ちょっとサッカー2006年版

 ここではサッカーの発展を願って、我輩の言いたい放題を、日記に書き綴ったものを集めています。

2005年は、多忙と、日本代表のジーコ監督の采配に不満を持ち、酷評が過ぎてしまいそうなので、途中からサッカー談義をよしてしまった。2006年も同様な立場だが、ワールドカップを意識すると、どうしても黙っていられなくなり、今日から論ずることにした。

2006年3月25日

 

12月2日の日記から

 J1サッカーの優勝が決定される最終戦、レッズ対ガンバの試合があった。テレビでつぶさに観戦したが、優勝したレッズよりガンバのほうが素晴らしい試合をしていた。さすがに、昨年優勝しただけはあると感じた反面、勝ったレッズのつまらない試合内容にがっかりさせられた。昨年優勝を争ったセレッソはJ2降格が必至で、何がそこまで変えたのか不思議で仕方がない。

 サッカーのチーム作りは非常に難しそうで、チーム戦術と個人技をどう融合していくかが問題になる。レッズは個人技優先で、優勝こそしたがチーム力としはお粗末で、強いチームと対戦すると防戦一方になってしまう。今強いチームはガンバ大阪と川崎フロンターレであり、レッズはいずれのチームにも押されっぱなしだった。

 世界に誇れる立派なサポーターを持つレッズは、本当に強く、愛されるチームになる必要がある。とりあえず優勝を果たしたのだから、チーム状態が何であれ、高い評価がされるのだろうが、戦術面では下位チームと同等で、ちっとも面白くない。個人技の集まりで、下位チームだと何とかしてしまい、取りこぼしが少ない分優勝できたのだろう。

 今のレッズの指導体制では面白いサッカーを作ることは不可能であり、有能な新人を生かされず、野球の巨人ように実績のある選手の寄せ集めで終始してしまうだろう。地域に根付いているのだから、地域の有能な選手をどんどん起用、育てることが義務付けられているはずである。今のレッズは外人選手や帰化選手が優遇され、チームにとってマイナスでも起用されている。他に選手がいないのならまだしも、日本人選手でも充分通用する。中々出してもらえずにくさってしまったり、他チームへ移籍を希望したりすることも出てくるに違いない。

 日本人指導者も優秀な人がどんどん輩出されており、レッズもそろそろ体制を替えるべきである。今年は外人監督のレッズが優勝したが、過去の4年間は日本人指導者のチームが年間優勝している。レッズの優勝も監督よりも、中盤での守備力が他チームより勝っていたためである。鈴木選手や長谷部選手の献身的なプレーは日本サッカーの真髄であり、二人の優れた個人技が優勝に結びついたのではなかろうか。何とか愛されるチーム作りをして欲しい。

 

6月12日の日記から

ワールドカップサッカーが始まり、いよいよ日本の試合が明日に迫ってきた。本当は我が家の改装工事を完了して、万全な態勢でワールドカップを迎えるわけだったが、当初の予定の3分の2ほどしか進んでおらず、引き続いて毎日忙しく作業をしている。ワールドカップ予想どころではないのだが、4年に一度の大会であり、日本の評価だけはしておかないわけにはいかないだろう。

 一時は代表の試合があるたびに評価し、「ちょっとサッカー」で掲載してきたが、ジーコ監督の采配に疑問を感じてからは批判が多くなるので書かないようにしてきた。ただ、日韓共同開催の時の日本代表監督トルシエ氏と異なり、ジーコ監督は選手の自主性を重んじており、期待を抱かせるところがある。

 日本サッカーの身上は組織的プレーと献身的プレーであり、監督の指導力以上に選手相互の精神的な繋がりが重要になってくる。その点日本には中田(英)選手のような中心となる存在があり、ワールドカップの準備期間が長く、合同練習の時間が多く取れれば選手間の意思疎通が充分に図られ、チームとしての連携に磨きがかかってきて、世界レベルでも充分に戦えるチームとなる。日韓共同開催のときは、同様なことが言えたが、トルシエ監督は選手の自主性を阻害し、決勝トーナメントに入って、フラットスリーなどという欠陥だらけの守備体系を押し付け、初戦でトルコと戦い、簡単に点を取られて敗退を喫したのである。予選リーグでは選手の意思でシステムを変更し、2勝1分の好成績を残した。

 ドイツ大会では選手間で作り上げてきたチーム力で戦えるので大いに期待が持てるが、ジーコ監督の欠陥である、選手の起用方法が問題になってくる。代表選出についても偏りが感じられ、もっと色々な選手をどんどん使ってやればいいと思うのだが、陣形が固定されて、他の有能な選手を埋もれさせている。今までの代表戦で残り5分とか10分とか、力を発揮するには短い起用で、評価しようが無いまま、大会に臨むことになった。

 人間誰しもが「えこひいき」をする。人間的な繋がりで、好き嫌いや相性、コネを無視できないのが人間の本質であり、ジーコ監督の選手起用は正にそれである。レギュラーの中には日本チームには不釣合いな選手がおり、他にもっと相応しい選手がいても起用しようとしなかった。その選手を出すことが絶対条件となっており、日本チームの最大の欠陥点になっている。サッカー関係者の多くが分かっていても、ジーコ監督の日本サッカーに果たしてきた貢献を考えると、何も言えないのである。今回の大会はジーコ監督の偉大な経歴に汚点を残す可能性もある。

 今まで述べてきたことから考えると、日本のチーム力としてはかなりハイレベルで、先日行われたドイツとの親善試合を見ても明らかのように、優勝候補にも上がっているチームよりも、日本のほうが明らかに上である。結果こそ2対2の引き分けだった、ゲームの構成は完全に日本が優位だった。ドイツはラフプレーが染み付いていて、親善試合にも関わらず、日本選手は何人も傷められた。柳沢選手は試合までに何とか間に合いそうであるが、加地選手はまだ無理のようである。

 日本は決勝トーナメント進出する力は充分にあるが、相手チームが日本チームを充分研究して、欠陥点を付かれたら予選敗退の可能性が大である。初戦のオーストラリア戦では、日韓共同開催の時の韓国をベスト4に導いた名将ヒディング監督のことだから、当然日本の欠陥は見抜いているに違いない。他の選手が欠陥をどれだけ補えるか、ジーコ監督が選手交代を決断するのかに勝敗の行方が決まってくる。おそらくジーコ監督は選手交代をしないだろうから、よくて引き分けではなかろうか。予選最後の対戦相手ブラジルに勝つのは難しいだろうから、決勝トーナメントに進めるかは、第2戦のクロアチアとの結果次第ではなかろうか。クロアチアは日本に対する研究がどれだけ進んでいるか分かるはずが無いが、日本チームを侮っていることを期待し、何とか日本が勝てるのではと予想している。1勝1敗1分が楽観的な予想である。

 

3月25日の日記から

サッカー談義は、熱すれば熱するほど酷評になりがちなので、しばらくお休みしていたが、久々に語ってみたくなった。

今日は横浜マリノス対浦和レッズの試合があり、テレビ観戦したが、かつての、鹿島アントラーズとジュビロ磐田が全盛のときの対戦を思い出させた。今は正にマリノスとレッズが全盛になっており、非常にレベルの高い試合だった。

小野選手がレッズに復帰し、活躍が期待されるが、今日の試合を見る限りでは、少しも目立たなかった。オランダで通用したテンポやパスの精度では、マリノスほどのレベルの高い相手には全く通用せず、今日は仕事らしい仕事が少しもできなかった。小野選手の能力は世界レベルであることは確かで、大いに期待したいが、Jリーグでも通用するよう、新たなプレースタイルを模索しなければ、かつての、負けが込んだレッズにいたときのように、能力をフルに生かせないのではなかろうか。

レッズの坪井選手が怪我をし、半年ほどして復帰したが、スピードと切れが元に戻らず、ここ1年、普通の選手になっていた。今シーズンになって、怪我か完治したのか、全盛時に戻ったようなプレーが見られるようになり、今日の試合でもマリノスのチャンスを数多く摘み取っていた。ワールドカップに向けてこの上ない吉報である。

レッズには小野選手、長谷部選手、ポンテ選手など、中盤でゲームを組み立てる選手が数多くいるが、攻守の要になる選手が少なく、唯一鈴木選手が役割を果たしている。ぎりぎりのつばぜり合いの時に、必ずといっていいほど姿を見せ、我輩は、レッズの強さは、鈴木選手の存在にあると見ている。本当はもう一人、同様な役割を持った選手が欲しいところである。

ディフェンス面では、坪井選手のみならず、闘莉王選手、堀之内選手と、それぞれが持ち味をフルに発揮し、鈴木選手と山田選手が加わって、鉄壁の守りとの実感がある。ただ、左の守りが手薄で、相手が意識的に狙ってくると、全体的なバランスが崩れ、ほころびが生じてしまうのが、唯一の難点である。

攻撃面ではワシントン選手の加入が大きく、個人プレーよりもチームプレーを重んじ、非常に大きな役割を果たしている。特に、ディフェンス面でも大きな体を惜しまずに走らせ、献身的なプレーが随所に見られる。自身で点を取るということでは、退団したエメルソン選手に劣るかもしれないが、チーム全体では大幅に得点率が高まるのではなかろうか。どんな高い個人技も、何年かすれば慣れられてしまい、得点王だったエメルソン選手が全然点を取れなくなったのが、いい例である。レベルの高いJリーグでは、個人の能力でできることなど限られおり、チームプレーにどこまで徹するかが、成功の鍵を握る。

レッズのことばかり述べてきたが、一人一人の能力が非常に高く、左サイドの弱点を克服すれば、Jリーグ史上最強のチームになれるのではと、考えたからである。世界のどんなチームを相手にしても引けを取らず、世界一はサポーターだけではなく、クラブとしても名を連ねて欲しいと願っている。

マリノスはチーム力として見るならばJリーグナンバー1ではなかろうか。岡田監督の指導力は、日本の最高峰に登りつめており、マリノスの完成度は、かつてのジュビロに劣らない。守備の要である中沢選手を擁し、鉄壁な守りから展開される攻撃は、破壊力満点で、今日の試合はマリノスが勝つと予想していた。

試合は互角の展開だったが、マリノスの気負いが裏目に出て、レッズ、ワシントン選手のチームプレーに徹した、忠実な働きに屈した感がある。結局3対1でレッズが完勝してしまった。けっして得点差ほどの優劣はなく、今度対戦するときは、どちらが勝つか予想がつかない。おそらく、レッズとマリノスが最後まで優勝を争うのではなかろうか。

今は、ヨーロッパのクラブチームへ行くことが、サッカー選手の夢になっているようであるが、レベルの高いチームへ行くことと、イコールにはなっていない。世界の名だたるチームは、個人の能力を売り買いしているもので、チームへの貢献度よりも、個人プレーの華々しさが追い求められている。名高い選手を多く集めても、必ずしも優勝できるとは限らず、チームとしての完成度をより高めたチームが強くなっている。

セレッソ大阪にいた大久保選手が昨年ヨーロッパに移籍したが、皮肉なことに、J2への降格候補だったセレッソが、昨年は最後の最後まで優勝戦線に止まっていた。大久保選手は個人プレーが中心で、チームプレーは劣っていた。大久保選手がいるときは、大久保選手を生かすゲーム展開だったが、抜けると、チーム全体が役割を意識したゲーム展開に切り替わったのではなかろうか。

日本代表を見るとき、ジーコ監督はヨーロッパ優先の起用に徹している。日本のサッカーは個人技以上にチームプレーが重要で、にわか作りのチームでは力が発揮できない。国内にも数多く優秀な選手がおり、国内組みを優先してチーム力を高めていくほうが、本当に強くなるのではなかろうか。ジーコ監督は海外偏重を変えることは無いだろうが、日本のサッカーも世界との格差はどこまでも縮まっており、長い目で見るなら、海外組みは日本代表から縁遠くなることも覚悟すべきである。