百變星君

タイトル

原題: 百變星君
英語題: Sixty Million Dollar Man
台湾題: 百變金剛
大陸題: 百变金刚
韓国題: 百變星君
홍콩 마스크
ベトナム題: Bách biến tinh quân
Bách biến kim cương
Siêu nhân biến hình
タイ題: คนไม่ธรรมดา ยืดได้หดได้
ロシア題: Операция стоимостью
60 миллионов долларов
ハンガリー題: Terminator 33 1/3
その他: Hundred Changing Star Person
60 Million Dollar Man
$60 Million Man
$60,000,000 Man
邦題: ミラクル・マスクマン 恋の大変身
ミラクルMASKマン 恋の大変身
ミラクルマスクマン

作品データ

監督: 葉偉民
脚本: 王晶
製作: 王晶
製作会社: 永盛娛樂製作有限公司
香港公開: 1995年8月19日~9月27日
興行収入: 35,234,481HKドル
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役名 出演者
李澤星 周星馳(チャウ・シンチー)
蟲蟲 梁詠琪(ジジ・リョン)
廁所達 吳孟達(ン・マンタ)
李一飛 黃一飛(ウォン・ヤッフェイ)
姜司 徐錦江(チョイ・ガムコン)
Bonnie 孫佳君(ポーリン・スン)

説明

本作は漫画的なCGと無厘頭さを融合したコメディで、内容は爆死した嫌味な男がサイボーグ化し、教師として活躍すると言う物です。アクの強いギャグに押され気味ですが、親子の絆や主人公の成長を前向きに描いている所に周星馳が演出にも多くのアイディアを出した事が伺えます。

情報

オープニングの曲はバリー・マニロウの「コパカバーナ」(Copacabana(At The Copa))です。

周星馳の役名・李澤星は香港の大富豪である李嘉誠の息子・李澤鉅と李澤楷のパロディです。

李健仁の役名・王小虎は香港の漫画「龍虎門」に登場する人物の名前です。

徐錦江の役名・姜司は「キョンシー」(殭屍)と同じ発音です。

李澤星は研究室で懐中電灯を振り回す時やステージで鞭を振る時に李小龍のような怪鳥音を出します。また、台湾版ではアメリカン・フットボールの選手の格好をした李澤星がヤクザを倒す時や変身能力を得る前の李澤星を蹴る女学生も飛びかかる時に怪鳥音を出します。

研究室の「手」は「アダムス・ファミリー」(香港題:阿達姆斯家庭)のキャラクターのパロディです。

台湾版では母親(朱咪咪)に対し、李澤星は「歐巴桑」(おばさん)と呼びかけています。

李澤星とBonnieのデートのシーンは「パルプ・フィクション」(香港題:低俗小說)のパロディです。

デートの時にBonnieが言う「7 Tequila」はテキーラにセブン・アップ(炭酸飲料)を加えたカクテルの事ではなく、テキーラ7杯の意味なので、一人で7杯を飲む事になります。

Bonnieが言う「彼は本当にODなのよ。」のODとは大量服薬を意味するOver Doseの略称です。

李一飛のあだ名は「台山湯告魯斯」(台山市のトム・クルーズ)ですが、台湾版では「三重劉德華」です。これには「三重區の劉德華」「劉德華の3倍も格好良い」と言う2つの意味があります。

「萬」と香港ドルを表す単位の「蚊」が同じ発音なため、これをかけた以下のようなギャグが登場します。なお、舞台はハワイなため、ここでの「萬」は香港ドルではなく米ドルを指しています。

李澤星:二百萬(約2億3000万円)くれたら、俺はそいつを父親と認める。

廁所達:二百蚊(約3000円)なら俺はある。

李澤星:二百萬(約2億3000万円)だよ。

また、李澤星の手術費用が六千萬(約70億円)だと聞かされた廁所達が言う「六千萬(約70億円)は俺にはないよ、息子。六千蚊(約9万円)ならあるが。」も発音をかけています。

「粵語殘片によると、父親がひざまずくと息子はめまいがする。」と母親は説明しますが、「粵語殘片」とは1950~60年代の広東語の白黒映画の事です。本来は「粵語長片」と呼ぶのですが、「粵語殘片」と言う呼び方は作品が古臭いと言う、からかいの意味が含まれています。

教会への行き帰りのシーンは「恋する惑星」(原題:重慶森林)のパロディにも思えます。

ヤクザを避けるために偽の葬式を出すのは李小龍の「死亡遊戯」(原題:死亡遊戲)から来ているのでしょうか。同じく扉に書かれた「犬とネズミは入るべからず」(狗與老鼠不得內進)や「美男子は入るべからず」(美男子不得內進)も李小龍の「ドラゴン怒りの鉄拳」(原題:精武門)で登場する「犬と中国人は入るべからず」(狗與華人不得內進)の看板から来ているのかもしれません。

さらし者となった李澤星の顔にある「門」と「小」の文字は「犯す」と言う意味を持つ「門構えに小」の文字を暗示しています。

チップを組み込まれた時の李澤星のポーズは「サタデー・ナイト・フィーバー」(香港題:週末夜狂熱)のパロディです。そして、その時に流れる音楽はアニメ「ドラゴンボールZ」(香港題:龍珠Z)の主題歌「CHALA-HEAD-CHALA」です。

パワーアップした李澤星は72種類の家電に変身する事ができますが、この「72」と言う数字は「西遊記」の孫悟空が須菩提祖師から習った「七十二変化の術」から来ているようです。

竜巻状態で変身するシーンはジム・キャリー(香港名:占・基利)の映画「マスク」(香港題:變相怪傑)のパロディです。なお、この当時の周星馳は「香港のジム・キャリー」と呼ばれていました。

李澤星が変身する「西人牙膏」は台湾製の歯磨き粉「黑人牙膏」のパロディです。歯磨き粉を使おうとする黒人に対して言う李澤星の無厘頭な台詞を下に翻訳してみました。
李澤星:これは「西洋人の歯磨き粉」(西人牙膏)だ。
     お前は黒人だから「黒人の歯磨き粉」(黑人牙膏)を使え。

黑  人:俺も西洋人だぞ。

李澤星:お前は「西洋の黒人」(西黑人)だ。座ってろ!


試験問題の「明の開祖は誰?」の選択肢はA:朱元璋、B:朱油糕、C:朱茵ですが、Bは発音が同じ中華菓子の「豬油糕」から来ており、Cは女優の名前です。

会議室で李澤星は「実は私は…『未來戰士』(ターミネーター)のパート3なのです。」と言いますが、その後、李澤星に驚いて救急車へと運ばれる校長たちは「『侏羅紀』(ジュラシック・パーク)のパート4だ!」「『大白鯊』(ジョーズ)のパート5だ!」など色々な映画のタイトルを出しています。

体育のバレーボールで李澤星がハート型のボールを作り出すのはアニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」(香港題:百變狸貓)のパロディです。

最後に李澤星が変身する黃老太は1993年に陳鄭秀鸞が演じた「百佳 Park'n Shop」のCMキャラクターのパロディです。「百佳」の女社長・黃老太は李澤星と同じ格好と表情でスーパーの中を歩き回り、良い商品=合格な物には「○」を、悪い商品=不合格な物には「×」のスタンプを押すと言う厳しい存在なので、スーパーの中で最も恐ろしいと言うギャグになっています。なお、台湾では楊婆婆と訳されていますが、これはバラエティ番組「鑽石舞台」の中で陽帆が志村けん氏の持ちネタである「ひとみばあさん」をパロディにした「陽婆婆」から来ています。

本作の英語題「Sixty Million Dollar Man」は事故で傷を負った主人公が600万ドルで改造手術をし、サイボーグとなる1970年代の米国ドラマ「600万ドルの男」(原題:The Six Million Dollar Man)から来ています。そして、このドラマの香港題は「無敵金剛」なため、ここから台湾題の「百變金剛」が来ているようです。なお、本作の原題は「百変化のいたずらっ子」のような意味です。

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