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労働問題





140. インドネシアの失業率は10%以上(06年6月3日)

137. 労働法の改悪に労働者が怒りのデモ(06年5月3日)

49. ジャカルタの最低賃金は来年1月から671,550ルピア(79ドル)/月に(03年11月9日)

ジャカルタ地区の最低賃金は現行の631,000ルピア(74.2ドル)から40,000ルピア(6.3%)引きあげられて、671,000ルピア(約79ドル)となることが決定した。

これは、労組、使用者および行政府の3者からなる、ジャカルタ賃金・社会保障委員会の協議によるものである。

この賃金のなかには交通費と食事手当ては含まれていない。

実施時期は2004年1月1日かtらとなっているが、企業側は事情により1年間の実施延期が許されるという。

労働組合側はこの金額に不満で、最低722,356ルピア必要であると主張していた。


87. ジャカルタの最低賃金は711,843ルピア/月に(04年11月6日)

インドネシアでは最低賃金制度が施行されているが、2005年からはジャカルタにおいては工場労働者の月額最低賃金が現行の671,550ルピアから約40,000ルピア(+6%)引き上げられて711,843ルピア(約78ドル)になることが内定した。

この水準は中国の沿海部と比べるとほぼ60%程度であろう。2003年のインフレ率は5.78%(公式数字)であり、ほぼそれに見合った数字である。各年の最低賃金は以下の通りである。

  月額最低賃金(Rp) 対前年比% インフレ率%
2000 231,000 16.7 9.35
2001 344,250 49.0 12.55
2002 591,000 71.7 9.08
2003 631,000 6.8 5.78
2004 671,550 6.4 6.50
2005予定 711,843 6.0  

2005年の数字については労使双方の委員により話し合いが行われていたが決着がつかず、労働側委員が会議をボイコットしたため、経営者側委員のみの決定であるが、スティヨソ知事はこの数字を公式なものとして発表する近々予定である。

労働者側委員の主張はジャカルタの最低生活費759,953ルピア(政府機関の調査)を下回るので、この水準にまで引き上げるべしということである。ただし、通常は残業手当などを含めればこの数字はカバーされる。

この6%の上昇率であれば、2005年に予想される石油製品(特に調理用の軽油)の大幅引き上げがあり、一般庶民にとっては苦しい数字であろう。ただし、最低賃金をきちんと守っているのは日系企業などいわばお行儀のよい会社に限られるようである。


⇒ジャカルタの最低賃金は08年1月から8%アップの972,604ルピア (107ドル)に(07年11月7日)

ジャカルタ地区の最低賃金は現行の月額900,560ルピア(99ドル)から8%アップの972604ルピア(107ドル)に引き上げられることが決められた。

先ごろの選挙で当選した新任のジャカルタ知事のファウジ・ボウォ(Fauzi Bowo)氏によれば08年のジャカルタ地区のGDPの成長率は6.7%が見込まれ、インフレ率も07年の6%よりやや高めの6.2〜6.6%が見込まれ、この8%という数字は妥当なところだと思うと語った。

ジャカルタの過去のインフレ率は2005年17.11%、06年6.6%、07年10月現在で5.24%と沈静化に向かっているという。いまや、石油の淳輸入国に転じたインドネシアは最近の原油高は当面は製品価格に転嫁しないとユドヨノ大統領は明言しているが、実際はどうなるかはわからない。

ファウジ知事は始めての民選知事らしく、住民へのリプ・サービスもあるのか、08年にはジャカルタでそこそこの暮らしをするには105.5万ルピアの生活費がかかるという調査結果が出ていると説明している。

過去の最低賃金は2005年=711,843ルピア、2006年=819,100ルピア、2007年=900,560ルピアであった。この最低賃金については雇用者側から反発が強いという。

月107ドルという金額は中国と比べけして高い水準にはないが、インドネシアの低賃金を当て込んで進出した外資にとってはやや重荷かも知れない。これから縫製業などの国外脱出はいままで以上に増えることが予想される。


137. 労働法の改悪に労働者が怒りのデモ(06年5月3日)

5月1日のメーデーは平穏のうちに終わったが、5月3日(水)に2万人から5万人と推定される労働組合のデモ隊が国会に押しかけ、政府が行おうとしている労働法の改正に反対し、 警官隊に向かって投石し、国会の鋼鉄製フェンスや門を引き倒すなどの行動に出た。

また、国会に通じる道路で古タイヤを燃やすなどして、騒然たる状況となったという。

警官隊は彼らに対し、催涙弾を発射し、放水車で放水するなどしてデモ隊を追い散らした。

50人の労働者側代表が議会の指導者達と面談するという約束を取り付け話し合いがもたれたが合意にはいたらなかったという。

労働法の改正は、現在「比較的労働者に有利」だとされる労働法(2003年メガワティ政権下に改定)を企業側に有利な方向に「改正」し、解雇を容易にし、退職金の支払いを緩和し、団結権と争議権を規制するという方向に向かおうとしている 。

改正案では、労働者を解雇する場合は雇用期間1年当たり2か月分の退職金支払いを緩和することがもりこまれ、また雇用者は労働者を正社員として雇用するのに「5年間の試用期間」をおく権利が認められる。

これはインドネシアの「投資環境の整備」の一環であるというのが政府・企業家側の考え方であるが、インドネシアの投資環境の問題は「汚職」や「行政の非効率」や「司法の不透明性」などに主因があると考えられる。

政府や企業家が「労働者へのシワ寄せ」を図るというのでは労働者側の同意を得られないことは自明であろう。インドネシアの労働者がそれほど恵まれた法的保護の下にあるとは到底思えない。通貨・経済危機以降、為替下落により賃金水準も中国よりもむしろ割安になっている。

ユドヨノ大統領はこの問題の処理を誤ると、全国的な反政府運動に火をつけることになりかねない。国民生活の福祉向上を公約に掲げ当選したユドヨノ大統領としては国民大衆から突きつけられた反発にいささか戸惑い気味である。

この労働法改正の動きは、華人をはじめとスル国内資本家の要請もさることながら、日本企業の一部がインドネシア政府に対し、かなり執拗なロビーイングを行っていたと見られている。

それは06年4月19日付け日本経済新聞夕刊に「競争力強化内閣に説く」という特集記事を見れば明らかである。この記事によると帝人の安井祥策相談役(もと会長、社長)の 話しとして、「実態無視の労働法え困るのは一般国民」と同国首脳に会うたびに労働法改正を訴えてきたというのだ。

同紙の編集委員小牧利寿氏の個人的な意見だと読み取れるが、そもそも現行の労働法は「選挙目当てでメガワティ大統領が改正したもので・・・中略・・・国際競争力など全く視野になく労働者に甘すぎるので外資は同国を敬遠、失業者は増える。」と断定している。

これは著しく公平さを欠いた暴論の類であろう。なぜなら、インドネシアの投資環境の問題点は、労賃が高すぎるからではなく、汚職や政府・行政の非効率(あるいはテーブル・マネー欲しさの意識的サボタージュ)や中国製品などの密輸といった、労働問題以外のファクターが大きいと考えらルカらである。

今の、2003年改正労働法は、国際基準から見て異常に労働者保護に傾いている点は一部はあるであろうが、それがインドネシアの投資環境の悪さの主因ではありえない。現在の賃金レベルは中国と比べ消して高いとはいえない低い水準にある。

もし、今回の労働法の改正が、日系企業の代表者のロビーイングによってもたらされとしたら、インドネシアの労働者の「反日感情」は悪化する恐れもある。インドネシアをひいきする日本人の「好意的アドバイス」が逆にインドネシアの一般国民の反発を買う可能性すらある。

そうなると、繊維産業とは関係ない企業や一般の日本人にも類が及ぶこともありうるのである。そもそもこのての話しは、米国の商工会議所などと連絡を取り合った上で、投資している主要国の意見というかたちで、インドネシア政府に申し入れをすべきことであおう。

その際も、 極度な内政干渉は控えるべきであろう。それにしても日本経済新聞はどうしてこうもバイアスのかかった記事を臆面もなく載せるのであろうか。これは今に始まったことではないが。


140. インドネシアの失業率は10%以上(06年6月3日)

インドネシア中央統計局の発表によると、インドネシアの総人口は2006年2月末現在で約2億2000万人で、そのうち15歳から65歳までの就業可能人口は1億630万人いるという。就業可能人口は過去1年間に50万人増加した。

そのうち、失業者は10.4%で、05年2月の10.3%より若干増えている。ただし、週35時間以下しか働けなかった「不完全就労者」の数は2,990万人で全労働人口(除く失業者)の31%に当たるという。

失業率が最も高かったのは石油燃料値上げの直後の05年11月で、11.2%であった。現在は多少なりとも「改善」されている。しかし、ユドヨノ政権になってからは失業者はむしろ増加気味であり、国民の不満は次第に鬱積してきている。

SBY大統領の支持率も徐々に低下傾向にあるといわれている。

インドネシアでは1%GDPの成長によって雇用が20万人増えるというのが最近の傾向である。06年1Qは4.59%の経済成長があったため、雇用は約90万人増えているといわれている。

このような高い失業率で人々の暮らしはどうなっているのかというと、それはゴトンロヨン(相互扶助)の精神で、お互いに助け合って暮らしているのである。いわば「貧困の共有」である。