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本作は古典「西遊記」から人物や地名などの設定を借りていますが、原題にある「第壹佰零壹回」(第101回)が示すように全100話の原作の次の外伝物語と言う事になっています。
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唐三藏を演じる羅家英は觀音菩薩に対し、「觀音姐姐」(観音姉さん)と馴れ馴れしく呼びかける所が笑えますが、敬称を付けるとした場合、本来は「觀音大士」(觀音大使)と呼ぶようです。
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徳のある唐三藏の肉を妖怪が食べると不老不死になると言う設定は原作と同じですが、女妖怪たちが彼を狙う理由は不老不死の他に彼と交わると来世は神仙に生まれ変われるからです。
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王家衛のインタビューによると本作の最初の15分は実は「楽園の瑕」(原題:東邪西毒)のボツにしたシナリオ原稿だそうで、劉鎮偉がそれを本作に採用したようです。この15分とは春三十娘が砂漠を旅し、山賊の住処に辿り着いた後、強さを見せ付け、湯浴みをするまでのシーンの事でしょう。ちなみに山賊が春三十娘の湯浴み中に襲いかかるシーンは古龍の小説「蕭十一郎」のパロディらしく、「春三十娘」の名前も同小説に登場する「風四娘」の名前のパロディのようです。
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周星馳が演じる至尊寶(日本語字幕では「チー・チンポウ」。)は直訳では「この世で最も尊い宝」の意味ですが、至尊寶は「天九」(別名:牌九)で一番、強い「最高の役」です。英語字幕で至尊寶が「Joker」と訳されるのは、それがトランプ・ゲームでの「最高の役」で「無敵」な物だからです。
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至尊寶が喰らった「崑崙三聖の七傷拳」は小説「倚天屠龍記」に登場する金毛獅王の技です。
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逆立ちした至尊寶を蜘蛛精と勘違いした二當家が飛び蹴りをする際、彼は「gaat6 jaat2」と叫びますが、これは「曱甴」(ゴキブリ)の事で李小龍の怪鳥音である「アチャー!」とかけています。
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肩に寄りかかって来る盲炳(江約誠)に至尊寶が文句を言う際、なぜか國語を使っています。
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夢の中で觀音菩薩に「また、水簾洞に戻って来たのですね。」と言われた至尊寶は「俺の家は五獄山第四邊第101號地下だ。」と言いますが、この番地まである住所が現代的です。ちなみに香港は階数の数え方がイギリス式なため、香港で言う「地下」は日本で言う「1階」に当たります。
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広東語で葡萄(ぶどう)の事である「菩提子」と似た発音の「菩提老祖」との会話中、聞き取りを間違えた至尊寶は「何が『唔提老母』だって?」と平然と言いますが、「唔提老母」は「老母(母親を罵る言葉)の話題は取り上げるな」の意味です。その後も至尊寶は「老母」を連呼しています。
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「乾坤袋」の縄を噛み切った犬の名前が旺財と言う事で、「唐伯虎點秋香」の不幸合戦中に死んだ男の飼い犬を思い出しますが、旺財と言う犬の名前は縁起が良いため香港に多いそうです。
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春三十娘が使った「黑寡婦」の技は猛毒を持つ「黑寡婦蜘蛛」(クロゴケグモ)から来ています。
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至尊寶が白晶晶の自殺を止めるために何度も「月光寶盒」で時間を戻すシーンは王家衛が脚本を書いた「ファンタジー・フォックス・ストーリー」(原題:小狐仙)で羅拔仔(陳勳奇)の交通事故死を防ごうと小狐仙(倪淑君)が何度も時間を戻すシーンをヒントに劉鎮偉が本作に採用したように思えます。ただ、元は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(香港題:回到未來)からでしょうか。
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盤絲洞の扉の開閉時に必要な合言葉「芝麻開門」「芝麻閂門」(「開けゴマ」「閉じよゴマ」)は「アラビアン・ナイト」の「アリババと40人の盗賊」に登場する呪文「Open
Sesame」から来ています。
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台湾版では面白味を出すため、至尊寶が時々、英語を使います。死んだはずの盲炳が生きていた事を知った際には「I服了you」と言ったり、春三十娘を洞窟に閉じ込めようとする前に「Good
Bye」と言ったり、白晶晶の誤解を解く際に「Look」と言ったりするのです。また、白晶晶の自殺を止めるシーンでは訛りのある日本語で「冗談じゃない!」「ちょっと待って!」と言っていました。
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また、台湾版は孔雀の妖怪が登場する未使用シーンが含まれた予告編がなく、映画は孫悟空が觀音菩薩に罰せられそうになった所を至尊寶が見るシーンまで進んだ後、終わっています。 |