破壞之王

タイトル

原題: 破壞之王
英語題: Love on Delivery
台湾題: 破壞之王
大陸題: 破坏之王
无敌风火轮
外卖小子
破坏王
破坏专家
古拳决战空手道
韓国題: 破壞之王
파괴지왕
ベトナム題: Vua phá hoại
Phá hoại chi vương
タイ題: โลกบอกว่าข้าต้องใหญ่
ロシア題: Доставка любви
その他: King of Destruction
Destroyer King
Love of Delivery
邦題: 最強の出前人

作品データ

監督: 李力持
脚本: 谷德昭
製作: 方逸華
製作会社: 大都會電影製作有限公司
香港公開: 1994年2月3日~3月2日
興行収入: 36,906,730HKドル
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役名 出演者
何金銀 周星馳(チャウ・シンチー)
阿麗 鍾麗緹(クリスティ・チョン)
魔鬼筋肉人 吳孟達(ン・マンタ)
黑熊 鄭祖(ジョー・チェン)
大師兄 林國斌(ベン・ラム)
伙記 古巨基(レオ・クー)

説明

本作はクレジットなしで周星馳が監督した作品です。内容は気弱な青年が恋した女性のために怪しい特訓後に空手部の主将と対決すると言う物で、恋愛部分には重点が置かれず、アクションに漫画的な雰囲気を混ぜている所とシーンの中に主人公の哀愁が感じられる演出が特徴的です。

情報

本作は村田ひでお氏が原作、刃森尊氏が漫画を描いた「破壊王ノリタカ!」(香港題:破壞王)を実写化しています。製作側は作者に許可を得ているようですが、公への正式な発表はしていないようです。以下に原作との比較をしてみました。

1. 原作の主人公・沢村典隆は第1話では高校1年生ですが、何金銀は学生ではありません。

2. 阿麗が柔道部の所属と言う設定は原作のヒロイン・中山美樹が柔道を過去にやっていたと言う所から来ています。また、髪型と体型の面から見ると鍾麗緹は中山に似ています。

3. 何金銀が黑熊のパンチを怖がり、避けて阿麗にケガをさせてしまうシーンは、沢村が飛んで来た野球のボールを怖がり、避けて中山の顔面にぶつけてしまう所から来ています。

4. 何金銀が阿麗を張學友のコンサートに誘うシーンは、沢村が中山の好きな「マルコシアス・バンプ」のコンサートへ誘う所から来ています。

5. 夜、何金銀が阿麗の自宅の部屋の窓から謝るシーンは原作にもありますが、こちらは沢村が試合をする決心に繋がるシーンとなっており、中山の「弱い人は嫌いなの。」の台詞はありません。この台詞は原作でも登場しますが、こちらは別の場面で言われています。

6. 何金銀が「その娘を放せ!」と言って、阿麗を守ろうとするシーンは原作にもありますが、沢村は何金銀のようにガーフィールド(香港名:卡飛貓)の被り物で顔を隠していません。

7. 「地獄式死亡特訓」で何金銀は特訓をせずに遊んでいますが、原作でも一見、ふざけているように思わせたり、奇妙な特訓で相手を油断させたり、本人も知らぬ間にトレーニングになっていたと言う手法が何度も登場しています。

全18巻に目を通した後では他にも何となく似ていると思える場面などもあるように思えます。作者は当時のCMやアイドル、スポーツ選手までも漫画でパロディ化させているので、時事ネタを入れる周星馳と共通する所があるようです。

冒頭で黑熊が使う、相手を浮かせてから前方に投げ、空中で相手の手を持ち、さらに投げる「排山倒海」の技はドラマ「柔道一直線」(香港題:柔道小金剛)に登場する「二段投げ」らしく、また、何金銀の使う「無敵風火輪」は「地獄車」の事です。冒頭の夕日の場面や一部の演出など、ドラマを意識している部分が多いと聞いています。ちなみに「女淫地獄絵巻」(原題:滿清十大酷刑)では「無敵風火輪」と言う性技が登場し、こちらは男女が重なってゴロゴロと転がっています。

監督の李力持が本作では2役を演じているのですが、前半では女性柔道部員の役で登場しています。そして逆にオカマ役で有名な李健仁が今回は李力持と入れ替えたのか、珍しく男性の役でした。さらに台湾版では李健仁が日本語で「スゴイヨー!」と褒め称える台詞があります。

何金銀が裸でうずくまっているシーンは「ターミネーター」(香港題:未來戰士)のパロディです。

食べ物の中に入っているハエに向かって何金銀が叫ぶ「咦?小強!」の台詞は「唐伯虎點秋香」のセルフ・パロディです。

出前時、自転車の後ろに人が付いているのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(香港題:回到未來)のパロディでしょうか。

張學友が本人役で特別出演していますが、残念ながら周星馳とは別の場所で撮影しています。

デートの時、颯爽とガードレールを何金銀が飛び越えた後、車が通り過ぎたらズッコケていたと言う演出は翌年(1995年)、「チャイナ・ドラゴン」(原題:中國龍)でパロディ化されていました。

吳孟達が演じる店主のあだ名「魔鬼筋肉人」は、ゆでたまご氏の漫画「キン肉マン」(香港題:筋肉人)から来ているようです。また、彼の言う「食夜粥」(夜、お粥を食べる)は広東語では「學功夫」(武術を学ぶ)と言う意味になります。

魔鬼筋肉人は李小龍とは兄弟弟子で、成龍とも仲が良いようですが、見せる写真は合成です。なお、「燃えよドラゴン」(原題:龍爭虎鬥)のポスターなどが彼の部屋に飾ってあります。

魔鬼筋肉人の功夫の中に「片腕カンフー対空とぶギロチン」(原題:獨臂拳王大破血滴子)にも登場した「血滴子」の扱い方があり、ヨーヨーを使っています。「血滴子」は明朝末期~清朝初めに存在し、雍正帝が抱える暗殺者の集団と言う話と斬首用武器の名称と言う話があります。

魔鬼筋肉人の言う「電光毒龍鑽」は黃玉郎の漫画「龍虎門」に登場する技のようです。さらに「十字電光」は「ウルトラマン」(香港名:鹹蛋超人)が使う「スペシウム光線」の事です。「鹹蛋」は塩漬のアヒルの卵で、ウルトラマンの目が卵に似ているため付けられたと聞きます。

ポルノ雑誌にまぎれて置いてある本は小説「射鵰英雄傳」に出てくる秘伝書「九陰真經」です。

何金銀が阿麗に殺される事を想像するシーンは鳩が飛び、接近して銃を何度も撃つ事から、どうしても吳宇森の「狼 男たちの挽歌・最終章」(原題:喋血雙雄)を思い出してしまいます。

受付嬢の「ごろつきね!」に魔鬼筋肉人は「何が『胸がない』だ?」と聞き返しますが、「ごろつき」の意味の「無賴」を魔鬼筋肉人は「胸がない」の意味で同音の「無奶」と聞き間違えています。

テレビ局の番組「歡樂今晩」はTVBの番組「歡樂今宵」のパロディです。

大師兄がアイドルだと言う「幪面超人」は「仮面ライダー」の事です。

試合前の何金銀の部屋にあるポスターはTVBの電視電影「越柙飛龍II 虎穴潛龍」の物です。

試合の解説者は進まない戦いの中、金庸の小説「倚天屠龍記」を朗読するため、張無忌や金毛獅王、小説に登場する技である「七傷拳」「乾坤大挪移」などが登場します。その後は「金瓶梅」の濡れ場まで朗読していました。他、試合中に何金銀が敵に抱きつくような技は台詞にあるように「鹿鼎記の中の金蛇纏絲手」です。こちらは周星馳の映画版の事を指しているようです。

試合の途中で入るCMは鄭少秋の「位元堂養陰丸」のCMのパロディです。

大師兄の股を足で開いて体勢を崩させ、後ろから尻を何度も叩くなどの攻撃方法は「ヤング・マスター 師弟出馬」(原題:師弟出馬)にある阿龍(成龍)と金腳帶(黃仁植)の戦いのパロディです。

エンドロールで聞ける吳國敬の「妳是我心上人」は「恋人も濡れる街角」のカバー曲です。

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