4.中国の貿易摩擦⇒トップ・ページに戻る


-4-7. EUは中国の安値輸出に対し、あくまで問題視する構え(06年9月12日)

4-4-5.EUが中国製靴についてダンピングの懸念表明(06年1月12日)

4-5-4.米中、3年間の繊維製品貿易協定締結(05年11月9日)

4-4-4. EUの靴メーカーが中国製靴の輸入制限要求(05年6月9日)

4-4-3. EUは中国からの繊維製品輸入問題をWTOに提訴(05年5月30日)

 ⇒3年間の休戦で合意(05年6月11日)

4-4-2. EUも中国の繊維製品輸入急増に対抗措置を検討(05年5月26日)

4-5-3. 米国は中国の繊維製品にたいし再び数量規制(05年5月16日)

4-6. 中国が繊維製品の一部に輸出税を課すと約束(04年12月13日)

 

4.-1. EUは中国への特恵関税を廃止(03年6月30日)

EUは中国と香港のカラー・テレビや電機製品について、を3〜20%の幅で与えられてきた特恵関税(GSP)を今年の11月から半減させる。

また、テレビ、民生用電機、めがね、時計、動物性食品、プラスチック、ゴムなどに与えられてきたGSPを来年5月から撤廃すると、EUの通商代表は語った。

中国はEUに対して、2002年は97億ドルの貿易黒字になっている。

 

4-2. 米国の中国たたきが激化(03年10月29日)

つい2〜3年前までは、米国は何かというとジャパン・バッシング(日本叩き)をやっていた。それに対し、無能な日本の政治家・役人はタダひたすら頭を下げて、唯々諾々と米国の言い分を聞いてきた。

あまりに、日本政府があまりに従順なので、裏に何か隠し技を日本は秘めているのではないかと米国側は考えたに違いない。実は何もなかったのだ。あったのは卑屈な負け犬根性だけであったといっても過言ではないであろう。

その後、表7に見るとおり、2000年には米国の国別輸入シェアでカナダに次いで第2位の地位にいた日本が、最近(03年1〜8月)ではカナダ、中国、メキシコに次いで第4位にまで後退し、シェアも9.5%とついに10%の大台を割ってしまった。

これで、やれやれである!?米国政府の矛先は、今や中国に向かっている。

やれ人民元が安すぎるとか、2001年にWTOに入ったのに「市場開放」が不十分であるとか、ニギヤカなことこの上ない。まさに「対岸の火事」といったところである。

米中で大いにやってもらいたい。しかし、よくよく考えると、家族(日本企業)が対岸にいるではないか?いい加減にしろというのに兄弟そろって出かけていって、火事にまきこまれやせんか?心配の種は尽きないものである。

表4-1. 米国の国別輸入実績およびシェア(単位:100万ドル、%)

2000 2001 2002 ’03/1-8 '00 '01 '02 '03/1-8
日本 146,577 126,473 121,428 77,477  12.0%  11.1%  10.4% 9.5%
中国 100,063 102,278 125,193 93,820 8.2 9.0 10.8 11.5
台湾 40,514 33,375 32,148 20,610 3.3 2.9 2.8 2.5
韓国 40,300 35,181 35,572 23,314 3.3 3.1 3.1 2.9
シンガポール 19,186 15,000 14,802 10,075 1.6 1.3 1.3 1.2
香港 11,449 9,646 9,328 5,599 0.9 0.8 0.8 0.7
マレーシア 25,568 22,340 24,009 16,235 2.1 2.0 2.1 2.0
タイ 16,389 14,727 14,792 9,646 1.4 1.3 1.3 1.2
インドネシア 10,385 10,104 9,643 6,328 0.9 0.9 0.8 0.8
フィリピン 13,937 11,326 10,978 6,764 1.1 1.0 0.9 0.8
アジア10カ国 424,367 380,450 397,996 269,868 34.8 33.3 34.2 33.1
メキシコ 135,926 131,338 134,616 90,168 11.2 11.5 11.6 11.0
カナダ 230,838 216,268 209,088 146,855 18.8 19.0 18.1 18.0
NAFTA計 366,764 347,626 343,704 237,023 30.0 30.5 29.7 29.0
輸入合計 1,224,415 1,140,999 1,161,365 817,466 100 100 100 100

資料出所:htt://www.census.gov/foreign-trade/

注:Custom Value Basis であり CIFベースより低い数値となっている。

上の表は米国の輸入の数字であるが、米国を基点にしてみた貿易赤字は、中国の数字の大きさが突出している。2002年のトップは対中国で商品の貿易赤字が1,031億ドルであり、第2位の日本の701億ドルを大きく引き離している。

第3位はカナダの498億ドル、第4位はメキシコの372億ドル、第5位はドイツの359億ドルであった。なお米国の貿易赤字(商品)は4,701億ドルであった。

03年1〜8月の実績では、第1位は中国で770億ドル、第2位は日本の430億ドル、第3位はカナダの355億ドル、第4位はメキシコの277億ドル、第5いはドイツの262億ドルである。なお総額は3,475億ドルである。

米国政府筋は、中国との赤字は今後ますます増加し、2003年通年で1,300億ドルにまで拡大する可能性があるとしている。そうなると、日本は第2位ながら、だいぶ目立たない存在になりつつある。

このような大幅赤字解消策として、中国政府は米国から自動車など大量の買い付けを検討している。

 

表4-2 米国の国別貿易収支(商品)赤字と構成比(億ドル、%)

1999

2000

2001

2002

03/1-8

1999

2000

2001

2002

03/1-8

Japan

734

813

690

701

430

22.3

18.6

16.8

14.9

12.4

China

687

838

830

1031

770

20.9

19.2

20.2

21.9

22.2

Taiwan

161

161

152

138

96

4.9

3.7

3.7

2.9

2.8

S.Korea

82

124

130

130

76

2.5

2.8

3.2

2.8

2.2

Hong Koong

-21

-32

-44

-33

-29

-0.6

-0.7

-1.1

-0.7

-0.8

Singapore

19

14

-27

-15

-12

0.6

0.3

-0.7

-0.3

-0.4

NIEs4

241

267

211

220

131

7.3

6.1

5.1

4.7

3.8

Malaysia

124

146

130

137

93

3.8

3.3

3.1

2.9

2.7

Thailand

93

97

87

99

62

2.8

2.2

2.1

2.1

1.8

Indonesia

75

80

76

71

47

2.3

1.8

1.8

1.5

1.3

Philippine

51

51

37

37

14

1.6

1.2

0.9

0.8

0.4

ASEAN4

343

375

330

344

215

10.4

8.6

8.0

7.3

6.2

East Asia

2005

2293

2061

2296

1546

61.0

52.6

50.1

48.8

44.5

Mexico

228

242

299

372

277

6.9

5.5

7.3

7.9

8.0

Canada

228

504

532

498

355

6.9

11.6

12.9

10.6

10.2

NAFTA

457

746

832

870

632

13.9

17.1

20.2

18.5

18.2

Germany

284

294

290

359

252

8.6

6.8

7.1

7.6

7.2

France

68

95

104

94

73

2.1

2.2

2.5

2.0

2.1

U.K

8

19

6

76

47

0.3

0.4

0.1

1.6

1.4

Italy

123

141

139

142

103

3.7

3.2

3.4

3.0

3.0

EU4

484

549

539

671

476

14.7

12.6

13.1

14.3

13.7

Others

343

773

682

865

822

10.4

17.7

16.6

18.4

23.6

G.Total

3288

4361

4114

4701

3475

100

100

100

100

100

 

4-3. 米国は中国製の繊維製品などに輸入制限を検討(03年11月20日)⇒テレビに波及(03年11月26日)

米国のメディア(WSJやニューヨーク・タイムズ)が伝えるところによると、来年の大統領選挙を控え、ブッシュ政権は最近突出の目立つ中国からの輸入を制限することを検討し始めたようである。

まず、繊維製品の輸入数量割り当て(クオータ制)が検討されているという。

米国の繊維業界は過去3年間に316,000人の労働者を解雇してきたと主張している。その最大の原因は中国からの輸入増加であるという。

米国の繊維業者はブラジャー、ニット製品、ガウンなどの輸入増加を年々7.5%いかに抑えるように要求しているという。

これに対し中国はすかさず「報復措置」をとることを警告した。しかし、中国が米国製品の輸入に報復するなどといっても全く迫力がないことは中国の当局者が一番良く知っている。

米国の中国からの輸入実績は上の表7に見るとおりで、2002年は1252億ドルである。これに対し、米国の中国向け輸出は221億ドルに過ぎない。米国の1031億ドルの貿易赤字である。

このうえ、中国が米国製品の「輸入制限」などしようものなら、米国の対中輸出は無くなってしまうではないか(!?) そんなことができるはずは無い。

こと貿易問題に関しては、中国も日本も米国に大しては「報復措置」などという手段は有効ではない。先ごろも、2001年にブッシュ政権が世界を驚かせた、鉄鋼のセーフ・ガード(ほぼ30%の保護関税を課す)は今年11月にはいって、WTOがクロの裁定を下した。

日本政府の「報復措置」の内容をみて、その「無内容」に驚いたのは筆者だけではあるまい。なんと、日本は米国の鉄鋼製品に対して30%の報復関税を課すというものである。

筆者は寡聞にして米国の鉄鋼製品が日本市場に入ってきたという話しは聞いたこともないし、見た記憶がない。敗戦直後はかなりあったし、特殊なものは今でも少しはあるかも知れないが微々たる物である。とっくの昔に米国の鉄鋼業は「国際競争力」を失ってしまっているのであえう。

要するに、日本の「報復措置」は形式上のものであり、やったという「記録用」のものである。

ということは、米国は中国製品に対して、あるいは日本製品に対して今後いくらでも輸入制限措置をかけられるということが、今更ながら明らかになったのである。頼りはなんとWTOと「米国内の消費者の声」ぐらいなものしかない。

このあいだ、毎日新聞に某米国通の経済評論家が「米中間でFTA」を結んだら日本は大変なことになるなどと的外れのコメントをしていたが、そんなことは起こりえないことは自明であろう。

日本のFTA推進論はなぜか「国益を重視する」と称するタカ派政治家グループが役人に騙されて、躍起になって推進しようとしているが、FTAは基本的に「排他性」を持ったものであり、先進国は結ぶべきではない。

FTA合戦がくりひろげられたら世界の貿易秩序は大混乱をきたすことは自明ではないか?経済界には良識派はいないのであろうか?ジェトロは何を考えているのだろうか?マスコミも推進論一色ではないか?日本という国は本当に恐ろしい国になりつつある。

⇒中国製テレビにアンチ・ダンピング課税(03年11月26日)

米国政府は中国製テレビ・セットに対して、12月1日より28〜46%の反ダンピング税をかけることとした。予備的な手続きなしで反ダンピング税を課すことは極めて異例の措置である。

それだけ、米国側には中国政府の「元レート切り上げ」問題などに対する苛立ちがあるとみることもできよう。

中国とマレーシアからのテレビの輸入は急増しており、2001年には21万台だったものが、2002年には265万台に達している。しかし、今回はマレーシア製のテレビについては何のお咎めもない。

米国内ではウォル・マートとシアーズ・ローバックの2社が中国製テレビを大量に扱っており、今回の商務省の決定に不満を示している。

中国のメーカーの代表格のTCL社は生産基地をベトナムやインドネシアやフィリピンに移すことを検討しているという。彼らは今年の2Qには米国側にこのような動きがあることを察知し、対策を検討してきたという。

11月はじめにはTCLはフランスのトムソン社とテレビ部門を統合する話しも既にできているという。これが実現すれば、世界最大のテレビ組立て会社ができることになる。

シアーズ・ローバックで売られている27インチ型カラー・テレビは中国のチャンホン社製でApexブランドのものが199.99ドルであるのに対し、同型のフィリップス製品は259.99ドルと60ドルも割高であるとのことである。

これとは別に、米国の家具メーカーであるバセット・ファーニチャー工業社やスタンレー・ファーニチャー社はブッシュ政権に対し、中国から輸入している年間10億ドル相当のベッドに対して、440パーセントの関税を課すように圧力をかけているという。

また、米国の鉄鋼業やワイア・ハンガー・メーカーも同様の動きをしているという。(http://www.scmp.com 03年11月26日の記事参照)

中国政府も怒りをあらわにしているが、上にも述べたように「報復の決め手」がない。WTOに提訴して争う以外に、当面は手の下しようがない。米中の「貿易戦争」はいよいよエスカレートしてきた。

 

4-4. EUと中国

4-4-1.EUも中国製繊維製品の輸入急増に繊維メーカーが対抗措置を要求(04年1月15日)

最近、中国は鉄鋼製品(冷延薄板)に最高55%の輸入関税を課すなど、攻撃的な保護主義政策を一部で打ち出しているが、EUも中国製の繊維製品の急増に対し、メーカーは対抗措置を取るようEU委員会に訴えている。

米国も(13)に見るように昨年11月から対抗措置を取り始めた。また、最近は米国政府は中国政府に対し、輸出業者にライセンスを与えるように要求している。また、個別品種としてはニット繊維、ドレッシング・ガウン、ブラジャーの急増を制限するよう要求している。

EUは米国ほどドラスチックな措置を取ることは考えていないようであるが、実害があれば当然何らかの措置を取るであろう。

EUの繊維業界は中国からの輸入によって、数量的な被害もさることながら、価格の下落による打撃が大きいという。

WTOの枠組みの中で認められている「セーフ・ガード」による対抗措置がこの場合とられる可能性が強い。

 

4-4-2. EUも中国の繊維製品輸入急増に対抗措置を検討(05年5月26日)

05年1月からの輸入数量規制撤廃と同時に、中国から米国とEUに対し津波のごとく繊維製品の輸出が押し寄せている。これに対し米国は7品目に対しセイフ・ガードを適用することとした。(下の4-5-3参照)

中国も国内業者に対し繊維の輸出に対しては急遽輸出税を大幅アップして、輸出の「自主規制」に乗り出した。そのため、中国国内の繊維会社はパニックに陥り、株価も大幅に下げているといわれている。

EUも自体の深刻さは米国と同じであって、貿易委員長のピーター・マンデルソン(Peter Mandelson)氏が中国側(代表Gao Hucheng)と急遽会談を行いつつある。

中国側はEUも米国も数量規制を行うならば、先に決めた輸出税の増加は行わないと言明している。しかし、輸出税をあげても、短期的な効果は実際は望めない。というのは中国の輸出業者は利幅が減る分だけ(増税によって)、数量増加でカバーしようとするからである。(一種のJカーブ効果?)

EUは5月末までにはどうするか結論を出すといっているが中国側が「輸出数量の自主規制」を行わない限り、EUも米国と同じ方向に進むことは間違いない。(米国とは相談しないでやっているといっている)

EUは具体的にはTシャツとリネンを問題にしてWTOにアピールしている。

WTOのルールでは正式な紛争開始の届出があって15日間のうちに中国側が適切な対策を採らなければ、EU側が数量規制を課すことを認めている。

中国側は「自由貿易とは所詮は神話である」などといって嘆いている。まさにその通りであり、完全な自由貿易などはありえない。そういう前提でWTOもドーハ・ラウンドを見直さなければ話はまとまらない。

例外だらけのルールになっても原則的に世界共通の自由化ができなければ、FTAのネット・ワークが張り巡らされ自由貿易はいっそう後退し、のっぴきならないところまで追い込まれることは自明である。

残念ながらそういう動きの先頭を切っているの日本政府(小泉政権)で、EUもたまりかねて中南米はEUが押さえるなどという動きが出つつある。

日本のメディアも学者ももっと歴史に学んで冷静な対応をしなければ悔いを千載に残すことになる。こういう調子(バスに乗り遅れるな論など)で太平洋戦争に突入したのですよ。世界市場のブロック化だけは何としても避けなければならない。

 

4-4-3. EUは中国からの繊維製品輸入問題をWTOに提訴(05年5月30日)

EUは5月27日(金)に中国からの繊維製品の2品目、Tシャツとフラックス・ヤーン(亜麻布=リネン?)についての輸入急増問題をWTOに提訴することに決めた。

中国政府は2004年3月から2005年2月までの間にEUに輸入された量の7.5%増以内に上記2品目の輸出を抑え泣けれならない。もしくは、中国政府としては15日間以内にEUと話し合いを行い、何らかの合意に達する必要がある。

EUに輸入された中国からのTシャツは05年1-4月には187%増加し、またフラックス・ヤーンは56%も増加している。これは2005年1月から「輸入割当規制」が撤廃されたため、中国からの輸出が集中豪雨的に増加したものである。

米国はWTOに持ち込まず、独自に7品目の輸入規制に踏み切った。

中国は米国とEUが日ごろ自由化を口にしながら、いざ被害が自国に及ぶと直ちに保護主義に走るとして「ダブル・スタンダード(2重基準)」だとして避難しているが、両国とも背に腹は替えられないといったところである。

⇒3年間の休戦で合意(05年6月11日)

EUの貿易委員長のピーター・マンデルソン(Peter Mandelson)と中国の商務部長薄煕来(Bo Xilai=薄一波の息子)は上海で交渉を行い、6月10日(金)合意に達し、繊維製品10品目については今後3年間は中国は年率10%以上の対EU 向けの輸出増加はおこなわないという取り決めをおこなった。

そのかわり、EUはWTOにセーフ・ガードの申請をおこなわないとするものである。

中国は05年5月の貿易統計を発表したが、それによると輸出が前年同月比+30%と大きく伸び、一方輸入は15%の伸びにとどまった。

(05年6月12日追記)

なお、10品目とは下記のものであると、新浪(sina.com)インターネット版に紹介されていました。日本の権威ある一流新聞によると「亜麻糸」が入っていると書いてありましたが、どうやらリネンが正解のようです。

英字紙では"flax yarn"と書いてあるのですが糸を輸入しているというのは変な話なので、念のため新浪を見たら、どうも「亜麻紗」がそれに当たるみたいです。まあ、リネンのことでしょう。

 

欧盟承诺终止调查十类中国纺织品

 

4-4-4. EUの靴メーカーが中国製靴の輸入制限要求(05年6月9日)

中国の繊維製品の輸入急増については上述のようにWTOへのセーフ・ガード申請ということになったが、今度は靴についても中国からの輸入が急増しているとして主要生産国であるイタリー、ス ペイン、ポルトガルなどがが輸入制限を要求し始めた。

特に皮製の靴と布製のスリッパの中国からの輸入が急増し、05年1-4月の間に前年同期比で実に681%増加し、価格も28%急落したという。イタリーの業界が真っ先に行動を起こし、200通以上の抗議文をEU委員会に送りつけた。

また、最近は中国についでベトナムも可なり輸出を急増させているという。

EU貿易委員会のクロード・バーノン-レビル(Claude Vernon-Reville)広報担当官は「生産コスト以下での輸出については、われわれは直ちに行動をとる必要があるが、まず調査を先にやりたい」と述べている。もし、ダンピングが立証されれば直ちにダンピング税を課すると述べている。

WTOのルールではダンピング課税をおこなう場合は地域の25%以上の業者が被害を受けていることも必要条件になるが、現在苦情を寄せているイタリー、スペインなど数カ国で40%のシェアを占めている。

2004年9月16日にはスペインで靴業者が中国製の靴の輸入急増に抗議するためデモを行い、靴を焼き、小売店を打ち壊すなどの騒動があった。

また、繊維関係については250万人の職場が脅かされており、6月11日からTシャツとリネンについては緊急輸入制限をおこなうと語った。

(WSJ,sina.com 6月8日インターネット版、参照)

 

4-4-5.EUが中国製靴についてダンピングの懸念表明(06年1月12日)

中国は2005年の貿易が大いに伸び、輸出が04年比28%増加の7,620億ドル(04年の伸び率は35.4%)、輸入が18%増の6,600億ドルと、差し引き貿易黒字が1,020億ドルに達した。この黒字額は04年の約3倍である。

すなわち、05年は輸出は30%近く伸びたが、輸入は18%にとどまった(伸び率としては04年の36.0%の半分)。このままで行けば、中国の外貨保有高は異常に膨れ上がってしまう。既に8,000億ドルていどの外貨保有となっており、日本と肩を並べている。

外貨準備が異常に膨れ上がるが、ますます使い道がない(輸入は伸びない)ということになると中国政府は一体どうするつもりなのであろうか?

しかし、この流れを変えると、中国経済(地元企業)がおかしくなってしまうから、矛盾を承知でいけるところまで行くということであろう。元の切り上げも2%程度でお茶を濁しているなどということで済むはずがない。

一方、輸出は好調だが、安値輸出を中国企業はやっているのではないかという不信感も持たれている。今回、EUにおいて繊維に続いて、靴が改めて問題になっている(上の4-4-4の記事参照)。

EUの貿易代表のピーター・マンデルソン(Peter Mandelson)氏は中国は靴を生産コスト以下でEUにダンピング輸出をしていると述べて、これがあらためて貿易紛争の火種になりつつある。

中国の商務部(商業省)は急遽、対外貿易担当の副部長、高虎城(Gao Hucheng)をEU に派遣し、事情聴取(問題の所在は初めからわかっている)を開始した。中国の基本方針はことを穏便に収めるというl事に尽きる。

中国の味方はEUにおける、「小売業者」だが、小売業者としても域内の製造業者の立場を無視するわけには行かない。一方、EU側もアディダス(Adidas)やプーマ(Puma)などのドイツの有名ブランド・メーカーが中国に工場を作り、大量にEUに輸出しているという問題を抱えている。

したがって、EU内部でも、ドイツと中小靴メーカーを多く抱えているイタリーやスペインとは立場の違いがある。EUとしては「スポーツ・シューズ」は議論の対象から外して、その他の革靴を問題にしたい意向であるという。

EUは現在、10%弱の関税を靴輸入にかけているが、このままでは「ダンピング課税」をさらに課すことも考えられる。EUの靴メーカーの言い分では革製ブーツが材料費だけで12〜14ユーロもするというのに、中国製品が9.5ユーロでEUに入ってくるのはどういうわけだといきまいている。

中国企業(外資系は別)の輸出姿勢は「ともかく外貨を稼ぐ」ということに主眼が置かれており、利益ははっきり言って「2の次」であるというところが少なくない。それは輸出が一番「現金収入」につながるからである。企業というのは「現金収入」があれば簡単には「倒産」しないからである。

逆に、帳簿上いくら黒字を計上していても現金がついてこなければ倒産してしまうからである。

 

4-4-6. EUが中国とベトナムの安い靴に関税をかける(06年3月17日)

EUは3月16日(木)に中国とベトナムで製造される安物の革靴に対し、4月から関税をかけることを決定した。はじめは低い関税から出発し、今年秋には20%くらいにまで上昇させていくという。

EUの貿易委員会委員長ピーター・マンデルソン(Peter Mandelson)氏は中国とベトナムは不当に安い値段でEUに靴を輸出しているという確かな証拠ををつかんだとして、今回の関税賦課はWTOのルールにもかなったものだと述べている。

 

4-4-7. EUは中国の安値輸出に対し、あくまで問題視する構え(06年9月12日)

フィンランドの首都ヘルシンキで第6回ASEM(アジアとEU)首脳会議が9月10日と11日に開催された。

その中でEUと中国のあいだで個別会談がおこなわれ、EUのホセ・マヌエル・バロッソ(Jose Manuel Barroso)委員長は温家寶首相に対し、EUとしては中国製品の安値輸出を回避するためのいくつかの「基準」を課すことを明言したといわれる。

そのなかには、@国家の影響(輸出優遇策など)、A企業会計ルール、B破産法、C金融サービス部門の改革などを織り込むとしている。

中国側としてはEUが全面的に中国への市場開放を求めることを再度主張したが、EUとしては輸出優遇策や赤字を承知で輸出しても資金繰りさえつけば企業はつぶれないという中国の実態を踏まえて、正当な価格で輸出がおこなわれる環境作りを促したものと思われる。

(続く)

 

 

4-5. 米国の対中国輸入規制(04年6月19日)

4-5-1.米国が中国製木製家具に対して高関税(04年6月19日)

米国は6月18日に中国製木製家具に対して、最高198%の関税を課し、来週から徴収することを決定した。これは先に中国製テレビに対して課した反ダンピング関税に次ぐ措置である。

この関税は予備的なものでITC(国際貿易委員会)の反ダンピング裁定の決定を待って正式に決められる。

米国商務省はこれ以外にも中国からの輸入品について数多くの苦情が国内業者から寄せられており、今後いくつかのケースについて、同様の措置が採られるであろうと述べている。

⇒中国製家具に対し8.64%お反ダンピング課税決定(04年12月14日)

米国国際貿易委員会は12月10日に中国製家具の輸入が国内の家具製造業者に実質的な損害を与えているとして、04年6月23日に遡及して8.64%の反ダンピング税を課することに決定した。

当初は198%という高関税が想定されていたが、調査の進行とともに12.91%の仮の税率が設定され、最終的に8.64%となったもの。

03年の中国の米国への家具輸出は77億ドル強に達するとみられている。

 

 

4-5-2. 米国が中国製靴下に輸入数量規制(04年10月24日)

米国政府は10月22日(金)に中国からの靴下の輸入数量規制を課すことをきめた。これは苦戦が伝えられるブッシュ大統領の選挙対策ともみられている。

数量規制は現行の輸入レベルから年率7.5%増にとどめたいとしている。

米国と対中国の貿易赤字は2003年には1,240億ドルに達し、04年には1,400億ドルとさらに増加する見通しである。米国政府は貿易不均衡の最大原因は中国が人民元の交換レートを1ドル=約8.28人民元に固定しているためであるとしている。

米国政府筋は人民元はドルに対し約40%過小評価になっているとみている。

米国の衣料製造業者も中国製の衣類輸入に対してもを規制政府に働きかけている。

 

4-5-3. 米国は中国の繊維製品にたいし再び数量規制(05年5月16日)

05年1月から米国は繊維製品の輸入数量規制をEUともども撤廃したが、たちまち中国製の繊維製品の集中豪雨的な輸入増に見舞われ、05年1Qで前年同期比54%もの増加(品目によっては100%以上)になったという。下の表59参照。

そのため、米国では今年に入り18の繊維工場が閉鎖され、16万人の雇用が失われたという。米国政府は国内業者が深刻な打撃を受けたとして5月13日(金)に@木綿製ズボン、A木綿製ニット・シャツ、B木綿製下着の3品目 (後に数品目追加)について輸入数量規制(セーフ・ガード)を行うと発表した。

これは米国商務省が主導する CITA(Committee for the Implementation of Textile Agreement=繊維製品協定実行委員会)の決定によるものである。

この決定により、上記3品種については2005年は7.5%の輸入増を上回らないという制限が課せられることになった。

中国側は米国の今回の措置はWTOの基本原則に反するものだとして反発を強めている。しかし、中国のWTO加盟に際しては、中国の衣類輸入が急増した場合は年率7.5%増を限度として数量規制をおこなってよい旨の事前の協定がなされており、米国の今回の措置は特に問題がないとされている。

一方、米国内の小売業界は数量規制の再導入は消費者の利益にならないとして反対している。

おそらく、EUも近々同様な措置をとるものと予想される。

中国政府は何とか「輸出急増」を避けようとして、輸出税を2%⇒4%に増やすなどして抑制しようとしたが、集中豪雨的増加を阻止できなかった。 中国政府としては、米国から為替政策の変更(固定相場制度から管理フロート制へ)を求められていることや、今回の措置に強く反発している。

しかし、中国政府としては有効な反撃の手段は見つかりそうもない。

⇒6月1日より繊維製品に広範囲に輸出税を課す(05年5月22日)

中国政府は米国やEUへの集中豪雨的な繊維製品の輸出を抑制するために、従来2%だった輸出税を4%に増加していやが、さほど効果を挙げていないため、さらに輸出税を広範囲の製品についてより高い輸出税を6月1日から課すことを決め、リストを公表した。

例えば木綿製の男物ニット・ウエアについては従来1着あたり0.2元であったものが1元(約13円)の輸出税がかけられることになった。

これに対し、米国政府は短期的にはたいした効果は期待できないとして、綿製品や化繊のニット製シャツなど7品目への数量規制(セーフ・ガード)を続けるとしている。

 

表59. 米国の主要国別繊維製品輸入(100万ドル)

   2004/1Q  2005/1Q

 伸び率(%)

1.China 3,638.9 5,603.6 54.0
2.Mexico 1,941.6 1,799.5 -7.3
3.India 1,040.9 1,321.2 26.9
4.Canada 868.3 824.2 -5.1
5.Indonesia 667.2 751.8 12.7
6.Pakistan 595.5 663.3 11.4
7.Hondulas 617.1 661.0 7.1
8.Italy 621.5 626.6 0.8
9.Bangladesh 474.0 571.4 20.6
10.Vietnam 547.9 616.3 12.5
11.Dominica 431.6 442.5 2.6
12.Guatemala 462.2 511.1 10.6
13.Thailand 480.2 551.2 14.8
14.Sri Lanka 399.7 476.0 19.1
15.Korea South 635.0 545.5 -14.1
16.Philippines 479.1 461.4 -3.7
Total Import 20,259.0 22,589.1 11.5

米国政府貿易統計より   

 

4-5-4.米中、3年間の繊維製品貿易協定締結(05年11月9日)

米国は05年1月からの「数量規制廃止」後の中国からの集中豪雨的輸出に対し、両国で対策を話し合っていたが、2006年1月より、アパレル製品については年率10%、繊維については12.5%の増加を認める。

2007年についてはファイバー・グラスと糸(Tread)nituiteha15%,その他の繊維製品については12.5%の増加を認める。

2008年については木綿製のシャツとズボン、ブラジャー、下着など米国の業者から抵抗のきつい8品目については15%、糸、ファイバー・グラス、ニット繊維、窓のブラインドの4品目については17%、他の全ての製品については16%の輸入増加を認めるということで決着がついた。

中国の05年1〜8月の繊維製品の対米輸出は前年同期比46.05%増の111億ドルに達しているといわれている。こんご3年間のこの協定は「実績」ベースではなく、当初米国が設けた7.5%の制限(上の記事参照)をベースにするといわれている。

そうすると、今の輸出実績は維持されないかあるいは相当削減される品目がかなり出てくるものと考えられる。(WSJ, Internet版 11月7日付け参照)

 

4-6. 中国が繊維製品の一部に輸出税を課すと約束(04年12月13日)

中国商務部(通商省)は05年1月からの、米国とEUの繊維製品の輸入割当制度(Quota System)廃止に伴い、中国の繊維製品が集中豪雨的に欧米市場になだれ込むのを緩和する目的で、一部の繊維製品について、「輸出関税」をかけることを表明した。

中国商務部は詳細については言明を避けているが、放置しておくとセイフ・ガードの適用など別の規制処置がとられ、収拾のつかない、貿易摩擦に発展することを回避する目的で、輸出税という形での、「輸出自主規制」を行おうとしているとみられる。

最近の中国からの輸出動向を見ると、繊維製品よりも電気機械製品の輸出の伸びがめだち、既に輸出総量の3分の1は「機械および電気機械」というカテゴリーの製品で占められ、繊維関係は20%を切るまでになっているが、欧米の規制が緩めば再び急増する可能性はある。

現在、中国の繊維製品は世界の繊維市場で17%のシェアーを占めているといわれているが、ここ2−3年のうちに50%近くにまで拡大するかもしれないとWTOは見ているという(FT,04年12月13日、インターネット版)。

確かに、中国に行ってみると、国営の繊維工場が上海などにはいくつもあるが、フル稼働しているところはほとんどなく、かなりの「輸出余力」を持っているような印象を受ける。

また、民間企業は最新設備への切り替えをおこなっており、やはり中国の繊維製品の輸出能力は高いと見るべきである。しかも、中国の企業にとっては、利益を上げるよりも、「外貨を稼ぐ」ことに力点を置いているところが少なくない。

いずれにせよ、このまま行くと、欧米諸国の繊維産業は大打撃を受けかねない。中国政府の「早めの対策」はそれなりの効果は期待できるかもしれない。その点、日本は「行き当たりばったり」の感がある。

特に、第2次世界大戦前の繊維製品の大量輸出はイギリスとの決定的な対立を生んでしまった。それが、やがて太平洋戦争(大東亜戦争)へと発展していく出発点ともなった。

今何よりも求められるのは「大人の知恵」である。