| 金庸の長編小説を映像化した「鹿鼎記」。王晶らしい物語の展開の速さが特徴的な本作は案の定、削除されたシーンが台湾版に残っていました。収録時間が106分の香港版と比べると、驚く事に台湾版は125分もあるのです。ここでは消えた19分の内容を色々と見ていきたいと思います。 |
2匹のトカゲと熊欣欣らしき人
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| 香港版にはトカゲがいません。 |
ノンクレジットですが熊欣欣では? |
オープニングは台湾版の方が少しだけ長くなっています。ナレーションの後に2匹のトカゲが登場したり、鰲拜(徐錦江)が率いる軍隊の一人を演じる熊欣欣(と思われる人物)が太鼓を叩くシーンなどが確認できました。…ちなみに激しく旗を振っている人物も熊欣欣(と思われる人物)ですね。
なお、ナレーションが文章として画面に表示されるのは香港版VCD=香港の劇場公開版のみで、台湾版にはありません。後に発売された香港版DVDなどは文章の表示は行われなくなりました。 |
タイトルの登場
| 香港版「鹿鼎記」 |
台湾版「新鹿鼎記」 |
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| 初版VCDには「(一)」が付きます。 |
てん書体の「新」が後から追加。 |
鰲拜が呵々大笑した後、てん書体の「鹿鼎記」が一文字ずつ登場します。金庸の落款の後に、さらに台湾版は斜めになった「新」が捺されるのです。実は「新」が捺される直前まで、私は香港版と同じタイトルで映画が進行すると思っていたので、これには意表を突かれました。
また、香港版の画像の右端にある「(一)」は、VCDやLDが2枚組みだと言う事を表すだけであり、下集である「鹿鼎記II 神龍教」との区別のために付けられた物ではありません。タイトルは他に右端に何も表示されないバージョン、「Royal
Tramp」の英語題が付くバージョンも確認済みです。
ちなみに「鹿・鼎・記」と、てん書体の文字が捺される際の効果音は、香港版も台湾版も「ビシャーン!ビシャーン!ビシャーン!」と言う重みのある感じの音で非常に良かったのですが、音声がクリアになったFortune
Star版のDVDでは風を切るような音に変えられていて残念です。 |
危機一髪で逃れられた陳近南
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上は石灰で目を負傷した陳近南(劉松仁)を韋小寶(周星馳)が部屋に匿った後のシーンです。香港版では韋小寶が菜種油を取りに行こうと扉を開けた後、すぐに海大富(吳孟達)が登場し、侍衛(鄭家生)を呼んで、兵馬を撤退させるようにと言う詔(みことのり)を伝えるシーンになります。しかし、台湾版ではギャグで隠されつつも陳近南としては非常に緊張するシーンがあるのです。
扉を開けた韋小寶は、向かって来る官兵たちの姿を発見すると、すぐに扉を閉めました。 |
韋小寶:まずい!あの畜生どもが戻って来た!
侍 衛:外には二千もの兵馬がいて、ここを十分に包囲している。
奴らは逃げられんぞ!お前らは、すぐに扉と言う扉を捜せ!
官 兵:ははっ!
鰲拜の部下である侍衛の捜査に、別の部屋にいた康熙帝(溫兆倫)も同じく困ってしまいます。

康熙帝:では、今はどうしたら良いのだ?
海大富:失礼を承知で陛下にお尋ねいたします!
玉璽(皇帝の判子)は御身に携えていらっしゃいますか?
康熙帝:持っておる!
| 場面は変わり、侍衛が韋小寶のいた部屋の扉を開ける所になります。扉が勢い良く開かれると、寝床の布団がモソモソと動き、女性の声が聞こえて来たのです。 |
侍 衛:お前ら2人!布団をめくれ!
官 兵:ははっ!
布団がめくられると、侍衛は「あっ!」と声を上げて驚きました。韋春花(吳君如)がいたのです。
韋春花:何をするの?
侍 衛:お前らは何をしている?
韋春花:私たちが何をしているのか、あんたには見えないの?
高魯泉:私たちは、まぐわっているんですよ!お役人様!
| 布団の反対側からは麗春院の店長・高魯泉(李家鼎)も顔を出して説明をします。…後のシーンで彼が上半身裸になっていたのは、この時の名残だったのですね。 |
侍 衛:フン!行くぞ!
あえぎ声を出す韋春花に、あきれたのか侍衛たちは部屋を出て行きました。
韋春花:ほら!扉を閉めて!
高魯泉:ああ…、ああ!
…何とか、ごまかしましたが、実は横には韋小寶と陳近南が息を潜めて隠れていたのです。
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韋春花:ちょっと!まったく!また、あんたは災いを招いて!どうするのよ?
韋小寶:陳大俠!
陳近南:外は十分な兵で包囲されていて、私は完全に逃げられない。私を奴らに差し出すのだ。
韋小寶:ダメです!あなたが出たら、すぐに命がなくなる!
韋小寶たちに迷惑をかけられないと、陳近南は最後まで義俠心に溢れる発言をしていました。
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侍 衛:どうだった?
官 兵:大人(たいじん)!すべてを捜しました!
侍 衛:もう一度、さっきの部屋を捜しに行くぞ!
海大富:お待ちください!そちらの大人…。
…陳近南も万事休すと思いきや、ここで海大富が詔を伝えるシーンに繋がると言う訳です。
「天地會」入会の儀式
| 陳近南の弟子となった韋小寶の「天地會」の加盟儀式も台湾版の方が少し長くなっています。香港版は雄鶏の頭を刎ねようとするも、怖がった韋小寶が誤って兄弟の手の甲を切ってしまい、謝った後、すぐに立ち上がった陳近南が韋小寶が兄弟になった事を皆に話すシーンになっています。しかし、台湾版は謝った後、今度は韋小寶の指から血を出す穴を開けるシーンがあるのでした。 |
韋小寶:さあ来い!
| 厳しい顔つきで右手の中指を立てる韋小寶。大きめの針を刺された彼は声を上げましたが、そのまま、兄弟に指をほじくられても「えっへへへへっ!」と笑って、痛そうな顔はしていません。 |
韋小寶:ちっとも痛くないぞ!へへへへっ!
力を入れて!ははははっ!続けて!ははははっ!
ところが、横から痛がる声が聞こえて来ます。カメラが引くと、ほじられている指は実は…、
別の人の指だったのです。それでも韋小寶は笑い続けて言いました。
韋小寶:痛くならないぞ!そうだろ?はははっ!
続けて!へへっ!続けて!へへへっ!
しかし、別の人が逃げ出したため、儀式を手伝う兄弟は韋小寶に指を出すように催促します。
兄 弟:ほら!…ほら!
韋小寶:えっ?ううん、ううん!
真面目な顔になり、首を横に振る韋小寶…。しかし、兄弟は彼の指を強く引っ張ります。
韋小寶:嫌だ!嫌だよ!
兄 弟:逃げるな!
| 宮中に行ってからの韋小寶に「鶏一羽さえも殺した事がないんだ。」と言う台詞がある事からも結局、この調子で彼は自分の血も採らず、うやむやに儀式を終わらせたのかもしれません。この後は陳近南が立ち上がるシーンになりました。なお、伝説では椀に雄鶏の頭を斬り落として出した血と指の血を混ぜ、黄紙(誓紙)を燃やし、その灰を血に加えた物をすすって盟約を結ぶようです。 |
忠義心を称える兄弟たち
| 陳近南の話を聞いた「天地會」の兄弟たちが「反清復明!反清復明!」と唱え、それに韋小寶も適当に口ごもった感じに唱えた後、香港版では陳近南の「極めて危険な任務」についての話が始まります。しかし、台湾版では本題に入る前に陳近南が韋小寶についての話をするのでした。 |
陳近南:韋小寶は人のための忠義心がある!命を捨てて私を危険から救ってくれたのだ。
無言のままで陳近南の方を見たり、瞬きをしたり、軽く首を動かしたりする韋小寶。
陳近南:彼は元々、さらに青木堂の堂主を助けたかったのだ。
しかし、惜しくも敵は多く、私の味方は少なかった。はぁ…。
兄 弟:韋兄弟の忠義心!感服させられます!
話に感動した兄弟たちは一斉に韋小寶の忠義心を褒め称えます。
韋小寶:いやいや!いやいや!いやいや!
韋小寶は驚きつつも「どういたしまして」と彼らに言葉を返していました。
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