チャイニーズ・オデッセイ 台湾版+大陸版 ~第三章~

蛤蟆精の祝いの言葉

婚礼前の香香が口元を拭った後、大勢の妖怪たちの前に現れる牛魔王。香港版では豬八戒たちが遠くから至尊寶を呼ぶシーンの後、牛魔王が「本日は2つの祝い事がやって来たと言えるだろう。」と言うシーンになるのですが、大陸版では蛤蟆精と牛魔王のやりとりが17秒ほどあるのです。



蛤蟆精:牛魔王の兄貴!俺は、あなたの妹や義弟の祝いの酒を飲みたくて待っているんですよ!
     俺は髪が白くなるまで待っているんですから。

(蛤蟆精が言う「髪が白くなるまで」は中国の結婚式で新郎新婦にかける祝いの言葉で、
(「共に白髪になるまで添い遂げてください」を意味する「白頭偕老」を暗示させている。)

牛魔王:ははははっ!蛤蟆賢弟、
     俺は、お前が唐三藏を食べる宴である3日後を待ちたくなっていると見たぞ。

(多くの妖怪たちが喜び、笑う。なお、「賢弟」は自分の弟分に対する敬称。)

一見して、ただの催促に思える蛤蟆精の言葉に含まれる意味に中国語の面白味を、そして、蛤蟆精と牛魔王の仲だからこそ、この言い方で通じ合うと言う事を感じるシーンでもあります。ちなみに蛤蟆精の台詞は聞き取った物を訳しているため、表示されている中文字幕とは異なっています。

豬八戒も女性に声をかける

妖怪たちに「昨夜、洛陽の砂漠で美しく花のような姿の女に出会った。地面にうつ伏せで虫の息だったのだ。」と言う牛魔王。香港版では豬八戒たちと合流した至尊寶が豬八戒の「大師兄!じゃあ、どうします?」に「わかってる!そう言う事なんだな。わかってる!」と答えた後、紫霞の姿を目にするシーンになるのですが、大陸版では至尊寶と師弟たちとのやりとりが7秒ほどあるのです。



豬八戒:ああ、師兄!すでに俺は調査しましたよ。

(後ろを通り過ぎた女性に対して豬八戒が声をかける。「師兄」は「兄弟子」の意味。)

豬八戒:…やあ、こんにちは。

(忙しない豬八戒は向きを変えて至尊寶に話しかける。)

豬八戒:ここに師父が閉じ込められているんです。

沙悟淨:師父を調査したんです。

(豬八戒は沙悟淨に向かって言う。)

豬八戒:それは俺がお前に調査をさせたんだ!…ああ、大師兄!今から、どうします?

(「大師兄」は「一番上の兄弟子」の意味。この後、至尊寶が「わかってる!」と言うシーンになる。)

ここでは先ほどまで女の色香に心を奪われた沙悟淨に怒っていた豬八戒の行動に笑いながら突っ込みを入れたくなりますが、唐三藏が幽閉されていると言う情報が登場する事に驚きます。

牛魔王を言葉で惑わす至尊寶

倒れている紫霞を発見した至尊寶。香港版では紫霞を抱えた至尊寶が牛魔王の影を見つけ、屋敷を出て右へ進んだ後、豬八戒たちと合流して走るシーンになるのですが、大陸版では進んだ先で鐵扇公主と牛魔王に挟まれ、至尊寶が言葉でごまかすシーンが1分45秒ほどあるのです。



(気絶している紫霞を抱えた至尊寶は建物の角から現れた鐵扇公主に驚いて声を上げる。)

至尊寶: んんっ!



鐵扇公主: ああっ!約束を破ったと思ったら、やっぱり本当に、この卑しい女と一緒だったのね?

(鐵扇公主は紫霞の様子が、おかしい事に気付く。)

鐵扇公主: …あっ!彼女、どうしたの?

至尊寶: 君のため、すでに俺は彼女を殺したのさ!
何回、彼女を刀で突き刺したと思う?見ても楽しいだろう?

(ウソをつく至尊寶。そして、鐵扇公主は彼の言葉に驚く。)

鐵扇公主: ああっ…!じゃあ、私は、どうすれば良いの?

至尊寶: 君は死体を持って行って、証拠隠滅をするんだ!



牛魔王: 賢弟!

(至尊寶は後ろからした牛魔王の声に振り向く。)

至尊寶: んんっ!



牛魔王: 何をしている?どうして、彼女はこうなったんだ?

至尊寶: どうして?あんたは意外にも俺に「どうして?」って聞くのか?
近くに行って、どうしてかを伝えるよ。



鐵扇公主: ねえ!

至尊寶: おい!どうした?君も来たいのかい?

鐵扇公主: あ…。



至尊寶: じゃあ、君も来いよ!共倒れになろう!早く来るんだ!

鐵扇公主: あ…。ううん…。私、ここで待っています。

(至尊寶の言葉に怖気づく鐵扇公主。)

至尊寶: んんっ…!

(至尊寶は牛魔王に言う。)

至尊寶: あっちだ!

牛魔王: ああ。

(至尊寶は牛魔王と共に角を曲がって移動する。)



至尊寶: まずいぞ!まずいぞ!まずいぞ!あんたの女はカッとなったのさ。
あんたが相手をしなかったから、小刀で自殺をしようとしたと思うんだ。
俺は「普通じゃない」と見て、すぐに阻止しに行った。
さらに俺は彼女に両刀で突き刺されたんだ。すごく運が悪いと思わないか?
でも、あんたの事は俺の事だ。俺たち義兄弟に言葉は要らないだろう?ふう~っ!

(この長いウソの説明を至尊寶は一息で言う。)

牛魔王: おい、お前は、どこを数十ヶ所も突き刺されたんだ?

至尊寶: すべて、尻だ。

牛魔王: 尻か。傷の確認を手伝おう。

至尊寶: 良かった!

牛魔王: どれ。

(牛魔王が至尊寶の尻を見ようとする。)

至尊寶: いやいや!俺の尻の形は美しくないから、
見た後に、あんたの気分が悪くなる事を気にしているんだよ。

牛魔王: どうって事ない!

至尊寶: 何と!あんたは、こんな事も気にしないなんて、本当に俺の義兄弟だよ!

牛魔王: そりゃあ、当然だ!

鐵扇公主: オホン!オホン!オホン!

(待ちきれなくなった鐵扇公主が咳払いをしながら現れ、至尊寶と牛魔王は焦る。)

至尊寶: ああっ!

牛魔王: おいおい!早く彼女を隠してくれ!早く!

至尊寶: また俺が隠すの?

牛魔王: 俺が、どうするってんだ?

至尊寶: 警告するけど、これが最後だからな!

牛魔王: 早く彼女を隠すんだ。


(至尊寶が紫霞を抱いて行くと、牛魔王の後ろに鐵扇公主が来ていた。)

鐵扇公主: ふう…。

牛魔王: ふう…。

鐵扇公主: 彼は本当に偉大ね。

牛魔王: 偉大だ。



(突然、豬八戒や沙悟淨、他の妖怪たちが叫びながら走って来る。)

豬八戒: 助けてくれ!

沙悟淨: 助けてくれ!

豬八戒: 急げ!さもなくば、元の姿に戻ってしまうぞ!

(「元の姿に戻る」とは妖怪が死んだ後、姿を保つ力が切れた事から、
(肉体が原形の動物に戻る事を言っている。そこに下女が走って来る。)



侍婢: 大王様!お嬢様がいなくなりました!

(「お嬢様」とは香香の事。走って来た妖怪たちは香香から逃げたのだが、その理由は、
(この後のシーンにあるように彼女が紫霞を突き刺し、手が血に塗れていたからである。)

牛魔王: ああっ!?

侍婢: 彼女が残した手紙には「あなたは妾を娶るべきではない。」とあります。
彼女は不安なお気持ちになり、今や、新しいお婿様もおりません。
今、お嬢様が、どこへ行ったのかも、わからないのです。

牛魔王: …ふん!



鐵扇公主: ああっ!ちょっと!やっぱり、あんたは、
あの卑しい女を妾にしたがっていたんじゃないの!

牛魔王: 俺も我慢の限界だ!前から俺は、お前と離婚したかったんだよ!ふん!

(牛魔王は鐵扇公主に掴みかかる。なお、これが後に2人が負傷している理由に繋がる。)

鐵扇公主: くっ!

(この後、至尊寶が豬八戒たちと合流して走るシーンになる。)

そして、合流後の豬八戒の言葉は香港版が「師兄!何で女を抱えて走っているんです?」ですが、大陸版はシーンに合わせた「師兄!おばさんに追われているんですか?」になっています。これらは後の展開に繋がる情報が多いため、シーンとしては削除して欲しくありませんでした。

青霞を庇う紫霞であったが…?

芭蕉扇を奪われた鐵扇公主が牛魔王と争っている隙に逃げ出した至尊寶。香港版では紫霞が「走っている姿も格好良いわ。私は本当に幸せなの。」と言った後、至尊寶が崖まで走るシーンになるのですが、大陸版では豬八戒の姿をした青霞と牛魔王が戦うシーンが33秒ほどあるのです。

(牛魔王は鐵扇公主から奪った芭蕉扇を小さくし、自らの口に入れると刺又を構える。そして、
(至尊寶を見ていた紫霞が気付くと、牛魔王が豬八戒の格好をした青霞に攻撃をしかけている。)

牛魔王:イヤァーッ!ハアッ!



青  霞:ああっ!

(牛魔王の刺又で足を払われた青霞は地面に倒れてしまう。)

青  霞:…ううっ!


(刺又を青霞に突き刺そうとする牛魔王。それに気付いた紫霞は飛び出す。)



紫  霞:ヤーッ!

(青霞を庇った紫霞の胸に牛魔王の刺又が刺さる。)

紫  霞:…ああっ!

牛魔王:ああっ!?俺はお前を刺すつもりはなかったんだ!

紫  霞:ええ、気にしないで!わざとじゃないって知っているから。

(刺されているのにも関わらず、にこやかに言う紫霞。)



青  霞:あんたが私を助ける必要があるの?お節介よ!

紫  霞:ごめんなさい!わざとじゃないの!



牛魔王:何だこりゃあ!?豬八戒、お前、どうして、オカマみたいなんだ?

(青霞の声を持つ豬八戒に驚く牛魔王。)



青  霞:あんたの方こそ、オカマっぽいんだよ!どうして彼女には言わないのさ!
     私の、あんたへの攻撃に気をつけな!

牛魔王:俺への攻撃だと?

(この後、至尊寶が崖まで走るシーンになる。)

激しいアクション、姉妹の考え方の違い、後半に繋がる牛魔王が芭蕉扇を飲み込むシーンなどが見れる事が嬉しいのですが、繋がりとしては香港版の方が自然になっているように感じます。

大陸関係の名称は削除対象?

台湾版の後編はエンドロールが始まると、すぐにVCDが終了してしまいます。また、前編にはあるのですが、後編のオープニングからは製作会社の西安電影制片廠と陸樹銘、吳玨瑾の名前が消えているのです。これは政治的な理由により、配慮された結果、エンドロールもないのでしょうか?

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