チャイニーズ・オデッセイ 台湾版+大陸版 ~第一章~

大陸では「大话西游」のタイトルで公開され、北京大学の学生に「戀愛經典」と称されるほどの人気を博した「西遊記第壹佰零壹回之月光寶盒」と「西遊記大結局之仙履奇緣」。これらの台湾版には香港版から削除されたシーンが存在しますが、初期の大陸版ビデオには意外な事に台湾版からも削除されたシーンが存在しているのです。今回はそれらのシーンを見ていきたいと思います。

前編タイトルの登場

香港版 台湾版

タイトルの意味は香港版が「西遊記 第101回 月光寶盒」で、台湾版が「齊天大聖の東遊記」です。原作の古典が全100話だったため、その次の物語と言う事で「第101回」、その後の「月光寶盒」はサブタイトルになります。「齊天大聖」は孫悟空の事ですが、「東遊記」は「西遊記」を未来に進む旅の意味として捉えた場合、本作は過去に戻る話なため、「西」の反対の文字を使ったのでしょう。

投影されない孫悟空

辿り着いた水簾洞で觀音菩薩の声を聞く至尊寶(周星馳)。香港版は流れ落ちる水に孫悟空(周星馳)の姿が映し出されるのですが、台湾版は映像がなく、流れ落ちる水の先が見えるのです。

香港版 台湾版
孫悟空の姿が投影される。 流れ落ちる水の先が見える。

物語の続きは後編で

香港版

500年前に戻り、自分が孫悟空の生まれ変わりだと知った至尊寶。香港版は紫霞(朱茵)が扉を閉めると「この後、どうなるのか知りたければ、後編の最終回をご覧ください。」と表示され、予告(後編の映像)が流れ、前編は終了しますが、台湾版には予告がなく、まだ少し物語が続くのです。

なお、その予告には蛤蟆精(ガマの妖怪)と孔雀の妖怪が戦う未使用シーンが含まれています。

未使用シーン
1.孔雀の妖怪が羽を広げる。 2.飛び上がる蛤蟆精。
3.孔雀の妖怪は体を前に倒し…。 4.羽を飛ばして攻撃をする。

この他、駕籠から顔を出した至尊寶に豬八戒(吳孟達)が話しかけ、示した方向を見ると、そこに拉致を目的とした沙悟淨(江約誠)がおり、至尊寶の頭に袋を被せて来るようなシーンもありました。

最も卑しいのは実は至尊寶?

紫霞から犬の扱いを受ける至尊寶。この後、月が出たため、至尊寶が盤絲洞の外に紫霞(実際は青霞)を呼ぶシーンになるのですが、台湾版では2人の会話が香港版よりも33秒ほど長いのです。まずは先に香港版のシーンを確認した後、編集も違う台湾版のシーンを見てみたいと思います。

★香港版



至尊寶:仙女~!早くしてくれ!月が出て来たぞ!行こう!

青  霞:どこへ行く?

至尊寶:君は行かないのか?行かないなら寶盒を俺にくれ。俺は行く!

青  霞:お前の言う寶盒とは何だ?

至尊寶:俺は明日の夜まで待てないんだよ、言っておくけどさ。早くしてくれよ。
     さらに言うけど、待っていたら、あの卑しい姉さんが、また出て来て、君を害するぞ。

青  霞:卑しい女め!到る所で人に「私が彼女を害している」と言っているんだな!



至尊寶:えっ?

青  霞:私こそが、あの卑しい女の姉だ。お前は私の悪口を言ったな!


(青霞に殴られた至尊寶。この後、彼はテーブルで紫霞から声をかけられて起きる。)

至尊寶の顔がアップになり、青霞の手が彼の顔を殴ると言うシーンは香港版のみにあります。

★台湾版

(青霞の言葉に至尊寶が「えっ?」と驚くまで流れは香港版と同じくなっている。)



青  霞:卑しい女め!到る所で人に「私が彼女を害している」と言っているんだな!

至尊寶:えっ?

(ここからが台湾版にあるシーンとなる。)

青  霞:私こそが、あの卑しい女の姉だ。お前は彼女のデタラメを聞くな!

(青霞は顔をしかめて話を続ける。)



青  霞:卑し~~~~い女め!あの卑しい女は下界で意中の人を探すと言っていた。
     私たちの師の門派を辱めるつもりもあった。…ふん!お前は彼女の探し出した、
     意中の人だろう。なぜなら、お前は彼女と同じように卑しい!

(あっけにとられた顔で話を聞く至尊寶。その後、彼は青霞の真似をして言葉を伸ばす。)



至尊寶:あの卑し~~~~い女は彼女か。
     君こそが、あの卑しい女…と俺が言う、あの卑しい女の姉さんかい?

青  霞:それこそ、この卑しい女だ。



至尊寶:いっ!

(訳がわからなくなり、一瞬、顔を背ける至尊寶。続けて彼は青霞に聞く。)

至尊寶:誰が卑しいか、はっきりと言ってくれるかな?なぜなら、今は皆が卑しいからだ。



青  霞:教えてやる。お前が最も卑しい!

至尊寶:うっ!

(至尊寶は青霞に殴られる。)

このように台湾版は至尊寶の強調したり煙に巻くような面白い言葉が聞けるだけでなく、殴られるシーンも撮り直されているのです。この後、彼はテーブルで紫霞から声をかけられて起きます。

愛のために兄を殺した至尊寶?

別の夜、砂漠で人格が入れ替わって現れた直後の青霞と話す至尊寶。このシーンも台湾版では2人の会話が香港版よりも50秒ほど長いため、以下に香港版と台湾版のシーンを比較してみます。
★香港版



至尊寶:今夜は月光が出なさそうだな。

青  霞:そう?

(至尊寶が青霞の方向を見ると彼女は横になって目を閉じたまま、話をしている。)

青  霞:卑しい女め!私の手からは逃げられないぞ。ふふふふっ!

(驚く至尊寶は青霞が目を開けたため、顔をそらすが、青霞は睨むように彼を見ている。
(なお、台湾版では「手」の比喩である「五指山からは逃げられないぞ。」となっている。)



至尊寶:君の姓は?

青  霞:姓は林。



至尊寶:ああっ…。やはり君は俺の兄貴が言っていた、あの林青霞か。

(「林青霞」は台湾の女優で、ここは「林」に続くのは「青霞」だと言うギャグになる。)

青  霞:お前の兄貴?

至尊寶:昨晩、君に殴られた奴は至尊寶って言うんだ。

青  霞:じゃあ、お前は?

至尊寶:俺は彼の双子の弟で至尊玉って言うんだ。

青  霞:至尊寶に至尊玉?私を騙す気だろう?

至尊寶:ははっ!君は本当に聡明で賢いね。
     実は俺の兄貴の本当の名は秦漢って言うんだ。俺は秦祥林って言う。

(秦漢と秦祥林も台湾の俳優。彼らに女優・林鳳嬌と先ほどの林青霞を加えた4人は台湾で、
(「二秦二林」と呼ばれていた。このギャグのために至尊寶は秦漢たちの名前を出している。)

青  霞:お前は、ここで何をしている?

至尊寶:俺は、すごく君を尊敬しているんだ。

青  霞:お前が私を尊敬している?

至尊寶:尊敬だけじゃなく、君を失う事を、よっぽど恐れているのさ。
     だから、縛って君と一緒なんだ。君に対する俺の愛を受け入れてくれ。
     一緒に遠くへ行かないか?



青  霞:私を愛するのなら、代償を払ってもらう。ふん!

至尊寶:うっ!

(至尊寶は青霞に殴られる。)

この殴る直前の青霞の顔のアップは香港版のみにあります。

★台湾版

(至尊寶が「俺の愛を受け入れてくれ。」と言うまでの流れは香港版と同じくなっている。)



至尊寶:尊敬だけじゃなく、君を失う事を、よっぽど恐れているのさ。
     だから、縛って君と一緒なんだ。君に対する俺の愛を受け入れてくれ。

(ここからが台湾版にあるシーンとなる。)

至尊寶:俺たちは似た者同士だ。

青  霞:なぜ、私たちが似た者同士なんだ?



至尊寶:皆、こんなにも双子を恨んでいる。もし、この世界に君だけ、
     あるいは俺だけなら良いけど、あいにく、どちらの傍にも一人、多いだろう?
     これを、なんて…不衛生だって君は思わないのかい?

青  霞:衛生と何の関係がある?



至尊寶:4人が滅茶苦茶をやる事に、何か衛生さがあるかい?どのみちだ。
     俺の君への愛を伝えるためにさ、すでに俺は俺の兄貴を殺したんだ!

青  霞:殺した?

至尊寶:俺は彼を殺しただけでなく、さらに君の妹も殺すつもりだ!

青  霞:本当に、すべて私のために?

至尊寶:まだ言う必要があるのかい?そうだ、あの月光寶盒は?

青  霞:私の妹を殺した後、私は自然とお前に渡そう。

至尊寶:おおっ…!

青  霞:もし、お前が私を騙そうとしていた事を知れば、
     お前に今の痛みの10倍を与える!

至尊寶:おおっ!君は俺に、すごく良くしてくれるね。
     だけど、俺は今、そんなに痛くないようだけど。

青  霞:当然だ!まだ、私は手を出していない。ふん!



至尊寶:うっ!

(至尊寶は青霞に殴られる。)

台湾版は至尊寶が紫霞に言う「彼女に『君を殺した。』とウソをつく。」に繋がっていたのでした。

砂漠で大の字になる至尊寶

砂漠で青霞に殴られた至尊寶。この後、香港版では翌日、紫霞から紫青寶劍を預かるシーンになるのですが、台湾版では焚き火が映し出され、砂漠で寝転がっていた至尊寶が起き上がる3秒ほどのシーンの後、至尊寶が「出て来いよ!」と青霞を呼び、流星を発見するシーンになるのです。


台湾版のシーンの順番

以下にシーンの流れを表にしました。台湾版は上記で紹介した物以外に觀音菩薩に挑もうとする孫悟空を見た至尊寶が「孫悟空に唐三藏。」と言い、月光寶盒が頭にぶつかった後の唐三藏(羅家英)の映像が挿入され、「誰が話している?」と言う声が聞こえた後にエンドロールとなります。

そして、エンドロールが白文字になっているだけでなく、スタッフ紹介が削られ、主題歌が表示されるあたりから画面に映し出されていました。さらに莫文蔚が歌う「未了情」は前奏のみが聞けます。

香港版(前編) 台湾版(前編) 香港版(後編)
- (これ以前は割愛。) - (これ以前は割愛。) 1 オープニング~
紫霞が二郎神たちと戦う。
1 至尊寶は紫霞と出会い、
自分が孫悟空だと知る。
1 至尊寶は紫霞と出会い、
自分が孫悟空だと知る。
2 至尊寶は紫霞と出会い、
自分が孫悟空だと知る。
2 紫霞が洞窟の扉を閉める。 2 紫霞が洞窟の扉を閉める。 3 紫霞が洞窟の扉を閉める。
- - 3 至尊寶が鏡を踏む~
紫霞にお手をする。
4 至尊寶が鏡を踏む~
紫霞にお手をする。
- - 4 夜に青霞が出て来る。 5 夜に青霞が出て来る。
- - 5 青霞「お前が最も卑しい!」 6 青霞「悪口を言ったな!」
- - 6 至尊寶が殴られる。 7 至尊寶が殴られる。
- - 7 至尊寶が起きる~
その夜に青霞と会話。
8 至尊寶が起きる~
その夜に青霞と会話。
- - 8 青霞「手を出していない。」 9 青霞「代償を払ってもらう。」
- - 9 至尊寶が殴られる。 10 至尊寶が殴られる。
- - - - 11 紫青寶劍を預かる~
日が落ちかけ去る紫霞。
- - 10 焚き火が映し出される。 12 焚き火が映し出される。
- - 11 寝転がる至尊寶。 - -
- - 12 至尊寶が青霞を呼ぶ~
話を終える觀音菩薩。
13 至尊寶が青霞を呼ぶ~
話を終える觀音菩薩。
- - - - 14 觀音菩薩を罵る孫悟空~
唐三藏「脅かすのか?」
- - 13 至尊寶「孫悟空に唐三藏。」 15 至尊寶「孫悟空に唐三藏。」
- - - - 16 孫悟空に話す觀音菩薩~
投げられた月光寶盒が、
唐三藏の頭にぶつかる。
- - 14 唐三藏「誰が話している?」 17 唐三藏「何をしている?」
3 「後編をご覧ください。」と
表示され、予告が流れる。
- - - (これ以後は割愛。)
4 莫文蔚の「未了情」と共に、
赤文字のエンドロール。
15 主題歌の紹介あたりから、
白文字のエンドロール。
「未了情」は前奏のみ。
- -

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