ファイト・バック・トゥ・スクール2 台湾版 ~第六章~
潔蒂の味方をする黃小龜

台湾版

台湾版はフードコートで蕃薯の失言に怒った潔蒂が「私は美しいか?」と言い寄り、鼻穴に指を入れられている蕃薯が「美しい!」と繰り返した後、黃小龜が「謝れ!」と言うシーンが2秒あります。

黎仙蒂を呼び止める潔蒂

台湾版は曹達華が周星星の秘密を何敏と黎仙蒂にぶちまけた後、フードコートにいた潔蒂が妹を呼び止め、「周星星に騙されるな」と忠告するシーンが19秒あります。以下に台詞を翻訳しました。



(直前に遊んでいたポケベルの振動レースの勝敗について潔蒂が黃小龜に聞く。)

潔  蒂:勝ったの?

黃小龜:続けて見ていれば、わかりますよ。まだ、結果は出ていないですね。

蕃  薯:続けて見ていれば、わかりますよ。まだ、結果は出ていないですね。

潔  蒂:んっ…ふふふふ!

(笑っている潔蒂の後ろを何敏と彼女の両親が通り過ぎる。)

潔  蒂:んっ?

黃小龜:んっ?

蕃  薯:んっ?

(潔蒂たちは走り去る何敏たちを不思議に思う。)



潔  蒂:ああ~っ!

(潔蒂は何敏たちの後を追う周星星に気付く。)



潔  蒂:あっ!ちょっと!ちょっと!仙蒂!

(潔蒂は周星星を追う黎仙蒂に気付き、呼び止めた。)

黎仙蒂:ああっ!

潔  蒂:あんたに秘密を伝えるよ!周星星の野郎、彼女がいるんだ。
     あんたは絶対にあいつに騙されないでよ。

黎仙蒂:知っているわよ!

潔  蒂:知っているだって!?

(驚いた潔蒂は怒り、黃小龜の方へと歩き出す。)



潔  蒂:お前!

黃小龜:ああっ!

潔  蒂:何で早く私に言わなかったんだ?

黃小龜:ああっ!

潔  蒂:言え!何で早く私に言わなかったんだ?

(潔蒂は黃小龜の肩を叩き、頭を掴んだ後、彼の首を絞める。)

香港版 台湾版
1 怒った周星星が曹達華を突き飛ばして行く。 1 怒った周星星が曹達華を突き飛ばして行く。
2 「手伝ったのに」と言う曹を政治部が囲む。 2 潔蒂が妹を呼び止める~黃小龜を怒る。
- - 3 「手伝ったのに」と言う曹を政治部が囲む。

…シーンの前後の流れは上のようになっていますが、香港版は「突き飛ばされた曹達華」の次に別のカットがないまま、「『手伝ったのに』と言う曹達華」が来るため、画の繋がりに不自然さが感じられます。これに気付き、「この間に削除シーンがあったのでは?」と推測した方も多いでしょう。

曹達華に「報告する」と伝える張組長

台湾版

台湾版は曹達華に「殴っても、あんたには敵わない!」と言われた張組長が「わかっているなら良いんだ。」と言った後、曹達華を指差して「必ず報告しに行くからな!」と言うシーンが2秒あります。

目を一周させて驚き喜ぶ曹達華

台湾版

台湾版は黃蓮如が「政治部の報告は彼らの嫉妬から」と曹達華を慰め、褒めちぎって席を外した後、曹達華が彼女の自分への惚れ込みに目を一周させて驚きつつも喜ぶシーンが2秒あります。なお、黃蓮如が席を外す理由は次のようにバナナを取りに行った事になっているようですが…、

國語字幕 日本語字幕 日本語吹替
黃蓮如:果物を食べない?

曹達華:バナナが食べたい。

黃蓮如:わかったわ!
黃蓮如:果物は?

曹達華:バナナを。

黃蓮如:(日本語字幕なし)
黃蓮如:果物でも食べる?

曹達華:バナナはあるか?

黃蓮如:ええ!

…香港版では曹達華が周星星を退学させると言い、それに同意した黃蓮如が協力する流れなのです。後に登場する「黃蓮如が周星星の母親に扮するシーン」の伏線だった事がわかるのでした。

粵語字幕
黃蓮如:それで、どんな風に準備するの?

曹達華:急いで、あの悪ガキを学校から追い出す!

黃蓮如:わかったわ!

少し考えてから席へと向かう周星星

台湾版

台湾版は「俺は間もなく結婚する。ついて来ても無駄だ。」と周星星に言われた黎仙蒂が自分の席に座った後、体を揺らしていた周星星が息を吸ってから自分の席へ向かうシーンが8秒あります。

黒板消しを老師に投げつける3人

周星星がボードに描かれた「ザ・シンプソンズ」(香港題:阿森一族)の絵を消す~曹達華に呼ばれるまでを計った所、台湾版は香港版よりも7秒ほど長くなっています。台湾版は「生徒たちが黒板消しを投げる前に声をかけ合う」「周星星が飛んで来る黒板消しに気付く」「威厳を示した老師を周星星が称賛する」などのシーンがある他、流れが少し違っています。以下に台詞を翻訳しました。

★台湾版

(ボードの絵を消す周星星。教室に入って来た老師が生徒たちに向かって言う。)



老  師:生徒の皆さん。ええと…、今日は試験をしましょう。良いですか?



學生們:Yeah,yeah, yeah!! Yeah,yeah, yeah!!

(老師に「はいはいはい!わかったから!」と言うニュアンスの失礼な言い方をする生徒たち。)

帽子哥:死ねよ!家に帰って休んでろ!

(生徒たちは老師に向かって教科書を投げつける。)



(周星星が投げた生徒の顔を見る。)



帽子哥:準備は良いか?

牛仔衣:良いぞ!



帽子哥:Go!!

(「行くぞ!!」の合図で生徒たちは黒板消しを投げる。)



(それに気付いた周星星。)



(周星星は飛んで来た3つの黒板消しを両手と口で受け止めた。)

周星星:くそったれが!

(周星星は叫び、黒板消しを生徒たちに向かって投げ返す。)

周星星:俺の前で黒板消しを投げるだと?俺が黒板消しを投げていた時はな、
     アイスキャンディーが一本、たったの10セントで売られていた頃なんだぞ!

(香港版で「魚のつみれが一串」になっている事から、引き合いに出された商品名に深い意味はなく、
(要約すると「かなり昔から黒板消しを投げていたため、俺は熟練のレベルだ」と言う意味なのだろう。
(日本版は「文句があるなら勝負しろ」と訳し、この無厘頭な面白さに触れていない事が残念である。)



學生們:ああ~、アイヤー!うううっ…。



周星星:あいつらに「授業を始める」と言うんだ。

老  師:ええとっ…、君が言ってください。

周星星:俺が言うだって!?

老  師:ええ。

周星星:あんたこそ、教師みたいじゃないか!あんたの尊厳はどこにあるんだ?
     どうやって生徒に教えるんだよ?あんたが言え!

老  師:授業を始めます。

周星星:大きな声で!

老  師:ああ…、授業を始めます。

周星星:全文を言うんだ!今から授業を始める!今日は…試験だ!

(周星星は机の上にある教科書などを持ち上げ、それを叩き付けながら言う。)

老  師:今から授業を始める!今日は試験だ!…ううっ。

(老師も机の上にある教科書を持ち上げ、それを叩き付けながら言う。)



周星星:うん!

老  師:ハァ…ハァ…。

(親指を立てて、老師を称賛した周星星はドアに向かう。しかし…、)



老  師:…良いですか?

(…また、老師が生徒に対して下手に出たため、周星星が戻って来る。)

周星星:んんっ?

(後ろにいる周星星に気付いた老師は強気に叫ぶ。)

老  師:試験だ!試験だ!

(周星星がドアに向かうと曹達華が現れ、「周星星くん!来なさい!」と言う。)

香港版 台湾版
1 生徒たちが老師に教科書を投げる。 1 生徒たちが老師に教科書を投げる。
2 生徒たちが老師に黒板消しを投げる。 2 絵を消していた周星星が振り向く。
3 絵を消していた周星星が振り向く。 3 生徒たちが声をかけ合う。
4 黒板消しが飛んで来る。 4 生徒たちが老師に黒板消しを投げる。
5 周星星が黒板消しを受け止め、投げ返す。 5 黒板消しが飛んで来た事に気付く周星星。
6 黒板消しを喰らった生徒たちが倒れている。 6 黒板消しが飛んで来る。
7 黒板消しを投げられた周星星が怒る。 7 周星星が黒板消しを受け止め、投げ返す。
8 周星星に言われ、「試験だ!」と叫ぶ老師。 8 黒板消しを投げられた周星星が怒る。
9 「良いですか?」と生徒に下手に出る老師。 9 黒板消しを喰らった生徒たちが倒れている。
- - 10 周星星に言われ、「試験だ!」と叫ぶ老師。
- - 11 周星星は親指を立て、老師を称賛する。
- - 12 「良いですか?」と生徒に下手に出る老師。

まとめると流れは上のようになっています。台湾版では周星星が黒板消しを投げる~怒るまでの間に生徒たちのシーンが挿入されていないため、周星馳の演技を連続して楽しむ事ができます。

黃蓮如が登場せず、周星星は退学に

曹達華に呼ばれた後、香港版は母親に扮した黃蓮如が登場し、拳銃を玩具と信じ込んだ金校長を交えた騒動が続きます。しかし、台湾版は別のテイクが使われており、黃蓮如は登場しません。台湾版を見る前に、まずは香港版を見てみたいと思いますが、香港版はシーンが長く、日本語吹替版の翻訳が原語に比較的近いと言う事もあり、気になった部分のみを紹介したいと思います。
★香港版(4分32秒)



粵語字幕 金校長:私は廟街で潮州料理の屋台を継いだんだ。
日本語字幕 金校長:新しい事業を始めようかと。
日本語吹替 金校長:実は今度、亀ゼリーの店を開くんだ。

原語の「打冷」は「潮州式の屋台料理」の事です。日本語吹替で登場した「亀ゼリー」は關德興が開いた涼茶舗「寶芝林」でも売られていましたが、關德興の「黃飛鴻」で弟子・梁寬を演じた曹達華は吳孟達の役名の元になった役者です。もしや、それを意識した上で出したのでしょうか?実際、この役名は曹達華が刑事役としても有名だと言う事からギャグで使われているだけなのですけど。



粵語字幕 曹達華:お前の母さん!

周星星:お前の母さん!
日本語字幕 曹達華:お前の。

周星星:あんたのだろ。
日本語吹替 曹達華:お前の。

周星星:あんただ。

原語の「你老母!」は罵詈雑言の「屌你老母」(お前の母さんを犯すぞ!)の短縮系です。周星星と曹達華は「お前の母さん」と言い合っているように見えて、密かに罵り合っていると言うギャグです。



粵語字幕 周星星:あのう、Madam!

黃蓮如:何がMadamよ?私の事は母さんと呼びなさい。
日本語字幕 周星星:おばさん?

黃蓮如:"母さん"でしょ。
日本語吹替 周星星:おばさんが?

黃蓮如:"お母さん"よ!…でしょ?

…前述のように「Madam」は警察内での女性上司に対しての敬称ですが、日本版では「おばさん」にした事で上手く流れを作っています。台詞の速さに合わせて考えられたのでしょう。妥当ですね。



粵語字幕 曹達華:私こと曹達華は彼女が于素秋だと最も証明できる資格を持っている。
日本語字幕 曹達華:俺も断言する。ユーさんだ。
日本語吹替 曹達華:俺も断言します。この女はユー・ソーチャウです。

役者の于素秋は成龍など「七小福」の京劇の師匠・于占元の娘です。于素秋は役者の曹達華と共演し、噂になった事もあるため、上記の台詞を吳孟達が演じる曹達華が言うとギャグになります。



粵語字幕 黃蓮如:私こそが砵蘭街167番地のCブロックにある、
     黄色のネオン看板に書かれている青春乙女の巨乳女王なのよ!
日本語字幕 黃蓮如:香港 人気ナンバーワンよ。
     この"伝説の巨乳"を知らない人はいないわ。
日本語吹替 黃蓮如:これでもこの香港で知らない人はいないのよ。
     巨乳のユー・ソーチャウちゃんと言えば、伝説の指名No.1なんだから!

「打冷」に登場した廟街と言い、地名の情報は触れられていませんね。なお、「黃色」は中華圏では「黄色」の他に「ポルノ」を指すため、ここでは夜の世界を強調する意味も含まれているようです。
★台湾版(1分46秒)



周星星:俺に説教とか言うのは、やめてくれ。頼む。俺は非常に気分が悪いんだ。

(曹達華は部屋の外にいる女性職員に声をかける。)

曹達華:陳さん。

陳小姐:はい。

曹達華:すぐに手紙をタイプライターで打ってくれ。
     私はこの生徒を退学させる。これは、ただちに発効する。

陳小姐:わかりました。

(それを聞いた周星星が陳小姐に聞く。)



周星星:ちょっとお尋ねしますが、退学はどの生徒ですか?

陳小姐:あなたですよ!

(周星星は一度、曹達華の方を見てから聞く。)



周星星:…違うでしょう!?

陳小姐:間違いありません!

(部屋に戻り、周星星は曹達華を問い詰める。)



周星星:どうした?あんた狂ったのか!?俺はあんたを手助けしに来たんだぞ。



曹達華:お前が俺を手助けに来ただと?お前は俺を利用しに来たんだろう?
     こんなにも年を食った俺が初めて単独で担当した捜査案件だって事を、
     あきらかに知っているはずだ。二大部署が協力する事は滅多にないんだ。
     逆にお前は混ざって、悶着を起こしている。ひどい目に遭うのはお前だけで十分だ。

(「聞きたくもない」と言う顔をして周星星は帽子を被り、椅子に向かう。)

曹達華:友人が大金持ちになる事を願うべきだろう!自分を何だと思っているんだ?
     俺の上司だとでも?お前は何をやってもダメだ。

周星星:何をやってもダメなのは俺じゃなく、あんただ。俺がいなければ、あんたはできるのか?



曹達華:できるかどうかは俺の事だ!試しもせず、どうしてできないってわかるんだ?
     失敗しても、せいぜい死ぬだけだ。俺は死ぬのが好きなんだよ!



(周星星は無言で曹達華を見る。)

曹達華:胡さん。

(曹達華は部屋の外にいる胡先生に声をかける。)



曹達華:すまないが、この生徒と一緒に教室に戻って、彼に関する物を片付けてくれ。
     それから、彼が本校を離れるのを見届けて欲しい。今後、いかなる時であろうと、
     この生徒が本校に踏み入ったのを見たら、すぐに警察に通報するんだ。

胡先生:はい。



周星星:お互い潜入捜査中だ。あんたが俺を蹴り出すなら、俺は切り札を出すぞ。



曹達華:出せよ!お前の十八番は人を悪の道に引き込む事だからな。
     俺を死なせたいのなら、出せよ!

(周星星は目を下に向け、黙る。)

胡先生:行こう!

(周星星は胡先生の後について部屋を出る。)



(校門で黃小龜たちが手を振って周星星を見送る。)

胡先生:行きなさい!

(胡先生と黃小龜たちが校内に戻ったのを見た周星星は階段を下りる。
(この後、香港版と同じく座り込んだ所に雅伯が電話番号を伝えに来る。)

台湾版で吳孟達が見せる感情に走った演技や周星馳の無言の表現は素晴らしいのですが、笑いに関して言えば、香港版の方が構成的に面白く、葉德嫻と無邪気な史美儀の演技が楽しめます。

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