ちょっとサッカー2014W杯テレビ観戦記

ここではサッカーの発展を願って、我輩の言いたい放題を、日記に書き綴ったものを集めています。

2014年ワールドカップサッカー、ブラジル大会の日本を占ってみたが、実際に試合をテレビ観戦してどんな感想を持ったか、日記に綴ったものを転載した。

2014年6月19日

 

2014年

6月15日(日)

 ワールドカップサッカー、日本対コートジボワール戦が行われた。大会が始まる前に予選リーグを予想し、日本は本田選手が足かせになって予選突破は難しいとした。今日の試合は正に予言通りとなり、2対1で敗戦した。

 日本の1点は前半早々、本田選手があげたもので、テレビでは本田選手を高く評価して、失点はディフェンスの問題かのような報道だった。たまたま見ていた夜のNHKスポーツ番組で、元日本代表監督を務めたトルシエ氏のコメントが紹介され、本田選手、香川選手の出来の悪さを酷評していた。本田選手対して日本では報道統制されているようで、批判的な論調は一切されない。トルシエ氏には何の利害も無く、過去の経過(代表監督時に酷評を受けた)から言いたいことが言えて、サッカーを知っている者ならだれでも見て分かることを、正直にコメントしたというところである。ザッケローニ監督も分かっているはずで、ただ、依頼主から特別扱いを任じられていると思われ、本田選手を替えたくても替えられないのではなかろうか。どことの試合だったか忘れたが、テストマッチで本田選手が全く機能せず、ザッケローニ監督が本田選手に激怒している場面を見たことがある。

 日本は攻撃サッカーを掲げ、ディフェンスも機を見て攻撃に加わり、全体的に前がかりになっている。その前提として、トップ下でボールをキープすることが求められ、前線で簡単にボールを奪わると慌ててしまい、守備体型が崩れてしまう。長友選手は攻撃的なサイドバックで、何度も前線に駆け上がり、攻撃の基点となっている。本田選手と朋友関係にあり、いいとこ取りに多大な貢献をしている。今日の試合では、肝心の守備面では全く機能せず、2失点はいずれも長友選手のポジションに位置する右サイドからのセンタリングで、センタリングをあげられる前に芽を摘むと言う、攻撃サッカーの鉄則が踏みにじられていた。

 一番問題になるのは、本田選手の体力はせいぜい30分で、後半になると全く動けなくなってしまうことである。本田選手に出されたパスはことごとく奪われてしまい、決定的になるはずのパスはことごとく乱れてしまった。簡単にボールを奪われてしまうと、ディフェンスから駆けあがろうとしても途中で引き返すことになり、徒労が何度も繰り返されてスタミナが奪われるとともに、集中力も途切れて、ディフェンスが甘くなる。トップ下の岡崎選手や香川選手もディフェンスに時間を要し、攻撃に加わることができなくなってしまう。正に連動で、本田選手のミスがチーム全体に連動して、チームはガタガタになってしまった。

 チームの要となるポジションにいいとこ取りの本田選手を置いたために、日本の目指すサッカー(チームワーク)が全く機能しないのである。サッカーを知るものなら当然分かっているはずで、予選敗退になれば、J体制に対して、責任問題が浮上するのではなかろうか。

 

6月18日(水)

 ワールドカップサッカー、各国の試合を垣間見て、幾つかの印象的だったことを話してみたい。一つは、アルゼンチンのメッシュ選手のことである。ポルトガルのロナウド選手とともに世界1、2位を争い、数多くスーパープレーを披露してきた。6月16日に行われたアルゼンチン対ボスニアは2対1でアルゼンチンが勝利した。決勝点をたたき出したのはメッシ選手で前回大会では0点で終わったので面目躍如である。

 試合の流れを見るに、前半はメッシュ選手の活躍の場が少なく、後半にフォーメーションが変わって、アルゼンチンはメッシュ選手を意識的に生かすようになり、メッシュ選手は能力を発揮して、華麗なプレーで得点した。個人の力ではいかんともし難かったのが、チームプレーで勝利を摘んだと言っても過言ではない。

 ロナウド選手のポルトガルはドイツに0対4で大敗した。サッカー選手最大の年俸を取るロナウド選手だが、ほとんど見せ場が作れずに、大敗に呆然としていた。全部を見ていたわけではないので勝敗を分けた要因が何だったかは論評できないが、ドイツの組織プレーがポルトガルを圧倒したと、想像が付く。

 メッシュ選手、ロナウド選手が果たして「個人の力」と言ったかどうかは分からないが、二人ともサッカーに関しては、個人の力などたかが知れていると、実感しているのではなかろうか。今、売り出し中のブラジル、レイマール選手は初戦で得点したものの、2戦目メキシコ戦では得点ができず、0対0の引き分けとなった。おそらく、ネイマール選手も慢心を捨てたのではないか。

 世界の大スター選手ですら、「個人の力」などと豪語はできないはずで、力の衰えが甚だしく、高が知れた日本選手が「個人の力」と平然と言ってのける傲慢さは、国を代表する選手とするのは許し難い。日本人特有の献身的なプレーは、チームプレーの極致にまで高められる要素であり、世界トップレベルのチームにまで引き上げられると、信じてやまない。

 日本がワールドカップに出場するのは今回で5度目であり、いずれも力が発揮しきれずに敗退した。16年前(1998年)は岡田さんが監督となり、初めての出場となった。代表選考にあたって、チームプレーにはマッチしないとのことで、三浦和義選手を選ばなかったことで話題になり、ある新聞社の野望を打ち砕く結果となった。日本チームは今と同じで、攻撃は最大の防御というチームとなり、サイドバックからの駆け上がりが信条の、言わば、当時鹿島アントラーズに所属していた、ジーコ譲りの攻撃サッカーだった。世界に名乗りを上げるのに相応しいチーム作りだった。いざワールドカップとなったら、岡田監督は顔が硬直し、今まで培ってきた攻撃サッカーを、守りのサッカーに塗り替えてしまった。攻撃イコール防御の鉄則を踏み外したために防戦一方となり、元ジュビロの中山選手が1点取っただけで予選敗退となった。

 12年前(2002年)のワールドカップは日韓共同開催で、日本は初めて決勝進出を果たした。その時の監督がトルシエさんで、フラットスリーなる、トルシエイズムが売り物のチーム作りが行われた。当時、中田英寿選手が全盛で、ゲームメーカーとして卓越したテクニックを持っていて、監督不在でもチームワークを作れ、予選は選手間で話し合って試合に臨み、見事勝ち進んだ。トルシエさんのフラットスリーを無視した、日本人向きの戦いが功を奏したと言える。ところが、決勝トーナメントに入ると、トルシエさんのメンツもあり、無理やりフラットスリーに戻されて、ベスト8で退き、一方の開催国である、韓国はベスト4となった。

 8年前(2006年)はジーコさんが監督になり、Jリーグ発足時に我輩は鹿島アントラーズファンで、選手の力を発揮させてくれると、大いに喜んだものである。ところが、予選から試合を見ているうちに、ちょっとおかしい、と感じるようになった。代表選手の合同練習時間が少なかった所為もあって、チーム作りの意図が感じられず、ブラジルから日本に帰化した、当時レッズ?にいたサントス選手を優先起用するのだけが目立った。サントス選手は左サイドバックで、前線への駆け上がりを売り物にして、大いに目立っていたが、得点に絡むことはほとんどなく、本業のディフェンスに戻ると、ざる状態で、常にもう一人バックアップに付かざるを得なかった。ジーコ監督は、本当だったら中盤か、前線に配置したかったようだが、遥かに能力の高い選手が鎮座していたので、無理やりサイドバックに配置した。本戦になると、相手チームは研究してきて、サントス選手側から攻撃を仕掛け、日本チームは防御中心の戦いを強いられた。ジーコ譲りのはずの攻撃的サッカーは日の目を見ずに終わってしまった。

 4年前(2010年)はボスニア・ヘルシェゴビナのオシムさんが監督になったが、途中病気で交代となり、岡田さんが後を継いで返り咲く形となった。1998年大会の教訓で、今度は日本らしい攻撃サッカーを推し進めると期待したが、本戦になると顔色が変わって、結局防戦一方のサッカーに鞍替えしてしまった。

 4回のワールドカップでは、指導者に恵まれず、常に選手が犠牲になってきた。特にひどいのは、ジーコ監督の敗戦の弁が、サントス選手を除いて、日本選手の力量が不足していたとし、以降日本にいられなくなった。何度かやってきたが、鹿島アントラーズ関係者以外には冷遇されていた。

 そして今回のワールドカップでは、いいとこどり選手が優遇されて攻撃サッカーが機能せず、予選敗退が濃厚となってきた。ザッケローニ監督は実態が分からないはずが無く、J幹部の依頼で本田選手を優遇していると見ている。世界各国では本田選手の存在が日本の弱点と見抜いており、アメリカの予想会社では日本の決勝進出は30%以下としている。ザッケローニ監督の威信がかかってきて、ことによると本田おろしを強行するかもしれない。

 

6月20日(金)

 ワールドカップサッカー、日本対ギリシャ戦をテレビ観戦、予想通り日本は勝利することが出来なかった。ギリシャは二度のイエローカードにより一人退場となって、日本が断然有利な状況にありながら、最後まで点を取ることができず、0対0の引き分けとなった。状況的には−1対0の敗戦と同じであり、最終戦は、既に2勝しているコロンビアとの戦いで、勝点3を取るのは無理と言うもの。後半に、香川選手が投入されたが、もしかして、本田選手と交代では、との甘い期待を持ったが、結局は大迫選手との交代で、勝てる可能性が無くなった。

 試合途中、キーパーの川島選手と長友選手がやり合うシーンがあり、話は聞きとれなかったが、長友選手の守備がおろそかになっているのを糾弾している風であった。日本チームの点を取る組み立ては、長友選手の駆け上がりで、左サイドからのセンタリングが中心で、今日の試合では少しも効果がなく、内田選手が何度か攻めに加わって、得点の可能性を思わせるシーンがあった。中央からの前線への切り裂くような球出しはほとんどなく、ザッケローニ監督自身が分かっていて、総括でそのことに触れていた。中央でキラーパスを出すのは本田選手の本来の仕事で、全く機能していないと言うことである。前試合の苦い経験から、本田選手へのパスが少なくなり、チームとして機能しなくなって、1名少ないギリシャと同条件との観は否めなかった。本田選手と長友選手がいる限り、チームワークは取り戻せそうにない。

 いまさら言っても仕方がないが、ゲームメーカーとホストプレーヤーが存在せず、今回代表に選ばれた選手で出場機会のない選手が何名もおり、何故、川崎の中村憲剛選手と鳥栖の豊田選手を代表に選ばなかったのか疑問となる。もし両名が選ばれていれば、本田選手は不要になてしまうので、敢えて選出しなかったと思っている。今のチームは本田選手のいいとこ取りを容認する選手ばかり集められた観が否めない。その結果、最も得点能力が高い岡崎選手、大久保選手が守備中心となって、得点シーンにほとんど絡めていない。本田選手の穴埋めに追われることによって、勝ちみの薄いチームとなっている。3年ほど前から、日本の勝ちみが薄くなったのは本田選手のいいとこ取りに始まり、快勝とは縁が無くなってしまった。得点力が格段に下がった結果で、日本チームの成長を抑制してしまったことになる。

 世論誘導と情報統制と言う言葉がある。中国は正にこの両者によって国を維持しており、報道内容に独裁政治を感じないわけにはいかない。日本でも、いま政府と財界が目指しているのは中国化することで、金で国民も、メディアも縛ろうとしている。サッカーも同じで、金で動かされ、サッカーを愛する人々に目を向けることなく、情報操作、世論誘導が平然となされている。

 家族的、仲間、チームワーク、団結、連帯、財界はこれらの言葉を嫌っている。経済は家族崩壊、家庭崩壊を果たし、競争主義を賛美し、個人の力を評価し、仲間を蹴落とすことを奨励し、連帯を阻止してきた。日本においては、サッカーは世界の潮流に反して50年の遅れを取り、個人主義の典型である野球が主体となってきた。日本はアメリカナイズして、金で選手を動かし、選手間の連帯を抑制する策を取ってきた。それは、資本主義経済の保身術であり、チームワークがチームの能力を決めるサッカーは、意に反するのである。そこに打って出たのがJリーグの発足で、世論を動かし、市民を動かすことによって、金の力に対抗するものだったはずである。集客効果、宣伝効果は多大で、企業も目を向けずにいられなくなり、都市を中心としたチームには大手企業がスポンサーに付くようになった。そのほとんどが金で有望な選手を買い集め、チーム力をアップし、結果も出してきた。ところが、昨今はローカルチームが実力をつけてきて、広島のように2連覇を果たしている。今シーズンは鳥栖が力をつけて、優勝圏内にとどまっている。サッカーは金よりも、企業の最も嫌う、連帯が力となり、有名選手がいなくとも、サポーター、チームを愛する心が、選手一人ひとりに力をつけさせ、一流チームにのし上がってきた。

 日本代表チームも、野球のように一攫千金を夢見る野心家よりも、自分を生かし、仲間を生かすことに面白さを感ずる実直型選手を選んだ方が、強いチームができるのは自然の成り行きである。海外ではいざ知らず、日本サッカーは、地域の活性化とサッカーの発展を一体として、取り組んでいくべきである。今のままでは、日本代表になって世界で戦う夢を持ってきた選手たちを失望させ、世論誘導に何も考えずに従うミーハーサポーターは残っても、サッカーを愛する真のサポーターは、選手の心が離れていくのと同様離れていってしまい、昔のサッカー界に戻ってしまうのではなかろうか。

 

6月24日(火)

 ワールドカップサッカー、ブラジル大会は予選の大詰めを迎え、決勝進出が決まってきている。時間があると注目チームの試合をテレビ観戦、感じたことを書いてみたい。

 今回のワールドカップで注目を集めている選手、アルゼンチンのメッシ、ポルトガルのロナウド、ブラジルのネイマールの各選手の事が気になって、意識的に見てきた。組織と個人の関係がチームによって事情が異なり、ブラジルは開催国優勝を念願としてチームが一丸となり、ネイマール選手を生かそうとしており、本人の個人技も光っていた。メキシコ戦では点が取れずに引き分けとなったが、他の2試合はネイマール選手が得点を取って快勝、決勝進出を果たした。アルゼンチンは組織力は軟弱で、メッシ選手を生かそうとする意識が薄く、メッシ選手が孤立する場面が多かった。守備力は高そうで失点が少なく、メッシ選手は数少ないチャンスに神業とも思える個人技を駆使して得点をとり、連勝して決勝進出を果たしている。ポルトガルはチーム全体が統一性が無く、ロナウド選手の力を生かそうとする流れは全く感じられず、ロナウド選手がボールを持った時はいつも孤立して、全く点が取れていない。唯一、ロナウド選手のセンタリングで点を取り、引き分けに持ち込んだが、1敗1引き分けで、決勝トーナメント進出は難しそうである。

 ロナウド選手は年俸ナンバーワンで、所属チームからナンバーワンの評価を受けるとともに、今年の欧州クラブチーム選手権で17点、歴代1位を記録、実質的にナンバーワンプレイヤーとなっている。かつて、メッシは4年連続(3年かも)で欧州選手権でベストプレーヤーになっており、ナンバーワンの選手だった。ところが、2年ほど前から怪我を負って活躍度が下がり、ここ2年ナンバーワンから離れている。怪我の原因は知らないが、意識的(金が絡んで)に怪我をさせられた、と言うのが真相と推察している。

 サッカー選手にとって、欧州は金のなる木で、ワールドカップは中南米の選手にとって名前を売る絶好の機会となる。過去のブラジルチームは売名行為が先行して組織化ができず、実力がありながら優勝から遠ざかっている。開催国となった以上、優勝が絶対条件となり、選手が私的を消し去り、一丸となっていると思われる。アルゼンチン、ウルグアイは選手個々の野心が先行している感じだが、他の中南米チームは優勝を目指してチームが一丸となっているように見える。

 日本は組織力が売り物のはずが、売名行為が先行、チームとしてはばらばらになってしまった。最高年俸を誇るロナウド選手ですら、個人に固執していては、まともに仕事ができないと言うのに、クラブチームでレギュラーにもなれないのに、わがままを通そうとする選手がいるようでは、日本には勝てる要素が無い。残念ながら、明日の日本対コロンビア戦は敗戦が濃厚である。

 

6月25日(水)

 今朝は5時前に起きて、ワールドカップ、日本対コロンビアの試合をテレビ観戦した。結果は1対4の大敗で、日本は予選リーグ最下位に終わり、残念ながら、大会前に予想した通りの結果となった。今日の試合は本田選手を外すとの期待を持ったが、フル出場となり、失点の2点は、本田選手がボールを奪われたのが発端だった。前半に先行されたが、本田選手のセンタリングで、岡崎選手がヘッドで合わせ、ネットを揺るがした。決していいパスではなかったが、さすが点取り屋、日本チーム、大会2点目を鮮やかに奪取した。初戦から岡崎選手を前線で働かせれば、2勝は出来ていたと見ている。大久保選手は点を取るチャンスが中々回ってこないので、シュートに力が入り、不発に終わった。いずれにしても、予想した通り、日本チームは本田選手が足かせとなって、最後までリズムが作れず、得点は2点だけで、イングランドと並んで最も弱いチームだったと言える。

 日本のメディアでは敗戦の原因に触れていないが、海外メディアの記者のコメントとして、本田選手の動きの悪さと、ザッケローニ監督の采配批判が出ていた。サッカーを知るものなら誰でもわかることであり、日本国内で全くそのことに触れないのは異常としか言いようがない。多くのサッカー選手、多くの子供たちの夢を打ち砕いた結果なのだから、反省の弁が響いてきてもいいはずである。サッカー協会とJリーグの地位関係がどうなっているか分からないが、責任をとって、金の絡んだ、硬直した無能体質を改善することが求められる。

 

7月2日(水)

 ワールドカップサッカー、ブラジル大会は、決勝トーナメント1回戦が終了し、ベスト8

が出揃った。8試合のうち5試合が延長にもつれ込み、2試合がPK戦となった。残った8

チームは予選リーグで1位通過のチームで、実力を示した形となったが、いずれも接戦であ

り、敗戦したチームとの力の差はわずかで、勝ったチームのコメントも、幸運という言葉を

自然と付加していた。どの試合も総力戦と言うのが相応しく、幸運とともに体力勝負である

ことも無視できないだろう。プレーの精度は疲労を克服できるかにかかっており、走り込み

 を怠った選手には力が発揮できるはずもなく、それが今後も替え難い実力となる。

 

7月9日(水)

 ワールドカップサッカーは準決勝、ブラジル対ドイツ戦が行われた。結果は何と7対1の

大差でドイツが勝った。おそらくブラジルの大敗はだれも予想しえなかったのに違いない。

点を取られるシーンを何度か見て感じたことは、ディフェンス陣のマークが甘く、フリーの

選手が出て、労せずして得点した感があった。何日か前に次男坊とアルゼンチンのメッシ選

手の話が出て、走った距離が短く、ディフェンスをしない事が話題になった。我輩はメッシ

選手のプレーを全面的に肯定した。相手チームのどこもがメッシ選手にディフェンスを3枚

つけおり、攻撃時も攻撃参加せずに備える形となっている。さもなければ、カウンターを食

らった時に一人ではメッシ選手を抑えようがなく、少なからず得点を奪われてしまう。メッ

シ選手が前線に残ることによって強力な防御となり、相手の厚みの無い攻撃を最少失点で抑

えることができた。体力を温存して、攻撃時に爆発させれば思い通りのプレーができるはず

 で、メッシ選手のプレーは「攻撃は最大の防御なり」の、戦略と見ていいのではないか。

 ブラジルの大敗が、我輩の推論を裏付ける形となった。メッシ選手に追随するネイマール

選手が欠場したために、相手に厚みのある攻撃を許してしまった。ましてや、ドイツは時と

してキーパーがフィールドプレーヤーに変身、深く蹴り込まれたロングパスを適切な判断で

カット、攻撃の基点にすらなっている。守備陣が1枚多い形となり、雪崩れ込むような分厚

い攻撃へと繋がって、ブラジルの守備を翻弄したと言っていいのではないか。ベスト8に勝

ち上がったチームの力の差は紙一重で「蟻の一穴」ネイマール選手の欠場が大軍を呼び寄せ

 てしまった。

 日本チームは本田選手が大きな穴となって、相手チームの分厚い攻撃を許し、前がかりの

守備陣が機能できなかった。一人少ないギリシャと引き分けたのは、日本チームも一人少な

いのと同じで、本田選手が足かせになっていたのである。ネイマール選手の欠場は予測でき

ない事だったが、本田選手の大きな穴は多くの人が見通していたはずで、Jリーグには多く

の有能な選手がおりながら何も対処できなかった日本サッカー界の体質は、軽蔑に値する。

 

7月10日(木)

 ワールドカップサッカー準決勝のもう一試合、アルゼンチン対オランダ戦があった。結果

は0対0の引き分けでPK戦となり、アルゼンチンが決勝に進んだ。見たのは後半の30分

過ぎからで、明らかにオランダが押し気味だった。アルゼンチンは守備主体の試合運びを、

戦術的に行っているようで、PK戦に持ち込むことを狙っているようにすら見えた。メッシ

選手は相変わらず前線に残り、オランダの守備陣をはべらしていて、守備の陣形が乱される

ことはほとんどなかった。見てて少しも面白くないサッカーで、昔、イタリアが守り主体の

サッカーで、ワールドカップ優勝を果たしたことがある。多くのチームが守備に力を置くよ

うになって、ワールドカップそのものが沈滞した時期があったが、ブラジルやドイツが攻撃

的サッカーを復活させ、以降、攻撃力のあるチームが優勝するようになった。攻撃力は個人

の力ではなく、チームワークによるものとなり、南米系より欧州系のサッカーが世界ランク

上位を占めるようになった。今回の大会では、スペインが予選敗退となったが、替わって、

ドイツがチームワークに磨きをかけて、超攻撃的なサッカーを披露し、ブラジルがつけいる

 隙を作った途端、7対1の大敗を喫してしまった。

 欧州の強豪チームは海外組は存在せず、国内組でチームワークを結実させ、より洗練され

たチームを作れる。南米やアフリカは海外組でチームを構成、散り散りばらばらの力を集結

させるのは不可能で、あんちょこな守備主体のチームにならざるを得ない。日本は献身的な

サッカー、正にチームワークが生命線となり、海外組を多用したのでは世界の強豪チームに

太刀打ちできないのである。アフリカ勢のように超人的な選手を要すれば予選突破は出来る

かもしれないが、大した力量が無いのにいいとこ取りをする選手を抱えては、ワールドカッ

 プで勝てる余地など全く無く、恥さらしに他ならない。

 ワールドカップ、決勝の予想をしてみると、今のアルゼンチンでは守りきれないと見ており

 大差は付かなくともドイツが優勝するのではなかろうか。

 

7月13日(日)

 ワールドカップサッカー、ブラジル対オランダ戦は、3対0でオランダが勝った。開催国

ブラジルは悲願の優勝どころか、現代サッカーでは、個人の力がどれほど小さいか、如実に

表れ、サッカー王国の名を返上する大会となってしまった。ヨーロッパの連携を重視したサ

ッカーは個人の力を高める(自分の役割を認識、徹底)ことにもなり、ブラジルの統一性の

無い守備は、プライドとともにずたずたに切り裂かれてしまった。守備は個人の力で対処で

 きるとの、過信と安易さが墓穴を掘ったことになる。

 サッカーと社会体制などと言ったら場違いな話になってしまうが、世界の潮流を考えると

無視できない現実なのである。経済とサッカーは切っても切れない関係にあり、財界支配の

国家は富の集中と貧富の格差が基本となり、支配延命策として、自分さえよければと言う、

利己主義を煽り(白痴化)市民間の連携、連帯(良識化)をとことん阻害してきた。金で国

家を支配する経済支配体制は、個人が主体となる競技に大金を出資、アメリカや日本がその

典型で、連携に重きが置かれるサッカーがここまで持て囃されるようになってまだ10年に

満たない。世界の潮流からサッカーが財テクの優良組織とやっと分かり、大手企業による投

資が活発に行われるようになった。それは、サッカーが財界支配へと移ろうことで、既に日

本サッカーの体制は金で牛耳られており、優秀な選手の売買(移籍金目当て)が活発に行わ

れるようになった。言い方を変えると、日本もブラジル化され、日本代表は海外組が中心と

なってしまい、サッカーにも利己主義が蔓延している。社会の進化を圧縮して、なんでも言

 われるままのイエスマン(無能化)を育成、社会を退化させている。

 サッカーの発展は主権在民の原動力となるはずで、市民の連携連帯によってチームを支え

ることが、経済支配から脱却する切り札である。地産地消、過疎からの脱却、地域の活性化

など、真のサッカー大国を目指すことと、市民の力を結集することがイコールとなる。ブラ

ジルではワールドカップ開催を反対するデモが行われ、サッカー王国返上の動きがあった。

ワールドカップは財界など富裕層に大きな利益をもたらすが、貧困層には恩恵が無く、サッ

カーを愛する気持ちを薄れさせた結果ではないのか。サッカーは全世界で行われており、強

さは国の内情と結びつき、国民の進化度の指標にもなる。日本チームの弱体化は退化の表れ

 に他ならない。

 

7月14日(月)

 ワールドカップサッカー、ブラジル大会はドイツの優勝で幕が閉じた。ドイツ対アルゼン

チンの試合は0対0で延長戦に突入、延長後半にドイツが点を取って勝利した。ドイツの優

勝を予想したが、ここまで接戦になるとは思わなかった。大接戦の要因はアルゼンチンの守

備力で、個人の能力と相俟って組織化され、最少得点で乗り切った。ドイツの猛攻を延長後

半まで持ち堪えたのだから、立派としか言いようがない。残念ながら、守備に追われて、世

界一のプレーヤー、メッシを生かすまでに労力が回らず、攻撃は3人、4人と囲まれた中、

メッシが孤軍奮闘したが、得点できなかった。フラストレーションが溜まって、キックに精

度を欠いていたように見えた。それにしても、メッシはすごい。今大会でも評価され、大会

 MVPに輝いた。