古道烏龍茶(九品芝麻官篇)

タイトル

原題: 古道烏龍茶(九品芝麻官篇)
英語題: Taiwan Gu Dao Brand Wulong Tea
大陸題: 古道乌龙茶(九品芝麻官篇)
邦題: 日本未放送

作品データ

製作会社: 真口味食品企業股份有限公司
台湾放送: 1994年9月
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役名 出演者
包龍星 周星馳(チャウ・シンチー)
老百姓 秦偉(チン・ウェイ)
民女 蔡佳虹(ツァイ・ジャーホン)
女生 坣娜(タン・ナ)

説明

本作は台湾でのみ放送された「古道烏龍茶」のCMです。同年公開の「九品芝麻官」をパロディにした本作は未見ですが、映画と同じく周星馳は名裁判官である包拯(包青天)の子孫・包龍星を演じており、バージョンによっては罪人斬首に使用する虎頭鍘と思える刑具も登場しています。

蔡佳虹のバージョン


民  女:申し上げます、大人(たいじん)!ある者が庶民の女である私をイジメるのです!!

包龍星:大胆不敵な奸民め!白昼堂々、大胆不敵にも、
     良家の婦女をからかうとは。包み隠さず白状しろ!

老百姓:私は彼女を見た後、単に言っただけなんですよ。
     「痩せれるし、よだれが出ると言えるな。全身が心地良くて愉快だ。
     _俺に一生の快適な気持ち良さを楽しませてくれ…。」と。

包龍星:大胆不敵な!!これほどにも明らかな事を言っているだろうが。誰か!酷刑に処せ!

老百姓:冤罪ですよ!大人!私が言っているのは「古道烏龍茶」の事です!

包龍星:はぁ?

民  女:そうですよ!彼はお茶を全部、飲む事で私をイジメたのです。

(全員がズッコケる。)

このCMは動きが激しく、当時の周星馳らしい下品さが面白いと言われているのですが、老百姓の台詞が女性に興奮した様子とも取れるので包龍星の解釈の違いがギャグとなっています。また、これと同じ内容で民女を坣娜(堂娜、唐娜)が演じているバージョンもあるとの噂です。

2006年8月10日に放送された台湾の番組「不可思議的世界」で語る秦偉の話によると、民女役は泣いて登場し、秦偉は問題の台詞をよだれを垂らしながら好色な感じに言ったそうです。他に宣伝用のチラシが存在し、石班瑜が周星馳を吹き替えていたと言う事がわかっています。

坣娜のバージョン


こちらの衣装は映画版と同じ物が採用されています。CMの内容は「証拠品としてか、お茶を調べようとする包龍星の元へ女生がお茶を運ぶと、なぜか周囲の判事たちがひっくり返り、イライラしている感じであった包龍星はお茶を飲んでプハーッと息を吐いて満足する」と言う物だそうです。

これらの画像は「香港グッズ・パラダイス」(辰巳出版)と「香港電影城續集」(小学館)から使用させていただきました。なお、画像を撮った「香港電影城」のスタッフたちが台湾を取材した時期は多分、1995年9月13日頃なのですが、本作の放送開始日が正しいのだとしたら、1年が経っても同じ物が放送されていた事になるので、周星馳の衰えない人気の高さが伺えます。

関連情報

以下に「不可思議的世界」で秦偉が語った、本作の撮影時に起きた不思議な話を紹介します。
当時、周星馳が撮影に来た時、ちょっとした特徴があった。皆は彼がCMを撮るとは思わなかったんだ。少しのメイクもしていなかったし、彼はドーランも塗らなかったんだよ。それから彼はカバンを背負って入って来たんだ。カバンの中には2つの物だけが入ってた。1つは漫画本、もう1つは笛を吹く事ができる「口笛糖」(フエラムネ)だ。

彼は髭も剃っていなかったので、監督が「来たよ。」と言うと彼はすぐに髭を剃った。あの日は不思議だった。なぜなら、彼は大っぴらではなく、あまり話をしない。やって来た後、彼は「大胆不敵な奸民め!」と言って役柄を演じたんだ。監督は彼に「アクション!」と言った。彼は1人で100種類以上を演じたんだ。話し方や態度を変えて「大胆不敵な奸民め!」「大胆不敵な奸民め!」と言い続けた。監督は彼にそんなに多くやれとは言っていなかったんだよ。100種類以上を演じるのはおかしいと思う。でも、その監督はずっと録画してたから、やはり撮ったんだ。録画が終わった後、彼の場面は先に撮れたので、しばらくして彼は仕事を終えた。

彼が来た時、なぜかわからないけど、多くの女優が来たんだ。牛肉のスープや牛肉麺なんかを持ってね。彼女たちが来た理由は、なぜかわからない。なぜか彼だと知っているんだ。それで、私たちは地利の便で彼と一緒に写真を撮った。写真を撮った時は広告会社もついでに撮りたいと思っていたので1枚、撮ったんだ。それで、私が頼んだ助手のガールフレンドも1枚、撮った。助手のガールフレンドが撮った物は私が持っているけど、その広告会社も写真を撮ったんだよ。撮った後で不思議なのは2枚の写真の出来上がりが同じじゃないと言う事なんだ。

写真が出来上がった数日後、彼女には他に撮った物があったと思い、私は広告会社に電話して話したんだ。「君の写真、私に送ってもらえない?」ってね。彼女は「しばらくしてから手に入る事になると思います。」と言うんだ。「なぜ?」と聞くと、「あの助手が自動車による不幸で死んだからです。」と答えたんだ。私が理由を聞くと「どうも気分が悪かったようで、運転中の不注意で死んでしまったようです。」と言っていた。彼が死んで遺物が整理された後、写真は私に送られて来たんだ。

周星馳は演技が止まらず、誰も要求していないのに自分で演じ続けたようですね。なお、出演者の女性たちは口笛糖の事を聞くと「可愛い。小さな子みたいね。」と言って喜んでいました。

さらに同じく2006年に放送した番組「康熙來了」に秦偉が出演した際もCMの話がありました。こちらによるとCMの撮影終了後、皆で周星馳と記念撮影をしたのですが、そばにある中影文化城の軽食店の店主が「私も撮るのを手伝うよ。星爺が大好きなんだ。」と言って写真を撮ってくれたそうです。しかし、現像後に秦偉は不思議な事を発見しました。後ろの屋敷は同じなのに周星馳と秦偉の立ち位置の左右が入れ替わっており、彼の横には足のない骸骨がいるのです。

周星馳と秦偉の正常な記念写真。 店主の写真には横に骸骨が…。

骸骨が撮影道具に見えるため、秦偉は番組でからかわれていましたが、後に彼が写真の代金を払いに中影文化城に行くと、お店には若い人がいたそうです。秦偉が「あれ?あの店主は、この店は自分が開いたと言ってたけど。」と言うと若い人は緊張して「何を言っているんですか?」と返したそうです。秦偉は店主の事を「角刈り頭の少したくましい人」と説明すると若い人は「それは父親です。往生して1年になります。」と答えました。…実は店主は幽霊で、彼の息子が言うには彼は周星馳が非常に好きだったそうです。ちなみに周星馳も広告会社の人も幽霊店主を見たそうです。

これらの判断は各人にお任せしますが、中影文化城には「包公府」と言う蝋人形の包拯がいる裁判所が再現されているため、もしかすると周星馳は包拯の霊に憑依されてしまった…などと考えると怪談としては面白いのかもしれません。なお、記念写真の撮影日は1994年8月13日です。

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