| 誰も観客が来ないまま演劇「精武門」の練習をする尹天仇たち。香港版は洪爺が「帰ろうぜ。」と言って皆が争う中、柳飄飄が舞台に近づき、尹天仇たちが彼女に気付くのですが、台湾版は尹天仇が俳優としての精神についてを語るシーンがあるため、香港版より18秒ほど長いのです。 |

| 洪爺: | 「もし、お前が俺に勝てたら、『東亞病夫』の4文字を飲んでやる。文句でもあんのか?」 |
| 尹天仇: | はぁ…。「文句でもあんのか?」の台詞は僕に多くのプレッシャーを与えるべきだ。 そうしてこそ、僕の心の中の怒りの火が押し寄せて出て来るんだろう? |
| 洪爺: | そんな必要ないだろ!どうせ、誰も見ていないんだから!…なあ、お前ってば突然、 「精武門」とか何とか言うのを演じさせるんだもん。俺たちに、こんな服装をさせるし、 すげえ、ムカムカするよ。お前って奴は本当にもう!お前への面子は十分に立てたよ。 |
| (洪爺は手下に話しかける。) |
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| 洪爺: | お前もそうだろう? |
| 手下: | 僕はカツラを変えたいだけだよ。 |
| 洪爺: | 帰ろうぜ。 |
| この後、香港版は柳飄飄の足元を映すのですが、台湾版は尹天仇が話を続けます。 |

| 尹天仇: | この時、僕たちは俳優だ。プロの精神が必須なんだよ。現場の観客の多さに関わらずに。 …見てみなよ!田雞は何がプロと言うのかを理解している。 |
| 田雞: | くーっ!かーっ!はぁ…。 |
| 端にいた田雞(田啟文)は、ずっと目を閉じたまま、一人で役に没頭していましたが、急に糸が切れたように演技をやめてしまいました。それを心配した尹天仇は田雞へ近づき、話しかけます。 |

| 尹天仇: | どうしたんだ? |
| (田雞は左耳に入れていたイヤホンを取り出す。) |
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| 田雞: | 写真判定だと、2番が来たか! |
| (田雞は手下に話しかける。) |
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| 田雞: | お前に聞いたじゃないか!「複勝は買う必要ある?」って。 そしたら、お前は「必要ない。」って言ったじゃないか! |
| 手下: | 必要ないだろう? |
| 田雞: | じゃあ、お前…! |
| …何と!真面目に演技に没頭していたと思いきや、田雞は競馬のラジオ中継を聞いていたのでした。 | |

| そこに柳飄飄がやって来ます。 |

| 田雞: | 急いで次のレースを買って来る! |
| 尹天仇: | おいおい! |
| 田雞を止めようとした所で尹天仇たちは柳飄飄が来た事を知るのですが、この台詞は香港版では消されているため、その後の「うわぁ!この女、すごく良いな。お前の彼女か?」の台詞とも相まって、田雞が真っ先に柳飄飄に興味を持って近づいたと言う風に見えなくもありません。このように台湾版のシーンを見た後では香港版で説明がなかった田雞に関する部分が明らかとなるのです。 |
| 台湾版にある削除シーンは以上となりますが、台湾版VCDのパッケージにある映画のあらすじに注目すると、実は本編では触れられていませんが、尹天仇にはアメリカのイェール大学の演劇大学院の修士課程を修了していると言う設定があるのです。参考に以下にその翻訳を紹介します。 |
| あらすじ1 |
| 周星馳(が演じる尹天仇)はアメリカのイェール大学の演劇大学院の修士課程を修了し、ずっと演劇に心酔している。さらに町内劇団を開催し、無料で町内の観客に演技の日常生活の中での発揮方法を教えていた。彼は演劇の理論をことごとく理解していたが、自分の演技は逆に非常に使い物にならず、映画界では単なるエキストラを担当していた。だが、ずっと彼は落胆をしていない。 ある偶然のチャンスがあった。彼は思いがけず、映画クイーン・莫文蔚(が演じる杜娟兒)の評価を得たのだ。重要な役を演じ、この役は将来に対して非常に重要だと彼は知る。しかし、出演すると成功まで、あと一歩と言う所で失敗し、すごく良いチャンスをやすやすと無駄にしてしまった。 彼のすべての思いは失望と化し、劇団も終わる時だった。突然、特殊警察の本部に連れて行かれた彼は犯罪グループ内で潜入捜査を担当させられる。彼の心の考えは一転し、何一つ満足に成し遂げられない以上、現実の舞台の上で全力を尽くした方が良いと、この任務を受ける。 悪人は極悪非道で、潜入捜査の任務は非常に困難であったが、彼は死ぬ事にも平然とし、意外にも演劇理論の最高の境地を発揮する…。 |
| このあらすじは柳飄飄や恋愛部分には触れていませんが、周星馳が重きを置いていた尹天仇が持つ演技に対する気持ちが凝縮されたような作りで、その流れも特に問題はありません。 しかし、台湾の「東森電影台」で本作が放映された際、上記とは別のあらすじが登場しました。こちらは結論から言うと「東森電影台」であらすじを書いたライターの創作の可能性が高いようですが、最初期の脚本の段階にあった案と思えなくもない具体的な部分もあるため、珍品として以下に翻訳を紹介します。(映画本編には直接的に存在しなかったと判断する部分の色を変えています。) |
| あらすじ2 |
| 周星馳(が演じる尹天仇。※以下、「尹天仇」と表記。)はアメリカのイェール大学の演劇大学院を卒業した芸術修士で、生まれてから演劇に熱中していた。香港に戻った後、さらに町内劇団を構成し、どのように演技を活用し、値段交渉と恋人との別れをするかを人に教えていた。だが、自分は単にエキストラの役ができるだけである。しかし、それもやりすぎなため、真面目に行っても続け様に事故を引き起こし、撮影現場から拒まれてしまっている。 母親の医療費を準備するまでナイトクラブでホステスをするZoe(張栢芝)は、どのような笑顔で客を迎えるのかを、まったくわかっていなかったため、尹天仇の劇団で演劇を学ぶが、意外な事に演劇に対する興味が沸いたのだ。 2人は撮影現場でエキストラとなり、傍若無人に、どのように通行人Aを演じたら良いのかを討論した。尹天仇は映画クイーン(莫文蔚)の評価を得て、彼は役をもらったが、尹天仇は逆に過度の力を出してしまい、反対に映画での演技をダメにしてしまう。さらにZoeは逆に台詞のある役のため、自ら望んで臨時の記録係とベッドを共にする。ちょうど尹天仇のすべての思いは失望と化した際、警察(吳孟達)が臨時に尹天仇に潜入捜査の機会を与えた。 悪人は極悪非道で、潜入捜査の任務は非常に困難であったが、彼は死ぬ事にも平然とし、意外にも演劇理論の最高の境地を発揮する。危機を逐一、取り除くだけでなく、さらに悪人を一網打尽にし、ついに使命を達成する。最後は演劇の本当の意味を悟り、あらゆる悲劇を喜劇に変えたのだ。世界中の人々のために楽しさを追求し、ついには喜劇王となったのである。 |
| 最後に紹介するのは台湾の物ではなく、香港公開の2週間前に当たる1999年1月下旬に香港で発表された物なのですが、こちらにも本編とは違う部分が含まれています。しかし、この該当部分は実際にシーンが撮られているため、その画像は後に紹介したいと思います。 |
| あらすじ3 |
| 尹天仇(周星馳)は芝居と言う芸術を熱愛するエキストラ。しかし、熱意はあっても素質がない。尹天仇は何度も演技の方式に固執するため、映画関係者と仲が悪い。さらにスタッフをカンカンに怒らせて、撮影現場では嫌になるほど憎まれていたのだ。尹天仇は、いつも人に辛辣な言葉で皮肉を言われ、侮辱され、嘲笑されていたが、そのせいで落胆はしていなかった。毎日、最初に行う事は建物の屋上に登り、空に向かって「尹天仇、君は世界上で最も素晴らしい俳優だ!」と大きく叫ぶ事であった。来る日も来る日も、一年また一年と、晴れた日だろうと雨の日だろうと、彼はそれを絶え間なく繰り返していた。尹天仇の芝居に対する熱意と根気が伝わるが、それは相当に人を驚かせる物であったのだ。 ホステスの柳飄飄(張栢芝)は、かつて情愛の海で心を傷つけ、騙されていた。それ以来、二度と愛情を信じなくなったのである。性格も変わり、冷酷で無情になった。彼女はナイトクラブの中で可愛らしさと優しさが欠けていたため、客のニーズに合わせられず、常に冷遇していたのだ。ナイトクラブのママは、これを考慮し、飄飄を尹天仇の町内劇団に連れて行って演技を学ばせ、飄飄に「客を楽しませる方法」を十分に習得させた。最初、飄飄は尹天仇に真っ向から対立していたが、次第に尹天仇の指導の下、もう一度、心の扉を開き、異性と交際のある生活に身を投じる。飄飄も尹天仇の演芸人生の中の最初の観客となり、尹天仇は飄飄の支持を非常に感激し、2人にも次第に友情が生まれた。 映画クイーン(莫文蔚)の引き立てにより、尹天仇は映画の主役を演じる機会を得る。最初、映画クイーンは単に尹天仇の才能を評価する態度を抱いていただけだったが、一連のリハーサルや何度も仕事を共にしている中で2人は師匠であり恋人のような微妙な関係を築く。飄飄、尹天仇、映画クイーンは、ついに三角関係の苦しい恋へと陥ってしまった…。 |
| ここからは「喜劇之王蝦碌大全」の映像をメインに本編で当初、使われる予定だったと思えるシーンを、あくまで独断と偏見で紹介して行きます。なお、紹介順は本編の流れに合わせています。 |
| 未使用シーン |
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| 相変わらずポーズが激しい導演。 |
| 神父役の尹天仇が撃たれる前に導演(李思捷)が「アクション!」と合図するシーンがあります。 |
| 未使用シーン |
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| 死なない尹天仇を怒る霞姨。 |
| 死なないでいた神父役の尹天仇に導演が注意する前に入る予定だったシーン。駆け寄った霞姨に「何してんのよ!」と怒られるも尹天仇は真顔で「僕は出演しているんですよ。」と言っています。 |
| 未使用シーン |
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| 尹天仇の話を聞いた杜娟兒。 |
| 尹天仇が設計する神父の性格に関する話を聞いている時、あきれた杜娟兒が目をそらし、無言で何かを考えるような表情をするシーンがあります。彼女は怒鳴る前から怒りを表していたようです。 |
| 未使用シーン | |
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| 1.上空の雲を映すカメラ。 | 2.カメラは尹天仇を映す。 |
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| 3.竹竿を立てる作業。 | 4.大きく叫ぶ尹天仇。 |
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| 5.旗の横でガッツポーズ。 | 6.腕を組んで海の向こうを見る。 |
| 先ほど「あらすじ3」で紹介した部分で、起床した尹天仇が演劇「雷雨」の準備をする前に入る予定だったシーンです。尹天仇が竹竿と下着で旗を作った後、件の言葉を叫び、気合を入れています。 |
| 未使用シーン |
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| 未来を見つめる尹天仇。 |
| 本作の香港の公式サイトに掲載された上の画像も「あらすじ3」に関係している物です。本編には、夜の海の先を見た柳飄飄が「ねえ、見てよ。前は真っ暗ね。何も見えないわ。」と言うと、尹天仇が「そうでもないさ。夜が明けたら、すごく綺麗だよ。」と返すシーンがありますが、この自分の前途を信じる尹天仇の姿は上のシーンがあってこそ、先ほどの台詞に含まれる重みが増すと思います。 |
| 未使用シーン |
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| 上からエアコン室外機が…! |
| 予告編にある、尹天仇が落下したエアコン室外機を避けるシーン。尹天仇が叫んだ振動で屋上よりも高い建物に設置されていたエアコン室外機が落下したと考えると、ガッツポーズをした後に入る予定だったのかもしれません。ただ、彼が肩にかけている上着との繋がりが気になります。 |