ゴッド・ギャンブラー3 台湾版 〜第二章〜


如仙のキスで救助

如仙に嫌われた周星馳…。如仙と春天は賭博場で周星馳と周大福を発見するも、教会での出来事を思い出した彼女らは、
怒りを隠せません。香港版の春天は2人を発見する直前まで微笑んでいたのですが、台湾版は発見の表情が見れました。

香港版 台湾版
冷たい表情と言えば冷たい…。 かなり、お怒りのご様子…。

香港版の如仙は怒っているとは言え、押さえた表情のままで「彼らを相手にする事はないわ。」と静かに言い放つのですが、
台湾版は拳を握り締めてまで春天は怒り、如仙は2人に軽蔑の眼差しを送ったりしています。台湾版は、このような呉如君の、
演技が好きな人には嬉しい映像ですが、如仙に関して言うと、ここは大人の態度を取った香港版の方が良いように思えます。

なお、ここの丁力と市長の会話シーンも葬礼のシーンと同じく、アングルが主に違っています。香港版のカメラの位置は正面で、
台湾版のカメラの位置は、やや下となっているので下から見上げるような感じなのです。香港版は主要人物全員の顔が見えて、
とても良かったのですが、台湾版は如仙の立ち位置が良くなく、丁力の肩によって彼女の顔の一部が隠れていたりもします…。

川島芳子から丁力を助けるため、周大福は周星馳を起こそうと如仙と春天に協力を求めます。…周大福の服装を、よく見ると、
香港版は中に着ている白い服の袖の裾が折ってありますが、なぜか台湾版は袖の裾がありません。暑くて脱いだのでしょうか。

香港版 台湾版
「星仔、如仙よ。大丈夫?」 「阿星、如仙よ。」

香港版の如仙は「大丈夫?」と声をかけますが、そんな台詞は台湾版にはありません…。しかし、それは怒っているからではなく、
「大丈夫?」と言う前に、ものすごい早さで周大福が周星馳にキスをしてしまい、台湾版の如仙は、その行動に驚くからなのです。
周星馳の仰け反り具合と表情から想像した事ですが、香港版は気絶の程度が軽いように見えるため、何となく周星馳はキスを、
待っているように見えます。それに比べ、台湾版は本当に気絶しているかのように見えるため、台湾版の方が上手く思えますね。
キスの後は、もごもごと周大福は口を動かして反芻…ではなく、ごまかすのですが、どちらも演技が違い、爆笑を誘っていました。

香港版のみ

その直後に挿入される「焦る如仙」のシーン。これは香港版のみにあり、台湾版には方季惟の「焦る如仙」のシーンはありません。
「だけど、次からは歯を磨いてね。」と周星馳が言った直後、香港版は周大福が口を押さえて、「しまった!」と言う表情をしますが、
台湾版は周星馳の台詞の直後、驚きの表情を見せた後、ゆっくりと、口を押さえて自らの口臭を嗅ぐシーンが入っていたりします。
しかも、香港版は台湾版よりシーンが少しだけ長く、周大福は口を押さえたまま、如仙の方を見て、すまなそうな顔をしていますね。
如仙は周星馳に何も言わず、キスも口臭も自分がした事にしたので周大福は如仙に対し、申し訳ない気分になったのでしょうか?

勝利後のショックで放心状態

復活した周星馳は川島芳子と大小ゲームで勝負をしますが、勝利した周星馳の姿を見た如仙と春天のシーンも違っていました。
「わー!すごいわ!」と言う春天の台詞は香港版にしかなく、台湾版では春天は「キャハハハハ!」と笑って喜びます。その後も、
如仙と春天は2人で顔を見合わせたりもしますし、香港版より喜びのシーンは少し長かったように思えます。しかも、その喜びは、
シーンが切り替わっても続き、川島芳子が丁力に話をするシーンでは香港版は、すぐに2人の表情が真面目に変わっていますが、
台湾版は動きと表情から判断するに、まだ「喜び」に浸っています。ちなみに、よく見ると微妙に春天の髪型も違っていたりします。

香港版 台湾版

負けた川島芳子が去った後、皆に胴上げをされる周星馳が如仙の方を見ると如仙が笑顔を見せてくれているのですが、香港版では、
如仙の後ろにいる女性たちを撮影技術で、ぼかして完全な背景としています。台湾版では画質問題もありますが、単に如仙を中央に、
持ってきただけのような感じです。ここは周星馳の目から見た映像なので、如仙を引き立たせている香港版の方が良いと思いますね。

香港版 台湾版

…しかし、その後、大勢の前で突然の婚約を宣言をする丁力。台湾版は見たとおり、アングルや照明、如仙のドレスも微妙に違います。
婚約にショックを受けた周星馳を助けるため、春天は如仙の双子の妹・如夢の部屋に行き、彼女に周星馳を会わせようと声をかけます。
(ところで台湾版でも春天に川辺の女性の話をする時、台詞チェックが疎かだったのか周大福は「馬に乗った。」と説明したりしています。)

香港版 台湾版
無邪気な表情を出す鞏俐。 春天が来たので安心の表情。

実は2人の演じる如夢は少しキャラクターが違うのです。如夢は病気により精神年齢が5歳のままと言う設定なので、それぞれが考える、
5歳の女児の演技が見れます。鞏俐は如仙との演技の使い分けが非常に上手く、無邪気に笑うのが5歳と考えているように思えますが、
逆に方季惟は少し堅い感じに思えてしまいます。しかし、前にも述べたように台湾版の如夢は「人との免疫が少ない」と考えられるので、
何もわからずに静かな感じなのが、5歳の如夢と言うキャラクターだと方季惟は考えた上で演技をしているようにも思えなくもありません。
台湾版の上の画像「知っている春天に会うシーン」と、下の画像「周星馳に会うシーン」を比べると、その辺りがわかるような気もします。

香港版 台湾版
2役の使い分けが上手いです。 緊張の演技で堅い表情です。

如夢は開店したばかりの周大福の肉まん屋・麥當福飽店に来ます。周星馳が驚いて口を開けるシーンもアングルが違っていますが、
最も違うのは香港版で如夢が周星馳の鼻を摘むシーンが、台湾版では如夢が右手で周星馳の頬を触るシーンになっている所です。
これは絵を描いて記憶を残しておきたいほど会いたがっていた「川辺で蓮の葉を被った男」に会う事ができたため、触れる事により、
それが夢か事実かを確かめたのでしょう。…しかし、そうすると初対面で怖がった意味との、つじつまが合わないような気もしますが?

香港版 台湾版
まだ元気のない表情です。 少し怪訝そうな表情です。

叉燒包ダンスでデート

「Mambo Italiano」の北京語版「叉燒包」のレコードを流し、ダンスを始める周星馳。途中、如夢がリズムを取るシーンがありましたが、
香港版では体全体を使ったのに対して、台湾版では手拍子をしていました。ダンスも終了間近になり、周星馳が地面に倒れつつも、
肉まんをかじる前のシーンでは、香港版の如夢は楽しそうに笑うのですが、台湾版では倒れた事に驚いた表情を見せたりもします。
このシーンは肉まんをかじるシーンと繋がっているため、ダンス部分もそうですが周星馳は2回、同じ撮影をしていた事になりますね。

香港版 台湾版

ダブル・デートでピクニックに出かけた周星馳。台湾版に比べ、しつこくも、まだ彼の頭に木を飾ろうとしているのは香港版のみです。
そして「今晩打老虎」や「今晩打茄倫」と言っている時、意味の知らない如夢が拍手までもして喜ぶのは台湾版のみだったりします。

香港版 台湾版

そしてキスを…と言うか唇をかじられています。この後、丁力が如仙とお茶を飲むシーンになるのですが、その時に彼が如仙にする、
贈り物の鏡の形も違っています。香港版ではハート型を思わせる感じでしたが、台湾版では一般的にありそうな縦型の鏡なのです。
さらに、ここは彼らの演技も違えば、席をはずす理由も違います。香港版は周大福が「絆創膏を取り替える」と言う口実を上手く出し、
部屋を出ますが、台湾版では周星馳が周大福に何の前触れもなく、次のような台詞を言い、彼ららしいギャグで切り抜けるのです。

周星馳:あんたは俺の書いた「書」が欲しいんじゃなかったか?
周大福:いいや、わしは字も知らん。
周星馳:なら良かった、俺が教えてやるよ。丁さん、ちょっと失礼します!

その後、周星馳の普段の性格を気にした丁力は如仙に「どんな女性を彼は好きになると思う?」と問いかけるのですが、台湾版では、
「知らないわ。」と返された後、丁力は「もし、もう一人、君と同じような女性がいたなら、彼は、きっと好きになるだろう。」と言うのです。
香港版では如仙がベランダに出た理由が不明でしたが、台湾版では如仙は双子の妹の事を思い出し、席をはずしたと考えられます。

香港版 台湾版

ベランダでは香港版に周星馳が如仙の鼻を摘むシーンがありますが、台湾版はありません。しかし、ここは如仙が怒って去った後から、
別カメラへの切り替えがないため、もう一つの周星馳と周大福が話し込み、電話が鳴るまでの演技を存分に楽しむ事ができるのです。

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