トップに戻る


マレーシアの経済

2009年と2010年のマレーシアの経済



ME11-1 マレーシアの2011年2Qの成長率は4.0%(2011-8-27)

ME10-5,マレーシアの2010年の成長率は7.2%, 4Qは4.8%と鈍化(2011-3-4)


M10-4. マレーシアの2010年3Qの成長率は5.3%、工業製品の輸出不振(2010-12-6)

ME10-3. マレーシアの10年2Qの成長率は8.9%(2010-9-1)

ME10-2.マレーシアの2010年1Qの成長率は10.1%(2010-6-3)

ME10-1.マレーシアの09/4Qの成長率は4.5%に改善(2010年2月24日)

ME09-6.マレーシアの09/3Qの成長率は-1.2%に改善(09年11月24日)

ME09-5.マレーシアの09年2Qの成長率は-3.9%(09年8月30日)

⇒非常識な日経記事

ME09-4. IMF曰くマレーシアの財政はペトロナスに頼りすぎ、消費税を取れ(09年8月21日)

ME09-3.マレーシア外資規制を緩和(09年6月30日)

ME09-2.マレーシアの09年1Qの成長率は-6.2%(09年6月1日)

ME09-1.マレーシア基準金利0.75%下げ2.5%に、インテル工場閉鎖(09年1月22日)

76.2008年のマレーシア経済

76-6.マレーシアの08年4Q成長率は0.1%、通年で4.6%(09年2月27日、3月4日追記)

⇒GDPの部門別成長率で製造業が実に-8.8%(09年3月12日)


76-5. マレーシアの08年3Qの成長率は4.7%とまずまず?(08年12月1日)

76-4.マレーシア自由化を進め経済の浮上を目指す(08年10月21日)

76-3.マレーシアの08年2Qの成長率は6.3%と好調維持?(08年9月3日)

08年1Qの輸出の動向(6月10日追加)

76-2.マレーシアの08年1Qの成長率は7.1%と絶好調?(08年6月2日)

76-1.マレーシア08年度予算案、個人所得税は不変、法人税は1%カット(07年9月10日)

 

72.2007年のマレーシア経済

72-3.マレーシアの07年の成長率は6.3%、サービス部門が成長の主役?(08年2月27日)

72-2.マレーシアの07年2Qの成長率は5.7%、製造業1.5%(07年9月12日)

72-1.マレーシアの07年1Qの成長率は5.3%、製造業の危機(07年5月31日)

 

12. 2002年の経済成長率は4.2%に(03年2月26日)

17. 2003年のマレーシアの経済

36. 2004ンンのマレーシアの経済

43. 2005年のマレーシアの経済

55. 2006年のマレーシア経済

55-5.マレーシアの06年4Qの成長率は5.7%、通年で5.9%(07年3月2日)

55-4.マレーシアの06年12月は輸出が鈍化(07年2月12日)

 

 

12. 2002年の経済成長率は4.2%に(03年2月26日)

マレーシア統計局は本日(2月26日)2002年の第4四半期の実質GDPが5.6%(対前年同期比)の伸びを示し、通年では4.2%の成長となったと発表した。この4Qの伸びは国内需要と政府支出によってもたらされたものであり、輸出が中心の製造業は電機、輸送機械など不振であったという。

下の表17-1.を観察して分かることは98年は通貨危機後の経済危機によりマレーシア経済もタイやインドネシアほどではないがかなり大きな打撃を受けていたということである。(表の一部を編集の都合でカットしてしまいました。後日復活いたします。07年3月2日)

特に、建設バブルがはじけたことによって固定資本形成は-43%という激しい落ち込みをみせた。輸出のみがわずかにプラスであった。

99年には輸出が+13.2%という大幅な回復をみたことによって雇用が回復し、民間消費もプラスに転じた。政府も支出を増やし、景気回復に努めた。

しかし、マレーシアの場合、表2に見るとおり、近年輸出がGDPの合計値を上回るような異常ともいえる事態になっており、マレーシア経済にとって輸出の役割が決定的である。

その傾向は2000年にも続き、輸出主導型の景気回復という特徴が見られる。この年はGDPも8.3%の成長をみせ、投資も回復し、マレーシアは一応経済危機から脱出できたと見てよいであろう。

ところが2001年にはアメリカのITバブルの崩壊の影響を受け、輸出が-7.5%と落ち込み、それが全体に影響してGDPの成長も0.4%という低い伸びにとどまった。この年には政府支出が+17.5%と突出し、必死で景気底上げ政策がとられたことが伺われる。

2002年になっても前半(1Qと2Q)は輸出不振が続いていたため政府は支出を増大させ何とか経済の落ち込みを防いだ。ところが下半期の3Qに入って輸出が2桁の伸びに回復してきたことで、マレーシア経済は落ち着きを取り戻す。3QのGDPは5.6%まで回復したのであった。

輸出の回復は米国向けが電機関連を中心にプラスに転じたこと、中国向けに半導体やコンピュータ部品が伸びたことが大きく寄与している。政府は無理を重ねつつも支出を増大させ続けていることが伺われる。やっとの思いでGDPの4%成長が達成されたというところである。

(03年4月16日) MIERが03年の成長率予想を5.7→3.7%に下方修正

マレーシア経済研究所は03年の経済見通しを5.7%から3.7%に大幅に下方修正した。その主な理由にSARSの流行による観光客の減少をあげている。マレーシア政府は中国、台湾、ベトナム、カナダへのビザの発給を停止している。

 

表2 マレーシア実質国内総支出構成比(%)

1985

1990

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

民間消費

51.2

52.2

49.2

47.8

46.5

45.0

43.6

45.3

46.4

46.4

政府消費

16.5

13.4

12.4

11.4

11.2

11.0

12.1

11.5

13.5

14.8

総固定資本形成

31.3

33.9

49.1

48.4

49.2

30.3

26.7

30.9

30.0

28.8

 内民間

22.4

35.2

35.6

36.3

17.5

12.8

15.6

12.3

 内政府

11.4

14.0

12.8

12.9

12.7

13.9

15.4

17.7

在庫増減

-2.2

-0.7

0.1

-1.0

-0.1

-0.1

0.6

1.2

-1.1

1.3

輸出(含サービス)

55.8

72.4

97.1

96.5

94.8

102.8

109.6

117.5

108.2

107.5

輸入(含サービス)

52.7

71.3

108.0

102.9

101.5

89.0

92.7

106.5

96.9

98.7

国内総支出

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

資料出所:Bank Negara Malaysia統計月報などから筆者作成

 

17. 03年のマレーシア経済

17-1. 1Qの成長率は4%達成(03年5月29日)上記の表1参照

マレーシア中央銀行(バンク・ネガラ・マレーシア)のゼティ・アクタール・アジズ(Zeti Akhtar Aziz)総裁は今年1-3月期の経済成長は4%に達し、通年でも4.5%という最近の公式見通し(当初は6.0-6.5%)の実現は可能であるという見解を述べた。

製造業の伸びが5.2%と最も高く、サービス業が4.0%、鉱業(石油他)が3.8%、農業が3.6%、建設が1.2%となっている。

ただし、4月以降はSARS騒動の被害が大きくなるため、マレーシア政府は景気浮揚策として、73億リンギ(約2,270億円)の景気刺激策を発表している。

そのうちの10億リンギ(1リンギは約31円)はSARS騒動で打撃を受けている観光産業に割当てられる。また、ホテルへの電力料金を5%カットし、ホテルやレストランのサービスへの課税を免除する。

個人消費を刺激するために、個的年金への拠出金を6月から2%(11→9%)カットする。

海外直接投資についてもパイオニア・ステイタスに基づく減免税期間を延長し、またいっそうの外資規制緩和をおこなうなどである。

17-2. マレーシア経済に薄日が射す?(03年7月16日)

国民経済行動評議会(National Economic Action Council)のムスタファ・モハメド専務理事は、イラク戦争とSARS騒動の影響が比較的軽微であったため、経済は最悪期を乗り切り、今年の下半期は上向き、通年で4.5%の成長は可能であろうと述べている。

また、民間シンク・タンクのMIER(Malaysia Institute of Economic Research)は一度見通しを4.7%から3.7%に引き下げたが、SARSの影響が観光業以外では少なかったため、最近4.3%成長に再度見直した。

政府の73億リンギの景気刺激策もきいてくると見ている。

確かに、マレーシアの5月の製造業の販売は、前年同月比5.2%伸び(4月は+4.9%)、工業生産は16%という大きなのびを示した。

これには鉱業(石油・天然ガスを含む)の伸び26.9%が大きく寄与し、製造業も15.9%と高い伸びをしめした。電力は4.8%にとどまった。不況どころかちょっとしたブームともいうべき数字である。

しかし、これをみてマレーシア経済は回復過程にあると考えるのは早計である。マレーシアの場合はSARS騒動が実はプラスに働いたのである。というのは電機製品で中国の減産分をマレーシアがカバーするといった事情があったことは見逃せない。

いずれにせよ、下期の動向は米国経済の回復がカギを握っていることは、アジア諸国皆同じである。

17-3. 03年2Qは4.4%の成長-政府支出が主導?(03年8月28日)

8月27日、マレーシア中央銀行は03年2Qの経済成長率を発表した。それによると1Qを4.6%と上方修正(前回4.0%)をおこない、2Qは4.4%というなかなかの数字である。

内訳を見ると表17-1の通り、平均成長率(4.4%→後に4.6%に修正)以上に伸びているのは政府部門の支出(7.2%)ということになっている。民間消費は3.4%である。一方、固定資本形成は0.4%と低調である。輸出は4.42%と意外に伸びが低い。

ただし、輸出の実額ベースの伸びは5.8%であったということである。

はっきり言って「不況型」の経済パターンである。

部門別(表17-2)には農業と鉱業が10%以上の伸びを示し、製造業も6.5%となかなかである。建設は1.4%、サービス部門は2.6%であった。農業部門の異常な伸びはパーム油の輸出が好調であったためという説明がなされている。

17-4. マレーシアの03年3Qの成長率は5.1%と好調(03年11月19日)

マレーシア中央銀行が11月19日発表したところによると、マレーシアの03年3Qの対前年同期比の実質GDP成長率は5.1%と2Qの4.6%を上回った。成長の牽引力は個人消費で+5.4%、次いで総固定資本形成(設備投資)が+3.2であった。(表4)

意外だったのは輸出が-5.0%とかなりの落ち込みをみせていることである。輸出実績で見ても、7月8,083百万ドル(前年同月比-1.1%)、8月7,929百万ドル(同-4.4%)と最近数ヶ月マイナスになっていることである。

中国向け輸出の好調もマレーシアは早くも「息切れ」してきたのであろうか?おそらく、最近の石油・天然ガスの不振の影響が大きいものと思われる。

韓国や台湾、そして日本も中国向け輸出の増加が景気の下支えになっているが、電子部品・電気部品にやや特化しているマレーシアの輸出は中国の部品の自給体制が整えば、「自然減」の運命が待っていることは自明である。輸出品の構成や、向け先別の実績の検討が必要である。

部門別では(表5)製造業と農業が好調であるが、鉱業(石油・天然ガス)がマイナスになっている。

製造業は国内民間消費によるものであり、輸出もなお貢献しているという。農業はパーム油(+15.2%)とゴム(+17.0%)が好調であった。

17-5. 2003年の実質GDPは5.2%の成長率ー02年は4.1%(04年2月25日)

マレーシアは03年4Qの実質GDPの伸び率6.4%を記録した。その結果2003年通年では4.2%の伸びとなった。成長を牽引したのは製造業8.2%であるが、農業も5.5%と比較的好調であった。建設業は1.9%と低い伸びにとどまった。

国内総支出で見ると、民間消費が堅調であった。輸出も堅調であったが輸入の高い伸びに相殺された(特に03/4Q)。

また、外国資本の投資も盛り返しているという。

表17-1 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、1987年価格、%)

2000

2001

2002

2003

03/1Q

03/2Q

03/3Q

03/4Q

04/1Q

民間消費

13.0

2.4

4.4

6.6

5.9 5.0 7.0 8.6

8.9

政府消費

1.6

17.3

10.4

11.5

23.0 10.7 3.2 13.3

9.2

総固定資本形成

25.7

-2.8

0.3

2.7

3.8 0.4 3.2 3.6

3.5

 内民間

32.6

-19.9

-15.1

0.4

 内政府

19.4

14.5

11.2

3.9

輸出(含サービス)

16.1

-7.5

4.5

5.7

4.4 3.0 3.8 11.4

16.4

輸入(含サービス)

24.4

-8.6

6.3

4.2

1.4 -0.9 0.6 15.6

21.0

国内総支出

8.9

0.3

4.4

5.4

4.6 4.7 5.3 6.7

7.8

表17-2 部門別成長率推移(前年同期比、1987年価、%)

2000

2001

2002

2003

03/1Q

03/2Q

03/3Q

03/4Q

04/1Q

農林水産

6.1

-0.6

2.8

5.6

4.9

10.8

5.9

1.7

3.8

鉱業

0.3

-1.5

4.3

5.8

4.3

12.8

1.2

5.4

5.9

製造業

18.3

-5.9

4.3

8.4

6.3

6.5

8.3

12.2

12.5

建設

0.6

2.1

2.0

1.5

0.9

1.0

2.0

2.1

0.9

電気ガス

16.9

3.5

5.9

4.9

6.3

4.6

3.5

5.4

    8.7

運輸・通信

9.8

8.3

4.1

5.7

5.2

4.0

5.7

8.0

7.9

商業・飲食

5.9

2.5

2.6

1.5

3.6

-2.3

1.7

3.0

5.3

金融不動産

7.1

9.5

14.2

5.5

4.5

5.7

7.0

4.9

7.1

政府

2.0

4.6

5.3

8.3

8.7

11.1

8.0

5.8

5.9

その他

4.0

6.9

4.3

3.3

3.7

2.2

3.8

3.4

4.9

銀行サービス

6.6

8.7

7.5

3.0

6.6

8.7

7.5

3.0

3.0

実質GDP

8.9

0.3

4.4

5.4

4.6

4.7

5.3

6.7

7.8

資料出所;http:www.bnm.gov.my/ 05年5月27日修正

 

36. マレーシアの2004年の経済

36-1 2004年1Qの成長率は7.6%と好調

マレーシアの04年1Qの実質成長率は+7.6%という予想を上回る数字となった。要因は下表36-1に見るとおり、民間消費、政府諸費の好調と輸出が昨年4Q同様高い伸びを示したことによる。

政府は2001年から景気対策として、支出を伸ばしてきたが依然としてその傾向が続いている。

輸出は中国向けと米国向けが好調を維持している。周辺国の経済回復にも助けられている。

しかし、設備投資はいまいち伸びに迫力が欠ける。04年1Qも3.5%の伸びにとどまっている。官民の区別は明らかにされていないが民間部門の伸び大して回復している様子は見られない。

部門別では製造業の伸びが+12.5%と昨年後半からの勢いを維持している。これは国内消費はもとより、輸出の好調をものがったている。

 

36-2. 04年2Qの成長率は8.0%と好調持続(04年8月25日)

マレーシア中央銀行は8月25日に04年2Qの実質GDPの成長率が8.0%を達成したと発表した。(後に8.2%に修正)

要するに、輸出の好調によって成長が支えられ、個人消費も前期8.0%から2Qは11.4%と2桁の伸びを示したということである。ただし、建設部門はマイナス1.7%と不振であった。

サービス部門は1Qの+6.2%に対し、2Qは7.4%の伸びを示した(下表には記載されず)。

輸出は中国向けの伸びが大きく、電子部品、半導体などといったマレーシアの得意分野以外に、ゴムやパーム油といった農産品も好調であった。

 

36-3. 04年3Qの成長率は6.8%とややスロー・ダウン(04年12月1日)

2Qと基調的にはあまり変わらないが、全ての支出項目で少しずつ伸び率が鈍化しているという特徴が見られる。民間消費は相変わらず好調だが2Qの11.4%⇒3Qの10.8%とやや鈍化している。

政府支出は2Qの8.7%⇒3Qの3.3%へと伸び率が小さくなっている。総固定資本形成は相変わらず3%強という低水準の伸びが1年以上続いている。それを反映して、建設部門の伸びが2Q(-1.7%)に引き続き3Qもマイナス(-3.0%)となった。

1Qまでは比較的好調だった住宅部門の落ち込みが大きいが大きいといわれている。また、マレーシアに対する外国からの投資が減ってきていることが気になる。生産設備関連の建設は04年に入ってからはほとんど伸びていない。

製造業としては輸出主体製品(+12.3%)が好調を維持しているが、2Qの+18.2%からみるとやや鈍化している。中でもエレクトロニクス関連(半導体、電子部品など)+26.3%(2Qは33.0%)に引っ張られている。

木材・木製品関連+11.74%、化学製品やゴム製品も7%台の伸びを維持しているが、繊維製品は-13.6%(-7.8%)と不振である。

国内向け主体製品は輸送機器(主に自動車)は2Qの10.0%⇒3Qは6.3%に鈍化している。石油製品は2Qの-5.1%⇒3Qは11.6%と大きく飛躍している。

農業部門はゴムが+23.1%(2Qは32.9%)と大幅伸びが続いている。これは中国向け(自動車用タイヤ)が多い。また、パーム油も+5.2%と(2Qは-3.5%)盛り返している。

今後の見通しであるが、中国しだいであり、中国は輸出は米国に大きく依存している(3分の1は米国向け)。中国向け輸出はエレクトロニクス関連も多いが、ゴムやパーム油といった1次産品が最近増えてきている。

電子部品の中国向け輸出は中国の自給率向上につれ将来減っていくが1次産品は今後も安定した伸びが期待できそうである。

 

36-4.、04年4Qの成長率は5.6%、通年では7.1%(05年3月2日)

マレーシアの04年の実質経済成長率は7.1%と比較的好調であった。近年では2000年の8.9%に次ぐ高い伸びである。しかし、04年4Qの伸びをみると5.6%であり、この1年のなかでは最も低い伸び率となっている。

04年全体では輸出の高い伸び率(15.6%)によって、製造業(農業もやや貢献)が9.8%と伸び、それによって雇用が比較的高意水準で安定していたため、消費も10.1%という高い伸びを示したと見ることができる。

マレーシア経済で気がかりなのは、固定資本形成(設備投資)の伸びが2001年以降連続して低水準であるということである。これは海外からの直接投資がマレーシアにあまり向かってこずに、より賃金の安い中国やベトナムなどに行ってしまったことを意味している。

そういう傾向は4半期別の数字にも表れている。04年4QのGDPの伸びは5.6%と3Qの6.7%に比べはっきり低下しているが、輸出の伸びが10.7%と3Qの18.2%に比べかなり見劣りがする。それが雇用面にもやや反映して、民間消費も9.7%と3Qの10.8%の伸びに比べやや下がっている。

製造業にばかり着目してきたが、マレーシアは最近、ちょっとした1次産品ブームで農業が活況を呈している。それはパーム油(ヤシ油)や天然ゴムが中国を中心にかなり輸出が増えているためである。

表2をみると、04年4Qに関する限りは、製造業の伸び率5.4%を上回る7.7%の伸びを農業部門が記録した。ここ数年では見られない現象である。

また、マレーシアも他の国々同様に携帯電話やインターネットばどの普及が急速に進んでおり、通信部門の伸びが高い。

私が最近(05年2月)訪問して感じたマレーシア経済は全体として、やや元気がなくなってきているような印象を受けた。

それは昨年終わり頃から中国向けの輸出(電子部品が多い)の伸びがやや鈍化しているのと、ここ数年の設備投資の不振(中国に取られてしまっている?)の影響が出てきているのではないかと思われる。

それが、最近のインドネシア人などへの「不法就労者」追い出し策としても出てきているのではないだろうか?マレーシアが製造業の維持・発展を図るには隣国のインドネシア人の労働力を積極活用する以外に手はなさそうに思えるのだが。

 

表36-1 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、1987年価格、%)

表36-2 部門別成長率推移(前年同期比、1987年価格、%)

下の表43-1および2をご覧ください(最新版に修正)

資料出所;http:www.bnm.gov.my/

 

36-5. マレーシアの国別輸出(05年3月13日)

マレーシアの2004年の輸出は03年比20.5%の伸びとなり、03年の11.6%を大きく上回った。輸出の好調に支えられて製造業も9.8%(表36-2)と高い伸びを示し、雇用の好調は民間消費の高い伸び(10.1%、表36-1)に結びついた。

国別の特徴としては中国向けが24.2%と相変わらず好調であるが、韓国向けも45.8%と以上に高い伸びを示した。これは半導体の輸出増加によるものであろう。

金額が多いのは米国(シェア18.8%)、シンガポール(15.0%)、日本(10.1%)、中国(67%)となっている。中国向けは半導体、電子部品が多いが、最近はパーム油やゴムといた1次産品の輸出も好調である。

なお、香港向け(6.0%)はほとんどが中国向けと考えられ、それを足すと中国向け輸出は日本向けを上回ることになる。シンガポール向けの15.0%はほとんどが再輸出である。

ASEAN3国向けも03年7.8%⇒04年8.7%にシェアが拡大しているが、域内部品取引が多い。(続く)

表36-3. マレーシアの国別輸出(単位;100万ドル、%)

資料出所;マレーシア統計局「貿易統計月報」

注)右欄は対前年伸び率、下欄は国別シェア

 

43. 2005年のマレーシアの経済

43-1. 05年1Qの成長率は5.7%(05年5月27日)

マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)は5月25日(水)に2005年1Qの実質GDPが比較的高い5.7%の成長となったと発表した。これは農業部門とサービス部門(運輸・通信と商業・レストラン)が比較的好調で6%以上の伸びを達成した。

製造業も5.6%という堅調な伸びを示しているとはいえ、04年4Qからあたりから伸び率が鈍化し始めている。(産業別の分析が別途必要である)

建設は相変わらず不振である。これはシンガポールも同じである。ビル、マンション、ホテルなどの過剰感が影響している。

民間消費が10.1%と景気を下支えしている形となっている。輸出も9.5%と低下傾向にはあるがなお好調を維持している。投資の水準が伸び率2.0%と低い。それに伴い、輸入の伸び率が7.6%と04年の平均20.7%に比べ可なり落ちている。これは必ずしも歓迎すべきことではない。

通貨のリンギを98年あき以降1ドル=3.8リンギに固定していたことが他の通貨に比べリンギ安となり、それが今となっては輸出に有利に働いたという説明をしている。

 

43-2. 05年2Qの成長率は4.1%にダウン(05年8月25日)

マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)のゼティ(Zeti Akhtar Aziz)総裁が8月24日(水)に発表したところによると2005年2Qの実質GDPはが1Qの5.8%の成長に対し、4.1%とかなり鈍化した。

その結果、05年上期(1~6月)の成長率は4.9%となった。しかし、05年の下期(7~12月)にはやや回復し、通年では5~6%を維持できるとしている。

成長を引っ張っているのは民間部門で、国内需要が5.6%の成長を遂げ、民間消費と民間設備投資(内訳は公表していないが)が旺盛であるとしている。輸出の伸びが1Qの9.5%から2Qは7.9%とやや鈍化している点が気になるところである。

これは主力のエレクトロニクス部品の輸出(05年上期で8.8%)が伸び悩み始めたためと思われる。下の表43-3(輸出金額)を見る限り、原油価格高騰による石油関連と国際的に不足傾向にある木材関連の輸出の伸びががきわめて高い。

部門別(表43-2)に見ると製造業は3.2%と1Qの5.7%からはかなり鈍化している。鉱業(主に石油天然ガス)は-1.6%とマイナス成長になってしまった。主な理由は一部の油田やプラントが保全のために閉鎖されたということである。

下の表43-4の「主要工業品生産実績」を見ると、05年1~6月累計では、エレクトロニクス関連はほとんどが04年の半分も生産されていない。

また、鉄筋棒鋼や生コンも不振である。これは建設の不振を物語っている。GDPベースで見ても建設は相変わらず-2.0%と不振である。ビル、マンション、ホテルなどの過剰感が影響している。

海外からの直接投資は1Qの50億リンギに対し2Qは87億リンギと増加した。

通貨のリンギを98年秋以降1ドル=3.8リンギに固定していたが、中国の人民元と歩調をあわせ7月21日夕刻から管理フロート制に移行したが、目下のところ大きな変化はなく、8月24日現在1ドル=3.77リンギである。

 

43-3. 05年3Qの成長率は5.3%に上昇(05年12月2日)

マレーシアの05年3Q(7―9月)の実質GDPは5.3%と2Qの4.4%に比べ意外な回復をみせた。これは内需の好調と石油・天然ガスの輸出が好調であったこととエレクトロニクス関連製品の輸出がやや増加したためである。

これによってマレーシアの05年通年の成長率は5%台に乗せることは確実となったとみられる。

民間消費が10.4%ときわめて高い伸びを示した。理由はクレジット・カードの普及によって、借金でモノを買っている人が増えたこと以外に積極的な理由は見当たらない。

投資はハイテク部門を中心に比較的好調だが、不動産投資は不振である。新車の販売も伸びているという。

部門別ではサービス部門が7.3%の伸びを示したという(下の表にはない)。製造業の伸び率が3.4%と低いのは工業製品の輸出がさほど伸びなかったためであると考えられる。電子部品などは好調であるが半導体の輸出は減少している。

輸出全体としては7.5%の伸びとなったが、石油、天然ガスなどの伸びが大きかった(下の表43-3参照)。

全体的な印象として5%台の成長というには決定的な要因が見当たらない。将来ともあまり楽観はできない経済状態にあるものと推測される。ただし、タイやインドネシアやフィリピンなど他のASEAN諸国にくらべ多少はマシなのではないだろうか。

 

表43-1 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、1987年価格、%)

表43-2 部門別成長率推移(前年同期比、1987年価格、%)

上の2表は下(#43-4)に移動しました。

 

資料出所;マレーシア統計局

 

表43-4. マレーシアの主要工業製品の生産実績と伸び率(%)

1995

2000

2003

2004

集積回路(100万個)

10,277

21,424

23,424

30,249

半導体(100万個)

4,757

16,373

15,958

18,206

トランジスタ(100万個)

9,058

17,519

24,189

28,236

テレビ(1,000台)

9,461

10,551

9,915

9,895

ルーム・エアコン(1,000台)

3,071

1,880

2,017

1,685

家庭用冷蔵庫(1,000台)

295

215

187

80

乗用車(1,000台)

241

301

348

385

商用車(1,000台)

56

56

81

79

自動2輪車(1,000台)

329

274

257

390

合板(1,000立方米)

3,506

3,740

4,177

5,115

ケロシン(1,000トン)

1,877

2,533

3,056

3,165

液化天然ガス(1,000トン)

1,317

1,919

3,278

3,232

生コンクリート(1,000立方米)

4,659

8,057

11,201

9,928

棒鋼・線材(1,000トン)

2,462

2,584

3,347

3,005

集積回路(100万個)

10.1

43.8

17.6

29.1

半導体(100万個)

39.5

64.4

6.1

14.1

トランジスタ(100万個)

8.2

32.4

18.6

16.7

テレビ(1,000台)

22.8

35.1

-4.8

-0.2

ルーム・エアコン(1,000台)

1.8

59.8

-7.5

-16.4

家庭用冷蔵庫(1,000台)

10.4

10.8

8.5

-57.0

乗用車(1,000台)

39.0

16.5

-16.9

10.6

商用車(1,000台)

31.3

24.0

12.4

-2.9

自動2輪車(1,000台)

21.7

0.6

6.2

51.3

合板(1,000立方米)

18.5

1.1

5.2

22.4

ケロシン(1,000トン)

21.0

23.1

-3.6

3.6

液化天然ガス(1,000トン)

8.9

22.0

11.3

-1.4

生コンクリート(1,000立方米)

21.4

37.5

19.5

-11.4

棒鋼・線材(1,000トン)

6.6

14.3

3.9

-10.2

資料出所;マレーシア統計局

注)下欄は対前年比伸び率、05年1H(1~6月)で-50%以下は生産不振品目と見てよい。

 

43-4. 05年4Qの成長率は5.2%、通年で5.3%(06年3月2日)

マレーシアの05年4Q(10―12月)の実質GDPは5.2%と3Qの5.3%並みの成長を記録した。これは製造業の7.3%とサービス部門の6.0%に牽引されたものである。製造業は言うまでもなく輸出品の伸び(8.7%)であり、内需向け製造は-1.0%というさびしいものであった。この傾向は3Qも同じであった。

これによってマレーシアの05年通年の成長率は5.3%を達成した。

民間消費は3Qの10.4%に引き続き4Qも9.0%ときわめて高い伸びを示した。民間消費は物的なものからサービスの消費の方に向かっていることは明らかである。

総固定資本形成(設備投資が中心)は05年4Qはわずかに0.4%との伸びにとどまっていることが注目される。これが一時的現象であればさほど問題ないが、マレーシアは外国資本に「素通り」されてしまっているのかもしれない。

05年4Qとしては輸出が回復してきているのが目立つ。その中でもエレクトロニクス関連(半導体など)が急回復したといえよう。輸出がGDE(国内総支出)ベースで10.4%と高い伸びを示した。3Qは5.8%の伸びとであった。

マレーシアは5%台という比較的好調な数字にしては、シンガポール同様「閉塞感」が漂ってきている感じが否めない。特に電機品(組み立て加工)が中国やベトナムやインドネシアなどに移っていく中で、次の骨格となる産業が育っているというイメージが沸いてこない

マハティール時代から掛け声だけは威勢の良い「IT産業の誘致」だなどといっても、現在どれだけの中身になっているか疑問である。(続く)

 

55. 2006年のマレーシア経済

55-1.マレーシアの06年1Qの成長率は5.3%(06年6月1日)

マレーシアの06年1Q(1―3月)の実質GDPは5.3%と05年4Qの5.2%よりやや高めの成長となった。これは製造業の8.0%と農業部門の7.3%、サービス部門の5.2%に牽引されたものである。製造業は引き続き輸出品の伸び(10.1%)が好調であり、内需向け製造は0.7%という低い伸びにとどまった。

民間消費は6.1%と05年に比べ伸び率は鈍化したが、引き続き堅調な伸びを示している。

政府部門の消費は0.1%の伸びにとどまった。これはバダウィ首相の「財政健全化政策」を反映したものであろう。

総固定資本形成(設備投資が中心)は11.4%と大幅な伸びを記録した。内容については民間部門の活発な投資があったとされているが、建設部門がマイナス成長になっていることから「不動産投資」よりも機械設備投資が多かったものと推測される。政府部門の投資は少ない。

輸出がエレクトロニクス部門(半導体など)の回復が目覚しい。石油製品も好調な伸びを続けている。

 

55-2. マレーシアの06年2Qの経済成長率は5.9%と好調(06年8月30日)

マレーシアの06年2Q(4―6月)の実質GDPは5.9%と06年1Qの5.5%(5.3%を上方修正)より高めの成長となった。これは製造業の8.4%と前Qと同じく高い伸びを示したことと、サービス部門が金融関連の7.0%(前Q6.0%)、運輸・通信部門(内容的にはコンピューター関連)が6.9%、商業・飲食関係の6.6%といったサービス部門の伸びが好調であった。

民間消費は7.3%と前Qの7.5%に、引き続き好調を続けている。国民の消費マインドは雇用の安定化傾向(輸出関連の製造業の好調)から強めに推移しているという調査結果が報告されている。

政府部門の消費は前Qの0.1%から06年2Qは4.0%へと堅調な伸びをしめした。これはバダウィ政権が多少なりとも経済にカツを入れようとした現われかもしれない。実際、前Qはやや停滞感が強まりつつあった。

総固定資本形成(設備投資が中心)は7.6%と前Qの11.4%と大幅な伸びに比べればやや伸び率は下がったが好調を持続している。内容についは、建設部門がマイナス成長になっていることから「不動産投資」よりも機械設備投資が多かったものと推測される。

輸出が.4.9%と前Qの5.9%に引き続き堅調な伸びを示しているが、製造部門を輸出関連と内需関連に分けてみた数字が表3に示されている。

マレーシアの製造業は輸出の伸びにかなり支えられていることが良く理解できる。エレクトロニクス部門(半導体など)は好調だが、電機製品(カラーTVなど)は不振になってきているとも見て取れる。石油製品は依然として順調な伸びを続けている。

 

55-3. マレーシアの06年3Qの成長率は5.8%と好調続く(06年11月27日)

マレーシアの06年3Q(7―9月)の実質GDPは5.8%と06年2Qの6.2%(5.9%を上方修正)よりは低いが依然高めの成長を続けている。今3Qはサービス部門が6.5%の成長を示したことが大きい。

製造業は7.1%と2Qの8.4%と比べると若干鈍化しているがまずまずの伸びを示したといえよう。(表2-3はさらに部門別の細かい数字が出ているが毎Qのように数字が変わるのであまり参考にならない。)

民間消費は6.8%と前Qの7.3%に比べると若干鈍化しているが国民の消費マインドは雇用の安定化傾向を反映して比較的堅調である。

政府部門の消費は8.3%増と堅調な伸びを示した。バダウィ政権の成長志向の強さの反映であろう。

消費者物価指数は3Qは3.6%増で、2Qの4.1%よりやや安定化に向かっている。石油価格が安定してきているためである。

総固定資本形成(設備投資が中心)は3.5%と前Qの7.6%に比べれば伸び率はかなり下がった点が注目される。投資が鈍化傾向にあり、今後の外資の動向によっては中長期的な停滞も懸念される。

外貨準備は03年11月15日現在798億ドルと輸入の約8.1か月分、短期負債の6.7倍ある。

輸出が10.5%と前Qの4.9%に比べ大幅な伸びを示した。製造業製品で14.2%、農産品で20.4%と大きく伸びた。パーム油の24.5%とゴムの53%という異常な伸びが目立った。ゴムは価格の急騰によるところが大きかった。鉱物部門の伸びは1.3%に過ぎなかった。

輸入の伸びも7.4%と高かった。貿易収支の黒字は3Qは289億リンギと2Qの229億リンギを大幅に上回った。

 

55-4.マレーシアの06年12月は輸出が鈍化(07年2月12日)

マレーシアの2006年の経済は個人消費と輸出の好調によって支えられてきたといえるが、肝心の輸出が06年12月には予想以上に鈍化していることが判明した。同様な傾向は半導体などエレクトロニクス部品関連の輸出のウエイトが大きかった韓国や台湾にも見られる。

06年12月の貿易速報によれば輸出は525.1億リンギ(1米ドル≒3.5リンギ)と前年同月比+6.1%という低い伸びにとどまった。06年11月には17.5%という高い伸び率であったことから、その落差の大きさが目立った。

一方、輸入は406.6億リンギと前年同期比+1.6%とこれも低い数字であった。したがって、貿易黒字は118.4億リンギと11月の87.8億リンギよりもむしろ拡大した。

2006年通年では輸出は5,889億5千万リンギ(1,685.6億ドル)となり、05年比10.3%であった。

2007年の輸出見通しについては「ハイテク製品サイクル」が下方に向かいつつあり、エレクトロニクス関連が輸出の50%を超えるマレーシアでは8%も伸びれば上々ではないかという見方が出てきている。

(WSJ,07年2月12日付けインターネット版参照)

 

55-5.マレーシアの06年4Qの成長率は5.7%、通年で5.9%(07年3月2日)

マレーシアの06年4Q(10―12月)の実質GDPは5.7%と06年3Qの5.8%とほぼ同水準の高めの成長を続けている。今4Qはサービス部門が7.0%の成長を示したことが大きい。サービス部門とは下の表の電気ガス以下の合計である。

農業部門の伸びもパーム油やゴムが好調で6.5%と安定した成長を示した。一方、今まで成長を牽引してきた製造業が輸出の伸びの鈍化に伴い、スロー・ダウンしてきて4.3%の伸びにとどまった。

2006年通年では5.9%と05年の5.2%を上回る成長を遂げた。製造部門7.0%、サービス部門6.5%、農業6.4%とそれぞれバランスの取れた成長であった。

しかし、気になるのは工業品輸出が06年末からスロー・ダウンし始めたことで、エレクトロニクス関連(半導体、電子部品)の伸びも06年4Qには5%程度の伸びにとどまった。これは台湾や韓国にも見られる現象である。

組立て電気製品(カラーTV゙など)は既にここ数年マイナス成長を続けている。

 

表55-5-1 部門別成長率推移(前年同期比、1987年価格、%)

表55-5-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、1987年価格、%)

表55-5-3.製造部門の成長率(%)

表は72に移動しました。

 

72.2007年のマレーシア経済

72-1.マレーシアの07年1Qの成長率は5.3%、製造業の危機(07年5月31日)

マレーシアの07年1Q(1~3月)の実質GDPは5.3%と06年4Qの5.7%よりやや低下した。

今Qはマレーシアの経済構造が大きく変わりつつあるかのような印象を受ける。というのは製造業の伸びがわずかに1.7%に過ぎず、サービス部門が概して高い成長を遂げている。これは06年4Qから目立ち始めた傾向である。

製造業の伸びの鈍化は輸出がわずか1.9%の伸びにとどまったことに対応している。これも06年4Qか見られる傾向である。その主な原因はエレクトロニクス関連(電子部品や組立て品)の輸出が極度に不振に陥りつつあるためである。

鉱業の-1.1%は主に原油の生産の不振の表れである。

建設は4.0%とやや回復した。不動産・ビジネス・サービスの27.3%という異常な伸びと関連している。

個人消費が+8.6%と経済を引っ張る形になっている。

マレーシア経済も輸出=製造業の伸びというパターンからサービス=個人消費中心の経済に転換しつつあるのであろうか。もう少し推移を見守る必要がある。

工業品輸出が06年末からスロー・ダウンし始めたことで、エレクトロニクス関連(半導体、電子部品)の生産の伸び(表3)が06年4Qには4.5%程度に鈍化したものが、07年1Qには-3.4%とマイナスに転じている。電機製品(カラーTVなどの組立て加工品)については-10.1%とさらにひどい落ち込みとなっている。

これは中国との競争にマレーシアが負けてしまったことを意味している。電子部品関係でも中国の自給体勢が整うにつれたマレーシアからの輸出は減ってきている。

また、内需型製造業の中でも輸送機械(主に自動車)は06年鋼板からマイナスに転じており、07年1Qに至っては-27.9%という惨憺たる有様である。

まさにマレーシアの製造業は危機的な様相を深めつつある。

 

72-2.マレーシアの07年2Qの成長率は5.7%、製造業1.5%(07年9月12日)

マレーシアの07年2Q(4~6月)の実質GDPは5.7%と1Qの5.5%(速報5.3%)よりやや向上した。

今Qはマレーシアの経済構造が前Qに続き大きく変わりつつある。というのは製造業の伸びがわずかに1.5%(1Q=2.0%)に過ぎず、サービス部門で9.2%(1Q=9.7%)という異常とも思えるて高い成長率を稼ぎ、何とか5%大の成長を維持しているとしか見えない。

フィリピン同様、成長の内容が悪化している。東南アジアの経済が「製造業の沈没傾向」で全体的におかしくなってきている。

製造業の伸びの鈍化は輸出がわずか3.0%(1Q=1.9%)という低い伸びにとどまったことに対応している。これも06年4Qか見られる傾向である。 その主な原因はエレクトロニクス関連(電子部品や組立て品)の輸出が極度に不振に陥りつつあるためである。

鉱業の7.7%と1Qの-0.6%に比べ大幅に回復している。

建設は4.6%と比較的堅調な伸びを示している(1Q%)。商業、ホテル、金融、不動産・ビジネス・サービスがいずれも10%以上の伸びを示すというという異常な姿になっている。

個人消費が何と13.1%という高い伸びとなっている(1Q=+8.6%)、マレーシアのような貧困層も負い国で、こんなことは本来ありえない。

マレーシア経済も輸出=製造業の伸びというパターンからサービス=個人消費中心の経済に転換しつつあるのであろうか。もしそうだとすれば、マレーシア経済の将来は暗い。サービス産業だけで5~6%といった成長を維持していくことは不可能である。

 

72-3.マレーシアの07年の成長率は6.3%、サービス部門が成長の主役?(08年2月28日)

マレーシアの07年4Q(4~6月)の実質GDPは7.3%と3Qの6.6%よりも一段と高い伸びを示した。07年通算で6.3%と06年の5.9%よりも高い伸びを示した。しかし、輸出の伸びが製造業については完全に鈍化し、半導体こそ3.2%の伸びを維持したものの電子部品などエレクトロニクス関連は大きくマイナスになっている。これはマレーシア経済にとって大きなピンチが到来したと見るべきである。

07年のマレーシアの経済は製造業の伸びがわずかに3.1%(06年=7.1%)に過ぎず、サービス部門で9.7%(06年=7.2%)という異常とも思えるて高い成長率を稼ぎ、何とか6%台の成長を維持しているとしか見えない。

フィリピン同様、成長の内容が悪化している。東南アジアの経済が「製造業の沈没傾向」で全体的におかしくなってきている。例外はタイとベトナムのみである。

製造業の伸びの鈍化は輸出がわずか4.1%(06年=8.6%)という低い伸びにとどまったことに対応している。ただし、07年4Qのみは7.4%とやや回復したかにみえる。

建設は4.6%と 3年続きのマイナス成長からようやくプラスに転じた。

サービス部門は商業=12.1%、ホテル=10.9%、金融=10.7%、不動産・ビジネス・サービス=20.6%という異常な数字である

個人消費が何と11.7%という高い伸びとなっている(06年=7.1%)、マレーシアのような貧困層も多い国で、こんなことは本来ありえない。

固定資本形成が10.2%(06年=7.9%)と2桁の伸びとなったが、不動産投資の伸びが比較的大きい。これは要注意である。ジョホールの工業団地の開発が始まったことが虚しているものと思われる。

マレーシア経済も輸出=製造業の伸びというパターンからサービス=個人消費中心の経済に転換しつつあるのであろうか。もしそうだとすれば、マレーシア経済の将来は暗い。サービス産業だけで5~6%といった成長を維持していくことは不可能である。

輸出の動向については第3表に見るとおり、07年の製造業品目の伸び率がわずかに0.3%、主力の半導体・エレクトロニクス関連は-4.2%と落ち込んでいるのである。これはマレーシア経済にとっては実に由々しき大問題である。

 

表72-1-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2004

2005

2006 2007 06/3Q 06/4Q 07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q

農林水産

4.7

2.5

5.2 2.2 5.5 5.1 2.2 -0.9 0.7 6.9

鉱業

4.1

-1.3

-0.4 3.2 0.1 2.1 -0.6 7.7 2.3 3.5

製造業

9.6

5.3

7.1 3.1 7.2 4.0 2.0 1.5 3.3 5.6

建設

-0.9

-1.8

-0.5 4.6 -0.4 0.6 4.0 4.8 4.7 4.7

電気ガス

6.7 5.6 5.2 4.0 5.3 6.2 4.3 4.5 2.9 4.4

商業

8.4 9.2 7.1 12.1 6.1 6.0 9.1 11.1 12.4 12.3
ホテル・食堂 10.4 3.0 6.0 10.9 5.7 9.1 8.1 10.3 10.3 10.3

運輸・倉庫

6.8 4.8 5.2 10.2 5.7 6.7 5.5 9.3 13.1 12.7
通信 9.7 7.3 6.8 6.9 7.5 6.8 5.3 8.0 7.1 7.1

金融・保険

5.0 6.2 7.7 10.7 9.1 8.8 13.2 11.0 8.8 9.8
不動産・ビジネスサービス 4.2 7.1 9.9 20.6 12.0 15.6 27.3 19.5 25.1 11.0

政府

5.8 8.0 9.8 4.2 7.9 10.6 6.0 2.8 3.8 4.2

その他

4.2 4.3 4.7 5.0 4.2 4.5 4.2 5.4 4.9 5.4

実質GDP

6.8

5.0

5.9 6.3 6.0 5.7 5.5 5.8 6.6 7.3

 

表72-1-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2005

2006 2007

06/3Q

06/4Q 07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q

民間消費

8.7 7.1 11.7 7.0 7.0 8.6 13.1 14.0 11.1

政府消費

6.4 5.0 6.4 9.9 4.1 7.1 10.2 5.3 4.4

総固定資本形成

5.0 7.9 10.2 3.5 9.8 9.9 6.6 13.5 11.0

輸出(含サービス)

7.9 7.4 3.7 11.9 5.2 1.9 3.0 2.5 7.4

輸入(含サービス)

8.9 8.6 4.1 8.7 5.0 3.5 1.4 1.4 9.6

国内総支出

5.0

5.9

6.3

6.0 5.7 5.5 5.8 6.6 7.3

 

 

76.08年のマレーシア経済

76-1.マレーシア08年度予算案、個人所得税は不変、法人税は1%カット(07年9月10日)

マレーシア政府は08年の予算案を9月7日(金)に発表した。予算規模は前年度比2.5%増の1,690億リンギ(≒5兆4600億円)である。

個人所得税率は従来どおりで上限を28%とするが、法人税は2008年26%、2009年25%と少しずつ引き下げるというものである。また、住宅取得税も軽減されるという。財政面からの景気浮揚策は多くを期待できない。

法人税はシンガポールは18%であり、タイは30%で、マレーシアはその中間にある。もっと大幅な減税が望まれるなどという向きも多いらしいが、それは出来ない相談であろう。

シンガポールに逃げるべき企業はとっくの昔に逃げていってしまっているので、少しくらい税金が高くともマレーシアに踏みとどまるべき企業は残るというのが政府の考えである。

それでも財政赤字はGDPの3.1%にたすると言う(07年度は3.2%)。

対外的には中近東との経済関係を強化するという。特に、イスラム銀行の東南アジアでの「営業センター」を目指すという。

経済成長率は6%以上を目指し(今年の実績見込みは5.5%前後か?)、輸出は今年の対前年伸び率4.8%に対し、6.8%ととし、製造業の伸び率は3.1%から3.8%へと0.8%の増加を見込んでいるという。

最近輸出の伸びが鈍化し、製造業の伸びもそれにつれて鈍化し、閉塞感が強まりつつあるマレーシア経済だが、政府もこれといった対策を立てかねている様子がありありと窺える。

76-2.マレーシアの08年1Qの成長率は7.1%と絶好調?(08年6月2日)

マレーシアの08年1Q(1~3月)の実質GDPは7.1%と07/4Qの7.3%なみの高い伸びを示した。

製造業についてはやや回復し6.9%の伸びとなった。これは、07/4Qの5.8%よりも一段と良くなっている。マレーシア銀行は輸出国内両方の要因から回復していると説明している。しかし、後述のごとく半導体を中心とするエレクトロニクス製品の輸出は大きく落ち込んでいるのである。1次産品の輸出(パーム油、石油)の+50.3%で輸出全体の伸び(9.8%)を維持しているに過ぎない。要警戒である。

内需が良くなったというが民間消費が実に11.8%である。これによって2007年の2Q以降連続して2桁成長を続けていることになるが、民間消費の性質上こんあことは本来起こりえない。2桁成長の裏図家になる家計の収入はそんなに増えるはずがない。

タイ以外ではインドネシアやフィリピンもこの「民間消費」で高めの成長率を維持している。奇妙な話である。

建設は5.3%とマイルドな伸びを示している。

サービス部門は商業=12.4%、ホテル=10.0%、金融=9.9%、運輸・倉庫=9.8%とかなり高い数字である。不動産・ビジネス・サービス=4.5%と前Qの11.1%からみるとかなり鈍化した。不動産バブルが軟着陸したのであろうか?

固定資本形成が6.0%と前Qの10.2%にくらべ鈍化している。外国資本の製造業の投資というよりは不動産投資の伸びが比較的大きい。これは要注意である。ジョホールの工業団地の開発が始まったことが虚しているものと思われる。

マレーシア経済も輸出=製造業の伸びというパターンからサービス=個人消費中心の経済に転換しつつあるのであろうか。もしそうだとすれば、マレーシア経済の将来は暗い。サービス産業だけで5~6%といった成長を維持していくことは不可能である。

輸出の動向については第3表に見るとおり、07年の製造業品目の伸び率がわずかに0.3%、主力の半導体・エレクトロニクス関連は-4.2%と落ち込んでいるのである。これはマレーシア経済にとっては実に由々しき大問題である。化学品やゴム製品で伸びが高いが、これらでエレクトロニクス関連の落ちをカバーしきれるものではない。

08年1Qの輸出の動向(6月10日追加)

さらに、08年1Qの輸出の伸び率(前年同期比)を見ると、驚くべき傾向が見られる(第4表参照)。それは半導体が実に24.7%も減少しているのである。消費者用電気製品は16.2%と伸びてはいるが、ほかのエレクトロにクス関連は減少している。エレクトロニクス全体の輸出が9.4%も減少していることは今までのマレーシアの輸出の中心であったこの分野が明らかに変調をきたしていることを物語っている。

マレーシア中央銀行は化学製品が伸びていることを強調しているが、その伸びは6.7%にとどまり、石油製品の伸びが+93.4%と飛躍的に増加している。

さらに注目すべきは1次産品が大きく伸びていることである。金額的にはパーム油+104.3%、石油+50.9%、LNG+24.7%,ゴム30.4%であり、錫も金額は小さいが263.7%の伸びとなっており、木材を含めた1次産品6品目で50.6%となった。

その結果輸出金額は9.8%増加した。しかし、製造業製品の伸びはわずかに0.8%しか伸びなかった。

輸出に占めるエレクトロニクス製品のシェアは07年1Qには49.2%と焼く半数近くを占めていたが、08年1Qには40.6%と大きく落ち込んだ。

一方パーム油は07年1Qは3..8%であったが、08年1Qには7.1%と大きく増加した。石油製品は2.8%→5.0%へ、石油は5.0%→6.9%へとシェアを拡大した。
  

表76-1-3 マレーシアの製造業品の輸出、伸び率(100万リンギ、%)

2005

2006

2007

05/04

06/05

07/06

半導体

89,967

93,505

96,460

0.7

3.9

3.2

電気機械・部品

118,265

127,752

117,035

19.1

8.0

-8.4

消費者用電器

22,632

19,099

16,437

2.1

-15.6

-13.9

商業用電機

28,608

34,489

29,606

11.0

20.6

-14.2

電気産業機械

10,476

22,844

25,207

-41.1

118.1

10.3

家電製品

2,831

3,172

3,531

3.9

12.0

11.3

エレクトロニクス計

272,779

300,861

288,276

6.1

10.3

-4.2

繊維

10,520

11,226

10,657

1.9

6.7

-5.1

化学品

29,715

32,893

37,399

7.0

10.7

13.7

ゴム製品

6,777

9,101

10,298

12.3

34.3

13.2

輸送機械

6,993

8,669

8,397

31.3

24.0

-3.1

木製品

8,860

10,343

9,689

2.1

16.7

-6.3

金属製品

17,157

22,817

26,400

6.3

33.0

15.7

石油製品

16,729

21,274

22,041

24.7

27.2

3.6

光学機器

12,518

13,558

13,613

8.2

8.3

0.4

製造製品計

429,873

473,313

474,541

10.1

10.1

0.3

輸出総額 536,955 588,965 605,099 11.4 9.7 2.7

表76-1-4 08年1Qの品目別輸出、伸び率(100万リンギ、%)


表76-1-4 08年1Qの品目別輸出構成比(%)

資料出所;http:www.bnm.gov.my/ 

 

76-3.マレーシアの08年2Qの成長率は6.3%と好調維持?(08年9月3日)

マレーシアの082Q(4~6月)の実質GDPは6.3%と1Qの7.1%に比べればやや下がったが依然高い伸びを示した。

製造業については1Qの7.0%に比べれば2Qはやや鈍化して5.9%の伸びとなった。輸出は9.7%と1Qの6.0%より高い伸びとなったが、これは工業品よりも1次産品の増加に負うところが多きいい。

民間消費が1Qの11.8%に引き続き9.0%も伸びているのはどう考えても納得がいかない。2007年の2Q以降08年1Qまで連続して2桁成長を続けており、2Qもさほど落ちる気配がない。

タイ以外ではインドネシアやフィリピンもこの「民間消費」で高めの成長率を維持している。奇妙な話である。

建設は1Qの5.3%に比べれば2Qは3.9%とやや鈍化した。マレーシアの不動産投機はやや生きすぎが指摘されていた。

サービス部門は商業が12.6%(1Q-11.9%)と異常に高い。ホテルは7.3%(1Q=10.0%)、金融7.5%(1Q=9.9%)、運輸・倉庫は8.9%(1Q=9.9%)とかなり高い数字を維持している。不動産・ビジネス・サービスは3.9%(1Q=4.5%)と沈静気味である。

固定資本形成が5.0%(1Q=6.0%)と07年い比べ鈍化傾向は否めない。

輸出は(表6-3-3)は金額ベース(名目)で2Qは20.8%(1Q=9.9)と大きく伸びた。製造業製品の伸びは14.3%(1Q=1.0%)とやや回復した。エレクトロニクス関連は1Qはマイナス9.4%であったが2Qは9.2%のプラスに転じた。とりわけ半導体は1Q=-24.7%であったものが2Q=13.2%のプラスとなった。

しかし、07/3Qあたりと比べても金額的には伸びていないことがこの表からも窺える。製造業製品で伸びが大きいのは化学、石油製品、ゴム製品といった国内の資源を利用する産業である。

光学器械だけは+22.1%(1Q=7.2%)と比較的伸びが高い。

一方、1次産品系は伸びが著しい。ゴム=21.8%、パーム油=80.1%、石油=63.7%、LNG=34.8%などである。1次産品6品目の伸びは実に54.8%となった。

政府はマレーシア経済は輸出=製造業の伸びというパターンからサービス=個人消費中心の経済に転換しつつあるということを強調したいのかも知れないが納得できる根拠が提示されていない。もしそうだとすれば、マレーシア経済の将来は暗い。サービス産業だけで5~6%といった適度な成長を維持していくことは不可能である

表76-3-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

 

表76-3-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)


表76-3-3 08年2
Qの品目別輸出、伸び率(100万リンギ、%)


76-4.マレーシア自由化を進め経済の浮上を目指す(08年10月21日)

マレーシアは株価の低迷が目立ち、全体的な経済の浮揚を目指す必要があるとして、副首相兼財務相は一連の対策を打ち出す方針であることを明らかにした。

その一環としてサービス部門の自由化と、外国資本が土地の取得や不動産への投資をやりやすくする政策に踏み切るとしている。

また、財政事情は苦しいが、従来企画されていた大型プロジェクトなどは引き続きやりぬく方針であるという。

2009年の経済見通しとしてはパーム油や原油の輸出が低迷することから成長率が鈍化し、5.4%にまで落ちると予測している。

民間の権威あるシンク・タンクのMIER(Malaysian Institute of Economic Research,会長モハメド・アリフ博士)はもっと悲観的に見ていて、アメリカの不況の影響があり、3.4%程度の成長にとどまると見ている。

半導体やエレクトロニクス関連の輸出の低迷を考えればこのような見方は当然であろう。マレーシアは1次産品の輸出増で、工業製品の不調をカバーしてきたが、来年は両方とも不振であり、マレーシア経済の脆弱性が浮き彫りにされるという見方である。


76-5. マレーシアの08年3Qの成長率は4.7%とまずまず?(08年12月1日)

マレーシアの08/3Q(7~9月)の実質GDPは4.7%と1Qの7.4%、2Qの6.7%に比べれば下がったが、世界的不況の経済環境の中ではまずまずの数字である。

製造業が3Qは1.8%と1Qの7.0%、2Qの5.6%の伸びにくらべガタ落ちである。これは輸出が5.1%と1Qの6.0%、2Qの9.7%にくらべ鈍化したことと、建設も1.2%と1Qの5.3%、2Qの3.9%に比べ大幅に鈍化したことの反映である。

しかし、民間消費が1Qの11.8%、2Qの9.0%にくらべ3Qは8.1%にやや鈍化したとはいえ、毎Qこのような高い伸びを続けている理由が全くわからない。

マレーシアも国内は不況であり、民間消費だけが突出しているのは解せない話しである。政府消費は1Q=14.7%、2Q=10.9%と高かった(今回大幅に修正した)が3Q=6.8%とややダウンした。

輸出について(5-3表参照)

主力のエレクトロニクス関連の伸びが2.9%と2Qの9.2%にくらべかなり鈍化している。半導体にいたっては伸び率ゼロ%である。電機部品も伸び率は-4.9%である。家電製品が50.4%と大きく伸びたが、金額的にはそう多くはない。

化学品(+22.9%)やゴム製品(+31.2%)や石油製品(+68.3%)の伸びが大きく、全体の伸び率を+16.9%と押し上げている。しかし、装置産業の伸びは雇用増に派あまり貢献しない。


表76-5-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2005

2006 2007 07/2Q 07/3Q 07/4Q  08/1Q 08/2Q 08/3Q

農林水産

2.6

5.4 2.2 -1.5 1.9 4.7 6.3  6.0 3.0

鉱業

-0.4

-2.7 3.3 7.8 2.5 3.5 3.7  -0.5 -0.3

製造業

5.2

7.1 3.1 1.5 3.3 5.8 7.0  5.6 1.8

建設

-1.5

-0.5 4.6 4.8 4.7 4.7 5.3  3.9 1.2

電気ガス

5.7 5.6 3.9 5.6 2.7 3.0 4.6  4.1 1.7

商業

9.2 7.0 12.5 12.1 15.2 12.9 11.9  12.6 9.4
ホテル・食堂 6.4 6.0 10.8 10.4 12.6 12.3 10.0  7.3 4.3

運輸・倉庫

4.9 5.3 10.0 9.0 12.7 12.4 9.9  8.1 5.9
通信 7.3 7.1 7.0 8.1 7.2 7.2 7.5  7.9 7.4

金融・保険

6.3 7.6 11.1 11.6 9.3 10.0 9.9  7.5 10.0
不動産・ビジネスサービス 11.1 10.1 18.2 17.4 22.2 11.1 4.8  3.9 -1.8

政府

7.5 10.3 4.5 2.9 3.8 5.0 7.5  10.0 11.5

その他

4.3 4.8 5.0 5.1 5.9 5.4 5.0  5.0 5.0

実質GDP

5.3

5.8 6.3 5.7 6.7 7.3 7.4  6.7 4.7

 

表76-5-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2005

2006 2007 07/2Q 07/3Q 07/4Q 08/1Q  08/2Q 08/3Q

民間消費

9.1 6.5 10.8 12.3 13.0 10.2 11.7  9.0 8.1

政府消費

6.4 4.9 6.6 10.4 6.0 4.2 14.7  10.9 6.8

総固定資本形成

5.0 7.9 9.6 6.0 12.8 10.2 6.0  5.6 3.1

輸出(含サービス)

8.3 7.0 4.2 3.4 2.9 7.8 6.0  9.7 5.1

輸入(含サービス)

8.9 8.5 5.4 2.6 3.1 11.0 3.4  8.4 8.2

国内総支出

5.0

5.8

6.3

5.7 6.8 7.3 7.4  6.7
4.7


表76-5-3 08年3Qの品目別輸出、伸び率(100万リンギ、%)

07/4Q 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/1Q 08/2Q 08/3Q
半導体 23,664 17,252 26,659 26,366 -24.7 13.2 0.0
電気機械・部品 32,433 26,651 27,632 28,221 -2.5 1.0 -4.9
消費者用電器 4,721 3,908 5,174 6,889 16.2 36.0 50.4
商業用電器 7,869 6,425 8,049 9,469 -9.3 19.8 18.1
電器産業機械 5,803 6,452 6,751 6,324 0.0 3.8 -1.6
家電製品 869 901 843 938 9.2 -3.7 -2.7
エレクトロニクス計 75,359 61,589 75,109 78,206 -9.4 9.2 2.9
繊維 2,641 2,453 2,726 3,165 3.3 5.7 4.2
化学品 9,946 9,936 11,335 11,396 6.8 27.3 22.9
ゴム製品 2,836 2,937 3,101 3,477 23.3 26.4 31.2
輸送機械 2,214 2,091 2,691 2,449 0.3 40.2 13.0
木製品 2,204 2,254 2,507 2,735 -9.5 -4.3 15.2
金属製品 6,891 7,406 7,293 8,240 26.9 8.4 18.5
石油製品 6,912 7,662 8,922 9,388 96.7 56.3 68.3
光学機器 3,346 3,107 4,294 3,835 7.2 22.1 -0.4
製造製品計 125,008 111,475 131,367 138,588 1.0 14.3 11.3
ゴム 1,930 2,165 2,107 2,501 30.8 21.8 23.8
パーム油 10,507 10,587 12,592 13,637 102.2 82.4 46.1
木材 1,421 1,365 1,390 1,392 -11.9 -8.6 -18.9
361 371 561 482 263.7 567.9 106.9
石油 10,033 10,371 11,822 12,462 49.6 64.7 61.1
LNG 7,121 8,235 8,459 9,312 24.7 34.8 51.2
6品目小計 31,373 33,094 36,931 39,786 49.9 55.9 46.3
輸出総額 163,492 151,798 175,169 185,246 9.9 20.8 16.9


76-6.マレーシアの08年4Q成長率は0.1%、通年で4.6%(09年2月27日、3月4日追加)

マレーシアの08/4Q(10~12月)の実質GDPはわずかに0.1%の伸びにとどまった。3Q=4.7%から一気にゼロ成長になった。しかし、タイの-4.3%に比べ、さほど大きな差があるように見えない。タイはかなり「正直ベース」に近い数字を出している。

毎回指摘しているが、マレーシア、インドネシア、フィリピンがいままで比較的好調な成長をしてきたかに見えるのは個人消費が5%もの伸びを続けるというようなおよそありえない数字を公表してきたためである。

輸出が3Q=+5.3%から4Qはマイナス10.1%と大きく減少した。マレーシアはGDPよりも輸出金額の方が大きいという特異な形の経済構造である。輸出が実質で10%も減れば、ほかでいくら頑張っても経済成長がプラスになるはずがない。

輸出の実額は下の表3にみるとおりである。半導体、エレクトロニクス部品の落ち込みが大きい。08年12月だけをみると、前年同月比で半導体が-29.%、電機部品が-33.7%である。この2品目がマレーシアにとっては産業の目玉である。

化学品は-16.5%、石油製品は-23.6%とこれらの減少も大きい。消費者用電器が伸びているのはパナソニックなど一部のメーカーがマレーシアに生産拠点を最近移したことによるものと思われる。

1次産品はゴムの減少が-30.8%と大きい。これは自動車販売の落ち込みを反映したものである。

⇒GDPの部門別成長率で製造業が実に-8.8%(09年3月12日)

3月12日部門別の伸び率がうBNM(Bank Negara Malysia)のウエブ・サイトに公表された。このように国内総支出(GDE)に比べ部門別国内総生産の公表の時期が大幅に遅れるというのは異例である。背後にどのような事情があったかは不明である。

驚くべきことに製造業部門が-8.8%と大幅に落ち込んでいることである。鉱業も-5.7%となった。プラスを出しているのは政府部門の+18.2%というあきれるほどの数字である。
あとはサービス部門のホテウル・レストラン+7.4%、通信+6.3%、商業+5.9%などでプラスが目立つ。

これらの部門が製造業の-8.8%と鉱業の-5.7%をカバーしているというのが公式な説明である。また、工業部門が不振の中でサービス部門の伸びがこれほど高かったか否かは疑問の残るところである。

マレーシア経済の実態は悪いことは確かなようだ。それは最近の株価動向にも現れている。

表76-5-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

09年3月12日入手

 

表76-5-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

09年2月27日公表



表76-5-3 08年4Qの品目別輸出、伸び率(100万リンギ、%)



ME09-1.マレーシア基準金利0.75%下げ2.5%に、インテル工場閉鎖(09年1月22日)

マレーシア中央銀行は基準金利であるOPR(Overnight Policy Rate)を0.75%切り下げ2.50%とすると発表した。これはいうまでもなく国内経済の不況の深刻化に対応するものである。さらに、年内には2%を切るところまで引き下げられrであろうと実ら得ている。

隣国タイはいち早く1月15日に基準金利を2.75%から2.00%へとやはり0.75%切り下げた。タイは2003年には1.25%まで下げたことがある。こては米国のITバブルの崩壊にともなうものであった。

マレーシアは財政面からのテコ入れを実施してきており、財政赤字は2009年にはGDPの4.8%に達すると見られている。

おりしもインテルが人員削減策を発表し、ペナンの2工場が閉鎖され、約2,000人(ほとんどが女子)が解雇されるという衝撃的なニュースが伝えられた。フィリピンのカビテも1工場が閉鎖される。いずれも1970年代に稼動を開始した旧式工場である。

インテルはできるだけ他の職場を斡旋するなり閉鎖の時期をずらすなどして、純粋の解雇者は最低限に抑えたいとしている。インテルとしてはペナンの2工場をより新しいケダ州のクリム(Kulim)ハイテク・パークの工場に集約する方針であるという。しかし、実際にどれだけの従業員がそこで雇用されるかは明らかにされていない。

インテルの08年4Qの利益は2億3400万ドルと、前年同期比で90%マイナスであった。

ME09-2.マレーシアの09年1Qの成長率は-6.2%(09年6月1日)

マレーシアの09/1Q(1~3月)の実質GDPは-6.2%と大幅なマイナスとなった。08/4Qは+0.1%であった。

輸出の-15.2%が大きく響き、製造業は-17.6%となった。08/4Qは輸出が-13.3%であったが、製造業は-8.8%であった。

民間消費も09/1Q=-0.7%とマイナスに転じたが、08/4Q=+5.3.%であった。08年の民間消費の数字自体に問題があったことは今まで再三指摘してきたとおりである。

輸出の実額は下の表3にみるとおりである。家電製品、エレクトロニクス部品の落ち込みが大きい。
今回、1次産品の落ち込みはエレクトロニクス関連のマイナスを上回る。

表ME09-1-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2006 2007 2008  08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q

農林水産

5.4 2.2 3.8 6.3  6.0 3.0 0.5 -4.3

鉱業

-2.7 3.3 -0.8 3.7  -0.5 -0.3 -5.7 -5.2

製造業

7.1 3.1 1.3 7.0  5.6 1.8 -8.8 -17.6

建設

-0.5 4.6 2.1 5.3  3.9 1.2 -1.6 0.6

電気ガス

5.6 3.9 2.1 4.6  4.1 1.7 -2.6 -8.2

商業

7.0 12.5 9.8 11.9  12.6 9.4 5.9 -1.7
ホテル・食堂 6.0 10.8 7.3 10.0  7.3 4.3 7.4 2.1

運輸・倉庫

5.3 10.0 6.1 9.9  8.1 5.9 1.0 -3.9
通信 7.1 7.0 7.3 7.5  7.9 7.4 6.3 4.9

金融・保険

7.6 11.1 7.7 9.9  7.5 10.0 3.5 1.2
不動産・ビジネスサービス 10.1 18.2 1.5 4.8  3.9 -1.8 -0.4 -6.7

政府

10.3 4.5 11.9 7.5  10.0 11.5 18.2 2.8

その他

4.8 5.0 4.9 5.0  5.3 5.3 5.3 5.2

実質GDP

5.8 6.3 4.6 7.4  6.6 4.8 0.1 -6.2

09年3月12日入手

 

表ME09-1-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2006 2007 2008 08/1Q  08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q

民間消費

6.5 10.8 8.4 11.3 
9.4
8.2
5.3 -0.7

政府消費

4.9 6.6 11.6 14.1  10.3
6.4 12.7 2.1

総固定資本形成

7.9 9.6 1.1 4.6  5.6 3.1 -10.2 -10.8

輸出(含サービス)

7.0 4.2 1.5 5.9  9.5 4.5 -13.3 -15.2

輸入(含サービス)

8.5 5.4 2.2 3.2  8.1 7.7 -10.2 -23.5

国内総支出

5.8

6.3

4.6 7.4  6.6
4.8 0.1 -6.2

09年2月27日公表



表ME09-1-3 09年1Qの品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)修正後

08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q
半導体 26,659 26,376 19,532 17,875 0.1 -17.5 3.6
電気機械・部品 27,632 28,220 23,610 18,451 -4.9 -27.2 -30.8
消費者用電器 5,174 6,890 5,417 2,739 50.5 14.7 -29.9
商業用電器 8,049 9,469 7,145 7,008 18.1 -9.2 9.1
電器産業機械 6,751 6,325 5,862 4,987 -1.5 1.0 -22.7
家電製品 843 938 809 838 -2.7 -6.9 -7.0
エレクトロニクス計 75,109 78,218 62,376 51,897 2.9 -17.2 -15.7
繊維 2,726 3,132 2,601 2,302 3.1 -1.5 -6.2
化学品 11,335 11,398 8,258 6,971 23.0 -17.0 -29.8
ゴム製品 3,101 3,509 2,879 2,694 32.4 1.5 -8.3
輸送機械 2,691 2,449 2,299 2,556 13.0 3.8 22.2
木製品 2,507 2,722 2,285 1,692 14.6 3.7 -24.9
金属製品 7,293 8,239 6,319 5,168 18.5 -8.3 -30.2
石油製品 8,922 9,362 5,204 4,535 67.8 -24.7 -40.8
光学機器 4,294 3,835 3,708 2,702 -0.4 10.8 -13.0
製造製品計 131,367 138,711 110,377 90,246 11.4 -11.7 -19.0
ゴム 2,107 2,501 1,338 893 23.8 -30.7 -58.8
パーム油 12,592 13,504 9,271 7,837 44.7 -11.8 -26.0
木材 1,390 1,454 1,301 974 -15.3 -8.4 -28.6
561 482 284 197 106.9 -21.3 -46.9
石油 11,822 12,462 8,385 5,067 61.1 -16.4 -51.1
LNG 8,459 9,312 14,726 11,631 51.2 106.8 41.2
6品目小計 36,931 39,715 35,305 26,599 46.0 12.5 -19.6
輸出総額 175,169 185,234 151,293 121,472 16.8 -7.5 -20.0


ME09-3.マレーシア外資規制を緩和(09年6月30日)

マレーシアのナジブ首相は就任以来、旧来のマレー人種優遇策ともいうべきNEP(新経済政策)を大幅に見直すということを宣言していたが、額面どおりに受け取る向きは少なかった。

ところが、6月30日(火)になって外資規制の緩和策の具体案を発表した。クアラルンプール株式市場に上場している外国企業は従来株式の30%をマレー人種に配分しなければならなかったが、その比率を12.5%にするというものである。


しかし、「戦略産業」ともいうべきテレコム、港湾、エネルギー、運輸については30%ルールを維持するという。

多くの場合、これらの産業は国営企業がベースになっているのでブミプトラ(土地の子=マレー人)」の持株比率が極端に低下することはない。

従来外資の審査機関であったFIC(Foreign Investment Committee)の内容が変更され、不動産取得に関わるような規制は大幅に緩和される。ナジブ首相はもはや「FICは存在しない」といっているが実際は完全廃止なのかどうかはすぐにはわからない。

また、先週ナジブ首相は大学の入学枠を人種比率で配分していたが、「成績優先」に切り替える方針を打ち出した。それまでは成績が優秀でも中国人やインド人はマレーシアの大学に入れず、外国に留学せざるを得なかった。

さまざまな「人種比率維持」条項は撤廃される方向に向かいつつある。不動産の取得も外国人に大幅に許容されるという(FICの審査廃止?)。

しかし、UMNO党首のナジブ首相がどこまで「ブミプトラ政策」から脱却できるかは大いなる疑問が残る。しかし、脱却しなければマレーシアはタイにますます差をつけられ、ベトナムにも追い上げられるばかりである。


これらの政策はアヌワール率いる野党連合の政策を一部取り込むことも狙いとしていることはいうまでもない。しかし、全面的にブミプトラ政策を放棄することはありえない。それはUMNOの政権基盤に関わる問題だからである。ブミプトラ政策があって初めてマレー人エリートは特権を享受できたのである。


ME09-4. IMF曰くマレーシアの財政はペトロナスに頼りすぎ、消費税を取れ(09年8月21日)

すでに10年以上前になるがアジアの通貨・経済危機のときに「固定為替制度」が通貨危機の原因だなどというデタラメ分析をやり、インドネシア、タイ、韓国に不適切な「融資条件」をつけて経済を極度に悪化させた責任を問われてしばらく「鳴りをひそめていた」IMF(国際通貨基金)がまた、余計なお節介をし始めた。

8月18日のマレーシアキニ(Malaysiakini)によるとマレーシアの財政は国営石油会社ペトロナスからの収入に半分頼っている。消費税を課して、ペトロナスに頼るのを止めたらどうかというのである。

要するに大衆課税を強化しろというネオ・リベラルの年来の主張を改めて蒸し返したのである。IMFの基本思想は国民の多数を占める低所得層をトコトン苛め抜くというネオリベラルの経済学に根ざしており、彼らの病根は深いものがある。

一方、金持に対して減税すれば、彼らがヤル気を起こして、設備投資をジャンジャンやり、経済が活性化するというのだ。こんなことはありえないが、これが小泉改革の経済学の思想でもあった。日経新聞などはこの路線にベッタリ乗ったまま最近までカネや太鼓を叩き続けていた。今は少しは反省している気配もあるが、本音はどうか分からない。

マレーシア政府としては別にIMFのお世話になってはいなし、今後もお世話になることもないであろう。IMFが「指導者面」をして、こういうことをマレーシア政府に言う筋合いは全くない。

マレーシア政府としては必要ならばいつでも必要な政策をとれるが、消費税だけが選択肢ではない。

マレーシアは2009年は-5%程度の経済成長率が予想され、特に輸出額がGDPの100%を超える超輸出依存型経済であり、内需振興策として政府はインフラ投資などを懸命におこなっている。

そのため、2009年の財政赤字はGDPの7.5%程度になるという。ペトロナスからの収入がなければ、赤字は11%になるという。

石油・ガスの値上げを実行し、ペトロナスの黒字を増やしたいところであるが、国民の反発が強くて思うに任せない。それでは消費税を導入するといったら、さらに国内の反発が激化する。

ナジブ政権としては苦しいところだが、こういうときは財政赤字が多少積みあがってもいたし方がない。好況になれば取り返せる。

IMFの心配しているのはマレーシア・リンギがある日暴落したりして、欧米の金融機関が思わぬ打撃を受けるのを心配してのことで、別にマレーシア国民のことを心配しているのではない。


ME09-5.マレーシアの09年2Qの成長率は-3.9%(09年8月30日)


マレーシアの09/2Q(1~3月)の実質GDPは-3.9%と1Q=-6.2%に比べややマイナス幅は縮小したが、依然大きなマイナスである。

輸出の-17.2%が大きく響き、製造業は-14.5%となった。

民間消費は+0.5%と1Q=-0.7%に比べやや持ち直したとはいえ、低水準である。

政府消費は1.0%増えている。政府の景気対策もいまださほどの効果を挙げているようには見えない。

輸出の実額は下の表3にみるとおりである。1Qは正月休みうや旧正月などで日数が局単位少なく、2Qは実額では増えているが、前年同期比で見ると主要品種は20%前後のマイナスが続いている。

今回、1次産品の落ち込みは製造品よりも大きい。石油をはじめゴムやパーム油の減少が著しい。

表ME09-5-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

09年3月12日入手

 

表ME09-5-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

09年2月27日公表



表ME09-5-3 09年2Qの品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)修正後


⇒非常識な日経記事

09年8月28日(金)の日経新聞朝刊(9面)にまたまた大きな見出しで「東南アジア、4~6月10%成長」なる記事が載っていた。署名記事でマニラ支局の遠西俊洋氏が書いたものである。

景気対策で東南アジア経済は上向いていて、中国向け輸出も寄与しているという主旨のようである。

この10%成長の根拠は不明だが、1Q(1~3月)の対比であることだけは確かである。1~3月というのは正月休み、チャイニーズ・ニューイヤ(旧正月)に加え、2月は28日しかない。

これららを「季節調整」したものと思われるが、そうも書いてない。これと4~6月を比較するというのだからムチャクチャな話しでる。

各国とも「前年同期比」の数字を従来どおり公表しているのだから、当然それを使うべきである。そうすれば季節調整も不要であり、ハッキリする。

こういうお粗末な記事を書いてるのは先進資本主義国では日本経済新聞だけである。ナニを考えてこんなわけの分からない記事を出すのか全く理解できない。私が本社のデスクだったらこんな「散漫」以下の記事は紙面に出てこない。

なぜ、もっと普通に記事を書けないのだろうか?東南アジアであれ中国であれ日本であれ、実態以上に経済を良く見せかけるような記事をかいてどうするのだろうか?

読者が知りたいのは「真実」であって「幻想」や「ウソ」ではない。読者からカネを取って新聞を発行していることを忘れないでもらいたい。日経は昔からアジアについてお粗末記事が多かった。未だに大して反省はしていないようだ。どうせ日本人はアジアについて分かっていないという見くびりがあるのだろうか?

ME09-6.マレーシアの09/3Qの成長率は-1.2%に改善(09年11月24日)

マレーシアの09/3Q(7~9月)の実質GDPは-1.2%と2Q=-3.9%、1Q=-6.2%に比べマイナス幅は縮小した。

輸出の-13.4%(2Q=-17.2%)が大きく響き、製造業は-8.6%(2Q=-14.5%)と依然としてマイナスになっている。

民間消費+1.5%(2Q=+0.5%)と増加している。

政府消費は+10.9%(2Q=1.0%)と極端に増えている。政府が景気対策に本腰を入れている。

貿易統計は未発表のため後日報告します。

表ME09-6-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2006 2007 2008 08/3Q 08/4Q 09/1Q  09/2Q 09/3Q

農林水産

5.4 2.2 3.8 3.0 0.5 -4.3 0.3  -0.5

鉱業

-2.7 3.3 -0.8 -0.3 -5.7 -5.2 -3.6  -3.5

製造業

7.1 3.1 1.3 1.8 -8.8 -17.9 -14.5  -8.6

建設

-0.5 4.6 2.1 1.2 -1.6 1.1 4.5  7.9

電気ガス

5.6 3.9 2.1 1.7 -2.6 -8.1 -1.1  1.4

商業

7.0 12.5 9.8 9.4 5.9 -1.7 0.4  2.2
ホテル・食堂 6.0 10.8 7.3 4.3 7.4 2.1 2.9  3.8

運輸・倉庫

5.3 10.0 6.1 5.9 1.0 -4.0 -6.4  -3.5
通信 7.1 7.0 7.3 7.4 6.3 4.9 5.8  6.1

金融・保険

7.6 11.1 7.7 10.0 3.5 1.2 3.3  3.5
不動産・ビジネスサービス 10.1 18.2 1.5 -1.8 -0.4 -6.7 3.3  4.9

政府

10.3 4.5 11.9 11.5 18.2 2.8 0.5  7.4

その他

4.8 5.0 4.9 5.3 5.3 5.2 4.5  3.8

実質GDP

5.8 6.3 4.6 4.8 0.1 -6.2 -3.9  -1.2

 

表ME09-6-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2006 2007 2008 08/3Q 08/4Q 09/1Q  09/2Q 09/3Q

民間消費

6.5 10.8 8.4 8.2
5.3 -0.7 0.5  1.5

政府消費

4.9 6.6 11.6 6.4 12.7 2.1 1.0  10.9

総固定資本形成

7.9 9.6 1.1 3.1 -10.2 -10.8 -9.6  -7.9

輸出(含サービス)

7.0 4.2 1.5 4.5 -13.3 -15.2 -17.3  -13.4

輸入(含サービス)

8.5 5.4 2.2 7.7 -10.2 -23.5 -19.7  -12.9

国内総支出

5.8

6.3

4.6 4.8 0.1 -6.2 -3.9  -1.2

09年11月20日公表

ME10-1.マレーシアの09/4Qの成長率は4.5%に改善(2010年2月24日)

マレーシアの09/4Q(10~12月)の実質GDP+4.5%とプラスに転じた。3Q=-1.2%、2Q=-3.9%、1Q=-6.2%と次第にマイナス幅は縮小してきた。2009年通年では-1.7%であった。

製造業が久しぶりにプラすとなり前年同期比+5.3%となった。08/4Qが-8.8%と大きく落ち込んでいた。

建設、公益(電気・ガス、水道)、金融などそろって9%台の伸びを示した。

輸出が+7.3%っとプラスに転じたのが大きい。内容的には半導体の回復が+40.3%と大きい。エレクトロニクス関連以外の化学品や石油製品、金属製品などの増加も目立っている。

一次産品関係は国際価格の下落もあって回復力は弱い。パーム油はプラス6.9%になったがゴムやLNGの不振が続いている。。

民間消費は+1.7%と3Qの+1.5%(2Q=+0.5%)よりやや上回っている。この辺の数字が常識的なレベルである。経済内容からいってインドネシアの4%などというのはクビを傾げたくなる。

政府消費は1.3%と3Qの+10.9%(2Q=1.0%)にくらべ大分ッスロー・ダウンしてきた。

貿易統計は一番下に入っています。マレーシアはやはりエレクトロニクス関連への依存度が高く、その競争力が今後問題になる。その決め手はいうまでもなく外資であるが、足を引っ張りそうなのが政治である。

2010年2月24日公表 Bank Negara Malaysia Monthly Statisticsより


ME10-2.マレーシアの2010年1Qの成長率は10.1%(2010-6-3)

マレーシアの10/1Q(1~3月)の実質GDP+10.1%と09/4Q=+4.4%を大幅に上回った。09/1QのGDP=-6.2%であったことを考えれば、実際は4%程度の伸びと見てよい。

輸出が+19.3%と大幅なプラスになったことを反映して製造業が+16.9%と伸びた。ただし、09/1Q=-17.9%であったことを考慮すれば、前の水準に戻りつつあるという見方が妥当なところであろう。

建設=+8.7%、公益(電気・ガス、水道)=+16.6%、商業=+9.6%と大幅に伸びた。

民間消費は+5.1%と好調である。

政府消費は+6.3%と伸びが比較的大きい。

貿易統計については第3表に実額を表示。名目で30.8%増。工業品は繊維以外のエトロニクス関連などが伸びた。1次産品もゴム、パーム油、石油、錫が伸びた。

表ME10-1Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み

 

表ME10-1Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み



表ME10-1Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)

ME10-3. マレーシアの10年2Qの成長率は8.9%(2010-9-1)

マレーシアの10/2Q(4~6月)の実質GDPの伸び率は8.9%と1Qの+10.1%に比べやや鈍化した。09/2QのGDP=-3.9%であったことを考えれば、実際は5%程度の伸びと見てよい。

輸出が+13.8%と大幅なプラスになったことを反映して製造業が+15.9%と伸びた。ただし、09/2Q=-14.6%であったことを考慮すれば、前の水準に戻りつつあるという見方が妥当なところであろう。

建設=+4.1%、公益(電気・ガス、水道)=+9.0%、商業=+8.4%と順調な伸びであった。

消費については全体で7.7%増(1Q=5.3%)であるが民間消費と公共投資の内容は公表されていない。

貿易統計については第3表に実額を表示。名目で22.5%増であるが、全体では10/1Qをやや下回る。工業品はエトロニクス関連などが伸びたが工業製品全体の伸びは17.3%であり、しかも絶対額では09/4Qを下回っている。1次産品もゴム、パーム油、石油、錫が伸び6品目合計の伸び率は42.5%であった。

表ME10-2Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み

 

表ME10-2Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み



表ME10-2Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)

09/3Q 09/4Q 10/1Q 10/2Q 09/3Q 09/4Q 10/1Q 10/2Q
半導体 25,884 27,414 24,138 24,781 -1.9 40.3 35.0 13.7
電気機械・部品 21,791 25,780 25,462 24,379 -22.8 9.2 38.5 20.9
消費者用電器 5,880 5,720 5,088 5,735 -14.7 5.6 85.8 28.7
商業用電器 6,127 7,272 5,406 5,373 -35.3 1.8 8.5 -4.1
電器産業機械 5,456 6,087 6,116 6,577 -13.7 4.0 17.9 27.1
家電製品 840 851 819 853 -10.4 5.1 28.5 7.1
エレクトロニクス計 65,978 73,123 67,029 67,698 -15.6 17.2 34.6 16.8
繊維 2,460 2,378 2,210 2,326 -21.5 -8.6 -0.7 0.6
化学品 9,221 9,524 10,440 10,328 -19.1 15.3 49.9 22.2
ゴム製品 3,108 3,298 3,756 3,904 -11.4 14.6 35.6 32.4
輸送機械 2,808 2,761 3,488 2,061 14.6 20.1 36.8 -7.8
木製品 2,082 2,293 2,118 2,114 -23.5 0.4 25.2 9.4
金属製品 6,101 5,670 6,555 6,692 -25.9 -10.3 26.9 17.3
石油製品 6,160 6,665 6,033 6,492 -34.2 28.1 31.6 42.7
光学機器 3,538 3,905 4,187 4,402 -7.8 5.3 54.7 49.4
製造製品計 114,701 123,400 119,266 119,952 -17.3 11.8 32.2 17.3
ゴム 1,074 1,631 2,170 2,065 -57.1 21.9 143.0 139.8
パーム油 9,577 9,890 11,206 10,634 -29.1 6.7 44.4 16.7
木材 1,334 1,433 1,384 1,240 -8.3 10.1 29.3 -4.2
286 284 407 565 -40.7 0.0 106.6 101.8
石油 6,370 8,527 8,864 8,288 -48.9 -1.4 69.3 58.6
LNG 5,727 8,388 10,038 8,880 -38.5 -43.0 -13.7 62.9
6品目小計 24,368 30,153 34,069 31,673 -38.6 -15.2 27.2 42.5
輸出総額 143,805 158,995 158,707 158,125 -22.4 5.1 30.7 22.5

2010年8月末公表 Bank Negara Malaysia Monthly Statisticsより



ME10-4. マレーシアの2010年3Qの成長率は5.3%、工業製品の輸出不振(2010-12-6)

マレーシアの10/Q(4~6月)の実質GDPの伸び率は5.3%と2Qの38.9%と1Qの+10.1%に比べやや鈍化した。09/3QのGDP=-1.2%であったことを考えれば、実際は4%程度の伸びと見てよい。

輸出が3Qは6.6%と2Qの+13.8%に比べると大幅に鈍化した。09/3Q=-12.9%であったことを考慮すれば、前年の水準を実質的に下回ったとみることができよう。製造業製品の輸出の伸びが低く、隣国タイに大きく差をつけられつつある。

製造業の伸びも7.5%と2Qの+16.0%からみると大幅なスロー・ダウンである。09/3Q=-8.6%であったことを考慮すれば、前年の水準を実質的に下回ったとみることができよう。

建設は2.8%と2Q=+4.1%、公益(電気・ガス、水道)は3.9%と2Q=+9.1%、商業は5.7%と2Q=+8.4%と各々2Qより悪化している。

消費については全体で3.5%と2Q=7.7%増(1Q=5.3%)を大幅に下回った。なお民間消費と公共投資の内容は公表されていない。

貿易統計については第3表に実額を表示。輸出の総額が3Qは未公表であるが製造品目の伸びが名目で+6.1%あり2Qの17.4%増と比べ見劣りがする。工業品はエトロニクス関連の伸び4.2%というのは半導体の-5.4%が響いている。絶対額では09/4Qを下回っている。1次産品は6品目合計の伸び率は27.0%であった。

表ME10-3Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み

 

表ME10-3Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み



表ME10-3Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)

2010年12月6日現在輸出合計末公表 Bank Negara Malaysia Monthly Statistics


ME10-5,マレーシアの2010年の成長率は7.2%, 4Qは4.8%と鈍化(2011-3-4)


マレーシア経済は2009年のマイナス成長(-1.7%)から2010年は7.2%へと大きく改善した。しかし、2010年の後半から輸出が伸び悩み、製造業の伸び率が鈍化し始めた。

マレーシアはタイと違って自動車産業がサッパリでもっぱらエレクトロニクス関連で経済を引っ張ってきたという側面が強い。しかし、主力の半導体と電機部品が競争力が落ちてきていることは下の輸出実績をみれば一目でわかる。(製造業の4Qの実数がわからないが)

最近になってまた日系企業の投資も戻りつつあり、2011年はすこしはよくなる兆しがある。

1次産品ではゴムとパーム油は好調であるが、石油は生産が減っておりどうにもならない。

表ME10-4Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%) 

表ME10-4Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)



表ME104Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)



ME11-1 マレーシアの2011年2Qの成長率は4.0%(2011-8-27)


マレーシア経済は2009年のマイナス成長(-1.7%)から2010年は7.2%へと大きく改善した。しかし、2010年の後半から輸出が伸び悩み、製造業の伸び率が鈍化し始めた。GDPの伸びは2011年1Qは4.9%、2Qは4.0%とそこそこの伸びといえるがエレクトロニクスを中心とする輸出の伸び悩み傾向は続いており、先行き大きな展望は開けない。

マレーシアはタイと違って自動車産業がサッパリでもっぱらエレクトロニクス関連で経済を引っ張ってきたという側面が強い。しかし、半導体は何とか輸出は伸びているが家電製品や電機部品が競争力が落ちてきていることは下の第3表の輸出実績をみれば一目でわかる。

石油製品は石油生産の停滞にもかかわらず、伸びている。光学機械は比較的健闘している。

1次産品輸出はゴムとパーム油は好調であるが、石油は生産が減っているうえに、国内の精製設備に供給がふえており、輸出は急減している。逆にLNGの輸出はは増加している。

表ME11-2Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007 2008 2009
2010
10/1Q  10/2Q  10/3Q 10/4Q  11/1Q  11/2Q

農林水産

1.3 4.3 0.8 2.1  7.2 2.8   3.8 -3.9  -02.  6.9 

鉱業

2.0 -2.4 -6.3 0.2  1.0 1.5  -0.7  -1.2  -4.2  -9.2 

製造業

2.8 1.2 -9.3 11.4  17.1 16.0  7.6  6.2  5.5  2.1 

建設

7.3 4.2 5.9 5.1  8.6 4.1  2.8  5.6  3.8  0.6 

電気ガス

4.0 2.4 0.8 8.2  16.8 9.0  3.8  4.2  1.3  -2.4 

商業

14.2 10.9 1.6 8.0  9.7 8.8  5.7  8.3  6.8  7.3 
ホテル・食堂 10.3 7.0 2.8 5.0  5.5 5.9  5.1  3.7  4.0  5.9 

運輸・倉庫

10.1 6.3 -2.8 6.9  8.1 9.0  5.6  5.2  4.3  4.7 
通信 7.0 8.3 6.4 8.5  6.7 8.3  9.2  9.8  6.4  6.5 

金融・保険

10.7 8.3 5.7 6.4  7.1 8.7  6.4  3.7  6.8  5.6 
不動産・ビジネスサービス 19.5 2.3 2.6 7.8 
14.2 2.8  6.3  8.7  8.8  7.6 

政府

5.0 9.2 3.5 5.8  7.6 8.0  2.0  6.1  9.4  8.6 

その他

5.5 5.3 4.4 4.0  4.7 3.6  3.7  3.9  3.9  4.6

実質GDP

6.5 4.8 -1.6 7.2  10.1 9.0  5.3  4.8  4.9  4.0 

2007年まで遡及して訂正済み

 表ME11-2Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007 2008 2009
2010 10/1Q 10/2Q  10/3Q  10/4Q  11/1Q  11/2Q
 消費合計 9.7  9.0  1.2  5.3 5.4  7.8  3.3  4.8  7.1  5.9 

民間消費

10.5 8.5 0.7
6.6 5.3 n.a n.a n.a  n.a  n.a 

政府消費

6.6 10.7 3.1 0.1 6.3 n.a  n.a   n.a. n.a  n.a 

総固定資本形成

9.4 0.7 -5.6 9.4 5.8
12.9  10.1
10.0  6.5  3.2 

輸出(含サービス)

4.1 1.6 -10.4 9.8 19.1
14.0   6.8
1.7  1.4  4.1 

輸入(含サービス)

5.9 2.2 -12.3 14.7 27.8
22.6   11.2
3.5  8.4  3.2 

国内総支出

6.5

4.7 -1.7 7.2 10.1 9.0  5.3  4.8  4.9  4.0 

2007年まで遡及して訂正済み



表ME11-2Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)

10/1Q 10/2Q 10/3Q 10/4Q 11/1Q 11/2Q 10/1Q 10/2Q 10/3Q 10/4Q 11/1Q 11/2Q
半導体 24,138 24,781 24,486 24,451 26,044 27,679 35.0 13.7 -5.4 -10.8 7.9 11.7
電気機械・部品 25,462 24,379 24,242 22,503 18,390 18,614 38.5 20.9 11.2 -12.7 -27.8 -23.6
消費者用電器 5,088 5,735 7,350 7,634 5,713 4,861 85.8 28.7 25.0 33.5 12.3 -15.2
商業用電器 5,406 5,373 5,775 5,959 5,245 5,417 8.5 -4.1 -5.7 -18.0 -3.0 0.8
電器産業機械 6,116 6,577 5,981 6,269 6,269 6,269 17.9 27.1 9.6 3.0 2.5 -4.7
家電製品 819 853 927 947 805 912 28.5 7.1 10.4 11.3 -1.8 6.9
エレクトロニクス計 67,029 67,698 68,761 67,763 62,465 63,751 34.6 16.8 4.2 -7.3 -6.8 -5.8
繊維 2,210 2,358 2,480 2,606 2,579 2,770 -0.7 2.0 0.8 9.6 16.7 17.4
化学品 10,440 10,332 10,174 10,728 11,721 11,447 49.9 22.3 10.3 12.6 12.3 10.8
ゴム製品 3,756 3,871 3,845 3,983 4,222 3,834 35.6 31.3 23.7 20.8 12.4 -1.0
輸送機械 3,488 2,051 1,965 1,991 2,816 1,927 36.8 -8.2 -30.0 -27.9 -19.3 -6.1
木製品 2,118 2,114 2,155 1,998 2,035 2,324 25.2 9.4 3.5 -12.9 -3.9 10.0
金属製品 6,555 6,692 5,846 7,103 7,318 7,712 26.9 17.3 -4.2 25.3 11.6 15.2
石油製品 6,033 6,478 7,444 9,263 9,975 8,091 31.6 42.3 20.9 39.0 65.3 24.9
光学機器 4,187 4,402 4,832 4,912 4,478 4,790 54.7 49.4 36.6 25.8 7.0 8.8
製造製品計 119,412 120,089 121,724 125,450 122,480 123,118 32.4 17.4 6.1 1.7 2.6 2.5
ゴム 2,170 2,065 2,219 2,757 3,618 3,616 143.0 139.8 106.6 69.0 66.8 75.1
パーム油 11,206 10,596 10,625 13,021 13,448 14,944 44.4 16.3 10.9 31.7 20.0 41.0
木材 1,384 1,317 1,322 1,364 1,198 1,262 29.3 1.8 -0.9 -4.8 -13.4 -4.2
407 565 600 511 720 651 106.6 101.8 109.8 79.9 76.9 15.2
石油 8,864 8,288 7,460 6,152 7,872 8,303 69.3 58.6 17.1 -27.9 -11.2 0.2
LNG 10,038 8,880 9,758 9,423 10,722 11,112 -13.7 62.9 70.4 12.3 6.8 25.1
6品目小計 34,069 31,712 31,984 33,228 37,578 39,888 27.2 42.7 31.3 10.2 10.3 25.8
輸出総額 158,896 157,217 158,912 166,019 166,543 171,709 30.7 21.6 10.4 4.3 4.8 9.2
半導体 15.19 15.76 15.41 14.73 15.64 16.12
電気機械・部品 16.02 15.51 15.26 13.55 11.04 10.84
消費者用電器 3.20 3.65 4.63 4.60 3.43 2.83
商業用電器 3.40 3.42 3.63 3.59 3.15 3.15
電器産業機械 3.85 4.18 3.76 3.78 3.76 3.65
家電製品 0.52 0.54 0.58 0.57 0.48 0.53
エレクトロニクス計 42.18 43.06 43.27 40.82 37.51 37.13
繊維 1.39 1.50 1.56 1.57 1.55 1.61
化学品 6.57 6.57 6.40 6.46 7.04 6.67
ゴム製品 2.36 2.46 2.42 2.40 2.54 2.23
輸送機械 2.20 1.30 1.24 1.20 1.69 1.12
木製品 1.33 1.34 1.36 1.20 1.22 1.35
金属製品 4.13 4.26 3.68 4.28 4.39 4.49
石油製品 3.80 4.12 4.68 5.58 5.99 4.71
光学機器 2.63 2.80 3.04 2.96 2.69 2.79
製造製品計 75.15 76.38 76.60 75.56 73.54 71.70
ゴム 1.37 1.31 1.40 1.66 2.17 2.11
パーム油 7.05 6.74 6.69 7.84 8.07 8.70
木材 0.87 0.84 0.83 0.82 0.72 0.73
0.26 0.36 0.38 0.31 0.43 0.38
石油 5.58 5.27 4.69 3.71 4.73 4.84
LNG 6.32 5.65 6.14 5.68 6.44 6.47
6品目小計 21.44 20.17 20.13 20.01 22.56 23.23
輸出総額 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00




マレーシアの10/2Q(4~6月)の実質GDPの伸び率は8.9%と1Qの+10.1%に比べやや鈍化した。09/2QのGDP=-3.9%であったことを考えれば、実際は5%程度の伸びと見てよい。

輸出が+13.8%と大幅なプラスになったことを反映して製造業が+15.9%と伸びた。ただし、09/2Q=-14.6%であったことを考慮すれば、前の水準に戻りつつあるという見方が妥当なところであろう。

建設=+4.1%、公益(電気・ガス、水道)=+9.0%、商業=+8.4%と順調な伸びであった。

消費については全体で7.7%増(1Q=5.3%)であるが民間消費と公共投資の内容は公表されていない。

貿易統計については第3表に実額を表示。名目で22.5%増であるが、全体では10/1Qをやや下回る。工業品はエトロニクス関連などが伸びたが工業製品全体の伸びは17.3%であり、しかも絶対額では09/4Qを下回っている。1次産品もゴム、パーム油、石油、錫が伸び6品目合計の伸び率は42.5%であった。

表ME10-2Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み

 

表ME10-2Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み



表ME10-2Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)

09/3Q 09/4Q 10/1Q 10/2Q 09/3Q 09/4Q 10/1Q 10/2Q
半導体 25,884 27,414 24,138 24,781 -1.9 40.3 35.0 13.7
電気機械・部品 21,791 25,780 25,462 24,379 -22.8 9.2 38.5 20.9
消費者用電器 5,880 5,720 5,088 5,735 -14.7 5.6 85.8 28.7
商業用電器 6,127 7,272 5,406 5,373 -35.3 1.8 8.5 -4.1
電器産業機械 5,456 6,087 6,116 6,577 -13.7 4.0 17.9 27.1
家電製品 840 851 819 853 -10.4 5.1 28.5 7.1
エレクトロニクス計 65,978 73,123 67,029 67,698 -15.6 17.2 34.6 16.8
繊維 2,460 2,378 2,210 2,326 -21.5 -8.6 -0.7 0.6
化学品 9,221 9,524 10,440 10,328 -19.1 15.3 49.9 22.2
ゴム製品 3,108 3,298 3,756 3,904 -11.4 14.6 35.6 32.4
輸送機械 2,808 2,761 3,488 2,061 14.6 20.1 36.8 -7.8
木製品 2,082 2,293 2,118 2,114 -23.5 0.4 25.2 9.4
金属製品 6,101 5,670 6,555 6,692 -25.9 -10.3 26.9 17.3
石油製品 6,160 6,665 6,033 6,492 -34.2 28.1 31.6 42.7
光学機器 3,538 3,905 4,187 4,402 -7.8 5.3 54.7 49.4
製造製品計 114,701 123,400 119,266 119,952 -17.3 11.8 32.2 17.3
ゴム 1,074 1,631 2,170 2,065 -57.1 21.9 143.0 139.8
パーム油 9,577 9,890 11,206 10,634 -29.1 6.7 44.4 16.7
木材 1,334 1,433 1,384 1,240 -8.3 10.1 29.3 -4.2
286 284 407 565 -40.7 0.0 106.6 101.8
石油 6,370 8,527 8,864 8,288 -48.9 -1.4 69.3 58.6
LNG 5,727 8,388 10,038 8,880 -38.5 -43.0 -13.7 62.9
6品目小計 24,368 30,153 34,069 31,673 -38.6 -15.2 27.2 42.5
輸出総額 143,805 158,995 158,707 158,125 -22.4 5.1 30.7 22.5

2010年8月末公表 Bank Negara Malaysia Monthly Statisticsより



ME10-4. マレーシアの2010年3Qの成長率は5.3%、工業製品の輸出不振(2010-12-6)

マレーシアの10/Q(4~6月)の実質GDPの伸び率は5.3%と2Qの38.9%と1Qの+10.1%に比べやや鈍化した。09/3QのGDP=-1.2%であったことを考えれば、実際は4%程度の伸びと見てよい。

輸出が3Qは6.6%と2Qの+13.8%に比べると大幅に鈍化した。09/3Q=-12.9%であったことを考慮すれば、前年の水準を実質的に下回ったとみることができよう。製造業製品の輸出の伸びが低く、隣国タイに大きく差をつけられつつある。

製造業の伸びも7.5%と2Qの+16.0%からみると大幅なスロー・ダウンである。09/3Q=-8.6%であったことを考慮すれば、前年の水準を実質的に下回ったとみることができよう。

建設は2.8%と2Q=+4.1%、公益(電気・ガス、水道)は3.9%と2Q=+9.1%、商業は5.7%と2Q=+8.4%と各々2Qより悪化している。

消費については全体で3.5%と2Q=7.7%増(1Q=5.3%)を大幅に下回った。なお民間消費と公共投資の内容は公表されていない。

貿易統計については第3表に実額を表示。輸出の総額が3Qは未公表であるが製造品目の伸びが名目で+6.1%あり2Qの17.4%増と比べ見劣りがする。工業品はエトロニクス関連の伸び4.2%というのは半導体の-5.4%が響いている。絶対額では09/4Qを下回っている。1次産品は6品目合計の伸び率は27.0%であった。

表ME10-3Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み

 

表ME10-3Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み



表ME10-3Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)

2010年12月6日現在輸出合計末公表 Bank Negara Malaysia Monthly Statistics


ME10-5,マレーシアの2010年の成長率は7.2%, 4Qは4.8%と鈍化(2011-3-4)


マレーシア経済は2009年のマイナス成長(-1.7%)から2010年は7.2%へと大きく改善した。しかし、2010年の後半から輸出が伸び悩み、製造業の伸び率が鈍化し始めた。

マレーシアはタイと違って自動車産業がサッパリでもっぱらエレクトロニクス関連で経済を引っ張ってきたという側面が強い。しかし、主力の半導体と電機部品が競争力が落ちてきていることは下の輸出実績をみれば一目でわかる。(製造業の4Qの実数がわからないが)

最近になってまた日系企業の投資も戻りつつあり、2011年はすこしはよくなる兆しがある。

1次産品ではゴムとパーム油は好調であるが、石油は生産が減っておりどうにもならない。

表ME10-4Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%) 

表ME10-4Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)



表ME104Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)



ME11-1 マレーシアの2011年2Qの成長率は4.0%(2011-8-27)


マレーシア経済は2009年のマイナス成長(-1.7%)から2010年は7.2%へと大きく改善した。しかし、2010年の後半から輸出が伸び悩み、製造業の伸び率が鈍化し始めた。GDPの伸びは2011年1Qは4.9%、2Qは4.0%とそこそこの伸びといえるがエレクトロニクスを中心とする輸出の伸び悩み傾向は続いており、先行き大きな展望は開けない。

マレーシアはタイと違って自動車産業がサッパリでもっぱらエレクトロニクス関連で経済を引っ張ってきたという側面が強い。しかし、半導体は何とか輸出は伸びているが家電製品や電機部品が競争力が落ちてきていることは下の第3表の輸出実績をみれば一目でわかる。

石油製品は石油生産の停滞にもかかわらず、伸びている。光学機械は比較的健闘している。

1次産品輸出はゴムとパーム油は好調であるが、石油は生産が減っているうえに、国内の精製設備に供給がふえており、輸出は急減している。逆にLNGの輸出はは増加している。

表ME11-2Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007 2008 2009
2010
10/1Q  10/2Q  10/3Q 10/4Q  11/1Q  11/2Q

農林水産

1.3 4.3 0.8 2.1  7.2 2.8   3.8 -3.9  -02.  6.9 

鉱業

2.0 -2.4 -6.3 0.2  1.0 1.5  -0.7  -1.2  -4.2  -9.2 

製造業

2.8 1.2 -9.3 11.4  17.1 16.0  7.6  6.2  5.5  2.1 

建設

7.3 4.2 5.9 5.1  8.6 4.1  2.8  5.6  3.8  0.6 

電気ガス

4.0 2.4 0.8 8.2  16.8 9.0  3.8  4.2  1.3  -2.4 

商業

14.2 10.9 1.6 8.0  9.7 8.8  5.7  8.3  6.8  7.3 
ホテル・食堂 10.3 7.0 2.8 5.0  5.5 5.9  5.1  3.7  4.0  5.9 

運輸・倉庫

10.1 6.3 -2.8 6.9  8.1 9.0  5.6  5.2  4.3  4.7 
通信 7.0 8.3 6.4 8.5  6.7 8.3  9.2  9.8  6.4  6.5 

金融・保険

10.7 8.3 5.7 6.4  7.1 8.7  6.4  3.7  6.8  5.6 
不動産・ビジネスサービス 19.5 2.3 2.6 7.8 
14.2 2.8  6.3  8.7  8.8  7.6 

政府

5.0 9.2 3.5 5.8  7.6 8.0  2.0  6.1  9.4  8.6 

その他

5.5 5.3 4.4 4.0  4.7 3.6  3.7  3.9  3.9  4.6

実質GDP

6.5 4.8 -1.6 7.2  10.1 9.0  5.3  4.8  4.9  4.0 

2007年まで遡及して訂正済み

 表ME11-2Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007 2008 2009
2010 10/1Q 10/2Q  10/3Q  10/4Q  11/1Q  11/2Q
 消費合計 9.7  9.0  1.2  5.3 5.4  7.8  3.3  4.8  7.1  5.9 

民間消費

10.5 8.5 0.7
6.6 5.3 n.a n.a n.a  n.a  n.a 

政府消費

6.6 10.7 3.1 0.1 6.3 n.a  n.a   n.a. n.a  n.a 

総固定資本形成

9.4 0.7 -5.6 9.4 5.8
12.9  10.1
10.0  6.5  3.2 

輸出(含サービス)

4.1 1.6 -10.4 9.8 19.1
14.0   6.8
1.7  1.4  4.1 

輸入(含サービス)

5.9 2.2 -12.3 14.7 27.8
22.6   11.2
3.5  8.4  3.2 

国内総支出

6.5

4.7 -1.7 7.2 10.1 9.0  5.3  4.8  4.9  4.0 

2007年まで遡及して訂正済み



表ME11-2Q-3 品目別輸出、対前年伸び率(100万リンギ、%)


ME11-2 マレーシアの11/3Qの成長率は5.6%?(2011-11-30)


マレーシアのGDPの伸びは2011年1Qは4.9%、2Qは4.0%から3Qには5.8%と好調を維持しているかに見える。しかし、その内訳をみるとこの数字はありえないということがすぐわかる。というのは消費が9.9%も前年同期比で伸びているのである。消費は民間と政府とが分けられていないが、民間消費が前年同期比10%は伸びていることになる。

輸出も一向に振るわない

マレーシアはタイと違って自動車産業がサッパリでもっぱらエレクトロニクス関連で経済を引っ張ってきたという側面が強い。しかし、半導体は何とか輸出は伸びているが家電製品や電機部品が競争力が落ちてきていることは下の第3表の輸出実績をみれば一目でわかる。

石油製品は石油生産の停滞にもかかわらず、伸びている。光学機械は比較的健闘している。

1次産品輸出はゴムとパーム油は好調であるが、石油は生産が減っているうえに、国内の精製設備に供給がふえており、輸出は急減している。逆にLNGの輸出はは増加している。

表ME11-2Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007年まで遡及して訂正済み

 表ME11-2Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

TME11-2 マレーシアの11/3Qの成長率は5.8%?(2011-12-1)


マレーシアのGDPの伸びは2011年1Qは4.9%、2Qは4.0%から3Qには5.8%と好調を維持しているかに見える。しかし、その内訳をみるとこの数字はありえないということがすぐわかる。というのは消費が9.9%も前年同期比で伸びているのである。消費は民間と政府とが分けられていないが、民間消費が前年同期比10%は伸びていることになる。

輸出も一向に振るわない。実質ベースでは前年同Q比わずかに4.2%の伸びである。実額でみても8.4%の伸びである。製造業製品は5.1%しか伸びておらず、逆に1次産品系は6品目合計で32.1%も伸びている。

マレーシアはタイと違って自動車産業がサッパリでもっぱらエレクトロニクス関連で経済を引っ張ってきたという側面が強い。しかし、半導体は何とか輸出は伸びているが家電製品や電機部品が競争力が落ちてきていることは下の第3表の輸出実績をみれば一目でわかる。

1次産品輸出はゴムとパーム油は好調であるが、石油は生産が減っているうえに、国内の精製設備に供給がふえており、原油輸出は急減している。逆にLNGの輸出はは増加している。


表ME11-3Q-1 部門別成長率推移(前年同期比、2000年価格、%)

2008 2009
2010
10/1Q  10/2Q  10/3Q 10/4Q  11/1Q  11/2Q  11/3Q

農林水産

4.3 0.8 2.1  7.2 2.8   3.0 -3.9  -02.  6.9  8.2 

鉱業

-2.4 -6.3 0.2  1.0 1.5  -0.7  -1.2  -4.2  -9.2  -6.1 

製造業

1.2 -9.3 11.4  17.1 16.0  7.6  6.2  5.5  2.1  5.1 

建設

4.2 5.9 5.1  8.6 4.1  2.8  5.6  3.8  0.6  3.0 

電気ガス

2.4 0.8 8.2  16.8 9.0  3.8  4.2  1.3  2.4  4.6 

商業

10.9 1.6 8.0  9.7 8.8  5.7  8.3  6.8  7.3  9.0 
ホテル・食堂 7.0 2.8 5.0  5.5 5.9  5.1  3.7  4.0  5.9  5.4 

運輸・倉庫

6.3 -2.8 6.9  8.1 9.0  5.6  5.2  4.3  4.7  6.1 
通信 8.3 6.4 8.5  6.7 8.3  9.2  9.8  6.4  6.4  8.7 

金融・保険

8.3 5.7 6.4  7.1 8.7  6.4  3.7  6.8  5.6  4.6 
不動産・ビジネスサービス 2.3 2.6 7.8 
14.2 2.8  6.3  8.7  8.8  7.6  6.7 

政府

9.2 3.5 5.8  7.6 8.0  2.0  6.1  13.7  12.8  10.7 

その他

5.3 4.4 4.0  4.7 3.6  3.7  3.9  3.9  4.6 4.3 

実質GDP

4.8 -1.6 7.2  10.1 9.0  5.3  4.8  5.2  4.3  5.8 

2007年まで遡及して訂正済み

 表ME11-3Q-2 実質GDE(国内支出)推移(前年同期比、2000年価格、%)

2007 2008 2009
2010 10/1Q 10/2Q  10/3Q  10/4Q  11/1Q  11/2Q  11/3Q
 消費合計 9.7  9.0  1.2  5.3 5.4  7.8  3.3  4.8  7.6  6.4  9.9 

民間消費

10.5 8.5 0.7
6.6 5.3 n.a n.a n.a  n.a  n.a  n.a  

政府消費

6.6 10.7 3.1 0.1 6.3 n.a  n.a   n.a. n.a  n.a  n.a  

総固定資本形成

9.4 0.7 -5.6 9.4 5.8
12.9  10.1
10.0  6.5  3.2  6.1 

輸出(含サービス)

4.1 1.6 -10.4 9.8 19.1
14.0   6.8
1.7  1.4  4.1  4.2 

輸入(含サービス)

5.9 2.2 -12.3 14.7 27.8
22.6   11.2
3.5  8.4  3.2  3.2 

国内総支出

6.5

4.7 -1.7 7.2 10.1 9.0  5.3  4.8  5.2  4.3   5.8

2007年まで遡及して訂正済み


表ME11-3Q-3 マレーシアの輸出(単位:100万ドル、%)

10/1Q 10/2Q 10/3Q 10/4Q 11/1Q 11/2Q 11/3Q 10/4Q 11/1Q 11/2Q 11/3Q
半導体 24,209 24,799 24,516 24,451 26,044 27,679 27,826 -11.1 7.6 11.6 13.5
電気機械・部品 25,325 24,373 24,238 22,502 18,390 18,619 18,605 -13.4 -27.4 -23.6 -23.2
消費者用電器 5,087 5,733 7,349 7,634 5,713 5,141 6,167 33.5 12.3 -10.3 -16.1
商業用電器 5,492 5,452 5,817 5,971 5,245 5,534 6,644 -19.2 -4.5 1.5 14.2
電器産業機械 5,999 6,471 5,935 6,251 6,431 6,993 6,907 4.0 7.2 8.1 16.4
家電製品 818 852 927 947 805 919 1,007 11.1 -1.7 7.9 8.6
エレクトロニクス計 66,930 67,679 68,782 67,757 62,627 64,885 67,155 -7.8 -6.4 -4.1 -2.4
繊維 2,210 2,358 2,478 2,606 2,579 2,770 2,902 9.6 16.7 17.4 17.1
化学品 10,369 10,316 10,145 10,727 11,721 11,450 12,589 13.6 13.0 11.0 24.1
ゴム製品 3,756 3,871 3,845 3,983 4,222 3,834 4,662 20.8 12.4 -1.0 21.3
輸送機械 3,390 1,944 1,947 1,990 2,816 1,927 2,133 -24.5 -16.9 -0.9 9.6
木製品 2,114 2,114 2,155 1,995 2,035 2,324 1,952 -13.0 -3.8 10.0 -9.4
金属製品 6,556 6,693 5,849 7,103 7,318 7,710 7,431 25.3 11.6 15.2 27.0
石油製品 6,033 6,478 7,444 9,263 9,975 8,092 8,221 39.0 65.3 24.9 10.4
光学機器 4,131 4,432 4,838 4,918 4,478 4,793 4,823 24.6 8.4 8.1 -0.3
製造製品計 119,284 120,079 121,831 125,656 122,480 123,919 128,046 1.6 2.7 3.2 5.1
ゴム 2,170 2,065 2,219 2,757 3,818 3,616 2,974 69.0 76.0 75.1 34.0
パーム油 11,023 10,462 10,411 12,834 13,448 14,893 16,319 29.8 22.0 42.4 56.7
木材 1,383 1,316 1,321 1,364 1,198 1,328 1,305 -4.7 -13.4 0.9 -1.2
407 565 600 511 720 651 650 79.9 76.9 15.2 8.3
石油 8,864 8,288 7,460 6,152 7,872 8,303 7,794 -27.9 -11.2 0.2 4.5
LNG 10,464 8,995 9,699 9,584 10,722 11,112 12,839 9.7 2.5 23.5 32.4
6品目小計 34,311 31,691 31,710 33,202 37,778 39,903 41,881 8.8 10.1 25.9 32.1
輸出総額 158,601 156,971 158,447 164,803 166,359 170,745 171,709 3.5 4.9 8.8 8.4
半導体 15.26 15.80 15.47 14.84 15.66 16.21 16.21
電気機械・部品 15.97 15.53 15.30 13.65 11.05 10.90 10.84
消費者用電器 3.21 3.65 4.64 4.63 3.43 3.01 3.59
商業用電器 3.46 3.47 3.67 3.62 3.15 3.24 3.87
電器産業機械 3.78 4.12 3.75 3.79 3.87 4.10 4.02
家電製品 0.52 0.54 0.59 0.57 0.48 0.54 0.59
エレクトロニクス計 42.20 43.12 43.41 41.11 37.65 38.00 39.11
繊維 1.39 1.50 1.56 1.58 1.55 1.62 1.69
化学品 6.54 6.57 6.40 6.51 7.05 6.71 7.33
ゴム製品 2.37 2.47 2.43 2.42 2.54 2.25 2.71
輸送機械 2.14 1.24 1.23 1.21 1.69 1.13 1.24
木製品 1.33 1.35 1.36 1.21 1.22 1.36 1.14
金属製品 4.13 4.26 3.69 4.31 4.40 4.52 4.33
石油製品 3.80 4.13 4.70 5.62 6.00 4.74 4.79
光学機器 2.60 2.82 3.05 2.98 2.69 2.81 2.81
製造製品計 75.21 76.50 76.89 76.25 73.62 72.58 74.57
ゴム 1.37 1.32 1.40 1.67 2.30 2.12 1.73
パーム油 6.95 6.66 6.57 7.79 8.08 8.72 9.50
木材 0.87 0.84 0.83 0.83 0.72 0.78 0.76
0.26 0.36 0.38 0.31 0.43 0.38 0.38
石油 5.59 5.28 4.71 3.73 4.73 4.86 4.54
LNG 6.60 5.73 6.12 5.82 6.45 6.51 7.48
6品目小計 21.63 20.19 20.01 20.15 22.71 23.37 24.39
輸出総額 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00