ちょっとサッカー2014W杯予想

 ここではサッカーの発展を願って、我輩の言いたい放題を、日記に書き綴ったものを集めています。

2006年以降、昆虫写真撮影、画像編集、昆虫サイト更新などに追われ、サッカーについて日記に記す機会が無くなってしまった。ナデシコも含め、代表戦は出来るだけテレビ観戦し、思うことが多々あった。2014年に入って、家の改装工事が一段落し、幾らか時間にゆとりを作って、以前のようにサッカー観戦して思うことを書き綴るようになった。特に今年はワールドカップサッカーブラジル大会が開かれ、大会前にワールドカップを想定した国際試合が3試合行われ、それらを観戦した感想と、ワールドカップを占ってみた。

2014年6月12日

 

2014年

5月8日(木)

 今日は、女子サッカー、ナデシコ代表による、ニュージーランドとの親善試合があった。女子ワールドカップアジア予選が近々あり、壮行試合のようである。代表を召集して、何日ぐらいチームワークを形成したか分からないが、ナデシコのプレーは連動性に乏しかった。以前にもナデシコ代表について記したことがあり、パスサッカーを売り物にしているが、バックパスサッカーで、勝ちみが薄いと評した。

 日本の女子選手は欧米やアフリカの選手と比べてスピードと体力で劣り、連動性のあるパスサッカーで弱点を克服し、ワールドカップ前回大会で優勝したと見てよさそうである。その後日本サッカーは研究され、パスは攻撃に繋がるものは簡単に摘み取られ、バックパスで凌ぐようになって、相手は前がかりになり、強豪チームには防戦一方になってしまった。得点は連動性によって作り出すよりも、カウンターの単発の攻撃によるもので、今は選手の口からパスサッカーの言葉は聞かれなくなった。

 今日の試合を見る限りでは、日本は連動性に乏しく、ほとんどの選手が止まって待つ姿勢となり、パスミスが甚だしかった。パスを出すものと、受けるものとがイメージを共有できず、特に受ける側はボールの行き先を予測してないので動き出しが遅く、ほとんどが相手にとられていた。パスサッカーと言うのは、攻撃的な組み立てで生きてくるもので、守りにはマイナスとなり、より早く前線に放り出すことが求められる。パスの出しどころがないからと、バックパスを選択するが、前線で都合のいいような状況が生じることは無いに等しく、両ウイングに勝負をかけさせると、意識した方がいい。前線サイド、奥深くボールを出しておけば、攻守ともに態勢が作りやすく、守勢から攻勢的なサッカーに切り替えられる。いずれにしても、スピードと体力の弱点を補う必要があり、イメージを共有して、連動性をいかに高めていくかが重要となってくる。

 

5月15日(木)

 昨夜は女子サッカー、アジア大会の日本対オーストラリア戦をテレビ観戦した。8日の日記でナデシコの事を記したが、パスサッカーでも、バックパスが中心で、強豪チームには守勢となってしまい、勝ちみが薄いとした。今回のオーストラリア戦でも同じで、前半は攻勢になることはほとんどなく、中盤の選手はパスの出しどころに躊躇して何度も奪われ、パスミスも多くて窮地に追いやられ、スピードでも太刀打ちできずに簡単に追い越され、点を取られてしまった。課題が少しも改善されていない状況で2対0となってしまい、敗戦濃厚となったが、選手を入れ替えると、前線への長いパスが多くなって形勢が逆転、スピードと連動性が蘇り、攻勢となって、最終的には2対2の引き分けとなった。

 会場はベトナムで、40℃近い猛暑の中での試合となり、体力的に厳し状況となった。宮間選手は、後半の25分ぐらいまでは正確なキックでチャンスを何度も作っていたが、以降はことごとくパスミスとなり、体力の消耗が激しいのが窺えた。オーストラリア選手も動けなくなり、パスミスが大事に至ることは無かった。本来なら、楢本選手を投入して、ゲームメークをさせても良かったのではないか。守備では川村選手と打木選手のコンビネーションの良さが窺えた。川村選手は中盤でボールを奪う技量に長けていて、打木選手は前線へのパス出しが正確であり、後半を中心に二人の連携によって何度も攻勢に転じていた。大儀見選手が途中交代で出場するとチーム力が格段に上がり、バックスからの出しどころを作って連動性のあるプレーとなり、ナデシコが攻勢となる大きな要因となった。

 今回の大会では海外組のレギュラー選手がチーム事情で招集できず、ナデシコの弱点を修正しきれなかったが、チーム力を一段とアップできる可能性を感じさせた。テクニック以上にスピードがある選手を起用していくのも、改善策のカギになるのではなかろうか。

 

5月20日(火)

 17日に女子サッカー、アジア大会のナデシコ対ヨルダン戦があった。17日は旅行をして、家に帰るのと試合が始まるのとほとんど同時だったが、片付を差し置いて、テレビ観戦した。前から期待していた楢本選手が先発で出場、プレーを見ていたら結果を出そうと焦りが出て、精度が著しく落ちていた。気負いや気迫、やる気、熱血、根性、闘争心など、スポーツをやる心構えを表現しているが、高度なスポーツであればあるほど無意味な言葉である。インスピレーションと言ったらいいのか、決まった事を決まった通りにするのではなく、時々刻々新たな発想を持ってプレーする。言いかえると、遊び心を失っては一流のプレーヤーになれないと言うことである。結果を求めるより、どれだけ楽しめるかが肝要で、気負いがあっては余計結果が付いてこない。

 17日の試合では若手が多く起用され、誰もが気負いがあっていいプレーができていなかった気がする。相手は各下で、点を取るチャンスは前半から何度も訪れたが、シュートのほとんどが枠を捕えていなかった。引き分けたオーストラリア戦ではひどい状況だったベテラン選手が、各下には気持ちにゆとりがあって目覚ましい活躍をしていた。逆に言うなら、ベテラン選手ばかりでは世界の強豪チームと互角に戦えないと言うことであり、若手が代表戦でも力を発揮できるようにチーム作りをしていかなければならない。さらに言うなら、若手に遊び心を植え付ける、指導者がいないと言うことにもなる。女子は若手に有能な選手が多く育っており、さらにステップアップするには、サッカーを楽しませることではなかろうか。もう一つ、走り込みの徹底である。少なくとも前半30分、後半30分は疲れを見せないことが絶対条件であり、早さも増してくるはずである。

 

5月22日(木)

 女子ワールドカップサッカー予選を兼ねた、アジアカップの準決勝が行われ、ナデシコ対中国戦は、延長の末、ナデシコが2対1で辛くも勝利した。日本の2点は宮間選手のコーナーキックから、ヘディングで決めたものだった。無論宮間選手一人の力で勝てるものではないが、残念ながら強い相手と対戦する時には、ゲームメイクで点を取るケースが極端に少なくなってしまう。宮間選手は体力があるとは言えず、疲れてくるとキックの精度が落ちて、得点と縁が薄くなってしまい、幸運に助けられることがほとんどである。実力で勝ちきることを目指さなければならず、川澄選手のように最後まで走りきれる選手を養成すべきである。

 今、男子サッカー、J2で湘南ベルマーレが負けなしの快進撃を続けている。勝因は走り負けないことのようで、個人の能力を評価すには、どれだけ走れるかが大きなウエイトとすべきである。男子ワールドカップ日本代表の海外組を見た時、高い評価を受けている選手のほとんどが、多くのテレビコマーシャルに出演している。相撲界で、横綱や大関になるとテレビ局にちやほやされて、目障りなほどにテレビに出てくる力士が多い。そのほとんどがけいこ不足で翌場所は散々な成績となり、怪我も付きまとって力士生命を短くしてしまうこともある。サッカー選手もテレビに出ることによって体力を大幅に減退させ、プレーに切れと精度が失われ、怪我にも見舞われてしまう。サッカーをやるのは、金儲けが目的なのか、楽しむのが目的なのかで、選手生命が予見できる。

 20日の日記でも記したが、「選手をステップアップさせるには、サッカーを楽しませる」ことが何よりも肝要で、楽しむには「走り込みの徹底」が重要である。男子日本代表の選考は絶対に間違っている。

 

6月7日(土)

 サッカーワールドカップ開催まで残すところ僅かとなり、大会を想定して、国際試合が今日も行われた。3試合が組まれて、今日が最終戦で、出来具合が大会を占う大きな要素となる。3試合全部テレビ観戦し、我輩なりに日本チームを占ってみた。

 日本チームの代表発表がされた時、Jリーグ体制の実態を垣間見た気がした。Jリーグ発足の精神は、地域性を持たせると言うことで、野球のように全国区チームが大きな顔をすることを認めなかった。多くの地域でサッカーチームが根付くことを目標、目的として、発展してきた。Jリーグでも、企業が肩入れして全国区チームを目指し、横やりを入れて、サッカーでも王、長島を作ろうとしたが、Jリーグでは耳を貸さなかった。ワールドカップ代表選考で、王、長島的存在を、代表チームを構成するには無用と判断され、全国区チームの夢を打ち砕いた。

 Jリーグ体制も多くが入れ替わり、Jリーグ精神を受け継ぐ幹部が一人減り、二人減りし、収益を優先する、商業主義が頭をもたげ出したように見える。今回のワールドカップ代表選考でも、大手企業がスポンサーとなった都市型の、いわゆるビッグチームから選出され、大手企業とスポンサー契約をした、いわゆる海外組が優遇され、Jリーグで実績を残してもローカルチームの選手は選ばれていない。代表選考発表会で、Jリーグ幹部挨拶の中に、企業の支援に礼を述べる場面があった。

 大相撲で、大関昇進や横綱昇進があると、人気タレント並みにテレビに出てきて、コマーシャルにも出演するようになる。多くの大関、横綱が、テレビ出演で稽古がおろそかになり、昇進後の成績が振るわない。怪我も付きまとい、力士生命が極端に短くなる者も少なくない。オリンピック選手も同様で、メダルの期待がかかる選手をめぐって報道合戦が繰り広げられ、CMにも出演、テレビを賑わし、その多くが、オリンピックでは期待を裏切っている。一時、オリンピックの成績不振を鑑み、報道の在り方に一定の歯止めをかけた時代もあったが、遠い昔の事となった。

 日本女子サッカー、ナデシコチームがワールドカップで優勝すると、代表選手がテレビ、ゴールデンタイムを席巻し、代表チームの弱体が甚だしかった。心ある多くのファンがそっぽを向き始め、ナデシコリーグ人気は1年で霧散してしまった。ここ1年、テレビに出てくる者が限られてきて、ナデシコリーグの再生が図られ、最近では、若手やローカルチームから有能な選手が表舞台に出てきて、U20やU18の国際大会で実績を残し、5月に行われた、女子ワールドカップ予選を兼ねた、アジア大会で初めて優勝を果たした。

 長々とメディアがらみの弱体化について述べてきたが、目前に迫ったワールドカップ代表についても、同じことだと言いたい。サッカーは日常の走り込みを怠ると途端に能力が下がり、元に戻すのは至難の業である。いい例が、本田選手、香川選手、長友選手、長谷部選手、吉田選手、内田選手など、コマーシャルに多く出てきた選手は軒並み力が衰えている。プレーのみならず、相撲と同様怪我もトレーニング不足から起こり、実力が落ちたと言うことである。Jリーグで愚直に取り組んできて、活躍している選手の方が、遥かに能力が上である。特にチーム力が上がることが肝要で、ここ3年、J1で優勝したチームから最低でも2名を選出し、結果を残している選手(鳥栖の豊田選手、川崎の中村憲剛選手、横浜の中村俊輔選手など)から代表を選ぶべきである。特に豊田選手はいま日本に欠けている大型フォワードで、バックからパスを出すターゲットとなり、常に相手に圧力をかけられる。中村憲剛選手は、今回、何とか代表に選ばれた大久保選手とのコンビネーションが抜群で、大久保選手大量得点の一翼を担っている。中村俊介選手も、キックの精度が世界トップレベルで、ピンポイントで豊田選手、岡崎選手、大久保選手にボールを供給できるだろうし、フリーキックはまぐれではなく、狙って得点に結び付けることができる。

 海外組は岡崎選手のように結果を残している者だけを選出すべきである。海外のあたりの強さを経験することが大事と言うが、結果が出せない選手はヨーロッパサッカーに適応できないと言う事であり、海外の経験など役に立たないのではなかろうか。野球のように、個人の力に重きを置かれた世界ならいざ知らず、サッカーは個人の力は高が知れている。今回のワールドカップ予選で、日本が進出を決めた後の、選手のインタビューで、海外組の選手が「個人の力」を連呼していた。その後行われたコンフェデレーションカップでさんざんな結果となり、以降、「個人の力」は影を潜めた。

 

6月8日(日)

 昨日の日記の続きで、ワールドカップサッカーについて語ってみる。

 ザッケローニ監督になって、日本代表は負けなしとなり、本田選手に注目が集まり、日本のエースとしてメディアを賑わした。ところが、ワールドカップ予選が始まって、1次リーグ突破が決まると、日本が勝てない時期があった。日本が勝てたのは岡崎選手の得点力で、チームが一丸となって岡崎選手を生かすゲーム展開を繰り広げた。勝てなくなった大きな要因は、いいとこ取りの選手が出てきたからである。「個人の力」を提唱する選手が幅を利かせると、チームワークがガタ落ちで、得点力のみならず、守備力にも響いて弱体化していった。特に、日本のように献身的なプレーが売り物だと、自分勝手な選手は足かせになり、トレーニング不足で能力が低下した選手を抱えるのは致命的である。本戦進出を決める2次予選では厳しい戦いを余儀なくされ、やっとワールドカップの切符を手にした時の、選手の抱負が、「個人の力」であった。

 ブラジルはかつて常勝軍団と言われ、世界ランキング1位を維持していたが、ここ10年ワールドカップの優勝から遠のき、世界ランキングも10位と低迷している。一方でスペインが組織だった展開でワールドカップを制覇し、世界ランキング1位となっている。サッカー界の潮流は、個人から組織へと移り、大した力量が無いのに、「個人の力」と平然と言ってのける慢心は、絶対に払拭しなければならない。

 ワールドカップ大会前の代表戦3試合を見て、ワールドカップを予想してみると、予選と突破は難しいと見ている。調子の上がらない選手が、「決勝戦に照準を合わせてる」などとうそぶいているようでは、大会前の3試合で浮きぼりになった欠陥点は絶対に解消できない。試合の流れを見ると、中盤で何度もボールを奪われ、前がかりになっている守備陣を慌てさせている。海外組の守備陣は足が速いとは言い難く、アフリカ勢などでは1対1の駆けっこになるとどうしても置き去りになりがちで、失点は防ぎようがない。ホストプレーがまともにできず、パスが年がら年中奪われているのに、メディアでは報道協定でも結んでいるかのように、エースの称号を全面に出している。Jリーグ発足当時、全国区を目指したチームのスポンサーだった新聞社は、Jリーグとの確執で撤退してしまった。いまもJリーグと袂を分かっているようで、不出来な選手を批判していた。

 最早豊田選手を引っ張り出すことは出来ず、固定された陣形を今から作り直すのは不可能であり、足かせを背負ったチームで戦っていくしかない。唯一望みを託せるのは、新たに代表に名を連ねた、森重選手、青山選手、山口選手の活躍である。昔から今野選手のファンで、期待したいところだが、力の衰えは否めず、現状では足かせになっている。ポジションも本来のボランチではないので、余計力を発揮できない。岡崎選手、大久保選手をどれだけ生かせるかも、態勢を強化する要素であり、香川選手がいいとこ取り体制から足を洗って、岡崎選手、大久保選手を生かそうとする意識が強くなっている。3戦目の試合で香川選手が得点を上げたシーンは、シュートより大久保選手へのパスに見え、大久保選手はボールに触れるふりをして、見送った結果が、キーパーが動けずに得点が生まれたと見ている。ただ、香川選手の体のキレはまだ完全には戻っておらず、どこまで復調させるかが、予選突破の鍵を握りそうである。もう一つ、予選突破の鍵になりそうなのは、青山選手からのロングパスを大久保選手が見事にコントロールして決勝点を上げたことである。ホストプレーが成り立たない中で、ロングパスが有効に使えるのは大きな戦力になり、大久保、岡崎選手を生かす最大の武器となる。相手チームも前がかりになるのが難しくなり、日本守備陣の負担も軽減できる。かつて、スター選手を切ってワールドカップ出場を決めたように、エースとされる選手を切れるかどうかが決勝トーナメント進出の大きなポイントではなかろうか。

 

6月9日(月)

 サッカー談議の続きになるが、ひねくれ者の憶測を付け加えてみる。

 テレビではいいとこ取り選手を起用したコマーシャルが頻繁に流れている。テレビ局にとってCMによる収益が基本収入であり、スポンサーが付かなければ破綻してしまう。言い替えると財界の顔色をうかがって運営する様なもので、心情的に不満を持っても、ある程度従がざるを得ない。大口スポンサーが起用した選手を、良し悪し関係なく称えるしかないのである。サッカーを知っている者であれば、いいとこ取り選手のチームに与える弊害がどれほど大きいか簡単に見極められ、我輩と同様な意見を持っている人は少なくないはずである。Jリーグ幹部と、テレビ局が、あたかも報道協定でも結んでいる様な扱いを見るにつけ、今後の日本サッカー界の行く末に暗雲が広がり始めたように思える。

 地域サッカーの発展がJリーグ発足の理念であり、小さな子どもがサッカーをやっている姿をあちこちで見るようになり、優秀な選手が量産され、日本サッカーを世界レベルに押し上げた。サッカーの発展は、地元選手と地域住民とが一体となることで、サガン鳥栖のように大きな力をつけて、結果を出している豊田選手がいるにもかかわらず、代表に選出されないのは、子供たちの夢を奪い、サッカー人気に水を差す様なものである。地域の盛り上がりが消沈しても不思議ではない。