16-9.中国農業銀行の不良債権比率は26.3%、政府資金を年内に注入か(06年1月18日)
16-8.(60). 光大銀行を政府が救済(05年6月20日)
16-7 中国工商銀行、巨額な営業利益が不良債権で消える(05年1月6日)←Ch.47から移動
16-1. 国営銀行の不良債権の本格処理が始まる(03年12月17日)
中国の金融機関は3000〜5000億ドルに上る巨額の不良債権があるといわれており、一部はすでに米国の金融機関などに譲渡されて処理が進められてきた。
中国政府は不良債権を信達、東方、長城、華融の4社のAMC(Asset Management Co.=資産管理会社)に預け、処分を進めており、中国の4大国営銀行はすでに、1,680億ドル相当の不良資産をこれら4大AMCに移して、その処分を待っている。
今回は最大の華融AMC(China Huarong AMC)が外国の大手金融機関や国内の投資家に対し約30億ドル相当分の不良資産処分のための入札を行う。
参加する主な会社はシティ・グループ、ゴールドマン・サックス、メリルリンチ、レーマン・ブラザーズ、モルガン・スタンレーなどといった錚々たる顔ぶれである。
華融は資産内容の資料の事前閲覧に対して1社当たり50,000ドルの多額の請求を行い、すでに出だしから外資の顰蹙を買っているが、資産内容が芳しくなく、相当の売れ残りが発生すると早くも悲観的な観測がなされている。
問題は、どれくらいの回収率になるかということだが、公式発表では2001年の処分では37%、2002年分は24%、2003年に入ってからは22%と次第に悪化している。
今回の30億ドル分についてはさらに悪化することが予想される。
華融は2001年には15億ドルの不良債権をゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレー・グループに売却した。この年モルガンは額面13億ドルの資産を6,500万ドルで買い取ったといわれる。(WSJ、03年12月15日)
問題は資産の実際的価値である。その多くはかなり問題があるとされ、おそらく回収率は今後相当低くなっていくであろうと予想される。そうなると、そのツケは採取的に国家財政に回ってくる。
中国経済は大きな問題を先送りしつつ走り続けているのである。しかし、こういった不良債権を短期に処理しようなどというのは明らかに、愚策である。ゆっくりやるほか仕方がないのである。
その点、日本はあまりにセッカチにやりすぎて、不良債権がさらに増加するという悪循環に陥った。
なお、公表されている4大銀行の不良債権比率は次のとおりである。
| 中国工商銀行 | 21.56% | 2003年9月末 |
| 中国銀行 | 18.07% | 2003年9月末 |
| 中国建設銀行 | 11.92% | 2003年9月末 |
| 中国農業銀行 | 30.07% | 2003年6月末 |
(03年12月23日)入札結果は20%しか決まらず
この入札結果はなかなか発表されなかったが、12月23日付のサウス・チャイナ・モーニングポスト(SCMP=香港の英字紙)によると、華融が入札にかけた220億元(22件)のうち、売れたのはわずかに3件のみで、金額敵には20%の44億元にとどまったとのことである。
買い手はシティ・グループとJPモルガンであった。
ほかの5件にも27.8億元の値がついたものもあったが、華融の目標価格を50%以上も下回ったため、商談は成立しなかった。売れ残った物件は主に瀋陽などの東北部の企業が多かったという。
華融はさらに引き続き商談を続けるといっているが、物件の内容が良くないためあまり多くは望めそうもないという見方が多い。
この22件は17省にまたがる1,048社の国営企業からなっており、負債の帳簿価格の5.7%から30.4%の目標価格を華融はつけていたという。
16-2. 国営銀行に450億ドルの資金注入(04年1月7日)
新華社通信によれば中国政府は昨年、中国銀行と中国建設銀行の2行に対して450億ドル(約4兆8000億円)の資金注入を等分に行った。
他の中国工商銀行と中国商業銀行も多額の不良債権を抱えており、いずれ何らかの措置が必要と思われる。
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の見方によれば中国の銀行は貸付残高の45%が不良債権であり、その額は8,640億ドル(約92.4兆円)という巨大な額に達している。
この処理には最低15年間はかかると見られる。逆に言えば15年くらいかけてやるほか仕方がないということであろう。日本は短期にこれをやろうとして経済政策全体を誤ってしまった。
中国政府は1998年にも330億ドルの資金注入を行っている。現在はそのころより格段に事態が悪化している。
銀行は不良債権を資産管理会社(上述の16参照)に移管し、政府から国債を支給されてきた。しかし、銀行の株式を公開して外部資金を取り込んだほうが得策であるとして、IPOを(一般株式公開)を行い始めた。
そのためには公的資金を注入して銀行の財務内容をよく見せかける必要も生じている。今回の件はそのための「整形手術」とでも言うべきものであろう。
16-3. 珠海市が出資しているツー・クアン(珠光発展)・グループ の破綻(04年6月12日)
6月5日付けのサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙等によれば珠海市が出資しているツー・クアン(Zhu Kuan)・グループが約10億ドルの負債を抱え倒産した。同社の主な債権者はスタンダード・チャータード・バンクであり、モルガン・スタンレーも融資していた。
ZKグループは借り入れ返済が滞っていたためスタンダード・チャータード・バンクなどからマカオ裁判所にたいし破産申し立て訴訟を受けていた。同裁判所は破産判決を行った。
ZKグループはオフ・ショア資金を借り入れる窓口会社であり、珠海政府の機関であることから欧米有力銀行が貸付を行っていたが、借入金の返済の話し合いに応じないため債権者側は破産申請訴訟を行っていたもの。
ZKグループは1988年にマカオに設立され、その後香港株式市場に上場され、比較的順調に営業を行っていたという。同社は珠海空港(建設費69億元)などへの貸付を行っていた。
広東省では1999年に広東国際投資信用公司(広東省政府出資)が47億ドルの負債をもって倒産し、省政府が責任を回避したため(融資にはリスクは付き物という言い分)結局、債権者は貸し倒れに泣かされた経緯がある。
派手な珠江デルタの開発の裏には、利益を生まない大型プロジェクトがあり、それへの融資を外国銀行が受け持ち、結局不良債権をつかまされる結果となたケースである。
この種の事件は今後とも起こる可能性を秘めている。
⇒珠海市が40億ドル借り入れていた(04年8月2日)
珠光(Zhu KUan)グループは主に外国金融機関から70億ドルの融資を受けていたが、そのうち40億ドルが珠海市に貸し出されていたことが明らかになった。
珠光と珠海市との貸借関係は書類上かなりいい加減なものであることが同時に明らかになり、珠海市がどの程度責任をもって融資の返済をするかは明らかでない。
珠海市は東莞市にも7万平方フィートの商業ビルを建設するなど、かなり開発意欲の強い地方政府で、かなり大胆奔放に振舞っていたという。
(04年8月2日、 http://biz.scmp/ 参照、有料)
16-4. D’Long(徳隆)社の救済に中国政府が乗り出す(04年8月28日)←Ch.47から
中国政府はデロング(D'Long International Strategic Investment=徳隆国際戦略投資有限公司) 社が破綻しかかっているとして、急遽、救済に乗り出すこととし、資産管理会社の華融(Huarong社、#16-1参照)にしかるべき措置をとるように指示した。
デロング社という普段あまりおなじみのない会社は1986年に共産党幹部の息子タン氏(Tang Wanxin, Tang Wanli兄弟)によって設立され、瞬く間に200社近い企業に出資をするだ「大企業」に成長してしまった。
ドイツンの飛行機会社などへの海外投資も積極的に行っている。
現在、銀行を3行支配下に治め、そこで集められた資金などを使って株式市場で177社の株を所有しており、それらの多くが値下がりしているという。また、出資会社の中には多くの国営企業も含まれていると。
デロング社の負債総額などは明らかにされていないが、1年前には推定26億ドルの株式を所有していたという。(FT インターネット版、04年8月28日)
また、8月28日付けのWSJが地元メディアの説として、デロングの負債は430億元(=41.1億ドル)あり、とりあえずは15億元以上のの緊急融資が必要であるとのことである。
同社は民間会社であるにもかかわらず、あえて政府が救済に踏み切った理由は、突如倒産されると中国経済への国際的不信感が一気に高まるとことを懸念したためではないかと思われる。
デロング社のようなケースは他にも沢山あるというのが関係者の見方である。これらの、一見優良風の企業に中国の銀行(多分、外国銀行も)は多額の資金を貸し付けており、通常それらは「不良債権」のカテゴリーには入れられていない。
日本ではなぜか「中国株ブーム」が演出され、中国株の投資信託などがニギニギしく宣伝され、多くが利益を出しているということのようである。それは日本の投資信託会社、証券会社が神業的投資能力を持っているために違いない。
単なる偶然でそうなっているとしたら、幸運が長続きすることを祈りたい。あまりドブに捨ててもかまわないような資金を持ち合わせておられない向きは、しばらく様子を見られたほうがよいかもしれない。
⇒徳隆の負債は570億元に達する(05年3月28日)
経営破綻に陥っていた徳隆の負債総額は当初の430億元からはるかに膨らみ570億元(約7,300億円)に達することが明らかになった。内訳は金融負債340億元、実業負債230億元であるという。(www.sina.com/05年3月28日付け参照)
16-5. 4証券会社の救済に華融など乗り出す(04年9月6日)
中国証券監督管理委員会(CSRC=China Securities Regulatory Commission)は国営の不良資産買取会社である華融(China Huarong Asset Management Corp.)に徳恒(D'Hong Securities Co)と恒信証券(Hengxing Securities Co).および中富( China Fortune Securities Co.)の3証券会社の買収(救済)に乗り出す方針を固めた。
この3社は前項(16-4)のD’Longの関係会社である。
また、信達(China Cinda Assetmanagement Corp.)は漢唐証券(Hantang Securities Co)買収するであろうと伝えられている。漢唐証券は深圳(シンセン)の中堅証券会社であり、預かっていた化学会社Guizhou Chitianhua Corp.の社債を勝手に流用したとして訴えられていた。
このほかにもCSRC は深圳の Southern Securities Co.と北京の China Securities Ltdの救済に乗り出している。
(WSJ 9月6日付け インターネット版)
これ以外に中国の経済新聞によれば経営不振に陥っている証券会社がかなり存在する模様である。中国政府が景気引締め策を本格的に実行し始めた4月末頃から株式市場には不況の風が吹き始めており、既に株式バブルの崩壊は始まっているかの感じさえする。
前にも述べたが日本の投資家は要注意である。
日本も高度成長の前夜、昭和40年に山一證券が破綻したが、その直後に高度成長が始まった事を引き合いに出して、中国は大丈夫だなどと無責任な楽観論を唱えている向きもあるが、中国と日本は違うし、時代の背景も異なることはいうまでもない。
16-6. 不良債権処理4社の販売実績は6,050億元に(05年1月6日)
信達、東方、長城、華融の4社のAMC(Asset Management Co.=資産管理会社)の4大銀行の簿価上の不良債権販売実績は1999年から累計で6,050億元に達したが、実施の回収額は1,220億元であった(回収率20.2%)。
この4社は4大銀行の不良債権1.6兆元を処理するために1999年に設立された。(SCMP,04年12月30日)
16-7 中国工商銀行、巨額な営業利益が不良債権で消える(05年1月6日)
中国工商銀行(ICBC)は2004年の営業利益は前年比18%増加して747億元(90.3億ドル=9,400億円)に達したが、その多くは不良債権の処理と準備金の積み立てで消えてしまった。
その結果ICBCの2004年末の不良債権比率は2003年末より2%減少し、19.1%になったという。
それらの会計処理をした後のICBCの「帳簿上の利益(Book Profit)」は03年の26.6億元から04年は31.6億元(約400億円)となった。
フィナンシャル・タイムがつかんでいる情報の一つによれば中国の銀行が抱える不良債権の額は2,000億ドル(約20兆8千億円)といわれている。
昨年12月に財務次官のLou Jiweiが語ったところによると4大銀行のうちICBCと農業銀行が弱体であり、政府も資金投入を検討しているとのことである。
中国商工銀行で74億元(約9億ドル)の不正融資が発覚し、数十名の関係者が逮捕されたと1月17日付けのWSJ(Internet)は新華社電として伝えている。
事件の舞台となったのは広東省のFoshan(佛山)支店でビジネスマンのFeng Mingchangという人物が主犯である。ニセのL/Cや不動産登記書などを使って、ローンを引き出したというもの。
この事件で実損は20億元(2億4000万ドル)以上出るといわれている。
最近中国ではこの主の事件が多い。
16-8.(60). 光大銀行を政府が救済(05年6月20日)
光大(China Everbgight)銀行は2004年は45.8億元(約600億円)の赤字を計上するなど経営不振が続いており、不良債権も265億元(約3,500億円)に達し、再建策が検討されていた。
国務院・中国銀行業監督管理委員会が対策を検討していたが「中央匯金公司」が中心になって光大銀行に100億元の資本注入を行い、再建を図ることが決定された。この「中央匯金公司」なるものは実態がよくわからないが、政府系の金融機関であることは間違いない。
この不良債権を光大グループなどで処理した後に、「中央匯金公司」が資本注入して再建を図るという段取りのようである。また、光大銀行は先にシンガポールで5億ドルを超える赤字で破綻した「中航油」のシンガポール法人にも可なりの債権を保有しているという。
光大銀行は1999年に光代集団が当時多額の不良債権を抱え苦戦していた「中国投資銀行」を買収して成立した企業である。
今回の光大銀行の「破綻」は支店の無分別な融資の結果であるとされているが、行員の不正も影響しているものと思われる。
また、同時に光大証券も来月(05年7月)には再建計画ができるといわれている。中国共産主義体制化にあって、民間資本の代表選手でもあった光大グループがここに来て大いに揺れている。
(新浪;sina.com,05年6月18日版、SCMP05年5月27日版、参照)
16-9.中国農業銀行の不良債権比率は26.3%、政府資金を年内に注入か(06年1月18日)
香港の英字紙SCMP(South China Morning Post)のインターネット版(1月18日付け)によると、中国の4大銀行の中で、最も弱体だとされる中国農業銀行は900億米ドル以上の不良債権を抱えているという。
そのため、「バランス・シートをキレイにするため」に年内に政府資金の注入をしてもらうかもしれないという。
同行の副頭取の韓仲g(Han Zhongqi)氏は05年末の不良債権が7,398億元(約915億ドル)の不良債権があることを明らかにし、政府からは「資本注入」についてまだ返事を貰ってないと語った。(1月17日のsina.comにも記事が出ていた)
不良債権比率は26.3%に達し、銀行監視委員会が正常としている5%から大いに逸脱している。
同行の農業部門への貸付は9,000億元、38.8%と、かなりウエイトが高く、しばしば「政策金融」的な貸付を余儀なくされるといっている。おそらく、農業部門における焦げ付き融資が多いのであろう。
また、行員の規律違反や不正も多く、290人が刑事処分を受けたという。
他の大手3行(中国銀行、商工銀行、建設銀行)はバランス・シートも「キレイ」でIPO(株式公開)によって外国からの資金も入ってくるが、農業銀行はとてもそのレベルにはないと韓副頭取は認め、同行の再建に全力を尽くすよう行員にアピールしている。
同行は全国に31,000箇所の支店・営業所を有し、従業員が48万人いる。05年の営業利益は04年に比べ32.5%増えて、425億元に達したが、不良債権は0.51%しか減らせずになお26.3%残っている。
同行としては、他の大手3行なみに早く、外資を導入していっそうの発展を図りたいというところであろう。