イタリーの経済

Bad Debt Piled in Italian Banks Looms as Next Crisis (2016-7-5

イタリーの議会選挙で与党が事実上の敗北。(2013-2-27)


イタリーは雇用法改正ー解雇が容易に(2012-6-28)


マリオ・モンンティ首相の新政策は引き締め強化⇒2011-12-3


イタリーは経済テクノクラートの新首相に交代-暗夜行路の旅(2011-11-22)



イタリーの経済の苦悩(2011-11-5)

ギリシャの次はイタリーであるとかスペインであるとかポルトガルであるとか言われている。これらの国に共通する問題はないかというといずれも工業国ではない、もしくは工業部門の弱い国であるということである。それは貿易統計の赤字に表れている。

核国とも繊維や家電で大きな貿易赤字となっているのである。国内では自国で消費する衣類すら十分に生産されずに、その多くを輸入に頼っている。電気製品もテレビ、冷蔵庫、エア・コン、洗濯機からこまごました電気製品を一部を除いて輸入に依存している。

輸入に見合う外貨獲得の手段がほとんどない。観光業ぐらいが外貨収入の道である。ただし、ユーロという「強い通貨」があるので、銀行から金を借りればいくらでも輸入できる。ユーロがなくて従来のような自国通貨(リラ)であったら、それほど自由に輸入できなかったはずである。

ドイツやフランスの銀行にとってはこれらの非(もしくは弱)工業国はまたとない借り手である。これらの政府も税収が上がらないのに社会保障だけは一応やらなければならないし、失業手当にも巨額の支出を要する。税金は消費税で取り立てるのが手っ取り早いからどんどん消費税は上げた。ギリシャでさえ消費税は20%にも達している。

その結果は当然ながら国内消費の減少につながり、不況が慢性化する。それに「引き締め強化」が行われれば経済は窒息する。失業も増える。そんな政策に国民がいつまで耐えられるかが問題である。

表1.イタリーの貿易収支(単位:100万ユーロ)

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
輸出 256,626 269,770 265,837 260,649 284,413 299,923 332,013 364,744 369,018 291,733 337,810
うち域内 158,418 163,425 160,680 161,068 175,947 183,661 203,069 222,173 217,210 168,065 193,654
うち域外 98,208 106,345 105,157 99,581 108,466 116,262 128,944 142,571 151,808 123,668 144,156
輸入 254,486 259,810 257,021 257,897 285,634 309,292 352,465 373,340 382,050 297,609 367,122
うち域内 163,874 159,332 159,957 161,392 177,575 183,847 202,859 215,453 208,784 170,868 201,531
うち域外 90,612 100,478 97,064 96,505 108,059 125,445 149,606 157,887 173,266 126,741 165,591
貿易収支 2,140 9,960 8,816 2,752 -1,221 -9,369 -20,452 -8,596 -13,032 -5,876 -29,312
うち域内 -5,456 4,093 723 -324 -1,628 -186 210 6,720 8,426 -2,803 -7,877
うち域外 7,596 5,867 8,093 3,076 407 -9,183 -20,662 -15,316 -21,458 -3,073 -21,435


上の表を見ると、イタリーは2004年までは貿易黒字国であった。2005年から急速に貿易赤字が拡大した。なぜこのようなことになったかといえば、下の中国との貿易で見ればわかるように、繊維や家電製品の輸入が一挙に増えたからである。イタリーの通貨がリラのままであったらこういう現象は多分起こらなかったであろう。ユーロ体制になったがために、1国の貿易バランスがその国の為替に反映されることはなくなった。

中国性の衣類がユーロ建てみれば安いので、衣類の輸入が増加し続けるという現象が起こったのである。家電製品についても同様である。輸入が増え続ければ、その国のその製品の製造は衰微していく。換言すれば繊維産業や家電産業部門の雇用が減少していくのである。

その分ほかの産業分野で雇用が増えれば別に問題はない。しかし、ほとんどの国で雇用機会が増えるということにならなかった。一番雇用吸収力が多いのはサービス業であり、それが「産業構造の変化」かもしれないが、サービス分野だけが雇用を増やすわけにはいかない。それと、サービス分野は一般的に低賃金である。

表2.中国から見たイタリーとの貿易収支(単位;100万ドル、%

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
輸出 3,802 3,992 4,828 6,653 9,225 11,691 15,973 21,172 26,608 20,244 31,141
うち繊維 906 882 1,066 1,407 1,768 2,851 3,485 4,071 5,226 4,601 5,772
機械・電機 836 908 1,115 1,816 3,044 3,306 4,216 6,274 8,643 7,142 13,235
  機械 474 501 631 1,010 1,659 1,698 2,053 2,987 4,542 3,277 4,728
  電機 362 407 484 806 1,385 1,608 2,163 3,287 4,101 3,865 8,507
輸送機械 144 173 119 245 247 343 613 933 1,166 1,403 2,086
3品目計 1,886 1,963 2,300 3,468 5,059 6,500 8,314 11,278 15,035 13,146 21,093
(構成比、%)
うち繊維 23.8 22.1 22.1 21.1 19.2 24.4 21.8 19.2 19.6 22.7 18.5
機械・電機 22.0 22.7 23.1 27.3 33.0 28.3 26.4 29.6 32.5 35.3 42.5
  機械 12.5 12.6 13.1 15.2 18.0 14.5 12.9 14.1 17.1 16.2 15.2
  電機 9.5 10.2 10.0 12.1 15.0 13.8 13.5 15.5 15.4 19.1 27.3
輸送機械 3.8 4.3 2.5 3.7 2.7 2.9 3.8 4.4 4.4 6.9 6.7
3品目計 49.6 49.2 47.6 52.1 54.8 55.6 52.1 53.3 56.5 64.9 67.7
輸入 3,078 3,789 4,320 5,080 6,451 6,926 8,603 10,210 11,647 11,020 14,011
うち繊維 230 268 302 324 423 496 551 675 839 705 879
機械・電機 1,782 2,299 2,525 3,008 3,756 3,698 4,666 5,169 5,573 5,669 7,029
  機械 1,334 1,770 2,102 2,501 2,959 2,908 3,464 3,600 4,351 4,407 5,745
  電機 448 529 423 507 797 790 1,202 1,569 1,222 1,262 1,284
輸送機械 52 47 45 83 74 87 172 499 404 44 472
3品目計 2,064 2,614 2,872 3,415 4,253 4,281 5,389 6,343 6,816 6,418 8,380
(構成比、%)
うち繊維 7.5 7.1 7.0 6.4 6.6 7.2 6.4 6.6 7.2 6.4 6.3
機械・電機 57.9 60.7 58.4 59.2 58.2 53.4 54.2 50.6 47.8 51.4 50.2
  機械 43.3 46.7 48.7 49.2 45.9 42.0 40.3 35.3 37.4 40.0 41.0
  電機 14.6 14.0 9.8 10.0 12.4 11.4 14.0 15.4 10.5 11.5 9.2
輸送機械 1.7 1.2 1.0 1.6 1.1 1.3 2.0 4.9 3.5 0.4 3.4
3品目計 67.1 69.0 66.5 67.2 65.9 61.8 62.6 62.1 58.5 58.2 59.8
貿易収支 724 203 508 1,573 2,774 4,765 7,370 10,962 14,961 9,224 17,130
うち繊維 676 614 764 1,083 1,345 2,355 2,934 3,396 4,387 3,896 4,893
機械・電機 -946 -1,391 -1,410 -1,192 -712 -392 -450 1,105 3,070 1,473 6,206
  機械 -860 -1,269 -1,471 -1,491 -1,300 -1,210 -1,411 -613 191 -1,130 -1,017
  電機 -86 -122 61 299 588 818 961 1,718 2,879 2,603 7,223
輸送機械 92 126 74 162 173 256 441 434 762 1,359 1,614
3品目計 -178 -651 -572 53 806 2,219 2,925 4,935 8,219 6,728 12,713
(構成比、%)
うち繊維 93.4 302.5 150.4 68.8 48.5 49.4 39.8 31.0 29.3 42.2 28.6
機械・電機 -130.7 -685.2 -277.6 -75.8 -25.7 -8.2 -6.1 10.1 20.5 16.0 36.2
  機械 -118.8 -625.1 -289.6 -94.8 -46.9 -25.4 -19.1 -5.6 1.3 -12.3 -5.9
  電機 -11.9 -60.1 12.0 19.0 21.2 17.2 13.0 15.7 19.2 28.2 42.2
輸送機械 12.7 62.1 14.6 10.3 6.2 5.4 6.0 4.0 5.1 14.7 9.4
3品目計 -24.6 -320.7 -112.6 3.4 29.1 46.6 39.7 45.0 54.9 72.9 74.2


上の表で見ると、イタリーは中国から繊維と電機(おもに家電製品)の輸入が急増しているが、機械はイタリーの輸出が多いことがわかる。これはイタリーの製鉄機械メカーのダニエリ社が安価で比較的性能もよい製鉄機械を中国に大量に輸出したことが大きく響いている。中国の鉄鋼業は2000年代に各地で大規模な能力拡張を行ったのである。イタリーの自動車メーカーとしてはフィアットが知られるが、フィアットの中国向け輸出はさほど多くはない。

上の表で、イタリーの対中貿易赤字は繊維と電機で約70%である。これをイタリーで国産に置き換えればイタリーの失業率はかなり減少したはずである。同じことはギリシャについてもいえる。要するにイタリーは中国の餌食になっている。

表3、イタリーの国内総支出

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
個人消費 7,097 7,148 7,160 7,229 7,283 7,366 7,457 7,538 7,480 7,342 7,412
政府消費 2,236 2,323 2,381 2,427 2,483 2,530 2,543 2,567 2,581 2,607 2,592
固定投資 2,428 2,485 2,578 2,554 2,592 2,628 2,711 2,748 2,644 2,328 2,382
うち機械 1,029 1,018 1,028 1,001 1,012 1,043 1,103 1,139 1,082 919 1,008
  建設 1,123 1,170 1,239 1,270 1,293 1,303 1,318 1,320 1,280 1,169 1,125
  運輸 276 297 311 282 287 282 291 292 284 235 255
輸出 3,234 3,304 3,211 3,162 3,277 3,342 3,562 3,703 3,542 2,890 3,146
輸入 3,121 3,165 3,172 3,222 3,327 3,418 3,631 3,752 3,587 3,091 3,409
純輸出 113 140 39 -60 -50 -76 -69 -49 -45 -201 -263
在庫 44 30 24 38 45 3 72 85 59 -24 78
GDE 11,918 12,126 12,182 12,188 12,353 12,452 12,714 12,889 12,718 12,052 12,203
個人消費 59.5 58.9 58.8 59.3 59.0 59.2 58.7 58.5 58.8 60.9 60.7
政府消費 18.8 19.2 19.5 19.9 20.1 20.3 20.0 19.9 20.3 21.6 21.2
固定投資 20.4 20.5 21.2 21.0 21.0 21.1 21.3 21.3 20.8 19.3 19.5
うち機械 8.6 8.4 8.4 8.2 8.2 8.4 8.7 8.8 8.5 7.6 8.3
  建設 9.4 9.7 10.2 10.4 10.5 10.5 10.4 10.2 10.1 9.7 9.2
  運輸 2.3 2.4 2.6 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.2 2.0 2.1
輸出 27.1 27.3 26.4 25.9 26.5 26.8 28.0 28.7 27.8 24.0 25.8
輸入 26.2 26.1 26.0 26.4 26.9 27.5 28.6 29.1 28.2 25.6 27.9
純輸出 0.9 1.2 0.3 -0.5 -0.4 -0.6 -0.5 -0.4 -0.4 -1.7 -2.2
在庫 0.4 0.2 0.2 0.3 0.4 0.0 0.6 0.7 0.5 -0.2 0.6
GDE 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
個人消費 0.7 0.2 1.0 0.8 1.1 1.2 1.1 -0.8 -1.8 1.0
政府消費 3.9 2.5 1.9 2.3 1.9 0.5 0.9 0.5 1.0 -0.6
固定投資 2.4 3.7 -0.9 1.5 1.4 3.2 1.4 -3.8 -12.0 2.3
うち機械 -1.1 1.0 -2.7 1.1 3.1 5.8 3.2 -5.0 -15.0 9.6
  建設 4.2 5.8 2.6 1.7 0.8 1.2 0.1 -3.0 -8.6 -3.7
  運輸 7.6 4.9 -9.3 1.7 -1.8 3.3 0.5 -2.8 -17.2 8.4
輸出 2.2 -2.8 -1.5 3.6 2.0 6.6 4.0 -4.4 -18.4 8.9
輸入 1.4 0.2 1.6 3.3 2.7 6.2 3.3 -4.4 -13.8 10.3
GDE 1.7 0.5 0.1 1.4 0.8 2.1 1.4 -1.3 -5.2 1.2


国内総支出については構成比をみる限りあまり極端な変化が見られない。2000年に入ってからは成長率は高くて2%どまりの低成長国であった。2008年のマイナス1.3%と2009年のマイナス5.2%がイタリーの経済力の弱さを物語っている。いわゆるレーマン・ショック意向設備投資が大きく落ち込み、輸出も減った。個人消費も2008年以降は若干のマイナスになった。

表4.イタリーの雇用統計(単位:1000人、%)

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
雇用者数 21,210 21,605 21,913 22,241 22,417 22,559 22,984 23,223 23,396 23,024 22,873
 前年比 1.7 1.9 1.4 1.5 0.8 0.6 1.9 1.0 0.7 -1.6 -0.7
失業者数 2,388 2,164 2,062 2,048 1,957 1,885 1,679 1,509 1,690 1,944 2,105
 前年比 -6.7 -9.4 -4.7 -0.7 -4.5 -3.7 -10.9 -10.1 12.0 15.0 8.3
失業率 10.1 9.1 8.6 8.4 8.0 7.7 6.8 6.1 6.7 7.8 8.4

雇用者数は2003年以降ほとんど増えていない。失業者数は2008年以降増え続けている。


イタリーは経済テクノクラートの新首相に交代-暗夜行路の旅(2011-11-22)

イタリーは悪名高いベルルスコーニ長期政権が倒れ、元EUコッミショナーで銀行家でもあるマリオ・モンテ(Mario Monte)68歳が新首相となった。首相は閣僚には政治家や財界人をいれず、もっぱら経済関係のテクノクラートや役人や学者を起用した。

それによってイタリー史上まれにみる真面目な政権が出来上がった。首相はどういう政策をとるかは未知数だが「引き締めによる財政再建」というのが金看板であることは間違いない。多分に銀行に配慮した政策になるであろう。


イタリーはすでにIMFの監視を受け入れることを前政権が決めている。おそらくイタリー経済は「健全化」と称するあらゆる「引き締め政策」によってますます不況感を強め、「窒息」していくであろう。消費は抑制され、輸入も減って貿易赤字は縮小していくに違いない。また「雇用法」も改定され、解雇が容易に行えるようになるであろう。結局のところ労働者や一般国民に犠牲を強いる政策になるであろうことは明らかである。

それではいつになったら国民は一息つけるのであろうか?その時期は決して近いとは言えない。IMFの政策は国民の福祉向上を目指すものではない。あくまで金融資本救済に主眼を置いている。

イタリー経済にとって必要なことは衣類や電気製品といった国内の消費財の自給率を上げるような一種の「産業政策」である。しかし、これは関税自主権をがなく「自由貿易」標榜するEU内にとどまる限り、「ありえない政策」ある。政権はまさに「暗夜行路」へと旅立った。先行きは真っ暗闇である。明るい南欧のギリシャ、イタリーそしてスペインやポルトガルまでが暗雲に閉ざされるのは正視に忍びない。何が悪かったのか?私の答えは「ユーロという共通通貨」体制と「無原則な自由貿易体制」である。


モンティ首相の新政策は引き締め強化⇒2011-12-3


モンティ政権はさっそく新経済政策を発表した。
その骨子は:①年金制度の改革、②売上税(消費税)の引き上げ、③不動産税の再導入である。

いずれも前ベルルスコーニ政権の「ポピュリズム政策」の見直しである。そのほとんどが庶民に大きな犠牲を強いる政策である。

モンティ首相はEU諸国に2013年には財政収支を均衡させる(赤字ゼロ)ことを約束くしている。これをたとえ不況が続いても断行するという。そのためにはさらに150ユーロ(約200億ドル)から300億ユーロ(約400億ドル)の歳出削減が必要である。これはこの夏に前政権が約束した600億ユーロ(約810億ドル)の削減に上乗せするものである。

これに対する労働組合の反発は当然のことながら強いものがある。首相は主要労組との話し合いを予定している。比較的穏健なCISLのラファエル・ボナンニ(Raffaele Bonanni)委員長は「今回のミーティングは単なる相談ではなく、交渉である」として早くも対決姿勢を示している。同労組の組合員は400万人おり、そのうち半分はすでに退職している。年金は重要テーマである。

左翼労組のCGILのスサンナ・カムッソ(Susanna Camusso)委員長は「改革の目的は純粋に政府の現金収入の増加でであるべきであり、40(40billion)というのは縁起が悪い数字であると」としている。CGILの組合員数は400万人を超える。実際の政府案は約300億ユーロであると伝えられる。

一番問題になったのは年金改革である。イタリーでは現在35年の年金基金を支払わないと年金がもらず、58歳から受給資格ができる。改革案では年金は42年の掛け金支払いののちでないと受給資格ができず、受け取れる年齢も年々送らされ2018年には66歳から受給できるようになるという。それにしても30歳以下の失業率が半分近いので将来的に大きな問題を引き起こす。

不動産税はベルルスコーニ政権が2008年に廃止したもので年間30~50億ユーロ(1ユーロは約1.35米ドル)あった。イタリーでは庶民は定収入の割には高価な住宅に住んでおり、不動産税の復活は生計費に打撃を与える。首相はこの点については配慮すると言明している。税務当局は不動産税の「累進課税」を検討しており、富裕層の2軒目以降の住宅についてはより高い税率を設定するという。

また、新たに「富裕税=Wealth Tax」なるものを検討しているという。具体的なイメージはわかないが政権の「改革」はもっぱら庶民に負担増を強いるものであり、労働組合からの強い反発が予想される。(記事はWSJ 2011-2-3 インターネット版などを参照しています)。

個別企業においても労働組合への攻撃が回賜されており、フィアット社は2012年1月からすべての「団体交渉による協定の破棄」を通告している。また、フィアット社は「産業連盟」(Confindustria)からの脱退も表明している。

これによって企業としてあらゆる束縛を断ち切り、労働者には大幅な賃金引下げを含む「労働条件の切り下げ」を行おうとしていることは明白である。不況下と雇用不安という客観条件を最大限にりようしようという意図である。工場の自由な閉鎖と解雇も当然視野に入っている。

労働組合はこのようなフィアットの攻勢をイタリーの産業活性化のためにはやむを得ないとして、おおむね賛成の意向といわれる。


イタリーは雇用法改正ー解雇が容易に(2012-6-28)

イタリー議会は6月27日(水)に雇用法を改正し、経営者が容易に解雇を行えるようにした。賛成393、反対73.これはヨーロッパ中央銀行が2011年にイタリー政府に対して要求していたものであった。これによって投資家の信頼感を回復し、イタリーでの投資が増えることを狙ったものだという。

モンティ首相は関係者と慎重に協議をして法改正に踏み切ったと伝えられる。モンティ首相はこの法改正が議会で承認されなければ辞任する意向であったという。

しかし、この法改正はイタリーの投資増加に直結するということはありえない。それ以前に通貨ユーロがイタリーへの投資を困難にしているからである。

イタリーでは1970年に「生涯雇用法(長期雇用法)」が制定され、これがイタリーへの産業投資を阻害してきたという俗論が最近幅を利かせてきた。しかし、長期雇用は「熟練形成」の前提になるものであり、産業投資の直接の阻害要因ではありえない。長期雇用を「罪悪」とみなす、ネオリベラルの思想は健全な資本主義経済への反逆でしかない。


イタリーの議会選挙で与党が事実上の敗北。(2013-2-27)


イタリーの議会選挙は下院では中道左派の民主党(ベルサニ党首)が29.54%を獲得し、僅差で第1党になった。前首相のベルルスコーニ氏が率いる「自由人民党」が29.18%、第3位は元コメデイアンのベッペ・グリッロ(Beppe Grillo)氏が率いる「5つ星党」が初めての国政選挙にもかかわらず25.55%を獲得した。モンティ首相の中道勢力は10.6%にとどまった。

下院では第1党が630議席のうち54%を与えられるという規定があり、民主党が340議席となるが、ベルルスコーニ氏とグリロ氏の「ユーロの引き締め政策」に反対する勢力の得票率は55%に達している。これに対し、民主党と中道党の得票率は40%にしかすぎず、イタリー国民ははっきりとユーロの引き締め政策に「ノー」という立場を表明した。

問題は上院議会の選挙結果である。上院は得票に応じて議席が割り当てられるために、315議席のうち、民主党のベルサニ陣営は119議席、ベルルスコーニ陣営は117、「5つ星党」が54議席、モンティ陣営は18議席であり、ユーロの引き締め政策を支持する勢力の議席は137議席(119+18)にしか過ぎない。過半数の158議席には21議席足りない。

これでは下院を制したとはいえ民主党は上院では過半数が取れずおそらく内閣を組織できない。「5つ星党」は連立政権には加わらないという立場を表明しており、イタリーは3か月後に選挙のやり直しを余儀なくされる可能性が高い。ところがベルルスコーニは「再選挙はやりたくない」と言い出した。何とか民主党と連立を組みたいということのようだ。

民主党としては「悪魔と手を結んだ」といわれたくないが、再選挙をやればさらに「5つ星」党が伸びそうなので、ベルルスコーニと連立を組むかもしれない。ベルルスコーニは右翼的ブルジョアなので労働者階級に過酷な政策を強いることには反対ではない。かれは「増税」に基本的に反対なだけである。また、政治的に勢力を持てば現在進行中の汚職裁判にも有利に作用すると考えている。そういう意味ではタイのタクシン的なところもある。

ベルルスコーニは政府が「増税を緩和」すれば連立政権に加わりたいところであろう。しかし、民主党はベルルスコーニとは手を組みたくはないという立場を崩してはいない。

ベッペ・グリロの「5つ星」は増税と「緊縮政策」には反対だといういうことで一般大衆(失業者を含む)の支持を得ている。しかし、一般大衆同様、ユーロからの離脱などは全く考えていない。ただ「現状に不満」だというだけであって、民主党の「緊縮政策」には組しないが、EUやユーロ体制に絶縁状を突き付ける気は毛頭ない。

ユーロの第3位の大国イタリーがドイツが指導してきた「引き締め政策」を実施する政権が事実上の敗北を喫したことによりユーロ危機の再燃は避けられない。少なくとも大幅な方針転換を余儀なくされることになるであろう。このようなイタリーの選挙結果に対してはラテン系諸国やギリシャの国民は内心拍手を送っているに違いない。

「強固な引き締め政策」は何ら成果を出せず、国民に犠牲を強いただけに終わったことがまたも明らかになった。ユーロという通貨体制は大きな矛盾を生んだ無理な制度であった。結局、最大の受益国は工業が進んで輸出競争力の強いドイツとオランダには大きなメリットはあったが、被害を受けたラテン系諸国やギリシャは国民生活を直接脅かす結果となった。このままではもうどうにもならない。


Bad Debt Piled in Italian Banks Looms as Next Crisis (2016-7-5)

Brexit vote compounded strains in banking system burdened by sour loans; ‘Italy is the patient that is sickest’

By Giovanni Legorano

July 4, 2016 6:38 p.m. ET

MILAN—Britain’s vote to leave the EU has produced dire predictions for the U.K. economy. The damage to the rest of Europe could be more immediate and potentially more serious. Nowhere is the risk concentrated more heavily than in the Italian banking sector.

In Italy, 17% of banks’ loans are sour. That is nearly 10 times the level in the U.S., where, even at the worst of the 2008-09 financial crisis, it was only 5%. Among publicly traded banks in the eurozone, Italian lenders account for nearly half of total bad loans.

Years of lax lending standards left Italian banks ill-prepared when an economic slump sent bankruptcies soaring a few years ago. At one major bank, Banca Monte dei Paschi di Siena BMPS -13.99 % SpA, bad loans were so thick it assigned a team of 700 to deal with them and created a new unit to house them. Several weeks ago, the bank put the bad-credit unit up for sale, hoping a foreign partner would speed the liquidation process.

The U.K. vote to exit the European Union has compounded the strains on Europe’s banks in general and Italy’s in particular. It imperils the Monte dei Paschi sale, some bankers say, and creates fresh uncertainty at a time when lenders are struggling with ultralow and even negative interest rates and sluggish economic growth.

Brexit has many executives concerned that central banks will keep interest rates lower for longer than they might otherwise, in an attempt to counteract the slower growth—in the eurozone as well as Britain. European banks’ stocks slid after the vote, with those in Italy especially hurt. Shares in Monte dei Paschi are down roughly a third since the June 23 referendum.

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All this threatens to spark a crisis of confidence in Italian banks, analysts say. Although Italy has only one bank classified as globally significant under international banking regulations—UniCredit—some analysts say bank stresses worsened by Brexit could threaten Italy’s stability and, potentially, even that of the EU.

“Brexit could lead to a full-blown banking crisis in Italy,” said  Lorenzo Codogno, former director general at the Italian Treasury. “The risk of a eurozone meltdown is clearly there if Brexit concerns are not immediately addressed.”

Europe’s banks were already retrenching before the U.K. vote, and markets appear fearful many don’t have thick enough capital buffers. Even before the vote, shares were valued at levels that signaled distress. Since June 23, an index of European banks has dropped 17%, bringing total losses from the beginning of the year to 30%.

The pain is greater in Europe’s periphery. Portugal’s banking system continues to struggle with souring loans, low profitability and little investor appetite. The country received an international bailout in 2011, but given Portugal’s high debt, authorities held off on a cleanup of banks’ balance sheets through the creation of a systemwide “bad bank.” That idea is being discussed now.

In June, Spain’s Banco Popular Español SA POP 2.47 % raised €2.5 billion to tackle continued losses on soured property loans, a sign the country’s weakest lenders have struggled to recover from Spain’s 2008 real-estate bust and subsequent economic downturn.

The profitability of Italian banks has long been among the worst in Europe, weighed down by bloated staffs and too many branches, leaving the banks with little extra capital to cover loans that go bad. Today’s low interest rates have hit Italian banks especially hard because of their heavy focus on plain-vanilla lending activities, with relatively little in fee-generating activities such as asset management and investment banking.

Test of bank rules

When the financial crisis of late 2008 hit, Italian banks tended to roll over loans whose borrowers weren’t repaying on time, hoping an economic upswing would take care of the problem, say Italian bank executives.

 

Part of the façade of Banca Monte dei Paschi. Investors, acutely mindful of Britain’s vote to leave the European Union, worry about the balance sheets of Italian banks. Photo: Giuseppe Cacace/Agence France-Presse/Getty Images

Italian banks’ struggles have led to the first serious test of a model the EU adopted two years ago for handling banking woes. The Italian government has sought EU permission to inject €40 billion into its banks to stabilize the system.

To do so would require bending an anti-bailout rule the bloc adopted in 2014 to force troubled banks’ stakeholders—shareholders, bondholders and some of their depositors as well—to pay a financial price before the country’s taxpayers must.

Rome argues that bending this rule would be a small price to pay for erecting a firewall against possible bank contagion stemming from Brexit. Italy’s EU partners, led by Germany, reject the idea, leaving Rome exposed to the potential for a banking crisis.

When the European Central Bank began supervising the eurozone’s largest banks in 2014, things got harder. The new supervisor applied tougher criteria than the Bank of Italy did for declaring loans impaired, say bankers. In April, it forced one bank to take bigger write-downs to bad loans before receiving its blessing to merge with another bank.

The result is that impaired loans at Italian banks now exceed €360 billion—quadruple the 2008 level—and they continue to rise.

Banks’ attempts to unload some of the bad loans have largely flopped, with the banks and potential investors far apart on valuations. Banks have written down nonperforming loans to about 44% of their face value, but investors believe the true value is closer to 20% or 25%—implying an additional €40 billion in write-downs.

One reason for the low valuations is the enormous difficulty in unwinding a bad loan in Italy. Italy’s sclerotic courts take eight years, on average, to clear insolvency procedures. A quarter of cases take 12 years.

Moreover, in many cases, the loan collateral is the family home of the owner of the business, or it is tied up in the business itself.

“There is a desperate need to make collateral liquid,” said Andrea Mignanelli, chief executive of Cerved Credit Management Group. “Right now, it gets stuck in auctions and judicial procedures that make cashing the loan very hard.”

The Italian government has put forth a series of solutions since last fall, but with little success so far. The proposals include incentives to encourage the creation of a nonperforming-loan market, shorter bankruptcy procedures and new rules to push Italy’s 400-odd cooperative banks to merge.

Brexit has greatly compounded these problems. A slowdown in growth could cause more bad loans to pile up, further depress bank profits and erode already-thin capital cushions. Growth was already slowing before the referendum; on Friday, Italy’s business lobby group Confindustria slashed Italy’s growth forecast for this year to 0.8% from 1.4%—and to 0.6% from 1.3% for next year—as a result of the Brexit vote.

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Another concern is that more pressure on banks’ share prices could lead some depositors to pull out their funds. Earlier this year, Banca Monte dei Paschi saw deposit outflows after its share price fell more than a fourth in a few days.

The worse their loans are performing, the more capital banks have to have as a cushion against losses. Now, “Brexit will inevitably push the banks to strengthen their capital situation in order to cope with the volatility of the markets and prevent further damage to their stock prices,” said Riccardo Serrini, chief executive of Prelios Credit Servicing, a debt collector.

Strengthening capital is a tall order in post-Brexit markets. UniCredit UNCFF -7.08 % SpA is a case in point.

The bank—Italy’s largest by assets—has already undertaken €74 billion in loan write-downs and capital increases since 2008. With falling profitability and €80 billion in nonperforming loans, its capital cushion barely meets ECB requirements.

With investors pummeling its shares this year, UniCredit ousted its chief executive, Federico Ghizzoni. Last week, with its stock falling, it rushed to appoint a new CEO, Jean-Pierre Mustier, its former head of corporate and investment banking. In short order, Mr. Mustier must now present a convincing restructuring plan and raise as much as €9 billion to shore up investor confidence. UniCredit declined to comment.

The Italian government pushed for a broad solution that would recapitalize banks and draw a line under the bad-loans crisis, when it appealed to the EU for permission to inject €40 billion into the lenders. The Italian government argues that without such a recapitalization move, Italy’s banking problems could mushroom into a broader crisis.

“There is an epidemic, and Italy is the patient that is sickest,” said Pierpaolo Baretta, an undersecretary at the Italian Economy Ministry. If “we don’t stop the epidemic, it will become everybody’s problem…The shock of Brexit has created a sense of urgency.”

Italian Prime Minister Matteo Renzi pressed the issue in his meeting last week with German Chancellor Angela Merkel.

The European Commission, with strong backing from Berlin, has dismissed the push from the Italians. Some European officials privately expressed annoyance that Rome has been slow to deal with its banking problem and is paying the price in such volatile markets. Now, they say, the Italians are using Brexit to press for permission to bend the rules of a hard-fought banking regime.

“We worked to set down certain rules about bank resolution and bank recapitalization,” Ms. Merkel said last week in Brussels. “We can’t do everything again every two years. We put a lot of effort into that.”

Instead, EU officials say bank supervisors might need to declare some lenders insolvent and impose losses on investors first.

Rome has criticized the EU’s new banking regime and doesn’t want to use “bail-in” rules that prescribe the order in which stakeholders must bear losses for winding down an ailing bank, in part because of the peculiarities of the Italian banking system. About €187 billion of bank bonds are in the hands of retail investors, whose holdings would be wiped out by a bank resolution under the new rules.

Last year, more than 100,000 investors in four small Italian banks that were wound up saw their investments wiped out. Some lost their life savings. The controversy exploded in December after Italian news media reported that a retiree committed suicide after losing €110,000 in savings invested in one of the banks.

Such problems carry little truck in Brussels. “Every grandmother has bought bank shares,” said one EU official. “That’s how it’s presented to us…. This work has to be done within the rules, using all the flexibility there is.”