タイトル
作品データ
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本作は駆け落ちし、香港で新しく生活を始めた若い夫婦の心の変遷を描いた恋愛映画です。素朴な青年を演じる周星馳は自然な演技が魅力的で、大会社で出世した後も細かな心理を表情や仕草で表現しています。ほとんどコメディ演技はありませんが、生活での真の豊かさや家族・周囲の人物の温かさも描き、ロマンチックで感動的なラストまでシリアスさを堪能できる作品と言えます。 |
★ | タイトルの「望夫成龍」は息子の立身出世を願った言葉「望子成龍」のもじりです。また、発見はできませんでしたが、1960年代に同名の映画が製作されたらしく、本作で九叔を演じている胡楓が夫(周星馳)の役を、胡楓と共演回数が多い吳君麗が妻(吳君如)の役を演じているようです。 |
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★ | 石金水の就職先を選り好みする吳帶娣に呆れた職業安定所の職員が、デザイナーの仕事は「青山精神病院」(青山醫院)にあると適当に説明する際、梅艷芳やシェークスピア、バットマン(香港名:蝙蝠俠)に中国戦国時代の楚の政治家であり詩人の屈原の名前を出しています。 |
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★ | ゲームセンターの床の掃除をする吳帶娣の様子が映る前に画面に登場するゲームはビデオシステムが開発した「SUPER Volley ball」(1989年)です。また、石金水がプレイしているシューティングゲームはセイブ開発の「雷電」(日本での稼働は本作の公開後の1990年4月)のようです。 |
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★ | 夫の出世を願うからこそ苦労していると言う吳帶娣の気持ちを知った石金水が謝る際、意識せず「もう自慰はしないよ。」(我以後唔打飛機)と言った事で吳帶娣が不思議そうに聞き返すシーンがあります。「打飛機」は「銃弾で飛行機を撃ち落とす」の意味ですが、広東語の俗語では転じて男性の自慰行為の意味になります。前述の「雷電」が戦闘用の飛行機を操作するゲームなため、石金水は「もう(敵の)飛行機を撃ち落とすゲームはしない。」(我以後唔打飛機嘅遊戲)と言うつもりでしたが、言葉足らずで結果的に「自慰はしない」と言うボケになってしまったようです。 國語版では、この直前に石金水が「企業へ応募書類を送付する」と言う意味で言った「打信」(手紙を出す)を使う事で勘違いのギャグが強化されています。以下に該当部分を翻訳しました。 石金水:すぐに家に帰って、手紙を出すよ。もう二度と銃弾を出さないから。 (我馬上回家去打信。以後再也不打炮了。) 吳帶娣:何ですって?(甚麼?) (石金水は「ゲームの飛行機の銃弾を出さない」、つまり「ゲームをしない」の意味で言ったが、 (吳帶娣は、それを「自慰行為による射精」の意味と勘違いしたため、驚いて聞き直す。) 石金水:僕は、もう二度と銃弾を出さないから。(我以後再也不打炮了。) 吳帶娣:まさか今、出していたの?(難道你現在打?) 石金水:違うよ。家に帰ってから出すよ。(不是。回家去打。) (吳帶娣は「自慰行為」と勘違いしたままだが、石金水はゲームの話に関した「出す」は、 (終わった物と思い込み、彼女の言う「出す」を最初の手紙の話と捉えて、答えている。) |
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★ | 黎彼得が演じる黎經理の会社「家樹珠寶公司」は本作の監督の名前・梁家樹から来ています。 |
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★ | 吳帶娣がホステスをしていた事に腹を立てた石金水をなだめる九叔の話に宋朝時代の詩人・柳永と妓女の李施施(李師師)の名前が登場します。この他、一緒に麻雀をした人物に武将の岳飛の名前が出ており、当時を知る理由として「秦の始皇帝が日本で不老長寿の薬を探した時、つまみ食いしたため(長生きして時代を見て来た)。」と冗談で締め括っていました。 |
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★ | 本作は1990年2月24日から台湾で公開されましたが、國語の吹き替えでは周星馳の広東語の言い回しの良さが伝わらず、たった3日間で上映が打ち切りになっています。さらに興行収入も63,810台湾ドルと周星馳作品の中では最低を記録しました。 |