ファイト・バック・トゥ・スクール3 台湾版 ~第一章~
シリーズ3作目では学校に潜入せず、映画「氷の微笑」(香港題:本能)をパロディにしたサスペンス作品になった「逃學威龍三之龍過鷄年」。今回はタイトルの違いや本編から削除されたシーン、台湾版のみにある郭富城による主題歌など、香港版と異なる点について見ていきたいと思います。

タイトルの登場

香港版 台湾版
「逃學威龍三之龍過鷄年」 「逃學威龍3 第七感抓財神」

タイトルの最初は「授業をサボる威張った龍3」の意味です。その後に続く香港版の「龍過鷄年」は「龍が過ごす酉年」の意味で、この「龍」は「逃學威龍」である周星星(周星馳)の事を指しています。

台湾版の「第七感抓財神」は「第七感が福の神を捕まえる」の意味です。第七感は人間の五感を超える第六感をも超えた心の感覚の事だそうで、劇中でも誰が殺人犯か9割方、把握した周星星が「俺の第七感が教えてくれた。今夜、結果が出る。」と言うシーンがありました。ただし、こちらは元となる「氷の微笑」の台湾題である「第六感追緝令」から来ている事が容易に想像できます。

なお、香港版の画像の右端にある「1」はVCDやLDが2枚組みだと言う事を表す数字です。香港版がベースとなっている日本版も表示されるタイトルは同じですが、あえて珍しい方を採用しました。

香港の再販版
「逃學威龍3 龍過鷄年」

…ところが、香港で再販した物には黒い背景に赤文字で「逃學威龍3 龍過鷄年」と表示されるバージョンも存在します。差し替えられた理由は旧正月の飾りの中心にタイトルが登場させると文字が小さくて見づらいと判断したからでしょうか。なお、このタイトルは予告編にも登場しています。

足で撈麵を食べる周星星に驚く阿敏

ここからは台湾の予告編にある削除シーンを見ていきます。これらは元々、台湾版の本編に入る予定だったと思いますが、本編に残っていないため、台湾版の物語の流れは香港版と同じなっているのです。なお、日本版DVDの特典映像には、なぜか台湾の予告編が収録されています。



足で持った筆で春聯の文字を書く周星星に「もし、あなたが本当にすごいのなら、足で麺を食べる所を見せてよ。」と冗談を言う阿敏(張敏)。香港版は阿敏が周星星に背を向けて室内を歩き、自分の麺を口に含むと周星星が足で箸を持って麺を食べるシーンになりますが、台湾の予告編は阿敏が麺を口に含んだ後で周星星の方を向き、目を見開いて驚くシーンが2秒ほどあるのです。

別の意味で必死な署員たち

王百萬(周星馳)に成り済ました周星星を迎えに行く湯茱廸(梅艷芳)。香港版は警察署の外観が登場した後、すぐに湯茱廸が黎Sir(梁家仁)のいる部屋に入るシーンになりますが、台湾の予告編では廊下を歩く湯茱廸の後ろで7人の警察署員たちがしゃがみ込むシーンが6秒ほどあるのです。



実は警察署員たちは湯茱廸が下着を履いていない事で有名なのを知っているため、廊下にバインダーやペンを落とし、拾うふりをして、何とか股間を見ようと必死なのでした。なお、この湯茱廸が下着を履いていないと言う設定は「氷の微笑」のキャサリン(シャロン・ストーン)から来ています。

女装趣味がある警備員

林大岳(黃秋生)の会社で2人の警備員を相手に掃除機で格闘する周星星。香港版は体を反らせた状態で使ったホースで警備員の口を吸った後、パイプで頭を殴りますが、台湾の予告編ではホースで口を吸った後、体勢を整えるために周星星がホースをくぐるシーンが1秒ほどあります。



さらに香港版は掃除機が、もう一人の警備員(陳世騰)の入れ歯を吸い込んだ後、周星星が扉が半開きの部屋を発見しますが、台湾版の予告編では掃除機に乗った周星星が電源コードを手繰り寄せながら移動して逃げ、掃除機で新たな警備員の服を吸い込むシーンが14秒ほどあります。


周星星は掃除機に乗って移動。先ほどの警備員が来ていないか時々、振り向いて確認します。


先で待ち構えていた3人目の警備員。遭遇した周星星は掃除機で応戦!掃除機で吸い込む…!



服を吸い取られた警備員は何と!女性物の下着をつけていたのです!


掃除機が勢い良く服を吸い込む様子を見る周星星。それが終わると警備員を見て呆然…。



驚いて帽子を落とした警備員は胸を隠しつつ、女性らしい仕草で走って逃げるのでした。

シャンパンタワーを崩す黎Sir



王百萬と湯茱廸の結婚7周年記念パーティーの豪華なシャンパンタワーに驚いた黎Sir。香港版はシャンパンを注ぐ係りに「ご自由にグラスをお持ちください。」と声をかけられた黎Sirが頷いた後、アップになったグラスを手に取るシーンが入りますが、台湾の予告編は黎Sirが頷いた後、カメラのアングルは固定されたまま、一歩、タワーに近づいてグラスを手に取るシーンが2秒ほどあります。



そして、タワーは崩壊…。香港版は黎Sirが肩をすくめる仕草をしてからシャンパンを口に運ぼうとした所で周星星の所へ向かうシーンに変わるのですが、台湾の予告編ではシャンパンのグラスに口をつけるシーンが1秒ほどあります。…スピーディーさを求めたせいか、編集が少し粗いですね。

クロスボウの向きの違い

香港版 台湾の予告編
クロスボウの向きは右。 クロスボウの向きは左。

会場で程文靜(周海媚)を探す中、殺された林大岳の仇討ちに来た部下(黃雄)たちに命を狙われる周星星。香港版と台湾の予告編のクロスボウから2発目の矢が発射されるシーンを比べると向きが違います。多分、元々は左向きで撮られたのですが、部下(秦貴寶)に刺さる矢の位置を考慮するとシーンの繋がりが不自然なため、裏焼きをする事で左右を反転させたのではないでしょうか。

実は左右の足の裏を刺されていた周星星

事件も解決し、阿敏とベッドの上にいる周星星。香港版は阿敏に「氷の微笑」のように手首を縛られた周星星が怪訝そうに「どうして、この遊びをするんだ?」と言い、それに続いて阿敏が「あなたが『罰を与えてくれ』って言ったんでしょう?」と言いますが、台湾版の予告編では周星星が楽しそうに笑い、阿敏が静かにするように唇に指を当てるジェスチャーをするシーンが4秒ほどあります。


そして、浴室で阿敏を気絶させて彼女に成り済まし、ベッドで周星星を殺そうとする程文靜。香港版は回し蹴りを放つも程文靜にアイスピックで右の足の裏を刺された周星星が痛がりながらベッドの柵で反撃します。しかし、台湾の予告編では反撃をする前に周星星が再度、程文靜に回し蹴りを放つも避けられ、今度はアイスピックで左の足の裏を刺されてしまうシーンが4秒ほどあるのです。繋がりの関係上、香港版にしか存在しないシーンもあるため、以下に流れをまとめます。

香港版 台湾の予告編
1 「神龍擺尾!」(神龍が尾を振るう)と叫び、
周星星が程文靜に回し蹴りを放つ。
1 「神龍擺尾!」(神龍が尾を振るう)と叫び、
周星星が程文靜に回し蹴りを放つ。
2 周星星の右足を掴んだ程文靜が、
「振ってみろ!振ってみろ!」と言いながら、彼の足の裏を何度もアイスピックで刺す。
2 周星星の右足を掴んだ程文靜が、
「振ってみろ!振ってみろ!」と言いながら、彼の足の裏を何度もアイスピックで刺す。
3 周星星が声を出して痛がる。 3 周星星が声を出して痛がる。
4 アップになった周星星の右の足の裏を、
程文靜は何度もアイスピックで刺す。
4 もう一度、周星星が回し蹴りを放つも、
程文靜はしゃがんで避ける。
- - 5 そのまま、体を回転させた周星星は、
左足で蹴りを放つも程文靜に掴まれる。
- - 6 程文靜は周星星の左の足の裏を、
何度もアイスピックで刺す。
5 痛がる周星星がベッドの柵で反撃する。 7 痛がる周星星がベッドの柵で反撃する。

香港版の[4] 台湾の予告編の[4]
足の裏を刺すアイスピック。 周星星の回し蹴りを避ける程文靜。

台湾の予告編の[5] 台湾の予告編の[6]
周星星の左足を掴む程文靜。 今度は周星星の左足を刺す。

ちなみに台湾の映画チャンネル「星衛HD電影台」で「逃學威龍3 第七感抓財神」が放映された際、香港版の映像を使用していたため、表示タイトルが「逃學威龍三之龍過鷄年」でした。それは良いのですが、なぜか本編では香港版の流れにある[3]と[4]がなく、アイスピックで刺された周星星が、すぐに程文靜に反撃する編集になっているのです。…何が問題なのか理解に苦しみます。

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