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オープニング曲「功夫」は1966年の映画「砦の29人」(香港題:狄亞伯洛大決鬥/二十九壮士)で使われた「Fight at Diablo Pass」をアレンジした物で、イントロは「ドラゴン怒りの鉄拳」(原題:精武門)で陳真(李小龍)が虹口道場で「中国人は病夫ではない!」と言った後に流れる物と同じです。なお、この曲は周星馳のハミングを作曲家の黃英華がアレンジしました。
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鱷魚幫の老大(馮小剛)を足止めするために二當家(林雪)が斧を投げるシーンはアーノルド・シュワルツェネッガーの映画「ラスト・アクション・ヒーロー」(香港題:幻影英雄)のパロディです。
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阿星がサッカーボールの扱いが上手いのは「少林足球」のセルフ・パロディです。
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住民が住む豚小屋砦こと「豬籠城寨」は文字から九龍城砦こと「九龍城寨」が想像できます。國語では「九龍」(jiu3 long2)と「豬籠」(zhu1
long2、豚の運搬に使う竹の籠)の発音に似ており、また、粵語でも「九」は下等な動物「狗」(犬)と発音が同じで、そこから転じて同じく下等な動物「豬」(豚)が想像しやすくなっています。なお、建物は映画「七十二家房客」のような感じで、周星馳は少年時代に住んでいた所を意識して作ったそうです。
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包租公が齙牙珍(陳凱師)にキスをさせる手口はドラマ「他來自江湖」で何鑫淼(周星馳)が豆豆(劉安琪)にキスをさせる手口と同じです。
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十二路譚腿の咕喱強(行宇)の名前は発音が似ている「苦力強」(肉体労働者の阿強)から来ています。また、董志華が演じる五郎八卦棍の粥麺屋は阿鬼と呼ばれますが、これはお粥に入れる揚げパンの油炸鬼(油條)から来ています。なお、阿鬼は英語字幕ではDonatsでした。
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包租婆が「雨が降るよ!早く家に帰って洗濯物を取り込みな!」の台詞は「西遊記大結局之仙履奇緣」で孫悟空(周星馳)が登場する前に唐三藏(羅家英)が言う台詞のパロディです。
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アイス売りの阿芳は「ドラゴン危機一発」(原題:唐山大兄)に登場するカキ氷屋(苗可秀)を彷彿とさせます。
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化粧中の齙牙珍が聞いていた曲は「莫忘今宵」、包租婆と包租公が踊っている時に流れる曲は「夢中人」です。どちらも1940年代に上海で人気があった女優・龔秋霞の歌です。
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琴の音色で攻撃をする「古琴音波功」は香港の人気SF作家・倪匡の武俠小説「六指琴魔」が元です。また、音を使う攻撃方法は他の武俠小説でも多く登場しています。
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包租婆が使う「獅吼功」は金庸の武俠小説「倚天屠龍記」に登場する金毛獅王が使う技です。これを喰らった天殘(賈康熙)と地殘(馮克安)の服が破れるのは「少林足球」のシュートを喰らう魔鬼隊のゴールキーパーのパロディでしょうか。
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車の中で斧頭幫の琛哥(陳國坤)を脅す包租婆のジェスチャーは「ドラゴンへの道」(原題:猛龍過江)で唐龍(李小龍)がギャングのボスに忠告するシーンのパロディです。
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包租婆の前で理髪師が功夫の型を見せると、なぜか昔の功夫映画のように「ボワッ」と言う、風を切るような効果音が聞こえます。
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阿鬼の台詞に「スパイダーマン」(香港題:蜘蛛俠)のベン・パーカー(クリフ・ロバートソン)が言う「大いなる力には大いなる責任が伴う。」や「アンタッチャブル」(香港題:義膽雄心)のジム・マローン(ショーン・コネリー)が死ぬ間際に言う「What
are you prepared to do?」(打つ手を考えろ)が登場します。
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映画「トップ・ハット」(香港題:禮帽)の看板が登場する事から本作の舞台は1935年以降~40年以前ではないかと考えられます。
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病棟の廊下で阿星が見る、扉から血が大量に流れ込む幻覚はスタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」(香港題:閃靈)のパロディです。
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楊過と小龍女は金庸の「神鵰俠侶」に登場するカップルの名前です。なお、これを含め、映画の中では6つの金庸の武俠小説の名称が登場するため、周星馳は版権使用料として、1つに付き、1万元の合計6万元を金庸に支払いました。その後、2005年1月に金庸はスマトラ島沖地震の被災地に、その6万元を寄付したそうです。
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師爺(田啟文)が「葬式用の釣鐘」と言うシーンは原語では「送鐘」と言っています。「送鐘」は「鐘(=現在は時計を指す)を人に贈る」と言う意味ですが、これは「最期を看取る=死に水を取る」と言う意味の「送終」と同じ発音なため相手への嫌味になります。
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斧頭幫との戦いで阿星は「燃えよドラゴン」(原題:龍爭虎鬥)を中心に李小龍の動きを忠実に再現しています。少ない動きで避ける、足を踏む、後ろからの攻撃への対処などは截拳道の戦法から来ています。また、「精武門」に登場した連続蹴りを繰り出す俯瞰のシーン、顔が見えないシーンは周星馳のスタントダブルをしている陳虎が行っているようです。
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「如來神掌」は香港の漫画などに登場する架空の技です。本作では1964年の映画「如來神掌」シリーズを主に意識しており、阿星が信号機を殴るシーンは1964年版で「如來神掌
第九式」の技を伝授する際、6つの鼎(かなえ)に手型を残すシーンに似た雰囲気を感じます。また、本作の音楽は、ほとんどが1964年版に登場する曲のアレンジでした。また、「龍的傳人」や「新精武門一九九一」、「唐伯虎點秋香」など過去の映画でも「如來神掌」のパロディや名称は登場しますが、「漫畫威龍」では特に1964年版をパロディにしています。
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死にかけている阿星が血文字でキャンディーの形を作るシーンは黃玉郎の漫画版「如來神掌」で張三豐が死ぬ間際に指を噛み切り、血で渦を描く事で「如來神掌
第九式」(佛法無邊)を伝授するシーンのパロディです。
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火雲邪神が使う蛤蟇功は小説「射鵰英雄傳」の西毒・歐陽鋒が使う技です。「大英雄」(原題:射鵰英雄傳之東成西就)では梁朝偉が歐陽鋒の役だったため蛤蟇功を使っています。歐陽の姓は古くから悪役に多いようで、1964年版の映画「如來神掌」でも歐陽豪と言う人物が登場します。また、阿星が蛇に噛まれて唇が腫れるシーンは「東成西就」で唇が腫れる歐陽鋒のパロディなのでしょうか。
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空中に投げ出された阿星は鳥を踏み台するシーンは「射鵰英雄傳」などの神鵰を意識しているのかもしれません。また、1964年版の映画「如來神掌」では金眼兒と言う主人公を助ける神鵰が登場しているため、こちらも関係しているかもしれません。
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阿星の放つ「如來神掌」によって破壊された建物に掌の形が残るシーンは1998年に公開されたローランド・エメリッヒ監督の「GODZILLA」(香港題:哥斯拉)を意識しているようです。
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謎の乞食を演じているのは袁振仁です。「武狀元蘇乞兒」でも同じく乞食の役で登場し、役名が洪日新なので「射鵰英雄傳」の洪七公に関係のある人物と言われていました。「功夫」の乞食も洪日新や洪七公に関係があるのかもしれません。そんな乞食が子供に見せた奥義書は「獨孤九劍」「降龍十八掌」「一陽指」「九陽神功」「千手神拳」です。「獨孤九劍」は「笑傲江湖」、「降龍十八掌」と「一陽指」は「射鵰英雄傳」、「九陽神功」は「倚天屠龍記」と、いずれも金庸の小説に登場する技です。また、「千手神拳」は陳青雲の武俠小説「女血神」に登場し、女優・陳寶珠が1965年に出演した映画のタイトルでも同名の物があるようです。
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本作が大陸への審査を通す際に付けたタイトルは「高手!又見高手」(古龍の小説「飛刀!又見飛刀」のもじり)です。一見、何でもないような人たちの中に実は高手(達人)がいたと言う事や次々と高手たちが登場する事から、このタイトルの方が適しているように思えます。そう考えるとギャグで登場した田を耕すおばさんやマッチョなおじさんたちは先の物語を密かに暗示する役も担っていたと考えられます。
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2015年には公開10周年を記念した「功夫3D」が大陸で公開されました。本作はオリジナル版を3D化して視覚効果を倍増しただけでなく、オープニングとエンディングが異なっているようです。
大陸題: |
功夫3D |
英語題: |
Kung Fu Hustle 3D |
公開: |
2015年1月15日~ |
音声: |
粵語、國語の混在(香港版がベース) |
時間: |
109分(100分説も) |
興行収入: |
25,430,000人民元 |
ちなみに2004年に公開された大陸版は残酷な描写が規制され、流血シーンなどが削除されていますが、「功夫3D」では削除されていないようです。 |