年3月のCPI(消費者物価指数)は8.5%と可なり高めである。これに原油価格の上昇の影響が今後加わればインフレ傾向は可なりはっきりしてくるとして先手を打ったものと考えられる。0.25%というのはさほどの率ではないが精神的効果を狙ったという説明がなされている。

05年の経済見通しについては財界人は楽観しているという(www.philstar.com 4月8日付け)。

今年のフィリピン経済は半導体チップの対中輸出も伸びず(減る可能性もある)、明るい材料も乏しいと思われるが、通貨ペソも比較的安定しており、株価もまあまあの水準である。アロヨ政権が安定しているという以外の理由がよくわからない。

通信事業が好調だとはいうが、通信事業だけで経済が支えられるはずがない。最近はアメリカの企業の電話サービス(アウト・ソーシング)事業が拡大しているといわれている。英語に強い国のメリットには違いないが、それがさほどの経済的貢献につながっているとも思えない。

 

5-7-3. 05年1Qの成長率は4.6%に減速(05年6月2日)

フィリピンの05年1Qの成長率は4.6%(前年同期比)と04年4Qの5.4%、その前の3Qの6.3%に比べ次第に鈍化しつつある。

部門別では農林水産部門が-0.1%となり、04年に比べ目だって落ち込んでいる。それに比べ工業とサービス部門はほぼ前年とどうレベルの伸びを示している。

国内総支出で気になるのが固定資本形成が-4.1%と04年4Qの+16.5%と比べ極端な落ち込みをしめしていることと、輸出が3.1%とこれまた前Qの+11.2%に比べ大幅に鈍化していることである。

アロヨ政権は政治面では一家の汚職疑惑があり、経済面でも輸出競争力がない弱点が表面化しつつある。

 

5-7-4. 05年2Qの成長率は4.8%(05年8月30日)

フィリピンの05年2Qの実質成長率は4.8%と1Qの4.6%に比べ、若干上向いた。石油価格高騰のなかではまずまずの成長率であったということはいえよう。

工業もサービス部門も1Qと2Qはさほどの違いはない。

政府消費が13.2%という異常な伸びを示しているのは、財政難のフィリピンでは意外というほかない。輸出は1.1%増とあまり振るわない。表5-7-3は1985年価格の輸出の伸びを示す数字であるが、実態(現行ベース)とかけ離れている可能性もある。

もしこの数字がジッタイベースを反映しているとすれば「砂糖」の異常な伸びに注目せざるをえない。砂糖こそはフィリピンにおいてはかって、主力輸出商品であった。それが、マルコス時代に壊滅的な打撃を受けたのである。

日本はフィリピンとのFTAを締結したなどといってるが、「砂糖」問題が将来、大きな課題となる可能性がある。

 

表5-7-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

   04/1Q  04/2Q  04/3Q  04/4Q  05/1Q  05/2Q
農林水産 8.6 3.7 7.9 1.4 -0.1 1.8
工業 4.7 5.3 3.6 7.2 4.2 4.6
サービス 6.6 8.1 7.8 5.9 6.9 6.1
国内総生産 6.4 6.4 6.3 5.4 4.6 4.8
民間消費 5.7 6.3 5.5 5.7 5.0 4.9
政府消費 4.1 -1.2 -7.2 5.6 -0.9 13.2
資本形成 7.7 3.6 10.4 16.5 -4.1 -3.2
輸出 11.6 16.1 17.1 11.2 3.1 1.1
輸入 4.5 6.8 6.6 5.8 -4.0 1.5

(資料出所)http://www.nscb.gov.ph/

 

表5-7-2 フィリピンの実質資本形成(1985年価格)

  05年2Q 04年2Q 伸び率
資本形成 54,253 56,061 -3.2
 固定資本形成 58,250 59,106 -1.4
  建設 26,853 26,557 1.1
  機械 27,263 28,509 -4.4
  農園栽培等 4,149 4,040 2.7
 在庫増減 -3,997 -3,045  

単位;100万ペソ、%

 

表5-7-3 フィリピンの輸出(1985年価格)

  05年2Q 04年2Q 伸び率
半導体・電子回路等 17,553 14,321 22.6
電機製品 11,681 7,021 66.4
衣類 9,293 9,250 0.5
粗ココナツ油 2,973 2,412 23.3
銅地金 2,062 2,522 -18.2
バナナ 1,373 1,267 8.4
砂糖 1,054 393 168.5
その他工業製品 794 632 25.7
乾燥ココナツ 724 487 46.8
焼結鉱(鉄) 599 572 4.8

単位;100万ペソ、%

 

5-7-5. 付加価値税2%アップと最低賃金 再見直しでインフレ加速は必至(05年11月6日)

フィリピン政府は付加価値税(消費税)を11月1日より、10%から12%へと引き上げ、 また法人税も32%から35%へと引き上げられる。その結果財政赤字は05年には1,800億ペソとなる見込みが06年には1,249億ペソとGDPの2.1%まで縮小するものと予想されている。

財政建て直しに大きく一歩前進したと主張している。おかげで、フィリピンの株価も上昇に転じ、通貨ペソも上昇するという 「好影響」が動きが出てきている。

しかし、一向にめでたくないのが日々の苦しい生活から2%も増税される一般庶民である。そこでフィリピン政府は労働者の不満を緩和するために、今後は最低賃金を1日あたり125ペソ引き上げることを議会に上程した。 (マニラ・タイムズ、11月5日版)

フィリピンの最低賃金(基本給)は05年6月16日からマニラでは1日当たり25ペソ引き上げられ、325ペソ(最も高い例、ジェトロ調べ)になった。セブ島ではこれが15ペソ増の223ペソであるから地域間格差は可なり大きい。(1ドル≒55ペソ)

この125ペソ・アップ案は多分そのままでは議会を通過しないであろうが、アロヨ政権としては昨年の大統領選挙における不正疑惑や家族の汚職疑惑など国民の支持を失うような失点が続いており、今回の付加価値税増額も、貧困所帯のカバー率が低くなるように設定されているという。

すなわち、所得水準の下位50%のカバー率は17%であり、所得上位50%が残りの83%を負担しており、必ずしも「大衆課税強化」ではないと政府は強弁している。また税収は貧困者への教育費の増加などに当てられるとしている。

しかし、下層階級にとっては個々の家計の税負担の重さは、高収入所帯よりも深刻であり、石油価格上昇を主因とするインフレの高進もあり、このままではいっそうの反政府感情・社会不安を招きかねない。

インフレ率は10月は7%で比較的安定していると政府は説明しているが、今後いっそうインフレ圧力は増してくることは間違いない。

アロヨ政権としては「最低賃金」の再見直しを実施して、ともかく早期に国民の不満を沈静化させたいところである。

表.5-7-4、最近の株価と為替の動き

   マニラ株価指数  ペソ/米ドル
10月  3日  1945.82 55.9650
10月17日  1947.46 55.8200
10月28日 1960.22 54.9000
10月31日 1960.22 54.8800
11月  2日 2007.12 54.7250
11月  3日 2031.70 54.6280

 

5-7-6. フィリピンの05年3Qの経済成長率は4.1%に減速(05年12月1日)

フィリピンの05年3Q(7―9月)の経済は実質GDPの対前年比伸び率が4.1%と低下した。部門別にみると農業が1.8%と振るわなかったが、製造業部門が3.9%と低い伸びにとどまったことが大きく響いている。

資本形成が引き続きマイナスであるということは将来の成長力があまり期待できないことを物語っている。これはよくいえば2004年のハイレベルな設備投資の反動だが、3期連続マイナスというのは気がかりである。

アロヨ大統領に対する国民の不信感が政治不安となり、外資の進出にブレーキをかけていると見ることもできる。

フィリピン経済を何とか支えているのは海外出稼ぎ者からの送金である。その部分を加えたGNP(国民総所得)でみると05年3Qの伸び率は6.5%であり、まずまずであった。

フィリピンでは例えば、看護婦や医師など医療従業者が10万人も海外で働いており、国内の医療機関が人手不足に悩んでいるといわれている。こういう経済構造は国民生活にとっても異常なものであるというほかはない。独裁者マルコス体制の時からのゆがみが随所に残されている。

 

5-7-7. フィリピンの05年の成長率は5.1%に(06年1月30日)

フィリピンの2005年の経済成長率は5.1%(速報)と04年の6%からみると1%程度減速した。最大の理由は石油価格の高騰と政治的な不安定によるものとフィナンシャル・タイムズ(FT)は述べている。

天候不順による農業生産の停滞や電子部品の輸出不振が実際には大きな影響を与えた。

民間消費が国内総支出の73%を占めるフィリピン経済においては、この部分の伸びが4.9%にとどまったことも大きく響いている。固定資本形成も-3%であった。これはアロヨ大統領の「不正選挙疑惑」や夫の汚職疑惑などで政権が揺れ動いたことに対する海外企業家の不信が響いている。

米国向けや中国向けの輸出がさほど伸びず+2%にとどまった(04年は14%の伸び)。

農業部門の伸びも2%であり、04年の4.9%に比べ、鈍化した。これは旱害によるものである。

政府エコノミストは05年4Qの成長率は6.1%と回復基調にある(05年4Qは4.5%)ので2006年は全体的に改善されるであろうという「楽観的」な見通しを持っているという。アロヨ大統領は06年の経済成長は5.7~6.3%はいくだろうという見通しを語っている。

彼女はハーバード大学で経済学で博士号(Ph.D)をとっているので、かなり確かな(?)見通しであろう。しかし、それが実現するには 米国向けと中国向けの輸出がもっと伸びることと海外からの直接投資(FDI)がかなり増加する必要がある。

資本形成が05年は一貫してマイナス成長であり、これでは先行き楽観は許されないであろう。

フィリピン政府としては2006年はインフラ投資にかつてない規模の予算をさいて景気のテコ入れを図るとしている。

 

表5-7-5 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

   04/1Q  04/2Q  04/3Q  04/4Q  05/1Q  05/2Q  05/3Q 05/4Q
農林水産 8.0 4.2 7.3 1.2 -0.1 1.9 1.9 4.0
工業 4.7 5.3 3.6 7.2 4.2 5.6 4.7 6.5
サービス 6.6 8.1 7.8 5.9 7.1 6.1 5.4 6.7
GDP(国内総生産) 6.3 6.5 6.2 5.3 4.6 5.2 4.5 6.1
海外からの純所得 7.0 18.7 -0.9 8.7 7.6 2.3 27.5 20.0
GNP(国民総生産) 6.3 7.4 5.7 5.5 4.8 5.0 6.1 7.0
民間消費 5.7 6.3 5.5 5.7 5.0 4.8 4.8 5.2
政府消費 4.1 -1.2 -7.2 5.6 0.6 15.7 -2.0 -4.2
資本投資 7.7 3.6 10.4 16.5 -7.4 -5.4 -1.3 -2.8
輸出 11.6 18.1 17.1 11.2 3.4 1.9 3.5 0.4


 

表5-7-8、実質国内総支出対前年伸び率(%)

   1997  1998  1999  2000  2001  2002 2003 2004 2005
実質GDP 5.2 -0.6 3.4 6.0 3.0 4.4 4.7 6.0 5.1
民間消費 5.0 3.4 2.6 3.5 3.6 4.1 5.3 5.8 4.9
政府消費 4.6 -1.9 6.7 6.1 -5.3 2.4 0.5 0 2.7
資本投資 11.5 -11.2 -2.3 7.8 7.1 -8.4 2.9 9.5 -4.3
輸出 17.2 -21.0 3.6 17.0 -3.4 3.6 4.4 14.1 2.3
輸入 13.5 -14.7 -2.8 4.3 3.5 4.7 10.2 5.9 1.8
実質GNP 5.3 0.4 3.7 6.9 3.5 4.5 5.6 6.2 5.7

 

表5-7-9 実質部門別GDP伸び率(%)

   2003

   2004

    2005

農林水産

3.8

4.9

2.0

鉱業

16.8

4.3

製造業

3.8

5.2

5.3

電気・ガス

3.2

3.9

建設

-2.6

8.9

サービス部門計

58

7.1

6.3

商業

5.7

6.8

通信・運輸

8.6

12.2

金融

7.1

8.4

政府

2.9

1.6

民間サービス

5.1

6.8

GDP

4.7

6.0

5.1

 

表5-7-6 フィリピンの実質資本形成(1985年価格)

 04年3Q  04年4Q  05年3Q   05年4Q  05/3Q  05/4Q
資本形成 56,167  65,515 49,663  63,672 -2.9 -2.8
 固定資本形成 52,711 57,454 50,726 56,655 -3.8 -1.4
  建設 23,422 24,624 22,392 25,833 -4.4 4.9
  機械 26,083 27,581 25,063 25,437 -3.9 -7.8
  農園栽培等 3,206 5,280 3,269 5,385 2.0 2.0
 在庫増減 -1,544 8,031 -1,063 7,017

単位;100万ペソ、%。右欄は前年同期比

 

表5-7-7 フィリピンの輸出(1985年価格)

  04年3Q 04年4Q 05年3Q 05年4Q 05/3Q ’05/4Q
電機製品 11,745 9,267 18,295 12,872 55.8% 38.9%
半導体・電子回路等 17,601 20,086 17,650 17,499 0.3 -12.9
衣類 11,121 9,468 11,191 10,079 7.1 6.5
粗ココナツ油 6,084 3,560 6,387 3,299 5.0 -7.3
銅地金 3,566 1,903 1,830 1,881 -48.7 -1.2
バナナなど 1,114 761 1,224 4,007 9.9 27.2
その他工業製品 853   822   -3.6  
乾燥ココナツ 702 761 761 608 8.4 -29.1
ナフサ 536   526   -1.8  
パイナップル缶詰 542 537 487 526 -10.2 -2.0

単位;100万ペソ、%、右欄は前年同期比

 

5-7-8. 05年の輸出の伸びは3.9%増にとどまる(06年2月11日)

フィリピンの05年12月の輸出は38億2900万ドルと前年同月の32億7700万ドルに比べ16.8%の増加となった。これはエレクトロニクス関連製品の輸出が25億9000万ドルと15.7%増加したことが大きく寄与している。

しかし、2005年トータルでは輸出額は412億2400万ドルで、04年の396億8100万ドルに対し、わずかに3.9%の伸びにとどまった。政府の輸出目標8%増に対し、半分以下の伸び率であった。

フィリピン政府は06年の輸出目標を10%増としているが、輸出の3分の2を占めるエレクトロニクス(半導体を含める)の生産能力がさほど増加しているとはいえない現状では早くも目標達成を危ぶむ声が出てきている。

インドネシア同様、フィリピンも外国資本がどれだけ入ってくるかによって、将来の経済成長が決まってしまう。政治的な安定を含め、投資環境の整備が何よりも大事である。

 

5-8. 2006年のフィリピン経済

 

5-8-1. フィリピンの06年1Qの成長率は5.5%と順調?(06年5月31日)

フィリピンの06年1Qの経済成長率は5.5%(速報)と05年4Qの5.3%(6.1%から下方修正された)からみるとやや増加した。 5.5%という数字自体今の東南アジア経済の中では最も良い部類に入る。

輸出も好調で、家計消費も順調に伸びたというのが好調の理由であるという。輸出は実質で12.2%という大きな伸びを記録しているがどの品目が具体的にどのくらい伸びたのかは目下のところ統計的にハッキリしない。

当局者の説明では電子機械部品、半導体、ココナツ油が増えたということになっている。

一方、輸入のほうは機械輸入が0.2%伸びたということである。機械輸入の伸びが低いということは「設備投資が不活発」であることを意味している。事実、投資は05年からずっとマイナス成長が続いており、06年1Qも-2.7%である。

フィリピンに対しては外国資本の投資もさほど活発ではない。

民間消費が国内総支出の73%を占めるフィリピン経済においては、この部分の伸びが5.1%伸びたことがGDPの成長5.5%の支えになっていることは明らかである。

民間の消費を下支えしているのは海外出稼ぎ労働による「送金」である。 政府消費も9.4%伸びており、アロヨ政権が景気浮揚に力を入れていることが伺われる。ただし、アロヨ政権の人気はサッパリである。 国民の信頼が急速に失われつつあるのだ。

 

5-8-2. フィリピンの06年2Qは5.5%の成長(06年9月1日)

フィリピンの06年2Qの経済成長率は5.5%(速報)と06年1Qの5.7%(5.5%から上方修正された)からみるとやや鈍化した。 5.5%という数字自体は今の東南アジア経済の中では 好調を持続しているとして、「フィリピンは最早アジアの病人ではない」とロムロ・ネリ(Romulo Neri)は豪語(?)する。

本当にそうだろうか?こういう強がりはアロヨ大統領にも共通しているがコッケイなくらい空疎である。それなら、なぜあれだけの多数のフィリピン国民が海外に出稼ぎに行くのか?

フィリピンの06年2Qの成長率が最も高かったのは何と「農業部門」である。農産品の 輸出も好調であったとのことである。 コメやトウモロコシといった穀物が天候や新品種の開発によって好調であったという。また、バナナは9.7%の伸びを示したが、ココナツは0.2%の伸びにとどまった。

漁業は11.0%、林業は10.0%と好調な伸びを示した。

肝心の工業部門は4.5%であり、製造業は6.5%の伸びをしめした。建設部門は-3.8%と不振であった。

国内総支出で見ると民間消費 は5.2%と安定的な伸びを示しているが政府消費は前Qの8.1%から06年2Qは0.4%と伸びが極端に鈍化した。政府にカネがないという実態を反映したものと思われる。

輸出は実質で22.3%ときわめて高い伸びをしめした。前Qも12.2%という大きな伸びを記録している。

下の表(5-8-3表)には実額ベースの輸出金額が表示してある。05年2Qの対比で見ると、主力の半導体関連は8.5%しか伸びていない。電気製品は25.8%の伸びをしめした。衣類も17.%と、まずまずの伸びである。しかし、これは中国製品の再輸出である可能性もある。

目立つのは銅地金や金の伸びである。これは国際価格の上昇を反映したものである。銅地金の輸出はココナツ油の2.5倍になってしまい、製品別ランキングでも4位に浮上してきた。

一方、輸入のほうは中間部品が多いと見られる電機機械は14.7%とそこそこの伸びであるが、設備投資に結びついている機械輸入の伸びが-5.0%になっている。これは相変わらず「設備投資が不活発」であることを意味している。

事実、投資は05年からずっとマイナス成長が続いており、06年1Qも-2.7%に引き続き2Qも-5.8%である。これがフィリピン経済の最大の問題点なのである。

外国資本の投資はやや上向いてきているといわれているが、アロヨ政権下では「怖くて出て行けない」という企業も少なくないと思われる。アロヨ大統領は選挙の不正事件や家族の汚職事件などの問題に対し、国民は疑惑を持ち続けている。

反対派(左翼)の活動家が多数暗殺され、一種の恐怖政治がしかれていると見ることもできる。議会は与党が多数派を占め、「不信任決議案」を葬り去っているが、国民の多くは数は納得していない。軍と警察が頼りの「マルコス政権」にかなり似てきている。

5-8-3. 06年1~10月の外国投資認可額は33%増(06年11月13日)

フィリピン政府のBOI(投資委員会)とPEZA(Philippine Economic Zone Authority=フィリピン経済特区庁)における外国直接投資(FDI)認可額は06年1~10月の合計で2,198億8千万ペソ(5,170億円)に達した。これは前年同期の1,656億7千万ペソに比べ33%増である。

このうち、BOI所管の投資額は1,534億2千万ペソであり、昨年の同時期の1,190億ペソに比べ、29.7%増であった。一方、輸出加工区ともいうべきPEZAにおける投資は664億6千万ペソで昨年同時期の466億7千万ペソに比べ、42.4%という大きな伸びを記録した。

BOIのエルマ-(Elmer C. Hernandez)事務局長によれば06年通年ではこの2機関で2,540億ペソ(05年2,310億ペソ)は確保できるとしている。なお、これ以外にスービックなどの輸出加工区があるが、今回の発表には含まれていない。

一方、国内企業の投資は1,353億ペソで前年同期の995億ペソに比べ36%増である。

国別では米国からの投資が最大であり、351億8千万ペソ、次いで日本が180億5千万ペソとなっている。日本からの投資は減っているという。

投資対象はインフラが935億1千万ペソと42.5%た比較的シェアが大きい。これは発電所が大きなウエイトを占め、GN Power社の発電所だけで439億ペソとなっている。製造業とサービス業の合計は1,003億5千万ペソ、IT関連は129億1千万ペソであった。

携帯電話のSmart社が330億ペソの投資をおこなう。

 

5-8-4.海外出稼ぎ労働者の送金でマニラで建設ブーム(06年11月14日)

現在、米国のみで約300万人のフィリピン人が働いているといわれ、海外出稼ぎ者からの本国への送金額は正規に銀行を経由したもののみで年額107億ドル(1兆2500億円)に達そている。他のヤミ送金などを入れるとるかにこの額を超え、全体で200億ドル以上になるとみられている。

彼らの中でも比較的高収入を得ている人々は帰国後マニラ周辺に住みたいとして、新規に住宅(コンドミニアム)の手当てをおこなっている。また将来の値上がりを見越して投機的に買っている人々も少なくないといわれている。

不動産大手のアラヤ(ALAYA Land)社は最近のマニラ周辺のコンドミニアム(マンション)は31%が海外出稼ぎ者からの注文で、昨年の25%を大きく上回ると説明している。

価格も着実に値上がりしており、コンドミニアムの相場は2005年には10.9%値上がりし、今年の前半は既に8.5%は上昇しているという。それでも通貨危機前の1995年のブーム時に比べると50~55%といった水準でバブルというには程遠いレベルだという。

また、日本を含むアジア諸国の人も最近しきりに買っているという。外国人はフィリピンでは土地は買えないがコンドミニアムは買える。

ただし、この住宅建設ブームもマニラ周辺に限られ、全国的現象にはなっていない。海外出稼ぎ者からの送金の大部分は留守家族の生活費や教育費に消えてしまっているのが実情である。

 

5-8-5.フィリピン、06年3Qの成長は4.8%に鈍化、輸出不振(06年11月30日)

フィリピンの06年3Q(7~9月)の経済成長率は4.8%(速報)と2Qの5.8%(5.5%から上方修正された)からみると鈍化した。

農業部門は4.1%の成長であり、2Qの6.7%から比べると、見劣りはするが、度重なる台風の被害などを考慮すれば、まずまずの数字である。耕地の拡大や新品種の開発によって好調 を維持した。輸入食糧の金額も減ってきた。漁業は+4.2%であった。

林業は実に93.4%という驚くべき伸びを示した。これは05年3Qのマイナス61.1%という数字の反動でもあるが、インドネシアやマレーシアが木材輸出を制限していることも影響していると考えられる。GARAGA地域の輸出木材用のプランテーションからの材木輸出が寄与しているという。

フィリピンの熱帯雨林はインドネシアやマレーシアに先立って、マルコス時代にあらかた切り払われたといわれている。

鉱業は-2.8%となった。金の生産が-26.1%と大きく落ち込んだことが影響した。これは世界的に金の相場が頭打ちになったことが直接響いている。

製造業は4.8%の伸びであったが、2Qの6.5%からみるとはっきり鈍化している。フィリピン経済の弱点はここにあるといって過言ではない。インドネシアと同様製造業が弱いのである。

インドネシアよりは半導体分野で先行し、コンピュータ部門(HDD)なども外資がかなり進出したが、家電部門などは見るべきものがない。相対的に見てマレーシアやタイに大きく遅れている。06年3Qは半導体や電器製品の伸びが前年同期比若干のマイナスになってしまった。

アロヨ政権には投資環境をよくしようというようなどという熱意がさほど感じられない。外資をもっと積極的に誘致し、海外出稼ぎ労働者の数を少しでも減らす方策を採るべきであろう。

一握りのエリート層が政治を支配し、国民の苦しみや貧困の現実から目をそらしていることに根本的な原因がある。政権内にいるエリートがエリートとしての仕事をしていないとしか言いようがない。

国民のなかから出てくる改革運動を、リーダーの抹殺によって潰そうとしているとしか思えない。まさに暗黒政治である。ラモス大統領の時のほうがずっとよかった。

建設部門は1%の伸びにとどまった。2Qは-3.8%であったからすこしは改善した。マニラ首都圏はコンドミニアム建設がブームになっているが、一歩地方に出るとさっぱりである。

サービス部門では運輸・通信が6.3%とやや高い伸びとなった。これは携帯電話の普及が貢献している。

国内総支出で見ると民間消費 は5.3%と安定的な伸びを示している。政府消費は0.4%とたまたま2Qは0.4%と同じ伸び率である。政府は赤字を最小限に食い止める努力をしていると言っている。

投資は4.4%増と久しぶりにプラスに転じた、

輸出は実質で9.1%と伸び率としては決して低くはないが、2Qの22.3%にくらべかなり鈍化している。貿易については実額ベースで見ないと実態が良く分からない。

下の表(5-8-3表)には実額ベースの輸出金額が表示してある。05年3Qの対比で見ると、主力の半導体関連は-1.5% 、電気製品は-1.1%と減少しているのである。衣類はわずかに2.5.%伸びた。

目立つのは銅地金や金の伸びである。これは国際価格の上昇を反映したものである。 しかし、これら非鉄金属のブームがいつまで続くかが問題である。金ははっきり頭打ち傾向が出てきた。

一方、輸入は設備投資に結びついている機械輸入の伸びが-7.0%と2Qの-5.0%に引き続きマイナスになっている。これは相変わらず「設備投資が不活発」であることを意味している。 商品輸入総額の伸びも+0.7%にとどまっている。経済活動が不活発の証といえよう。

輸送機械の29.1%増はおそらく航空機の購入があったものと見られる。

 

5-8-6.フィリピン出稼ぎ労働者からの送金が急増(06年12月16日)

フィリピン中央銀行(BSP=Bangko Sentral Pilipinas)の発表によれば06年10月の海外出稼ぎ労働者(OFW=Overseas Filipino Workers)からの送金は11.9億ドルに達した。これは前年同月比36.7%の増加である。

また、06年1~10月の送金総額は103億ドルに達し、前年同期比16.6%増になった。これらの金額は銀行経由の正規の送金額であり、これ以外にも非公式ルートの「ヤミ送金」が相当あるといわれている。

OFWの送金は上の表5-8-1でも明らかなように、フィリピン経済の支えになっている大きな要因である。

例えば、06年3QのGDP(国内総生産)の伸びが4.8%だったのに対し、海外からの純所得(=海外からの送金マイナス国外への配当等の流出)のプラスが大きいためGNP(国民総生産)の伸びは5.8%という比較的高い伸び率となっている。

フィリピン海外労働局(POEA=Philippine Overseas Employment Administration)の統計によれば海外で働くために出国したフィリピン人労働者は06年1~10月には962,025人に達し、前年同期比12.7%増となった。06年10月だけでは89,543人であり、前年同月比24.6%増となった。

このうち、陸上で働く人は66,029人、海上で働く人(船員など)は23,514人である。

主な出稼ぎ場所は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、香港、クウェート、台湾、シンガポール、英国などである。

06年の新規出稼ぎ労働者は何らかの技術をもった人が多く、医療・介護者、ホテル従業員、情報技術関係技術者などが増えているという。

フィリピンOFCの送金(億ドル)

2001年     60.31
2002 68.86
2003 75.78
2004 85.50
2005 106.89
2006/1~10月 102.97

資料出所;フィリピン中央銀行

 

5-8-7. フィリピンの06年4Qの成長率は4.8%と低下、通年で5.4%(07年1月31日)

 

以下の数値は入手次第書き込みます。

表5-8-3.主要輸出品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

05/2Q 05/3Q 06/2Q 06/3Q 伸率2Q 伸率3Q
半導体など 208,524 222,341 226,298 219,102 8.5 -1.5
電気機器 32,536 43,176 40,935 42,692 25.8 -1.1
衣類 27,842 37,711 32,594 38,671 17.1 2.5
銅地金 6,188 3,949 17,121 15,908 176.7 302.8
650 645 4,872 5,895 642.4 814.2
バナナなど 5,031 4,534 5,898 4,833 17.2 6.6
ココナツ油 7,461 6,463 6,786 3,749 -9.1 -42.0
商品輸出総額 537,733 591,122 619,468 632,858 15.2 7.1

 

表5-8-4.主要輸入品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

05/2Q 05/3Q 06/2Q 06/3Q 伸率2Q 伸率3Q
電気機械など 118,131 139,903 135,766 138,776 14.9 -0.9
鉱物油・製品 97,094 105,762 120,500 113,513 24.1 7.3
機械(除く電機) 77,298 86,270 73,403 80,229 -5.0 -7.0
輸送機械 25,456 24,320 24,181 31,398 -5.0 29.1
基礎金属 29,934 25,866 28,626 27,143 -4.3 4.9
穀物・製品 20,411 17,003 18,259 16,526 -10.5 -2.8
化学製品 11,688 13,589 12,173 14,276 4.2 5.1
繊維 12,056 12,767 14,106 12,624 17.0 -1.1
商品輸入総額 672,886 706,793 717,313 711,576 6.6 0.7

(資料;全てNSCB)

 

5-9.2007年のフィリピン経済

5-9-1.フィリピン政府、今後3ヵ年は7-8-9%の成長目指す(07年2月22日)

フィリピン政府は財政赤字の削減に成功したとして、今後は積極的なインフラ投資をおこない、次の4年間に1兆ペソ(約208億ドル)を投じて道路、橋、港湾などの大型工事をおこなうという。

それに伴う経済効果により、2007年は7%、2008年は8%、2009年は9%と経済成長率を高めていく方針であると、アロヨ大統領のブレーンであるホセ・サルセダ(Jose Salceda)氏は語った。

フィリピン政府は2006年の財政赤字を622億ペソに抑えたと公表している。2005年の財政赤字の1,486億ペソからみれば58%もの赤字削減である。この点がアロヨ大統領のご自慢のようだ。他に経済面ではこれといったたいした実績はない。

一方、アロヨ就任以降2001年から832人の人権活動家ら(うち356人が左翼活動家)が暗殺され、国際的非難が高まる中で国連が派遣した調査チーム(Mr. Philip Alston 団長)は「フィリピン軍はダメだ(in denaial)」というコメントを残した。

これに対してエスペロン(Hermogenes Esperon)陸軍司令官は軍は暗殺には関与していないとの主張を繰り返した。

もし軍が本当に関与していないならばアロヨ大統領としても暗殺犯人を徹底的に追及し、事実関係を明らかにしなければ全く説得力がない。殺人事件が日常茶飯事のごとき観を呈しているフィリピンの現状を改善するのが大統領としての責務であろう。

 

5-9-2..フィリピンが成長を維持するにはもっと投資が必要であるー世銀(07年4月8日)

世界銀行はフィリピン政府がかつてない財政の健全化を行い、赤字を減らした点は評価できるが、「慢性化した高失業率を解消し、成長を維持するにはもっと投資が必要である」との勧告をおこなった。

世銀は06年の経済成長率5.4%が07年には5.7%になるとの予測を発表した。これは上に述べたフィリピン政府の希望的予測値の7.0%をかなり下回る。

フィリピンの失業率は10%に達し、不完全就労率(フルに働けない人の比率)は22.7%という異常な高さである。これは2年前の17.6%よりも悪化している。

フィリピン国民の3,400万人が1日2ドル以下で暮らしている(人口8,300万人の41%)。所得格差は拡大しており、下層階級にはチャンスがなく、希望のない生活を余儀なくされる。

2005年の1人あたりのGDPは1,184ドル、インドネシア1,263ドル、中国1,692ドルと中国にかなり差をつけられてしまった。

雇用を増すには設備投資が不可欠だが、フィリピンへの投資は外資・内資とも不活発である。そこを何とかしろと世銀は言っている。

ハーバード大学で経済学博士号をとったアロヨ大統領もどうすれば投資を増やせるかまではお勉強していなかったようである。尤も今のハーバ^ド大学の経済の大学院を出たからといって何かが分かるとは限らない。東大の経済学部も同じくパットしないようである。

ネオ・リベラルの経済学やゲームの理論などいくらやっても大して知恵がつくわけではない。物事を機械的に考えるクセがつくだけ逆効果である。わたしたちの時代はゲームは理論でなくもっぱら「実践」で鍛えたものである。

 

5-9-3.フィリピンの07年1Qの実質GDPは6.9%の伸び(07年6月1日)

フィリピンの07年1Q(1~3月)の経済成長率(GDP)は6.9%(速報)と1990年以来の高い伸び率であったと政府は発表した。ご同慶の至りである。

06年4Qの数字は4.8%から5.5%に情報修正された。これらの「輝かしい」実績はアロヨ大統領の懸命の努力によってもたらされたものであると FTの記事には書かれている。

フィリピンも経済成長を牽引しているのはサービス産業(+9.1%)であり、製造部門の伸びは4.6%にとどまっている。

昨年の固定資産投資は2.7%しか伸びなかった。07年1Qは0.7%と低迷している。要するに投資が少なすぎるのである。これでは雇用は増えない。 それを繁栄して輸入は-2.5%と減っている。これは確かにGDPにはプラスに作用する。

輸出は主役の半導体関連が中国向けなどが続いているため落ちは少目といえよう。しかし、今後半導体の輸出は中国の自給率の向上などから今後かなり減ると考えられる。今はHDDなどが増えている。また、銅地金も増えているが、これは国際価格が下落気味であり、何時まで続 くかは分からない。

輸入の伸びは一般機械が多少増えている(+3.1%)がエレクトロニクス関係などはかなり減っており、フィリピンが「好況に沸いている」という姿からは程遠いものがある。

今Qの注目点は久しぶりにGDPの伸び(6.9%)がGNPの伸び(6.6%)を上回ったことである。これは海外からの送金が実質で3.8%と鈍化したためである。理由は今のところ不明である。国内景気が良くなって海外の出稼ぎが減ったという話しも聞いていない。

結論的にアロヨ大統領が浮かれるほどにはフィリピン経済は良くなっていない。

 

 

5-9-4.フィリピンの07年2Qの成長率は7.5%、実際は不況(07年9月1日)

フィリピンの07年2Q(4~6月)の経済成長率(GDP)は7.5%(速報)と1990年以来の高い伸び率であったと政府は発表した。 アロヨ政権下におけるフィリピン経済はかつてない繁栄を謳歌しており、国民は「鼓腹撃壌」皆幸せな生活を送っている・・・・といいたいところだが!!

下の表に見る輝かしい成果は、史上稀に見る有能な大統領にしてハーバード大学経済学博士、アロヨ大統領の懸命の努力によってもたらされたものであると 自らがテレビで演説した。

フィリピン国民もまことにいい面の皮である。こんなに国内景気がよいのなら何も海外にまで出稼ぎに行く必要もなくなるであろう。

経済超大国日本は「小泉改革」のおかげで経済が回復し、皆幸せそうに暮らしているらしい。生活保護を受けるような人が減ったので、役所も「申請用紙」をあまり窓口に置かないところも出てきたという。

さて数字を見てみると、何と国内総支出の07年2Qの数字(伸び率)が1Qと全く同じであったのには仰天させられた。 (表5-9-1の下半分)しかし、元表の数字が別のところにあったので、それは修正できた。イイカゲンなものである。

フィリピンも経済成長を牽引しているのはサービス産業(+8.4%)と工業の8.0%であるが、製造部門の伸びは3.7%と1Qの4.6% よりもさらに鈍化している。一方、鉱業は33.3%、建設業は21.0%という異常を通り越したメチャクチャな伸びである。

建設が伸びたのは、財政改革に成功し、政府の懐に余裕が出来たので、公共投資を増加させたために起こった現象であるという。それにしても21.0%という伸びは激しすぎる。よっぽど06年2Qの水準が低かったに違いない。

国内総支出(GDE)は民間消費が07年2Qは6.0%と堅調である。固定資産投資は8.2%と大幅に伸びた。07年1Qは0.6%に比べると様変わりえである。 しかし、内容を見ると、建造物の伸びが18.9%で機械類の伸びは1.6%にしか過ぎないのである。ということは製造業への投資は依然として低調であるということを物語っている。

それを反映して機械類の輸入は-15.1%と大きく減っている。輸送機械の輸入は13.7%増えているが、これは物的生産には余り清しない。(表5-9-4)。

輸入の伸びがマイナスは-10.1%である。エレクトロニクス関係は実に-30.5%と大幅な落ち込みである。これはフィリピン 経済が好況どころか大変な不況に直面していると解釈すべきであろう。

輸出は主役の半導体関連が中国向けなどが落ちはてきて、-9.0%となったことが注目点である(表5-9-3)。しかし、電気機器のみは6.3%増加している。HDDなどが増えている ためであろう。それ以外の主な輸出品が軒並みマイナスになっていることはフィリピン経済が相当ピンチであると見なければならない。

アロヨ大統領 はテレビで得意満面で高成長を吹聴しているが、実態は深刻な不況に直面している。建設投資などが唯一の支えといってよいが、輸出が1次産品、工業品とも全滅状態に近い点を考えれば、大統領たるものもっと国民に危機をアピールすべきであろう。賢いフィリピン人は既に事態の深刻さを認識しているが。

 

5-9-5.フィリピンの07年3Qの成長率は6.6%、輸出は名目で-12.3%(07年12月10日)

フィリピンの07年3Q(7~9月)の経済成長率(GDP)は6.6%(速報)と2Qの7.5%に引き続き好調であったという。ご同慶の至りである。

フィリピンも経済成長を牽引しているのはサービス産業(+7.2%)と工業の6.1%であるが、製造部門の伸びは3.3%と2Qの3.7% よりもさらに鈍化している。一方、鉱業は21.8%、建設業は16.7%という好調を持続している。

製造業が3.3%しか伸びていないのは輸出が名目値で8.2%も減少しているためである(実質値でも-4.9%)。従来、フィリピン経済を支えてきた半導体関連がダメになってきたからだとみてよい。これがダメになるとフィリピンの輸出全体がガタガタになる。

パソコン部品なども中国国内の自給率が高まると伸びは期待できない。縫製加工品なども中国にやられっぱなしである。

残るは銅や金などといった非鉄金属だが、これも既に峠をこしている。

LPGの輸出が増えたが、これも供給力に限界がある。当てに出来るのは「労働力の輸出(出稼ぎ)」だけということになってしまう。一時期「アウト・ソーシング」ブームが起こりかけたが、これもインドという強敵が控えている。

サービス部門だけで経済成長を長期的に支えることは出来ない。これはインドネシアも同じである。民雁消費が「成長の支え」だなどといって涼しい顔をしていられるのは豊な欧米先進国だけであろう。日本でもそれはムリである。

フィリピンが製造業でこれから成長していけるのか?それには先ずベトナムに負けてはいられないはずである。しかし、アロヨ政権にはそんな気力があるようには見えない。

それを反映して機械類の輸入は-6.6%と減っている。電気機械の輸入も減った(-13.4%)。(表5-9-4)。

ところでアロヨ大統領 は とんでもないことをやろうとしている。農地面積の10分の1を中国の企業に貸すという密約を07年1月に中国の温家宝首相と約束して両国農業相が覚書に調印していたというのである。

これは07年10月25日付けのInternationalHerald Tribuneで報道されているが、 http://newsbrak.com.ph が10月17日付けですっぱ抜いている。(日本ではほとんど報道された形跡はない)

アロヨは一応、「農地改革」を公約し、貧農や土地なし農業労働者に土地を持たせることにしているが、それは遅々として進まず、大地主はこういう形で中国企業に土地を貸してしまえば「農地解放」を免れるという寸法であろう。

記事によると Jilin Fuhua Agricultural Science and Technology Development Co. (Fuhua Co.)が100万ヘクタールの農業用地を借りて、約38.7億ドル(約4,300億円)を投じて開発し、ハイブリッド・ライス(高収量米)やトウモロコシの栽培をおこなうというものである。

この種の取り決めが18項目あるという。フィリピンの農業相もさすがに身の危険感じたとみえ、このうち2項目はヤメたと言い出した。

これらは秘密にされていた取り決めで、こんなことが実施されたら、いくらフィリピンの農民がおとなしくてもタダではすまないであろう。

こういうことが、国民の知らない間におこなわれているから「青年将校がクーデター騒ぎ」を起こしてもフィリピン国民はある程度納得しているのかもしれない。

しかし、中国もフィリピンを周りが知らない間に「丸呑み」しようとしているのであろうか?華僑資本家と現地の腐敗政権とグルになってこんなことをやって現地の人々の共感を得られると思っているのだろうか?中国も自制が必要である。

それにしてもフィリピン人は良い政治家にめぐまれない。ラモス時代に少し良くなりかけたが後が続かない。このままではインドネシアにも大きな差をつけられそうだ。

 

5-9-6.フィリピン07/4Q輸出マイナスでも7.4%の高成長(08年2月1日)

フィリピンの07年4Q(10~12月)の経済成長率(GDP)は7.4%(速報)と2Qの7.5%、3Qの6.6%に引き続き好調であったという。2007年の通年では7.3%とこれまた30年ぶりの高成長というのだからメデタイことこの上ない。

しかし、これはきわめて異常な数字である。 フィリピンは07年の後半は輸出がマイナスになっているのである。それに引きずられて製造部門の伸びは4Qはわずかに2.5%に過ぎない。

4Qの経済成長を牽引しているのはサービス産業(+9.0%) だという。また固定資産投資が活発で建設部門の伸びが18.4%にも達しているという。これは中国顔負けの建設投資ブームである。

そのような実態がフィリピンに現存っするのかどうかはっきり行って疑わしい。

サービス部門も商業の伸びが10.7%、金融の伸びが13.3%だという。

フィリピン経済の実態は謎である。どこかで空回りをしているか、あるいは数字そのものに「大本営発表」があるのかもしれない。

表5-9-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

2006年 2007年 06/3Q 06/4Q 07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q
農林水産 3.9 5.1 4.1 1.9 4.2 3.9 5.6 5.8
工業 .4.5 6.6 4.0 3.3 5.3 8.0 6.1 5.8
サービス 6.7 8.7 5.6 7.0 9.1 8.4 7.2 9.0
GDP(国内総生産) 5.4 7.3 5.3 5.5 6.9 7.5 6.6 7.4
海外からの純所得 12.4 12.6 17.0 18.3 3.8 16.6 25.1 -3.0
GNP(国民総生産) 6.1 7.8 5.8 5.9 6.6 8.3 8.2 6.5
民間消費 5.5 6.0 5.3 5.6 5.9 6.0 5.6 6.3
政府消費 6.1 10.0 0.4 9.3 13.1 13.5 8.3 10.8
資本投資 2.7 9.3 4.4 3.4 0.6 8.2 7.5 14.7
輸出 11.2 3.1 9.1 7.2 9.1 4.2 -4.9 -2.0
輸入 1.9 -5.4 1.2 4.0 -2.5 -11.1 -6.3 -2.3

(資料;NSCB)

表5-9-2.部門別実質GDP伸び

2006年 2007年 06/3Q 06/4Q 07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q

農林水産

3.8 5.0 4.1 1.9 4.2 3.9 4.5 5.8

鉱業

-6.1 25.6 -2.8 -24.7 11.0 33.3 21.8 27.2

製造業

4.6 3.3 4.8 4.4 4.6 3.7 3.3 2.5

建設

7.3 19.5 1.0 4.7 8.6 21.0 16.7 14.4

電気ガス

6.4 7.2 4.3 8.3 4.1 5.8 8.5 10.6

運輸・通信

6.3 8.2 6.3 8.0 9.6 9.8 6.4 7.1

商業・飲食

6.1 9.8 5.9 6.1 9.1 8.4 8.2 10.7

金融

11.4 12.3 5.1 8.3 13.4 11.8 7.9 13.3

政府サービス

4.7 3.3 2.9 5.2 7.1 2.8 2.0 1.9

民間サービス

6.9 8.8 5.1 8.3 8.9 8.6 8.5 8.8

実質GDP

5.4 7.3 5.3 5.5 6.9 7.5 6.6 7.4

 

表5-9-3.主要輸出品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

06/1Q 06/2Q 06/3Q 07/1Q 07/2Q 07/3Q 伸率
半導体など 224,498 226,298 219,099 214,234 205,800 195,592 -10.7
電気機器 39,827 41,062 42,693 57,331 43,653 41,549 -2.7
衣類 32,244 32,595 38,671 29,019 24,961 29,950 -22.6
銅地金 7,924 17,121 15,908 14,579 13,961 10,035 -36.9
999 4,827 5,895 892 3,771 1,499 -74.6
バナナなど 4,802 5,900 4,833 4,403 4,982 4,495 -7.0
ココナツ油 4,821 6,786 3,749 3,276 5,624 6,376

70.0

LPG 277 1,753 533.6
商品輸出総額 560,121 618,958 633,368 587,568 580,199 581298 -8.2

 

表5-9-4.主要輸入品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

06/1Q 06/2Q 06/3Q 07/1Q 07/2Q 07/3Q 伸率
電気機械など 117,120 135,358 138,785 102,983 94,054 120,224 -13.4
鉱物油・製品 98,002 120,501 113,519 83,551 117,536 123,410 8.7
機械(除く電機) 65,384 73,248 80,215 67,394 62,009 74,951 -6.6
輸送機械 21,525 21,525 31,442 24,483 24,483 26,285 -16.4
基礎金属 19,274 28,632 27,170 19,166 26,682 21,827 -19.7
穀物・製品 19,422 18,255 16,529 7,478 17,364 19,687 19.1
化学製品 11,589 12,177 14,275 13,415 12,335 16,035 12.3
繊維 10,892 14,101 12,617 10,030 12,519 10,805 -14.4
商品輸入総額 637,627 716,509 712,098 640,268 644,252 696,870 -2.1

 

5-10.フィリピンの2008年の経済

5-10-1.海外出稼ぎ労働者の送金が増加(08年4月22日)

フィリピンの国内の雇用は経済成長率7.3%(2007年)の好調(?)にもかかわらず、悪化の一途をたどっている。

雇用者連盟(ECOP=Employers Confederation of Philipppines)によれば、正規雇用者の数は2003年の630万人から07年は470万人へと大きく減少している反面、非正規(インフォーマル・セクター)就業者(臨時日雇い、行商、露天商など)の数は2003年の2,100万人から07年には2,700万人と大幅に増えているのである。

これでは今回の米価急騰対策で「最低賃金を引き上げろ」などといくらアロヨ大統領が叫んでも効果は限定的である。

ところがフィリピン経済にはもっと大きな「抜け道」がある。それは既にご存知のとおり、海外出稼ぎ労働者(OFW=Overseas Filipino Workers)の送金である。

08年の1-2月の送金額は25億2200万ドルに達し、前年同期の21億8400万ドルに比べ15.5%も増加しているのである。08年の年間見通しでは157億ドルと07年の144億4900万ドルに比べ8.7%増はかたいとフィリピン中央銀行では予測している。

これはアロヨ政権の政策ヨロシキをえてたためではない。それどころか、フィリピンでの工業化の失敗によって雇用が国内では創造されないからやむなくフィリピン国民は出稼ぎに海外に赴いているのである。

なかには、海外で待ち受ける悪者の犠牲になるという痛ましい事件も起こっている。

はっきり言ってフィリピン国民の多くはアロヨ大統領とその政府を見限っているのである。これは悲劇としか言いようがない。フィリピン人の労働適用能力は決して低いものではない。 

インドネシア人の介護労働者が日本に入ってくるようだが、フィリピン人にも早期に門戸を開放すべきことはいうまでもない。

同時に日本社会が彼らを受け入れる社会的な制度を早く確立しなくてはならないであろう。日本語を習得したうえで厳重なる資格試験をおこなうなどということがどこまで必要であろうか。

また、日本人の介護労働者が低賃金のため多くが資格を持ちながら止めてしまうという現実も考えなければならない。それは政府があまりに低く報酬金額を設定しているためである。この金額は早急に是正されるべきである。

外国人介護労働者の賃金が日本人の有資格者よりも低くても特に問題はない。彼らにとって必要なのは日本国内で生活費をまかなえて、かつ余剰のお金を母国に送金できることがが必要なのである。

それをどういう金額に設定すべきかは外国人に聞いてみなければわからない。本国に送金できる金額が少なければ、米国や台湾に行ってしまうだけの話しである。

「同一労働同一賃金」という大原則を守っても外国から来た未熟練労働者が日本人の有資格者と「同一労働」が来日した翌日から可能になるとなどということはありえない。要は現実的な問題解決が必要とされるのである。

 

5-10-2.フィリピンの08年1Qの成長率は5.2%にダウン(08年6月1日)

フィリピンの08年1Q(1~3月)の経済成長率(GDP)は5.2%(速報)と07年4Qの7.4%に比べかなりスロー・ダウンした。

しかし、フィリピン経済は実質的に停滞状態に陥っていると見るべきであろう。特に輸出は特殊な1次産品(ココナツ油、金)を除いては軒並み減少している。

はサービス産業(+6.9%)が経済を牽引しているというが「花見酒の経済」ともいうべきものであり、先行きほとんど期待をもてない。

鉱業と電気ガスと金融部門が好調だということいっているが肝心の製造業の伸びは3.0%にとどまる。それとてどの程度の実態があるかは疑問である。

輸出の中心であった半導体が前年20%減、電気品が-45.9%、衣類が-26.2%など惨憺たるものである。
ひところブームであったアウトソーシング・サービス輸出もこのところ落ちてきているようである。

好調だった建設部門の伸びが4.5%に鈍化している。

フィリピン経済の実態は良い要素がまったく見られない。ハーバード大学で経済学の博士号をとったといわれるアロヨ大統領は今や権力にしがみついているだけという感じさえする。

可哀想なのは貧しいフィリピン国民である。工業ばかりか農業もダメなようで年間200万トンのコメを輸入する必要があるという。トン当たり300ドル程度だった国際米価が今や1,000ドルである。

ちなみに国際稲作研究所は戦後フィリピンにあり、高収量米を次々開発してきたが、その成果はどこに行ってしまったのだろうか?

表5-10-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

(資料;NSCB)

表5-10-2.部門別実質GDP伸び

  NSCB08年5月29日発表

5-10-3.フィリピンの08/2Qの成長率は4.6%とさらに減速(08年10月2日)

フィリピンの08年2Q(4~6月)の経済成長率(GDP)は4.6%と1Qの5.2%、07年4Qの7.4%に比べかなりスロー・ダウンした。

フィリピン経済は実質的に停滞状態に陥っていおり、特に輸出が酷い。頼みの半導体輸出もマイナス(前年比-19.8%)であり、特殊な1次産品(ココナツ油、銅、金)を除いては軒並み減少している。

サービス産業の伸びは1Q=6.9%に比べると2Qは4.3%とやや鈍化した。

製造業は6.1%増と近来にない高い伸び(1Q=2.3%)となったが、ナニが伸びたのか良くわからない。

投資の伸びが2Q=14.7%と好調だが、機械設備投資よりも不動産投資が活発な用である。特に建設部門の伸びが8.3%と高い。機械輸入の伸びは名目(実額)で5%程度しか伸びていない。

輸出の中心であった半導体が前年比-19.8%、電気品が-21.5%、衣類が-18.0%と毎Q悪化している。

輸入で目立つのは石油関連+30.6%と穀物(主に米)+149.2%である。アロヨ政権の農業政策が失敗であったことを物語っている

アウトソーシング・サービス輸出は+28.0%とやや盛り返した。

いずれにせよフィリピン経済は全く良いところがない。悲惨な国である。わが国もあまり偉そうなことは言えないが「政権が変われば少しはマシになるかも知れない」というかすかな夢がある。

表5-10-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

2006年 2007年 07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q  08/1Q 08/2Q
農林水産 3.9 4.9 4.2 3.9 5.6 5.8 3.0  4.9
工業 .4.5 7.1 5.3 8.0 6.1 5.8 3.9  4.8
サービス 6.7 8.1 9.1 8.4 7.2 9.0 6.9  4.3
GDP(国内総生産) 5.4 7.2 6.9 7.5 6.6 7.4 5.2  4.6
海外からの純所得 12.4 14.1 3.8 16.6 25.1 -3.0 36.0  14.1
GNP(国民総生産) 6.1 8.0 6.6 8.3 8.2 6.5 7.3  5.5
民間消費 5.5 5.8 5.9 6.0 5.6 6.3 5.1  3.4
政府消費 6.1 8.3 13.1 13.5 8.3 10.8 -1.0  -5.1
資本投資 2.7 11.2 0.6 8.2 7.5 14.7 7.3  14.7
輸出 11.2 5.6 9.1 4.2 -4.9 -2.0 -11.1  7.7
輸入 1.9 -4.5 -2.5 -11.1 -6.3 -2.3 -6.6  -1.0

(資料;NSCB)

表5-10-2.部門別実質GDP伸び

2006年 2007年 07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q  08/1Q 08/2Q

農林水産

3.8 5.0 4.2 3.9 4.5 5.8 3.0  4.9

鉱業

-6.1 25.6 11.0 33.3 21.8 27.2 13.4  -18.5

製造業

4.6 3.3 4.6 3.7 3.3 2.5 2.3  6.1

建設

7.3 19.5 8.6 21.0 16.7 14.4 4.5  8.3

電気ガス

6.4 7.2 4.1 5.8 8.5 10.6 10.4  7.9

運輸・通信

6.3 8.3 9.6 9.8 6.4 7.1 6.9  3.3

商業・飲食

6.1 8.2 9.1 8.4 8.2 10.7 6.8  4.3

金融

11.4 13.1 13.4 11.8 7.9 13.3 12.9  2.4

政府サービス

4.7 2.6 7.1 2.8 2.0 1.9 3.5  2.4

民間サービス

6.9 8.4 8.9 8.6 8.5 8.8 5.1  6.2

実質GDP

5.4 7.3 6.9 7.5 6.6 7.4 5.2 4.6

 

表5-10-3.主要輸出品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

06/1Q 07/1Q 07/2Q 08/1Q 08/2Q 伸率
半導体など 224,498 210,093 205,879 168,009 165,213 -19.8
電気機器 39,827 57,365 43,694 31,051 34,285 -21.5
衣類 32,244 28,626 24,729 21,115 20,479 -18.0
銅地金 7,924 14,590 13,961 11,045 16,204 16.1
999 1,747 3,771 4,773 5,155 36.7
バナナなど 4,802 4,465 5,140 3,566 5,059 -1.6
ココナツ油 4,821 2,091 5,624 8,192 8,845 57.3
ワイア・ファーネス 10,068 9,312 10,087 9,503 2.1
商品輸出総額 560,121 578,701 582,130 505149 560,326 -3.7
 ノン・ファクター・
サービス
  128,269  131544 120,507  168,889 28.0

伸び率は前年同期比
 

表5-10-4.主要輸入品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

06/1Q 07/1Q 07/2Q 08/1Q 08/2Q 伸率
電気機械など 117,120 110,048
97,669 105713
93,206 -4.6
鉱物油・製品 98,002 82,726
115,975 128,011
151,462 30.6
機械(除く電機) 65,384 68,847
62,212 59,322
65,316 5.0
輸送機械 21,525 24,763
29,828 27,413
32,416 8.7
基礎金属 19,274 20,497
26,384 20,187 31,127 18.0
穀物・製品 19,422 7,421
17,176 18,478 42,800 149.2
化学製品 11,589 13,377
12,248 14,145 14,545 18.8
繊維 10,892 10,308
12,401 7,340
8,513 -31.4
商品輸入総額 637,627 604,111
645775 622,514
673,756 4.3

 伸び率は前年同期比

NSCB08年8月30日発表

5-10-4.フィリピン株式ストップ安、銀行株に不信(08年10月28日)

アジア株が全般的に暴落する中、フィリピンは10月27日(月)に24日(土)の1953.47から12.3%急落し、1713.83まで落ち込んだので、証券取引所は取引停止措置をとった。

この下落幅は1987年7月24日以来の下落幅であった。

暴落の主因はフィリピン最大の銀行(資産)であるバンコ・デ・オロ・ウニバンク(Banco de Oro Unibank) 株が4分の1近く暴落し、1株22.50ペソとなったことにある。

その理由は破綻した米国のレーマンブラザーズへの貸付が焦げ付き3Q(7~9月)の収益が13億ペソ(≒25億円)の赤字になったことが公表されたためである。

それまで同行は黒字経営を続けていたが、3Qのロスにより、08/1~9月の収益は10.5億ペソとなり、前年同期の48.8億ペソと比べると21.5%の水準まで減少してしまった。

これまで同行は外部に対し、サブプライム関係のロスはネグリジブルだと説明していたので株主のいっそうの不信を買った。

その他の銀行や企業も大同小異ではないかという不信感が広まり、フィリピン国債の価格までもが揺らいでいるという。通貨のペソも日ごとに下落している。9月26日は1ドル=46.57ペソであったものが10月27日には1ドル=49.40ペソである。このほうが一般国民にとってはショックが大きいものと思われる。

アロヨ大統領は相変らず強気で、株価の暴落は世界的な傾向でフィリピンだけ特に問題するには当たらないとうそぶいているという。

フィリピンの株価と為替

10月21日 2116.74 前日比 ペソ/ドル
23日 1995.92 -4.6% 48.79
24日 1953.47 -2.2 48.94
27日 1713.83 -12.3% 49.40
28日 1704.41 -0.5 49.11


5-10-5.フィリピンは08年の経済成長率が4.5%、工業品輸出は大幅減(09年1月29日)


フィリピンの国民統計委員会(National Statistical Coordiation Board=NSCB)の発表によれば、フィリピン経済は比較的健全な発展をとげ、周辺の他の国々の苦境をよそに08年4Qの実質GDPの伸び率は4.5%と比較的高く、2008年通年でも4.6%であったという。新聞発表のトーンはやけにハシャイデいる。

フィリピン経済の特徴は製造業が極めて弱体であるということである。電機、自動車、鉄鋼などほとんどこれといった投資が見られない。従って、レクトロニクス製品の輸出は減退の一途を辿っている。自動車も輸入に頼り、鉄鋼製品も一部を除いて全面的に輸入依存である。

個人消費が実質ベースで安定的に4.5%も伸びていることはありえない。投資がマイナス9%なのに、建設部門が13%も増えるはずがない。要するにフィリピンのナショナル・アカウントなるものはマユツバを通り越して、信頼性が欠ける。ただし、貿易統計は正直である。

農業政策も貧弱で2008年はコメ不足により、穀類の輸入が急増した。国際稲作研究所は戦後フォード財団の援助で設立され、高収量米(ハイブリッド・ライス)が開発されたが、米不足状態が起こってしまった。

これは大地主が土地の囲い込みを行い農業労働者を雇い「農園経営」をおこなっているが、遊休地も多く農業全体の生産性は低いことの証左である。ともかく、地主は農民に土地を譲渡したがらない。

生活の手段を奪われた(与えらない)農民は競って外国に出稼ぎにいき、彼らの送金で国全体がまかなわれているjといっても過言ではない状態にある。

大地主の中には中国の資本家に農園経営を任せようなどという動きも出ている。名実ともに「売国奴(土)」というべきであろうか?

政府・支配階級に反発を感じる農民は多く、共産ゲリラの勢力はますます強まっている。軍の中にも不満を抱く勢力は存在し、クーデターが起こっても不思議ではない。

ビルマ(ミヤンマー軍事政権)よりはマシだが、タイやマレーシアに大きく水をあけられ、インドネシアにもドンドン離されつつある。支配階級が悪いと国民は悲惨である。

表5-10-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

2006年 2007年 2008年 07/3Q 07/4Q  08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q
農林水産 3.9 4.9 3.2 5.6 5.8 3.0  4.9 2.5 2.9
工業 .4.5 7.1 5.0 6.1 5.8 3.9  4.8 7.1 5.0
サービス 6.7 8.1 4.9 7.2 9.0 6.9  4.3 3.7 4.9
GDP(国内総生産) 5.4 7.2 4.6 6.6 7.4 5.2  4.6 4.6 4.5
海外からの純所得 12.4 14.1 20.8 25.1 -3.0 36.0  14.1 24.7 28.0
GNP(国民総生産) 6.1 8.0 6.1 8.2 6.5 7.3  5.5 6.5 6.4
民間消費 5.5 5.8 4.5 5.6 6.3 5.1  3.4 4.6 4.5
政府消費 6.1 8.3 4.3 8.3 10.8 -1.0  -5.1 12.5 4.7
資本投資 2.7 11.2 4.2 7.5 14.7 7.3  14.7 4.8 -9.0
輸出 11.2 5.6 0.0 -4.9 -2.0 -11.1  7.7 4.7 -7.5
輸入 1.9 -4.5 -1.1 -6.3 -2.3 -6.6  -1.0 5.1 -1.2

(資料;NSCB)

表5-10-2.部門別実質GDP伸び

2006年 2007年 2008年 07/3Q 07/4Q  08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q

農林水産

3.8 5.0 3.2 4.5 5.8 3.0  4.9 2.5 2.9

鉱業

-6.1 25.6 0.6 21.8 27.2 13.4  -18.5 -4.1 12.1

製造業

4.6 3.3 4.3 3.3 2.5 2.3  6.1 4.7 3.2

建設

7.3 19.5 6.2 16.7 14.4 4.5  8.3 21.3 13.1

電気ガス

6.4 7.2 7.7 8.5 10.6 10.4  7.9 9.7 5.5

運輸・通信

6.3 8.3 3.7 6.4 7.1 6.9  3.3 1.5 2.6

商業・飲食

6.1 8.2 4.7 8.2 10.7 6.8  4.3 4.2 4.9

金融

11.4 13.1 4.9 7.9 13.3 12.9  2.4 1.3 4.6

政府サービス

4.7 2.6 47 2.0 1.9 3.5  2.4 3.3 7.7

民間サービス

6.9 8.4 5.7 8.5 8.8 5.1  6.2 5.2 5.4

実質GDP

5.4 7.3 4.6 6.6 7.4 5.2 4.6 4.6 4.9


表5-10-3.主要輸出品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 伸率
半導体など 210,093 205,879 195592 170,656 168,009 165,213 186,247 158,89 -6.9
電気機器 57,365 43,694 41549 42,427 31,051 34,285 38,473 34,923 -17.7
衣類 28,626 24,729 29,950 22,703 21,115 20,479 23,842 20,144 -11.3
銅地金 14,590 13,961 10,035 18,632 11,045 16,204 19,104 15,903 -14.6
1,747 3,771 1,499 5,139 4,773 5,155 5,359 5,031 -2.1
バナナなど 4,465 5,140 4,495 4,372 3,566 5,059 4,560 3,970 -9.2
ココナツ油 2,091 5,624 6,376 8,900 8,192 8,845 4,585 8,423 -5.4
ワイア・ファーネス 10,068 9,312 11,279 10,364 10,087 9,503 9,732 13,075 26.7
商品輸出総額 578,701 582,130 577,226 695,286 505,149 560,326 604,147 692,117 -2.4
 ノン・ファクター・
サービス
128,269  131544 140,079 137,675 120,507  168,889 162413 148,000 7.5

伸び率は前年同期比
 

表5-10-4.主要輸入品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 伸率
電気機械など 110,048
97,669 119,245 113,380 105713
93,206 116,218 97,047 -14.4
鉱物油・製品 82,726
115,975 123,810 129,911 128,011
151,462 172403 129,292 -0.5
機械(除く電機) 68,847
62,212 75,041 73,510 59,322
65,316 74255 63,020 -14.3
輸送機械 24,763
29,828 30,238 31,980 27,413
32,416 36156 38,653 20.9
基礎金属 20,497
26,384 22,032 22,365 20,187 31,127 31098 26,590 18.9
穀物・製品 7,421
17,176 18,011 15,089 18,478 42,800 47,578 21,974 45.6
化学製品 13,377
12,248 15,776 13,207 14,145 14,545 19,775 13,759 4.2
繊維 10,308
12,401 10,075 9,300 7,340
8,513 7,658 7,173 -22.9
商品輸入総額 604,111
645775 738,450 670,629 622,514
673,756 818545 602,471 -10.2

 伸び率は前年同期比


PhE09-1.フィリピンの09年1Qの成長率は0.4%にとどまる(09年5月28日)

フィリピンの国民統計委員会(National Statistical Coordiation Board=NSCB)の発表によれば、09年1Qの実質GDP成長率は0.4%増にとどまった。2008年の成長率は4.6⇒3.8%へと下方修正された。

製造業が-7.3%と大きく減少した。これは輸出の主要製造品目の極端な減少に対応している。

主力の半導体が前年同期比-40.3%である。この落ち込みをカバーするような品目は見当たらない。

個人消費が実質ベースで0.8%と08/4Qの4.5%の伸びからみると、大分鈍化した。。

農業政策も貧弱で09/1Qの穀類の輸入が53.1%も急増した。

フィリピンは世界経済が良くなってもほとんどこれといった恩恵を受けられない。しかし、世界経済の不況の影響をモロに受ける。政府がロクな工業化政策をとってこなかった報いである。

表09-1-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

2006年 2007年 2008年  08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q
農林水産 3.9 4.9 3.2 3.0  4.9 2.5 2.9 2.1
工業 .4.5 7.1 5.0 3.9  4.8 7.1 5.0 -2.1
サービス 6.7 8.1 3.3 6.9  4.3 3.7 4.9 1.4
GDP(国内総生産) 5.4 7.2 3.8 5.2  4.6 4.6 4.5 0.4
海外からの純所得 12.4 14.1 12.4 36.0  14.1 24.7 28.0 40.8
GNP(国民総生産) 6.1 8.0 6.2 7.3  5.5 6.5 6.4 4.4
民間消費 5.5 5.8 4.5 5.1  3.4 4.6 4.5 0.8
政府消費 6.1 8.3 4.3 -1.0  -5.1 12.5 4.7
3.8
資本投資 2.7 11.2 4.2 7.3  14.7 4.8 -9.0 -0.2
輸出 11.2 5.6 0.0 -11.1  7.7 4.7 -7.5 -18.5
輸入 1.9 -4.5 -1.1 -6.6  -1.0 5.1 -1.2 -21.5

(資料;NSCB)

表09-1-2.部門別実質GDP伸び

2006年 2007年 2008年  08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q

農林水産

3.8 5.0 3.2 3.0  4.9 2.5 2.9 2.1

鉱業

-6.1 25.6 1.9 13.4  -18.5 -4.1 12.1 16.1

製造業

4.6 3.3 4.3 2.3  6.1 4.7 3.2 -7.3

建設

7.3 19.5 7.8 4.5  8.3 21.3 13.1 16.7

電気ガス

6.4 7.2 7.3 10.4  7.9 9.7 5.5 1.0

運輸・通信

6.3 8.3 4.2 6.9  3.3 1.5 2.6 4.1

商業・飲食

6.1 8.2 1.2 6.8  4.3 4.2 4.9 -0.2

金融

11.4 13.1 2.5 12.9  2.4 1.3 4.6 0.2

政府サービス

4.7 2.6 5.5 3.5  2.4 3.3 7.7 0.0

民間サービス

6.9 8.4 4.9 5.1  6.2 5.2 5.4 2.9

実質GDP

5.4 7.3 3.8 5.2 4.6 4.6 4.9 0.4


表09-1-3.主要輸出品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

07/3Q 07/4Q 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 伸率
半導体など 195592 170,656 168,138 165,213 186,247 158,89 100,411 -40.3
電気機器 41549 42,427 31,064 34,285 38,473 34,923 23,037 -25.8
衣類 29,950 22,703 21,119 20,479 23,842 20,144 19,804 -6.2
銅地金 10,035 18,632 11,045 16,204 19,104 15,903 7,046 -36.2
1,499 5,139 4,773 5,155 5,359 5,031 5,738 20.2
バナナなど 4,495 4,372 3,826 5,059 4,560 3,970 4,832 26.3
ココナツ油 6,376 8,900 8,199 8,845 4,585 8,423 2,365 -71.2
ワイア・ファーネス 11,279 10,364 10,087 9,503 9,732 13,075 4,653 -53.9
商品輸出総額 577,226 695,286 505,925 560,326 604,147 692,117 375,719 -25.7
 ノン・ファクター・
サービス
140,079 137,675 142,328  168,889 162413 148,000 152,903 7.4

伸び率は前年同期比
 

表09-1-4.主要輸入品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

07/3Q 07/4Q 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 伸率
電気機械など 119,245 113,380 105692
93,206 116,218 97,047 69,531 -34.2
鉱物油・製品 123,810 129,911 128,086
151,462 172403 129,292 69,456 -45.8
機械(除く電機) 75,041 73,510 59,236
65,316 74255 63,020 45,717 -22.8
輸送機械 30,238 31,980 27,407
32,416 36156 38,653 26,562 -3.1
基礎金属 22,032 22,365 20,329 31,127 31098 26,590 14,924 -26.6
穀物・製品 18,011 15,089 18,474 42,800 47,578 21,974 28,278 53.1
化学製品 15,776 13,207 14,151 14,545 19,775 13,759 13,296 -6.0
繊維 10,075 9,300 7,338
8,513 7,658 7,173 6,331 -13.7
商品輸入総額 738,450 670,629 630,178
673,756 818545 602,471 460,286 -27.0

 伸び率は前年同期比


PhE09-2.フィリピンの09年2Qの成長率は1.5%、世界不況の影響を受けずプラス成長?(09年8月27日)

フィリピンの国民統計委員会(National Statistical Coordiation Board=NSCB)の発表によれば、09年2Qの実質GDP成長率は1.5%増と1Qの0.4%を上回った。

製造業が-7.2%と大きく減少した。これは輸出の主要製造品目の極端な減少に対応している。実額で商品輸出が前年同期比-25.7%である。半導体が輸出の29.0%を占めるが、中国向けに極端に落ちた。輸出は08/4Qをピークに毎Q急激に減っている。

個人消費が実質ベースで2.2%伸びている。これが事実を反映した数字であろう。海外からの純所得も大きく伸びているが、出稼ぎ労働者の雇用は悪化しているはずである。政府消費は9.1%と確かに高い。

農業政策も貧弱で09/2Qの穀類の輸入が18.5%も増えた。

フィリピンは世界経済が良くなってもほとんどこれといった恩恵を受けられない。しかし、世界経済の不況の影響をモロに受ける。政府がロクな工業化政策をとってこなかった報いである。

ところが、政府当局者はフィリピン経済のパフォーマンスに大満足のようで、フィナンシャル・タイムズ(8月27日)によればアウグスト・サントス経済企画庁長官代行は「フィリピンは政府の政策のよろしきをえて、中国、ベトナム、インドネシア、インドといった世界不況の只中に在って、プラス成長を続けている数少ない国の1つである」と自慢している。思わず「マジスカ?」といいたくなる。


表09-2-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

2006年 2007年 2008年  08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q
農林水産 3.9 4.9 3.2 3.0  4.9 2.5 2.9 2.1 0.3
工業 .4.5 7.1 5.0 3.9  4.8 7.1 5.0 -2.1 -0.3
サービス 6.7 8.1 3.3 6.9  4.3 3.7 4.9 1.4 3.1
GDP(国内総生産) 5.4 7.2 3.8 5.2  4.6 4.6 4.5 0.4 1.5
海外からの純所得 12.4 14.1 12.4 36.0  14.1 24.7 28.0 40.8 29.7
GNP(国民総生産) 6.1 8.0 6.2 7.3  5.5 6.5 6.4 4.4 4.4
民間消費 5.5 5.8 4.5 5.1  3.4 4.6 4.5 0.8 2.2
政府消費 6.1 8.3 4.3 -1.0  -5.1 12.5 4.7
3.8
9.1
資本投資 2.7 11.2 4.2 7.3  14.7 4.8 -9.0 -0.2 -9.8
輸出 11.2 5.6 0.0 -11.1  7.7 4.7 -7.5 -18.5 -16.0
輸入 1.9 -4.5 -1.1 -6.6  -1.0 5.1 -1.2 -21.5 -2.7

(資料;NSCB)

表09-2-2.部門別実質GDP伸び

2006年 2007年 2008年  08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q

農林水産

3.8 5.0 3.2 3.0  4.9 2.5 2.9 2.1 0.3

鉱業

-6.1 25.6 1.9 13.4  -18.5 -4.1 12.1 16.1 21.4

製造業

4.6 3.3 4.3 2.3  6.1 4.7 3.2 -7.3 -7.2

建設

7.3 19.5 7.8 4.5  8.3 21.3 13.1 16.7 16.9

電気ガス

6.4 7.2 7.3 10.4  7.9 9.7 5.5 1.0 2.9

運輸・通信

6.3 8.3 4.2 6.9  3.3 1.5 2.6 4.1 1.7

商業・飲食

6.1 8.2 1.2 6.8  4.3 4.2 4.9 -0.2 3.0

金融

11.4 13.1 2.5 12.9  2.4 1.3 4.6 0.2 1.8

政府サービス

4.7 2.6 5.5 3.5  2.4 3.3 7.7 0.0 7.7

民間サービス

6.9 8.4 4.9 5.1  6.2 5.2 5.4 2.9 2.8

実質GDP

5.4 7.3 3.8 5.2 4.6 4.6 4.9 0.4 1.5


表09-2-3.主要輸出品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

07/4Q 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 伸率
半導体など 170,656 168,138 165,213 186,247 158,89 100,411 129,644 -21.5
電気機器 42,427 31,064 34,285 38,473 34,923 23,037 27,008 -21.2
衣類 22,703 21,119 20,479 23,842 20,144 19,804 16,744 -18.2
銅地金 18,632 11,045 16,204 19,104 15,903 7,046 10,415 -35.7
5,139 4,773 5,155 5,359 5,031 5,738 2,227 -56.8
バナナなど 4,372 3,826 5,076 4,560 3,970 4,832 4,639 -8.6
ココナツ油 8,900 8,199 9,639 4,585 8,423 2,365 3,413 -71.2
ワイア・ファーネス 10,364 10,087 9,503 9,732 13,075 4,653 8,077 -15.0
商品輸出総額 695,286 505,925 561,929 604,147 692,117 375,719 446,380 -25.7
 ノン・ファクター・
サービス
137,675 142,328  148,727 162413 148,000 152,903 179,976 21.0

伸び率は前年同期比
 

表09-2-4.主要輸入品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

07/4Q 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 伸率
電気機械など 113,380 105692
93,201 116,218 97,047 69,531 90,631 -2.8
鉱物油・製品 129,911 128,086
152,969 172403 129,292 69,456 94,907 -38.0
機械(除く電機) 73,510 59,236
65,329 74255 63,020 45,717 53,172 -18.6
輸送機械 31,980 27,407
32,412 36156 38,653 26,562 22,680 -30.0
基礎金属 22,365 20,329 31,312 31098 26,590 14,924 15,419 -50.8
穀物・製品 15,089 18,474 42,797 47,578 21,974 28,278 50,726 18.5
化学製品 13,207 14,151 14,551 19,775 13,759 13,296 15,793 -6.0
繊維 9,300 7,338
8,513 7,658 7,173 6,331 6,430 -24.5
プラスチック等 13,724 6,430 -33.5
商品輸入総額 670,629 630,178
681,721 818545 602,471 460,286 543,919 -20.2

 伸び率は前年同期比


PhE09-3.フィリピンの09年3Qの成長率は0.8%のプラス(09年11月30日

フィリピンの国民統計委員会(National Statistical Coordiation Board=NSCB)の発表によれば、09年3Qの実質GDP成長率は0.8%増と2Qの1.5%を下回ったがプラスを維持した。

製造業が-7.6%と大きく減少した。1Q=-7.3%、2Q=-7.2%と2009年に入って3四半期連続で-7%大を記録している。これは輸出の主要製造品目の極端な減少に対応している。

実額で商品輸出が前年同期比-14.6%と2Q=-25.7%に比べマイナス幅が縮小してきている。主力の半導体が-25.0%と依然落ち込みが大きい。電気製品が-8.5%と2Q=-21.2%に比べればやや改善されている。自動車用ワイア・ハーネスは6.9%のプラスとなった。

個人消費が実質ベースで4.0%と高く、これがGDP全体をプラスにしている要因だが、はなはだマユツバものの数字である。海外からの純所得も大きく伸びているが、出稼ぎ労働者の雇用は悪化しているはずである。

表09-3-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

2007年 2008年 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q
農林水産 4.9 3.2 4.9 2.5 2.9 2.1 0.3 1.6
工業 7.1 5.0 4.8 7.1 5.0 -2.1 -0.3 -4.4
サービス 8.1 3.3 4.3 3.7 4.9 1.4 3.1 4.0
GDP(国内総生産) 7.2 3.8 4.6 4.6 4.5 0.4 1.5 0.8
海外からの純所得 14.1 30.8 14.1 24.7 28.0 40.8 29.7 26.0
GNP(国民総生産) 8.0 6.2 5.5 6.5 6.4 4.4 4.4 3.5
民間消費 5.8 4.7 3.4 4.6 4.5 0.8 2.2 4.0
政府消費 8.3 3.2 -5.1 12.5 4.7
3.8
9.1 7.9
資本投資 11.2 1.7 14.7 4.8 -9.0 -0.2 -9.8 -11.3
輸出 5.6 -1.9 7.7 4.7 -7.5 -18.5 -16.0 -13.6
輸入 -4.5 2.4 -1.0 5.1 -1.2 -21.5 -2.7 0.2

(資料;NSCB)

表09-3-2.部門別実質GDP伸び

2007年 2008年 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q

農林水産

5.0 3.2 4.9 2.5 2.9 2.1 0.3 1.6

鉱業

25.6 1.9 -18.5 -4.1 12.1 16.1 21.4 26.9

製造業

3.3 4.3 6.1 4.7 3.2 -7.3 -7.2 -7.6

建設

19.5 7.8 8.3 21.3 13.1 16.7 16.9 1.3

電気ガス

7.2 7.3 7.9 9.7 5.5 1.0 2.9 2.2

運輸・通信

8.3 4.2 3.3 1.5 2.6 4.1 1.7 -0.8

商業・飲食

8.2 1.2 4.3 4.2 4.9 -0.2 3.0 4.5

金融

13.1 2.5 2.4 1.3 4.6 0.2 1.8 11.7

政府サービス

2.6 5.5 2.4 3.3 7.7 0.0 7.7 6.3

民間サービス

8.4 4.9 6.2 5.2 5.4 2.9 2.8 4.0

実質GDP

7.3 3.8 4.6 4.6 4.9 0.4 1.5 0.8


表09-3-3.主要輸出品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q 伸率
半導体など 168,138 165,213 186,247 158,89 100,411 129,644 139,705 -25.0
電気機器 31,064 34,285 38,873 34,923 23,037 27,008 35,586 -8.5
衣類 21,119 20,479 23,842 20,144 19,804 16,744 16,134 -23.9
銅地金 11,045 16,204 19,104 15,903 7,046 10,415 5,230 -72.6
4,773 5,155 5,359 5,031 5,738 2,227 2,289 -57.3
バナナなど 3,826 5,076 4,560 3,970 4,832 4,639 4,041 -13.6
ココナツ油 8,199 9,639 4,585 8,423 2,365 3,413 6,825 48.9
ワイア・ファーネス 10,087 9,503 9,732 13,075 4,653 8,077 10,399 6.9
商品輸出総額 505,925 561,929 604,257 692,117 375,719 446,380 500,566 -14.6
 ノン・ファクター・
サービス
142,328  148,727 143,767 148,000 152,903 179,976 136,490 -8.4

伸び率は前年同期比
 

表09-3-4.主要輸入品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q 伸率
電気機械など 105692
93,201 113,882 97,047 69,531 90,631 105,705 -2.8
鉱物油・製品 128,086
152,969 177,601 129,292 69,456 94,907 95,876 -46.0
機械(除く電機) 59,236
65,329 73,465 63,020 45,717 53,172 60,832 -17.2
輸送機械 27,407
32,412 35,217 38,653 26,562 22,680 32,425 -7.9
基礎金属 20,329 31,312 31,738 26,590 14,924 15,419 19,387 -38.9
穀物・製品 18,474 42,797 51,420 21,974 28,278 50,726 10,722 -79.1
化学製品 14,151 14,551 17,480 13,759 13,296 15,793 16,338 -6.5
繊維 7,338
8,513 8,225 7,173 6,331 6,430 6,042 -26.5
プラスチック等 13,724 14,131 6,430 10,376 -6.6
商品輸入総額 630,178
681,721 818,759 602,471 460,286 543,919 628,486
-23.2

 伸び率は前年同期比




phE09-4,フィリピンの09/4Qの経済成長率は+1.8%(10-1-29)

フィリピンの国民統計委員会(National Statistical Coordiation Board=NSCB)の発表によれば、09年4Qの実質GDP成長率は1.8%増と3Qの0.8%を上回った。2009年では+0.9%の伸びである。ただし、世界的不況の中フィリピン経済の底力はすばらしいなどと勘違いすべきではない。

製造業が+1.3%と久しぶりにプラスに転じた。何が貢献したのか良く分からない。

鉱業が+17.0%と高い伸びを示した。しかし、銅や金といった主力品の輸出が減っている。

サービス部門が+4.2%と好調(?)のようである。特に金融部門が+11.0%と異常に高いのびっを示しているが、これも良く分からない。

個人消費が実質ベースで5.1%と極めて好調である。これがGDP全体をプラスにしている要因だが、はなはだマユツバものの数字である。海外からの純所得の伸びは7.5%と鈍化してきた。

実額で商品輸出が前年同期比-10.0%と3Q=-14.6%に比べマイナス幅が縮小してきている。主力の半導体が-22.7%と依然落ち込みが大きい。電気製品が+9.2%となった。後はほとんど全品目でマイナスである。

表09-3-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

2007年 2008年 2009年 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q
09/4Q
農林水産 4.9 3.2 0.1 2.9 2.1 0.3 1.6 -2.8
工業 7.1 5.0 -2.0 5.0 -2.1 -0.3 -4.4 1.1
サービス 8.1 3.3 3.2 4.9 1.4 3.1 4.0 4.2
GDP(国内総生産) 7.2 3.8 0.9 4.5 0.4 1.5 0.8 1.8
海外からの純所得 14.1 30.8 20.0 28.0 40.8 29.7 26.0 7.5
GNP(国民総生産) 8.0 6.2 3.0 6.4 4.4 4.4 3.5 2.4
民間消費 5.8 4.7 3.8 4.5 0.8 2.2 4.0 5.1
政府消費 8.3 3.2 8.5 4.7
3.8
9.1 7.9 12.1
資本投資 11.2 1.7 -9.9 -9.0 -0.2 -9.8 -11.3 -0.8
輸出 5.6 -1.9 -14.2 -7.5 -18.5 -16.0 -13.6 -10.0
輸入 -4.5 2.4 -5.8 -1.2 -21.5 -2.7 0.2 -2.5

(資料;NSCB)

表09-3-2.部門別実質GDP伸び

2007年 2008年 2009年 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q 09/4Q

農林水産

5.0 3.2 0.1 2.9 2.1 0.3 1.6 -2.8

鉱業

25.6 1.9 21.1 12.1 16.1 21.4 26.9 17.0

製造業

3.3 4.3 -5.1 3.2 -7.3 -7.2 -7.6 1.3

建設

19.5 7.8 5.8 13.1 16.7 16.9 1.3 -5.8

電気ガス

7.2 7.3 -2.8 5.5 1.0 2.9 2.2 0.5

運輸・通信

8.3 4.2 1.8 2.6 4.1 1.7 -0.8 1.9

商業・飲食

8.2 1.2 2.9 4.9 -0.2 3.0 4.5 3.5

金融

13.1 2.5 7.1 4.6 0.2 1.8 11.7 11.0

政府サービス

2.6 5.5 5.0 7.7 0.0 7.7 6.3 3.4

民間サービス

8.4 4.9 3.8 5.4 2.9 2.8 4.0 6.1.

実質GDP

7.3 3.8 0.9 4.9 0.4 1.5 0.8 1.8


表09-3-3.主要輸出品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q 09/4Q 伸率
半導体など 165,213 186,247 139,526 100,411 129,644 139,705 107,923 -22.7
電気機器 34,285 38,873 33,586 23,037 27,008 35,586 36,688 9.2
衣類 20,479 23,842 20,982 19,804 16,744 16,134 18,963 -9.6
銅地金 16,204 19,104 11,770 7,046 10,415 5,230 11,134 -5.4
5,155 5,359 4,448 5,738 2,227 2,289 1,572 -64.7
バナナなど 5,076 4,560 4,426 4,832 4,639 4,041 2,411 -45.5
ココナツ油 9,639 4,585 7,786 2,365 3,413 6,825 5,598 -21.0
ワイア・ファーネス 9,503 9,732 10,695 4,653 8,077 10,399 10,561 -1.2
商品輸出総額 561,929 604,257 505,418 375,719 446,380 500,566 479,098 -9.1
 ノン・ファクター・
サービス
148,727 143,767 123,960 152,903 179,976 136,490 111,827 -13.9

伸び率は前年同期比
 

表09-3-4.主要輸入品目(現行価格、単位100万ペソ、%)

08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q 09/4Q 伸率
電気機械など 93,201 113,882 96,330 69,531 90,631 105,705 93,432 -3.0
鉱物油・製品 152,969 177,601 107,403 69,456 94,907 95,876 102,333 -4.7
機械(除く電機) 65,329 73,465 60,887 45,717 53,172 60,832 59,903 -1.6
輸送機械 32,412 35,217 33,427 26,562 22,680 32,425 28,451 -14.9
基礎金属 31,312 31,738 21,832 14,924 15,419 19,387 20,215 -7.4
穀物・製品 42,797 51,420 14,667 28,278 50,726 10,722 12,777 -12.9
化学製品 14,551 17,480 14,053 13,296 15,793 16,338 12,757 -9.2
繊維 8,513 8,225 7,870 6,331 6,430 6,042 5,971 -26.5
プラスチック等 13,724 14,131 10,853 6,430 10,376 9,544 -24.1
商品輸入総額 681,721 818,759 583,562 460,286 543,919 628,486
534,271 -8.4

 伸び率は前年同期比


PhE10-1.フィリピンの2010/1Qの成長率は7.3%(2010-5-31)

フィリピンの国民統計委員会(National Statistical Coordiation Board=NSCB)の発表によれば、10年1Qの実質GDP成長率は+7.3%増大きく伸びた。これは09/1が0.4%と低かったことの反動でもある。伸びの背景は輸出が実質+17.9%と回復してきたことが大きく影響している。

製造業が+20.7%と大幅象になった。

サービス部門が全体的に好調のようである。

個人消費が実質ベースで5.9%と極めて好調である。設備投資も+24.3%と伸びている。政権交代によって投資環境が改善されなければフィリピンの将来は暗い。アロヨ政権時代は悪かった。

実額で商品輸出が前年同期比+38.8%と大幅に増加した。主力の半導体が+33.0%と回復したのが大きい。電気製品が+99.6%と過去最高となった。その他もなべて好調であった。これは09/1Qの落ち込みが大きかったことの反動でもある。

商品輸入も+27.2%と伸びた。

表09-3-1 フィリピンの実質GDP/E(1985年価格)伸び率

2007年 2008年 2009年 09/1Q 09/2Q 09/3Q
09/4Q 10/1Q
農林水産 4.9 3.2 0.0 2.1 0.3 1.6 -2.8 2.9
工業 7.1 5.0 -0.9 -2.1 -0.3 -4.4 1.1 15.7
サービス 8.1 3.3 2.8 1.4 3.1 4.0 4.2 10.5
GDP(国内総生産) 7.2 3.8 1.1 0.4 1.5 0.8 1.8 7.3
海外からの純所得 14.1 30.8 28.8 40.8 29.7 26.0 7.5 24.9
GNP(国民総生産) 8.0 6.2 4.0 4.4 4.4 3.5 2.4 9.5
民間消費 5.8 4.7 4.1 0.8 2.2 4.0 5.1 5.9