ロイヤル・トランプ 台湾版 ~第六章~
偽太后・神龍教の聖女が見せた本来の姿

康熙帝に功績を認められ「鹿鼎公」に封ぜられた韋小寶。しかし、森の奥へと逃げた偽太后は「韋小寶!私は必ず戻って来る。次に現れる時、きっと貴様は私が誰かわからないであろう?」と意味あり気な言葉を残します。この時、香港版では前に迫って来る偽太后の姿が途中で消え、次に赤い着物を翻す本来の姿の龍兒(林青霞)が登場するのですが、台湾版では赤い着物の龍兒は登場せず「鹿鼎記II 神龍教」の吳應熊(湯鎮業)と共に登場する時のシーンが使われているのです。

香港版 台湾版
服装からして「東方不敗」です。 「寒冰掌」を使った後の龍兒。

台湾版に使われていない事を知った後では、確かに香港版のシーンが貴重に思えるのですが、こちらは偽太后が神龍教教主(羅蘭)に報告する「鹿鼎記II 神龍教」の冒頭と繋がりがありません。まさか、偽太后から本来の姿になった後、わざわざ、もう一度、偽太后の姿に戻ったのでしょうか?

エンドクレジットと未使用・NGシーン

さて、ここで物語は終わったのですが、龍兒の静止画のままでクレジットが出る香港版と違い、台湾版は本編のダイジェストにクレジットが重なります。面白かったシーンを再度、見れるのです。

登場するシーン
1 陳近南のイスに座ろうとした韋小寶が尻に刺さった刃物の痛さで飛び上がるシーン
2 並んだ死体を発見して驚いた韋小寶が辮髪を立てたまま、部屋を走り回るシーン
3 康熙帝の手紙を読んだ海大富が急に韋小寶への態度を変えて瞬きをするシーン
4 康熙帝と勝負をしていた韋小寶が彼の股間を攻撃し、陰毛をむしり取るシーン
5 偽太后の侍女(楊菁菁)たちが韋小寶に襲いかかり、剣で彼の服を切るシーン
6 建寧公主に襲われた後、韋小寶が彼女から慰められ、新しい服をもらうシーン
7 部屋に明かりをつけると、死んだと思った海大富が現れ、韋小寶が怖がるシーン
8 五毒散を飲んでしまった海大富が体から煙を出して部屋中を飛び跳ねるシーン
9 侍女の格好をした多隆が鰲拜に毒酒を運んで勧め、それを鰲拜が飲むシーン
10 鰲拜を牢に閉じ込めようと合図をしたが、逆に韋小寶も閉じ込められるシーン
11 韋小寶が「揸波龍爪手」で鰲拜の服を破った後、さらに乳首を引っ張るシーン
12 高魯泉が韋春花の尻を大きな棒で叩き、何度も命令して彼女を従わせるシーン
13 韋春花が高魯泉の尻を大きな棒で叩き、何度も命令して彼を従わせるシーン
14 マッサージを受ける大小雙兒が善がった後、大雙兒が韋小寶の頬を張るシーン

そして、次も本編からの映像と思いきや、ここから未使用シーンとNGシーンが流れるのでした。

本編 未使用シーン
匕首から滴り落ちる鰲拜の血。 すでに匕首の血は乾いている…?

上は鰲拜が地図を見ている隙に暗殺しようと匕首を刺した後のシーンです。本編では韋小寶が匕首を抜いた後、すぐに多隆が毒酒を運んで来るシーンになります。しかし、未使用シーンでは匕首を抜いた後、韋小寶は不機嫌そうな顔をして目を下にやり、横を向いて口に入った返り血を吐き出すのでした。なお、本編と未使用シーンでは匕首についた血の乾き具合も違っています。

本編 NGシーン
口に入ってしまった鰲拜の血。 口に入らず右目にかかった血。

同じく暗殺計画からのシーンです。多隆が浴びる鰲拜の吐血は、本編では鼻と口の中でしたが、NGシーンでは鼻と右目にかかっていました。なお、その後、本編では多隆が口をゆすぐのに対し、NGシーンでは虚ろな表情をしつつ、多隆は下を向き、口を一度、動かすだけだったりします。

本編 NGシーン
転んでも気にせず笑う韋春花。 …顔が笑っていません。

韋春花が初めて登場するシーンは、本編では転んで崩れた髪の毛を後ろにかき上げる時に大らかな感じに笑っていたのですが、NGシーンでは表情に笑いの欠片もありませんでした。

本編 NGシーン
すでに真面目な表情です。 まだ驚いて目を見開いています。

韋小寶が初めて憧れの陳近南の姿を見た時のシーンにもNGがあります。この時、韋小寶は目を見開いた状態から真面目な表情へと変わるのですが、そのタイミングが違っており、すぐ真面目になる本編と比べると、NGシーンは、ほぼ周囲の人たちが散ってから変わりました。

本編 NGシーン
金鐘罩に驚く海大富。 表情と服の模様が違うような…。

こちらは關羽に化けた海大富が鰲拜に斬りかかる暗殺実行のシーンです。鰲拜が会得した金鐘罩(刃物を通さなくする強身術。いわゆる「少林足球」で言う所の「鎧の肌」。)に驚く海大富の顔が違っています。NGシーンはひょうきんな感じですね。さらに着ている服の模様も違う感じです。

本編 未使用シーン
舌を出して驚く韋小寶。 カメラの方を向いてしまいます。

これも上の暗殺実行のシーンからですが、未使用シーンでは本編と同様に舌を出して驚いた後、韋小寶が目を動かし、カメラの方を一瞬、見てから、元の位置に戻すのです。周星馳も長時間、この表情を保つ事に疲れたのでしょうか?これは本編では目を動かす前のシーンでカットされて採用されているので、NGではなく、単に長めに撮影されたシーンの編集前の物だとわかりますね。

ちなみに海大富と韋小寶の間には康熙帝が舌を出して驚くシーンもあるのですが、これは何度、確認し直しても本編のシーンと同じように思えたため、画像の紹介を割愛させていただきました。

本編 未使用シーン
すぐに「揸波龍爪手」を使用。 關德興の構えで様子を伺います。

次は韋小寶と康熙帝が出会った翌日に勝負をするシーンです。本編では韋小寶が康熙帝に「揸波龍爪手」を使って飛びかかり、避けられると、すぐに彼は次も同じ技を出そうと、両手で胸を揉む真似をしますが、未使用シーンでは、この後に見せる關德興版の「黃飛鴻」の動きをすでに行っており、韋小寶が虎拳のような構えで飛びかかるタイミングを計ろうとするのでした。

本編 未使用シーン
「陛下?」と声を出す韋小寶。 無言で目を見開き凝視。

韋小寶が康熙帝の正体を知るシーンも実は長めに撮影されていた事が、この未使用シーンからわかりました。本編では不思議そうな顔をした韋小寶が瞬きを3回し、「陛下?」と声を出しながら4回目をするのですが、未使用シーンは4回目の瞬きの続きから始まっており、その後、韋小寶は先ほどよりも少しだけ目を大きく開き、無言のまま、康熙帝と建寧公主の方を凝視していたのです。

本編 未使用シーン
アップで「静かに!」のジェスチャー。 カットは変わらずジェスチャー。

そして次は謁見に来た鰲拜を避けるため、建寧公主と共に韋小寶が机の下に隠れるシーンです。こちらはシーンの流れは同じですが、本編と未使用シーンは2人の演技が微妙に違っていました。また、本編では韋小寶が股間を握られた後、建寧公主と韋小寶の顔がアップで映し出されたまま、話が進みますが、未使用シーンではアップがなく、カットが変わらないままで話が進むのです。ちなみに未使用シーンは26秒あり、本編よりも2秒ほどシーンが長いと言う所も特徴と言えます。

本編 未使用シーン
扉側から撮影のため韋小寶は右に。 内側から撮影のため韋小寶は左に。

鰲拜が退がった後、強がっていた2人の緊張の糸が切れてしまうシーンにも違いがあるのでした。本編では鰲拜の部下たちが退がる際、韋小寶は向かって右に移動した後、じっと扉の方を見てから床に尻餅をつきますが、未使用シーンでは扉側から2人を撮っていないため、立ち位置が違い、さらに、ゆっくりと韋小寶が振り向くような形で扉の方を確認してから、尻餅をついているのです。

本編 NGシーン
この時点で帽子は割れていません。 帽子が割れ、地面に落ちません。

韋小寶と同じ行動をする海大富が、韋小寶に斬りかかってしまうシーンにもNGが存在していました。本編では韋小寶が安堵した後にカットが変わり、帽子が真っ二つに割れましたが、NGシーンではカットが変わらず、帽子が勢い良く割れた後、残骸が韋小寶に引っかかって、下に落ちないのです。なお、この後は周星馳もお腹あたりに引っかかった帽子を見て、思わず笑っていました。

本編 NGシーン
韋小寶の背中を掴む海大富。 戻る吳孟達と苦笑する周星馳。

韋小寶が「慢性化骨綿掌」を受けて失神した後、夜の宮中を千鳥足で歩くシーンにもNGがあります。本編では真面目な表情のままの海大富が「何をやっている?」と、へたり込んだ韋小寶の背を掴んで引っ張り起こしますが、NGシーンでは千鳥足を見ている吳孟達に笑みが見られ、周星馳がへたり込む頃には堪えきれずに笑い出すのです。そして、すぐに撮り直しになると判断した吳孟達は立ち位置の方へと戻って行きました。このNGには周星馳も左手を振り上げて苦笑しています。



そして、最後は再度、タイトルが登場して映画は終了です。ちなみに入手困難なDVD版「新鹿鼎記」は本編に削除シーンはあれど、ダイジェストとNG集がないので、119分31秒で終わるようです。

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