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外国企業



145.インドネシアのアディダス・グループ3工場閉鎖1万8千人解雇か?(06年11月4日)




14.ソニーがインドネシアの工場を2003年3月に閉鎖(02年12月2日)

11月26日にソニーがインドネシアの工場を来年3月に閉鎖し、マレーシアの工場に生産を移管すると発表した(その後マレーシアに移管するとは限らないと言明)。ソニーの販売子会社は残すが、工場の1,000人の従業員は全員解雇となる。韓国系のメーカーでは労働争議のもつれなどから数社撤退しているが、日系の大会社ソニーの撤退はインドネシアにとって大きな衝撃である。

ソニーの説明では世界的に工場を集約する方針であり、現在世界にある70工場を54に減らす、合理化の一環であるということである。しかし、ソニーはインドネシアで労働問題をコジレさせていたことは有名であり、結局労働問題の処理の失敗が今回の工場閉鎖につながったと現地では考えられている。

もちろん、労働者側が執拗に現地の経営者とトラブルを起こしたのは事実である。以前に報道された記事によればソニーの工場では作業員が椅子に腰掛けて組立作業をしていた。しかし、このやり方では能率が上がらないとして、従業員が立って組立作業をするように切り替えさせようとした。

ソニーの言い分としては「世界中のソニーの工場で立ち作業標準であるのでインドネシアだけが腰掛け作業というわけにはいかない」ということをいったようである。これに対して労働組合が反発をして争議になったと伝えられている。

それ以外にもソニーにとてはインドネシアにはびこる汚職や不合理な税金や諸税(levy)の取立てなどーこれはどの日系企業も苦労させられている問題ではあるがー近代経営を標榜するソニーのマネージメントにとって耐え難いことだったかも知れない。 また、密輸品の氾濫が電機製品の採算を悪化させていることも事実である。

ソニーの今回の措置により、おそらくソニー製品のボイコット運動にまでことが進む可能性がある。そのリスクを犯してまで工場閉鎖に踏み切るのはソニーのような「エクセレント・カンパニー」にしてはじめて可能なことといえよう。

クンチョロ・ヤクティ経済調整相は「国民的大事件」ではないといっているが、労働相や商工相などほかの閣僚はかなりショックを受けている。

インドネシアの「労働法」はスハルト政権崩壊後、かなり労働者に有利に作られているとして、外国企業やインドネシア商工会議所がクレームをつけている。ジェトロの現地などもそれらしきことを主張しているらしい。日本人がそういうことを大っぴらいえるのはインドネシアだからである。そういう日本人に対してインドネシア人は「傲慢だ(Arrogant)」といって内心大いに怒っているのである。

いくら労働法が労働者に有利だからといって月間の賃金が65ドル程度にしか過ぎないインドネシア人労働者(これは中国より安い)が横暴だといえるようなレベルではあるまい。むしろインドネシア人の貧しさに同情しつつ会社経営をおこなっている日系企業人のほうが多いのが実態であろう。

労使関係をこじれさせるのは大体において経営陣に問題があるというのは私のタイにおける合弁会社の経営経験からえた実感である。ソニーのケースについてはおそらくもっと複雑な事情があるのであろう。

インドネシアの人口2億人といっても実際購買力を持っている人は現在1,000万人程度であろう。中国の12.6億人といってもその大部分は「潜在的」な購買力しか持っていない。この辺を間違えて工場進出すると、大きく期待を裏切られることになる。その悲劇は今日進行中である。

ソニーがインドネシアを去る一方で、投資を拡大する企業もある。東芝はカラーTVの生産をタイからインドネシアに集中すると伝えられている。

ソニーの計算はどうあれいったん出て行ったらもはやマイナーな仕事しかできなくなる。ソニーはインドネシアという大きな市場を捨てたことになるであろう。

また韓国のLG電子は冷蔵庫の生産能力をインドネシアで拡大する。タンゲランにある同社の冷蔵庫の生産能力は現在年産60万台であるが、近々120万台に増設する。

LG電子インドネシア社は冷蔵庫の輸出が好調で、2001年には50千台、2002年には100千台、今年は300千台を目標にしているという。国内向けは今年は400千台で合計700千台の生産を計画している。

LG電子インドネシアはそのほかにも洗濯機、カラーTV,コンピュータ部品の生産をおこなっている。従業員総数はインドネシア人1,500名、韓国人15名である(ジャカルタ・ポスト03年1月18日号参照)。


41. 多くの外資系企業がインドネシアを去りつつある(03年8月28日)

インドネシア投資調整委員会(BKPM)の高級幹部は100以上の外資企業が今年末までにインドネシアを去り、中国その他の国々に移転する計画であると語った。そのうちの約40%が日系企業であるという。

インドネシア政府は「2003年は投資の年」と位置づけ、政府もそれなりの取り組みをしてきたはずであるが、結果は逆になりつつある。

その最大の原因はインドネシアの治安の悪さ(爆弾テロ事件だけでなく日常生活上の不安)や相変わらずの汚職の蔓延にある。

メガワティ政権の経済閣僚はなかなか良くやっているというのは一般的な評価となりつつある。しかし、治安関係はまるでなっていない。特に軍・警察・司法は何も手が付いていない感じすらする。

これらはメガワティ政権の取り組みの悪さにその責任の大半があるといわざるをえない。

犯罪行為に対する対処の甘さは警察、検察および裁判所のいい加減さそのものとなって現れる。そのおおもとは闘争民主党を牛耳る大統領の夫タウフィクの旧スハルト政権の残党との極度の妥協姿勢に求められよう。

結局、その責任はメガワティ大統領本人が負わされることになる。

145.インドネシアのアディダス・グループ3工場閉鎖1万8千人解雇か?(06年11月4日)

スポーツ用品大手のアディダス(Adidas)グループは業績不振からPTDomg Joe Indonesia(DJI)とその姉妹会社PT Spotecの2社が06年10月末から工場を閉鎖し、所有者は海外へ逃亡したと発表した。工場はタンゲラン地区にあり、従業員10,000名は失業に瀕している。

また、PT. Tong Yong Indonesia(TYI)は8,000名を雇用しているが、生産を徐々に縮小しており、いつ工場閉鎖になってもおかしくない危機的な状況にあるという。TYIのオーナーは今の受注の生産が終われば、工場(ブカシ)を数ヶ月閉鎖し、新たな資金手当てをおこなう必要があるという。

これらの下請け企業は過去20年間にわたりAdidas やReebockブランドのスポーツ・シューズを生産してきた。アディダス社はインドネシア全体で50工場でウエアやシューズを生産し、世界第2位の生産基地であり、インドネシアから撤退する意思はないとしている。

今回の工場閉鎖に伴う失業者については他の工場で吸収できないか検討中であるという。

また、インドネシアは歴史的に北朝鮮との友好国であり、両大統領の会談の議題に北朝鮮の核武装問題が上がっているという。