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国東半島の登山
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  津波戸山  529m 山香町  
津波戸山について
 JR日豊線を南下、宇佐駅を過ぎたあたりから、左前方に岩肌の露出した起伏の激しい稜線の山が目に入ってきます。津波戸山です。 529mと標高は低いですが、山岳仏教遺跡と絶峰奇岩からなるこの山には、国東登山の醍醐味が凝縮されています。 絶峰奇岩は、いわゆる礫岩からなり、岩や土砂が固まり、長い年月を経て侵食風化されたもの。 近年、地元の人たちにより登山道や案内板の整備がすすんでおり、心強い限りです。 単に頂上往復だけなら楽な山ですが、派生コースの「八十八ヶ所巡回コース」を辿れば、アスレチックな登山が満喫できます。 「八十八ヶ所巡回コース」とは、四国八十八ヶ所にならい、津波戸山の絶峰奇岩の要所要所に安置された88体の石彫りの弘法大師、各種観音像を巡礼するコースです。
アプローチ
 国道10号線を南下、宇佐市から山香町に入ります。 ローソンを過ぎ、向野小学校下の信号を左折。 JR日豊線の上り線路をわたり、すぐの下り線路も越えます。 目の前の水月荘(半倒壊状態)の三叉路を左折すれば、津波戸山登山口の看板が目に入ってきます。 駐車は、松尾公民館の広場(4〜5台程度)がいいでしょう。 もう少し奥の登山口まで車は入りますが、駐車スペースはありません。 路肩に駐車することになりますが、離合、方向転換で苦労しそうです。 電車利用であれば、西屋敷駅で下車、田んぼの中の道を歩いて松尾公民館まで10分です。
津波戸山周辺地図
概念図 & コースタイム
松尾公民館
 ↓ 20分
登山口
 ↓ 2分
海蔵寺跡
 ↓ 45分
水月寺奥の院
 ↓ 5分
稜線
 ↓ 5分
頂上
 ↓ 40分
松尾公民館

* 巡拝前半ルート 60分
* 巡拝後半ルート 30分

コースタイムは、目安です。
津波戸山概念図
コースガイド
 公民館から緩やかな上り坂の車道を20分歩きます。 前方に津波戸山の荒々しい山肌が望め、退屈しません。【写真1】
このあたり、イノシシがよく出没するのでしょう、田んぼが防護柵で囲われています。

 車道が終わり登山道を少し歩くと海蔵寺跡の広場に出ます。 小さなお堂があり、ここが八十八ヶ所巡拝コースの一番札所ということになっています。 登山案内板には、コースの注意ポイントが書かれています。よく読んでおきましょう。

 ここから、渓谷の底を歩く本格的な登りになります。 左に池を見てしばらく歩くと、右の斜面から黄色いロープが垂れ下がっている場所に出ます。 このロープを辿っていくのが、巡拝後半ルートです。

【写真1】
津波戸山全景
 本道をさらに登ると、今度は、左の斜面に伸びる細い道が見えてきます。 こちらが、巡拝前半ルートの入り口です。 本道は、登るにつれ傾斜が増し浮石が多くなってきます。落石を起こさないよう気をつけて歩きましょう。 やがて再び、右の斜面からロープが垂れ下がっている場所に出ます。 巡拝後半ルートをとれば、ここで合流するわけです。

 このあたりから、両岸の巨岩がせり出してきて渓谷の巾が狭まり、山ヤ言葉で言うゴルジュ風。 樹木の繁茂とあいまって、昼なお薄暗く井戸の底を歩くような感じになってきます。 まもなく左手に、人一人が通過できる巾の岩の裂け目が目に入ります。 向こう側には、人間の背たけほどある弘法大師石像が立っています。

 さらに登ると、左の巡拝前半ルートと合流し、やがて水月寺奥の院に出ます。 岩小屋を利用した建物で、岩の付け根から「硯石の水」と呼ばれる清水が湧き出ており、コース唯一の水場です。 その昔、仁聞菩薩が写経する時に使用したと伝えられている霊水です。

 ここから、ルンゼ状の急登をへて(ロープあり)、登りきると平坦で広々した尾根に飛び出します。 左折して、少し歩くと展望台。眺めが最高で、正面に鶴見岳由布岳の両山を望むことができます。【写真2】
 一等三角点の頂上はもう少し先で、こちらは周囲の雑木が邪魔で何も見えません。 さらに、もう少し行くと、崖で行き止まりですが、こちらの眺望も宇佐平野がよく見渡せ最高です。

【写真2】
由布、鶴見遠景

巡拝コースについて
 巡拝コースの大部分は、岩場の登下降、へつり、岩稜歩きに終始します。 難場には、クサリ、ロープが設置されており、また必要に応じて足場が切られています。 変化があって楽しいルートではありますが、逃げ道がないだけに高所に弱い方や体力に自信がなければ、近づかない方が賢明です。 また、単独での行動は厳に慎むべきで、雨風が強いなど天気の悪い日も避けるべきでしょう。

 ルートはいずれも、本道より入りて本道に戻ってきます。 前半ルートの方が、垂壁の登下降やへつり(カニの横ばい)を強いられまた距離も長いことから、難易度が高いと言えます。 不安であれば、後半ルートを先に試し登りしてみるのがいいでしょう。 ここでは、札所の数字通り巡回したとして解説していきます。

 3番札所から尾根に取り付き、少し登ると視界が開け岩稜上に出ます。 周囲がよく見渡せ、高度感満点、辺りは岩松だらけです。 登ったり下ったりしていると、やがて「無明橋」に出ます。【写真3】
渡る方は、下は深い谷ですから気をつけて下さい。当然、手すりなどついていません。(^^ゞ

 ルートは一本道ですが、迷路のように入りくんでいます。 20〜30m?間隔に安置されている石仏がいい目印になってくれます。 また、それぞれに○番札所と書かれていますから、登高距離の目安になります。 コース途中には、岩の隙間をくぐり抜ける「針の耳」【写真4】と呼ばれる、面白いポイントもあります。 そして、本道に合流すれば前半ルートは終了で、ここが48番札所となっています。

 後半ルートは、本道をそのまま下り、弘法大師像を過ぎ、更に少し下った左手のロープです。 ここが、65番札所。 ロープに導かれて急登するとすぐに尾根上に出ます。 こちらも、高度感があって見晴らしも申し分なしです。 前半ルートと違って、こちらは40〜50mの岩稜歩きがクライマックス。 岩稜を終了し、雑木林に入り、黄色のロープを下れば本道に合流です。

【写真3】 中央の白っぽいのが橋
無明橋

【写真4】
針の耳

踏査 03.01.01
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