サンダードラゴン 台湾版 ~第二章~

トイレで四面佛に出くわす馮愛南

男装し、取引現場の「泰苑餐廳」に来るも大叔(胡楓)に追い返された馮愛南。「雌雄雙辣」ではトイレの窓から店に入り込んだ彼女が鏡に向かって父の加護を求めた後、画面は四面佛が肥七のいる席へ向かうシーンになるのですが、「來自江湖」ではトイレでのシーンが1分3秒ほど続くのです。


(ドアの音に反応し、馮愛南が入り口を見ると男が入って来る。)



(そして、男の後に続いて来たのは四面佛であった。)



(馮愛南は急な鉢合わせに驚くも平静を装って手を洗い続けていると、
(四面佛は2人の手下に見張りを任せ、用を足すために個室に入る。)



(馮愛南はハンカチを仕舞う際に拳銃を抜こうとするのだが…。)



(…見張りの男がいるため、撃つタイミングの難しさに悩み、拳銃から手を放す。)



(個室から出た四面佛が鏡の前に来たため、馮愛南はネクタイを直し始める。)

四面佛:兄さん、俺はどこかであんたに会った事があるようだけど?

馮愛南:まさか!

四面佛:ふふっ!女が男装か。あんたは必要でもないのに、
     わざわざ、まともでない事をしていると俺は思うけどな。…行くぞ!

(手下に声をかけた四面佛がトイレから出ると緊張していた馮愛南は息を吐く。)

この緊張感のあるシーンは、後にある馮愛南がトイレの鏡で自己暗示をかけるシーンや四面佛が付け髭を取った彼女の顔を見て、トイレで記憶に引っかかっていた馮愛南の事を完全に思い出すシーンに繋がっているのでした。この後、四面佛が肥七のいる席へ向かうシーンになります。

二手に分かれる馮愛南と鄭麗琛

餐廳で銃撃戦が始まり、外へ逃げた四面佛。「雌雄雙辣」の香港版と日本版DVD、「來自江湖」では四面佛を見失った馮愛南が辺りを見回した後、鄭麗琛(林小樓)に二手に分かれる指示をするシーンが7秒ほどありますが、このシーンは香港版VCDになく、馮愛南が四面佛を追いかけた後、大叔が警員(左頌昇)に指示を出した所で老虎狗こと劉震衛(劉鎮偉)が来るシーンになるのです。



(辺りを見回した馮愛南は鄭麗琛に右へ行く指示を出し、自分は左へ行く。)

タイトル 種類 二手に分かれるシーン
シーン自体 2人の台詞 進む際の音
來自江湖 台湾版VHS
雌雄雙辣 香港版VCD
雌雄雙辣 香港版DVD
Thunder CopsII 日本版DVD

しかし、このシーンはバージョンによって細かい違いがあります。「來自江湖」では馮愛南が無言のまま、手だけで指示をしますが、香港版DVDは左に進む瞬間、緊張感のある効果音が追加されているのです。そして、これらを先に見ていた私には日本版に台詞が残っていた事に仰天しました。

鄭麗琛が格闘で大活躍

衝動的な馮愛南の性格について「俺が必ず叩き直してやる。」と言う劉震衛。この後、「雌雄雙辣」の日本版DVDと「來自江湖」では、大叔の指示で外の様子を見に行った警員が四面佛の手下に殴られた事から鄭麗琛が戦うシーンが2分5秒ほどありますが、このシーンは香港版VCDとDVDにはなく、劉震衛の言葉の後、逃げる四面佛が建物の角を曲がった所で笑うシーンになるのです。



英語題の表示から日本版は英語圏向けのマスターを使用していると予想できますが、英語圏では香港映画の格闘アクションがセールスポイントになるため、結果、このシーンが日本版にも含まれたのでしょう。台湾版は地元で主演作を撮れる林小樓の活躍をセールスポイントにしない理由がないため、配給会社が当然、含めています。ただ、彼女は潮流の変化が激しい当時の香港映画界で不遇な扱いを受けてしまったのか、残念ながら香港版ではシーンが削除されているのでした。

ちなみに「來自江湖」では、この一連のシーンの台詞に中文字幕がありません。そして、四面佛が逃げるシーンに切り替わった際に一瞬だけ劉震衛の言葉が字幕として表示されるのです。この編集された形跡から、この一連のシーンは台湾版のみに存在するのではないかとも考えられます。

公衆電話で莫少珍と話す馮愛南

取引情報を密告した事で肥七に命を狙われる事となった莫少珍。「雌雄雙辣」では彼女を心配した馮愛南が伝言サービスに問い合わせる音声が流れた後、寝ていた馮愛南が電話を取るシーンになるのですが、「來自江湖」では公衆電話で莫少珍に電話をするシーンが27秒ほどあるのです。



(海の上を飛んで行く紙飛行機が映し出される。)



(先ほどの紙飛行機を海に向かって飛ばしていたのは鄭麗琛であった。
(その近くの公衆電話でサングラスをかけた馮愛南は電話をしている。)

馮愛南:この馬鹿野郎!今やっと、私の電話に出たな!ああっ!?
     私は長い間、あんたにコールしてたんだぞ!あんた、わかってんの?

莫少珍:肥七に見つかる事が怖いのよ。

馮愛南:はっ!あんたは怖ければ電話に出ないの?
     電話に出ないのか!電話に出ないのか!電話に出ないのか!

(苛立った馮愛南は公衆電話ボックスのガラスを受話器で何度も叩く。
(その横で鄭麗琛は紙飛行機を飛ばしては、飛んで行く様子を見ている。)

馮愛南:あんたは今、どこにいるの?

莫少珍:顔を出す勇気がないわ。まずは数日、隠れさせて。

馮愛南:あんたがどこにいるか、今すぐ私に教えなさい!

(莫少珍が一方的に電話を切ったため、回線が切れた音が流れる。)

馮愛南:おい!おい!電話を切ったな!電話を切ったな!電話を切ったな!

(馮愛南は公衆電話ボックスのガラスを受話器で何度も叩く。)

馮愛南:クソッタレ!私の電話を切りやがって!

(馮愛南は受話器を置く。)

この後、寝ていた馮愛南が電話を取るシーンになります。「雌雄雙辣」では公衆電話のシーンが削除されていても前後が上手く繋がって見えましたが、実は後の台詞の部分に公衆電話のシーンの名残があるため、不自然になった所があるのです。それは寝ていた馮愛南が莫少珍に言い放った「ババア!何で私の電話を切った!」です。この台詞は日本版では直訳されておらず、字幕版も吹替版も「やっと連絡してきた」にする事で上手く、この不自然さを消し去っていますが、この「何で私の電話を切った!」は公衆電話のシーンがあってこそ意味が理解できる物だったのです。

鄭麗琛へ電話する馮愛南

寝ていた所に鳴った電話の音で起きた馮愛南。「雌雄雙辣」では莫少珍の居場所を確認した馮愛南が受話器を置くと、画面は現場である柴灣の造船所の近くに車が到着するシーンになるのですが、「來自江湖」では同行してもらうため、鄭麗琛に電話をかけるシーンが14秒ほどあるのです。



(受話器を置いた馮愛南は眠そうな顔で鼻をこすり、鼻をすする。)

馮愛南:うう~ん…。



馮愛南:んっ…、うう~ん…。

(再度、受話器を取った馮愛南はボタンを押して電話をかける。)



馮愛南:麗琛?

(名前の確認後、画面は車の到着シーンに切り替わる。)

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